• 検索結果がありません。

化学物質管理に 事業者はどう取り組むべきか

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "化学物質管理に 事業者はどう取り組むべきか"

Copied!
56
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1

化学物質管理に

事業者はどう取り組むべきか

平成24年11月12日

東京都VOC対策アドバイザー

(労働衛生コンサルタント)

岡田賢造

東京都化学物質対策セミナー

月島社会教育会館

(2)

経営トップの姿勢

「木はテッペンから枯れる」という。

「労働災害の防止・

健康障害の予防は経営トップの姿勢と熱意にある

法令・作業手順を守らない職場風土病がないか。

この風土病は社内に感染し、

業界の他の企業にも伝染する性質あり、

企業幹部はそれに早く気付く必要がある。

「安全配慮義務違反」(刑事、民事、行政、社会的責

任)が問われないようチェックし、健康障害予防の義

務を果さなければならない。

2

(3)

化学物質管理

(問題は使用現場で起こる)

化学物質を安全に管理して上手に使うこと ① 曝露を最小にする ⇒ 基礎知識が必要

② 職場や環境の濃度を安全な数値以下に

抑えること ⇒ 測定、許容濃度、管理濃度 ⇒ 工学的対策で安全濃度で扱う

管理面と実務面いずれも大事 ( 偏らないこと)

管理面:法令順守、教育、管理体制確立など

実務面:蓋閉め、環境測定、局排等の点検管理、

作業手順など具体的な実施操作

(4)

化学物質(有機溶剤)による

健康障害予防の基本活動

◆ 健康障害の予防重視(企業幹部の意識向上、方針と行動)

◆職場の作業環境測定(空気環境状況を把握と改善、

第3管理区分は直ちに改善)

◆曝露防止(現場の作業確認、法令・作業手順の順守)

◆職場の空気汚染防止(拡散防止協力と周知)

◆工学的対策(多様な発散防止抑制措置 ⇒ 工夫・研究)

①局所排気、②プッシュプル換気、③全体換気、④その他

◆選任作業主任者の職務(拡散防止指導、設備の点検管理)

◆化学物質 ( 溶剤 ) 取扱の労働衛生教育(繰り返すこと)

◆衛生委員会又は職場懇談会で対策話し合う(意見聞く)

4

(5)

5

最近の企業の基本方針

安全

品質 環境

社員の安全と健康を最優先。

本人、家族、企業、国も安泰 優秀な人材の確保・活性化 安全で良い製品生産とサービス で繁栄、品質保証による信頼と

顧客満足度の向上、雇用創出 環境負荷低減活動で、よりよい 社会を目指す社会的責任・信用

の確保業績向上

(6)

6

世界共通の企業理念

 『幸福な生活』 それは

「安全に健康で働けること」

経営者も労働者も感謝の気持

①健康で怪我のないこと(本人の苦痛、家族の心配、企業・職場に迷惑)

②生き甲斐があること(プロ意識を持って仕事をすると面白くなる)

③仕事が楽しく、面白いこと(自然な笑顔がでれば健全)

④自分にあった成長(精神的、物質的にも少しずつ、先輩の指導)

⑤良好な人間関係(挨拶、素直、敬意、正直が基本、無視しない)

⑥作業環境、労働負荷が適度であること(明日への活力、ライフワークバランス)

⑦適切な給料(生活費の確保)

(7)

7

労働安全と労働衛生の災害の特徴

◆労働安全= けが

原因:発生原因は不安全状態、不安全行為88%

挟まれ、転落など

結果:原因から結果まで短時間、個人差なし、客観的で目立つ

◆安全と衛生の両方が関与

原因:責任の不明確、作業マニュアル不備、安全衛生教育の不十分 ◆労働衛生= 病気

原因:危険・有害性の知識不足により発生

有害物質の拡散・曝露、作業環境管理不備、誤った保護具 の使用、物理的エネルギーの曝露、過重労働、対人関係、

ストレスによる業務上疾病、腰痛など

結果:じわじわ進行し、長期間かかって発症、個人差が大きい、

内容が複雑、目立ないので対応が遅れがち

(8)

8

☀労働衛生管理の基本

労働衛生は健康障害の予防である

労働衛生の3管理 5管理へ

1.作業環境管理( 物理・化学的因子による曝露防止、

特に空気環境、騒音、腰痛等 2.作業管理( 作業態様、保護具等

3.健康管理( 健康診断、相談、異常の早期発見、

心の健康(

メンタルヘルス

))

