ナイトライド・メタラジーの基盤研究
∼G aNの新合成方法の開発∼
(研究課題番号 09450275)
平成9年度∼平成1 0年度科学研究費補助金
(基盤研究(B)一般(2))研究成果報告書
平成11年3月
研究代表者 早稲田 嘉夫
(東北大学素材工学研究所)
はしがき
窒化ガリウム(Gay)は、短波長発光素子などの機能性素材として近年その重
要性が増大している。金属ガリウムと窒素ガスを反応させてGaNを合成する窒
化反応は、熟力学的には可能であるものの、反応生成物のGaNが原料の物質移
動を阻害するため、この反応を利用して常圧でGaNで合成するのは非常に困難
である。 これに対し、 I.i-Ga-N系の熱力学的な基礎研究を行った結果、 Li3GaN2などの複合窒化を上手く利用すれば、金属ガリウムと窒素ガスが物理的に接触しな
くても、反応媒体を介してGaNが合成できることを実証した。また、 Li3GaN2の熱力学的性質を測定結果をもとに化学ポテンシャル図を作成し、リチウムを含
む系での窒化物の生成メカニズムを詳細に検討し、アルカリ金属を含む反応媒
体の有効性を示した。.反応媒体を利用したGaNの新しい合成方法ならびにポテ
ンシャル図を利用した解析手法は、種々の化合物の合成に適応可能である。
本方法は、反応媒体の有効な除去方法や目的の窒化物の析出形態の制御等、
改善しなくてはならない点も多くあるが、熱力学的に不安定で直接合成が困草
な窒化物を合成する新しい手法として利用可能である。さらに、化学ポテンシ
ャル図を利用した反応メカニズムの解析により、アルカリ金属共存下での窒化
反応の進行について複合窒化物や合金の存在の重要性を明確に示した点でも意
義は大きく、本研究成果は、窒素ポテンシャルの直接制御による窒化物の合成
方法の新しい概念および手法を提案できる波及効果が十分期待できる。
研究組織
研究代表者:早稲田 嘉夫 (東北大学素材工学研究所所長・教授)
研究分担者:山根 久典 (東北大学素材工学研究所・助教授)
研究分担者:岡部 徹 (東北大学素材工学研究所・助手)
研究経費
平成9年度 5, 600千円 平成10年度 3, 400千円研究発表
(1)学会発表
日本金属学会1998年秋期(第123回)大会
(1998年9月28日∼9月30日、松山市) 「 3元系複合窒化物の熱力学的性質」、石山理、岡部徹、早稲田嘉夫
「溶融塩中における窒素イオンの電気化学的性質」、
堀内章芳、岡部徹、早稲田嘉夫
資源素材学会1 998年秋季大会・資源・素材`98
(1998年11月5日∼11月7日、北九州市) 「Li-M-N (M=Al, Ga)系複合窒化物の熱力学的性質とMNx新合成プロセス」、
石山理、岡部徹、早稲田嘉夫
(2)口頭発表
なし
(3)出版物
なし
5次
第1章 緒言1.1技術的背景
1.2 本研究の主な目的 第2章 原理2.1窒化物の新合成法
2.2 窒化物の熱力学(2元系) 2.3 窒化物の熱力学(3元系) 2.4 u-M-N 3元系等温状態図の作成及び相平衡からの△G;の推定
2.5 Ta粉末の同時脱酸・窒化及び
u-Mg-N 3元系における熱力学的性質の研究
第3章 実験方法・装置
3.1研究・実験用試料の合成
3.1.1 u3Nの合成 3.1.2 Mg,N2の合成 3.1.3 u-Mg-N 3.1.4 u-Al-N 3.1.5 u-Ga-N 3.2 平衡実験3.2.1 u-Mg-N
3.2.2 u-Al-N 3.2.3 ●u-Ga-N3元系試料の合成
3元系試料の合成
3元系試料の合成
3元系平衡実験
3元系平衡実験
3元系平衡実験
3.3 伝導度測定 3.3.1 Li,Nの伝導度測定 3.3.2 uMgNの伝導度測定 6 6 7 8 10 12 29 29 29 29 30 31 32 33 33 34 34 34 35 353.3.3 U,AIN2の伝導度測定 3.3.4 u3GaN2の伝導度測定 3.4 起電力測定 3.4.1 u-Mg-N 3元系試料の起電力測定 3.4.2 Li_Al-N 3元系試料の起電力測定 3.4.3 u-Ga-N 3元系試料の起電力測定 3.5 Ta粉の同時脱酸・窒化に関する予備的実験
第4章 実験結果及び考察
4.1研究・実験用試料の合成
4.1.1 u,Nの合成 4.1.2 Mg3N2の合成 4.1.3 u-Mg-N 4.1.4 u-Al-N 4.1.5 Li-Ga-N 4.2 平衡実験4.2.1 u-Mg-N
4.2.2 u_Al_N 4.2.3 u_Ga-N3元系試料の合成
3元系試料の合成
3元系試料の合成
3元系平衡実験
3元系平衡実験
3元系平衡実験
4.3 3元系等温状態図の作成 4.3.1 u-Mg-N 3元系等温状態図(900K) 4.3.2 Li-Al-N 3元系等温状態図(900K) 4.3.3 Li-Ga-N 3元系等温状態図(700K) 4.4 伝導度測定 4.4.1 u3Nの伝導度測定 4.4.2 uMgNの伝導度測定 4.4.3 u3AIN之の伝導度測定 4.4.4 U,GaN之の伝導度測定 36 36 36 37 38 38 39 49 49 49 49 50 51 52 53 53 53 54 54 54 55 55 56 57 57 58 584.5 起電力測定 4.5.1 u-Mg-N 3元系試料の起電力測定 4.5.2 u-Al-N 3元系試料の起電力測定 4.5.3 u-Ga-N 3元系試料の起電力測定 59 59 59 60 4.6 3元系等温化学ポテンシャル図及び相平衡関係図の作成 61 4.6.1Li-Mg-N 3元系(900K) 4.6.2 Li-Al-N 3元系(900K) 4.6.3 Li-Ga-N 3元系(700K) 4.7 GaNの新合成プロセスの考察 61 63 64 65 4.7.1 u3GaN2/GaN 2相平衡を利用したGaNの 新合成プbセスの考察・実験 65 4.7.2 電気化学的手法を用いたGaNの
新合成プロセスの考察・提案
(等温化学ポテンシャル図を用いた反応メカニズム) 67 4.8 Ta粉の同時脱酸・窒化に関する予備的実験第5章 稔括・まとめ
参考文献
68 124 126第1章 緒言
1.1技術的背景
近年、 ICやサイリスタの基板等に熱伝導率が高くかつ誘電特性の良い窒
化アルミニウム(AIN)が利用され始めたことに伴い、いわゆる機能性窒化
物の合成プロセス-の関心が高まっている。このような機能性窒化物を合成
する手法1)2)として、例えばアンモニア等の窒素化合物ガスの種類や分圧を
精密制御し、窒素の化学ポテンシャル並びに反応速度を制御する方法が試み
られている。しかし、この方法は気/固反応のため反応速度を思うように上
昇出来ず、また反応化学種の熱力学的安定性及び濃度の関数としての窒素ポ
テンシャルの制御は、十分な精度を確保出来ない等の制約がある。このほか
にもAINのイオン伝導度が極めて低く、反応生成物のAlNそのものが窒化
反応を阻害するためAlNの生産性は極めて低い現状である。したがって、窒
素ポテンシャルを精密に制御し、効率よく目的の窒化物を合成する新しい手
法の開発は重要な課題となっている。
酸素に関しては、固体電解質を用いた酸素センサーをはじめ、酸素ポテン
シャルの測定・制御技術が戦後急速に発展し工業的にも広く応用されている。
これに対して、窒素ポテンシャルを正確に測定する手法は確立されておらず、
特に低い窒素ポテンシャルを決定出来る信頼性の十分な窒素センサーが開発
されていないため、窒化物の熱力学データの蓄積は酸化物に比べ著しく乏し
い現状である。高温における窒素の化学ポテンシャルの測定・制御について
は、素材プロセス分野において極めて重要なプロセス・パラメータであるが、
著者の知る限り工学研究はもとより基礎研究でさえあまり行われていない。
このような背景をふまえ、本研究では次世代に向けた先導的研究としての
「ナイトライド・メタラジーの新しい展開」を目指し、窒素ポテンシャル測
定・制御技術の開発等の基盤技術の確立、さらには窒素ポテンシャル制御に
よる窒化物の新合成プロセスの開発研究を試みた。
1.2 本研究の主な目的
Li3N等のア/レカリ金属窒化物に関する研究は、酸化物に比べると質・量と
もに研究報告は少ないものの、代表的な窒化物の標準生成ギプスエネルギー
等の熱化学的安定性等についての情報はある程度蓄積・整備されている。参
考までに、 Fig. 111に各種窒化物に関するエリンガム図を、またTable 1-1及 び1-2にいくつかの窒化物の熱力学的物性値を示す6)∼ll)32)0 Fig.ト1からわかるように、アルカリ金属窒化物の安定性はTiやAl等の窒化物に比べて一般
に低く、中には高温で金属と窒素ガスに熱分解するものもある。 Li3NはLi
イオン伝導体であり、原理的には窒素センサーや窒素ポテンシャル制御に利
用出来ることになる。しかし、高温における低いレベルでの窒素ポテンシャ
ルの測定及び制御ついては、 1atmでは約1250 Kで分解するLi,N単体を利用することは困難である。したがって、適応可能な窒素ポテンシャルの範囲に
制限があるため未だ実用化されていない。このため、本研究ではLi,Nにか
わる材料として3元系Ml-M2Ⅹ-Ny (Ml、 M2:金属、 N:窒素)複合窒化物に 着目し、これらの相平衡及び熱力学的な安定性に関する研究を展開したcTable1-3には、本研究で用いたものも含め現在までに報告されているLiを含む代
表的な複合窒化物を示すS) 9) 12)∼16)。最近では複合窒化物の重要性に対する認識の高まりから、新しい相の探査や結晶構造に関する研究が国内外を問わず
多数の研究機関により展開されつつあるがS)12)∼15)17)、それでも相平衡、熱力学については極めて少ない現状である。そこで本研究では、比較的安価で入
手しやすく、またイオン伝導度や電子伝導度に大きく貢献できると考えられ
るリチウムをMlとして使用し、複合窒化物LiMxNyの標準生成ギプスエネ
ルギー(△Gof)、及びLi-M-N 3元系の相平衡について系統的に検討し、複合窒化物の熱力学的安定性と窒素センサー-の応用の可能性について詳細
な検討を行った。
Table 1-1 Some representative properties of selected nitrides. ( ref: 6)- ll) 32) )
Nitride Decomposition Denslty at 298K, Color Conductivlty,
temp・*, T/K JO/g・cm-3 g / sm-t C r2N 1238 2803 920 1715 >3500 >4000 >3500 2149 >2600 >1500 >1300 1548 1781 Ruby red Light brown Light gray Olive Gray metallic Dark blue 1.0 X loll(293K) Insulator 2.5 × 10 7(293K) White B lack C onductor Black B lack Dark brown
* : Under condidon of latm pressure.
