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Academic year: 2021

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(1)

理論化学

(2)
(3)

2

熱化学

thermochemistry

ものを燃やすと暑くなる、エタノール消毒をすると手がヒヤリとするといった化学変化により 出入りするエネルギーを考えていきます。熱というのはエネルギーの一種です。 下図をエネルギー図といい、上に行くほどエネルギーが高くなり熱的に不安定な状態になりま す。反応の前後で物質のエネルギーが異なれば、そのエネルギー差が熱として吸収・放出され ます。※エネルギーの単位は『J(ジュール)』を用います。( 1000 J = 1 kJ ) ↑のような反応式を熱化学方程式といい、この分野だけ特殊な書き方をします。 熱化学方程式はエネルギー図を式として表したものです。 化学反応式 Q. 水素と酸素が反応し水ができる化学反応式を書け。 熱化学方程式 Q. 水素の燃焼熱(286 kJ/mol)を示す熱化学方程式を書け。

E

3CO2 +4H2O(液)

E

C2H5OH(気) C2H5OH(液) 反応物が熱を放出 『発熱反応』 反応物が熱を吸収 『吸熱反応』 C2H5OH (液) = C2H5OH (気) ー 39 kJ 反応物 生成物 反応物 生成物 2219 kJ 39 kJ

2 H

2

+ O

2

→ 2 H

2

O

係数は簡単な整数で表す(1は省略) →や⇄で表す

H

2

+

1

2

O

2

= H

2

O(液) + 286 kJ

着目する物質の係数を1にする 常温・常圧で気体以外の物質はその状態を括弧内に書く 反応熱を一番右に書く発熱なら+吸熱ならー C3H8(気)+5O2 C3H8(気) + 5O2= 3CO2+ 4H2O(液) + 2219 kJ

(4)

3

@覚える ~熱シリーズ

燃焼熱 : 物質1 molが完全燃焼する時に放出する熱量 kJ/mol 発熱

生成熱 : 物質1molが成分元素の単体から生成する時の熱量 kJ/mol 発熱or吸熱 溶解熱 : 物質1molを水に溶かした時に出入りする熱量 kJ/mol 発熱or吸熱 中和熱 : 中和によって水1molが生成する時に放出する熱量 kJ/mol 発熱 融解熱・蒸発熱 : 物質1molが融解・蒸発するのに吸収する熱量 kJ/mol 吸熱 凝固熱・凝縮熱 : 物質1molが凝固・凝縮するのに放出する熱量 kJ/mol 発熱 ① 『燃焼熱』:物質1 molが完全燃焼する時に放出する熱量 kJ/mol 着目する物質は燃えるもの(反応物)です。酸素O2と反応させ、完全燃焼(二酸化炭素CO2や水 H2Oなどが生成)させたときの反応を示します。必ず発熱するので+になります。 <例> 炭素(黒鉛)の燃焼熱は394 kJ/mol ② 『生成熱』:物質1molが成分元素の単体から生成する時の熱量 kJ/mol 着目する物質はできたもの(生成物)です。成分元素の単体から(普通では起こらない反応だけ ど)生成したと仮定したときの反応を示します。発熱か吸熱かは物質によって違います。※ 二 重結合や三重結合をもつものは吸熱になることが多いです。 <例> エタノールC2H5OH(液)の生成熱は280 kJ/mol

C(黒鉛) + O

2

= CO

2

+ 394 kJ

E

C(黒鉛) O2 CO2 反応物 生成物 394 kJ 炭素はダイヤモンドも ありうるので(黒鉛)と表記 着目する物質が1molのときを考えているので/molはいらない

E

2C(黒鉛) 3H2 1 2O2 C2H5OH 反応物 生成物 280 kJ

2C(黒鉛)+3H

2

+

1

2

O

2

= C

2

H

5

OH(液) + 280 kJ

(5)

4

③ 『溶解熱』:物質1molを水に溶かした時に出入りする熱量 kJ/mol 着目する物質は溶かすもの(反応物)です。発熱か吸熱かは物質によって違います。 <例> 塩化ナトリウム(固)の溶解熱は-3.88 kJ/mol ④ 『中和熱』:中和によって水1molが生成する時に放出する熱量 kJ/mol 着目する物質は水です。H+とOHからH 2Oができるときの熱で発熱です。 <例> 希硫酸H2SO4aqと水酸化ナトリウム水溶液 NaOHaqの中和熱は56 kJ/mol ⑤状態変化の熱 固体⇄液体⇄気体において、熱を吸収するか放出するかは常識であるので値に+もーも書いて ありません。気>液>固でエネルギーが高くなることから考えて書きましょう。 <例> 水の蒸発熱は41 kJ/mol <例> 水の凝固熱は6 kJ/mol

NaCl(固)+ aq = NaClaq - 3.88 kJ

E

NaCl(固) aq NaClaq 反応物 生成物 3.88 kJ 大量の水(aqua)という意味

E

1 2H2SO4aq NaOHaq H2O(液) 12Na2SO4 aq 反応物 生成物 56 kJ 1 2

H

2

SO

4

aq + NaOHaq = H

2

O(液) +

1 2

Na

2

SO

4

aq+ 56 kJ

NaCl水溶液という意味

E

H2O(気) 41 kJ H2O(液) H2O(固) 6 kJ

H

2

O(液) = H

2

O(気) - 41 kJ

H

2

O(液) = H

2

O(固) + 6 kJ

(6)

(例題) 次の変化を熱化学方程式で表せ。 ただしH = 1.0, C = 12, O = 16とし、標準状態の気体は22.4 L/molとする。 (1) 水素H2(気)の燃焼熱は242 kJ/mol (2) アセチレンC2H2(気)燃焼熱は1300 kJ/mol (3) プロパンC3H8(気)の生成熱は106 kJ/mol (4) アセチレンC2H2(気)の生成熱はー227kJ/mol (5) 塩化水素HCl(気)の溶解熱は74.9 kJ/mol (6) 塩化アンモニウムNH4Cl(固)の溶解熱はー15 kJ/mol

(7)水H2O(固)の融解熱は6.0 kJ/mol (8)水H2O(気)の凝縮熱は41 kJ/mol

(9) メタンCH4(気) 2 molを完全燃焼させると1780 kJの熱が発生する。

(10) メタンCH4(気) 3.2gを完全燃焼すると178 kJの熱が発生する。

(11) 標準状態で5.60 LのエタンC2H6(気)を完全燃焼させると390 kJの熱が発生する。

(12) 6.0 gの固体の水が液体の水になるとき2.0 kJの熱が必要である。

(7)

6

ヘスの法則

Hess's law

自転車で急な坂道を登るとき、重いギアで漕ぐ回数を減らして走るのと、軽いギアでたくさん 漕ぐのではどっちが楽かというと、理論的にはどちらも同じです。これをエネルギー保存則と いいますが、これは熱化学にも似た法則があります。 「物質が変化するときに出入りする熱量(反応熱)は、はじめの状態と終わりの状態だ けで決まり、変化の過程(経路)には関係ない」これを『ヘスの法則』といいます。 例えばC(黒鉛)を燃焼したときに、完全燃焼して二酸化炭素CO2を生成するときの反応熱をQ kJ とおき、不完全燃焼で一酸化炭素COを生成し、さらにCOを完全燃焼させたときの反応熱をx kJ, y kJとおくと、ヘスの法則から『Q = x + y 』となります。 Qは熱量 (quantity of heat)の意味です。 (※①式はエネルギー図を説明するための表記で正しくはC(黒鉛) + 1 2O2 = CO + 111 kJ です) この法則から熱化学方程式は数式のように足し算や 引き算が可能となります。 ①+②をして途中にでてくるCOを消すと*式になります。

E

CO2(気) Q = 394 kJ C(黒鉛)+O2(気) C(黒鉛) + O2= CO2+ 394 kJ・・・* CO+𝟏 𝟐O2 x = 111 kJ y = 283 kJ ・・・C(黒鉛) & O2 のエネルギー ・・・CO & 1 2O2 のエネルギー ・・・CO2 のエネルギー C(黒鉛) + O2= CO + 𝟏𝟐O2+ 111 kJ ・・・① CO+ 𝟏 𝟐O2= CO2+ 283 kJ ・・・② C(黒鉛) + 1 2O2= CO + 111 kJ ・・・① CO+ 1 2O2= CO2+ 283 kJ ・・・② C(黒鉛) + O2= CO2+ 394 kJ・・・*

(8)

