【論 文
1
UDC :627.
24 :517.
9 日本 建築学 会構造系論文報告 集 第 381 号・
昭和 6Z 年1ユ月 ハイ ブ
リ
ッド
型
有
限
要 素
法
に
よ
る
回
転
形 浮
体
に
働
く
定
常
波漂 流 力
の
数
値
解析
正 会 員 正 会 員松 井
徹
加 藤 賢
哉
*治
**1
.
緒 言 波 浪 中の物体に は, 波と同一
周波数の 1次 波 浪 外 力に 加え て, 波 面 上 昇や物体運 動の有限性に起 因す る2
次 波 浪 外 力 が作用す る。
不規則 波中におい て,
こ の 2次 外 力 は各成分波の周 波 数の和お よ び差に等 しい周 波 数 成 分 を もつ。
こ のう ち 周波数差 に よっ て生じ る長 周 期 成 分は“
長 周 期 変 動 波 漂 流 力” と して知ら れ る もの で,
そ の周 波 数 差が比較 的低い係留 構 造 物の水 平モー
ドの 固 有振 動 数 と一
致し て浮体の共振運動を励 起 し,
係 留ライン に過 大な 張 力 を発 生さ せ る可 能性が あ る た め,
定量的に は 1次 外 力に比べ て か な り小さいに もか か わ らず,
係 留 式 海 洋 構 造物の運動性能の予測や係留 設計の観 点か ら重 要 な外 力 の要因と な るS}。
さ らに排水量に比 較し て水 線 面 積の小 さい半 潜水型構 造 物においては,
ロ ワー
ハ ル に働く上 下 方 向の波 漂 流 力が しばしば 大傾 斜や転 覆の原 因とな る こ と が指摘さ れて い る4) 。 不規則 波 中の係 留 構 造 物に生じ るこの よ うな 現 象 を理 解し, 長周期変動 波 漂 流 力の数 値 的 予 測 手 法 を 発 展させ る う えで,
まず規則 波中にお ける挙 動を知る こ と は有用 で あ る。 規則 波 中で は漂 流 力は時 間に関し て一
定の定 常 外力と な り, 構造 物に一
定の静 的 変 位 を強 制 する。 こ の 定 常 波 漂 流 力によっ て もた ら さ れ る係 留 構 造 物の平 均 変 位は,
水平方 向の比 較 的 小さい復 原 力の ために, 1次 波 浪外力に応答し て生じ る波と同一
周 波 数の周 期 的 応 答 と 比較し う る大き さ と な る。規則 波 中の浮 体に働く定 常 波 漂 流 力 を決 定す る に は, 浮体の
1
次調和応 答お よ び周 辺 流れ場の 1次速 度 ポテン シャ ルが 正確に評 価さ れて い る こと が必 要である。
これ らの 1次量の解 析に今 日最 も汎 用 されて い る方 法に特異 点分布法お よ びハ イ ブリッ ド型 有 限 要 素 法がある。
線 形 動揺問題にお け るこれら の数値的 手 法の有 効 性につ いて はすでに多くの文献に報 告さ れてお り5 〕,
前 者は Faltin・
sen andMichelsen
∈}・
,Pinkster
andOortmerssen7
〕,
Standing,
Dacunha
andMatten8
)らに よっ て,
後 者は本 稿は既 発 表の文 献 1)
,
2)を骨 子と してま と め ら れ た もの である。
寧 名古屋大学 助 教 授・
工博 艸 豊 田工業 高 等 専 門 学 校 講 師 (昭 和 62 年 5 月 11日原 稿 受理}Molin
ωらに よ っ て定 常 波 漂 流 力の計 算に適 用され て い る。 これ らの手法は任意 形 状の浮 体 を扱え る利 点 を 有す る一
方,
影 響 係 数マ ト.
リッ クスの形 成や大 次 元 連 立 代 数 方程式の解に多 大の計算 労 力 を必 要と す るのが難 点であ る。 現 実の海 洋 構 造 物,
た とえば係 留ブイ,
浮き貯蔵タン ク,
半 潜 水 型 構 造 物の浮 体 要 素, articulated tower,
温 度 差 発 電プラン トなどに は回転
対 称形を有す る も の が多 い。 こ の よ うな形 状の物 体に対し て は,
幾何学 的な軸対 称性を利 用す る ことに よっ て,
よ り能 率 的な 数 値 解 析手 法の定 式 化が可 能である。
た と えば,グリー
ン関 数の フー
リエ 級 数 展 開 を 利 用 し て
,Fentonio
},
Eatock
Taylor
and Dollaiil
,
Isaacson
’2)らは回転 形 浮体に働く波 浪 強制力な ら びに運 動 応 答 を,
Matsui
andTamakii3
}は近 接 回転 形 浮 体 間の流 体 力学 的 相 互 干 渉 を計算す る手続き を提 案 し て い る
。Baii4
) ,Chenoti5
〕 ら はハ イブリッ ド型 有 限 要 素 法 を用いて同 様の手 続きの定式 化を行つ て い る。’
本稿で は, これ らの成 果 を応用して,
不規則 波 中の回 転 形 浮 体に働く 長 周期 変 動波 漂 流 力の有効 な数 値 解 析 手 法 を 提 示す ること を 目 的と し ている。
こ こ で は,
まずそ の前 段 階 として, 規 則 波 中の定常 波漂流力をハ イ ブリッ ド型 有 限 要 素 法を 用いて計算 す る手 続き が,
二,
三の応 用 例 と と もに示さ れ る由 )。
2.
線 形 動 揺 問 題 2−
1 基 礎 方 程 式 Fig.
1に示 す よ うな一
定 水 深h
の 理 想 流 体 内で運 動 する剛な回 転 対 称 形 物 体 を考え る。
自 由表 面をoxy に, 物 体の対 称 軸を oz に一
致さ せ,
oz 軸の正 方 向 を 鉛 直 上方にと る。 さ らに円筒 極 座 標 (r,
θ,
2) を 二じ=
7°
cOS θ,
膨=
γ6in
θ………
……
(1) によっ て定 義する。.
