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第1章 序章 1.1 緒言

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第 1 章 序章

1.1 緒言

日本を始めとして近年,自動車産業,ロボット産業,航空機産業,宇宙開発等が盛んに 行われる現代,従来以上に様々な機能を有する材料の作製が望まれている,それに伴い,

素材に対する要求は,大量生産低コスト化からより一層の低コスト化,さらに多様化,高 品質化へと様変わりしてきている.その一方で,素材製造が,資源・エネルギーの大量消 費及び地球温暖化をはじめとする様々な地球環境問題の一因となっていることも否めない のが実情である.また,廃棄物の再利用の見地からリサイクル材の可能性が検討されてい る.このような背景から,材質の改善と省工程メリットを兼ね備え,比較的需要の高い薄 板素材を作製する薄板連続鋳造プロセスの開発は必要不可欠である.

薄板連続鋳造プロセスたとえば 1),2)は,溶湯から直接ネットシェイプ製品を作製する方法で あるため,省工程化のみならず急冷効果による材質の改善が可能である.省工程化に関し ては,溶湯から直接ネットシェイプ製品を作製することにより,難圧延材の加工,鋳造設 備の簡略化,圧延,加熱工程の省略や簡略化が可能になり,この結果,大幅なコスト低減 が達成される.また,急冷材の組織・構造の観点から,結晶粒や析出物の微細化及び均一 分散,偏析の低減,合金元素の固溶限の拡大,非晶質相を含む準安定相,単一相などの出 現が可能で新機能の創出が期待できる.例えば,結晶粒の微細化により強度,靭性,伸び が向上する.また,磁化特性,耐摩耗性,耐食性に寄与する添加合金の量が増加すれば,

これらの特性の向上を図ることができる.

薄板連続鋳造プロセスは多くのプロセスが考案され,研究されているが,これらは双ロ ール法と単ロール法に大別することができる.一般に良好な表面を得るには双ロール法が 有利であり,多くの研究が行われているが,操業の困難さから,薄板作製の速度に制約が あり,飛躍的な高速化が望めないのが実情である.これに対し,単ロール法は片面が自由 凝固面であるため,表面性状に問題があった.しかし,例えばアルミニウム合金では一般 的な双ロール法の薄板作製速度10 m/minと比較し,単ロール法では100 m/min以上の速 度での薄板作製が可能であり生産性の向上が見込まれる.また,装置の機構の簡素さから 今後薄板作製改善の大きな可能性を有している.この単ロール急冷凝固法の一つがメルト ドラッグ法である.

メルトドラッグ法 4),9),11),25),27),29),31),49),51),52)-82)はアメリカの Battele Development Corp.

で考案されたプロセスであり,その機構の簡素さ,高速薄板作製の可能性から,多くの機 関で研究が行われている.しかし,欠点である自由凝固面性状の改善に関して,ノズル先 端形状の工夫が試みられているものの,依然多くの問題を残している.よって,自由凝固 面性状の改善に関しては従来の既成概念を打破した新しい概念に基づくプロセスの創出と それによる薄板作製の基本的な成形因子の系統立てた基礎的研究が必要であり,メルトド ラッグ法はその機構の簡潔さから,今後発展させるための自由度が大きい.

1-1

(2)

従来行われてきたメルトドラッグ法の研究・開発は,ステンレス鋼,珪素鋼等の鉄鋼材 料,そしてアルミニウム合金が中心である.これに対し,マグネシウム合金 389)-400)は,比 重,比強度や比剛性,減衰能,切削性,耐くぼみ性,寸法安定性など,鉄鋼やアルミニウ ム合金と比較し多くの利点を有すると考えられているが,難圧延性材料であるという問題 を有する.しかし,特にマグネシウム合金の薄板連続鋳造法の研究開発の歴史は鉄鋼やア ルミニウム合金と比較し極めて浅くまだ約10年程であり,メルトドラッグ法によるマグネ シウム合金薄板の作製に関する研究報告は世界においても皆無である.また,マグネシウ ム合金は,結晶粒径が機械的性質に与える影響がアルミと比較し大きく,急冷凝固法を研 究する上で興味深い.よって,メルトドラッグ法によりマグネシウム合金薄板作製に関す る基本的な成形因子の系統立てた基礎的研究が必要である.