Table 1-2 Standard enthalpy and Gibbs energy offbrmation ofselected nitrides.
( ref: 6)∼ll) 32) )
Nitride ALfm,2,8K+kJJmor%SK / kJmol l AGo,7.8KイkJmolll AGo仰。K / kJmol-.
ー164.6 -128.6 -3 18.0 -287.0 -109.6 -77.7 -460.7 -400. 5 -252.3 -226.6 -271.5 -243.9 -337.9 -309.2 -744. 8 1647.3 -254.4 -228. 5 -43 1.0 -368.0 -363.2 -295.2 -117.2 -92.7 _125.5 -102.2 -73.5 144.9 -244.4 -223.2 -27.4 -2.5 -319.4 -279.1 -193.3 -177.9 -207.9 -191.1 -270.9 -252.3 -513.5 -446.5 -192.8 1175.0 -286.2 -246.5 -203.6 -157.1 -61.6 -46.8 -72.2 -58.2 つ l
岬
A
I
N
芯
W
叩
・
蒜
晶
認
5
3 1 3 3 1 7 1 3 ′ 0 2 3 4 4 4 4 3 5 つ J 2・
5
-慧
脚
芯
m
・
帆
晶
叫
叫
蒜
2Table 1-3 Some representative properties or selected complex nitrides.
(ref: 8)9) 12)-16))
Complex nitride Color conductivity, q / Sm-I
Li3AIN2 Light gray Li3GaN2 Light gray LiMgN Red-brown Li2SiN2 Gray LiCaN Orange LiZnN B lack Li5TiN3 Yellow Li5GeN3 Yellow-brown Li 9C rN5 D ark-brown Li7MnN4 Black L i 7VN4 Gray 6.2 × 10 5(473K) 8.5 X IOl4(873K) 1.1 × 10 3(400K)
紳3Lql os
500 1 000 1 500
Temperature, T/ K
Fig. 1-1 Standard Gibbs energy offormation for selected nitrides.
(ref: 10) ll) ) N N T 一 O E 「 q J N N d u l J t J Z o D V
第2章・原理
2.1窒化物の新合成法
現在工業的に利用されているAINの合成方法は、 Fig・ 2-1 (a)に示すように
高温で金属アルミニウムとアンモニアあるいは窒素等の原料ガスを直接反応
させるプロセスを利用しているが、生成した窒化物が窒素ガス及びアルミニ
ゥム金属の供給を阻害し、反応の進行を妨げるため、 AIN結晶の成長速度が
極めて遅い等の不都合を生じている。また、この従来の発想に基づく限りAIN
に限らず、 GaNのように高温で不安定かつ構成元素の移動度が小さい窒化物
の合成は、反応速度を増大させて生産性を向上させることは困難であろo窒
素ソースとして窒素ガスではなく窒化物を用いる方法もあるが、反応生成物
である低級窒化物の反応性や回収法、及び回収率を考慮しなければならない。
この課題について本研究では、 Fig. 2-1 (b)に示すように目的の窒化物MN,, と、 Liを含む3元系複合窒化物LiMxN,の2相平衡において、 LiMxN,から何らかの方法でリチウムを抜き取る化学反応を利用し、 3元系複合窒化物
LiMxNyから目的の窒化物MNy・を析出、合成するプロセスを検討することを考えた。従来検討されてきた「足し算の反応」ではなく、この「引き算の反
応」による窒化物合成法は、凝縮相内における反応のために、気/固反応に
比べ、大きな反応速度が期待出来る。また、 3元系複合窒化物LiMxNy中には
M (金属)及びN (窒素)がそれぞれイオンとして存在すると考えられるの
で、 MNy・ / LiMxNy界面を利用して酸化・還元反応を使わずに窒化物MNy・を直接析出させることが出来、また条件によっては大型単結晶を育成出来る可
能性(Fig. 2-2)がある3'∼5㌔この考えは「複合窒化物LiMxN,を媒体として目 的の窒化物MNy・を合成する新しいプロセス開発の可能性」 -と夢が広がる。したがって、このプロセスの可能性を検討する場合LiMxN,中のリチウムイ
オンの移動度と、 LiMxN,とMN,・の相平衡及び熱力学的安定性等の情報が不可欠である。この様な視点に立って本研究では、基礎的な研究-の取り組み
を試みた。?.2 窒化物の熱力学(・2・\元系) Fig. 2-3にはリチウムー窒素2元系状態図を示す川)。物質の相平衡を考え るとき、例えばこの2元系において窒化リチウム、 Li3N、のみが化合物とし て安定に存在する場合、 900 KにおけるLi(1)、 N2(g)およびLi3N(S)の化学ポテ ンシャルはFig. 2-4に示す関係となる。すなわち、 0.25モルのLi3N(S) (構成
元素の総数がlmol)当たりの標準生成ギプスエネルギーを表す点Gを通る直
級(a∼d等)と、それぞれの化学ポテンシャル軸との交点、 p,、は、 安定に窒化リチウムが存在する場合( aL.,N- 1 )のリチウムと窒素の化学ポ テンシャル、 pLl及びpN2、の関係を示している。本研究では、物質の相平 衡と化学ポテンシャルの関係をより詳細に把握するために、 Fig. 2-5に示す ような、それぞれの成分の化学ポテンシャル(loga, - p,/2.303RT)を軸にとった等温化学ポテンシャル図を積極的に用いた。これは一定温度における、
化合物がとり得る各成分の化学ポテンシャルと相平衡の関係を示すものであ
り、この図から相平衡だけではなくLi / Li,N平衡におけるpNZ、 N2/ Li3N平
衡におけるaLi,さらにはLi,N (S)が許容出来るaL.やpN2の範囲が容易に理解
出来る。 Fig. 2-5中のポテンシャル点a ∼ dは、それぞれFig. 2-4における 破線a ∼ dに対応しており、 Fig.2-5の点a、 b、 C、及びdを通る直線はFig.