物 体は ox 軸の正 方向に伝 播す る平 面 規 則 波 列に応 答 して, その平均位置の周 りで調 和 振 動を行っ て い る。 物 体の運 動お よ び 入射 波の振 幅は微 小で, 線 形重ね合 わ せ が成り立つ もの と仮 定するD 物 体の運 動は 3自由 度の剛 体モー
ドー
サー
ジ,ヒー
ブ,
ピ ッチー
の重ね合わせ に よっ て表 現さ れ る。 ox 軸に関す る対 称 性に よ リ ス ウェ イ,
ロー
ル , ヨー
の モー
ドは 生 じ ない。一 81 一
Architectural Institute of Japan
NII-Electronic Library Service
Arohiteotural エnstitute of Japan
Th
⊥
y
! 丶’ 、
! 1、
丶 r ’ ノ ノ 丶 ’ 0.
、 、 o ’ : 、 丶 丶 S5 ! ! ’ 丶 ! 、、 ’
! SRS
。。 丶 〆 zト
・ ・一
→
’
1 1噛
ols5
SFlI 11
:
n11
lls 一ド
辱 ,ls
1V,’
・
1【
s 匚 1 1 1了
匹s
臼 1Fig
.
1 Definition sketch fQr axisymmetric bodyx x ノモ
ー
ドで振 動する物 体の周 期 的 運 動は次式に よっ て 表 され る。、
X
’ (t
)=Relx
’e−
Sfiat}・
・
…・
・
………
∵・
・
……・
…・
(2う こ こに, ω は振動 数i,
t
は時 間, げ はゴモー
ドの運 動 の複素振幅を表レ, 指標j
=1
,2
,3
は そ れ ぞ れサー
ジ , 匕一
Tブ,
ピッチに 対 応す る。
流 体の運 動は非 回転性である と仮定する と, そ の運 動 は速度ポテンシャル
’
L.
’
φ(t)=Re
{φe−
‘ 凹…・
…
∵………・
………
(3) によっ て記述さ、
れる。 複素ポテン シ ャ ル φは次の 3成 分の和と し て表現さ れ るet、
,・
3 φ= φo十φ4−
‘ω ΣコC丿dif
:・
………・
・
…・
…・
・
…・
(4 )」
」=
1・
こ こ に,
φ゜ は 入射 波ポテン シャ ル, φ ゜は 回 折 波ポ テン シ ャ ル,
φ’は 物体の ノモー
ドの単 位 振 幅 運 動に よ り生.
じる発 散 波の ポ テンシャル で ある。
、
「
振 幅A ,
波 数ic
の平面 進 行 波で は,
入 射 波ポ テンシ ャ ル は次 式に よっ て与え ら れる。
・
il
・一一
響
c°器
。艦
ん) ・一…・
…・
…
(・) こ こに,
g は重 力 加 速 度 を表し,
波 数h
は振 動 数 ω と 次の逸 散 方 程 式に よっ て関 係づけ られる。
ω3/9≡ v
・
・
htanhha ……・
…一 …………・
・
(6) φ゜は ま た次,
o よう な 円 筒累
波の重ね合せ に よっ ても表 現さ れ る。tO
φ゜ (r
,
θ,
Z}= Σ・。φ監(r, Z)C・sn θ…………・
(7) n=
0 こ こ に,
一
82
φ盟
響
c°器
。糯
ん} t・Jn
(h
・)・一 一
(・) εo=
=
1, εn=
2 (n≧1)・
・
…
一
一
・
・
・
…
一・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(9> で,Jn
は n 次の第 1種ベ ッセ ル関 数 を表 す。回折 波 ポテ ンシ
辛
ル お よ び発散波ポテ ン シ ャ ルも 同様 に円筒 素 波に分 解さ れて, 次 式の よ うに表さ れ る。tO φ丿(r
,
θ,
Z}=
Σεηφ孟(f,
2)cosn θ n=
0 ゴ=L2
,3
,4・
・
・
・
…
t・
・
…
−t・
・
・
・
・
・
・
…
t−・
・
…
(10
} 線形重ね合わ せの仮定に よ り,
各ポテンシャル は流体 領 域 内で の連続方程式 72diJ・
=
O……一 ・
…・
……・
…・
………・
………
(11
) 線形自由表 面条件』
∂φ’ /∂2
一
りφノ=
O,
2= Oで………・
・
………
(12
)』
底 面 条 件 σφクσ2=
0,
z=− h
で………・
……
(13 )』
後に述べ る物 体 表 面 条 件お よ び無 限遠方に お け る放 射条 件1
(ん7)1 〆 2(∂φ’ /∂7噛
一i
丿ヒφつ=
0・
一…
一・
・
一・
一・
(14 ) 配7→
co
を満
足 し な け ればな ら ない。
回 転 対 称 形 物 体の場 合に は,
回折波 ポ テン シャ ル は フー
リェ 展 開 次 数 n の すべ ての 値を と る が, 発散 波ポ テン シャ ルはモー
ド ご と に特 定の n の値を と る。
た と え ば,
ヒー
ブ・
モー
ドは n=
0を.
サー
ジ および ピッチ・
モー
ドは n=
1を とる。 し た がっ て,
物 体 表 面 条 件は一
般 的に次 式の ように表さ れ る。
発 散 問題 :… ∂φゴ/∂ne=
hl, ノニ1
,2
,3・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(15a ) 回 折 問題 :∂φ毒/∂nc
=一
(ξ)φ島/Qnc
)t−・
…
一
・
・
・
・
…
t−・
・
t−・
(15b ) こ こ に, ∂/∂nc は物 体 表 面S
とθ= o平 面との交 線C
か ら引か れ た外 向き単 位 法ec
nc の方 向の微 分を表し,
指 標 1はサー
ジお よ び ピッチ・
モー
ド (丿言
1, 3)に対 して は 1を,
ヒー
ブ pモー
ド (ノ=
2)に対 しては0
を と る。hf
の非 零 項は次 式に よっ て与え ら れ る。 朝;
η7/2, h
:= nzhi
=
[(2−
Zo)nr−
rn 』/2・
・
・
・
・
・
・
・
…
t・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(
16
) こ こ にtnr,
nt は nc の r,・
z 方向余 弦を,
2。 はピッ チ 回転 中心の z 座標を 表 す。
2−
2 ハ イブリッ ド型有限要素法によ る定 式化Fig.
