商業ビルの改修に使用 される塗料について
(社)日本塗料工業会 杉島正見
2008年2月4日(月)
2
講義内容
1.塗料とは
・塗料とは・・・成分は
・種類と硬化(乾燥)機構 2.建築仕上材の概要
・外装仕上材の種類と生産推移
・耐用年数と耐候形規格 3.建築用塗料の環境対応
・法規制・PRTR対象物質
・鉛・クロム化合物削減
・VOC削減
4.商業ビル改修用低VOC塗料例
・外装用水性塗料の低汚染性向上
・屋外鉄部用塗料の水性化
3
(広辞苑から)
着色・つや出し・錆止めなどのため物体の表面に塗る流動体
塗料の役割
基材の保護 美 粧 機能の付与
・金属の防錆
・コンクリートの 中性化防止
・防水 など
・光沢感
・色彩感
・意匠感
・低汚染性
・防カビ、防藻、抗菌
・張り紙防止
・結露防止 など
塗料は、これらの機能を「塗装」という作業で提供する
4
1.塗料とは
塗料の成分
塗膜形成成分
(固形分)
非塗膜成分
(揮発分)
塗料
樹脂(ビヒクル)
添加剤
顔料
溶剤類 溶剤・上水
希釈剤 着色顔料 防錆顔料 体質顔料
可塑剤 乾燥剤 界面活性剤
天然樹脂 加工樹脂 合成樹脂
油脂
30〜50%
20〜40%
1〜5%
10〜30%
5
塗料の種類と分類
成分(樹脂)による 塗料状態による 塗装工程による
溶剤形塗料
強溶剤形塗料 弱溶剤形塗料 無溶剤形塗料 水性塗料
エマルション 水溶性
粉体塗料
多彩模様塗料
下塗り材(塗料)
シーラー プライマー 主材
上塗り材(塗料)
フタル酸樹脂塗料
(合成調合ペイント)
アクリル樹脂塗料 エポキシ樹脂塗料
ポリウレタン樹種塗料 シリコン樹脂塗料
フッ素樹脂塗料 用途による
外装用塗料 内装用塗料 屋根用塗料 鉄部用塗料 機能による
さび止め塗料、抗菌塗料、防かび塗料、断熱塗料 遮熱塗料、調湿塗料、低汚染形塗料、遮音塗料
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1.塗料とは
希釈剤の種類による塗料の分類
溶 剤 形 塗 料
強溶剤形 塗料 弱溶剤形
塗料
水 性 塗 料
第2種有機溶剤(トルエン、キシレン、アルコール類、ケトン 類など40品種)を主体とした塗料
第3種有機溶剤(ミネラルスピリッツ、石油ナフサ、石油ベ ンゼンなど7品種)を主体とした塗料
水を主要な揮発分として水で希釈可能な塗料
樹脂の形態
エマルション コロイダル ディスパージョン
水溶性
乳化剤等によりミセル中で重合して得られる エマルションポリマー
ポリマーをイオン化させたり、乳化剤の作用によ りコロイド状に分散
ポリマー中に極性基を導入して、アミン等にて中 和、さらにコソルベントを用いて溶解
7
塗料の乾燥・硬化過程
溶 剤(VOC)
水
飛散・揮発 塗 装
塗膜 (固体)
塗料 (液体)
顔 料: 樹 脂:
溶剤 ・ 水:
塗料の乾燥・硬化は、溶剤(希釈剤)の大気への飛散・揮発から始まり、樹 脂の硬化反応が進行して塗膜となる(反応硬化タイプ)。
8
1.塗料とは
塗料の硬化(乾燥)機構
硬化の種類 硬化機構 塗料(例)
蒸発硬化 塗料中の溶剤が蒸発することに よって硬化塗膜を形成する。
ラッカー
アクリル樹脂塗料 塩化ゴム塗料 融着硬化 溶剤や水が蒸発、塗料中に分散し
ているビヒクル粒子が融着乾燥。
エマルション塗料 NAD塗料
酸化重合硬化 空気中の酸素の作用で、酸化重合 して硬化塗膜を形成する。
油性塗料
フタル酸樹脂塗料
付加重合硬化
主剤と硬化剤を塗装直前に混合し て使用するもので、主剤と硬化剤が 反応し硬化塗膜を形成する。
