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現代商業論 (江頭恒治博士還暦記念論文集)

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現 代 商 業 論

序 論  現代の商業機構、=商業経営上の重要な諸問題を、各方面に亘り体系的、綜合的にとり上げることは、本稿の意図す るととろではない。むしろ、現代商業論体系化の重要因子と煮えられる若干の問題をとり上げて、他日の新しい商業 論構想の覚書としておくととが、との小論の目的である。  一九六〇年代は技術革薪の時代といわれている。わが国においても、生産は飛躍的に上昇し、他方においては大量 消費時代が出現しつつある。このような生産と消費の著しい伸長に伴い、その流通機構または商業機構、商業経営に おいても、注目すべき変革が展開されようとしている。  ところで、商業乃至配給の過程は、生産と消費との中間にあって、両者を社会的に統一する過程である。従って商 業機構乃至配給過程の発展変革は、生産並びに消費の両過程の発展変革に強く条件づけられると同時に、生産.消費 の両過程は、商業乃至配給過程の変化により影響されるととは当然で、商業と生産・消費とは相互媒介的な関係に立 ちながら自己の変貌を遂げてゆくものである。

    現代商業論︵芳谷︶      一五五

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      一五六  生産における括目すべき技術上の革新、および消費方法、消費構造の顕著な変化、これ等は商業機構や商業経営を 如何に変革し、如何なる性質の問題を提起してゆくものであろうか。こ・ではその最も注目すべき竜のの﹁部をとり 上げるにとどめておく。 二 生産↑過程の変革−と商業心機構  生産過程の変化が、商業機構に与える変化は根本的で且つ広汎であるが、 こ・では商業と最も密接な関係のある生 産上の変化について二つの問題をとり上げることとする。  ω 技術革新と新製品の配給上の特質  上述の如く、今日は技術革新時代といわれるが、こ・にいう技術革新は、いうまでもなくそれは経済概念に制約せ られた技術革新であり、従ってそれは工企業的技術革新を意澄する。なお、技術革新時代とは単に新技術の発明発見 が行われる時代というのみでなく、質的にも高度の科学技術が、また量的にも広い領域に亘って、相次いで新しい技 術が開拓されてゆく時代であると理解してよいであろう。  現代の技術を前時代のそれと比較するに、前時代の技術は伝承的、主観的、体得的であり、それ故に技術は部分 的、断片的であった。とれに対して近代の自然科学の基礎の上に立つ現代技術は、知識的、主観的、修学的であり、 同時にそれは全体的、体系的であるととをその特質とする。か・る現代技術による商品の生産では、 一つの新製晶を 作り出すと、次の新製品を形成する新しい方法乃至技術を媒介し、 それは連鎖反応的に且つ加速度的に新しい新製品 を生み出し、これが市場に出廻ることとなる。 一年前の商品はその性能、形態、デザイン等において旧式化し、陳腐 化して商品としての市場価値を半減する。市場にある商品は一刻の停滞も許されす、最終消費者の欲望充足に当てら

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} れねばならない。一般の商品について重要な市場機能と目される保管11時間的効用の創造︵二目①ロ臣尋︶は、技術革新 時代の多くの新製品にについては、むしろ商品価値の減少を招来する。  科学技術の進歩が或る一定の水準に固定的であるか、漸進的の時代の商品は、これが大量に市場に出廻って、価格 の下落を来すおそれのある場合には、図る一定期間この商晶を保管して、供給を調節することによって、市場価格の 上昇をまち、再びこれを市場に持出すことによって、生産者または商業者は、損失の危険を回避し、或はそれによっ て収益の増大を企図するととができる。蓋しその間に新商品が競争的に出現するととによって、販売市場を奪われる 危険がないためである。  しかし、新しい技術が絶えず導入せられ、新しい商品が次々に現われる場合には、事情は大いに異なる。大量の商晶 を急速に売捌くことの利益の外に、新商品の旧式化、陳腐化の危険から生する損失を回避する必要が強力に要求せら れるところがら、こ・に従来の単なる販売︵ω旺Φo。︶活動から、動的、総合的活動であるマーケティング︵目9。爵①自poq︶が、 企業経営上不可欠のものとなる。  こ・にマーケティングとは﹁財貨の所有権の移転を遂行する努力と、財貨の実質的分配を按排するすべての企業上 の経営活動より成る。それはただ、通常生産過程或は製造工程と見徹される財貨の形状に変化を加える作業を除外し         ては、生産者から・消費者に財貨が分配される過程において遂行されるあらゆるサービスと諸機能を包括している﹂と 理解してよいであろうが、それが広汎に企業経営に急速に導入せられた動機または理由は、現代の生産は大量生産 ︵雲叢]・ω己8皆〇二〇ロ︶であり、大量生産は大量販売︵日p。ω叩巳ω窪σ三6鐸︶なくしては成立し得ないが、この大量販売の前提 をなすものは、大量消費︵HP”ωω一OO口ω口bP燭δ剛Oコ︶である。かくて消費者の需要の動向を正確に把握することこそ、今日の生 産の出発点であると考えられるに至った。しかして、大量消費を担う消費者は今日では未知の腰客大衆であり、 この