1に示す よ うに,
流 体 領 域 を物 体 を囲むの に十 分 な大き さの仮 想円筒 面 SRで 2つ の領 域に分 解する。 内 側 領 域を V で, 外 側 領 域を V’
で表 し,
そ れぞれの ポ テンシャ ルをφj,il
’
」 とする。 φ’
∫ をy ’
内で の連 続方程 式 (11>,
自由 表面 条件 (12 ),
底面条 件 (13)お よ び放 射 条 件 (14)を満 足すべ く,
次 式の ように仮 定す る。 φり=
=
Z
s。ip
; ’cosne……・
一 …………・
……
(17) n=
o N工 工一
Eleotronio Libraryこ こ に
,
φ蒙=
α孟oH 鴇 卜 (kr
)coshh
(z十h
)co 十
Za
;mKn (xmr )cos Xm(z十h
)……・
…
(18
) 屑;
1 で,HL
”は n 次の第 1種ハ ン ケル 関 数 を,Kn
は n 次の 第 2種 変 形ベ ッセ ル関 数 を表し,
褊 は次の固有 方 程 式 の正 実 根である。
Xmtan Xmh 十v==O ……・
・
…・
……韓・
…………
(19 > 姦と φげと は次のSR
上に お け る 圧力お よ び法線速度の 連続条件に よっ て関係づ け ら れ る。
φ孟=iPkj9
∂φ孟/∂r=
∂φ穿/∂r−s・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(20) 式 (11>〜
式 (13),
式 (15)お よ び式 (20)に よっ て 与えられ る 姦の境 界 値 問 題は, 次の 汎 関 数の停 留 値問 題と等 価である15 )。姻 一
∫
∫
弖
[
(
∂φ孟 ∂r)
! +(
讐
)
2 +n・ilA
]
rdA一
羅
幽 C一
艦
1
)
φi
・・C・
五
(
去
φ謬一
φの
讐
・
R
・C ………・
(21) こ こ に,A
は流 体 領 域y
とθ=0
平面との交面を,CF,
C,
CR はそれ ぞれ 自 由表 面SF,
物 体 表 面S
お よび
仮 想 円筒 面SR
とθ=0
平面と の交線を表し,
R
はSn
の半 径 である。
内 部 流 体領 域A
を有限 要 素に分 割し,A
内の ポテン シャ ル暢 を形状関数 を導 入して各 節 点のポテン シャル値で補間表 示す れ ば, 式 (21>は次の よ うなマ ト リッ クス形に書き換え ら れる。
み(
1
φ肺 瀞〉一;
lil
”T[KAI
φ:1
−
1
σ鰍
・
豈
顧
・綱
・弖
idi
’ [K.]1
・:・
去
顧
最禰
ギ
圭
顧
臨]{・$・
・
・
・
・
・
…
一・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
一
,
…
一…
(22) こ こ に,
1
φ謝,
}φAl
,
{φ鼾,
1
φ封はA
内お よ びCF,
C ,
Cn
上の各 節点の ポ テンシャ ル値を,
1
μt{。}は未定係 数 ah,
α畆 を そ れ ぞ れ要 素と す るベ ク トル で あ る。1
朔 お よ び1
副 は式 (22
)で与え ら れ る汎 関 数Jn
の 最 小 化 δJn
=O
に よ り得ら れ る連立代 数方程 式を解い て求め ら れ る。
詳 細につ いて は,
文 献 16)を 参 照 さ れ たい。
2−3
流体力 お よ び 運動応答 速度ポ テンシャ ル が得ら れ る と,
物体表面上の任意点 に作 用 す る 流 体 圧 p は 線 形 化 さ れ たベ ル ヌー
イ 式 P=−
P〔∂¢ /∂t
)=ReliOP
φe−
SWt}・
・
・
・
・
…
9…
9・
(23 ) に よ り計算さ れ る。
こ こ に,
ρは流体の密度を表す。
物 体に作 用するh
モー
ドに対 応する波 浪 強 制 力は,
入射 波お よ び回折 波に よる流 体圧 を物 体 表 面に わ た っ て 積 分す ること に よっ て得ら れ る。 回 転 形 物 体の場 合,
こ の表示 式 は軸対 称 性 と ポ テン シャルの フー
リェ 級数展 開 を利 用す ること に よっ て さ らに簡 略 化さ れ て, 次式の よ うに表さ れ る。F
气t
)=Relfke
−
ewtl−
R
・1
−
・・i
・pe−
1・琢
φ9
・φ1
)hr
・dCl
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
t・
・
・
・
…
t−・
・
t−
(24
) 同 様に,
ノモー
ドの単 位 振 幅 物 体 運 動によるh
モー
ドに 対応す る流 体 力は,
発散波に よ る流 体 圧 を積 分する こと によって,
次 式の よ うに与え ら れ る。
F
短〔t)
=
Rel
(tulanv 十i
ωbV
)xie−
‘Wtl…・
…・
…
(25
) こ こに,
αnv,
は 付 加 質 量 係 数 お よ び 付 加 減衰 係数 を 表し,
次 式に よっ て定義さ れ る。
・・+
i
… 一
一
…∫
φ蹄 ・C ・
……・
…・
…・
(・6) 式 (24
>お よ び式 (26
)に おいて, 指標1
は サー
ジ お よ びピッ チ・
モー
ドに対し ては 1を,
ヒー
ブ・
モー
ドに対 して は0を と るQ 浮 体の運 動 方 程 式は,
係留索か らの反力の線形性を仮 定す れ ば,
次 式のよ うに表さ れ る。 3 Σ [一
ω:(mnv 十α”}− i
ωbnv
十cne
十C
’
nv ]xi=fk
∫=
1・
……一 ………・
…・
……・
・
…
(27) こ こ に, mnv は慣性 係数を,cnv
は静 的復原 力 係 数 を,C ’
w は係 留索の線形 化1
ばね係 数 を表す。
mbl お よびcv
の非零 項は次式に よっ て与え られ る。
mll=
mtt=
m , mss=
ly『
『
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
r・
…
(28 )C22=
ρgAw,
C33=
ρglw十πL9(Zs−
Zc) こ こに, m は物体の質量 を, Jyは ピッ チ慣 性モー
メ ン トを, 出 は水線 面積を, 漏 は oy 軸に関する水 線 面の2
次モー
メン トを,
Zn,
z6 は浮 心お よび重 心の z 座標 を 表 す。
運 動 方 程 式 (27 )を 解 くことに よっ て, 周波数 領域に お け る浮体の運動応答が決定される。3.
