丁触JaPanese Jou
’
nfai Of A’
),
tthon〔)mic & 抛η ‘’
c/ 2002,
Vol.
ZO,
Nu.
2、
97−
IO4研 究論 文
三
次元 物 体認 識
に お
け
る
空 間
周
波 数 感
度
お
よ び
遂
行
成 績
への
課 題 要 求
の影
響
1)近
藤
武
夫
・
利
島
保
広 島大 学Effect
of
task
−
demand
on
sensitivity
to
spatial
frequencies
and
performances
in
three
−
dimensional
object
recognition
Takeo
KoNDou
andTamotsu
TosHIMA
ノ
f
勿 ∫々觀 αCJnivers
め,
*This study investigated whether our sensitivity to spatial frequencies of three
−
dimensi〔malobjects will vary according to task demand
.
Our experimcntaldesign
followed that ofNewe11
(1998)and added a variable spatla 】frequency
,
Newe11 (1998)reported that viewdependence
was observed when si皿 ilarity bctween objects washigh
and memory set size was large.
Experimentlshowed
thathigh
similarity and large mem ry set size reduced sensitivity to low spatialfrequency
(LSF
),
whi 工e Experimcnt 2 showed that onlylarge
mem 〔}ry set size caused viewdependent strategy to precess LSF
.
Thesc results suggest that similarity and memory set size affeCt the variat.
ion of sensitivity to spatialfrequency
with large memory set size reducing sensitivity toLSF .
Key words :spatial frequency
, three
−dimensional
object recQgnition,
viewdependent
視 覚 刺 激と して入 力され る情 報は
,
粗い特 徴 情 報を含む低空 間 周 波 数, 細か い特 徴 情 報を含む高空間 周 波 数,
とい う よ うに
,
視 覚 系において複 数の空間 周 波 数チャ ネ ル に分 け ら れて処 理 さ れ る (Singer & Bedworth,
1973;
Poggio,
Doty,
& Talbot,
1977).
初 期の研 究では, こ の よ う な 空間 周 波 数に は, 低 空 間 周 波 数が まず処
理さ れ
,
そ の後 高空間 周 波 数が処理される,
とい っ た,
知 覚 的に決 定された処理 順序が あ る と考え られ ていた
.
しか し近 年
,
その ようなあらか じ め決 定さ れ た処理 順序は存在し ない こ と が示 唆 さ れ た (
1
)arkcr,
Lishman,
&Hughes,1996
).
さ らに,Oltva
&Schyns
(1997)は,シ
ー
ンの知覚に お いて, 被 験者に複 数の空間周波 数 成 分*
Graduateschoo 】of education
,
H互roshimaUniver−
sity
,
1−
1−
2Kagamiyama ,
Higashi−hiroshima
,
Iliroshima
,
739−8523
1
)本論 文の作 成にあ た り,
ご協 力い ただいた比 治 山大 学現代 文 化学 部 吉田 弘 司 助 教 授,
様 々 な ご 示 唆 を い た だい た広 島大学教育 学 部 認知心 理学 研 究 室の 皆 様に深 く感 謝いた し ます.
か ら なるハ イ ブ リッ ド刺 激を 呈 示 する と,
先 行呈 示さ れ たハ イブリッ ド刺 激の うち,
有 意 味であっ た方の空 間 周 波 数を選 択 的に知 覚する とい う現 象を報 告し た.
ハ イ ブ リッ ド刺 激と は,
高 速 道 路の風 景 と林 立 す るビル の風 景 な どの,
2
つ の 異 な るシー
ン を, そ れ ぞ れ高空間周 波数 と低 空 間周波数 とい う別 個の空間周 波数で表 現し,
そ れ ら を 重 ね 合 わせ ること で 合 成 し た もの であ る.
先 行 呈 示 さ れ たハ イ ブ リッ ド刺 激は , 特 定の空 間 周 波 数か ら なる 有意味な刺 激と,
そ れ と は異な る空間周波 数か ら な る ノ イ ズの複 合 刺 激であっ た.
ま た,
後に呈示されたハ イ ブ リッ ド刺 激では,
そ れ ぞ れ の空 間周 波 数の画 像は有 意 味 な刺 激で あっ た.
Oliva
&Schyns
は,
後 に呈 示 さ れ た ハ イ ブ リッ ド画像を構成す る 2つの シー
ンが と もに有 意 味で あっ た に も か か わ らず, 先 行 呈 示 さ れ たハ イ ブ リッ ド画像の う ち,
有意味であっ た 空間周 波 数 画 像で表 現さ れ たシー
ンだけが知 覚さ れ たことか ら,
課 題 解 決に とっ て有 効で あっ た情 報が選 択 的に知 覚された と説 明してい る.
こ の説明か ら,
課題 を効 率的に解決 す る た めに求 め られ る情 報 処理 (課 題 要 求 〉に とっ て 必要な特徴情報 を98 基礎 心理学 研 究 第20巻 第 2号 持っ た空 間 周 波 数チャネル が優 先 的に知 覚さ れると考え られ る
.
単一
の物 体の知 覚と比 較し て,
シー
ン の知 覚に は,
複 数の単一
の物 体の知覚と, そ の統 合とい う過 程が存 在し てい るため,
単一
の物 体の知覚と は処 理が異 なっ ている と考え ら れ る.
しか し, 単一
の物 体の知 覚 につ い て も 同 様に,
課 題 要 求によっ てどの空間周 波 数が利用 さ れ る か は 異 なっ てい る.