    現代商業論︵芳谷︶       一五七

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      一五八 未知の顧客大衆の潜在的需要を刺激して、需要を創造する必要がある。すなわちと・に製晶計画、販売経路の選定、 売価政策、広告その他の販売促進等の諸活動から成るマーケティングが今日採用されるに至ったわけである。勿論、 筆者もマーケチングの急速なる一般化について、右の事実を否定するものではない。しかし、大量生産に対する大量 販売、その前提をなす大量消費の存在、すなわち未知の大衆に大量の需要を喚起する必要は、必ずしも今日に発生し た経済現象ではなく、わが国においても資本主義の高度化をみた戦前既にマーケティング活動の必要性は十分存在し ていたとい・得る。にもかかわらず、 マーケティングは戦前ておいては配給なる邦語で呼ばれ、そのもつ意昧も﹁社         会的に生産された活語が、最初の生産者から最後の消費者に向って、社会的に転々と流通して行く現象をいい﹂それ はむしろ、国民経済的立場に立つ布場経済理論であった。それが今日急速に唱導せられるに至った理由乃至動機には、 単に大量生・産、大量販売という理由の外に、技術革新という要因が、とれとからみ合っているととを看過してはなら ない。単なる大量生産、大量販売は必ずしもマーケテング活動を不可欠のものとしない。それは前述の如く、需要供 給の理論により、不利を忍んでも罷る期間商品を市場に出すととを手控えることにより、供給の減退による市場価格 の上昇をまって、これを市場に持出して販売することができる。しかし、この理論は、今日の技術革新時代の商品に は妥当しない。﹁つの新しい商品を追越してまた次の新しい商品が市場に現われる経済祉会では、出来た商品は生産 者から消費者へよどみなく配給されなければ、生産者も商業者も非常な損失を蒙るとととなる。すなわち、大量生産 も  も  も  も   も      も   も  も   し  し   し   し  し  セ   セ   も   も   も   し  し   し      し   し   セ   し  し  し   し   し  へ   も   も  も   し   し      ら  も   も  も   し  し  し  も と大量販売、大量消費の間に存在する時間的隔離︵叶一望P① 自一の辞m口O①︶を最少ならしめんとする努力が、今日のマーケテイ し   し   も   も   し      エ   も   も   も   た   し   も   し   も   し   し   も   し   セ   も   し   も   も   も   も ング活動を、 一般的且つ強力なものたらしめた理由であるという側面を見落してはならないというととである。  生産と消費との時間的隔離を歴史的に跡づけると、自己生産および註脚生産の段階では、生産と消費との時間的隔 離は殆んど存在せない。商品生産の段階に入って、生産二心の経済は分業と迂廻生産のため、生産と消費との間に時

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華墨隔離を生じ、商品生産の発展と共にその隔離は益々拡大していった。しかるに、消費を前提とする技術革新と大 量生産のマーケティング時代に入るや、この生産と消費との時間的隔離を除去せんとする経営活動の発展がみられる こととなる。すなわち、生産と消費との時間的隔離のいよ/、拡大化の進行と、とれを否定せんとする経営活動との 矛盾の統一とが、マーケティングであるとのみかたも成立することとなる。