定 常 波 漂 流 力 1次 速 度ポテ ン シ ャ ル および1次 調 和 応 答の解が得ら れ ると, 定 常 波 漂 流 力は丸 尾 17) , Newmani8 )の 運 動 量 理 論あ るい はPinkster andOortrnerssen
’)の流 体 圧の 直 接 積 分の いずれ の方 法 を用い て も計 算できる。
前 者は物 体 を囲 む任 意の検 査 面の運 動 量 変 化か らサー
ジ,ス ウェ イ, ヨー
の定 常 波 漂 流 力 を評 価 する方 法で,
丸 尾らは遠 方に おけ るポテ ン シ ャ ル の漸 近 展 開を用い る こ と に よっ て定 常 波 漂 流 力の簡 潔 な表 示 式 を 導い て い る (Far
fieldformulation
)。一
方, 後 者は運 動 す る 物体の瞬 間位置に 作 用す る流 体 圧 を直 接 積 分す る 方 法で (Near
fieldformulation
>,
漂 流 力の表 示 式は前 者に比べ てやや煩 雑 に な る が,
すべ ての モー
ドの定常 波 漂 流 力が評 価で き る ほ か , 不規則 波 中で の長 周期変動 波漂流 力の計 算にも適 用で き る利 点を もつ。
3
−
lFar
field
formulation
Faltinsen
andMichelsen6
}は 無 限 水 深 に お け る一
83
一
Architectural Institute of Japan
NII-Electronic Library Service
Arohiteotural エnstitute of Japan
Newman ’s)の式を有 限 水 深に拡 張し て , 次の よ うなサ
ー
ジ定常波 漂 流 力の表示 式を導い て いる。瓦 一
(
1十2kh
sinh2h ん)
[
一
撃
・inlH
(・)}悪
・脚
∬
「囲
・)1
鯛
・
・
・
・
・
・
・
…
■
・
・
・
・
・
・
・
・
…
∵・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(29
) こ こに.H
(θ)はL).
わ ゆ るKochin
関 数で, 次 式に よっ て定 義さ れ る。
φ(・,θ,・)」.
.
十 響
・ … ・・
一
隈
・(…剄
C°藩
去
九1
・
一 …………一・
…一 ・
・
……
(30
) 回転 形 浮 体の場 合には,H
(e
)はフー
リエ 級 数に展 開 され て次 式の よ うに表さ れ る。
tU
H
(θ)=
ΣεnHncosn θ・
…
…・
…
………・
…・
…
(31 > npoHn
は式 (4
), 式 (5
), 式 (1
ブ), 式 (18
)を式 (30
).
に 代 入し,ハ ン ケル 関 数の漸 近展開を用い ることに よっ て,
次 式の よ うに表され る。
Hn=一
(2
/h
)coshkh
(− i
)na 。ガ・
………
(32
) こ こ に, sa・。
=
a:n一
ゴω Σπ’α‘げ…・
・
…・
…一 ………・
:・
(33
) ’i
!Kochin
関 数が式 (31 ),
』
式 (32 )に よっ て計 算さ れ ると,
回 転 形 浮 体に働 くサー
ジ 定 常 波 漂 流 力は.
』
こ れ ら を式 (29)に代 入 し,
θ方 向’
の積 分を行 うこと に よっ て, 次 式の よ うに表 示さ れ る。
瓦
一
(
1+2
肋 sinh2hh
)
・・陛
靄
・
#
, ”n(
i
・・A一
ρ讐
h
航 礁 ・)
}
・
・
・
・
・
・
…
tt
・
一・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(34 ) こ こ に,
*は複 素 共 役を示す。3
−
2Near
field
formulation
Pinkster and Oertmerssen71は波 浪の作 用を受けて運
動 する浮 体の応 答 をその平 均 位 置の周りで摂 動 展 開し, 瞬 間 的な物 体の没 水 面に作 用す る流体圧を積分
U
て得ら れ る流 体 力 を, 2次の オー
ダー
まで厳正に評 価す るこ と に よっ て,
2次 波 浪 外 力の一
般 的な表示式を導いている。
Pinkster et al.
によ れば,
規 則 波 中の浮 体に作 用する定 常 波 漂 流 力は次の 5項の和に よっ て表現 され る。
F
=FI
十F9
十FF 一
トF
「v十FV ・
一・
・
・
・
・
・
…
t−・
・
(35) こ こ に,
・1
− 一
者
・9継
・・C
・……・
・
…・
………
(・6・ )ア』
ム
・∫
∫
1
・ ・!・ndS−
・
………−
136b
)ア・
一
・fl
!