4.安全衛生管理体制( スタッフの権限と責任、

安全衛生委員会の活性化、 50 未満職場懇談会)

5.労働衛生教育(計画的に、特に有害物質取扱業務

は基礎知識)

(9)

事業規模に関係なく健康障害予防

のために順守すべき法令項目

①有機溶剤作業主任者の選任

②事業者の講ずべき措置

③局所排気装置等の定期自主検査

④化学物質の表示・掲示

⑤安全衛生教育

⑥作業環境測定

⑦特殊健康診断

⑧法令等の周知

⑨局所排気又は・プッシュプル換気装置の設置

総括安全衛生管理者 事業規模50人以上は 産業医の選任

衛生管理者の選任 毎月衛生委員会開催 事業規模10~49人は 安全衛生推進者の選任 事業規模9人以下は事業者

GPJAPAN20129月号の「化学物質による健康障害予防」参照)】

【印刷職場の労働衛生管理(日印産連) 参照】

(10)

10

労働安全衛生法は最低限の基準

◆労働安全衛生法の目的

:①安全と健康の確保

②快適職場環境の形成

◆企業が守るべき、安全と健康の

最低限の基準

を規定している。

従って、法規を守っていても、条件によっては完全では無い。

より厳しい自主的活動が必要である。

◆特に、有機溶剤、特化物など化学物質の取扱は、

曝露

を最大リスク

と捉え、曝露防止対策に取り組む必要がある。

◆その原点は事業者、企業の幹部の「働く人を大切にする心」にある。

優良企業は人を大切にしている。

◆安全と健康を確保していれば、何か起こっても再生できる。しかし、

最低限の法令さえ順守しない企業のニュース。

法令を知らなくて守らないのか?

知っていて守らないのか?

条文が多く、理解し難い声あり ⇒

重点的に本質理解へ。

(11)

安全衛生の規制レベル

法令違反

※厚労省・日印産連調査

約70%の企業

このレベルはリスクと費用 の関係で決める(社内で検 討)

少しの違反がエスカレート(倫理観、価値観が麻痺)

⇒先輩から個人・組織に感染:注意

両罰規定

(12)

化学物質の健康障害リスク

1.健康障害は職場空気の化学物質の曝露によって起こる。

2.化学物質の健康障害リスク

=気中濃度×取扱時間×毒性 ⇒ 健康障害は 個人、家族、企業、国家の

不幸と経済的損失甚大 ⇒ 健康な職場は、業績向上と企業発展の原動力

3.労働衛生管理の最低限の法令順守のこと。

4.最新情報:

労働基準法の女性労働基準規則の一部改正

(

母性保護

)

有害25の化学物質、次の業務は女性就業禁止

(H24.10.1

施行)

①局所排気等が無くて、送気マスクの着用義務の業務 ②作業環境測定結果が第3管理区分の屋内業務

12

(13)

主な化学物質関係の法令(参考)

1.健康障害予防 ( 作業者 ) 1)労働安全衛生法

①有機溶剤中毒予防規則

②特定化学物質障害予防 規則

2)化学物質審査規制法 3)毒物及び劇物取締法 3.その他 ( 保安防災)

1)消防法

2)高圧ガス取締法

2.環境保全 ( 生活環境 ) 1)化学物質管理促進法 (PRTR 法)

2)大気汚染防止法 3)水質汚濁防止法 4)下水道法

5)悪臭防止法

6)廃棄物の処理・清掃に関 する法律 ( 廃棄物処理法 )

13

(14)

14

☀有機溶剤業務とは

第1種有機溶剤(有害性高く、蒸気圧高いもの)7成分

第2種有機溶剤(第1種以外のもの)40成分

第3種有機溶剤(炭化水素混合物で、BP200℃以下 のもの)7成分

有機則第1条に有機溶剤業務を定義し、次の業務を指定、

法令の対象作業は

印刷、乾燥、接着、塗布、混合、攪拌、加熱、注入、

つや出し、洗浄、ろ過、試験・研究、タンク内業務

有機則第2条に、時間当たりの溶剤使用量が非常に少量 の場合、適用除外がある。

◆工学的対策で換気して、確実な曝露防止に努めてほしい。

作業環境測定実施義務(第1,247物質

5%以上

(有機溶剤中毒予防規則=有機則)

(15)