いろんな方法がありますが、基本①または②で解いていきましょう。 ①だと楽な問題や②じゃないと難しい問題もありますので、どちらもできるようにしましょう。 (例題) 次の熱化学方程式からエチレンC2H4の燃焼熱を答えよ。 ・エチレンの生成熱:-52 kJ/mol ⇒ 2C(黒鉛) + 2H2=C2H4ー 52 kJ ・・・① ・二酸化炭素の生成熱:394 kJ/mol ⇒ C(黒鉛) + O2=CO2+ 394 kJ ・・・② ・水の生成熱:286 kJ/mol ⇒ H2+12O2=H2O(液)+ 286 kJ・・・③ ① 熱化学方程式を使う方法 手順1:求められている熱化学方程式を書く。熱はわからないのでQ kJとおく。 C2H4+ 3O2=2CO2+ 2H2O+ Q kJ ・・・* 手順2:↑の熱化学方程式を作るために与えられた式を足すのか引くのかを考える。 C2H4について :①の右辺にあり、*の左辺にある。 ⇒『-1』×① O2について :②と③と*の計3回出てきている。 ⇒無視 CO2について :②の右辺にあり、*の右辺に係数2。 ⇒『2』×② H2Oについて :③の右辺にあり、*の右辺に係数2。 ⇒『2』×③ ※求められている式に無い化学式(CとH2)を消すように考えてもよい。 手順3:式の計算を行い、求められている熱化学方程式と一致させる。 (-1×①)+(2×②)+(2×③) ー2C ー 2H2= ーC2H4+ 52 kJ ・・・-1×① 2C + 2O2= 2CO2 + 394×2 kJ ・・・ 2×② 2H2+ 1O2= 2H2O + 286×2 kJ ・・・ 2×③

2O2 + 1O2= ーC2H4+ 52 kJ+ 2CO2+ 394×2 kJ +2H2O + 286×2 kJ ⇔ C2H4+ 3O2= 2CO2+ 2H2O + 1412 kJ ←*と同じ形 ∴ 1412 kJ/mol

✓反応熱計算を解くときのポイント

① 熱化学方程式を使う方法 与えられた式から求める式を作る 面倒 確実 ② エネルギー図を書く方法 エネルギー図を書いて求める ③ 公式化して使う方法 公式を覚えて使う 楽 ミスる

7

(9)

(例題) 次の熱化学方程式からエチレンC2H4の燃焼熱を答えよ。 ・エチレンの生成熱:-52 kJ/mol ⇒2C(黒鉛)+2H2=C2H4ー 52 kJ ・・・① ・二酸化炭素の生成熱:394 kJ/mol ⇒ C(黒鉛) + O2=CO2+ 394 kJ ・・・② ・水の生成熱:286 kJ/mol ⇒ H2+12O2=H2O(液)+ 286 kJ・・・③ ②エネルギー図を書く方法 手順1:求められている熱化学方程式を書く。熱はわからないのでQ kJとおく。 C2H4+3O2=2CO2+ 2H2O+ Q kJ ・・・* 手順2:以下の図に即してエネルギー図を書き、これに与えられた情報を当てはめ る。単体のエネルギーは0kJ(定義)で、プラス・マイナスは深く考えない。 エネルギー図よりQ+(-52)=2×394+2×286⇔Q=1412 ∴ 1412 kJ/mol この時、熱化学方程式の係数に気をつけないとミスをします。 例えば、二酸化炭素の生成熱はCO2を係数1としたときの熱量です。上図の場合は2CO2を 作っているので×2が必要。となります。 ③公式化して使う方法 (おすすめしない) ⓐ 生成熱+仲間はずれ(Q) のとき Q=(右辺の生成熱の和)−(左辺の生成熱の和) ⓑ 燃焼熱+仲間はずれ(Q) のとき Q=(左辺の燃焼熱の和)−(右辺の燃焼熱の和) ⓒ 結合エネルギー+仲間はずれ のとき 仲間はずれの熱化学方程式へ、結合エネルギーにマイナスをつけて代入

8

イオン(気) 原子(気) 単体 化合物+α 完全燃焼化合物(CO2&H2O) 水和イオン

E

@覚える

2C+3O2+2H2 C2H4+3O2 2CO2+2H2O Q kJ ×394 kJ + ×286 kJ ー52 kJ

0

バラバラ 結合

(10)

9

<練習> (1) 次の熱化学方程式から一酸化炭素COの生成熱を答えよ。 ・二酸化炭素の生成熱:394 kJ/mol ⇒ C(黒鉛) + O2= CO2+ 394 kJ・・・① ・一酸化炭素の燃焼熱:283 kJ/mol ⇒ CO +1 2O2= CO2+ 283 kJ・・・② (2) 次の熱化学方程式からメタンCH4の燃焼熱を答えよ。 ・二酸化炭素の生成熱:394 kJ/mol ⇒ C(黒鉛) + O2= CO2+ 394 kJ・・・① ・水(液)の生成熱:286 kJ/mol ⇒ H2+12O2= H2O(液) + 286 kJ・・・② ・メタンの生成熱:75 kJ/mol ⇒ C(黒鉛) + 2H2= CH4+ 75 kJ・・・③ メタンの燃焼熱をQ kJとおくとCH4+ 2O2= CO2+ 2H2O + Q kJとなる。

(11)

10

(3) 二酸化炭素CO2, 水H2O(液), メタノールCH3OH(液)の生成熱は394, 286, 239 kJ/mol である。これらからメタノールCH3OH(液)の燃焼熱を求めよ。

(4) 二酸化炭素CO2, 水H2O(液)の生成熱は394, 286 kJ/mol, エタノールC2H5OH(液)の燃焼熱は1368 kJ/molである。これらからエタノール(液)の生成熱を求めよ

(12)

11

@覚える ~エネルギーシリーズ

結合エネルギー

:

気体分子中の原子間結合1 molを切って原子(気)の状態にするのに 必要なエネルギー

イオン化エネルギー

:原子1 molから電子を取り去って陽イオン(気)に変えるために 必要なエネルギー

電 子 親 和 力

:

原子1 molが電子を受け取って陰イオン(気)に変化するときに 放出するエネルギー くっついているものをバラバラの粒子にするのに必要なエネルギーについて学んでいきます。 想像しにくいですが、バラバラにされた原子やイオンは他の粒子とくっついていないので気体 になっていると考えていきます。熱化学方程式を書けるようにするよりも、エネルギー図を書 けるようにしましょう。 ① 『結合エネルギー』:気体分子中の原子間結合1 molを切って原子(気)の状態にするのに 必要なエネルギー kJ/mol 分子は原子同士が共有結合でくっついていますが、その結合を切るのに必要なエネルギーのこ とを結合エネルギーといいます。必ず吸熱です。 <例> 水素の結合エネルギーは436 kJ/mol

H

2

(気) = 2H(気) ー 436 kJ

表. おもな結合エネルギー(kJ/mol) ~結合エネルギーの仲間~

E

H2(気) 2H(気) 気体分子 原子 436 kJ 解離エネルギー : 気体分子中の原子間結合1 molを全て切って原子(気)の状態にするのに必要な エネルギー(分子中の結合エネルギーの総和) 格子エネルギー : 結晶1 mol中の結合を切って構成粒子(気)の状態にするのに必要なエネルギー 結合 結合E 結合 結合E 結合 結合E

H-H Cl-Cl O=O N≡N 436 243 494 942 H-Cl C-H N-H O-H 432 413 390 463 C-C C=C C-Cl C=O 368 719 325 799

(13)

12

<練習>右表を用いて、次の問いに答えよ。ただし、有効数字は考えないものとする。 (1) O2(気)の結合を全て切って2O(気)にするのに 必要なエネルギーはいくらか。 (2) 水H2O(気)の結合を全て切って2H(気)+O(気)に するのに必要なエネルギーはいくらか (3) 二酸化炭素CO2(気)の結合を全て切ってC(気)+2O(気)にするのに必要なエネルギーはいくらか (4) メタンCH4(気)の結合を全て切ってC(気)+4H(気)にするのに必要なエネルギーはいくらか (5)プロパンC3H8(気)の結合を全て切って3C(気)+8H(気)にするのに必要なエネルギーはいくらか (6)メタンCH4(気)の燃焼熱Qを求めよ (7)プロパンC3H8(気)の燃焼熱Qを求めよ プロパンの構造式 H H H | | | H-C -C-CーH | | | H H H C, 4H, 4O CO2+2H2O CH4+2O2 3C, 8H, 10O 3CO2+4H2O C3H8+5O2

Q kJ

Q kJ

結合 結合E 結合 結合E O=O C-C C=O 494 368 798 C-H O-H 413463 結合エネルギー kJ/mol

(14)

②『イオン化エネルギー』:原子1 molから電子を取り去って陽イオン(気)に変えるために 必要なエネルギー kJ/mol 原子は陽子と同じ数の電子を持っていますが、その電子1個を取り去って1価の陽イオ ンにするのに要するエネルギーを(第1)イオン化エネルギーと言います。 原子にとって電子eーは大切なものなので、電子が取られたら不安定な状態になります。 <例> ナトリウムのイオン化エネルギーは496 kJ/mol