エポキシ樹脂塗料 ポリウレタン樹脂塗料 フッ素樹脂塗料
ビニルエステル樹脂塗料
不飽和ポリエステル樹脂塗料 縮合重合硬化
反応過程で生成した水やアルコー ルを系外に揮散しながら硬化塗膜 を形成
メラミンアルキド樹脂塗料 無機ジンクリッチペイント
9
塗料用樹脂の性能比較
アルキド アクリル ウレタン シリコン フッソ エポキシ
× △ ○ ◎ ◎◎ ××
△ ○ ◎ ◎ ◎ ◎
アルカリ × ○ ◎ ◎ ◎ ◎
酸 × ○ ◎ ◎ ◎ ◎
溶剤 △ × ○ ○ ○ ◎
金属 ○ △ ○ ○ ○ ○
無機
建材 × ○ ○ ○ ○ ○
外部 △ ○ ○ ○ ○ ×※
内部 ○ ○ ○ △ △ ○※
◎ ◎ ○ △ × ○
※上塗として使用する場合。下塗であれば内外装ともOK 適用
部位
コスト 耐薬品性
耐候性 耐水性 樹脂名
用途
特徴を理解し、用途に応じた樹脂選定が必要
特徴を理解し、用途に応じた樹脂選定が必要
10
2.建築仕上材の概要
一般建築用塗料
外装用仕上塗材
屋根用塗料 内装用塗料
鉄部用塗料
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用途別主な塗装仕様
外装用仕上塗材 一般建築用塗料
①シーラー 1回 10μm以下
②主 材 1〜2回 0.2〜3mm
③上塗り 2回 30〜60μm 塗り回数 乾燥膜厚
基材
①②③
内装用塗料
①シーラー 1回
②上塗り 2回 無機系屋根用塗料
鉄部用塗料
①さび止めプライマー 1回
②上塗り 2回
トタン屋根
(10〜30μm)
12
建築用仕上塗材 JIS A 6909
2.建築仕上材の概要
複層仕上塗材 層構成: シーラー+主材+上塗 塗り厚 :3〜5mm
(例)アクリルタイル、弾性タイル 複層仕上塗材
層構成: シーラー+主材+上塗 塗り厚 :3〜5mm
(例)アクリルタイル、弾性タイル 薄付け仕上塗材
層構成:(シーラー)+主材 塗り厚 :3mm以下
(例)樹脂リシン、
アクリルリシン 薄付け仕上塗材 層構成:(シーラー)+主材 塗り厚 :3mm以下
(例)樹脂リシン、
アクリルリシン
10種
11種
可とう形改修用仕上塗材 層構成:主材+上塗
塗り厚 :0.5〜1mm
可とう形改修用仕上塗材 層構成:主材+上塗
塗り厚 :0.5〜1mm 厚付け仕上塗材
層構成:シーラー+主材 塗り厚 :4〜10mm
(例)セメントスタッコ 珪藻土塗材
厚付け仕上塗材 層構成:シーラー+主材 塗り厚 :4〜10mm
(例)セメントスタッコ 珪藻土塗材
3種
軽量骨材仕上塗材(天井用)
層構成:シーラー+主材 塗り厚 : 3〜5mm
軽量骨材仕上塗材(天井用)
層構成:シーラー+主材 塗り厚 : 3〜5mm
8種 2種
13
主な外装仕上塗材の生産推移
0 20 40 60 80 100 120 140
5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 平成(年)
生産数量( 千 ト ン )
防水形外装薄塗材E 外装薄塗材E
複層塗材E
防水形複層塗材E 可とう形改修塗材E
日本建築仕上げ材工業会 統計より
14
2.建築仕上材の概要
外装仕上塗材の生産比率推移
15.8
12.6
9.7
22.5
19.6
18.2
22.6
18.3
16.4
7.0
6.6
30.1
30.4
29.2 9.0
12.0
19.9
0% 20% 40% 60% 80% 100%
平成13年
平成15年
平成18年
生産比率
防水形薄塗材E
薄塗材E
複層塗材E その他
上記塗材で外装全体の7割を占める(経年変わらない)!