15

有機則の一部適用除外

■作業一時間に消費する有機溶剤の区分の使用量が、下表により 計算した「有機溶剤等の許容消費量」以下ならば適用除外

但し、大臣告示数値があり、係数を掛けた使用量が、許容消費量 以下ならば適用除外。労働基準監督署長に申請、認定が必要。

■例えば、第二種有機溶剤で最大気積150㎥ の場合。

W=(2/5)× 150 =許容消費量は1時間に60gとなる。

有機溶剤等の許容消費量 消費する有機溶剤等の区分

第一種有機溶剤等 第二種有機溶剤等 第三種有機溶剤等

W=(1/15)×A W=(2/5)×A W=(3/2)×A

W:有機溶剤等の許容消費量 (単位g)

A:作業場の気積(床面から 四メートルを超える高さに ある空間を除く。(単位㎥)。

ただし、気積が150㎥を超え る場合は、150㎥とする。

MAX150㎥

(16)

化学物質による健康障害防止指針 ( がん原性指針)

(1)対象物質の曝露低減措置

①作業環境管理、②作業管理、③局所排気等の設置、④保護具の 準備、⑤作業基準作成

(2)作業環境測定の実施

①6ヶ月に一回、②作業環境測定士、③評価指標は許容濃度、が

ん原性試験結果、④結果・評価の記録は30年間保存

(3)労働衛生教育

①性状・有害性・使用業務、②健康障害・予防・応急措置、③局

所排気等曝露低減設備と保守点検、④作業環境の把握、⑤保護具の 知識、⑥関係法令

(4)労働者の把握

①労働者の氏名、②業務の概要・期間、③著しい汚染と措置の概

要(記録は30年間保存)

(5)危険有害性等の表示及び譲渡提供時の文書交付

①MSDSの交付・包装表示、②労働者に周知

(17)

化学物質の性状

分類 状態 性状

ガス 気体 常温常圧で気体 塩素、シアン化水 ホルムアルデヒド 蒸気 気体 常温常圧で液体、固体が

蒸発して気体になったもの トルエン等有機溶 アルキル水銀、

ミスト 液体 液体粒子が空気中に浮遊

(粒径5~100μm) クロム酸、硝酸、

塩酸、

粉じん 固体 機械的作用で発生した固体微粒子

(粒径1~150μm) 二酸化マンガン、

無水クロム酸 ヒューム 固体 気体が空気中で凝固、化学変化で

固体微粒子になったもの

(粒径0.1~1μm)

酸化鉛、コール タール、

17

空気中に拡散したときの状態

(18)

18

有害物質の発生経路と健康障害

(有機溶剤・特化物に共通)

作業 発散

呼吸器

皮膚

蓄積

排泄

局所排気・ 付着 プッシュ プル換気・

全体換気

(19)

19

☀健康障害予防対策の一般的手順

1.有害性の少ない物質に転換

2.有害物質が発散・拡散しないよう生産工程、

作業方法を改良

3.設備の密閉化、自動化、遠隔操作、隔離

4.局所排気、プッシュプル換気による拡散防止 5.希釈換気による気中濃度の低減(4.と併用)

6.作業環境測定による作業環境管理状態の監視 7.保護具による曝露防止(特に呼吸用保護具)

8.特殊健康診断による異常の早期発見・措置

*いくつか併用して曝露しない工夫をすること

(20)

20

職場の有害物質はほとんど 呼吸器から侵入、その対策

1.有害物質が体内侵入する大部分は『呼吸器』と『皮膚』から。

2.快適職場形成、まず『良好な空気環境』にする。

3.職場の空気環境の維持には、

1)発散源の密閉化であるが、手作業があって密閉できない場合、

局所排気、プッシュプル換気、全体換気、その他職場の空気を汚染 させない方法など ※ 工学的対策を講ずる。

2)職場の空気中に有害物質を拡散させない、空気を汚さない、

を意識して作業する。

例えば、注入、撹拌作業は換気フードで。溶剤・ウエス容器に蓋。

3)作業環境測定を実施、内容を解析し、第3管理区分にならない

ように、作業環境を常に管理すること。

4)作業主任者を選任し、責任と権限をもって法的職務を履行する。

※「多様な発散防止抑制措置」有機則、特化則、鉛則の一部

改正(H24.7.1施行)あり。

(21)

健康職場の空気環境の指標

その指標になるもの、

1.許容濃度:1日8Hr,週40Hr働いて、著しい 健康障害起こさない(曝露限界)