Na(気) = Na

+

(気)+e

ー 496 kJ

元素によって値が違い、周期表の右上ほど値が大きくなります。 最大は『ヘリウムHe 』です。 ③『電子親和力』:原子1 molが電子を受け取って陰イオン(気)に変化するときに放出する エネルギー kJ/mol 原子にとって電子eーは大切なものなので、電子を貰ったら安定な状態になります。 <例> 塩素の電子親和力は356 kJ/mol

Cl(気) + e

= Cl

(気) + 356 kJ

元素によって値が違い、周期表の右上ほど値が大きくなりますが イオン化エネルギーほど規則性はありません。 最大は塩素ですが覚えなくても良いです。 Li~Neで値が上昇している理由 (周期で比べる) 陽子数(+の電荷)が多いとeーが強く引きつけられる → イオン化エネルギー大

E

Na(気) Na+(気)+e- 気体分子 陽イオン 496 kJ 1 2 3 ~ 10 11 ~ 18 He Li Na Ne Ar 原子番号 =陽子数 イ オ ン 化 エ ネ ル ギ l

eー

K L M N

原子核 (陽子+中性子) 電子 He~Arで値が減少している理由 (族で比べる) 原子半径が大きいとeーを引きつける力が弱まる → イオン化エネルギー小

E

Cl-(気) Cl(気)+e- 陰イオン 原子 356 kJ

13

(15)

<練習> 1.原子から( a )1個を取り去り、1価の 陽イオンにするのに必要なエネルギーをその 原子の( b )といい、この値が( c )ほど 陽イオンになりにくい。 原子のこのエネルギーを原子番号順に示すと 上の図のようになり、周期的に変化すること がわかる。 元素A, 元素C, 元素Eを見ると右肩下がりに なっており(2)、元素B~元素C間を見ると右肩 上がり(3)のグラフとなっている。 折れ線グラフの最も高いところ(元素A,C, E) が( d )の原子群で,最も低いところ (元素B, D, E)が( e )の原子群である。 (1) 上の文の( )には適する語句を,図の□には適する元素記号を入れよ。 (a) (b) (c) (d) (e) A: B: C: D: E: F: (2) 下線部(2)のようになる理由を書け。 (3) 下線部(3)のようになる理由を書け。 2.水素原子のイオン化エネルギーは1312 kJ/mol、塩素原子の電子親和力は349 kJ/molとす る。次の反応熱Qを求めよ。 H(気)+Cl(気) = H++Cl(気) +Q kJ/mol

14

1

2 13 14 15 16 17 18

1

2

3

4

族 周期 H+(気)+Cl(気)+e H(気)+Cl(気)

kJ

H+(気)+Cl(気)

kJ

Q kJ

(16)

<チャレンジ問題> ~ボルン・ハーバーサイクル~ イオン結晶1 molを分解して、それを構成するイオンの気体にするのに必要なエネルギーを格子エ ネルギーという。しかし、格子エネルギーを直接測定することは困難なので、ヘスの法則を用いて 間接的に求められることが多い。NaCl(固)の場合、関連する熱化学方程式は表の通りである。 (1) (ア)~(ウ)に適合する符号を、+またはーで書け。 (2) (A), (B)に最も適合する反応熱の名称を書け。 (3) NaCl(固)の格子エネルギーをQ kJ/mol(Q>0)として、熱化学方程式を書け。 (4) Qの値を求めよ。 (早稲田) 熱化学方程式 反応熱の名称 Na(固)=Na(気)ー89 kJ Na(気)=Na+(気)+eー( ア ) 496kJ Cl2(気)=2Cl(気) (イ) 244kJ Cl(気)+eー=Clー(気) (ウ) 349kJ Na(固) +1 2Cl2(気)=NaCl(固)+413kJ ( 3 ) 昇華熱 ( A ) 結合エネルギー ( B ) 生成熱1 2 格子エネルギー

(17)

<チャレンジ問題> ~ヘスの法則の難問~

水H2O(液)および2-プロパノールC3H8O(液)の生成熱はそれぞれ286,320 kJであり、プロピレン C3H6(気)および炭素C(黒鉛)の燃焼熱はそれぞれ2060, 394 kJである。

以下のX, Y, Zに当てはまる熱量を答えよ。 (1)2-プロパノールC3H8O(液)の燃焼熱:X kJ/mol

(2)プロピレンC3H6(気)と水H2O(液)の反応熱:C3H6(気) + H2O(液) = C3H8O(液) + Y kJ (3)プロピレンC3H6(気)の生成熱: Z kJ/mol (広島大 改)

(18)

17

✓ 熱量計算 昔の人は”熱い”や”温度が高い”などの理由を、この熱量という得体の知れないものが移動とし ていると説明しました。実際には仕事(エネルギー)だったわけです。 物体によっては同じ熱量を加えても温度変化が違うものがあります。単位質量の物質の温度を 1 Kだけ上昇させるのに必要な熱量を、その物質の『比熱』といい単位ではJ/(g・K)と表します。 すなわち1 gを1°C上げるために必要なエネルギーで、水なら4.2 J/(g・K)です。 種々のパラメータは上に示した関係がありますが、覚えなくても単位が書いてあるので導くこ とが可能です。比熱はJ/(g・K)なのに対し、反応熱はkJ/molなので換算に注意。 発熱反応させたときの温度と時間の関係を右に示します。 B点で発熱反応が起きると、温度が上昇しC点まで緩やかに 温度が上がります。これは反応が一瞬で終わらないので、 じわじわと温度が上がっていくからです。 また、完全に断熱することができないので時間が過ぎると 冷めていきます。 瞬時に反応が終わり、反応途中で周りへ熱が逃げないと 仮定すると実際の温度変化はB-Aの温度になります。 なお、複数の反応が起きる場合の熱量は各の熱量の和になります。 例えば、9 g(0.5 mol)で-15°Cの氷を130°Cの水蒸気にする場合に 必要な熱量は、氷, 水, 水蒸気の比熱が1.9, 4.2, 2.1 J/(g・K)、 融解熱を6.0 kJ/mol、蒸発熱を40.7 kJ/molなので 15×1.9×10-3 + 0.5×6.0 + 100×4.2×10-3+ 0.5×40.7 + 30×2.1×10-3=50.8 kJとなります。 固体を溶解して中和反応させる場合は溶解熱と中和熱の和となります。

熱量 kJ = 反応熱Q kJ/mol × 物質量n mol

= 比熱c

J/(g・K) × 質量m g × 温度変化ΔT K × 10-3kJ/J 時間 温 度 ● ● ● ● B A C D E ←反応開始 ↑ 反応終了 -30°Cの氷 → 0°Cの氷 0°Cの氷→ 0°Cの水 0°Cの水→ 100°Cの水 100°Cの水→ 100°Cの水蒸気 100°Cの水蒸気→ 130°Cの水蒸気 時間 温 度 A B C D E A B C D E

(19)

18

<練習> 断熱容器を用いて次のような実験①、②を行った。 ここで,水と水溶液の密度はすべて1.0 g/cm3,水溶液の比熱はすべて4.2 J/(g・K) 、発生した 熱はすべて水溶液の温度上昇に使われるものとして以下の各問いに答えよ。 なお、NaOHの式量を40 とする。 実験① 純粋な水96 gに水酸化ナトリウム4.0 gを加え、断熱容器の 中でかきまぜて混合しながら溶液の温度を測定したところ、右図のよ うな結果が得られた。 この図で,点線(補助線)が混合時間0 分の縦線と交差する点の温 度が補正した溶液の温度の最高値である。 実験② 20°Cにて1.0 mol/Lの塩酸100 mL に水酸化ナトリウム4.0 gを 加え,断熱容器の中で実験①と同様に温度を測定し、作図によって 補正した溶液の温度の最高値を求めたところ,43°Cであった。 (1) 実験①の結果をもとに、水酸化ナトリウムが水へ溶解する時の溶解熱(kJ/mol)を有 効数字2 桁で記せ。 (2) 実験②の結果をもとに、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和熱(kJ/mol)を有効数 字2 桁で記せ。 (3) 実験②と同様の操作で,水酸化ナトリウムを8.0 g加えた場合、実験①と同様に作図に よって補正した溶液の温度の最高値は何°Cと予想できるか。これまでの解答で求めた数値を 用いて計算し、有効数字2 桁で記せ。

(20)