可とう形改修塗材E
282,879 (t) 295,498 (t)
291,803 (t) 防水形複層塗材E
日本建築仕上げ材工業会 統計より
15
塗膜の耐用年数と耐候形品質
塗膜の耐用年数(目安)
塗料の種類 アルキド樹脂系 アクリル樹脂系 ポリウレタン系
アクリルシリコン樹脂系 フッ素樹脂系
耐用年数 2〜5 4〜8 5〜10 10〜15 15〜20
耐候形の品質(JIS A 6909:上塗材)
耐候形 1種 耐候形 2種 耐候形 3種 XWOM 2500時間 XWOM 1200時間 XWOM 600時間
光沢保持率:80%以上、変色:グレーススケール3号以上
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3.建築用塗料の環境対応
3.1.法規制・PRTR対象物質
・建築用塗料の環境対応策(組成面)
・塗料メーカー取り組み例 3.2.鉛、クロム化合物の削減
・塗料メーカー取り組み例
・JISさび止め塗料
・東京都の削減施策 3.3.VOC削減
・東京都の削減施策
・日本塗料工業会調査結果
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法規制等がある主なPRTR対象物質
PRTR(Pollutant Release and Transfer Register) 化学物質排出移動量届出制度
1999(平成11)年、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び 管理の改善の促進に関する法律」(化管法)により制度化。
政令指定物質:354物質
樹 脂 顔 料 溶 剤
マンガン化合物 鉛化合物 クロム化合物
ジクロロメタン トルエン キシレン アクリロニトリル
ホルムアルデヒド DOP(可塑剤)
さび止め塗料
黄・オレンジ色の上塗り 削減
強溶剤系塗料
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3.環境対応(PRTR)
建築用塗料の環境対応策
さび止め塗料
フタル酸樹脂塗料 黄色上塗り塗料 オレンジ上塗り塗料 エポキシ下塗り塗料 ウレタン・シリコン・フッ素 上塗り塗料
エポキシ下塗り塗料 ウレタン・シリコン・フッ素 上塗り塗料
リン酸塩系防錆顔料 Co,Zr等のドライヤー
ビスマス、イミダゾリン系顔料 ビスマス、イミダゾリン系顔料 樹脂の変性
(脂肪族炭化水素溶剤 への可溶化)
エマルション等による水性化 鉛・クロム
化合物
トルエン・キシレン VOC
対象物質 環境保全効果
PRTR VOC
対象塗料 代替手段
大
小〜大
大 大
小 なし
19
塗料開発におけるメーカーの取り組み例
会社規定
①使用禁止原材料
②使用制限原材料
③危険・有害性原材料
④一般原材料
製品設計計画 原材料候補品の選定
社内登録確認
規定②③該当
製品設計継続
使用申請・決済
新規原材料調査 ヒアリング・MSDS確認など
規定①該当 該当する
登録管理
再検討
製品販売 MSDS、ラベル 未登録
登録済み 該当しない
該当しない
NG
該当する
OK
20
3.環境対応(ラベル)
ラベル、MSDSのGHS対応
引火性・自 爆発性
然発火性 高圧ガス
急性毒性 急性毒性
環境有害性 腐食性 酸化性 発ガン性
GHS (Globally Harmonized System)
世界的に統一されたルールに従って、
化学品を危険有害性の種類と程度に より分類、その情報が一目でわかる ようなラベル表示と、MSDS提供を実 施するシステム。
GHS (Globally Harmonized System)
世界的に統一されたルールに従って、
化学品を危険有害性の種類と程度に より分類、その情報が一目でわかる ようなラベル表示と、MSDS提供を実 施するシステム。
2008年 GHSの世界的実施
(国連採択)
2006年 12月〜日本で導入
(改正労働安全衛生法の施行)
(環境省GHSパンフレットより)
GHS絵表示(世界共通)
21
鉛、六価クロム化合物の削減状況