 ②有潔品の一般化

 とこに商標︵σ冨巳︶とは、ある商品またはサービスを保証するために用いる言葉、マーク、表象、意匠またはその        結合されたものをいい、有標品とはかかる商標を設定ナることにより、 一定の晶質、内容が確実に保有されているこ とを表示された商品である。商標の保証機能といわれるものである。  有標品は商品の標準化︵qoθ鐸ロユm円三一N曽け凶O昌︶の発展とともに確立する。標準化とは﹁︸定娘盛の品質器よび内容が、標 準的に均等性を有するに至る場合であって、 一つは商晶の品質・内容が均一性を有することと、二はその均一性が商        ④ −品としての適性を具えて標準的なこととの二条件を要する﹂。商晶の標準化が発展するに従ひ、取引は見本取引から 銘柄取引、更に標準物取引にすΣみ、売買取引を単純化し迅速化すると同時に、商品の実質的配給、すなわち、運送 ・保管・金融を助成する。  生産が手工業またはそれ以前の経済未発達の時代においては、所謂商標は所有界であり、次いで入名標となった が、とれは現代の有標品とはその成立の原因を異にし、中世の商取引では貯蔵中の商品を区別するために用い、後に        至って、同業組合がこれを以て生.産地の労働の質を確保する手段として使用するに至って重要性を加えた。  生産が個人の手工的塾練による生産から、近時の機械生産に・更にオートメーションに進展するに従って、製造品の 品質の均一化・定型化・標準化が確立するが、同時にこのことは、生産者は消費者から入塾的、場所的、時間的、感     現代商業論︵芳谷︶       一五九

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       一六〇 念的に分離してゆくこととなる。生産者の商晶は未知の顧客大衆の申に他の商品の群と区別せられ,ることなく、無名 のまま没してゆくこととなる。 ﹁方、消費者は生産者から経済的にますます隔離され、予算の品質・内容に対す知識 、を著しく喪失する。この生産と消費の矛盾を統﹁する﹁方法として、生産者或いは製造業者は自己の製品に商標を設 定し、との商標という記号の中に存する品質・内容について保証を与え、とれを広告という手段により消費者に自己 の商品の特性を強く訴える。  商標晶には生産者、製造業者による生産商標品または全国的商標品︵コ曽ユOコ曽一 ぴ﹃四昌ユOαm含OOユω︶と、中間の卸売業者、 小売業者による商業商標品または個入的商標品︵Oユ︿鉾①び冨口α巴αqoaω︶との二つの形態がある。生産者が商標を設定 する理由としては、㈲販売促進を単純化し、㈲商標は消費者の再購入を助長し、㈲代替商晶を防衛し、同新製品の導 入を容易にし、囹再販売価格維持を安定化し、㈲価格の安定をより強固にし、園多数の商人が有標品を取扱うことを 歓迎する等の利点によるものであるが、それと同時に商標を設定することは、自己の商学の晶質・内容について、常 に責任を負うということを意味する。従って有標晶化は、ω販売促進の費用の増大、@品質の保証に対する責任の負 担、09小売業者中には有景品の取扱いはマージンの少いことから、これを忌避するもののあるとと等の経済的不利の あることも看過できないところである。  次に中間腎管が個人的商標を設定する理由をみるに、︵a︶消費者による反復購入の増大、︵b︶品質の高級化と斉一 化に対する寄与、︵c︶競争商店における販売商品の価格比較の最小化、︵d︶製造業者の商人排除政策に対する防衛手 段、︵e︶既に得意先をもつ商人の方が製造業者よりも.顧客による商標の受入れが容易であること、︵f︶商業商標の方 がより低廉な価格で、より大なる収益を挙げうること等を数えるととができる。しかし、商業商標にも次の如き限界 がある。すなわち、商業商標に対する製造業の馬肥で、とれに対処するためには相当の資本を必要とするが、大量購