19

反応速度

chemical kinetics

身の回りにはいろいろな化学反応が起こっていますが、早い反応もあれば遅い反応もあります。 反応の速さというものは何で決まっていくのかを学んでいきます。 まず初めに、反応がどのように起きているかをミクロな視点から見ていきます。物質を構成す る粒子は熱運動をしており、あるとき他の反応物の粒子と衝突します。 そのとき元の結合が弱くなり、原子の組み替えのおこるエネルギーの高い状態になります。こ の状態を『活性化状態 (遷移状態)』といい、反応物質を活性化状態にするのに必要なエネル ギーを『活性化エネルギー Ea』といいます。そのエネルギーを乗り越えた複合体は、新しい 結合を作り分裂して生成物が生まれます。 反応の速さは以下の3つに起因しています。 ①温度T 温度を上げると熱運動が激しくなり、活性化エネルギー を超える粒子の割合が増えます。 なので高温になるほど活性化状態になる確率が高くなり 反応は早くなります。 10°C上がると反応速度は約2~3倍になると言われてます。

B

A A

B

B

A A

B

B

A A

B

活性化状態 (この複合体のことを活性錯体という)

E

a

E

E

a 反応物 A2+B2 生成物 2AB 反応経路 反応熱

@image

化学反応は粒子同士の衝突で起こる

(ことが多い) 促進するには・・・勢いよくぶつかるorたくさんぶつかるorハードルを低くする

(21)

20

②濃度 反応物の濃度を上げると両者が衝突する確率が高くなる ので反応は早くなります。 気体の場合は分圧が濃度と考えて大丈夫です。 なお固体の場合は塊状より粉末状の方が表面積が大きくなるので反応は早くなります。 ③触媒 反応前後で自らは変化しないが、反応の速さに影響を与える物質を『触媒』といい、具体的 にいうと活性化エネルギーを低くしたり高くしたりします。 活性化エネルギーを低くし、反応を早くする触媒を『正触媒』といい、 逆に活性化エネルギーを高くし、反応を遅くする触媒を『負触媒』もしくは阻害剤といいま す。(負触媒という言葉は最近死語となっています。) 例えば、過酸化水素水に正触媒である二酸化マンガンを加えると勢いよく酸素を発生し分解し ます(2H2O2→O2+2H2O)。この分解反応は放っておいても進むため、過酸化水素水を保存す るときには負触媒であるリン酸を加えておく必要があります。 二酸化マンガンのように固体表面で触媒作用を示すものを『不均一触媒』といい、リン酸や 他イオンのように反応物と均一に混ざり合う触媒を『均一触媒』といいます。 衝突回数 多 少

B

A A

B

B

A A

B

B

A A

B

E

反応物 A2+B2 生成物 2AB

E

a

E

a 反応経路

(22)

21

単位時間あたりの変化した濃度を『反応速度』といい、多くは1秒当たりのモル濃度変化を 扱います。 A+B→Cの化学変化があり、反応物Aの濃度[A] と時間tの関係を下に示します。 この時の接線の傾きが瞬間の反応速度となり ますが、グラフの関数が与えられないと求め られないので、実験では2点間の平均の速さ で表します。 前述したように、反応速度は濃度が濃くなると衝突回数が増えて増加します。 濃度と反応速度の関係はv=k[A]x[B]yとなります。 ①1秒間にAとBがどの向きに動いていても必ず1回衝突するとする。 ②Aの濃度を3倍にするとAとBは計3回衝突することになる。 ③さらにBの濃度を2倍にするとAとBは計6回衝突することになる。 以上をまとめると衝突する回数は[A]×[B]に比例することになります。 衝突回数と反応速度は比例するので、反応速度は『v=k[A][B]』と 表すことができ、これを速度式といいます。kは速度定数と呼ばれ、 値が大きいほど早い反応となります。速度定数kは温度Tと活性化エネ ルギーEaに依存し、反応がどれだけ早いのかを示す指標となります。

@覚える

反応速度 v :単位時間あたりの濃度変化 mol/(L・s) =

濃度変化量mol/L 時間変化量𝒔 >0

〔速度式〕v=k[A]

x

[B]

y

・=k×[反応物の平均濃度mol/L]

x

・・・(kは速度定数)

[A]

t

0

[A]

t

0

接線 の傾き

v

A

=|

d[𝐴] dt

|=-

d[𝐴] dt ×出せない Δt Δ[A]

v

A

=|

Δ[𝐴]Δt

|=-

Δ[𝐴]Δt 平均の速さ

_

○厳密な値は出ないが 大体の値が導出できる

B

A

B

A A A

B

A A A

B

(23)

22

問題では「反応物の減少量」or「生成物の増加量」を測定し、平均の速さと平均の濃度を導出 することで反応次数や速度定数の値を求めることとなります。 v=k[A]x[B]yのときのx+yの値を反応次数といい、次数に対し反応の種類を分類すると以下の4種 類になります。 一次反応:1つの粒子が何らかの影響で分解する反応 A→Bのときv=k[A] 例)放射性核種の壊変(放射性同位体を使った元素年代測定) 二次反応:2つの粒子が衝突することで起きる反応 A+B→Cのときv=k[A][B] 例)H2+I2→2HI, 2HI→H2+I2 2A→Bのときv=k[A]2

三次反応:3つの粒子が衝突することで起きる反応 A+2B→Cのときv=k[A][B]2など 零次反応:反応物の濃度に関係なく進む反応 A→Bのときv=k 外を歩いていて、電柱にぶつかることや人にぶつかることはありますが、同時に前後から他人 に挟まれることはめったにありません。化学物質も同じで四次反応以上の反応は確率的に起こ りえません。 上記の例を見ると、aA+bB→cCという反応があった時に、v=k[A]a[B]bと書きたくなりますが、 絶対にやってはいけません。多くの反応は上記に示した反応(素反応という)の複雑な組み合わせ によりできています。

例えば、4NH3+5O2→4NO+6H2Oの反応速度をv = k[NH3]4[O2]5なんて書いたら一度に9個の分 子が衝突して起こる反応になります。確率的に起こりえません。 では反応を知るにはどうするのか?実験を行うしかないのです。 多段階で起こるうち一番遅い反応(律速段階という)がその反応速度を決めることになるので、律 速段階での素反応が反応全体の速度式となります。(例外も多い) @Tips 反応次数と素反応と律速段階

[A]

t

0

t1 t2 [A]1

平均の速さv

A

=-

𝐴2− 𝐴1 t2−𝑡1 平均の速さ

_

[A]2

平均の濃度[A]=

𝐴1+ 𝐴2 2

_

t1~t2の間の

v

A

= k[A]

x

(24)

<練習> 1. 化学反応には反応の途中で(ア)とよばれるエネルギーの高い状態がある。反応物が (ア)になるのに必要なエネルギーを(イ)という。(イ)は反応の種類によって異なり、 大きいほど反応は(ウ)なる。 反応物の分子は加熱により熱運動は(エ)なる。反応物同士の一部が(ア)を通過できる エネルギーを与えると生成物が生じる。一般に反応速度は温度が10°C高くなるごとに (オ)倍になると言われている。 (1)(ア)~(オ)に当てはまる語句を記せ (ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) . (2) 下線部について、高温になるほど反応速度が大きい理由を右図に 高温時の運動エネルギー分布を記し、40字以内で説明せよ。 2. 右図は気体分子XY2が分子X2と分子Y2に分解する不可逆反応についてエネルギーの関係を 示したものである。下の各問いに答えよ。ただし逆反応は考えないものとする。 (1) 反応経路アは触媒を用いないときのものである。このとき の活性化エネルギーと反応熱をa~d の記号を用いて示せ。 (2) この系に触媒を加えると,反応経路イを通る。このとき の活性化エネルギーと反応熱をa~d の記号を用いて示せ。 (3) (2)の反応速度はどのようになるか。理由とともに説明せよ。 (4) この反応の反応速度は温度が 10 K 上昇するごとに 2 倍になるとすると温度を30 K 上 昇させたときの反応速度は何倍になるか。 (5) まわりを断熱性のシートで完全に包んだ反応容器の中で反応を開始すると、反応速度 はどのようになると考えられるか。理由とともに述べよ。

0

運動エネルギー 分 子 数 の 割 合 低温時

23

(25)

3. 物質Aと物質Bから物質Cが生成する化学反応において、ある温度でAとBの初期濃度を変

えて、反応初期のCの生成速度を求める実験1,2,3を行った。

Cの生成速度vは、A, Bのモル濃度を[A], [B]とし、反応速度定数をkとするとv=k[A]x[B]yと表 すことができる。

(1) 実験1,2,3の結果をもとに、x, yにあてはまる適切な値を求めよ。 (2) 反応速度定数を有効数字2桁で求め、単位とともに記せ。

(3) Aの初期濃度を0.20 mol/L、Bの初期濃度を0.50 mol/Lとしたとき、反応初期のCの生成 速度を有効数字2桁で答えよ。 4. 0.25 mol/Lの過酸化水素水溶液10 mLを分解し(2H2O2→2H2O+O2)、発生した酸素を水上 置換によって捕集する実験を行った。反応速度を一定に保ち、捕集した酸素の体積を20秒 ごとに測定した。酸素の水への溶解と過酸化水素水溶液の体積変化は無視する。 (1) 反応開始40秒までに反応した過酸化水素の物質量と発生した酸素の物質量をそれぞれ 有効数字2桁で求めよ。 (2) 表に当てはまる平均の過酸化水素濃度[H2O2]、平均の分解速度v、v/[H2O2]完成させよ (3) 反応開始後t秒での分解速度v mol/(L・s)と過酸化水素濃度[H2O2]の関係を反応速度定数k を用いて数式で表し、速度定数kを単位とともに有効数字2桁で求めよ。 (4) t = 80 sにおけるH2O2の分解速度とO2の生成速度をそれぞれ求めよ。