(・・
V・e・)・ndS−
・
∴……
∵:
…
(36・ )一
84
一
F
「v=9
×(−
m ω 2X )・
………・
……・
………
(36d
)lii
・一
・∫
∫
黏
d
・……・
…・
…・
…………・
(36・ ) 第 1項FI
は平均 水面と瞬 間的な 波面との 間に働く 流体 圧の寄 与で,
9
,は平 均 水 面か ら の波 面上昇と物 体の鉛 直変位との差に よっ て定 義さ れ る1次相対 波 面上昇を,
n は物 体の平均 没 水面S
か ら引か れ た 外向き単 位法線 ベ ク トル を,
は時 間 平 均を表し,
積 分は平 均 水 面と物 体 表 面との交wa
Cw に沿っ て評 価さ れる。 第 2項F [は ベ ル ヌー
イ式にお ける速度の 2乗 項に由来する圧力を平 均 没 水 面S
にわ たっ て積 分し たもの であ る。 第 3項Fm
は浮 体の運 動に よう て浮 体に作 用する流 体 圧の作 用 位 置 が変 化す る た めに生じ る項で,
U はS
上の 1点の 1次 変 位ベ ク トル を,
φ の下 添 字 tは ポ テンシャ ル の時 間 微 分を表す。
第4項 F 「yは ユ次 流 体 合 力の作 用 方 向が物 体の 回 転 運 動に よっ て変 化するた めた
生 じる力の成 分 で, κ嫉
物体 重 心の 1次 変 位ベ ク トル を, ρは1次 回 転ベ ク トルを 表し て い る。
第 5項 FV は 2次 速 度ポテ ン シ ャ ル Φ に よる流 体 圧 を 平 均 没 水 面に わ た っ て積 分し たもの である。
こ の項 はヒー
ブ定 常 波 漂 流 力に の み寄 与 する こと が示され る。
規
則
波 中で は 2次 速 度ポテ ン シ ャ ル は次の形に表さ れ る19)。
φ・M(
t
)=Reldi
‘” (r, e,
z〕e’
2“ vt }−
i
一
δ(2}t− …・
・
(37 ) こ こ に,「
定 数δn)は 平均水位が z=
0に一
致する条 件か ら定め ら れ る。
δ〔2・一
一
gA’h
/(2
sinh2hh
)………
∴・
(38) 式 (37
)か ら得ら れ る φ望』 δ1,
:)e
式 (36e
)に代入 し, ガウス の発散定 理 を用いれば,2
次 速度ポテンシャルの 定常波 漂 流 力へ の寄 与が 次 式のよう1ご表さ れ る。
F
峯=F
;70 ,F茎
=
:
ρδ 〔tレA
曜・
・
一
…
tt・
・
・
・
・
…
t・
…
(
39
) 定常波 漂 流モー
メン トも 同様に次の4
項の和に よっ て 表現さ れ る。
M
=M
「1−
{−MH
十ME
十M
「v・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(40) こ こ に,
冴1−
一
弖
・9炉
(xx ・)・C
・”…・
…・
…・
・
(41
・ )fi
・=
=
5
・fX
l
・ φ1
・(x ×・’
)dS
・
・
………・
(・・b
)π・
イ ∫
(U ・
・ 酬 ・ ×n>・……・
一
(41・) M 「v=9
× (一
ωflg
)……・
・
…・
…・
…………・
(41d
) で, x は S 上の 1点の 回 転 中心に対する位 置ベ ク トル を,
∬は慣 性モー
メ ン トテン ソ ル を表 す。 2次 速 度ポ テ ン シャ ル は 定常波 漂流モ T メ ン トに は寄 与し ない。
式 (36)お よ び式 (41)は浮 体 形 状の軸 対 称 性お よ び 式 (3),
式 (4)’
t 式 (7),
式 (10)か ら得ら れ る ポ テン シャルの フー
リェ 級 数 展 開 N工 工一
Eleotronio Library・(・)
一
・・1
φe−
t・tl一歪
・儀
・殤・・sn ・・一
・ω}
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(42 ) を利 用す ることに よっ て さ ら に簡単化さ れ る。 まず1
次 速 度 ポテンシャル の こう 配は,
式 (42 )を微分して,
co 7Φ
=R
θ}Σ]εn〈(∂φn/∂r)cosn θ, n;
o
−
(n/r)φぴ3inne , (∂φ陀/∂2}cosn θ>e−
iωtl・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(43 ) と なる。
こ こ に, 〈 〉は 円筒 座標 系 (r, θ, Z)に おけるベ クトル成 分 を示 す。
浮 体の1
次 運 動は サー
ジ, ヒー
ブ,
ピッチの 3自 由 度に依 存し, 次 式のよ う に表さ れ る。
U=
〈[xi十X3(z−
90)]cos θ,一
[X
’ +xs
(Z−
Z。)]sine.
xz− X3rCOS
θ〉…・
・
・
………
(44
) 1次 相 対 波 面 上 昇 鹸は平均 水面か ら の波面上昇 ζと物 体の鉛 直 変 位との差によっ て定 義さ れ る.
ζ旨=
ζ一
(xz−
X37wCOS θ}’
”…・
・
…・
……
……
(45 ) こ こ に,
rv は平 均 水 面に お け る物 体の半径を表す。 ζ は 1次 速 度ポ テン シ ャ ル を用いて次 式の よ うに表さ れ る。
ζ
=一
〔1
/9X∂Φ/∂t
)L
−
。一・
一 ………・
……・
…
(46 ) 式 (2),
式 (42),
式 (46 )を代入 す る と,
Ωは次 式の ように表さ れ る。
9
… ReloRe−
・・3
− Re
{
急
曜 ・snee−
teelt}
・
…
一・
一・
…
一・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
t−・
・
…
(47
) こ こ に,
ηR。
=
(‘ω/9
)φ。(fw,一
コc: ηR、=
(i
ω/g
)φ1(rw,
O
}十 xSrw /2・
・
………・
……
(48 ) ηnn=
(‘ω/9)φn〈η,
0),
(n ≧2) 定 常 波 漂流 力の表 示 式に現れ る時 間 平 均は次 式に よっ て 評 価さ れ る。y
¢)z
(診)≡Relye ’
‘evHRe ヨ之e−
‘ω }=
Reiyz 串/21・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
t…
(49 ) 式 (43)
,
.