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入をなし得ない商人にとっては個人的商標は競争上不利益に終るであろう。なお生産商標と同様、商業商標を設定し        た以上は常にその商品の品質・内容について責任の附随することを回避してはならないという問題がある。  大量の有心品が相次いて市場に流入することにより、商業機構が蒙るべき影響乃至効果について、われ/、はこれ を過小評価してはならない。  第一に有標晶制度の発達拡大に伴い、取得の困難な商品知識に代って、商標知識が現われ、これに従って生産者、 商業者の競争の闘争は、商品の価格または品質の競争から、消費者の意識の中に自己の商標を認識させることに優位        を得ようとする熾烈な闘争、広告の効果をめぐる闘争に代・ることとなる。所謂﹃商標闘争﹄.、σ鋤巳⑦o断9Φぴ鑓昌αご は現代のマーケティングの顕著な特質をなしていることは周知の事実である。この商標闘争は生産商標と商業商標と の間に、また生産商標、商業商標相互の聞に凌駕的闘争の形で展開されつつある。  右の如き商標闘争は、必然的に広告競争から結果する大きな無駄を招来するのみならす、更に重大な問題として、        品質の改善、価格の引下競争を第二次的なものにおしやる弊害が生すると非難する論者もある。との非難に対しては 全面的にとれを否定し得ないにしても、 いま一歩をゆつって、凌駕的な商標闘争が、品質競争、価格競争を闘争の外 におくとしても、品質や価格の競争を伴わない商標闘争が、長期に亘って永続するという証拠はどこにも見出されな い。結局自重の商標名消費者の感念の中に強く植付けようとする熱心な競争過程において、大量需要を創造して大量販. 売に導き、その結果製品の品質の改善、コスト切下げに向うことは疑いないところである。ところで今日のマーケテ ィング活動の﹁つの重要な原理として非価絡競争︵昼。㌣只ざ①8旨℃㊦け三8︶の原則が主張されているが、これは品質競 争を廃止して、価格を常に不変に保つ競争を意味するものではなくして、価格切下げ以外の方法によって需要数量を 増大せんと企図するもので、その需要の創造の手段としては、各種の販売促進、営業スタンプの利用、流行による競

    現代商業論︵芳谷︶      一六一

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      ﹁ニハニ 争に加えて、晶質おをびサービスによる競争が重要な手段として強調されている。この問題に対する結論として、わ れわれはじq①6評∋β。Pζg。︽ロβ。﹃PU餌く嵐。。oの教援と共に,次の如くいうことができるであろう。われノ、の経済的福祉         は、商標闘争を抑制するととによっては最大の効果を期待し得す、むしろ真の完全な競争によってとそ獲得できると。  有画品化が商業機構に器よぼす第二の点は、中間商人の生産者への従属化の問題である。前述の如く、商品の有標 品化は生産者が行う暢合もあり、商業者がなす場合もある。しかし、生産者の場合が遙に広汎であり且つ強力であ る。この際生産者はその商標の設定と広告とによって、消費者との隔離を克服して直接の連絡関係に立つ。すなわ ち、生産者は自己商品に一定の商標を附すると同時に、多くの場合再販売価格を設けて、これを広告、宣伝によって 広く消費者の認識を得ようと努力する。最終の消費者がその商品を購入せんとする場合には、配給経営者は生産者が 責任をもつ品質・内容の商品を、生産者の附した価格で消費者に引渡すよう拘束せられる。こ・に商人の独立性は減 少し、生産者への従属が進行する。しかも、最初生産者はその商品について通例中間のマージンを縮少せんとする傾 向があり、従って寮母の従属性はますノ、強化せられることとなる。これに対する防衛手段として、商業者は自己の 商業商標を設定して対抗し、また商業組合を結成してその組合の商標を創設して対抗したが、これは効果的であっ        て、生産者は商業者のマージンを商業者が適当と認める程度まで緩和するに至った。  商業者の従属化はとりもなおさす、商業者が差益商業から手数料商業へ転化することを意味する。有標品が未だ一 般化せない時代には、商業者は安きに仕入れ高きに売る自由競争の基盤の上に独立性を保持していたが、有標品が消 費者が特に信用をおく商品部門から、完成商品の全部門に拡大するにおよんで、商業者は好むと好まざるとにかかわ らす、彼の取扱商品の多数が有無品に転換せざる得ないこととなり、生産者の決定した憂心の下に盛る一定の手数料 を得て配給業務に従事する手数料商業に転化、換言すれば生産過程に生じた利潤の分配に与る商業者としての性格を