例え ば,
同一
人 物の顔で あっ て も,
表 情の認識, 特に笑 顔の認 識の際には低 空 間 周 波 数が主に 利用 さ れ,
既知顔の認識の際には中域の空 間周 波 数が主 に利 用 さ れ ること が 報 告されて い る (永 山・
吉田・
利 島,
1995).
こ の よ うに, 同一
人物の顔 , す な わ ち同じ 物 体につ い て も,
課題要 求によっ て利用 さ れる空 間周波 数情 報が異なっ てい る こ とが 示 唆されてい る.
他 方,
同じ物 体 認 識 処理で も, 顔 認 識と一
般 的な物 体 認 識では,
異 な る処 理 シ ステム が存 在す る とい わ れ て いる (
Farah,
“’
ilsoll
,
Drail1
,
& Tanaka,
1995).
特に,
一
般 的な物体の認識で は , 知 覚システム にお け る空 間 周 波 数 帯の優先 的 処 埋 や, 知 覚 的に決 定 さ れ た 処 理 順 序 な ど の研 究 (例 えば, Ginsburg,
1986)や, 物 体その もの の持つ特 性と処理さ れ る空間 周 波 数の関 係 (例え ば物体 の複雑性に つ い て は Hoeger,
1997)が研 究さ れ て きた.
し か し, 課 題 要 求と利用 さ れ る空 間 周 波 数と の関 係につ い ては検討 さ れて こな かっ た.
顔 認 識で は,
課 題 要 求に よっ て利 用さ れ る空間 周 波 数が 異 な るこ とが 示.
唆 さ れて い る.
ところが,一
般 的な物 体の認 識に お い て も, シー
ン の知 覚や顔 認 識と同 様,
課 題 要 求の違いに よ り,
利用 さ れ る特徴情報が変 化 するか否か は明らか になっ てい な い.
ま た, 凵 常 的 な 条 件で の一
般 的 な 物 体の認 識に は,
奥 行きと い う次元 が 存在す る た めに, その物 体を どの方 向 か ら観 察する か という視 点の変 化の問題 が あ る.
このよ うな問題は 三次元物 体 認 識 研 究として,
近年盛 んに議 論 さ れてい る.
ど の ような視 点か ら観 察し て も,
認 識 成 績 は・
.
・
定で あ る とい う視 点 不 変 性を 強調 す る 立場 (Biederman,
1987;Biederman
&Coopcr,
1991;Biederman
&Gerhardstein
,1993
;Biederman
&Ger−
hardstehn
,
1995> と,
あ る物体に とっ て最 も そ れ ら しい見え方 をす る視 点か ら観 察した際の景 観は
,
そ れ以 外の視 点か ら観 察し た際の景 観よ り も
,
認 識 成 績が良い という視点依 存 性 を強調 す る 立 場 (Palmer
,
Rosch,
&Chase,1981
;iNTarrington
&Jamcs
,
1986
;Tarr,
1995;Tarr & BUIthoff
,
1995;Tarr,
Williams,
Hayward ,
&Gauthier,1998)が ある
.
この よ う な視 点 不 変 性と視点 依 存 性は,
必 ずどち らか が 生起す る とい う わ けで は な い。
例えば カテゴ リ カル な認識の場合に は,
視 点不変性 が 生起す る よ う なシ ス テムが 用い ら れ,
同じカテ ゴリー
に属す るが具 体 例の異 な る 認 識 (同 名 異 例 物 体,
e.
g,
,
2つ のよく似た椅 子 )の場 合には, 視 点 依 存 性が生 起 す る ようなシ ス テ ムが用い ら れる といっ た,
トレー
ドオフ の 関 係が存 在する可 能 性 も 示 唆 さ れ てい る (Tarr &BUIthoff
,1995
).
し か し,
ど の ような条 件によっ て視 点 依存・
視点不変の トレー
ドオフが生じ るの か は明らか に なっ て いない.
これ ら 三次元物 体 研 究の 中で,Newell
(1998) は,
記 憶 中に存 在す る 三次 元物体表象 間の類似 性と記憶セ ッ ト数という,
2つ の要 因が持つ 負 荷の高 低を変 数と し た 遅 延 弁 別 課 題 を行い,
両 方の要 閃の負 荷が高い と きに の み,
視 点 依 存 的 な 認 識が行 われ る こ と を観 察し た.
こ の 原因と して, 現在弁 別 し な け ればな ら ない 物体セ ッ トに お い て最も診 断性が高くな る よ うに,
物 体 表 象の持つ特 微 次元に対する感 度が 変 化 し た と考察 し た.
類 似 性の高 い 2つ の物 体 (記 憶セ ッ ト〉の遅延 弁 別 課題 を 用 いた Newell の研究で は,
記 憶セ ッ ト数が少ない と き,
認識 は 視 点 不変であっ た が,
記 憶セ ッ ト数が多 くな る と視 点 依存と な ること が観 察さ れ た.
この結 果につ い て,
記 憶 セ ッ ト数が多い 条件で は, 認 識シ ス テムの感 度が物 体 表 象 間 (例 :ボ トル と キャ ン ドル)の特 徴の違いに最 適化 し,
被験 者に課 題で求め ら れ た よ く似 た物 体 間の特徴に 対す る感 度が低 下し た た め,
弁 別 (例 : よ く似た ボ トル の弁 別 ) が 困 難 と な り,
視 点 依 存の認識 成 績となっ たと 説 明し た.