日本産業衛生学会、USAのACGIH

2.管理濃度:作業環境測定結果の評価基準

3.抑制濃度:局所排気装置の漏れの性能(特化物) (濃度単位:ppm 又はmg/㎥)

4.制御風速:局所排気、プッシュプル換気の

吸引気流の速度(m/s)

(22)

22

有機溶剤はなぜ使われるのか

有機溶剤は次の理由で広く使われている。

①油を溶かす性質があるから。

②揮発性があり、速く乾燥できるから。

③塩素系溶剤は引火の心配が無いから。

この、条件をある程度満せば、危険性・有害性の低いものに取替えた ほうがよい。

企業名や商品名では無く、含有成分の危険性・有害性を

MSDS

、文献 等で確認して使うようにして下さい。

▼社内で使っている化学物質をすべてリストアップしましょう。

化学物質の使用目的、使用方法、消費量、許容濃度、局所排気の有無、

作業環境測定の評価結果等の一覧表を作り、チェックして、問題点を 把握しましょう。

そして、リスクアセスメントをやってみましょう。(法令努力義務)

(23)

製品に含まれる

化学物質の情報収集

1.自社で使用している化学物質の化学物質安全データシート

(SDS)から危険性・有害性を確認(複数で調べるとよい)

2.SDSに記載されている項目(JISZ-7253)

3. J-GLOBALのリンクから捜す

23

記載項目 記載項目

1.化学品等及び会社情報 9.物理的及び化学的性質 2.危険有害性の要約 10.安定性及び反応性 3.組成、成分情報

4.応急措置

5.火災時の措置 6.漏洩時の措置

7.取扱い及び保管上の注意 8.曝露防止及び保護措置

11.有害性情報 12.環境影響情報 13.廃棄上の注意 14.輸送上の注意 15.適用法令

16.その他の情報

(24)

24

☀有機溶剤の一般的な性質

可燃性(塩素系溶剤を除く)・・・火災・爆発

脂肪・油を溶かす性質・・・溶媒

蒸発しやすい・・・空気を汚染し易い

蒸気は空気より重い(3~5倍)・換気方法に 注意

人体に対して

麻酔性・・・曝露しないように

脂溶性・・・体脂肪に溶ける、排泄遅い

毒性 ( 有害性 ) ・・ 物質毎に異なる:許容濃度

(25)

25

☀有機溶剤蒸気の発生の条件

1.有機溶剤の蒸発のし易さ ①分子量が小さい物質、

②蒸気圧が高い物質、

③沸点が低い物質 ④気温が高いとき

⑤大気と接触する面積が広い状態 ⑥風があるとき

2.溶剤発散量=蒸発面積×温度×時間×風

蒸発 拡散 やす い条

(26)

26

☀少量の液体の溶剤が蒸発すると

少量の液体の有機溶剤、特化物の溶剤でも、蒸発して気 体になると高い濃度になる

例えば

液体のトルエン1mlが蒸発して1mに希釈したら 約210ppmになる。

トルエン

液体1ml 蒸発・希釈100万倍 濃度

蒸気圧2.9 KPa 約 210ppm

ジクロロメタン 液体1ml 蒸気圧47 KPa 約 340ppm

管理濃度 トルエン:20 ppm

ジクロロメタン:50 ppm

気体

m

(27)

27

☀有機溶剤の発散と拡散について

発散溶剤は、直ぐ捕集して拡散させない。

風(拡散原因)

溶剤

発散

拡散

分子状態で拡散す る有機溶剤の正体

は見えないが、

ドライアイスで想像 外付け式

局排フード 溶剤蒸気

対策は拡散防止

にある。

発散

段階で局所排気フードで捕集 すれば回収可能

フランジ付け ると25%

効率UP

Q=60*V0.75(10X2+A)

クラスター構造のイメージ(葡萄の房)

(28)

28

有機溶剤の人体への影響

有害 曝露量=濃度×時間×有害性(毒性)

①濃度=環境空気中の濃度⇒体内の濃度 ②時間=職場で働く時間=8Hr

③有害性(毒性)=許容濃度、LD50、生物学的半減期

高濃度*短時間・・・急性中毒

低濃度*長時間・・・慢性中毒(労働衛生の課題)

嗅覚麻痺、慣れは怖い ⇒ 時々検知管で測定してみること

①、②、③のどれかを小さくすれば、影響は小さくなる。

働く時間は8Hr固定であるから、毒性の低いもの使用するか、

職場の空気中濃度を下げることが求められる。

作業環境測定は有害物の拡散を改善して、空気中濃度を低減する ことを目指している。

★福島第1原発事故の放射能拡散を職場の有害物拡散に置換えてみる。

(29)