そこで本研究では,上述の理由により,薄板連続鋳造プロセスのうち,高い生産性,簡 潔な機構など多くの可能性を有するメルトドラッグ法に着目した.マグネシウム合金の急 冷凝固薄板作製に関する基本的な成形因子の系統立てた基礎的研究を行い,プロセス設計 因子とその影響を明らかにし,本プロセスの問題点を提示することは重要である.

また,メルトドラッグ法の高速薄板作製という利点を生かしながら,自由凝固面性状の 改善を行うため,本研究の特徴は本プロセスに同時に“半凝固加工”の概念を取り入れた 従来例の無い方法を試みる.自由凝固面側に成形・冷却媒体である成形ロールを付加する ことにより,自由凝固面側に存在する半凝固層を凝固・成形することにより自由凝固面性 状を改善する.

さらに,マグネシウム合金薄板の特性改善方法として,保護ガスの薄板表面性状への影 響,溶融マグネシウムとロール(基材)との間の接触状態の検討を行う.

本研究の目的は,以下2点である.

・メルトドラッグ法によりマグネシウム合金の薄板を作製すること.

・薄板の表面を平滑にするための,プロセス設計因子を明らかにすること.

1.2 マグネシウム合金と本研究

研究テーマの抽出を目的として,以下のレビューを行った.マグネシウム合金の現状を 把握するという観点からマグネシウム合金の市場と合金の種類や一般的な機械的性質につ いて,従来法による板材作製方法という観点からマグネシウム合金の圧延について,これ までに行われている薄板連続鋳造法という観点からマグネシウム合金の薄板連続鋳造法に ついて,マグネシウム合金に対して使用されている防燃及び酸化抑制のための保護ガスに ついて,Caを添加したマグネシウム合金とその特徴について,レビューを行った.

1-2

(3)

1.2.1 マグネシウム合金83)-94) (a) マグネシウム合金の市場94)

マグネシウム合金は,実用構造用金属材料中で最も軽量であり,その密度は 1.74 g/cm3 であり,アルミニウムの2/3,鉄の1/4である.また,Fig. 1.1に示すように高比強度,高 比剛性である.従って,近年,エネルギー問題,環境問題を受け,燃費改善のための輸送 機器の軽量化の目的を中心として注目を集めている.

日本における需要としては,Fig. 1.2に示すように,アルミ合金への添加用途,ダイカス ト用途,鉄鋼の脱硫用途が過半数を占める.塑性加工用途がほとんど無いことが分かり,

その理由として塑性加工用素材の製造プロセスが確立されていないことが原因と推測され る.そのため,本研究では,マグネシウム合金の薄板連続鋳造法に着目した.

Metal material Plastic material

Specific tensile strength MPa/(Mg/m3) Specific rigidity GPa1/3/(Mg/m3)

Fig. 1.1 Specific tensile strength and specific rigidity of plastic and metal material 94)

0 50 100 150 200

Metal

1 2 3 4 5 6 7 8 9

0 0.5 1 1.5 2

ABS PC/ABS PC/ABS  GF20%

PC  CF10%

Mg  casting  (AZ91D)

Steel Al sheet Al  casting

Ti sheet

1-3

(4)

(b) マグネシウム合金の種類と機械的性質87),89),91),92)

続いて,マグネシウムの合金の種類と機械的性質について述べる.アルミニウムや銅で は,純金属のほうが延性が高いので塑性変形が容易であるが,マグネシウムの結晶構造は 最密六方格子であるため,むしろ合金化したほうが塑性変形しやすい.そのため展伸材に はすべて合金が用いられる.

現在,展伸用マグネシウム合金としては,AZ31 が最も多く使用されている.そのため,

本研究では主に実験材料としてAZ31を用いた.AZ31は,JIS H 4201とASTM(例えば ASTM B90)に規定されており,合金成分としておおよそAlを3 mass%,Znを1 mass%

含み,強度と伸びのバランスが良い合金とされ,具体的には圧延によって製造した板厚 1 mmのAZ31-O材では,引張強さ248 MPa,引張耐力152 MPa,伸び21 %である.

1.2.2 マグネシウム合金の圧延87,89),91),218),219)

ほとんどのマグネシウム合金の結晶構造は,最密六方晶であり,アルミニウム合金や銅 合金の立方晶と異なる.常温での塑性変形では,(0001)底面しか滑り面がないため常温塑 性加工性が悪く,約10%~15%程度の圧延しか行うことができない.これ以上の圧下率で 圧延すると,板の端から,また全体に割れが生じることになる.