2-4における点Gを通る破線に対応するpLi、 1/2,uN2の軌跡である。ここで、
等温化学ポテンシャル図は次式との関係を持っている。
3 Li(S) + 1/2 N2(g) - Li3N(S) (2. 1)
△G- △Go +RTlnaLl,N/(aL.3 ・ pN21′2) (2・2)
1/2 logpN2 - (AGo - AG) / 2・303RT+ 3 logaL, - logaL.,N (2・3)
式(2・1)の化学平衡が成立し、かつaLi,N=1と仮定すると、 Fig・2-5のように
窒化リチウム安定領域における各成分の化学ポテンシャルの関係を示す直線
の傾きはマイナス6分のlになる。この直線と原点との距離は窒化リチウム
相平衡関係も示しており、 Fig-2-5中のa及びdはそれぞれ.Li3N (S)がN2 (g)
及びLi (1)と共存することを示しているので、次に述べる3元系の等温化学
ポテンシャル図においても、各物質の相平衡ならびに化学ポテンシャルの情
報を視覚的に捉えられることが利点である。
2.3 窒化物の熱力学(3元系) Fig.2-6は、 900KにおけるLi-AトNの3元系等温化学ポテンシャル図で ある10)ll) 18)。各物質を表す面と原点(2元系化合物であれば2次元の、 3元系化合物であれば3次元のlogα∫-0の点)との距離は、既に述べたようにそ
の物質の標準生成ギプスエネルギー(△G㌔)に対応するので、示された面
と原点との距離が大きく安定面の面積が大きい程、その物質がより安定に存
在することを示唆する。またFig. 2-6にはそれぞれの化合物の活量を1とし
た場合を例示しているが、これらの活量が10分の1になった場合には、安
定面は1目盛り分だけ下方に移動することになる。ここで参考までに、Fig.2-7(a)にはAl-N2元系状態図を、 (b)にはAl-Li2元系状態図を示すlS)。 Fig. 2-6
において複合窒化物Li3AIN2以外の物質は、 Barin10)及びJANAFll)等による 熱力学データを用いて計算したものである。ただし、 Li3AIN2の標準生成ギ プスエネルギー(△Go,,Ll,JuN2)の報告値が無かったの七、図中では△G?,,1.,N、 △GoJ:A.N等の値を参考に仮に1350 kJ/molとして計算した。このLi,AINl_安定面 すなわち△GoJ,i.P2の実験による決定は、 3相平衡が成り立つポテンシャル点
1とポテンシャル点2を利用し、リチウムイオン伝導体であると考えられる
Li,AlN212)を固体電解質として用い、次式で表わされるガルバニ・セル(Battery cell 1-2/Fig. 2-6)を構成して、その起電力を測定することで可能である19)。Li3N(S), Li,AlN2(S), N2(g)I Li'llAlN(S), Li3AIN2(S), N2(g) (2・4)
ここで、半電池反応はそれぞれ、
・Catho'de.:AlN(ら).+ 3 lli+ + 1/2N2(g).+ 3 e- → LらAIN2(S) ・ ・ (字・6)
であり、総括反応は、
Overall : Li3N(S) + AIN(S) ・l Li3AIN2(S) (2.7)
である。このセルの起電力は、 Fig.2-6に示す点ト2間の化学ポテンシャル差 ( logaL.,. - logaL,、2 )に対応し、また物質を表す面の傾きはその物質の化学量論
によって一意的に決定される。したがって、例えば式(2.4)の電池を構成し
測定において得られる起電力は、以下の通り計算出来る。
Li++e - Li △G- pLr PLl.- Pe--Rnn( aL,/aLl・ ) +nFE E-2.303 RT/nF ・ log(aL.・/aLl) (2.8) ここで、 αLl・-1、 〟-1として、 Li/Li+参照極に対するサイトfの電位は次の (2.ll)式で与えられる。 E--2・303RT/F ・ logaL.,. 従って、 Liの化学ポテンシャルが異なる2点1、 2間の電位差は、AE-2.303 RT/nF ・ log(aL,.. /aLl,2)
(2.ll)
(2.12)
となり、 △Go,i.3AIN2 - -350 kJ/molと仮定した場合、 o・29Vとなる〇 Fig・ 2-6の
縦軸には、 Li / Li+参照極に対する電位も示しているが、式(2.12)により、図 中のlogaLi軸の1目盛りが0.18Vに対応する。
実際のLi -Al- N 3元系では、 Fig. 2-6中に示した相Li,AIN2以外の複合窒
化物が存在する可能性がある。例えばLi3AIN2とAINが1 : 1で化合して出来 ることが予想されるLi3A12N3が安定化合物として存在する場合、 Fig. 2-6に
おけるポテンシャル&:・2におけるよう.な3相平衡は成立せず、・ Fig. ・2-8笹示
すような相平衡関係になる。しかし、現時点ではこのような複雑相が存存す
るという報告は無いので、本研究ではFig. 216のようにLi,Nと窒化物(AIN) の1 : 1の化合物である複合窒化物(Li,AIN2)のみを安定な3元系複合窒化物と考えて研究を進め、相平衡実験により結果の妥当性を検討した⊂:
本研究では、 MとしてAlのみでなくLi-Ga-N 3元系複合窒化物である Li3GaN2も研究対象に含めた。 Fig・ 2-9にはLi,GaN2の未知の△G`二'1:Ll,GaN,を、ここでも△G:,i.,N、 △Gl.C.aN等を参考に-150 kJ/molとして計算した700 Kに
おけるLi-Ga-N 3元系等温化学ポテンシャル図を示すHJ)ll)18)21)22)。また参 考としてFig.2-10にはGa-Li2元系状態図を示す18). Ref. 18)からはGa-N
2元系状態図を得ることは出来なかったが、 Ga - N 2元系化合物としてウル ツ鉱型の結晶構造を持つGaNが報告されている。 Fig. 2-9の等温化学ポテン シャル図の特徴としては、 700 K という比較的低い温度であるにも関わらず GaNの安定面が非常に小さいこと、更に700Kにおいて幾種類かのLi-Ga 2 元系金属間化合物が存在することである。このことより、 700KにおけるLi-Ga-N 3元系等温状態図は前述の900KにおけるLi-Al-N 3元系等温状
態図よりもさらに複雑になり、またLi,GaN,_の安定性の微妙な変化により平
衡する金属間化合物相が異なることが予想される。
2・4 Li-M-N 3元系等温状態図の作成及び相平衡からの△G?′の推定Fig. 2-6には、 Li (1)とAlN (S)及びLi,AIN2 (S)の3相平衡が示してあるが、
△GoJ,Li,A.N2の値がこの仮定よりもさらに小さく(負に大きく)、 3相平衡ポテ ンシャル点Li/AlN/Li,AIN2が低pN2側にシフトする場合、最終的にはLi,AIN,
はLiAlとも平衡する可能性がある。この場合LiとAINは平衡しなくなり、
3相平衡Li/AlN/Li,AlN2は成立せず、かわりにLi /LiAl/Li,AIN2とLiAl/AlN / Li3AIN2の2つの3相平衡が成立することが、 Fig. 2-6の等温化学ポテンシ ャル図より予測出来る.これは、 Fig.2-11の右側に示すLi-Al-N 3元系等温状態図において、 Li、 Li,AlN2、1.AlN、.及びLiAlの4相で囲まれた領域内に・ おける2つの3相平衡でいずれの相が互いに平衡し合うかが、 △GLl/、Ll、A,N,の 大小により(a)、 (b)の相違として表わされることを示している::実際の相平
衡を決定するために、前述の4つの相で囲まれた領域内で任意の組成におい
てLi - Al - Nの3元系合金を合成し、 △Gr:ll.,A.N2を測定する温度において、その合金がいずれの相に分離したかを解析することにより、おおよその
Li,AIN2の△G?′・e)値が確認出来るoすなわち、 Fig1 2-6に示す等温化学ポテン シャル図におけるLi3AIN2相の安定面の位置により、仮にLiとAINが直接平 衡するならば(Fig1 2-ll (a)参照) △GoJ,1.,AIN2は-411・5 kJ/molよりも大きく(負に小さく)なる。一方、またLi3AIN2とLiAlが直接平衡するならば(Fig.