0 .0 0 0 .0 2 0 .0 4 0 .0 6 0 .0 8 0 .1 0 0 .1 2 0 .1 4 0 .1 6 0 .1 8 0 .2 0
2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7
生産量に対する割合(%)
鉛化合物
六価クロム化合物
塗料メーカーの取り組み例
減少傾向にあるが更なる削減策が必要 顧客の意識と理解が不可欠
<目標>
22
3.環境対応(鉛、クロム)
JISさび止め塗料 種類
JIS K 樹 脂 防錆顔料 特 徴
1種:乾性油 2種:アルキド
5622 1種:乾性油 2種:アルキド 鉛丹 5623 1種:乾性油 2種:アルキド 亜酸化鉛 5624 1種:乾性油 2種:アルキド 塩基性クロム酸鉛 5625 1種:乾性油 2種:アルキド シアナミド鉛
5627 1種:乾性油 2種:アルキド ジンククロメート 軽金属用途
5628 A,B:アルキド 鉛丹・ジンクロ 建築鉄骨
5629 2種:アルキド 鉛酸カルシウム 亜鉛めっき面用
1種:乾性油orアルキド 2種:水性樹脂
4種:水性樹脂 一般さび止め・安価
鉛系さび止め 5621 規定なし
5674 鉛・クロムフリー 環境対応
23
JISさび止め塗料 品質比較
容器の中での状態 塗装作業性
乾燥時間 塗膜外観
上塗り適合性 耐屈曲性
付着安定性
耐複合サイクル防食性 防錆性
加熱残分 % 塗膜中の鉛 % 塗膜中のクロム % 塗膜中のシアナミド鉛 % 取扱
性能 塗膜 性能 耐久 性能 組成
K 5674 鉛・クロムフリー
K 5625 2種 シアナミド鉛 品質項目
この部分の品質は 全て同じ
0.06以下 0.03以下
17以上
依然としてシアナミド鉛さび止め の販売量が減少しない
しかし
24
3.環境対応(鉛、クロム)
東京都環境局の鉛系塗料削減施策
鉛ガイドライン(塗料編)の概要 平成14年7月15日 子どもが多く利用する施設や遊具の塗装について
◆鉛フリー塗料の使用
①製造業者:鉛フリー製品を表示、鉛フリー塗料の使用拡大を図る
②施設の管理者:塗料には鉛フリー塗料を使用
③施設の設計者:塗料には鉛フリー塗料を指定
◆既塗装面の保全
①塗膜の剥離がないように、保全を徹底
②塗膜成分や鉛の含有量を確認し、必要な場合は塗り替える
◆塗り替え時の、飛散防止対策
①鉛フリー塗料を使用する
②既塗膜の成分や鉛の含有量を確認
③シート防護や板張り防護などの飛散防止対策を行う
25
光化学オキシダントの 急激な生成に関わるVOC
高濃度の光化学オキシダントの出現日数を効果的に縮小するためには、
窒素酸化物濃度の低下に加え、非メタン炭化水素の濃度を窒素酸化物の 低下率以上に低減させることが必要。
非メタン炭化水素とは、炭素 と水素からなる有機化合物
(炭化水素)のうちメタンを除 くものの総称で、揮発性有機 化合物(VOC)の中の一グ ループ。
非メタン炭化水素とVOCの関係の模式図
HPより
26
3.環境対応(VOC)
東京都におけるVOC発生の現状
都内の全VOCの発生内訳 蒸発系固定発生源の内訳 VOCの発生源は、移動発生源(自動車・船舶・飛行機など)、燃焼系固定発 生源(発電所・清掃工場・ビルのボイラーなど)、蒸発系固定発生源(工場で の生産工程や塗装など)に分類されます。
HPより
27
東京都VOC対策 VOC塗装仕様
2006.5.25 低VOC塗料選択のためのガイド作成
建築塗装 鉄鋼面
亜鉛めっき面 セメント系素地面
水性塗装仕様 12〜21
弱溶剤塗装仕様 204〜282 VOC量 g/m2
外装薄塗材E
防水形外装薄塗材E 外装厚塗材E
複層塗材E
防水形複層塗材E 可とう形改修塗材E
水性塗装仕様 4〜19 仕上塗材仕上げ VOC量 g/m2
VOCは屋外塗装から約3割が排出 屋外塗装時のVOC排出量削減:
低VOC塗料の普及が必須
28
3.環境対応(VOC)
建築用塗料 需要量の比較
4 8 .1 29 .7 2 2.2 4 7 .5 3 0 .5 2 2 .0 4 7 .0 3 4 .5 1 8 .4
0 0 .2 0 .4 0.6 0.8 1 塗料需要量比率
H16 年度 H17 年度 H18 年度