式 (44),
式 (47) お よ び式 (2 >を式 (35
), 式 (36
)お よ び式 (40),
式 (41)に代 入し, θ方 向に 積分 して時間 平 均 をと り,
さ らに式 (39)を考 慮す れば, 回転 形 浮 体に働 く定 常 波 漂 流 力お よび定 常 波 漂 流モー
メ ン トの表 示 式が以 下の よ うに導かれる。
・・−R
・卜
・9・(嘛患
伽 礁 ・・
∫
・褓鶤
{
n(η}
1)醗 ・+
警
∂豊
+讐
∂9
到
dC
・
傍
・…イ
[x・・げ(・−
2。)](
争
φ穿+
讐
+讐
)
+2
げ讐
一
x・ ・催
・讐
)
}
・C一
亨
げ屑
.
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
.
・
一・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(50
) ・・−R
・[
一
ρ9
・〔・眺爵
・v
・煽 翫・
fc
・・略
号
悸
;
繍+
籌
竪
+籌讐
}
dC
・
∫
・… 砺{
[x・+x・ (・一
・。)](
⊥φ鬢+
讐
)
+げ讐
一
め讐
}
dC
・
亨
姻
一
弖
・… s。葦
,肋 ・。・
・
・
…
喞
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
一・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(51
)M
・一
・・[
ρ9
・〔呶 汁 酷伽
・:n−
・・
か
・・[〔・一
・・}・・
九轟{
η(1
)嶋 +
籌響
+讐
∂8
騨
C
・
∫
・・[(
2
−
z・)nr−
・na{
xi+xs(2
−
z・)(
3
φ:・要
・讐
)
・ ・げ
讐
一
x・ ・(
讐
・讐
)
岡
・
・
一・
・
・
・
・
…
tt・
・
・
・
…
t−・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
…
(52 )4.
.
数値計 算 例およ び 考 察.
回転 形 浮 体の 典 型 的な例と し て,
(a)半 球 形 浮 体hemi・
sphere,
(b)一
様 円 筒カ ラム uniform cylinder,
(c)円柱 浮体circular
dock
,
(d
) 複 合円柱 浮体compound circulardock
の 4種 類の 形 状が選 ばれ,
定 常 波 漂 流 力 の計算が行わ れ た。 浮 体の形状お よび諸元がFig.2
お よびTable
1
に示さ れて い る。
Fig.
3
は計算に採 用さ れ た有限 要 素 分 割を示 したもの で あ る。 す な わち,
内 部 流 体領域は8
節 点アイソ パ ラ メ ト リック要素に,
自由 表 面,
物体表面お よ び仮 想 円筒 面は 3 節点2
次曲線 要 素に分 割Table l PrinciPal Pa「ticulaTs of vessels
Geometry h /a
m/(pra3 ) 1 !(PTa5) ZG!・
日emi
卩
Sphere Untferm cylinder Ctrcular dock CompoundciTeulardock H !a匿
0。
25Hla日
0,
50H !a自
0・
75Hla=
1.
00H !a=
1,
50 10.
0 0.
667 9齟
09 3r820 10.
0 1.
000 10.
O1.
06251.
1251.
18751.
2501.
375 288.
70,
500O.
5312SO.
56250.
593750.
6フ500.
6875 O.
0一
1.
370.
050500 25705 00011一
・
卩
■
一
一 .
85
一
Architectural Institute of Japan
NII-Electronic Library Service
Arohiteotural エnstitute of Japan
○
h
(a)○
○
(b)◎
十 (a ) ah
十 十 (b)h
(c> (d) Fig.
2Geometries for:(a)hemi
−
sphere ;(b)unifo 皿 cylin.
der
;(c)cilcular dock;(d)compound circular dockさ れ
,
こ れらの要 素 上の積 分は すべ てガウス の4
点 公 式 に よっ て数 値 的に評 価さ れ た。 ま た外部流体 領域のポ テ ンシャ ル.
を 与え る固有 関 数 展 開式は有 限項 n =5
, m=
9 で打 切ら れた。 こ のように して評価さ れ た1
次 速 度 ポ テ ンシャ ルお よ び浮 体の 1次 応 答の結果が式 (34
)および 式 (50)一
式 (52)に代入 さ れ, 定 常波 漂流 力が計 算さ れ た。 4−
1 半 球形浮体 まず上記の計算手続き の妥当性を検 証す る た めに, す でに 理論解お よび実 験 デー
タの得られて い る半 球 形 浮体 に つ い て, 定 常 波 漂 流 力の計 算が行わ れ た。Fig.
4
は固 定さ れ た半 球 形 物 体に , ま たFig.
5は無係 留 状態の半 球形浮体に働く サー
ジ定 常 波 漂流 力 を,
そ れ ぞ れ nearfield
formulation
お よ びfar
field
formulation
に基づいて計 算 し た結果 を 図示した もの である。 こ の特 別の形 状
十
層
(c) (d) Fig.
3 Finite element idealisations for:(a}hemi
・
sphere・
;〔b)ulliformcy1inder ;(c}circular dock;(d)
cQmpo 皿 d circular dock
につ い ては
,
多重極 展 開 法に基づ く無 限水深 解お よ び水 槽 実 験 結 果が 工ee2
°)に よっ て提 出されて おり,
比 較 基 準 と して図 中に示 されて いる。 ハ イブ リッ ド型 有 限 要 素 法 (H.
E,
M,
)に よる数 値 解はこれ らの理 論 解お よ び実 験値と非 常に良 く一
致 す る 傾 向 を 示 しており,
これ よ り 本定 式 化な らびに計算 機プロ グ ラム の妥当性 を確 認する こと が で き る。
4−
2一
様円筒カラムー
様な半 径の円 筒カ ラ ム につ い て は,
円 筒 座 標 系にお ける ピッ チ 定 常 波 漂 流モー
メ ン トの 陽な解が松 井21〕に よっ て,
ま た 水 槽 実 験 結 果 が 松 井ほ かZZ } に よっ て提出さ れ て い る。
Fig.
6は固 定円筒カ ラ ム に,
また Fig.
7は 水 底にピン係 留さ れ た自由円 筒カ ラム に作 用する ピッチ 定 常 波 漂 流モー
メン トの計 算 結 果 を,
それ ぞれ上 記の理一.
86
一
N工 工一
Eleotronio LibraryN
.