2-11 (b)参照) △GoJLi,AIN2の値は-42-11・5--553・O kJ/molの範囲にあることが理解で
きる。
同様にLi - Ga - N系でも、 Fig. 2-9における複合窒化物Li3GaN,の△Gこ'/・の
値によって、どの3相平衡(LiGa/Li,N/Li,GaN2、 Li,Ga2/Li,N/Li,GaN2、 Li2Ga / Li3N / Li3GaN2)が成立するかが変化する。これはFig. 2-12の右側に
示すLi- Ga-Nの3元系等温状態図において、 Li3N -Li3GaN2間の線分を底辺
とし、残る1つの頂点をLi - Gaの2元系合金(LiGa、 Li,Ga2、 Li2Ga)のい
ずれかとする三角形(3相平衡)の変化として表される。この3相平衡を決
定するために、 3相平衡の変化領域内で任意の組成においてLi - Ga - Nの3 元系合金を合成し、 △GoJli,。aN,を測定する温度において、その合金がいずれの相に分離したかを解析し、この結果からおおよそのLi,GaN2の△G?′の値が
確認出来る。具体的にはFig. 2-9に示す等温化学ポテンシャル図における
Li3GaN2相の安定面の位置と、 Li3GaN2及びLi3Nと平衡するLi - Ga系合金相
の関係より、頂点の一つがLiGaであれば(Fig・ 2-12 (a)参照) △Gc.I,li,GaN2の値
は-146 kJ/molよりも大きく(負に小さく)、 Li3Ga2であれば(Fig. 2-12 (b)参
照) △GofLi,GaN2の値は-146--164 kJ/molの範囲にあり、Li2Gaであれば(Fig・ 2-12 (C)参照) -164--210kJ/mol程度であることが予測出来る。
一意に決定出来る甲で、本研究では相平衡実験及び起電力測定を年う.=とと
した。 2.5 Ta粉末の同時脱酸・窒化及びLi-Mg-N 3元系における熱力学的性質の研究
本研究は、 「Ta (タンタル)粉末の同時脱酸・窒化」というテーマをサイドジョブとして位置づけ、タンタル粉の効果的な窒化処理に関する研究も併
行して実施した。これは、コンデンサー用の材料としてTa粉を窒素雰囲気
で熱処理する場合、 Taは窒化物を生成しやすいため窒化反応はすみやかに進
行するが、粉末の塊の表層のみが窒化し粉末内部のTa粉を均一に窒化する
ことが困難となり窒化ムラを生ずる。脱酸についても同様で、外部から脱酸
剤を供給すると脱酸ムラが出来る.したがって、 Ta粉を均一に窒化させるた
めにはTa粉に窒素ソースを均一に混合してから熱処理をする必要があるC
一方、現在Ta粉の脱酸にMg粉とTa粉を混ぜて熱処理をしているが同時脱
酸・窒化という視点に立てば、 MgのかわりにMg3N2 (窒化マグネシウム) を利用する方法がある.なぜならば、 Fig・ 111に示すようにMg,N2はpN2-1 atmの場合約1700 K以上において熱力学的に不安定であるためメタルMgと窒
素に分解し脱酸剤兼窒素ソースとなる.またFig. 1-1に示すようにTaN及び
Ta2NはMg,N2よりもはるかに安定であるため、 Taは窒素ソースMg,N2により熱力学的には容易に窒化されると考えられる。さらに還元により得られた
反応生成物のMgは脱酸剤として機能し、この反応は実際の工業プロセスで
も利用されている(1073K∼1173K)。また、未反応物についても硝酸等を用いることにより比較的容易に除去出来るという利点がある。ここで、参考まで
にFig. 2-13 (a)にはTa-N2元系、 (b)にはMg-0 2元系状態図を示すlS)0本研究において、著者らは以上のことがらを考慮して、以下の反応を利用し、
脱酸と窒化を同時に行う手法を検討する価値は十分にあると判断した0
Mg3N2 → Mg+N2 (2.13)N2 lj N(inTa) 0'(inTa)+Mg i MgO
また、上に述べた様に脱酸・窒化剤としてMg3N2を直接利用するプロセスは、
△GoJ,Mg,N2の安定性に大きく影響を受けるため、反応温度を上昇させることは 困難と考えられるo しかし、例えば、 Mg,N2を複合窒化物(LiMgN12)30)等)の形で間接的に供給すれば、その安定性を増大させることが可能でありプロ
セスパラメータの範囲を拡大出来る可能性がある等、この研究分野は今後の
金属の窒化プロセスにおいて有効な指針を与えることが十分期待出来そうで
ある。 以上、この研究の原理・意義をふまえた上でFig.2-14に、前述のLi-AトN、 Li-Ga-N 3元系同様、 Li-Mg-N 3元系複合窒化物LiMgNの標準生成 ギプスエネルギー△GO,LiMgNの値を△Go,:LI,N、 △G?,,TMg,N2等を参考に-350 kJ/mol と仮定して計算した、900Kにおける等温化学ポテンシャル図を示すIO)∼12)18)3-')C また参考としてFig. 2-15(a)にMg-N2元系、 (b)にMg-Li2元系状態図を示す。複合窒化物LiMgNは、結晶構造の視点からあまり優れたイオン伝導体
ではないと報告されているが12)、 Fig・ 2-14からわかるようにあるpN2領域において窒化物Mg3N2と平衡するので、これも窒素センサー用の電解質等とし
て利用可能と考えることは否定出来ない。更に、この3元系の特徴としてFig.
2-14及びFig. 2-15 (b)から明らかなように、 LiとMgは互いにいくらかの溶 解度を持つが、合金相は全く存在しないので、各状態図は先のLi - Al -N系及びLi-Ga-N系と比較して極めて単純と考えられる。したがって本研究で
はLi-Mg-N系についてもLi-Al-N系やLi-Ga-N系に先立ち、単なる予備実験としてだけではなく工業的プロセス-の応用を念頭においた1つの研
究材料系として研究を展開した。
(a)
(b)
Nitride synthesis
It is important to develop efficient synthesis
process forfunctional nitrides...
SonT :; nsb;onntha! sTso(ceex: sAfiL, ⇒ giisr,elCatcCeOJimebni.nraetioXi.Onr
〔司
Nitride fomed on startlng metal surface may block
further supply of nitrogen to the reaction interface.
⊆岳⊇
Makes it much difficult to produce slngle crystal substrate of
functional nitride.
New process f♭r nitride sy山hesis
Deintercalation
reaction
① possibilityof nitride synthesis from complex nitride.
@ possibilityof increasing chemical reaction velocity.
Fig. 2-1 (a) Conventional process for nitride synthesis.
Li十
Fig・ 2-2 Principle ofMNy・ (nitride) growth from LiMxN, (lithium contained
Li・N Phaso Di&grJLm
Weight Percent Nitrogen
0 0 0 0 0 -C 0 llll 81 i .-I) 白S S# #S3 3SB ニニニニニニニツト2 045 l
A
(Ll)
o占1'01'52lo2 鉄3
Li Atomic Percent Nitrogen
Fig. 2-3 Binary phase diagram forthe systemLi-N. ( ref: 18) )
0 0 Q C I 4 0。aJn一巴aduJaL
Li(I) Li。.75日。.25(S) 1/2N2 (g) 1/4AGrJfLbN .回一一 =1 1.24kJmoll1 /7 ■′ ノ■ ノ′ ■′ ′′ ′′ ′■ こ 一一 T=900K 一一一_E]___ ヽ 、 ヽヽ ヽ ヽ
、、旦
ヽ ヽヽ ヽ ヽ ヽ ヽ、 Jj]
ヽ ヽ ヽ Li(I) 25 50 75Composition (mol% Nitrogen) 1 /2N2(g)
Fig. 2-4 The chemical potential di喝ram fわr Li-N system at 900K・
L J O ∈ r ミ コ 2 7 u l L L t ] = コ 7 ' ゴ ー 0 1 t 2 ! t u a t O d l e D ! ∈ a L J 3 ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ ヽ こ O ∈ 「 ミ N N d u l . L t ] N \ L = N N 7 1 N \ し . N N も 一 E ! ! t u a 1 0 d l t 2 3 ! ∈ a u 3 1 0 2 & 2 0 似 3 0 4 0 柳
3Li+1/2N2-→ Li3N
AG = AGO+ RT lnaLi,N/ (aLi3・pN21/2)
1/2 1ogpN,= (AGO- AG) /2・303 RT+ 3 1ogaL.l logaLi,N
Fig. 2-6 Ternary chemical potential diagram for the system Li-Al-N at 900K. . コ l t . 1 ・ S ^ > l 叫
(a) Al・N Phase Di呼ZLm (Condensed Sy8t.m)
Weight Percent Nitrogen
UIUZO30 l 1-I ・:Ll+L2!. 8d○土t氾 l l l I I I I 一 I l I I I 一 l l 一 I l I 一 ● I I l l I I I I l 880. 犯ツエ 披 CS" V.P. JA0●C (Al)±AIN 0 10 20 30 40 Al
(b)Al・LIPbseDhqan
Atomic Percent Nitrogen
W●llht P●rceItt uthlum
lO 的 aO ●○ 竹 中 70
ALomJo PerC●rLt uLhltJm
ll 叫
Fig・ 2-7 Binary phase diagram for (a)the systemAl-Nand (b)the system Al-Li.
(ref:18)) 0 0 0 0 0 5 2 0 0 a J n l e J a d u J a 1
Li3Al2N3?