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明確にしたといい得る。  第三は有標品の拡大は市場の独占化を助成するということである。代表的な有標品をもつ製造業者は、専属代理店 制度または特約販売制度を採用し、自社の製品の全種目または二・三の種目について、指定地域における販売の独占 権を与えると同時に、指定地域以外の市場には販売せないという約束を、卸売業者または小売業者と契約或は協約を 結ぶものであるが、との場合多くは販売割当の如きものを実施する。この制度はわが国では一般に系列化政策と呼 び、過去数年間急速にその発展をみっつある。      野  系列化政策導入の理由をみるに、割当販売の如きものを実施するととにより、製造業者は一定量以上の販売を確保 し、企業経営の安定と利潤の増大とを図ることができ、との制度を利用するととによって、再販売価格維持の実行を 容易にし、且つ一定の経営規模、信用ある業者にのみ専属代理店を認めることにより、取引より生する危険、損失を 回避するととが可能となる。また製造業者は中間の卸売業者、問屋を排除して、直接小売店に商晶を配給するととに より、配給経路の短縮化、単純化を実現せんとする場合がしば/、ある。かくて、製造業者はとの制度を導入するこ とにより、販売促進の諸活動を容易に且つ強力なものとすることができる。しかしその反面、 この制度は製造業者に とっては、市場拡大には必ずしも適当な方法といい得す、卸売業者、小売業者は競争会社の製品を取扱い得ないため 販売を拡大し得ない等の短所がとれに伴う。  これを要するに、専属代理店制度または系列化政策は、商業者に対する従属化と独占化の結合した政策であるが、 それは同時に配給径路の短縮化、単純化を齎すものであり、この制度の発展は商人排除の傾向を促進するものともい いうるであろう。  第四に有標品の一般化は、商品を最寄商品化する傾向のあることを指摘したい。前述の如く、有標品化は商品の標

    現代商業論︵芳谷︶        、       一六三

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      一六四  準化のす・んだととろに確立するが、商品の品質が均一化し、商品としての適性を具備するよう標準化されたもの  に、品質・内容を保証する商標を附し、価格を公示することにより、商品知識に無知な消費者も、商品の選択に時間  と精力を費すことから解放せられて、安心と信頼を以て容易迅速に確実な購買を済すととができる。このととは、概 ・論的にいって、選択品であった商品を最寄商晶化するものといいうるであろう。尤も、これは消費過程の変化、例え  ば所得、消費水準の上昇、生活様式、購買慣習の変化等の諸要因を看過してはならないことは勿論である。   最後に、有間品の発展は、小規模経営の商業を量的に著しく増大せしめるとととなる。有望品制度が確立するに従  って、商業者は商品知識の取得から免れることができ、若し有宇品制度が﹁般化せない場合には、何等の専門知識を  所有しないため、商業経営に従事し得ないような者も、容易に商品販売の分野に入り得ることとなる。かくて有標晶  が発展するに従って、小規模の商業経営が量的に著しく増加するとととなる。   有馬品の発展拡大は、一方において独占化をおしすすめ、他方において小規模経営の量的増加を招来する、相矛盾  した要素を内包しつつ現代の有心品制度はますノ、その発展の過程を進んでゆく。

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じロ①簿葺雪︾日明.蜜㊤旨曽鼻円国.U磐置ωoP窺.即源ぢqロδωo︷家宅昂卑げびQ”の乳房”お㎝8即爵 谷口吉彦 配給通論 五頁。 ℃営臣冨縛ρ閃﹂︶賃昌8PU.匂.言胃寄菖旨ゆqゆGQaoPHOαメ℃●課らQ. 谷口吉彦 前掲書 四六頁。 向井梅次 配給市場論概要 一八頁。 頃三罠霧℃∪ロg餌Poマ⊆f即㎝齢−釦ミし 向井梅次 前掲書 二〇頁。 ℃窪まOu。・”U自ロ8PoPoド”即呂O・