24

Aの初期濃度 mol/L Bの初期濃度 mol/L Cの生成速度 mol/(L・s) 実験1 実験2 実験3 0.30 0.30 0.60 1.00 0.50 0.50 1.8 x 10-2 9.0 x 10-3 3.6 x 10-2

時間 s [H2O2] mol/L 時間間隔 s [H2O2] mol/L v mol/(L・s) v/[H2O2] 0 20 40 60 80 0.250 0.150 0.090 0.0540 0.0324 0~20 20~40 40~60 60~80

(26)

25

その昔、反応速度を決める速度定数kは絶対温度の関数であることはわかっていたが、どんな 関数であるかははっきりとわかっていませんでした。 等間隔の目盛りでk vs Tのグラフで書いても、すぐ発散してしまいグラフの意味がありません。 kの対数をとってもまだ発散してしまう。 アレニウスは、横軸に絶対温度の逆数1/Tを、縦軸にlogek を取ると、さまざまな温度での速 度定数が直線に載ることを示しました。これがアレニウス・プロットです。 このプロットの傾きをb、切片をaとすると、logek=-b 1T+a ⇔ k = e −b T+a⇔k = ea ×e−bT eaをAとおくと、k=Ae− b Tとなる。bは反応に固有の値です。 指数の中は無次元であるべきなので、Tとbは同じ単位である。なので、bは”活性化温度”とい うべきであるが、そう言われてもピンときません。 そこで、b=Ea R とし、 k=Ae −Ea RTとおき、Eaを活性化エネルギーと呼ぶことにしました。 k=Ae−Ea RT この式をアレニウスの式といいます。 e−RTはエネルギー的な面で活性錯体に至ることができる確率と解釈すればよいでしょう。Ea Ea=0なら山がなければ、その確率はe-0=1であり、T=0なら粒子は熱運動できないのでその 確率はe-∞=0となります。 なお、圧力×体積はN/m2×m3=N×m=Jであり、PVが表す次元はエネルギーとなります。 そうするとnRTもエネルギーであるので、気体定数Rは1 molの粒子が1 K上げるために必要な エネルギーということができます。ようするに気体定数Rは比熱の一種ということができます。 Ea RTは「活性錯体1 molのエネルギー」/「絶対温度Tにおける粒子のエネルギー」と言えます。 T k T logek 1/T logek logk=-b 1 T+a

@Tips ~アレニウス・プロット~

?? ‥? !!!

(27)

<チャレンジ問題> ~素反応と律速段階~ 次の反応Aについて考える。

NO2+CO → NO+CO2 ・・・A

反応Aは400Kでは次の2段階の素反応B、Cによって進むことが知られている。 NO2+NO2→ NO3+NO ・・・B NO3+CO → NO2+CO2 ・・・C 400Kにおいて、反応Aの反応速度をCOとNO2の 濃度を変化させて測定したところ、右のような 結果が得られた。この表の濃度および反応速度 は実験番号1を基準にした倍率で表している。 反応Aの律速段階はBとCのどちらの反応と考えられるかB、Cの記号で答えよ。またその判断の根拠 を反応Aの反応速度式を速度定数kを用いて記し、簡潔に述べよ。 <チャレンジ問題> ~アレニウスの式~ アレニウスは化学反応の反応速度定数kが温度の関数として示されることを発見した。 log10k= −2.3RTEa +log10A Rは気体定数、Tは絶対温度、Eaは活性化エネルギーであり、Aは頻度因子とよばれる定数である。 ある反応を300Kから400Kに上げて反応速度を測定したところ反応速度定数は1000倍に増加した① さらにある触媒を用いてこの反応を行ったところ、反応速度定数は(ア)した。このとき、活性化 エネルギーは触媒のないときの半分になり、頻度因子は増大することが分かった (1)(ア)に当てはまる語句を記せ。 (2) 下線①のとき、この反応の活性化エネルギーを有効数字2桁で求め、単位とともに記せ。 ただし、R = 8.3 x 103J/(mol・K)とする。 (3) 下線②の反応について触媒を用いない 場合とともに、横軸を1/T、縦軸をlog10k としたグラフを作成した。 このグラフの概形としてももっとも適切 なものを選べ。 (名古屋大) 実験番号 CO濃度 NO2濃度 反応速度 No.1 No.2 No.3 No.4 1 2 2 4 1 2 4 2 1 4 16 4

26

1/T logk 触媒あり 触媒なし 1/T logk 触媒なし 触媒あり 1/T logk 触媒あり 触媒なし 1/T logk 触媒なし 触媒あり 1/T logk 触媒あり 触媒なし 1/T logk 触媒なし 触媒あり 1/T logk 触媒あり 触媒なし 1/T logk 触媒なし 触媒あり

(28)

27

化学平衡

chemical equilibrium

化学反応には一方通行で反応したら元に戻ってこれない反応である『不可逆反応→』とどちら にも行き来できる『可逆反応⇄』の2つに分類できます。 物を燃やせば物がなくなるまで燃えるけれど、閉まったペットボトルの水は水がなくなるまで 蒸発せず、途中で蒸発が止まります。この後者の現象について学習していきます。 可逆反応は、反応物がなくならなくても正反応と逆反応の速さが釣り合うと終点を迎えます。 この状態を『平衡状態』といいます。このとき両反応は起こっていますが、反応速度が釣り 合っているので、見かけ上反応が止まったように見えます。 なお見かけの反応速度はv正ーv逆となり、この値が0になると平衡状態になります。 エネルギーの面から考えると平衡状態の ときが最も熱力学的に安定な状態です。 2A⇄BのときAが100%の状態が始めても Bが100%の状態から始めても、 行き着く先は同じであり、最も安定な 平衡状態に達します。 途中のどこかから出発しても同じ組成 となるのがポイントです。 HCl → H+ + ClCH 3COOH ⇄ H++ CH3COO- 前 100個 前 100個 後 0個 100個 100個 後 99個 1個 1個

v

t

0

v正=k

1

[A]

x

[B]

y

v

=k

2

[C]

z v正=v逆≠0 平衡状態 見かけ上 反応停止状態 (濃度が変化しない)

a[A]+b[B] ⇄ c[C]

v

v

逆 100% 0 % 100%0 % 平 衡 点 左辺の濃度 右辺の濃度 エ全 ネ体 ルの ギ | B A A B A 不安定 不安定 安定 平衡状態 B A A A

(29)

28

すべての分子はエネルギーを持っており、そのエネルギーを減らすために化学反応をします。温度 一定でaA + bB ⇄ cC + dDの可逆反応があるとき(平衡反応なんて言葉は無い)、 K = CcDd AaBb が必ず成り立ち、一定の値をとります。このKを平衡定数といい、速度式と異なり、 化学反応と係数で定めることができます。 平衡定数Kは温度のみに依存し、高温だと大きい値を取りますが、詳しく大学受験で訊かれること は滅多にありませんので、つまるところ化学反応は濃度で議論できる。ということです。 溶質:モル濃度を用いる。(濃度平衡定数Kc) 気体:分圧を用いる。 (圧平衡定数Kp) 溶媒:[H2O]=1とする。 固体:[固体]=1とする。 ✓平衡定数の導き方? ~ H2+I2⇄2HI の反応がほとんど~ 速度式から平衡定数を導くことがよく出題されます。ただし、速度式の濃度項の次数が 化学反応式の係数と一致するときだけ(正反応も逆反応も素反応)のときだけ証明できます。 あくまでも、特殊なケースのときのみであり、大体の問題がH2+I2⇄2HIの反応です。

H2+I2⇄2HIの反応では右方向の反応速度v1=k1[H2][I2]、左方向の反応速度v2=k2[HI]2と表すことが できる。平衡状態ではv1=v2なので、k1[H2][I2]=k2[HI]2 ∴ K = 𝒌𝒌𝟏 𝟐 𝑯𝑰𝟐 𝑯𝟐 𝑰𝟐 となる。

@覚える

aA + bB ⇄ cC + dDのとき

平衡定数 K=

𝑪

𝒄

𝑫

𝒅

𝑨

𝒂

𝑩

𝒃 (Kは温度のみに依存する関数) @Tips 平衡定数を書くときのルール PV=nRTより[A]=n/V=PA/RTと変形でき それぞれを代入するとKc=Kp(RT)a+b-c-d と相互変換することができます。 他の溶質と比べると多量に存在するので 濃度変化量が無視できます。 細かいことは大学で勉強しましょう。