Fig. 2-8 Ternary chemical potential diagram for the system Li-Al-N at 900K
. コ J t . 1 ・ S ∼ ^ / 叫
Fig・ 2-9 Ternary chemical potential diagram for the system Li-Ga-N at 700K. . コ J n ・ S ^ ^ I g
Ga・Li Phase Diagram
Weight Percent Lithium
lOllO2[03104105[06LOlOO J730土lO●C ′ )′′ ′ ∫ I fL )! l I I .コA16+A.r! l )一〇 劔 Cx贊 ニVツ I,54.I.C日`" 劔ln●E! ヨ ーク
/2M..I.C 冤 I I I l 白 ツ ツ
板メ メ 6ニトヲニニツ 」「粐粐s3」3「
) J " C ■▼, ULI))8 , 剩С穹52
C(G■) ) ol'02-03'04'05'0'8'6ーildd6あJooGa Atomic Percent Lithium Li
Fig. 2-10 Binary phase diagram for the system Ga-Li. ( ref: 18) )
u o と n 一 巴 a d E a L
1 /2N2(白)
Li(I) LiAl (ら) Al (S)
1/2N2(g)
Li M LiAl (ら) Al (S)
Fig, 2-1 1 Comparison of the phase equilibrium relations
in Li-Al-N system at 900K
(a)The case of A GofLi,AlN2>-41 1 ・5 kJ/mol.
1/2N2(g) Ga(l) Li3G a2(S) 1 /2N2(g) Li (I) Li2Ga(S) † LiGa(S) Li3Ga2(ら)
Fig. 2112 Comparison of the phase equilibrium relations
in Li-Ga-N system at 700K.
(a)The case of A GofLi,GaN2>- 1 46 kJ/moll
(b)The case of A G;Li,GaN2 =-146-- 1 64 kJ/mol・
(a) Ti・N l>hJebiAふ血
0
WelghL Percent NltrOgen 5
0 10 20 30 4 0 50 60
Ta Atomic Percent Nitrogen
(b) Mg・OPh&BeDi呼W
hlg Atomic Percent Oxygen
Fig. 2-13 Binary phase diagram for (a)the system Ta-N and (b)the system Mg-0・
Li3N (S)
Fig. 2-14 Ternary chemicalpotential diagram for the system Li-Mg-N at 900K
(a) Mg・N Phase Di呼&m (Condensed System, 0.1 班PA)
(b) Mg・LiPh,a.Di呼8m
Weight Percent Lithium
O苧l.02.03.04.05.08.07.08.0100 7-▼一 〇C (LlB) l I 一 I l l I ● I I I I l (Li) 510 エ2 L I -○○.○○ ∼ bT-0-! 102030 010203040-5080砧b'690100
Mg Atomic Percent Lithium Li
Fig・ 2-15 Binary phase diagram for (a)the system Mg-Nand (b) the system Mg-Li.
(ref:18)) U.aJn]巴adEaJ. 0 0 0 0 0 0 0 0 I ( ) ▲ 「 3 N 0。aJnTt2JadEa一
第3章 実験方法・装置
3.1研究・実験用試料の合成
3.1.1 Li3Nの合成複合窒化物の原材料であり、また各3元系における相平衡を解析するため
に重要な役割を占めるLi3Nは、内圧が2気圧程度(室温時)まで耐えられ
る密閉可能なステンレスチャンバー(内容積:3.8761)でリチウム棒を313K ないし333Kに昇温して合成した(合成Exp.No. 1-4)。なおリチウム棒は、アルゴンを満たしたグローブボックス内で表面酸化層を削り取りニッケル柑
場内に入れた。反応はチャンバー内に高純度窒素ガス(純度: 99.9999%以上)を約1.7気圧程度の加圧状態になるまで導入し、リチウムの窒化によりチャ
ンバー内が常圧より低い減圧状態になると、再び初期加圧状態と同じ圧力に
なるように窒素ガスを供給した。このLi3Nの合成で用いた物質、及び以降
の合成・実験で用いる物質の詳細(形態、純度、購入先、大きさ他)をTable
3-1にまとめて示す。またこのときの合成で用いたガス経路図をFig. 3-1に示 す。ここで、このFig. 3-1に示す電気炉は約1400Kまで昇温が可能である。このようにして得られたLi3Nは、アルゴン封入のグローブボックス内で電
動粉砕機(Janke&Kunkel IKA-WERE Analysenmuhle A 10)及びメノウ乳鉢を用
いて粉末にしたあと、ガラスプレートにのせてカブトンフイルムを用いて大
気と遮断し、粉末 X線回折、 Ⅹm (理学社製 mT 2000 X-RAY DIFFRACTOMETER) 、により相の同定を行った. 3.1.2 Mg3N2の合成前章の2.5で述べたTa粉末の同時脱酸・窒化では、この研究のポイントが
Mg,N2の合成と粉末化、さらにはTa粉末との微細均一混合にあるというこ
とに留意して、 Mg,N2の合成を行った. Mg,N2は,原材料のMgパウダー(Table 3-1参照)をFe相場に入れてチャンバー(Fig.3-1参照)内に入れ、約950Kに昇温して合成した(合成Exp. No. 5)。また窒素ガスの封入は、前節3.1.1 のLi,Nの場合と同様le)要領で行った。このようにして得られたMg3N2は、Li3N
の場合と同様に皿による相の同定を行い、合成の確認を行ったこ
3.1.3 Li-Mg-N 3元系試料の合成本研究では前章2.3でも述べたように、複合窒化物の熱力学的安定性を起
電力法により求めるが、そのためにはLiMgNの場合、固体電解質とする
LiMgNだけでなく、例えばFig. 2-14中に示す3相平衡ポテンシャル点1''としてLiMgN-Li3N粉末混合試料等の2相の粉末混合試料が必要である。した
がって、これらの試料を以下の反応式により、それぞれLiMgN-40m01%Li3N、 LiMgN、 LiMgN - 40m01% Mg,N2の単相及び混合相試料を合成した。 Li3N+Mg+1/3N2 - LiMgN+2/3Li3N (合成Exp.No.6) (3.1) 1/3Li3N+Mg+ 1/3 N2 - LiMgN (合成Exp. No. 7) (3.2) 1/3Li3N+3Mg+N2 - LiMgN+2/3Mg3N2 (合成Exp.No. 8) (3.3)具体的には、前々節3.1.1で得られたLi3Nパウダーと購入したMgパウダー (Table 3-1参照)をメノウ乳鉢を用いて式(3.1)∼(3.3)左辺のモル比に混合し
た後、それぞれを別の鉄製相場に入れ、それらを1つの鉄製の試料輸送容器
に入れた後ステンレスチャンバー内にセットした。このとき、合成時におい
てチャンバー内に微量に存在する酸素の影響を抑制するため、相場と試料輸
送容器の間には酸素ゲックーとしてCuメッシュを約5 g入れておいた。ま
たチャンバー内にはLi3N合成時と同様の要領で高純度窒素ガスを供給し、
チャンバー内の温度が約880 Kになるように電気炉を昇温した。反応中は逐
一チャンバー内圧を確認し、窒化が進み内圧の変化が無くなり反応が終了し
た後は、 60ないし80 K程度更に昇温し、 1.8 ks程度保持した後反応管ごと炉冷した。それぞれの試料は回収後グローブボックス内に移し、電動粉砕機
とメノウ乳鉢を用い、更にふるい(Testingsieve,opening: 590FL)を使ってメ ッシュが28号以下の微粉にし、 Li,N、 Mg,N2同様皿により相の同定を行った。
3.1.4 Li-A1-N 3元系試料の合成
Li - Al - N 3元系では、起電力測定において固体電解質とするLi3AIN,_単
相粉末試料、またLi3AIN2 - Li3N (Fig. 2-6中の3相平衡ポテンシャル点1) 及びLi3AIN2- AIN (Fig. 2-6中の3相平衡ポテンシャル点2)の粉末混合試料 が必要なので、以下の反応式に基づいて、それぞれLi..,AIN2 - 40m01% Li3N、 Li,AlN2、 Li,AIN2 - 40m01%AlNの単相及び混合相試料を合成した。
5/3Li,N+Al+1/2N2 - Li,AlN2+2/3Li,N (合成Exp.No.9) (3.4) Li,N+Al+ 1/2N2 - Li,AIN,_ (合成Exp. No. 10) (3.5)
Li,N+5/3 Al+5/6N2 - Li,AIN2+2/3 AIN (合成Exp.No. ll) (3.6)
原材料は3.1.1節で得られたLi3Nパウダーと購入したAlパウダー(Table3-I 参照)であり、前節のLi-Mg-N 3元系と同様の手法で合成した。また、
この合成では、チャンバー内温度を約1100 Kになるように電気炉により制
御し、合成で得られた試料についてはⅩmにより相の同定を行ったC
またLi-Al-N 3元系については、試料合成の原材料として純Al以外に もAl- Li合金(Table 3-1参照)が市販されているので、これを粉砕機により粉末にした後、 Li3Nパウダーと混合して前述の純Alを用いた場合と同様
の組成を持つ試料の合成を試みた. Li,NパウダーとAl- Li合金パウダーの混合比は、以下の反応式に基づいて決定した。
aLi3N + b (Li-Alalloy) + cN2 → Li3AIN2 + 2/3 Li3N
(合成Exp. No. 12) (3.7)
a'Li3N+b'0.i-Alalloy) +C'N2 → Li3AIN2
(合成Exp, No. 13) (3.8)
a" Li3N + b" G.i-Alalloy) + C" N2 → Li3AIN2 + 2/3 AIN