29

有機溶剤(特化物の溶剤含む)

の健康影響

呼吸器から体内に侵入が最大

血液 解毒(肝臓) 排泄(尿)

解毒過程で毒性の強い物質に変化するもの

例:

ベンゼンは有機溶剤から特化物(発がん性)へ

☠蓄積性の高い溶剤(生物学的半減期が長い)あり

例:

トルエン約6h、n-ヘキサン約12h、トリクロルエチレン約40h

★物質による解毒過程の違いの例

メタノール→ホルムアルデヒド→蟻酸→炭酸ガス

(0.1ppm、C:0.3ppm) (5ppm)

エタノール→ アセトアルデヒド→ 酢酸→炭酸ガス

(C:25ppm)

( )は気中許容濃度

(30)

30

曝露防止の局所排気装置とは

◆定義:生産工程で発生する有害物質

(粉じん、蒸気、ガス等)が職場に 拡散する前に捕捉除去して作業者 を保護するための設備

◆構成:

1)フード(吸込み口)

2)ダクト(汚染空気の搬送管)

3)空気清浄装置(用後処理装置)

4)排気ファン(排風機)

5)排気口(屋外大気放出口)

フードの型

囲い式(最も効果的)*

②外付け式(囲い式が不便の時:

下方、側方、上方吸引あり)

③レシーバー式(熱利用等の時)

用後処理(特化物)

除じん、排ガス、

排液処理

*外付け式フードは吸い込みが 弱いので、できるだけ囲い式 フードに改善することを推奨

フードは 作業によっ ていろいろ

(31)

31

気流を使って化学物質を

安全に扱う-制御風速

局所排気装置のフードは大事(発散源が小さく、手 作業がある場合に使われる)

1)囲い式(

発生源がフードの中)

少ない風量で効率よく排気、外気流の影響なし、

局所排気の基本 。できるだけ囲い式にすること。

2)外付け式

(発生源がフードの外)

作業性は良いが、フードから少し離れると、

急速に風速が落ちるので注意。乱気流の影響。

3)レシーバ式

(発生源がフードに向かう)

熱作業などに有効。横風の影響をカーテンで

防止。常温で溶剤など重い蒸気に不向き。

×発生源

×

気流を使って化学物質を

安全に扱う-制御風速

×

×

×

×

(32)

32

局所排気のフード

できるだけ効率的な囲い式に工夫すべきである)

1.効率と作業性を考慮して種々フードの 型がある(図例参照)

❶発生源がフードの中:囲い式

(室内気流の影響少なく、効率的)

❷発生源がフードの外:外付け式

(室内気流の影響、フードから少し離れる と急激に吸い込みが弱くなる欠点)

❸フードに飛び込む場合:レシーバー式 (熱上昇気流、研磨作業の飛散方向一致)

2.制御風速が法令で決められている。

囲い式は開口面、外付け式は補足点、

★有機則:囲い式:0.4m/s、

外付け式:下方吸引:0.5m/s 側方吸引:0.5m/s 上方吸引:1.0m/s

★特化則:ガス状:0.5m/s 粒子状:1.0m/s

★粉じん則:複雑だから省略

労働衛生管理員テキストより

(33)

33

気流の性質

吸込み気流と吹出し気流の違い

扇風機、掃除機

も吸込み弱い 局所排気装置の標準設計

と保守管理(中災防)より

直線的効果

楕円的効果

(34)

34

プッシュプル換気装置

■強い吹出気流(プッシュ)と、弱い

吸込気流(プル)を補い合った効率

の良い換気装置。

■外付け式フードでは開口面から少し

離れると急激に吸い込みが弱く

なり、乱れ気流の影響を受けるが、

それが避けられる利点。

■自動車塗装のような大きい発生源の 換気に活用されているが、

小型の卓上型市販品、

移動式(届出不用)もある。

■作業性よく、省エネ効果(節電)が

ある。

■右図の水平の他、下降、斜降流など あり、開放、密閉型がある。

吹出し気流は緩やかな一様 の気流 0.2m/s±50%

中災防資料より

(35)

35

全体換気装置(換気扇)