(30)

<練習> 1. 密閉した容器にN2O4を入れて温度を一定に保ったとき、図1に示すように時間ととも にN2O4は減少し、NO2は増加する。時間te以後は、各濃度は変化していない。この状 態を(ア)という。この反応はN2O4⇄ 2NO2 で表すことができる。反応式における右 向きの反応を(イ)といい、左向きの反応を(ウ)と呼ぶ。式(1)は(イ)も(ウ)も ある反応なので(エ)である。 (1) (ア)~(エ)に当てはまる適切な語句を記せ。 (ア) (イ) (ウ) (エ) . (2) 図2はこの反応の速さの時間変化である。右向きの反応の速さをv1、左向きの反応の 速さをv2とし、A、B、Cをv1、v2を用いて記せ。 (3) 時間te以降のv1とv2の関係を表せ。 2. 次の反応の平衡定数を表す式を記せ。なお(水)は水溶液中の溶質を表す。

(1) H2(気)+I2(気) ⇄2HI(気) (2)2NO2(気) ⇄N2O4(気) (3)N2(気) +3H2(気) ⇄2NH3(気)

(4) CO2(気)+C(固)⇄2CO(気) (5) H2O(液)⇄H++OH- (6) H2O(液)⇄H2O(気

(7) CO2(気)⇄CO2(水) (8) AgCl(固)⇄Ag++Cl- (9)NH3(気)+H2O(液)⇄NH4++OH-

(10)CH3COO-(水)+H2O(液)⇄CH3COOH(水)+OH-

29

0

時間 t 濃 度 NO2 N2O4 te

0

時間 t 反 応 の 速 さ A te C B 図1 図2

(31)

30

2. ある一定の反応容器に2.0 molの水素と1.5 molのヨウ素を入れ、一定温度に保つと、次

の反応が平衡状態に達した。このとき、ヨウ化水素が2.0 mol生成していた。H2+I2⇄ 2HI √2=1.4, √3=1.7, √5=2.2 とする。 (1) この反応の平衡定数を求めよ。 (2) 別の同じ容積の容器に水素1.0 molとヨウ素1.0 molを入れて、同じ温度に保つと、平衡 に達した。このとき生成しているヨウ化水素は何molか (3) (2)の平衡混合物にさらに水素1.0 molを加えて放置した。平衡に達したとき、ヨウ化水 素は何mol存在しているか。有効数字2桁で記せ。

(32)

31

例えばA⇄Bという可逆反応が平衡状態にあるとします。ここにAを加えてAの濃度を増やすと、右向 きの速度が増加し、平衡状態が崩れます。反応が右に進む(平衡移動)といずれ新たな平衡状態にな ります。 条件を変化させたときのK’の値が平衡定数Kの値になるように反応が進行します。 ✓ K’>Kなら、生成物が過多となっているので減らす方向(左←)に進行 ✓ K’<Kなら、反応物が過多となっているので減らす方向(右→)に進行 これを簡単な言葉にすると、濃度が増えたら減らす方向へ移動 → 変化の影響を和らげる向きに進む ということになります。これをフランスの学者の名前を借りて『ルシャトリエの原理』といいます。 濃度以外にも、圧力や温度変化でも平衡は移動します。以下の表にまとめます。

@image

ルシャトリエの原理

可逆反応が平衡状態にあるとき、外から条件を変化させると変化の影響を和らげ

る向きに反応が進む。

A B 平衡状態 K=[B] [A]= 1 2 A A B A 非平衡状態

K’

=[B] [A]= 1 8

≠K

A A A A A A B A (New)平衡状態 K=[B] [A]= 3 6= 1 2 A A A A B B A A の濃度 を増加 A⇄B 平衡が 右に移動 ✓ 濃度(成分濃度) ✓ 圧力(全圧) ✓ 温度 ✓ 触媒 高くする 低くする 高くする 低くする 高くする 低くする 加える その濃度が減少する方向へ その濃度が増加する方向へ 気体分子の総数が減少する方向へ 気体分子の総数が増加する方向へ 吸熱反応の方向へ 発熱反応の方向へ 平衡は移動しない (※平衡に至るまでの時間は短くなる)

(33)

32

2NO2(気) ⇄ N2O4(気)+57.5kJ K= NNO2O42 を例にして考えましょう。 (1) 濃度(分圧)を上げる 平衡状態から外部からN2O4を加えて濃度を2倍にします。その時 K’=2 NNO2O24=2Kとなり、N2O4が 過多ということになります。K’がKになるためには、N2O4が減る方向である左←に平衡が移動しないと いけません。 (2) 圧力(全圧)を上げる or 全農度を上げる 全圧が上がるということはそれぞれの濃度が増加 するということです。 平衡状態から外部から圧縮して圧力2倍にします。 するとそれぞれの濃度が2倍になります。 K’=2 N2O4 4 NO2= 1 2Kとなり、 NOが過多ということになります。K’がKになるためには、NOが減る方向で ある右→に平衡が移動しないといけません。 これをまとめると、化学反応式に書かれている気体の数の総量を左辺と右辺を比べ、粒子数が減る方 向に移動するということになります。固体は数えません。 (3) 温度を上げる 温度が変わるとKの値が変わり、新しい温度での平衡定数Kに近づこうとします。が、詳しい原理は難 しいです。簡単に温度が加わるとエネルギーが与えられる →吸熱方向に進むという風に覚えてしまえばいいんじゃない かなと思います。 (4) 触媒を加える 活性化エネルギーEaを減らすのが触媒でしたが、 右に進む反応の山が小さくなれば左に進む反応の 山も小さくなるので、平衡の移動は起こらないと 覚えてしまえばいいんじゃないかと思います。 これも原理は少し難しいです。(アレニウスの式を使います) 圧力2倍 2NO2(気) ⇄ N2O4(気)+57.5kJ 熱を加えると 左に進む

E

反応物 生成物

E

a @Tips ~ルシャトリエの原理の簡単な考察~

(34)

<練習>

1. 次の平衡状態に括弧内の条件変化を与えると平湖はどちらに移動するor移動しないか。 (1) NH3+H2O⇄NH4++OH- (NaOHを加える)

(2) 2SO2+O2⇄2SO3 (加圧する) (3) H2+I2⇄2HI (減圧する) (4) N2+3H2⇄2NH3+92kJ (加熱する) (5) 3O2⇄2O3-285kJ (冷却する) (6) N2+3H2⇄2NH3 (触媒を加える) (7) C(固)+H2O(気)⇄CO+H2 (加圧する) (8) N2+3H2⇄2NH3 (容器の体積を小さくする) (9) N2+3H2⇄2NH3 (温度・体積一定でアルゴンを加える) (10) N2+3H2⇄2NH3 (温度・全圧一定でアルゴンを加える) (11) CH3COOH⇄CH3COO-+H+(水を加える) (12) ZnS(固)-⇄ Zn2++S2- (pHを下げる) 2. 次の可逆反応について、生成物の生成量と温度・圧力の関係を正しく表したグラフを 下から記号で選べ。ただしT1<T2とする。 (1) N2(気)+O2(気)=2NO(気)-181 kJ (2) N2(気)+3H2(気)=2NH3(気)+92 kJ (3) C(固)+CO2(気)=2CO(気)-172 kJ

33

全圧 生 成 量 T1 T2 全圧 生 成 量 T2 T1 全圧 生 成 量 T1 T2 全圧 生 成 量 T2 T1 全圧 生 成 量 T1 T2 全圧 生 成 量 T2 T1 全圧 生 成 量 T1 T2 全圧 生 成 量 T2 T1 (ア) (イ) (ウ) (エ) (ク) (キ) (カ) (オ)

(35)