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⑨℃三録09U自。餌p8●6一梓ご国瞬9 ⑩向井梅次前掲書二一頁。 三 消費過程の変化と商業機横⋮   無形商品に対する需要の著増  生産の終局目的が消費にあることは自明の理である。われノ、の日常生活は絶えざる消費の連続である。この不断 の消費に対応して絶えざる生産、しかも大量の生産が常時展開される。  ととろで、今日は大量消費時代と称せられるが、戦後わが国の消費構造は著るしく変化し、消費革命時代とも呼ば れている。それは高度の消費と消費構造の飛躍的な近代化を意幽する。  近時の消費構造の中で特に注目すべぎ変化の一つは、無形商品に対する需要の著しい増加であろう。  一般に他人の欲望充足のため市場にて販売される澄すなわち商品は、大別して有形商晶と無形商品に区別するとと がでぎる。有形商品とは実体のあるもの、.具体性を具備している商品であり、普通の商晶はこの種の商品に属する。        とれに反して無形商品とは実体の無いもの、具体性を有せないもので、或は用役給付︵臣⑦房二Φ幽ω言置ぴミ︶の概念と略ζ同 一のものといいうるであろう。或は両商品の区別を、有形商品は一般に生産と消費との聞に時間的場所的隔離の存在 するものなのに対して、無形商品はその生産と消費との間に時間的、場所的隔離の存在ぜないもの、換言すれば生産 と同時にその場所で消費せられる特性を有するものと理解してよいであろう。  商業11配給対象としての商晶は、とれを最広義に解するときは普通の有形の商品はもとより、無形の商品としての 用役︵ω臼鼠oρUδ房げ︶蔚よび労働力更に無形の権利またはその表象としての有価証券も包含する。次にこれを狭義に     現代商業論︵芳谷︶       一六五

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       一六六 解するものは、有形商品と用役のみに限定し、労働力と有価証券とを除外する。しかし一般には、配給対象の商晶は         最狭義に解して有形商品にのみ限定する学者が少くない。  無形商品を商業11配給の対象から除外する考え方には、筆者は予てから賛意を表しかねていた。というのは、との 種の商品は、前時代ならびに資本主義発展の初期の段階では、その種類も僅少であり、全商品中に占める地位も重要 ではなかった。しかし、経済の発展と文化の向上は、との種の無形商品の生産と販売および需要を飛躍的に増大し、 無形商晶すなわちサービスを販売する経営が急速且つ全面的に増加し、企業経営上からも、また国民経済上からも重 大問題たるを失わない現在、とれを配給対象に含ましめないととは、学問上からも、また実際上からも現代の商業の 理解を欠くものとして適当といえない。尤もアメリカの学者中には早くからその重要性を認識して、配給対象に加え る者が少くないが、学問的体系において多少欠けるところがあるにしても、 われノ、はむしろこの態度を選ぶべきで あると考える。         さて、無形商晶には種々な類型があるが、いま松葉博士の分類に従えば、  ︵A︶ 動産、不動産の経過的価値  例えば貸ビル、貸家、貸車、代車等の如きもので、動産または不動産の占有権或は使用権を一時的または永久的に 移転するもので、とれは動産または不動産の経過的価値の売買取引である。  ︵B︶ 財産の使用権としての商品  農地以外の土地の借地入は土地所有権から派生する使用権を譲り受けるととによって地代、権利金を支払うが、と の権利は今日商品化している。  ︵C︶ サービスとしての商品

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 サービスは更にこれを分類すると  ω修繕業や委託子等の提供するサービス、②運送サービス、㈹保管サービス、ω︵a︶旅館、下宿屋、貸席等のサー ビス、︵b︶飲食店、料理屋等のサービス、,︵c︶遊戯場等のサービス、︵d︶派出婦人会等のサービス、︵e︶理髪店、美 容院、風呂屋のサービス、︵f︶医師、病院、助産院長のサービス、︵9︶興行等のサービス、︵h︶知識、情報等の提供 としてのサービス、 ︵・−︶僧侶、神職等の宗教的行事もサービス化し商品化している、 ︵一︶弁護士、会計士、建築士 の勤労もしばノ、サービス化し、商晶化している。 ︵k︶仲介周旋業のサービス、 ︵1︶信託会社、保険会社の提供す るサービス等、実に今日は無数の無形商品が社会に提供されて、商晶として売買取引されている事実にむしろ驚歎す る。  次にこの無数の無形商品が作り出された社会的、経済的根拠をみるに  第一には社会における分化乃至分業の法則の発展を指摘するととができる。いまこれを家庭生活についてみるも、 前時代の家庭生活と現代のそれとを比較すると、かっては家庭という個別単位節で未分化の状態で行われた生産と消 費とが、家庭以外の仕事とな夢、その大部分が無形のサービスなる商品として提供せられるに至った。生産、食事、 医療、教育、美容、娯楽が、今日では生活資料の大部分は工場内で行われ、食事は食堂、喫茶店、料理屋の提供する サービスに、医療は病院、医師、接骨院、按摩院の提供するサービスに、教育は学校、教習所のつくり出すサービス       も に、美容は美容院、理髪屋、風呂屋の提供するサービスに、娯楽は映画、演劇、音楽会、舞踏場、プロ野球、競馬、 さては碁、将棋に至るまで家庭から分化して、それ等の提供するサービスなる無形商品をわれノ\は購入する形態に 変った。  無形商品著増の第二の根拠は、資本主義の発達と共に、すべてこれ等の仕事を企業化し、より優良な無形商晶とし     現代商業論脚︵芳谷︶      一山ハ七