■希釈換気ともいい、換気扇で吸引排気して 有害物の平均濃度を下げる方法である。

■有害性の高い特化物では、密閉設備、

局所排気で漏れた有害物を希釈する

補助目的で使用。

■吸気口と換気扇は給気が職場全体を 通って排気されるように配置する。

■空気比重の大きい有害物質に対しては 床に近い位置に設置。軽い有害物質や熱 を逃がす場合は天井近くに設置。

■発散源をできるだけ換気扇の近くに集める。

■曝露限界を超える恐れがあるときは、

呼吸保護具を使用する。

作業者は風 発散源は換気扇に近づける

上で作業 有機則第17条

全体換気装置の性能 2Q=0.04W 3Q=0.01W

(36)

36

換気設備・用後処理設備の

保守・点検

■定期自主検査

局所排気、プッシュプル換気、特化物の用後処理装置

1年以内に1回、

記録と保存(記録3年間保存)

検査事項(詳細は定期自主検査指針(中災防)あり)

(定期自主検査養成講習修了者の検査が望ましい)

■作業主任者の毎月の月次点検業務

局所排気、プッシュプル換気、全体換気、特化物の用後処理 装置の 異常の有無確認、

点検は作業主任者の法規上の主要な職務、チェックリスト作成 を推奨:(記録の保存規定なし)

有機則、特化則の設備に共通

(37)

37

職場の有害物質の作業環境測定概要

作業環境測定は作業環境管理の中心)

◆安衛法第65条、事業規模に関係な く、罰則付き実施義務あり。

◆作業環境のチェックと改善が目的

◆法令の作業環境測定は個人曝露の測 定でなく『場』の測定。

◆空気中の有害物質の濃度分布は、

バラツキが大きく対数分布する。

測定データは対数変換正規分布 の理論で統計処理、幾何平均、幾何 標準偏差から、濃度のバラツキを考 慮した評価値として数値化。安全レ ベルを客観的に評価する。

◆職場の有害物質の評価値は管理濃度 と比較して職場の環境状況を3段階 評価*する。

◆作業環境測定士が測定(制度)

対数変換

対数分布 正規分布

第1管理区分:良好な環境 第2管理区分:判断できず 第3管理区分:直ちに改善

第1評価値logEA1

=logM1+1.645

5%

管理濃度

第1管理区分:良好な環境 第2管理区分:判断できず 第3管理区分:直ちに改善

log2σ1+0.084 第2評価値logEA2

=logM1+1.151( log2σ1+0.084)

(38)

38

☀作業環境測定の実務要旨

作業環境測定基準(告示)で測定

◇A測定:濃度分布測定(測定点6m以内間隔で5点以上、床上50~

150cm、各点10分間の有害物質の各成分を測定、)

◇B測定:最大濃度の場所を測定=有害物質の拡散源を発見して対策を

作業環境評価基準(告示)で評価 図る狙いがある。

◇データの対数変換 幾何平均値、幾何標準偏差を算出 ◇第1評価値を算出(測定点の95%が管理濃度以下の推定値)

◇第2評価値を算出(場の平均濃度の推定値)

◇A測定値とB測定値の評価値と管理濃度を比較して、管理区分を決定。

(第1管理区分、第2管理区分、第3管理区分のどれかに決定)

◆評価結果に対する措置

第3管理区分は直ちに改善のこと、改善したら再測定、第1、第2管理 区分になるようにする。⇒ これはPDCAを回している!

改善されるまでは防毒マスク装着して作業のこと。

◆測定と記録:6ヶ月以内毎に定期に測定、記録保存は3年、がん原性物質は 30年間。労基署報告不要、作業環境測定士による自社測定OK,

(39)

39

☀健康診断

◆雇い入れ時の健康診断:

入社前の状態を把握のこと ( 重要)

◆定期健康診断(年1回定期)に実施

◆特殊健康診断(6ヶ月1回定期)

◆この定期の健康診断結果報告書は遅滞なく労基署に提出。

◆診断結果は本人に通知。

◆保存期間:有機溶剤、特化物5年、

但し、特化物の特別管理物質、がん原性物質は30年。

◆健康診断結果が異常なとき、事業者は医師の意見を聴き、

事後措置を講ずること(安衛法 66 条の 4

◆長時間労働 ( 100 時間超)は申出で医師による面接指導

(40)

40

☀表示・文書(SDS)の交付

容器・包装の表示(安衛法57条)

危険性・有害性を確実に分り易くの表示のこと 名称、成分、人体への作用、貯蔵・取扱注意、

危険・有害性注意喚起標章(世界共通のGHS絵表示◇)