しかし,温度が上昇し再結晶温度以上になると滑り面が増え,圧延が可能になる.この 0

5000 10000 150 200 250 300 350 400

00 00 00 45000 50000

00 00 00

Application amount ton

0 10 20 30 40 50

×103

輸出

粉末・その他 チタン製錬 ノジュラー鋳鉄 鉄鋼脱硫 アルミ合金添加 その他合金 射出成形 鋳物 ダイカスト

Fig. 1.2 Transition of magnesium demand at Japan 94)

1-4

(5)

ためマグネシウム合金の圧延は他の金属と異なり,厚板から薄板まで温間あるいは熱間圧 延で行わなくてはならない.また,最終圧延として一部冷間圧延加工を加え,機械的性質 を向上させることがある.

一般的なマグネシウム合金板の製造工程の概要図をFig. 1.5に示す.Fig. 1.5から分かる ように,マグネシウム合金の圧延は多数の工程を必要とする.そのため,本研究では,溶 湯から直接薄板を作製可能なプロセスに着目した.

Fig. 1.5 Product flow of magnesium alloy 87) 1.2.3 マグネシウム合金の成形性181)-221)

マグネシウム合金の成形性は圧延材を用いて,冷間から熱間まで幅広く行われている.

試験方法は主に,引張試験178),エリクセン試験179),コニカルカップ試験180)-182)である.

以下に,他研究機関における成形性に関する研究をまとめる.西村ら195)は引張試験により,

室温から300 ℃における引張特性を評価した.用いた材料はAZ31圧延材,板厚1 mm, 完全焼き鈍し,結晶粒径 29 μm である.試験温度が上昇するとともに,引張強さは大き く減少し,伸びは大きく上昇した.(Fig. 1.9).菅又ら 188)はコニカルカップ及びエリクセ ン試験により,冷間から 300 ℃におけるAZ31 の成形性を評価した.用いた材料は AZ31 圧延材,板厚0.8 mm,完全焼き鈍し,結晶粒径14μmである.コニカルカップ値は室温 から200 ℃までは上昇しA5052と同様の値を示した.300 ℃では200 ℃とほぼ同等の値 を示した(Fig. 1.10).Kohzuら191)は引張試験により,室温から300 ℃における引張特性 を評価した.用いた材料はAZ31圧延材,板厚0.8 mm,完全焼き鈍し,結晶粒径20 μm

1-5

(6)

である.変形抵抗は室温から100℃まではほぼ同じ値を示し,その後,温度が高くなるにつ れて大きく減少した.n値とr値も同様に温度が上がるにつれて大きく減少した(Fig. 1.11).

鎌土ら 206)は引張試験により,室温から 225 ℃における引張特性を評価した.用いた材料 はアルミ添加量を5%から6%まで変化させた圧延材,板厚0.8 mm,結晶粒径は5.7 μm から6.4 μmである.アルミ添加量5.5%のとき175 ℃以上では他の組成よりも大きな伸 びを示した(Fig. 1.12).LDRは225 ℃にて5%材と5.5%材は2.8,6%材は3.0だった.

Iwanagaら200)はAZ31 の押出し材から押出し方向に対し垂直,平行,45度の試験片を切 り出し,冷間エリクセン試験にてエリクセン値と結晶方位の関係を調査した(Fig. 1.13).

以上より,マグネシウム合金の圧延材に関する研究は数多くある.圧延等の塑性加工は マグネシウム合金の結晶粒径と結晶方位に影響を与える.薄板連続鋳造法は鋳造まま材で の薄板の利用を最終目的としている.しかしながら,連続鋳造したマグネシウム合金の薄 板の鋳造まま材での機械的性質と成形性が十分に明らかにされているとは言い難い.本研 究においても,鋳造まま材の機械的性質と成形性を明らかにすることは重要である.