っ ま り , 同一
の物 体であ っ て も,
課 題 要 求の 違い によ り, 処 理 さ れ る情 報が異 な ると考 えられる.
た だ,
Newell (1998)の研究で は, この よ う な 感度 変 化 が生起し た か どうか につ い て は扱っ てい ない.
そこで本 研 究で は,
特 徴 情 報に対 する感 度 変 化に よる, 視 点 依 存,
視 点不変の 認 識 成 績の変 化が得ら れ た Newell の実 験パ ラ ダ イム を 用い,
物 体の持つ特 徴 情 報 と し て.
空間 周 波 数の違い を 変 数 と し た実験 を行っ た.
これ に よ り,
同一
の物 体であっ て も,
顔 認 識で確認 さ れ た よ う な,
課 題 要 求に よっ て,
刺 激の空間周 波 数に対 す る 感 度 変 化が 生 起 するか否か を検 討 すること を目 的と し た.
こ のよ う な 感 度 変 化が実際に観 察され れ ば,
Newell が考 察し た, 特徴に対す る 感 度変化が, 視 点 依 存・
視 点不変の認 識 成 績の変 化に関 与し てい る と考え られ る.
実.
験1
目 的 本 実験で は, 特徴情 報に対する感 度 変 化に よっ て,
視 点 依 存・
視 点 不変の 認識 成 績の変 化が得ら れ たNewell
近 藤
・
利 島 :三次 元 物 体の空 間 周 波 数へ の感 度 変化 99 (1998)の実 験パ ラダイム を用い て,
視 覚 対 象の持つ 特 徴 情 報と して,
空間 周 波 数の違い を変 数とし た実 験を行 っ た.
こ れ に より,
同一
の物 体で あっ て も, シー
ンの知 覚 や顔 認 識で確 認さ れ た よ う な, 課題要求によ る 窄間 周 波 数に対す る感 度 変 化が 生起す るか否か を検討 する こ と を冖的と した.
方 法 被験者 正常な視力 (矯正 を含む)を持つ 19歳か ら 31歳の大 学 生お よび 大 学 院 生16
名.
男性9
名, 女性7
名.
平 均 年 齢は 22.
5歳.
刺激Newell
が用いた もの と 同 様の 三次 元 物 体 を刺 激 作成に 先 立 っ て作 成し た.
これ らの二次/t
物 体は,
ラ ンプ,
グラ ス,
燭台,
花 瓶,
ト ラ ンペ ッ ト,
釘,
丸 椅 子, ボ トル の三 次 元物 体8種類 と,
8種 類そ れ ぞれの物 体に対して類 似 性の高い 三 次元物 体1つずつ,
計16
種 類の物 体で あ っ た.
ま た,
これらの 16種 類 の三次 元 物 体は,
Willdows 用ソフ トウェ アで あ る三 次 元モ デラー
Rhinoccros
を 用い てモ デ リン グ お よ びレ ンダ リング を 彳.
∫うこ とに よ り 作 成 し た.
これ ら 三次元物 体の例 をFigure
lに示 す.
これ らは Newell と同様に,
すべ て同 じ ジ オン (Biederman,
19.
87)か ら なっ て お り,
ジ オン の配 列と大き さを変え る こ と で,
別個の 二次 元物体 を 形 作っ てい た.
ま た作 成し た すべ て の三次元物体の縦横比 は同様に そ ろえ た.
さ らにジ オン配 列の異 な る 各 三 次 元 物体を構成 す るジオンの大き さ を わずか に変 化さ せ る こ と に よ り,
同様の ジ オン配 列 を持っ た, 類 似 性の高い三 次元物 体を 作成し た (Newell,
1998を参 照 ).
そ の後,
すべ て の物 体の 0〜
180度ま で の景 観 を,
視 点30
度 ごと に, 256×256ピク セル,
256諧 調グレー
ス ケー
ルの静止 画 像と し て取 り出し た.
これら はモ ニ ター
に呈 示 する 際,
57cm 離れ た位置 か ら観察 す る と5
度の視角を張る 大き さ とし た.
次に こ れ らの静 1ヒ画像か ら,
そ れ ぞ れ 24.
8cycles/image を 中 心に1
オ ク ター
ブ の空間 周 波 数 成分 を 抽出し た刺 激 画 像 (高空間 周 波 数 IlighSpatial
Figure l
.
Three−dimensional
objects.
Frequency
,HSF
刺激)と,6.
2cycle
/image
を 中 心に 1オクタ
ー
ブの空 間 周 波 数 成分を抽 出し た刺 激 画 像 (低空間 周 波 数 LQwSpatial
Frequency,
LSF 刺 激 ) を作 成し た.
空 間 周 波 数 を 操 作 し た刺 激 画 像の 例を Figure 2に 示 す.
刺 激画像は全 体で 112枚となっ た.
装 置NEC
製パー
ソ ナル コ ン ピ.
z一
夕PC −9801
Xa lO,
お よびEIZO
製 カ ラー
ディ ス プレイ FlcxScanE97
Ts, 刺 激呈 示お よ び 反 応測 定用の ソ フ ト ウ ェ ァ として
Cedrus
製SuperLab Version 1.
05お よび同ソ フト専 用ス イッ チボック ス RB 400を使用し た
.
また被験者 の頭部を モニ ター
か ら57cm 離れ た位 置に固定 す る た め に,
顔 面 固定 器を使用 し た.