(合成Exp. No. 14) (3.9)
.a"-o・527, b"-3・.086, C"40.70)
またこの時のチャンバー内温度を約960 Kになるように電気炉を制御し、合
成で得られた試料については別により相の同定を行った。
3.1.5 Li-Ga-N 3元系試料の合成 Li - Ga-N 3元系においても、起電力測定では固体電解質とするLi,GaN2 単相粉末試料、またLi,GaN2-Li,N (Fig. 2-9中の3相平衡ポテンシャル点1') 及びLi3GaN2 - GaN (Fig. 2-9中の3相平衡ポテンシャル点2')の粉末混合試料が必要である。そこで次の反応式に基づいて、それぞれLi3GaN2 - 40m01%
Li3N、 Li3GaN2、 Li3GaN2 - 40m01% GaNの単相及び混合相試料を合成した。
4/3 Li3N +LiGa+ 2/3 N2 → Li3GaN2+ 2/3 Li3N
(合成Exp.No. 15) (3.10)
2/3 Li3N+LiGa+2/3 N2ーLi3GaN2
(合成Exp.No.16) (3.ll) 4/9Li3N+ 5/3 LiGa+ 10/9N2 → Li3GaN2 + 2/3 GaN
(合成Exp.No. 17) (3.12) ここで、前節及び前々節の式(3.1)∼(3.6)同様にGa金属単体を用いるのでは なく、 LiGa (パウダー)を用いたのは、 Ga固体金属を約300Kにおいて融解 させた場合、 Gaの表面張力が比較的大きいため水銀のように振る舞い、 Li3N
パウダーと混合することが困難な点を克服するためである。したがって、本
研究では、まずLiGa及び次項の平衡実験で用いるLi2Gaを合成した。いず
れも0.2mm厚Ta箔を角形の相場に加工し、その中-、LiGaはLiとGa(Table 3-1参照)をモル比で1 : 1の分量に(合成Exp.No. 18)、 Li2Gaは2: 1にし たものを入れ(合成Exp. No. 19)、アルゴンガスをフローし、内圧を常に約1 atmに保持したステンレスチャンバー内にセットして合成を行った。合成
条件は、 LiGaは約890Kで2時間保持後、徐冷、 Li2Gaについては順次約800 Kで30分、約785Kで3時間、約765Kで1時間保持後、徐冷した。得られたサンプルは粉末にし年後甲D.の碑の同軍により合成の確認を行った。
またこれで得られたLiGaパウダーとLi3Nパウダーを式(3.10)∼(3.12)により 混合し、 Li - Mg - N 3元系と同様の手法で起電力測定用試料を合成した。この時のチャンバー内温度を約1000 Kになるように電気炉を制御し、合成
で得られた試料については別により相の同定を行った。
3.2 平衡実験 本研究では、前章2.4で既に述べたようにLi-M-N 3元系においていずれの相が互いに平衡関係にあるかを明らかにし、また各系の複合窒化物の熱
力学的安定性のおおよその見当をつけるため、 3元系状態図の未確定部分の
組成を持つ試料について重点をおいて平衡実験を行った。具体的にはFig. 3-2に示す様に、アルゴン封入グローブボックス内で種々の組成を持つ試料(ペ
レットもしくは混合パウダー)を用意し、それらを複数の鉄製チューブ内に
個別に入れステンレス製の栓で閉じ、これらを更にステンレス製の相場に入
れ平衡実験を行った。容器内には、大気が流入しないようにステンレス製の
蓋をTIG溶接によりシールし、さらにステンレス製の相場の中には、柑場内
に微量に存在する酸素による実験-の影響を考慮して、酸素ゲッタ-として
Cuメッシュを約5g入れておいた。これを目的の温度まで昇温し、数日間保
持した後反応容器ごと水中にて急冷、試料は回収後Xmにより相の同定を
行った。 3.2.1 Li-Mg-N 3元系平衡実験Li - Mg -N 3元系においては、 Fig. 3-3に示す①(Li,N - 25.Omol% Mg)か ら⑧(Li3N - 92.3m01% Mg)までの8種類の組成の試料を用いて平衡実験を行っ
た。ステンレス製相場及び内部は出来る限り均熱状態であるように電気炉内
での設置に配慮し、測温点(ステンレス製蓋中心部)が900 Kになるように
電気炉を昇温し、 9日間保持した後、急冷試料のm解析を行った。なお、
料の組成を示しているb
3.2.2 Li_Al-N 3元系平衡実験
Li_Al-N 3元系においては、 Fig. 3-4に示す①(Li,N-25.0m01%Al)から⑧
(Li3N - 92.3m01% Al)までの8種類の組成の試料を用いて平衡実験を行った〇
以降の作業はLi-Mg-N 3元系と同様の要領で行い測温点が900Kになる
ように電気炉を昇温し、 10日間保持した後、急冷試料のXm解析を行った。
なお、 Fig. 314中のA、 B、及びCは、前項3・1・4で合成した起電力測定に用いる試料の組成を示している。また、この他図中のLi (1) - Li3AIN2 (S)平衡及
びLiAl (SLAIN (S)平衡を表すタイラインは、 Fig, 2-6よりその成立が自明で
あると考えられるのであらかじめこの様に示すこととした。
3.2.3 Li_Ga-N 3元系平衡実験
Li - Ga - N 3元系においては、 Fig. 3-5に示す①(Li3N - 50.0m01% LiGa)か
ら③(Li,N 85.Omol% LiGa)及び④oJi,GaN2 50.0m01% Li2Ga)から⑥(Li,GaN,
-95.0m01% Li2Ga)までの6種類の組成の試料を用いて平衡実験を行った。以降
の作業はLi-Mg-N 3元系と同様の要領で行い測温点が700Kになるよう
に電気炉を昇温し、 8日間保持した後、急冷試料のm解析を行ったC な
お、 Fig. 3-5中のA、 B、及びCは、前項3.1.5で合成した起電力測定に用いる試料の組成を示している。また、 Li-Al-N系の場合と同様、 Fig.2-9より
その成立が自明と考えられるLi2Ga (S) - Li3N (S)平衡、 LiGa (S) - Li3GaN2 (S)平 衡、及びLiGa(S) - GaN (ら)平衡も併記した。
3.3 伝導度測定
本研究ではガルバニ・セルの起電力測定を行う前に、まず固体電解質内部
のイオンや電子の挙動を知るために固体電解質と考えられる複合窒化物の伝
トの申端をタングステンワイ刊羊連結した板状モリブデン電極で挟ん.でチャ
ンバー内に設置し、外部よりスプリングを用いて両方の電極界面が密着する
ようにした。そのセルの構成をFig. 3-6に模式的に示す。チャンバー内には 高純度窒素ガスを、デジタルマスフローコントローラー(STEC INC.社製 SECU-1)で10 cc/min.の一定流量でフローさせ(Fig. 3-1参照)、窒素分圧をバブラーバルブ開放により約1気圧の定常状態に保持した。伝導度測定は4
端子法により、周波数応答解析装置、 FRA (東洋テクニカ社製 ソ-ラトロ ンSI1287 ELECTROCHEMICAL NTERFACE及び同 SI1260 IMPEDANCE / GAm-PHASE ANALYZER)、を用いて行った。また、測定結果より電気化学 インピーダンス解析ソフトウェア(ScribnerAssociates社製Z-plot)を用い て複素平面インピーダンスプロット(Cole-Coleプロット)を作製し、伝導度の解析を行った。
3.3.1 Li3Nの伝導度測定本研究では複合窒化物の伝導度を測定するに先立ち、次章の起電力測定で
も用いる伝導度測定用セットアップの性能を確認する意味で、まずはじめに
良好なLiイオン伝導体であると報告されている7)28)Li,Nの伝導度測定を行っ た。 3.1.1で得られたLi,Nパウダーは底面積が約1.89 cm2 (直径1.55 cm)の円柱形の鉄製ダイスを用いて約550MPaでペレット状に整形した(ペレット
の長さ(厚さ) lLl,N‥6・4mm)。また、このペレットを焼結するとペレットの表面に体積変化によると思われる大きなクラックが現れたので、以降の伝導
度及び起電力測定の場合ではあえて焼結は行わなかった。これは、測定まで
の昇温過程において試料が焼結すると考えたためである。測定は600から
1000Kまでの100K間隔の各一定温度で行った。 3.3.2 LiMgNの伝導度測定 3.1.3で得られたLiMgNパウダーはLi3N同様鉄製ダイスを用いてペレット状に整形した(空レアトの長さ(厚さ) lLiMBN : 5・Omm)10.このLiMgNづレッ トを用い、測定は700から1100Kまでの100K間隔の各一定温度で行った 3.3.3 Li3AIN2の伝導度測定 3.1.4で得られたLi3AIN2パウダーもLi3N同様鉄製ダイスを用いてペレット 状に整形した(ペレットの長さ(厚さ) ILL,AIN2:7・5mm)CこのLi,AINコペレッ トを用い、測定は700から1100Kまでの100K間隔の各一定温度で行ったC 3.3.4 Li3GaN2の伝導度測定 3.1.5で得られたLi,GaN2パウダーもLi3N同様鉄製ダイスを用いてペレッ ト状に整形した(ペレットの長さ(厚さ) ILL,GaN2 : 4・0 mm)。このLi,GaNl_ペ レットを用い、測定は500から800 Kまでの100K間隔の各一定温度で行っ た。 3.4 起電力測定
前章2.3で既に述べたように、ここでは起電力法により複合窒化物の熱力
学的安定性( △Gof)を求め、また3元系等温化学ポテンシャル図においてど
のような相平衡が成立するかを明らかにすることを試みた。実際には、 3.1.3
-3.1.5で得られた複合窒化物を固体電解質とする電池を構成した。ここで、
合成Exp. No.6-8、 ll-13、 15-17で得られた起電力測定用試料は、起電力測定を行う前に、電動粉砕機及びメノウ乳鉢を用いてもう一度粉砕・混合し、
3.1.3-3.I.5と同様の条件・手法で窒化を行ったが、いずれの試料も窒素の化合によるチャンバー内圧の変化は認められなかった。
本研究の起電力測定で用いたガルバニ・セルの構成をFig. 3-7 (a)に模式的に示す。セルのマイナス(I)極側Aには、複合窒化物L叫とLi3Nの混合
相ペレットを、中心の固体電解質部Bには複合窒化物LiMxNyの単相ペレッ
トを、またセルのプラス(+)極側Cには複合窒化物LiMxN,と窒化物MN,.の混合相空レッ.トをそれぞれ伝導度測定試料と嘩ぼ同様のセットアップ(Fig.