34

3. 図は、水素と窒素を3:1 の物質量比で混合して平衡に達したとき (3H2+N2⇄2NH3)の、各温度における気体中に含まれるアンモニアの 物質量百分率を表している。曲線⒝は触媒を加えて圧力を3.0 × 107Pa に保った場合の結果である。次の問いに答えよ。 (1) アンモニアが生成する反応は発熱反応か,吸熱反応か。 「発熱」「吸熱」「判断できない」のいずれかで答えよ。 (2) 工業的なアンモニア合成の反応温度は500 °C付近である。 図からわかるように低温で アンモニアの物質量百分率がより高くなる にもかかわらず500°C付近で反応させるのはなぜか。理由を簡潔に記せ。 (3) 触媒を加えて圧力を6.0 × 107Paに保った場合の平衡におけるアンモニアの物質量百分 率の温度変化は,図の曲線⒜,⒝,⒞のうちいずれか,記号で記せ。 (4) 触媒を加えず圧力を3.0 × 107Paに保った場合の平衡におけるアンモニアの物質量百分 率の温度変化は,図の曲線⒜,⒝,⒞のうちいずれか,記号で記せ。 (5) 右のグラフは触媒を加えず圧力3.0x107Pa、500°Cで 保った場合の時間とアンモニア生成量の関係を示している。 圧力一定で以下の条件にしたときのグラフをそれぞれ記せ (a) 300°C (b) 700°C (c) 500°C(触媒あり) 4. 常温ではNO2はこの2分子が結合したN2O4と次式で示すような平衡状態にある。 2NO2(赤褐色)⇄N2O4(無色) この混合溶液を用いて次の実験を行った。 実験①混合気体を2本の試験管に入れ、図1のように連結した。 この試験管をそれぞれ氷水および熱湯に浸して色の変化を観察 したところ、高温側の色が濃くなった。 実験②:図2のように混合気体を注射器に入れ筒の先をゴム栓で 押さえ、注射器を強く圧縮し矢印の方向から気体の色を観察した。 (1) 実験①よりN2O4の生成反応は発熱反応・吸熱反応のどちらか。 (2) 実験②で注射器を圧縮すると混合気体の色はどのように変化するか。 正しい記述を次の(ア)~(エ)から選べ。 ア:圧縮した直後に赤褐色が濃くなる イ:圧縮した直後に赤褐色が薄くなる ウ:圧縮した直後は赤褐色が濃くなり、その後赤褐色は薄くなる エ:圧縮した直後は赤褐色が薄くなり、その後赤褐色は濃くなる 図1 図2 時間 NH3 生 成 量

(36)

35

✓近似の考え方 例題 (100+1)×(1-0.01)×(0.01+0.0001)を計算せよ ✓数学的な答え:101×0.99×0.0101 = 1.009899 ←圧倒的に面倒くさい ✓化学での答え:100+1≒100、1-0.01≒1、0.01+0.0001≒0.01と近似できる ∴100×1×0.01=1 化学では測定値を扱うため、意味のない数字を足したり引いたりすることは避けようとします。 でも100+1で無視した1は1-0.01では無視されないし、1-0.01で無視した0.01は0.01-0.0001では 無視できません。 近似とはx+yのような和or差の計算で相対的に小さいものを無視するということです。積や商 には使えません。 具体的には1%以下の数値を足し引きするとき、無視しても構いません。 ✓ 酢酸のpH問題→3種類 よくでる酢酸のpHは大体の値を知っておこう。 酢酸のみ→pH=3 酢酸と酢酸イオンが混在(緩衝溶液)→pH=5 酢酸イオンのみ(中和点)→pH=9 NaOHaq 滴定量 mL pH 9 5 3 NaOHaq 滴定量 mL 各イオン の物質量 nmax 0 CH3COOH CH3COOー OHー

(37)

✓ 滴定量 v = 0 → 酢酸のみのpH CH3COOH ⇄ H++ CH3COOー Ka= H +[CH 3COOー] [CH3COOH] = c 2α2 c(1−α)( α<<1より1-α≒1) 前 c 0 0 後 c(1-α) cα cα ≒cα2 α= Ka 𝑐 より、[H +] = cα = cK a ✓ 滴定量 0< v< 中和点 →酢酸と酢酸イオンが混在→緩衝液のpH NaOHを加えた分だけCH3COOーができて、CH3COOHは減る。

Ka= H +[CH 3COOー] [CH3COOH] ⇔[H +] = K a[CH[CH3COOH] 3COOー] ※もし10 mL加えたところで中和点となる溶液を使う場合。

NaOHaqを5 mL加えた時、[CH3COOH]:[CH3COOー]=1:1となるのでKa=[H+]となる。 2.5 mL加えたとき[CH3COOH]:[CH3COOー]=3:1となるのでKa=[H+]/3となる。 CH3COONa → Na++ CH3COOー ( Cs) Cs Cs多 CH3COOH ⇄ H+ + CH3COOー ( Ca) 微 微 ✓ 滴定量 v = 中和点 → 酢酸イオンのみのpH

CH3COOーだけになると水の電離(H2O⇄H++OHー)が無視できなくなる。 CH3COOー+ H2O ⇄ OHー+ CH3COOH Kh= OH ー[CH 3COOH] [CH3COOー] = c 2α2 c(1−α)≒cα2 前 c 0 0 後 c(1-α) cα cα また、 Kh= CH3COOH [OH −] [CH3COOー] ×[H+] [H+]=KKw a となるので、①に代入すると [H+] = Kw cKh = Kw cKw Ka = KaKw 𝑐 Kw ○ × ○ △ △ Cs, Caは電離前の塩と酸の濃度とすると [CH3COOー]=Cs+微≒Cs [CH3COOH]=Ca-微≒Ca となる。 ✓少し酸を加えると・・ H+ + CH 3COOー→ CH3COOH ✓少し塩基を加えると・・

CH3COOH +OH- ⇄ H2O + CH3COOー どちらを加えても増える[CH3COOH],[CH3COOー] の変化は小さいため[H+]の値は変わらない ⇔ α= Kℎ 𝑐 より、[OH ー] = cα = c𝐾ℎ ⇔Kw= [H+][OH-]より、[H+] =Kw cKh ―① <緩衝液について> →だいたいpH=3になる →だいたいpH=5になる ※ ここのcは酢酸イオンの濃度を入れることに注意 →だいたいpH=9になる

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(38)

<練習>25°Cで酢酸の電離定数Ka= 2.8 x 10-5mol/L、水のイオン積Kw = 1.0x10-14(mol/L)2 √2=1.4, √3=1.7, √5=2.2 √7=2.6, log102=0.30, log103=0.47, log105=0.70, log107=0.85 .1. 弱酸である酢酸は水溶液中で一部が電離し、次式のような電離平衡が成立する。 CH3COOH ⇄ CH3COO-+H+ (1) 0.010 mol/Lの酢酸の電離度αを求めよ。ただし電離度は1より十分に小さいとする。 (2) 0.010 mol/Lの酢酸のpHを小数点以下第一位まで求めよ。 2. 酢酸ナトリウムCH3COONaの水溶液では電離によって生じた酢酸イオンの一部が次の ように加水分解して弱塩基性を示す。CH3COO-+H2O ⇄ CH3COOH+OH- 0.010 mol/Lの酢酸ナトリウムのpHを求めよ。

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(39)

3. 酢酸は水中でわずかに電離し、次のような電離平衡が成立する ・・・①式 酢酸ナトリウムは水中でほとんど完全に電離している。 ・・・②式 酢酸の水溶液に酢酸ナトリウムの結晶を加えると共通イオン効果により①式の平衡が (ア)へ移動し、水溶液のpHは酢酸のだけのときよりも(イ)くなる。 いまこの混合水溶液に少量の強酸を加えると、加えたH+が多量にある(ウ)と結合するた め、①式の平衡は(エ)へ移動し、混合水溶液中の[H+]はほとんど変化しない。 また、少量の強塩基を加えると、加えたOH-が水溶液中のH+と(オ)反応し、混合水溶液 中のH+が減少するので①式の平衡が(カ)へ移動し、混合水溶液中の[H+]はほとんど変化 しない。このような水溶液を(キ)という。 (1)(ア)~(キ)に当てはまる語句や化学式、上記の□に当てはまるイオン反応式を記せ。 (ア) (イ) (ウ) (エ) . (オ) (カ) (キ) . (2) 0.30 mol/Lの酢酸水溶液10 mLに0.20 mol/Lの酢酸ナトリウム水溶液10 mLを加えた。 この混合水溶液の水素イオン濃度を小数点第1位まで求めよ。 (3) 0.40 mol/Lの酢酸水溶液30 mLに0.40 mol/Lの酢酸ナトリウム水溶液10 mLを加えた。 この混合水溶液の水素イオン濃度を小数点第1位まで求めよ。 (4) (2)に0.10 mol/Lの塩酸5.0 mL加えた時の水素イオン濃度を小数点第1位まで求めよ。

38

(40)

√2=1.4, √3=1.7, √5=2.2 √7=2.6, log102=0.30, log103=0.47, log105=0.70, log107=0.85 4. 右図は0.10 mol/L酢酸水溶液10 mL に0.10 mol/L水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、 pHを測定した結果である。全て小数点第二位まで答えよ。 ただし酢酸の電離定数Ka= 2.8 x 10-5mol/L、水のイオン積Kw = 1.0x10-14(mol/L)2とする。 (1) 点A(0.10 mol/L酢酸水溶液)のpHを答えよ。ただしこのとき の酢酸の電離度は1に比べて非常に小さいものとする。 (2) 点B のpHを答えよ。 (3) 点C のpHを答えよ。 (4) 点DのpHを答えよ。

39

(41)