●文書(SDS)による交付(安衛法57条の2)

危険性・有害性のある化学物質を提供する場合、

事故を起こすことなく、安全に使用されるため、文書 で交付のこと(640物質)

H24.4法改正:危険有害性の認められる全ての化学物質に

容器・包装の表示と文書(SDS)の交付が努力義務化された。

● 職場の人が、いつでも見られるようにしておくこと。

(41)

☀掲示

●掲示(職場の見易いところに掲示のこと)

①有機溶剤に関する掲示

□第1種有機溶剤は赤、第2種は橙、第3種は青で掲示 □有機溶剤等使用の注意事項、人体に及ぼす作用、

中毒発生時の応急処置

□有機溶剤作業主任者氏名・・・・周知 ②特化物は特別管理物質を掲示

□特別管理物質の名称、人体に及ぼす作用、

取扱注意事項、使用すべき保護具

□特定化学物質作業主任者氏名・・・・周知

③作業環境測定結果が第2又は第3管理区分になった 作業場所は掲示などして周知(法改正H24.7.1)

41

(42)

42

☀安全衛生教育:

実践できる人材育成

◆教育の目的:

①各職制に求めたれる災害防止、健康障害予防の能力向上

②教育訓練の過程で、多くの人との接触し、人格を磨き、快適職 場で楽しく働ける場を作ること。

◆教育の基本「教育の要諦は繰り返しにあり」

①労働災害の予防

②能力差を埋める(経験、知識、体力)

③教育(教える側の能力、教わる側の理解度を相互に向上)

◆法定安全衛生教育

①雇い入れ時の教育、②作業内容変更時の教育、③特別教育、

④職長教育、⑤安全衛生水準向上教育、⑥衛生管理者等の能力向上 教育、⑦健康教育

◆企業の自主的教育・訓練

事業所内、外の教育:計画的に実施のこと、経営者も参加

(43)

43

社員の健康管理は

元気具合を確認しよう

 管理職・職長はチェックしましょう 朝の挨拶で顔色に変化はないか 元気な挨拶(トーン)

悩み(仕事、家庭、不満など)

声を掛けること・・・悩みを聞くこと

関心を持ち合う(hard-eye、soft-eye)

仕事に集中できるように(法規には書いてない)

(44)

44

作業手順を守ること。

作業者の意見を聞くこと

理屈と建前だけでは、なかなか作業環境の改善が 実行されず、効果が上がらないことがある ( 経験)。

それは

1)理由を説明して納得の上で、溶剤の発散・拡散 を防止・削減の協力を願う必要あり。

2)作業が仕難い場合に起こる。(作業性の問題)

3)作業性はよく相談する。(作業手順書の見直し)

4)改善には担当の作業者を参画させる。

5)それでもダメなら、本音を聞き出す。

(原因が他にある)

(45)

45

有機溶剤作業主任者の職務を活用

1.有機溶剤作業主任者の選任すること。

(法定技能講習修了者から選任、周知、権限と責任)

2.次の法的職務を遂行してもらうこと。

❶有機溶剤に身体が汚染、蒸気を吸入しないように、作 業方法を決定し、指揮すること。

❷安全な作業環境状態を維持する局所排気装置など設備 を1ヶ月以内毎に点検すること。

❸有機溶剤が身体に侵入するのを防ぐ保護具を正しく使 用しているか監視すること。

その他に、作業者が有機溶剤の危険有害性を十分認識してい るか、仕事に慣れて忘れていないか、溢したり、蒸発させた り、皮膚に付けたり、吸入する不安全な行動をしないか指導。

(46)

46

有機溶剤職場で指揮監督する具体的内容 ( 1)

(1)有機溶剤は当日の必要量だけ作業場に持ち込ませること。

(2)溶剤缶やウエス容器は、その都度必ず蓋をさせること(習慣づけ)

(3)有機溶剤をこぼさないように手順書の整備や、溶剤缶 の転倒防止

措置と注意喚起。

(4)作業量、作業速度、温度、圧力を必要以上に上げさせ ないこと。

(5)払拭作業でウエスに必要以上の溶剤を浸み込ませないこと。

(少量で汚れは落ちる)

(6)溶剤蒸気の吸入を避けるため、発散源の風上で作業をさせること。

(7)手作業では溶剤発散箇所に顔を近づけて溶剤蒸気を吸入しないよう、

作業姿勢を確認すること。

(8)有機溶剤用の保護手袋を使用させ、溶剤で手を洗ったり、拭いたり

させないこと。 (

皮膚から吸収する)