3-7 (b)参照)に設置して起電力測定を行ったo ここでは、等温化学ポテンシャル図上のリチウムポテンシャルを固定させ、同時にイオンの伝導を向上さ
せるため、窒素雰囲気を含む3相平衡のA側、 C側にそれぞれ複合窒化物
LiMxN,を混合した。なお、図中のA、 B、及びCは、 3元系等温状態図(Fig・ 3-3-3-5)中の組成点A、 B、及びCにそれぞれ対応している。窒素ガスの流量
も伝導度測定時と同じ条件にし、またチャンバー内圧もFig. 2-6のポテンシ ャル点1及び2、 Fig.2-9のポテンシャル点1'及び2'、 Fig.2-14のポテンシャル点1"及び2''を利用し窒素分圧をI atmとするため伝導度測定時同様に1気
圧の定常状態に保持した。モリブデン電極、タングステンワイヤを通して得
られた起電力は、デジタルマルチメータ、 DMM (Keithley社製 Mode1 2000 Multimeter)、を用いて測定し、その数値データ等をGP-IB インターフェー スを介して、計測用グラフィカルソフトウェア(National lnstmments社製 LabVIEW)を用いて連続的に表示、記録した。 3.4.1 Li-Mg-N 3元系試料の起電力測定 Li-Mg-N 3元系では、 3.1.3節の合成Exp.No.6-8で得られたサンプル をそれぞれ順にFig.3-7(a)中のA、 B、 Cとして使用した。ここで、 Exp.N0.6により得られたサンプルの皿結果は、 Li,Nの合成(存在)を明瞭には示
さなかったので、得られたサンプル重量が10.8 gに対して3.1.1節で得られたLi3Nパウダーを3.9 g程度更に追加、混合し起電力測定用試料として用い
た。全ての試料は伝導度測定時と同様、鉄製ダイスを用いてペレットに整形
し、チャンバー内にセットして測定を行った。測定は試料側部温度が800か
ら1100 Kまでの100 K間隔の各一定温度で行った.以下に、ガルバニ・セルの構成、またアノード、カソード、及び総括反応を示す。
Mg,N2 (S), LiMgN (S), N2 (g), I LiMgN (S) l Li3N (S), LiMgN (S), N2 (g) (3・13)
Cathode : 1/3叫g,N2.+ I/6 N2 + Lil+・e- → LiMgN (3・.15)
Overall : 1/3 Li3N + 1/3 Mg3N= → LiMgN (3.16)
3.4.2 Li-Al-N 3元系試料の起電力測定
Li-Al-N 3元系では、 3.1.4の合成Exp.No.9-14で得られたサンプルの
中から良好な即の結果を示すものを利用し、合成Exp.No. 12、 13、 11で 得られたサンプルをそれぞれ順にFig.3-7(a)中のA、 B、 Cとして使用した。
ここでも、 Exp. No. 12において得られたサンプルのXm結果は、 Li,Nの合
成(存在)を明瞭には示さなかったので、念のため得られたサンプル重量が
16.0gに対して3.1.1節で得られたLi3Nパウダーを7.3 g程度更に追加、混合し、起電力測定用試料として用いた。全ての試料はLi-Mg-N 3元系と同
様、鉄製ダイスを用いてペレットに整形し、チャンバー内にセットして測定
を行った。測定は試料側部温度が700から1100 Kまでの100 K間隔の各一 定温度で行った。以下に、ガルバニ・セルの構成、またアノード、カソード、及び総括反応を示す。
AlN (S), Li3AlN2 (S), N2 (g), I Li3AlN2 (S) I Li3N (S), Li3AIN2 (S), N2 (g) (3.17) Anode:Li3N → 1/2N2+3Li++3 e- (3.18)
Cathode : AIN+ 1/2N2+3 Li十十3 e ーLi3AIN2 (3.19)
Overall : Li3N +AlN l Li3AlN2 (3.20)
3.4.3 Li-Ga-N 3元系試料の起電力測定
Li-Ga-N 3元系では、 3.1.5節の合成Exp.No. 15-17で得られたサンプ ルをそれぞれ順にFig. 3-7(a)中のA、 B、 Cとして使用した。 Li-Ga-N 3
元系においても、 Exp. No. 15により得られたサンプルのXm結果は、 Li,N
の合成(存在)を明瞭には示さなかったので、得られたサンプル重量が1.5g
に対して3.1.1節で得られたLi,Nパウダーを0.4 g程度更に追加、混合し、
鉄製ダイ不を即、てペYツトに整形し..チャンバー内にセットして測定を行
った。測定は試料側部温度が500から800 Kまでの100 K間隔の各一定温度 で行った。以下に、ガルバニ・セルの構成、またアノード、カソード、及び 総括反応を示す。
GaN (S), Li3GaN2 (S), N2 (g), l Li3GaN2 (S) I Li3N (S), Li,GaN2 (S), N2 (g) (3.21) Anode:Li,N ∼ 1/2N2+3Li'+3 e- (3.22)
Cathode : GaN+ 1/2N,+3 Lil+3 e - Li,GaN2 (3.23)
Overall : Li3N + GaN → Li3GaN, (3.24)
3.5 Ta粉の同時脱酸・窒化に関する予備的実験
前出の3.1.2節でも述べたように、この研究のポイントはTa粉とMg3N2粉 との微細均一混合にあるので、本研究では3.1.2節で得られたMg3N,試料と 市販のTa粉(Table 3-1参照)を、ふるい(3.1.3飾参照)を用いて微粉末にし、それぞれの粉末を3種類の異なる比率で混合した。このとき、混合はグ
ローブボックス内でメノウ乳鉢を用いて出来るだけ均一混合粉末になるよう
に配慮した。以下に、これらの3種類の混合比の試料が反応容器内で起こる
と考えられる反応式を示す。
Ta+1/2Mg3N2 → TaN+3/2Mg (Ta-N Exp.No. 1) (3.25)
2Ta+ 1/2Mg3N2ーTaN+Ta+3/2Mg (Ta-N Exp.No.2) (3.26)
10Ta+ 1/2Mg3N2 → TaN+9Ta+3/2Mg (Ta-N Exp.No.3) (3.27)
これらの3式において、 (Ta-N Exp.No. 1)はTa粉がTaNとして100%窒化 するとした場合に必要な窒素量を含むMg,N2量を、 (Ta - N Exp. No. 2)は、
全Ta量の50%がTaNとして窒化するとした場合に必要な窒素量を含むMg,N,
量を、また(Ta-N Exp.No. 3)は全Ta量の10%がTaNとして窒化するとした場合に必要な窒素量を含むMg3N2量をそれぞれ混合したことを示す。また、
Ta粉のみ.の参蝉試料も.(Ta T N E・xp・ Not 4)として加え串.実際の窒化におい
ては、それぞれの混合試料を後の回収が容易な様に厚さ0.2 mmのFe箔を角
形の相場に加工したものに入れ、それらを鉄製の試料輸送容器に入れた後、
試料が入った相場の上に鉄製トレーにスポンジチタン(Table 3-1参照)を約 55 g乗せたものを置いた。これは、ある一つの試料中のMg3N2が分解して発生した窒素が他の試料のTaと反応するのを防ぐ、窒素グッタ-として機能
させるためである。反応条件等は、 3.1.5節のLiGa合成と同様の要領(アル ゴンフロー、 1気圧の定常状態)で、反応容器内温度を約1200Kにし、 12時間保持した.その後は室温まで徐冷し、回収した試料はⅩRDによりTa粉
の窒化の確認を行った。
Table 3-1 Starting materials used in this study.