一
の.
Oマ
.
ロ
〔
四
⊂ 。 建〕
丶、
」3D
.
D ロ鹽
H
卩
.
9〔
閃
江 お o氏
〕
\ [ Fig.
4
弔 … 0.
ロ
0.
5 1.
0 1.
5 2.
O keSurge
drift
fo【ce on fixed’
hemi.
sphereo
8
,
十’
→一
繰 十 →十 十
_
ノ
∫
o ギ /’
厂
ノ
’
’
1’
!L
’
’
/’
0.
4 ooOk L2 1,
dFig
.
6 Pitch drift moment on fixed uniform cylinder (且egendsas for Fig
,
7) 論 解お よ び実 験値と比較して図示 した ものである。
実 験 は水 路 幅2m
(= 20 a〕の狭水路で行われ た た め, 定 常 波 漂 流モー
メ ン トの計 測値は水槽 側壁か らの反 射 波に よっ て著し い影 響を受けて いる。 こ こで は,
実験結果 と の比 較 上,
水 槽 側 壁の存在を考慮し た 理論解お よ び数 値 解 (付 録 参 照 ) も併せて示さ れ てい る。
こ れ らの結果 を 比較し て,
ハ イブリ ッ ド型 有 限 要 素 法に よ る計 算 結 果が 理 論 解 と 良 好な一
致 を示し て いること,
さら に水 槽 側 壁 の影 響 を 考 慮 した理 論 結 果および数 値 結 果が実 験 値と か な り良い相 関を示 し て い るこ と か ら,
本定式 化の 妥当性 を確 認 する こと がで きる。 4−
3 円柱 浮 体お よ び複 合 円柱 浮 体 本 定 式 化の 実 際 的な形状へ の 適 用例と して,Fig.
2
(c),
(d
)に示さ れ る円 柱 浮 体お よ び カ ラム・
フー
チ ング型複 合円柱浮体に働く定 常 波 漂 流 力の計 算が行われ た。
特に後 者につ いて は, カ ラム部の没 水 深 度 H と波 漂 流 力との 関 係を把 握する た め に,H /a (α:カラム径 ) をTable 1の ように 5 と おり に変 化さ せて計 算を行っ て創
.
【
.
O マ.
ロ £ 江 omq〕
丶翼
」 詈 0.
0 0.
5 1.
0 1,
5 2.
囗 koFig
.
5
Surge drift force en floating hemi−
sphere (lege皿ds asfor Fig
.
4) OP門
P.
0〔
“
伍‘
。
m へ〕
\
あ
= : D.
O D.
4 0.
6 1.
2 L.
6 keFig
.
7 Pitch drift moment Qn articulated uniform cylinderい る。
Fig.
8 は固 定 円柱お よ び固定複合 円柱に,
ま たFig.
9
は無 係 留 状 態の 円 柱 浮 体お よび複 合 円柱 浮 体に加わ るサ
ー
ジ 定 常 波 漂 流 力 を,
そ れ ぞ れ nearfield
formula・
tionお よ びfar
field
formulation
を用い て計 算し た結果を示し ている
。
これらの結 果か ら観 察 され るよ うに,
固 定 複 合 円 柱お よ び複 合 円柱 浮 体に働くサー
ジ定 常 波 漂 流 力は,
カ ラ ム部の没 水 深 度が増 加す る につ れて急速に減 少す る傾 向に あり,
その大き さ は H/αが極 端に小さい 場 合 を除い て,
それぞれ固 定 円柱および円柱 浮 体に働く 波 漂 流 力の値よりも小さい。 ま た無 係 留状態の円柱浮体 お よ び複 合 円 柱 浮 体に働 くサー
ジ定 常 波 漂 流 力は同じ形 状の固 定 物 体に働く波 漂 流 力 よりも一
般 的に小さいが,
浮 体の 固 有 振 動 数の近 傍におい ては,
共振運動の影 響を 受 けて,
波 漂 流 力は固 定 物 体の場 合よ り も 大 き く なる。
Fig,
9
に おい て、
円柱浮体に働く波 漂 流 力がka =
o.
66 近傍で ピー
ク値 を示し てい るの は, ピッチ 共 振 運 動の影 響によるもの で ある。一
方, 複 合 円柱 浮 体の場 合には,
固 有 振 動 数が波 漂 流 力が重 要と な る周 波 数 範 囲 外にあ る一 87 一
Architectural Institute of Japan
NII-Electronic Library Service
ArchitecturalInstitute ofJapan eew[ o m qwx
nytL
nts[
p mdq-xtHdL -rv[ e en qwxNIL
m o uno oo o.o ve o mo oa eun om e o D.5{a}
i,k
nearfield
Fig.8.O
L5 aformulationSurgedriftforceson xo
fixedcircular
o.o O.5 L.e 1.5 ke
,(a)
near
fieldformulation Fig.9 SurgedriftfoTceson fleating2.D
circular dock
O.D O.5
.k..O
1.S, 2.DFig.10 Heave driftforceson fixedcircular dock hnd
pound circular docks
-(legends
as ferFig.8).op
ie, l a).li
5
igttr-fr
e:"lL;
'(
"ig
u. Near field
formulati6fi
e
faifield
formulatiop.e:4,
6blesreMt
ove i:llh>
ig
ep
omamehin6n6tr2]. [oXfteanop-88-and
mNcr
e D qwxxaL
1 en O.D dock and womNa
o,m
q"xxIL
amo
o,(b}
compound 5 1.0 ke far.fieldformulatiqn circlllar docks ].so
e D.O O,6 ±
.O
).5 ke,
(b)
farfi,eldforrpula.tion
・
compound circulai docks(legends
as foTFig.8)oum
,o
nnrvtt e m qLtx
Nrt
e o Fig.11 2.0 2.0 o.o Heavepound O.5 driftclrcuforce$ on 1ardocks 1.0 kefloating(legends T.5 circulaT dock as forFig.8)and 2.0 Com-Ub
6ag
fi
ig
geta
eXN.L)gk6
ts
,V
iab
£ ,\ptKpttsOn
at:
ciz =, cpformulationhi
ct
ege-st
-at
6
re
ee
E
tift.