マンション・ 商業ビル 戸 建
工場・ 施設
72.6 12.5 13.7
74.2 11.8 12.4
76.8 10.7 11.3
0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 塗料需要量比率
H16年度 H17年度 H18年度
外壁 内壁 屋根 床
(社)日本塗料工業会 調査結果
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建築用塗料 VOC排出量指数 調査結果
0 20 40 60 80 100 120
VOC排出量指数 g/m2
外壁 内壁 屋根 床
H16年度 H17年度 H18年度
0 10 20 30 40 50 60 70
VOC排出量指数 g/m2
マンシ ョ ン・ 商業ビル 戸 建 工場・ 施設
H16年度 H17年度 H18年度
マンション・
商業ビル
戸 建 工場・施設
外壁 内壁 屋根 床
(社)日本塗料工業会 調査結果 VOC排出量指数g/m2
=需要量比率×VOC排出量g/m2
外壁塗装:低VOC化の方向 屋根塗装:VOCがむしろ増加
30
3.環境対応(VOC)
マンション・商業ビル 外壁塗装でのVOC排出
0 10 20 30 40 50
VOC排出量指数g/m2
金属 セメント ボード
H16年度 H17年度 H18年度
集合住宅・商業ビルの外壁塗装において、金属部(鉄部)の低VOC 化が進んでいない。
セメント、モルタル素地の塗装においても、まだVOC排出量は高い。
(社)日本塗料工業会 調査結果
31
基材のクラックに追随する 塗膜伸び(主材の柔軟性)
4.1.外装用塗料の防水性と 低汚染性(美観)の両立
4.2.屋外鉄部用塗料の 水性化
OFFICE
水性化が進んでいない屋外鉄 部の水性化には膜の緻密性 向上が必須
商業ビル
32
4.低VOC塗料例(外装低汚染)
外装用塗料 柔軟性(伸び)の規格
A 6909
20*以上
120以上 100以上 100以上 高温
常温 加熱処理
浸水後 アルカリ処理 促進暴露処理 劣化
処理後
内 容 -20℃ -10℃ 60℃ 20〜23℃
80℃-7日 浸水-7日 0.1%NaOH-7日
促進暴露250H 初 期
低温
A 6021 70 *以上
150 *以上 300以上 200以上
200以上 200以上 項 目
JIS 伸び規格 % JIS A 6021の伸び規格はA 6909よりも厳しい!
* :伸び率はチャック間距離60mmに対して、その他は標線間20mm対しての値
300%伸びる主材に適応できる柔軟性が上塗りにも求められる
33
水性上塗り塗料の屋外汚染性
0 50 100 150 200 250 300 350
5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 汚れ 色差(ΔE )
塗膜伸び率(%)
塗膜伸び
膜厚:45〜50μm 乾燥:50℃-2ケ月
屋外汚染 曝露:東京 南面
30° 期間:90日
柔らかい塗膜は汚れ易い
34
汚れのメカニズム(塵埃粒子の付着)
4.低VOC塗料例(外装低汚染)
塵埃粒子の付着作用
化学結合力
Van der Waals 力
表面の凹凸 表面細孔
塵埃粒子 壁体
凝縮水膜による付着 1.分子間力による付着
2.凝縮水膜による付着 3.静電気力
4.機械的な付着
水膜
10mm 10nm 100nm 1μm 10μm 100μm 1mm
噴霧 雨 分子の平均自由行程 霧
花粉
永久大気塵埃 沈降性大気塵埃 重工業塵埃 ウイルス バクテリア
ナノ材料 エマル ション
出典: 日本建築仕上学会;材料汚染評価研究委員会報告書(1994)
35
塵埃粒子の塗膜への付着
硬い塗膜 軟らかい塗膜
塵埃粒子
Van der Waals 力 Van der Waals 力
塵埃粒子との接触部はVan der Waals 力を受け、変形し距離を縮め ることから付着はさらに大きくなる。
⇒柔らかい塗膜ほど変形過程が速く、付着力も大きくなり汚れ易い。
塗膜表層の親水化による 低汚染化技術の活用
柔軟性と低汚染性との両立