Material Form Purit Purchased fTrom Note
Li Rod(1 ) 99%up N2 Gas 99.9999%up Li3N Powder 98% Mg powder 99.0%up AI Powder 99. 5% Li-AI Lump 99% Master alloy Lil82wt.%Al ( 54m01%Al) Kojundo Chemical Laboratory Co., Ltd. Nihon Sanso *
Wako Pure Chemical
industries, Ltd. Wako Pure Chemical
Industries, Ltd.
Hirano Seizaemon Shoten&
Ga Shot 99.99%up Kojundo Chemical Laboratory Co., Ltd. Ta Powder 99%up Ti S e 99%u Showa Cabot Super Metals K. K. Sumitomo SiTiX 10mm di乱. 70-150mm long Used as received Machine milled Product N0. 1 39-00065 Product No. 014-01785 Machine milled Ca. 5mm Hand milled Used as received
(1) KeptinAJ gas filled package.
* : Materialwhich we synthesized by ourselves using Li metalrod. & product of Smitomo Light Metalhdustries, Ltd.
由 乘 *ネ+H*ネ+H从 wモ」」ィ R 浴..W::肘#
#当 ・T. ⑳ ⑳ 珍 (.#5. ./{J舵 亦 u2 x x テ ネ ツ "8 ( ( 89" ⑳ ⑳ ・.群:: 幣諜 &r vメ x aS 萱草薫■ LH至芸 !
TIG weld
Stainless steel crucible
Sample pellets
Steel samp一e ho一der
Stajnless steer plug
1/2 N2 (g)
Li-Mg-NSystem
C
イ
1/3 LiMgN (ら)
@ :Composition of samples
br phase dia9ram Studies
8 :Composition of e一ectrodes
br E.m.f. studies
1/5 Mg3N2 (S)
Fig. 3-3 Composition of samples prepared for equilibrium experiment and
E.m.£ measurement.
1/2 N2 (g)
Li-AトNSystem C イ
1/6 Li3AIN2 (S)
1/4 Li3N (ら)
@ :Composition of samples
br phase diagram studies
[∃ :composition of electrodes
fわr E.m.f. studies
1/2 AIN (S)
1/2 LiAl (ら)
Fig. 3-4 Composition of samples prepared for equlibrium experiment and
E.m.r measurement.
1/2 N2 (g)
LトGa-NSystem Cs イ
1/6 Li3GaN2 (S)
Li (I)
(∋ :Composition of samples
br phase diagram studies
[∃ :composition of electrodes fわr E.m.f. studies
1/2 GaN (S)
1/3Li2Ga(ら) \ 1/2LiGa(ら)
1/5 Li3Ga2 (S)
Fig. 3-5 Composition of samples prepared f♭r equilibrium experiment and E.m.£ measurement.
Electrical leads r=500-1`
_i 剿ツ ツ ツ ツ ツ 白 ツ
N2gaSi二㌧/-N2gaS'
』-1■■■ssapAnpPe'1 Tungs!e CeramlC (4termir Ceramic ELectroh 一
-[ 劔
I
I 劔 劔彦 W&ヨ ツ ヨ ヌ F2 6W& ヨ 7F 匁ニW2 GV&R
g plug s stee一 sprlng holder n wires insulated by tubes als method) C SPaCer
yte (Complex nitride)
couple
enum p一ate e一ectrode
ら stee一
(a) ElectricaHeads
N4
"gE′ 7l.'■ C 劔ー
Tungsten wire r=500-1100K lnsulati咽P山gStainless steel spring
N2 gas inlet N2 gas Outlet Spri Sam npPeloaded ho一der
Eneus,nuaqEeced:ub:y:; S
Ceramic spacer Electrolyte Thermocoup]eMolybdenum plate electrode Ceramic tube
Stainless steel
tube
Fig. 3-7 (a) Schematic diagram of cell and (b) apparatus of setup used for E.m.f. measurement.
第4章 実験結果及び考察
4.1研究・実験用試料の合成
4.1.1 Li3Nの合成
Table 4-1に、 Li,N合成Exp. No. 1-4の結果を示す。いずれの合成におい
ても、実際のチャンバー内の窒素分圧の変化は、実験前の予測値に非常に近
く、合成したLi3N (color : mby red)の重量は、メタルLiの初期重量から計算 した値と±0.4%以内の誤差で一致した。 Fig. 4-1には、 Li3N合成中の時間の 経過に対する(a)チャンバー内圧、 (b)チャンバー内温度、及び(C)圧力変化か ら計算した積算反応窒素量を示す(代表例として合成Exp.N0. 1のもの)。Fig. 4-1 (a)ではLiの窒化によるチャンバー内の圧力が減少し、大気圧以下にまで 低下、 0.8 atmに達した時点で高純度窒素ガスの供給による加圧状態を数回に わたり交互に繰り返した結果を示している。 Fig. 4-2 (a)には、カブトンフイ ルムでLi,N試料を被覆して測定したm (Cu - Kα線、波長: 1.54050Å、 以降全て同様)の結果を、 Fig. 4-2 (b)、 (C)、及び(d)にはそれぞれカブトンフ
イルムのみの皿測定結果、参照のためのLi,NのJCPDSカードデータ(香
号30-0759)、原材料のLiのJCPDSカードデータ(番号15-0401)を示す。 これらより、測定ピークはカブトンフイルムによる回折を除くと、 JCPDSの Li3N参照パターンと完全に一致するため、 Liの窒化によってLi3Nが合成出来たと判断した。
4.I.2 Mg3N2の合成 Mg3N2の合成においては、 875 K付近から急激に窒化反応が始まり、反応 による若干の自己発熱もありチャンバー内温度は最高で960Kに達した.Table 4-2に、 Mg3N2の合成実験(合成Exp. No. 5)をはじめとする種々の窒素化合 物を合成した結果をまとめて示す。このTable 4-2において、合成Exp. No. 5-14では、反応した窒素量をサンプル(実際には鉄製相場も含む)の窒化前
後の重量変化から計算した結果を示す.ここで、I Mg,N2合成における窒素反
応量が計算値に対して比較的大きい相違があるのは、 Mgの蒸気圧が1100 K
において0.067atm程度10)であることから類推すると、 Mg蒸気の拡散による 柑場内の原材料自体が減少したため、もしくはMg/N2界面に生成したMg.3N。が、以後の継続的なマグネシウムパウダーの窒化反応を阻害してしまったた
めと考えられる。しかしながら、 Fig. 4-3に示すように、得られたサンプル (color : olieve)の皿測定結果は、 Mg,N2の参照パターン(JCPDS : 35-0778) と完全に一致し、少量のMgの存在が確認された。従って、 Mg,N2の合成結果は非常に良好であるということが出来る。
Table4-3にはTable4-2の合成Exp. No. 5-19に示す合成実験により得られたサンプルの皿解析で確認された相をまとめて示す。
4.1.3 Li-Mg-N 3元系試料の合成試料の合成においては、 735 K付近から急激に窒化反応を開始し、反応に
よる若干の自己発熱もありチャンバー内温度は最高で900 Kに達した:二 また合成したサンプルをチャンバーから取り出した後Cuメッシュの状態を確認
したが、 cuメッシュの酸化は見られず、合成前後では重量の変化は無かっ
た。またLi-Mg-N 3元系試料の合成における窒素反応量の、計算値に対
する相違は誤差の範囲内と考えられる。ここで、 Fig. 4-4 (a)∼(C)にそれぞれTable 4-2及び4-3のExp. No. 6-8に対応する合成したサンプルのm結果
を、 JCPDSカードデータ(LiMgN : 06-0702、原材料としてLi,N : 30-0759と
Mg,N2 : 35-0778)からの参照パターンとともに示し、また(d)にカブトンフイ
ルムのみのⅩmパターンを示す。 Fig. 414においていずれもLiMgNの合成
は確認出来るが、同時にいずれのサンプルでもMg3N2が確認された。特にFig.
4-4 (a)はLiMgN、 Li3N 2相混合物の合成を目的とした実験であるが、 Li3Nの
生成量は少なく、またMg3N2の存在も確認され、 Li3Nの合成についての結果 が必ずしも良好であるとは言えない。これは、 Li3Nが一度生成したものの、 その後も継続的に発生する反応熱による過度の温度上昇( ∼900 K )等によっ