(9)狭い室内など換気不十分な場所での溶剤、洗浄等の作業をさせない

こと。

(47)

47

有機溶剤職場の指揮監督する具体的内容

(2)

(10)換気装置、局所排気装置は作業開始前にスイッチを入れ、作業

終了後もしばらくの間、運転を続けさせること。

(11)

時々、使用溶剤の検知管で気中濃度を測定して、職場の空気汚染

状況をチェックする。

(12)呼吸用保護具を使用する際は、密着性のよい面体を選び、作業

を始める前にフィットテストして(陰圧法がよい)密着性を確 認させること。

(13)その他、作業性を考慮して、有機溶剤の拡散防止の有効な対策

に協力してもらうこと。

(14)好ましくない不適切行動は黙認しないこと。教育的に指導する。

有効適切な行動は認めて、職長なども

関心を持っていることを

作業者に知らせる。

(15)汚染空気は拡散するから、職場の全員で拡散防止に協力しなけ

れば、空気環境は良くならない。

(16)作業主任者は現場と作業者を最もよく知っている重要な責任者。

その立場に協力・応援のこと。

(48)

48 0

1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000

ppmC

洗浄液バケツ

洗い油バケツ 62 8,000

蓋閉 蓋開

洗浄剤小口容器の蓋閉め

蒸発濃度 1/120 倍

48

(49)

49

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000

ppm

系列1 25 2,400

ウエス入れ(密閉時) ウエス入れ(開放時)

蓋閉め効果絶大

廃ウエスの管理

レンタルウエス 廃洗浄布

蒸発濃度 1/100 倍

49

(50)

50

廃油(残肉)の処置

0.5 ppmC

150~550 ppmC

蒸発濃度 1/100 倍

ミッペール

(51)

【改善事例】

使用済みウエスから蒸発防止

ポリ袋

溶剤含浸 ウエス

鎖で繋いだ落とし蓋(アルミ板)

改善

効果:落とし蓋の下と上の濃度差=1000倍

ゴミ箱

東京都VOC対策アドバイザーの助言報告書(H22.9

(52)

52

☀呼吸用保護具(防毒マスク)

興研㈱カタログより

(53)

53

☀防毒マスク装着の注意事項

1.国家検定合格標章品を使用の 2.装着は顔面との密着性が重要、こと

次の①、②で確認のこと

①陰圧法によるチェックが簡単 で確実(ろ過面を遮断して息 を吸い、吸い付けばOK)

②作業主任者(教育を受けてい る)が立ち会って、指導。

3.防毒マスクの対応濃度目安

注)

ジクロロメタンは吸収缶の破過時間 が著しく短いので注意。

沸点の低い溶剤は短くなる傾向。

本来、マスクは臨時作業で使うもの。

マスクを使わなくても仕事ができる空 気環境に改善するのが、基本的考え。

興研㈱カタログより

(54)

54

労働衛生自己点検表

出典:中央労働災害防止協会

(55)

人間は忘れる、記憶、思い出す

感覚貯蔵庫:

0.5秒で入る。

五感(視、聴、臭、味、蝕)、

人の顔などパターン認識では 瞬時に記憶される。

短期貯蔵庫:

約20秒で消失。

長期貯蔵庫:

20秒の間に意味的なまとまり として理解し保存されるが、

時間が経つと忘れる。

強い喜怒哀楽、繰り返し出 会ったものは永久に残る。

掻き混ぜ 思い出す

泡が直 ぐ取り 出せる

㈱日本能率協会マネジメントセンタより 知識 沈降する

と忘れる

20秒の壁

(56)

56

 ご静聴有り難うございました。

参照

関連したドキュメント

(5) 補助事業者は,補助事業により取得し,又は効用の増加した財産(以下「取得財産

・ 継続企業の前提に関する事項について、重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認

条例第108条 知事は、放射性物質を除く元素及び化合物(以下「化学

化管法、労安法など、事業者が自らリスク評価を行

・条例手続に係る相談は、御用意いただいた書類 等に基づき、事業予定地の現況や計画内容等を

職場環境の維持。特に有機溶剤規則の順守がポイント第2⇒第3

使用済自動車に搭載されているエアコンディショナーに冷媒としてフロン類が含まれている かどうかを確認する次の体制を記入してください。 (1又は2に○印をつけてください。 )

従いまして、本来は当社が責任を持って担うべき業務ではあり