実 験計 画 標 的 と して記 憶 す る 物 体 数 (記憶セ ッ ト 数)2種 類 (ユつ ;4つ), 空間 周 波 数 2種 類 (HSF 刺 激,LSF
刺 激 ),
二次元物 体を観 察す る視 点の数7種 類 (0度, 30度,
60度,
90度,
120度,
150度,
180度 ) の 2×2×7の被 験 者 内計 画と し た.
手 続 き 実 験 は 2つ の ブロ ッ ク (ブ ロ ックA ,
ブロ ッ ク B)か らな り, そ れ ぞ れの ブロ ッ クは誰 憶セ ッ シ ョ ン とテス トセ ッショ ンの2
つ の セ ッ シ ョ ンか ら なっ て い た.
ま た,
両ブロ ッ ク の記憶セ ッシ ョ ンで は, 記 憶す る 標 的物 体の数が異なっ ていた.
被 験 者は まず 記 憶セ ッシ ョ ン に お い て, 標 的 物体が1つ につ き 4回.
奥行き回転す る アニ メー
シ ョ ンを観 察し,
そ の形 状 を記 憶した.
まHIGH SPATIAL FREQUENCY
LOW SPATtAL FREQUENCY
Figure
2.
Samples of spatial fre〔luency manipula−
100 基 礎 心 理 学 研 究 第2 巻 第2 号 た
,
被 験 者 には,
物 体の形状を よく記 憶する ように教示 した.
記憶セ ッ シ ョ ン で の被験 者の課 題は,
こ の アニ メー
ショ ンを よ く観 察し て そ の形状を記 憶す るだけであっ た.
記 憶セ ッ シ ョ ン の直 後に始 ま る テス トセ ッ シ ョ ン に お いて,
最 初に 500ms 呈 示 さ れ る 注 視 点に続 いて, 記 憶セ ッシ ョ ン で記 憶し た物 体の静止 画像 (標的 刺 激 ), もし くは標 的と類 似 性の高い物 体の静止画 像 (ディス ト ラ ク タ)が,
150ms 呈示された.
そ の後ブラ ン クが 呈 示 さ れ,
被 験 者の反 応 を受け付け るとす ぐに次の試 行が 始まっ た.
ま た, テス トセ ッ シ ョ ンで は HSF 刺 激,
LSF
刺 激, 標準 刺激を さ らに別 個の下 位セ ッ シ ョ ンで 呈 示 し た.
各 下 位セ ッシ ョ ン で の静止 画像は0
度〜18e
度の視 点につ い て ランダムな順 序で呈 示し た.
テス トセ ッ シ ョ ンでの被 験者の課題は,
呈 示 さ れ た静止画 像が記 憶セ ッ シ ョ ンで記憶し た物 体か否か を手 元の ボタ ンを押 し て弁別 す るこ とで あっ た.
被 験 者に は で き るだけ速 く,
かつ正 確に判 断を 行 う よ うに求め,
反応 時 間と誤 答 率を 記 録 し た.
ブロ ッ クA
では 記 憶セ ッ シ ョツ で 1つ の標 的 物 体の形 状を記 憶 (記 憶セ ッ ト数 :少 ) し, 続 く テス トセ ッシ ョ ン で もう1つ の類 似 性の高い物体か ら弁 別する課 題を, 休 憩をは さ ん で,
物 体を変え4回繰り 返 し た.
休 憩を と る時 間の長さ は被 験 者の判 断に任せ,
被 験 者 自 身が十 分に休んだと判 断 し た ら手 元の ボタン を押 して実験を続け る よ う 教 示 し た.
ブロ ックB で は, 記 憶セ ッシ ョ ン で連 続 的に呈 示 さ れ る4
つ の標的物体の 形 状を記 憶 (記 憶セ ッ ト数 :多 )し,
続くテ ス トセ ッ ショ ンで 4つ の標 的 物 体それぞれに対 応 する類 似 性の高い デ ィ ス ト ラ ク タ刺 激1っずっ を合わせ た,
計8つの物 体か ら標 的 物 体を弁 別し た.A
,B
各ブロ ックの実 施順序,
お よ びA
,B
各ブロ ックにおい て標的物体の アニ メー
シ ョ ンが 呈 示される順序, ま たテ ス トセ ッ シ ョ ンに おけ るHSF 刺 激,
LSF 刺 激が呈 示さ れる下 位セ ッシ ョ ンの 実 施 順 序は,
被 験 者 間で カ ウ ンター
バ ラ ン スを とっ た.
ま た テス トセ ッ シ ョ ン の下 位2セ ッシ ョ ン そ れ ぞ れ に お い て,0
度〜180
度ま で の視 点の呈示順 序は ランダマ イ ズ し た.A
, B 各 ブロ ッ クのテス トセ ッ シ ョ ンでの 試 行 数の合計は各ll2試 行, A,
B 両 ブロ ッ ク を 合 わせ る と 228試 行であっ た.
実験 全 体に か か る時 間は被 験 者1
名 に つ き約30分間ほ ど であっ た.
結 果 記憶セ ッ ト数少 条 件お よび記 憶セ ッ ト数 多 条 件に おけ る, 各 空間周 波 数 刺 激およ び 標 準 刺 激に対 す る 反 応 時 間 と誤 答 率をFigure 3に示 し た.
まず,Newell
(1998)は,
記 憶セッ ト数少条 件 と多 条 件を別 個の実 験と し て行っ ていた.