(
0
.
N O.
【
0.
ロ
〔
N ⊂ oo 氏〕
丶
属
」ロ
冖
O.
周 e O,
0〔
を。
05 \臠
L頃
.
0 0 OrO O.
5 且pO
且.
5 2.
O koFig
.
12 Components of surge drift forcセ on fixed circular Fig.
13dock
1
.
0 1.
5 2.
Oke
Components of surge drift force on fixed compound
circular dock(H
=
0.
50 a) O ぜ 0,
W O.
P〔
m ⊂。
ロ
叺
〕
丶
冨
L G.
0 0.
5 1.
G 且.
5 koFig
.
14 Components Qf surgedlift
force
on ftoating circulardock D
.
PN 0.
O 0.
0ロ
.
0〔
四
匡 oo 氏〕
丶
N 」:
刊
0.
0 0r5 1.
0 且.
5 2.
O koFi9
.
16 Components of heave dr迂t force on Hoating circular dock る。
Fig.
10は 固定円柱お よ び固 定 複 合 円 柱に, またFig.
11は無 係 留 状 態の円 柱 浮 体お よび複 合 円柱 浮 体に O.
【
り
6 0.
O〔
e°
α oo馬
〕
\
冩
」 旧.
0 O.
【
0.
0 0.
5 且,
0 且.
5 2.
口 keFig
.
15 Components of surge drift force on floating com.
pound c
’
ircular dock (H=
O.
5G a)ロ
.
冖
m.
0 0.
ロ
〔
四
匚 σ m “〕
丶鬥
」 m.
ロ O.
冖
0.
O O.
5 L.
0 且.
5 2.
O koFig
.
17 Components Df heave drift force on floating cQm−
pound circular dock(H
;
0.
50 a)加わ る ヒ
ー
ブ定 常 波 漂 流 力の計 算 結 果を そ れ ぞ れ 示 し たもので あ る
。
これ らの結 果か ら観 察 さ れ る よ うに, 固定複合円柱お よ び複合円柱浮体に働くヒ
ー
ブ 定 常 波 漂 流 力Architectural Institute of Japan
NII-Electronic Library Service
Arohiteotural エnstitute of Japan
は上向きに作 用し
,
カラム部の没水深 度が増 加す る につ れて その大きさ は急 速に減少す る傾 向に あり,
そ の減 少 の割 合は没 水 深 度が小 さい場 合に特に著しい。 ま た無 係 留 状態の複 合 円 柱 浮 体に働くヒー
ブ定常 波漂 流 力は固 定 複 合 円柱に働く波 漂 流 力よ り も一
般的に小さいが,
円 柱 浮体で は,
ピッチ 共 振 運 動の影 響に よって, 無 係 留 状 態 の方が固 定 円 柱よ りも 波 漂 流 力の値が大 き くなっ てお り,
さら に そ の作 用す る向き も固 定円柱で は下向き で あっ たもの が,
無 係 留 状 態で は上 向 きに逆 転し ている。
.
これ らの 定 常 波 漂 流 力に寄 与 する各 成 分の 大き さが Figs.
lz−
17に示されて い る。
図中, ロー
マ数 字1
−
IV
は式 (36)における各 成 分に対 応し ている。
な お2
次速 度ポ テン シャルの寄 与は僅 少で あるの で, 図で は省略さ れ て い る。
ま た固 定円柱お よび固定複 合円柱に働くヒー
ブ定常波 漂 流 力に は, ベ ル ヌー
イ式に お け る速度の2
乗 項 以 外の寄 与はないの で, 各 成分 ごとの寄与を示す 図 は 割 愛さ れ てい る。
こ れ らの図か ら明らか な よ うに,
サー
ジ定 常 波 漂 流 力に寄 与す る成分 と し て は,
相対 波 面 上 昇 によ る寄 与1
が支 配 的であ り,
ベ ル ヌー
イ式にお け る速 度の 2 乗項は波漂 流力を減じ る役 割を果た して い る。一
方, ヒー
ブ定常波 漂 流 力に寄与す る成分と して は,
ベ ル ヌー
イ式に お け る速 度の 2 乗項の寄与H
が支配的で あ る。 浮 体の運動に よ る寄与皿およびIV
は固定 物 体におい て.
は零で あ り, 浮体に おいて も固 有 振 動 数の近 傍を除い てそ れ らの 寄与は比較的小さい。
5.
結 語.
規則 波中の回転対称形浮体に働く定 常 波 漂 流 力 を,
浮 体 形 状の軸対称性お よ びハ イ ブリッ ド型有 限 要 素 法の汎 用性を利用して能 率 的に計 算 する手 法 を定 式 化し,
い く つ か の計算例に よっ てその有 効 性を例 示し た。 こ こ に議 論さ れ た定常波漂 流力の知 識だ けで は不 規 則 波 中の浮 体 の長 周 期 運 動を決 定 する に は十 分で は ないが, 文 献24) に 述べ ら れ た方 法を適 用す ることに よっ て,
上 記の定 式 化を長 周期変動 波漂流力の計算が可 能なよ うに拡 張する こ と は容 易であり,
これにつ い ては稿 を改め て報 告 する 予 定であ る。 謝 辞 本 研 究の一
部は文 部 省 科 学 研 究 費 補 助 金お よ び鹿 島学 術 振 興 財団研究助 成の援助に よ り行わ れ たもの で あ る。 本研 究 を 遂 行する に際 し て,
英 国University
Collge
London のR .
Eat
。ckTaylor
教 授に は貴重な御助言 を賜っ た。 ま た本 原 稿の作 成に当たっ て
,
名 古 屋 大 学 工 学 部の野 崎 公 隆 技 官には多 大の御 協 力を頂い た。
こ こ に記 して深 甚の 謝 意 を 表 す る次 第で ある。 な お数 値 計 算に は 名 古屋大 学 大型計 算 機セ ンターFACOM
M−
382が使用 さ れ た。一
90
.
一
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