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      一六八 てより低廉な価格で提供することが一般化したことによる。入々は家庭内における重い労働や、厄介な雑用から解放 せられて喜んでそれ等の商品の購入を外部の企業に求めたが、そのととが逆にまた企業を刺激して、いよノ\多種多 様の無形商晶の創造をすすめてゆく結果となる。  第三の根拠は、産業革命以来生産手段の進歩発達に伴い、人間が仕事に拘束される時間が短縮され、丈化、教養方 面に使い得る余裕を生じたが、 この傾向は機械生産の高度化、オートメーション時代に入って、益々顕著にならんと している。同時に人々の所得も増大し、かっては一部富裕階級の独占物の観があった襯光、観劇、ホテル、料理屋、 ダンス等が、 ﹁般に大衆化した。  第四には﹁般の人々の思想の変化を挙げるととができる。わが国においても従来の東洋的禁欲思想に代って、戦後 自由主義が七会の基調となるに従い、人生をよき意味で享楽せんとする思潮が濃厚となり、そのととが無形商品の発 展に拍車をかけることとなった。  最後に無形商品に対する需要が著増したととにより、商業機構に如何なる変化を与えたかをみるに、既に述べた如 く、今日は家庭や商店で従来提供されたサービスが、無形商品として専門の企業がこれを作り出して提供する傾向が 非常に強く、かかるサービスを販売する商業経営が著しく増加してゆく傾向は、世界共通の現象である。映画、演 劇、音楽、各種スポーツから貸ビル、 貸家、貸自動車、ホテル、旅館、図書館、美術館等と有形の商品とは異なる商 品が驚異的な勢で販売されるに至り、商店街においても、従来みられなかったとの種の商店が多数現われ、商店街の 構成が著しく変化してゆくのが今日の商業の大きな特徴の﹁つである。 ①E・グーテンベルグ溝口一雄、高田馨訳 ②谷口吉彦配給通論三六一三七頁。 経営経済学原理 一頁。 ず

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③松葉栄重商業概論六五⋮六九頁。 四 結 証 阿口  商業は生産と消費との両過程の統一の場である。従って多くの場合、生産、消費の両過程の発展変化に照応し且つ 制約されるもので、商業がそれ独自の発展を遂げることは、どちらかといえば稀である。わけても生産方法の発展変 化は商業に対して決定的な変化を与える。商業に対するかかる理解は必ずしも新しいものではないが、従来の商業の 学問は、ややもすれば商業を生産、消費の両面から切り離し.て静態的流通機構にかかわるものとして取扱った。  筆者はこの小論において、生産過程における近時の顕著な変化の﹁つとして商品の標準化、有標品化に着目し、と れが商業機構に与える影響として、市場を独占化、系列化に導くと共に、商業者を生産者に従属化し、手数料商人化 することを結論づけた。  次に消費過程における近時の注目すべき現象として、無形商品とその需要の著増をとり上げ、これが商業機構に与 える変化として、サービス業増加の傾向を指摘した。  現代は技術革新の時代であり、、消費革命の時代といわれる。生産の側においても消費の側に割いても括目すべき変 化が進行しつつある。商業過程にも重要にして本質的な変化が展開しているが、これ等の変展変化を包括した体系的 な現代的商業論が待望せられるわけである。 ‘ ” 現代商業論︵芳谷︶ 一六九

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