その際に得ら れ た 1200100Q E800 且 ooo 左 400 12eo1000 800 冨 邑 ト 600 400 0 30 60 90 12K) 150 180 VIEW(°
) m 刀 刀 O 刀〔
訴}
m 刀 刀 Q 刀(
承)
0 0 00 0 0 5 4 3
2 1 Q 30 60 90 120 150 180 VIEW (
°
)Figure
3.
ReactiQn
times and error rates for stimu−
lus images (high and
low
spatial frequency andnorma 】stinluli )as a function of changes ilwiew
−
p〔〕
int
in
Experiment
1,
Two charts illustrates thecondition Qf small memory set size (above )and
large memOry Set SiZe (
1
〕elOW ).
視点の効 果 と, 本 実 験で得 ら れ たIISF 刺 激
,
LSF 刺 激 お よ び標 準 刺 激のそ れ ぞ れに対 す る視 点の効果 を 比較す るた め,Newell
と同 様に,
そ れ ぞ れ 視点につ い て1
要 因の分 散 分 析を行っ た.
視 点の効 果が有意であ れ ば 認識 成 績は視 点 依 存であ り,
有 意でなけ れば視 点不 変であ る とい え る.
反応時 間につ い て, 記憶セッ ト数少 条 件で は HSF 刺 激 (F − 1,
590
, ns),1,
SF
刺 激 (F − 1.
59U,
ns),
標 準 刺 激 (F =
1.
590,
ns )すべ て で, 視 点の効果 が有 意 で なか ワ た.
記 憶セ ッ ト数 多 条 件で は,HSF
刺 激 (F=
1.
S64,
p〈.
10),
LSF 刺 激 (F =
2.
165 ,p
〈.
10
), 標準 刺激 (F=
2.
775,
p〈.
05)と空 間 周 波 数を操 作し た刺激 で, 視 点の効果 の傾 向が,
ま た標 準 刺 激で有 意な 視 点の効 果が見られ た.
っ ま り , 記憶セ ッ ト数 少 条 件で は視 点不 変の結果 が, 記 憶セ ッ ト数 多 条 件 で は 視 点 依 存 の結 果が得られた.
誤 答率につ い て は,
記憶セ ッ ト数 少 条 件で は HSF 刺 激 (F=
1.
590,
ns ),
LSF 刺 激 (F=
1.
590,
ns ),
標 準 刺激 (F =1.
590
, ns )すべ て で視 点の効 果が有 意で はなか っ た.
記憶セ ッ ト数 多 条 件で は,
IISF 刺 激 (F近 藤
・
利島 :三 次 元物 体の空間 周 波 数へ の感 度 変 化 /01
一
1.
864 ,p
く.
1 ),
LSF 刺 激 (F−
2.
工65
, p<.
10
) で 視 点の効 果の傾 向が見ら れ た.
しか し,
記憶セ ッ ト数多 条 件の標準 刺激 (F=
1.
Ol5
, ns)で は視 点の効 果は有 意で な かっ た.
記 憶セ ッ ト数の大 小 (1つ ;4つ ),
空間周 波 数2種 類 (HSF
刺 激, LSF 刺 激 ),
三次 元 物 体 を観 察す る視 点の 数7種 類 (O度,
30度,
60度,
90度,
120度,
15 度, 180度 )に関する Z×2×7の被験者 内の3
要 囚 分 散 分析 を,
反応 時 間お よび誤答率につ い て行っ た.
視 点の効 果 は,
別 途 1要因の分 散 分析を行っ てい る の で こ こ で は触 れ ない.
本 実 験で の関 心は, 標 的 とディス ト ラ ク タ の類 似性が高い と き, 記 憶セ ッ ト数の変 化に より空 間 周 波 数 に対する感 度が変 化し てい る か否か であ る た め,
記 憶セ ッ ト数と空間周 波 数の交互作用に注 目し た.
そ の結 果,
記 憶セ ッ ト数と空間 周波数 の 交 互作用 が有 意 (F≡
5.
236,p
<.
05)で あっ た.
この交 互作用につ い ての, 各空 間 周 波 数に対す る反 応 時 間をFigure 4に 示 し た.
ラ イ アン法 に よ る下 位 検 定の結 果,
LSF 条 件 で 記憶セ ッ ト数の 単 純主効 果が有 意 (F=
5.
502,p
<.
05)であり, 記 憶セ ッ ト数 少 条 件のHSF
刺激に 対 す る反 応 時 間に比べ,
記 憶セ ッ ト数 多 条 件の HSF 刺 激 に対する反応 時問が有 意に 長 くなっ ていた.
ま た記憶セ ッ ト数 多 条 件で空 間 周 波 数の単 純主効 果が有 意 (F ;
4.
773,p
<.
05
)で あっ た.
さ らに記 憶セ ッ ト数 少 条 件 において はHSF
刺 激とLSF 刺 激に対す る 反応 時 間の 問に有意差は なか っ た,
記 憶セ ッ ト数 多 条 件で は LSF 刺 激に対する反 応 時 閲が,
HSF 刺 激に対す る 反 応 時 間 に比べ て有 意に長 くなっ てい た.
考 察 実 験 1で は,
特 徴に対 する感 度 変 化に よる と考え られ る 認 識成績 の変 化 (視点 依 存・
視 点 不 変 )が得ら れ た 1000 900曾
憙
8・・ 700 600 SMALL LARGE MEMORY SET SIZEFigure 4
.
Reaction times for high andlow
spatialfrequency stimuli as a
function
of memory setsize
in
Experiment
l.
