IRUCAA@TDC : 第280回東京歯科大学学会インプラントシンポジウム : 症例提示 インプラント周囲炎を発症した症例,インプラント周囲骨に変化を認めた症例,天然歯と連結したインプラントの骨結合が喪失した症例
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(2) 歯科学報. Vol.1 0 7,No.2(2 0 0 7). 1 9 5. 症例提示. インプラント周囲炎を発症した症例 インプラント周囲骨に変化を認めた症例 天然歯と連結したインプラントの骨結合が喪失した症例 藤関雅嗣 東京都. ・インプラント周囲骨の不透過像と細菌感染の因果. 1.症例提示 「インプラント周囲炎を発症した症例」. 関係 ・インプラント周囲バイオフィルムの最新知見と除 去方法. 初診:1 9 9 1年3月 5 7歳女性. ・術前診断やメインテ ナ ン ス 時 の リ ア ル タ イ ム. 6 ̄ 7 動揺による咀嚼障害 主訴:|  ̄. PCR 法細菌 DNA 検査の有効性. 口腔内所見:残存歯は重度慢性周囲炎であった。 6 ̄ 7 抜歯後インプラントを応用し経過 処置方針:|  ̄. 2.症例提示 「インプラント周囲骨に変化を認めた症例」. 観察に移行した。 6 ̄ 7 インプラント埋入 症例の経過:1 9 9 2年|  ̄. その後約9年間順調に経過したが,定期的メイン. 初診:1 9 8 8年1 2月 6 0歳女性. テナンスが途絶えた2年後の2 0 0 3年1 2月,インプラ. 主訴:臼歯部咀嚼障害. ント周囲歯肉の腫脹で再来院された。口腔内所見. 初診時歯式: 7654321|1234 8 21|123 67. は,インプラント周囲上皮の発赤腫脹,インプラン ト周囲ポケットからの排膿(図1ab)。X 線所見と してインプラント周囲骨の不透過像が認められた (図2ab)。. 口腔内所見:下顎テンポラリー義歯は違和感から使 用されず,1 9 9 0年下顎右側欠損部にインプラント埋 入を計画した。欠損部顎堤は骨幅が狭小で,高さは. 対応処置:週1回通法希釈クロールへキシジン(パ. 残るものの,歯肉頬移行部にはアンダーカットが. ブロンうがい薬) によるポケット内洗浄,ならびに. あった。. プラスチックスケーラーによるバイオフィルムの除. 6 ̄ 5 ̄ 4 処置方針:骨の条件が良い ̄ |部に3本のイン. 去を3ヶ月行い,さらにミノサイクリンの局所応用. ⑥ ̄ ⑤ ̄ ④ ̄ 3 ̄ 2 プラントを埋入した。上部構造は ̄ |の前. を週1回4週行った。また患者にブラッシングの強. 方カンチレバーブリッジで術者可撤式とした。又. 化を確認した。. 5_ 6_ 7 欠損は局部義歯を装着した │ _ (図1a) 。. 処置の結果:周囲上皮の発赤,腫脹ならびに排膿は. 症例の経過:経過観察により上部構造装着後6年経. 消 退 し(図1cd),1年7ヶ 月 経 過 し た2 0 0 6年4月. 過時にインプラント周囲上皮の増殖を確認したが,. 現在も2 0 0 4年6月の状態と同様に安定している(図. 上皮の発赤はわずかで排膿は認められなかった。X. 2c) 。. 線所見ではインプラント頚部の著しい骨増殖ならび に,インプラント周囲骨の不透過性亢進が確認され. 問題提起. た(図1b) 。そこで咬合力の関与を疑い患者に確認. ・歯周病を有する口腔内へのインプラント応用で注. したところ,上顎左側義歯はほとんど使用していな. 意する点. いということだった。咬合力計による診査でも右側. ・インプラント周囲ポケットから排膿を認めたとき の対処法. インプラント部では最大7 5kgf,左側義歯部では最 大2 2kgf と左右に大きな差が認められたため,上顎. ― 43 ―.
(3) 1 9 6. インプラントシンポジウム. 症例1 図1ab(上左右) cd(下左右). インプラント周囲上皮ならびに天然歯歯肉の発赤腫脹排膿を認める。 対処療法を行い症状は緩解し2 0 0 6年4月現在も安定している。. 症例1 図2a(上左) b(上右). インプラント埋入直後はインプラント周囲に骨不透過像は認められない。 約1 1年経過しインプラント周囲ならびに前方天然歯周囲に不透過像が認めら れる。 c(下左) 消炎後もX線像にあまり変化はない。 ― 44 ―.