36
塗膜表面の親水化手法と汚染性
4.低VOC塗料例(外装低汚染)
3 0
° 断 面
表 面 試験
板
ばくろ 架台
4 0 4 5 5 0 5 5 6 0 6 5 7 0 7 5
0 .0 0 .5 1 .0 1 .5 2 .0 シラノール比率
水の接触角(°)
Si-O-R + H2O → Si-OH + R-OH 親水化塗膜 一般水性塗膜
表面のSi-OH濃度を高めることで低汚染性を発現 東京 曝露6ケ月
37
膜厚が薄くなると水蒸気、酸素遮断能が低下し耐久性は低下する。
そのためには100μm程度の膜厚は必要。
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50
0 50 100 150 200 250 塗膜の厚さ(μm)
早期欠陥の起こる確立(%)
引用:関西鋼構造物塗装研究会編
「最新 やさしい塗装のはなし 塗る」
平成元年8月1日発行
膜厚と耐久性との関係
38
環境劣化と防食性要因
4.低VOC塗料例(屋外鉄部)
透過抑制 UV、酸性雨等による 塗膜欠陥
塗膜劣化
腐食の進行 素材金属
水層の形成
腐食生成物 防錆顔料
付着力
溶解⇒アルカリ性
⇒不働態化
局部電池の形成 カソード部の塗膜付着
腐食因子の浸透 H2O、O2、Cl-など
応力緩和
上塗り塗膜
下塗り塗膜 光劣化防止
高耐候性 高バリアー性
39
エマルションと樹脂の分子量
耐候性 耐久性 光沢
作業性
優
200nm 400nm 600nm 0
分子量 30万 分子量 20万
チタン白 エマルション
分子量 10万 (モノマー700個)
分子量 5万 (モノマー300個)
0.3nm
モノマー
分子量150〜250 分子量
高 優
両立のため架橋 を併用
高分子の長さ比較
高分子:
モノマー(低分子)の 集合体
高分子の生成過程
40
水性塗膜(エマルション)の成膜
4.低VOC塗料例(屋外鉄部)
一 般 E M
乾燥時(水の蒸発と成膜) バリアー性 耐水性
粒 子 間 架 橋 ナ ノ 技 術
粒子間融着
粒子間融着
粒子間架橋(カルボニル/ヒドラジド)
融着と架橋 の同時進行
低 高
低(再乳化)
粒子間融合
(粒子内ナノ分散)
水の蒸発後
しっかり架橋 高 高
低
十分な融合 TEM写真 クリヤー塗膜断面
41
上塗り塗膜の水蒸気透過性
良 バリヤー性
弱溶剤1液ウレタン 1液ウレタンA
水性既存品
1液ウレタンB 1液ウレタンC
新規水性上塗り
測定温度 40℃
相対湿度差 90%RH
0 100 200 300 水蒸気透過度(g/㎡・24hr)
水蒸気透過度測定による評価結果
45μm
センサー 蒸留水
塗膜
乾燥空気
JIS K ー7129 A法
新規水性上塗りは、従来水性塗膜を凌 ぐ優れたバリアー性を有する
42
新規塗装システムの防食性
4.低VOC塗料例(屋外鉄部)
パネル:SPCC-SB
千倉海浜 傾斜曝露 1年
カット部
○ 3mm 2mm
フクレ フクレ幅
サビ幅
弱溶剤システムと同等の防食性
○ 8mm 1mm フクレ
錆 一般部
○
○
○
○
新規水性さび止め 新規水性上塗り
弱溶剤1液エポキシ
弱溶剤1液ウレタン
43
下塗り 上塗り
弱溶剤1液エポキシさび止め 弱溶剤1液ウレタン上塗り
34.0%
36.0%
37.1%
41.8%
1×130 2×130
48.2 108.7 156.9 希釈後の
VOC 塗料中の
VOC
塗付量 g/m2
VOC g/m2 標準塗装
total 下塗り
上塗り
新規水性さび止め 新規水性上塗り
9.0%
5.5%
8.6%
5.0%
1×140 2×110
12.0 11.0 23.0 total
Eco Products
85%
VOC削減率:85.3%
(下・上塗装時)
従来塗装仕様
新規塗装仕様
VOC削減効果(屋外鉄部)
44
塗料 塗装
素地調整 塗膜劣化
塗り替え
塗膜の廃棄 Biodegradable Coatings
塗料の循環システム 塗料の循環システム
高耐候性
Sustainable Coatings
省資源・CO2削減
循環を意識した塗料開発
Life Cycle Assessment