Newell
の実 験パ ラ ダイム を用いて,
視 覚 対 象の持つ 特 徴 情 報と し て空間周波 数の違い を変数 と し た実 験 を 行 い,
同一
の物体であっ て も,
対 象の持っ空間 周 波 数に対 する感 度 変化に よ り,
視 点 依 存ま た は視点 不 変の認識 成 績が得ら れ るか否か を検 討 し た.
標準 刺 激 に対す る被 験 者の認 識 成 績は, 記 憶セ ッ ト数 少条 件で視 点 不変,
記 憶セ ッ ト数 多 条 件で視 点 依 存で あ っ た.
したがっ て,
標 的とディ ス トラク タの類似 性が高 い条 件で,
記 憶セ ッ ト数の多 少に よ り認 識 成績が変 化す る と し たNewe
]1 (1998)と同 様の結 果 が 得 ら れ た.
記憶セ ッ ト数少条 件で は,HSF
刺 激,LSF
刺 激に対 す る認 識 成 績は視 点不変で あっ た.
平 均 反 応 時 間に も両 者に有 意 差 は 見 ら れ ず,
両 者で同 程 度の視 点 不 変 認 識が 可能であっ たと考 えら れ る.
ま たこの記 憶セ ッ ト数 少 条 件で,IISF
刺 激とLSF 刺 激に対 する反 応 時 間に有 意 差 がな かっ た と い う結果は,
Parker et al.
(1996)の結 果 と同様であっ た と考え ら れ る.
とこ ろが記 憶セ ッ ト数 多 条 件で は.
HSF 刺 激,
LSF 刺 激に対す る認 識 成 績は両 者と もに視 点依 存と なっ た.
さ らに,3
要因の分 散 分 析で は記 憶セ ッ ト数 と空 間 周 波 数の交 互作用 が有 意で あっ た.
記 憶セ ッ ト数 多条件の LSF 刺 激に対 する反 応 時 間は,
同条 件のHSF
刺 激に対 する反 応 時 間,
お よび 記憶セ ッ ト数 少 条 件で のLSF
刺 激よ りも有 意に長か っ た.
この結 果 は,Parker
et al.
(1996
)の,HSF
刺激 とLSF
刺 激に対す る行 動 測 度に 差 は見 ら れ ない とし た結 果と異なっ て おり,
記 憶セ ッ ト 数多 条 件に おい て は,
特に LSF 刺 激に対する感 度 低下 が見ら れ たこと を示 唆して い る.
つ まり,
標 的とディ ス トラク タの類 似 性 が 高い 条 件に お け る,
記 憶セ ッ ト数の増加 という 要因は, 空間 周波 数 とい う観 点か ら見 ると,
以 下のよ う な 影 響 を 与える と考 え られ る.
す な わ ち,HSF
刺 激およ びLSF 刺 激の持つ 情報を三 次元物体の同一
性 判 断の際に利 用 する場 合,
特 定の視 点に依 存し た同一
性 判 断 処理,
つ ま り視 点 依 存の 処 理 を導き,
と Dわ け LSF 情 報に関し て は.
記憶セ ッ ト数が相 対 的に少な い場 合に比べ て,
反応 時 間が 全体的 に長 くなる形で感 度 低 下 を導 くとい う影響が認め ら れ る.
こ の よ う な 影響は, 課題要求の違いよる トップ ダウ ン の影 響 (Oliva& Schyns,
1997)に よ り,
空間周波 数に 対す る感 度 変 化が 生 じ た ため に生 起し た もの であると考 え ら れ る.
さ らに,
こ の研 究で は明 らか に さ れ な かっ た,
ど の ような課 題 要 求に よ り感 度 変 化が生 じ るの か と い う問 題につ い て も,
記憶セ ッ ト数 と類 似性 とい う要因 の相 互 作用 (Newell,
1998)か ら, 前述の よ う な 認識 成102
基 礎 心理学 研 究 第 20巻 第 2号 績の変 化を規定するとい う説 明が可能と思わ れ る.
実 験2
目 的 実験 1の結 果か ら,
「類 似 性の高さ」と 「記 憶セ ッ ト 数の多さ 」 の複 合し た影 響により, HSF お よ びLSF
刺 激に視点依存の処 理 を導き,
ま た特に LSF 刺 激に対す る感 度が低 下し た (反 応時間の遅 延 )とい う可 能 性が 示 唆され た.
しか し,
実 験1
におい て操 作し た要 因 が 「類 似 性の高い条 件 下で の記 憶セ ッ ト数 」 で あっ たため,
単 純に記 憶セ ッ ト数の増 加に より課 題 要 因だ けが, 視点 依 存処 理 を導き,
また LSF 刺 激に対 する感 度を低下 させ た とい う可 能 性を否 定で き ない.
そ こ で実験2で は,
標 的と ディス ト ラ ク タの類 似 性 が 低 く,
記 憶セ ッ ト数が多 い 条件で,
各空間周波 数お よび標 準 刺 激に対 する認 識 成 績 を 検 討し た.
すな わ ち, 実 験 2で は, HSF お よ びLSF
刺 激に視 点 依 存の処理 は見ら れず, ま たLSF
刺 激 に対 す る感 度 低 下 も見 ら れ ない と予 測 し た.
ま た,
IISF
お よ びLSF
刺 激の処 理は視 点 不 変で あ り, ま た両 方の刺激に対す る 反応 時 間 や誤 答率に有 意 差は見ら れ な い という, 実 験 1の記 憶セ ッ ト数少 条 件に近い結 果が得 られる と予 測し た.
方 法 被 験 者 19歳か ら24歳の大 学生16
名.