40

5. 2価の弱酸である硫化水素は水溶液中で次のように二段階電離する。このとき、第二電 離定数Ka2は第一電離定数Ka1と比べ遥かに小さいので、第2段階目の電離は無視することが できる。ある量の硫化水素が溶けて溶解平衡および電離平衡に達し、[H2S] = 0.10 mol/Lと なった硫化水素水についてpHと[S2-]を求めよ。 第1段階 H2S ⇄ H++HSー Ka1= H +[HS] [H2S] =1.0 x10-7mol/L 第2段階 HS-⇄ H++S2ー K a2= H +[S2ー] [HSー] =1.2 x10-14mol/L

(42)

41

<チャレンジ問題> ~なぜ酸を薄めてもpH=7を超えない?~ 塩酸や硝酸のような1価の(ア)酸の場合、0.1 mol/L以下のような濃度の水溶液では、そ の酸は完全に(イ)していると見なすことができる。この場合、塩酸の濃度をA mol/Lとす るとき、その水溶液のpHは通常は pH = ーlogA …(i) の式で求めることができる。しかし、塩酸をだんだんと薄めていき、例えば10ー8mol/Lに なったとき(1)式からはpH=8となるが、実際のpHは6.98程度であり、どのように希薄して も7より大きくなることはない。 このように酸の濃度が低くなると、(1)式から得られるpHと実際のpHが異なる理由とし て、(ウ)の電離による水素イオンも無視できないことがあげられる。(ウ)の電離に よって生じる水素イオン濃度をB mol/Lとすると、希薄な塩酸中の全水素イオン濃度は (エ)mol/Lとなる。 一方、そのときの(オ)イオン濃度はB mol/Lである。A, Bいずれも正の数値であるので、 どんな希薄な塩酸中でも、[H+] >(カ)となり、pHが7を超えないことを説明できる。こ のような希薄な塩酸のpHを求めたいときには水の(キ)積についての関係式 (ク)=(ケ)(mol/L)2…(ii) を用いてBの値を求め、(i)式の代わりに、 pH = -log10(𝐴2{1+ 1 + (2 × 10−7/𝐴)2} ) …(iii) の式にAの値を代入すればよい (1) 文中の(ア)~(ケ)に最も適した語句、記号あるいは数値を記せ。 (2) (iii)式が得られる過程を示せ。 (富山大)

(43)

42

<チャレンジ問題> ~電離平衡の正確な取扱い~ 0.10 mol/Lの塩化アンモニウム水溶液の25°CにおけるpHの値は以下のような考察によって 求めることができる。アンモニウムイオンと水との反応(ア)の25°Cにおける平衡定数Kの値 は近似的に式①で与えられる。ただし、[H+]はH 3O+のモル濃度を表す。 K = NH3[H+] [NH4+] = 5.0 x 10 -10mol/L ・・・式② 溶液中では式②の電気的中性条件が成り立つ。 [H+]+[NH 4+]=[OH-]+[Cl-] ・・・式② さらに式③が成り立つ(イ) [NH3]+[NH4+]=[Cl-]=0.10 mol/L ・・・式③ [H+]の値を求めるために式①、②、③から[NH 3], [NH4+], [Cl-]を消去すると式④が得られる。 [H+]2+5.0 x 10-10×[H+] – 5.0 x 10-11– 5.0 x 10-10×[OH]-[H+][OH]= 0 ・・・式④ 式④の各項の単位は(mol/L)2である。式④の左辺の第5項は第3項に比べて無視できる (ウ) さらにこの水溶液は(a)なので、式④の左辺の第4項も第3項に比べて無視できる。したがっ て次のような近似式が得られる。 式⑤より、pHの値を計算することができる(エ) [H+]2+5.0 x 10-10×[H+] – 5.0 x 10-11= 0 ・・・式⑤ (1) アンモニウムイオンと水の反応(下線部(ア))の反応式を記せ。 (2) 下線部(イ)の理由を記せ (3) 下線部(ウ)の理由を記せ (4) (a)に入る語句を次の中から選び、その記号を記せ。①酸性 ②中性 ③塩基性 (5) 下線部(エ)の計算を行いpHの値を小数点以下第1位まで記せ。log102=0.30 (6) この塩化アンモニウムの水溶液にアンモニアを吸収させてpH 7.0とした。得られた水 溶液の体積を1.0 Lとして、新たに吸収させたアンモニアの物質量を記せ。 (大阪大)

(44)

NaClのようなイオン結合からなる塩の結晶は、水の中に入れると水和が起こり溶解します。こ れはイオンの周りに水分子が集まり、溶質+溶媒の全体のエネルギーが最も安定となるからで す。しかし、水和するよりもイオン結合をしている方が安定なイオンの組み合わせがあり、溶 けずに容器の下に沈殿します。後者のような難溶性の塩について考えていきます。 例えば赤褐色のクロム酸銀Ag2CrO4の固体を水の中に入れると 一見完全に沈殿したように見えますが、うっすらと溶液が CrO42ーの橙色っぽい色に変化します。 何も変化してないように見える沈殿も常に溶け出して常に 戻ってきており、その速さが一致しているから止まっている ように見えているだけなのです。これを『溶解平衡』といいます。

Ag2CrO4( 固) ⇄ 2Ag++ CrO42-の平衡定数を 今までと同じように書くと、[固体]は1と表すため Ksp=[Ag+]2[CrO42-] となります。 このときのKspのことを『溶解度積』といい、 沈殿が生じている場合、各イオン濃度が溶解度積 の値を取るように平衡が移動します。 言い換えると沈殿を生じる時は必ず溶解度積の値 は一定になり、逆に沈殿を生じるための限界の 濃度ということになります。 [A+][B]=12>K sp 限界値を超えた 沈殿生成方向へ 平衡移動

43

溶解度積

solubility product

Ag

2

CrO

4

Ag

+

CrO

42-

↑ ↓

Ag

+

@image

難溶性の塩 Ag2CrO4(固) ⇄ 2Ag++ CrO

42-において

溶解度積 K

sp

=[Ag

+

]

2

[CrO

42-

] ← 限界となる濃度

A+ B- A+ A+ AB AB(固) ⇄ A++BKsp=[A+][B-]=6(mol/L)2とする [A+]=3 mol/L [Bー]=1 mol/L A+ B- A+ B- A+ B- B- [A+]=3 mol/L [Bー]=4 mol/L A+ B- A+ B- B- [A+]=2 mol/L [Bー]=3 mol/L [A+][B]=3<K sp 限界値を超えていない 溶解したまま [A+][B]=6=K sp

(45)

44

✓沈殿の有無判定 溶液に沈殿を作るイオンを加えると、ある濃度で沈殿が生じるようになります。 グラフにすると右のようになり、以下のことがいえます。 ✓ [A+][B] > Ksp → 沈殿なし ✓ [A+][B] = Ksp → 飽和水溶液 (沈殿が生成する瞬間) ✓ [A+][B] > Ksp → 沈殿+飽和水溶液 ✓共通イオン効果 ある塩化物の沈殿+飽和水溶液があり、溶解平衡が成立して いるとします。この飽和水溶液に塩化水素を加えると、 水溶液中の[Clー]が増加し、ルシャトリエの原理から沈殿生成 方向に平衡が移動し、更に固体が析出する現象が起こります。 このように、水溶液中に含まれるイオンと同じイオンを生じる 別の電解質を加えることで、平衡の移動が起こり溶解や電離が 抑えられる現象を『共通イオン効果』といいます。

この効果は難溶性ほど大きくなります。NaClの溶解度積の値は102(mol/L)2、AgClの溶

解度積の値は10-10(mol/L)2として計算すると以下のようになり、易溶性のNaClの場合は塩酸中で あっても溶解している濃度は水のときとほぼ変わらないことがわかります。なので、どんな水 溶液中であっても平衡を考えなくてもよいので、溶解度(g/100g水)を使って計算します。対して 難溶性のAgClの場合は置かれた環境によって平衡がどんどん移動するので、平衡(溶解度積)で考 えないといけません。 0 [Ag+] [Clー] 沈殿を 生じる領域 沈殿を 生じない領域 XCl ⇄ X++ Cl- HCl → H+ + Cl 0.1 mol/L HCl aq XCl ⇄ X++ Cl- H2O s s s’ s’ 0.1 0.1 K(=[X+][Cl]) = s×s s’×(0.1+s’) 100 (mol/L)2 s=10 mol/L s’=9.95 mol/L

10-10 (mol/L)2 s=10-5mol/L s’=10-9mol/L

∴ s ≒ s’ → 溶解度はほぼ変化しない → 溶解度を用いて計算 ∴ s > s’ → 溶解度は劇的に変わる → 溶解度積を用いて計算 ✓NaCl (易溶性) 共通イオン効果 小 ✓AgCl (難溶性) 共通イオン効果 大

参照

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