(4) 歯科学報. 症例2 図1. 症例2 図2. Vol.1 0 7,No.2(2 0 0 7). a(左上下). 口腔内写真より上部構造外冠,内冠,インプラントマージンが確認できる。デン タルX線ではインプラント間の骨は平坦である。 b(中上下) 口腔内写真から周囲上皮の腫脹が認められ外冠マージンしか確認出来ない。出血 排膿はない。デンタルX線では骨の増生と不透過像の広がりが認められる。 c(右上下) 上顎インプラントにより左右の咬合力の是正をはかった。周囲上皮の腫脹はわず かにおさまり内冠マージンを確認することが出来る。デンタルX線では増殖した骨 形態の僅かな変化が認められる。. a(左). 1 9 9 6年リコール時:プラークコントロールは良く歯肉も安定しているが上顎義歯は ほとんど使用していなかった。 bc(右上下) 上顎義歯をインプラントに変更した。患者には左側でも咬合するように指示した。 ― 45 ―. 1 9 7.
(5) 1 9 8. インプラントシンポジウム. 症例3 図1. 6 部インプラント頸部の骨が透過性であるが骨欠損は無 a(左上) 1 9 9 0年インプラント埋入時| ̄ かった。 b(右上) 1 9 9 1年上部構造装着時大きな変化は無い。 c(左下) 1 9 9 7年インプラント除去用のトレフィンバーを使用中の状態:バー内部に破折したイ ンプラントが確認出来る。 d(右下) 骨治癒後インプラントを再埋入し,天然歯と連結しない上部構造を装着した。. 症例3 図2(参考症例) 下顎左右側インプラントは天然歯と連結し,セメント合着されているが約 1 8年経過良好である。 ― 46 ―.
(6) 歯科学報. Vol.1 0 7,No.2(2 0 0 7). 1 9 9. 左側欠損部にもインプラントを埋入し固定性ブリッ. を行ったが(図1b) ,約3年間の中断後1 9 9 7年にイ. ジを装着し咬合力左右差の是正をはかった(図2) 。. ンプラント周囲ポケットからの排膿で再来院され. その結果2 0 0 1年のリコール時には左側でも5 0kgf を. た。インプラント体は破折しておりX線診査でイン. 計測し咬合力の左右差は改善傾向を示した。また X. プラント周囲骨に,さら状の骨吸収を認めた(図1. 線所見でも増殖した骨形態に変化を認めた(図1c) 。. c) 。インプラント体除去約1年後,骨の治癒を待っ てインプラント再植立を行い,天然歯と連結しない. 問題提起. 4 ̄ 5 の天然歯 上部構造を装着した(図1d) 。また|  ̄. ・インプラント周囲骨 X 線不透過性の亢進につい. は抜歯せずに保存した。失敗の原因として,. て(良い骨なのか. 悪い骨なのか). ・動揺天然歯と連結したため,インプラント体に過. ・長期的なインプラントと骨のオステオインテグ レーションの関係変化について. 重負担がかかった。 ・破折したインプラント体は舌側傾斜して埋入され. ・この様な変化はインプラント除去につながるのか. たため側方力がかかってしまった。. ・インプラント頸部の骨吸収や増殖の関係. などが考えられた。しかし,動揺の少ない天然歯 と連結したその他の症例では,経過が大変良く, 1 9 9 0. 3.症例提示 「天然歯と連結したインプラントの 骨結合が喪失した症例」. 年以前に天然歯と連結した2 6症例中2 4症例が現在ま で問題なく経過している(成功率9 2%) (図2) 。残存 する最後方歯に近接する欠損顎堤では,斜面状に骨. 初診:1 9 8 8年5 2歳男性. 吸収していたり,骨幅が著しく狭い場合が多く,イ. 主訴:歯の動揺による咀嚼障害. ンプラントを1歯分遠心にずらして埋入することが. 口腔内所見:重度の歯周病による歯牙の動揺,移動. ある。その様な場合,前方カンチレバーの上部構造. 6 ̄ 7 欠損により臼歯部咬合支持数の不足並 があり|  ̄. にするよりも,動揺が少なく,すでに失活している. びに上顎前歯部での著しいフレアアウトが認められ. 前方天然歯と連結固定した方が,症例の経過からも. る。. 予後良好といえるかもしれない。. 処置方針:歯周基本治療後 MTM を行い歯軸の整 6 ̄ 7 欠損にインプラントを埋 直をはかり,さらに|  ̄. 問題提起. 4 ̄ 5 動揺歯と連結固定した。 入し|  ̄. ・インプラントの被圧変位性といった力学的視点か. 6 ̄ 7 にインプ 症例の経過:上顎補綴終了後1 9 9 0年|  ̄. ラントを埋入し(図1a) ,上部構造装着後経過観察. ― 47 ―. ら天然歯との連結は妥当なのか。.
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