う ち 男 性6
名, 女性1
名.
全 員が正 常 な視 力 (矯正 を含む)を持 っ ていた.
刺 激 実験 1 と同様.
実 験 計 画 空間周 波 数2
水 準 (HSF ・LSF
),
視 点7 水 準 (0度,
3 度,
60度,
90度, 120度, 150度,
180 度 )の2要 因 被験 者 内 計 画.
手 続 き 実 験1で 用いた刺 激の う ち,
ボ トル, グラ ス. ランプ, 燭 台 を標 的と し,
釘,
丸 椅 子,
花 瓶,
トラ ンペ ッ ト を 非標 的 刺 激と した.
非 標 的 刺 激として, 標 的 刺 激に対し類 似 性の低い物 体を 用いた.
こ の点を除け ば,
実験 1の記 憶セ ッ ト数 多 条 件と同 様で あっ た.
被 験 者は記憶セ ッシ ョ ン で連 続して呈 示 さ れ る標 的の形 状 を よ く記憶し,
直 後に行わ れ た弁 別セ ッシ ョ ンで, 非 標 的 刺激 か ら標的刺 激を弁 別した.
結 果 実 験 2で 得 ら れ た 反 応 時 間 と誤答 率の 結 果をFig−
urc 5に示 す.
ま ず ,HSF
刺激,LSF
刺 激お よ び標 準 刺激に 対 す る視 点の効 果を見るた め,
そ れ ぞ れ視 点につ い て 1要 因の分 散 分 析を行っ た.
反 応 時 間 につ い て,
HSF
刺 激 (F=O.67S,
ns ),
標 準 刺 激 (F ≡
1.
303
, ns)で 視 点の 効 果が 有 意で は な く,
LSF 刺 激 (F=
12001000oo 日 oo6(
・, 5 左 OO4 十 HSF−
x−
LSF−
D−
NORMAL 鹽HSF 囹LSF 口NORMAL〉
<
≦
三
…
こ
=
一
200 驫 O O 30 60 9D 120 150 180 VIEW(つFlgure
5.
Reaction
times and err()r rates for stimu−
Ius images (high and
low
spatial frequency andnormal stimuli )as a function of changes
in
view・
point
in
Experimerlt
2.
m 刀 刀 O 刀(
雷)
00 0
0 ゆ 0 5
4 3
2 1
6,
375,
〆.
001
) で の み視 点の効 果が有 意で あっ た.
誤 答 率 に つ い て も 同 様 に,
HSF 刺 激 (F=
O.
303,
ns),
標 準刺 激 (F − O.
996
, 11s)で視 点の効 果が有 意で はな く,
LSF 刺 激 (F − 3.
096,
p
〈.
01
)でのみ有 意な 視点の効 果が見られた.
つ ま り, 反 応 時 間 お よ び 誤答 率 に おい て,
LSF
刺 激に対して の み視 点 依 存の結果が得 ら れ, そ れ 以外で は視 点 不 変の結 果が得られ た.
また,
空間周 波 数2種 類 (HSF 刺 激,
LSF 刺 激〉, 三次元 物 体を観 察す る視点の数7
種 類 (0
度,
30度, 60 度,
90度,
120度,
150度,180
度 )の 2×7の被 験 者 内2
要因分散分析を反 応 時 間お よ び誤 答 率につ いて 行っ た.
その結果,
反 応 時 間で は空 間 周 波 数と視 点の交互作 用 が 有 意 (F =2.
448,
pく.
05)で あり,
ライア ン法に よ る下 位 検 定の結果,LSF
刺 激で の み視 点の効 果が有 意で あっ た.
考 察 実 験 1に お い て は,
標的 と ディス ト ラ ク タ の類 似 性が 高 く,
記憶セ ッ ト数 多 条 件で は観点 依存, 記憶セ ッ ト数 少 条 件で は視 点不変の結 果お よびLSF 刺激に対 す る 感 度 低 下が伺え る結果 を得た.
し か し,
実験 1で操 作し た 要因は記 憶セ ッ ト数の み であっ た た め,
類 似 性の高さ と 記 憶セ ッ ト数の多さ とい う両方の要因の相互作 用が,
刺 激の弁 別 性 を低 下さ せ,
認識 成績が視 点 依 存となっ た (Newell,
1998)と い う よ り, 記 憶セ ッ ト数の増加に よ る 記憶 負 荷の増 大 だけ が視 点 依 存 性に影響し ていた とい う可能 性が考え ら れた.
こ の問 題につ いて,
実験2
で は,
実 験1に比べ て標 的とディ ス ト ラ ク タ の類 似 性を低 くし, 記 憶セ ッ ト数は実験1
の記 憶セッ ト数 多 条 件と同 様の 4つ と い う条 件で,
各空間周波数に対す る被 験 者の 反 応時間と誤 答 率を測 定し た.
記憶セ ット数 は多い もの の, 標 的とディス トラ クタの類 似 性が低いた め に, 認 識近 藤
・
利 島 三 次元物 体の空 間 周 波数へ の感 度 変 化 ユ03 成 績 は 視 点 不 変 と な り, LSF 刺 激へ の感 度の低 下は見 ら れ ない と予 測し た.
その予測 通り,
標 準 刺 激の認 識 成 績で は 視 点の効 果 が 見ら れ な かっ た こ と か ら, 標的とディ ス トラ ク タの類 似 性が低く,
記 憶セ ッ ト数 が多い 条 件で,Newel1
(1998> と同様,
視 点 不 変の認 識 成 績 が 得 られ た.
記憶セ ッ ト数 の多さ だ け で は な く, 標 的と ディ ス トラク タ問の類 似 性 の高さ との相互作 用により,
認 識 成 績は視 点 依 存と な る とい うNe− Tell の結果を確認 す る こ と が で き た.
ま た HSF 刺 激と LSF 刺 激の平 均反応 時間に有意 差 は 見 ら れ ず,
実 験1で得 ら れ た よ う な,
HSF 刺 激 と比較 し て LSF 刺激に対す る反 応 時 間が遅 延 する,
とい っ た結 果 も得ら れ な かっ た.
こ の結 果は,Parker
et al.
(1996) の結 果と類 似 していた と考え ら れ る.
しか し,
空間周 波 数 を操 作した刺 激に対 す る 認識成績 につ い て は,
HSF 刺 激お よびLSF
刺 激に対する認識 成 績で,
予測と は異 な る結果が得 ら れ た.
す な わ ち, 予 測 で は,
両 方 の 窄 間 周 波 数 を操 作し た刺 激に対し,
視 点 不 変の認 識 成 績が得ら れる と予 測さ れ た が,
実 験2で は,
HSF
刺 激に対 す る 認識 成 績は視 点 不 変であっ た ものの,
LSF
刺 激に対 する認 識 成 績は視 点 依 存とい う結 果が得 られ た.
つ ま り,
標 準 刺 激と HSF 刺 激に関 して は, 視 点不変の認 識 成 績が得ら れ た た め, [類 似性の高さ と記 憶セ ッ ト数の多さ の相互作用によ り認識 成 績が視 点 依存 にな る 」とい う 予 測 が 当て は まっ た.
しか し,
LSF 刺 激に関して は記憶セ ッ ト数の要 因の み で視 点 依 存 性が得 られ た た め, こ の予測は当て は ま ら なか っ た.
LSF 刺 激 に おい て視 点 不 変で は なく, 視 点依 存が得 られ たこ とに関して,
LSF 刺 激で は単に 認識が 困 難 だ っ たの で はないか,
とい うこと も考え られ る.
しか し,
実験1の記 憶セ ッ ト数 少条件では, 実 験2よりもさらに 類 似 性の高い刺 激を 用い ていたに もか かわ らず, LSF 刺 激で視 点不変の判断 が 認 め られ た.
こ の こ と か ら,
LSF 刺 激で は 認識が不 可能だっ た とい うよ り,
課 題 要 求 が変 化し た こ との 影 響に よっ て,
実 験2の条 件でLSF
刺 激に対する認 識 判 断が視 点 依 存 となっ た と 考 え る方が妥 当と思わ れ る.
つ ま り, 記憶セ ッ ト数の多い実 験 2に おい て,
LSF 刺 激のみ に視 点 依 存 性が得ら れ た こ と か ら,
記 憶セ ッ ト数の多 さ とい う要因か ら生 じる課 題 要 求は,LSF
刺激に の み視 点 依 存の処 理 方 略 を 生 起 させることが 示 唆 さ れ た.
総 合 考 察 本 研 究で は,
三 次元物 体認識 条件 下で, 同…
の 物 体で あっ て も,
課 題 要求に よっ て空 間周波 数へ の感 度が異な る か 否か を検 討す る こ とを 目 的 と し た.
実 験 は,
Newell
(1998
>の研 究に基 づい て,
空 間 周 波 数の 違い を変 数として行っ た.
Newell (1998)が報 告し た よ う に, 視 点 依 存 効 果は記 憶セ ッ ト中の物体 間の類似性 と記 憶セ ッ ト数 両 方の要 因が持つ 負 荷が と もに高い条件で観 察さ れ た.
空間 周波数に対す る感 度につ い て は,
類 似 性 と記憶セ ッ ト数 両 方の要因が持っ 負 荷がともに高い条 件 で, 低空間周波 数に対 する感 度が特に低.
.
f
(実 験1) し, ま た,
記 憶セ ッ ト数の増 加とい う 要因 の み に よっ て も, 低空間周 波 数に対し ての み,
視 点 依存 的 な 処 理 方略 を招く (実 験2)とい う結 果が得 ら れ た.
これ らの こ と か ら,
同…
の物体 で あっ て も, 課題中の物 体 間の類 似 性 と記憶セ ッ ト数とい う要 因に よ る課 題 要 求の影響に よっ て,
空 間 周 波 数に対 する認識シ ス テ ム の感 度は変 化し, 特に, 記 憶セ ッ ト数の多さ と いう要 因は,
低 空 間周波 数 へ の感 度 低 下を導くこ と が示 唆された.
以 上の結 果 は, シー
ン や顔の認 知だ けで はな く, 三次 元物 体認識に おい て,
課 題 要 求に よ る特 微 情報へ の感度 変 化 (Newel1,
1998)が生 起 しているこ と を 示 唆 してい た.
こ の感 度 変 化に よ る視 点 依 存 性・
視 点 不 変 性の トレー
ド オ フ (Tarr
&BtilthQff
,1995
)の生起の処 理 過 程は明 らか に で き なか っ た.
し か し,
類 似 性と記憶 項目 数の変化に伴 う課 題 要 求の変 化によっ て生じ た窄 閤 周 波 数へ の感度変 化が,
視 点依 存 性 を生起させ る課 題 要求の規 定 要因と な っ てい るとい う 示 唆 が, 本 研 究の結 果か ら得ら れ たと考 え ら れ る.
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