Fig. 1.11 n-value and r-value191)

Fig. 1.10 Conical cup values188) Fig. 1.9 U.T.S., Proof stress and elongation195)

1-6

(7)

Fig. 1.13 Relationship between erichsen value and texture of AZ31200) Fig. 1.12 Tensile properties206)

1.2.5 マグネシウム合金の保護ガス

マグネシウムの溶湯は非常に活性であるため大気と激しく反応し,酸化及び燃焼する87). また,発生した酸化物は鋳造製品に巻き込まれ,不良の原因となる.そのため,溶湯を保 護する方法として,①溶湯に対して保護的ガスを発生するもの(不活性ガス等),②溶湯と 作用して保護皮膜を形成するもの(一般的に保護ガスと呼ばれているもの),③溶融してマ グネシウムを被覆保護するもの(フラックス等)の 3 種類に分類できる方法が使用されて いる.この中で,利便性の観点から,実生産においては,SF6(六フッ化硫黄)ガスを空気 や CO2ガスと混合したものが一般的に使用されている.しかし,SF6は地球温暖化係数が 非常に大きく(CO2の24,000倍),今後使用の制限が検討されている.そのため,HFC134a をはじめとして様々な代替保護ガスが研究234)-235)されているのが現状である.

しかしながら,ストリップキャスティングにおける保護ガスの影響 111),233)としては,マ グネシウム合金に関しては,ドイツでの事例 1 件のみとなっている.H. Palkowski,L.

Wondraczekら111)は,シングルベルトキャスターにてAZ31マグネシウム合金のストリッ

1-7

(8)

プキャスティングを行い,Arとの混合ガスとしてSF6及びHFC134aを使用し,HFC134a を使用した場合は,SF6と比較し,冷却ベルト側のポロシティが減少し,その理由として,

HFC134aは熱容量が大きくストリップの冷却速度が向上すること,SF6と溶融マグネシウ

ムは反応性が高くより厚いMgF2層をストリップ表層に形成し,MgF2層の熱伝導率が低い ために冷却速度が低下すること,などを挙げている.

以上より,メルトドラッグ法においても保護ガスは薄板成形因子の一つとなると推測さ れる.保護ガスの薄板表面性状及び微細組織への影響を明らかにすることは今後の展開を 考える上で重要であると考える.

1.2.6 マグネシウム合金のCa添加による難燃化236)-248)

マグネシウム合金にCaを添加すると,マグネシウム表層のCaが優先的に酸素と反応す ることで,Mg-Ca合金溶湯表面に形成される緻密な非常に薄い6~20 nm程度のCa-O酸 化被膜がマグネシウム合金の酸化を抑制することが知られている 236).Ca 非添加材では表 層にMgOが発生するが,MgOの場合,アルミの酸化被膜とは異なり,酸化被膜が緻密で は無いための酸素は Mg 内部へより侵入し,5 秒以下の接触においても酸化被膜の厚さは 50 μmに達し,酸化または腐食が発生する.前述のSF6の規制への対策や,例えば航空機 などへの Mg 製品の適用のために難燃化技術として有望であるといえる.しかしながら,

Ca添加マグネシウム合金は,初晶αMgの周囲に脆弱なAl2Caがネットワーク状に晶出し,

機械的性質,特に伸びが低下するという問題点が報告237)されている.

マグネシウム合金にCaを添加した事例を以下に述べる.秋山,上野,坂本,平井,井原 ら240)は,AZ91及び純MgにCaを0~5 mass%添加し,燃焼試験によりCa添加量と発火 温度の関係を明らかにし,酸化被膜を観察した(Fig. 1.14).上野ら 248)は,AM60+2

mass%Ca材の鋳造材と鍛造材の機械的性質を調査し,晶出したAl2Caを物理的に粉砕する

ことで機械的性質の向上を図れることを明らかにした(Fig. 1.15).ストリップキャスティ ングへの適用事例としては2008年に1件報告されており,Jang. Dら159)はAZ31に0.1

~0.3 mass%CaOを添加し双ロール法によって薄板を作製し,保護ガスの削減が可能であ

ること,及び機械的性質を明らかにした(Fig. 1.16).

本研究においては,保護ガスの削減,ならびに,急冷効果による晶出物(Al2Ca)の微細 化,そして機械的性質の向上が期待できる.

1-8

(9)

Mg-Ca alloy Pure magnesium

Fig. 1.14 Fire point and microstructure of Mg-Ca alloy 240)

Fig. 1.15 Mechanical properties and microstructure of cast and extruded Mg-Ca alloy 248)

Fig.1.16 Hardness of AZ31 and CaO added AZ31 Mg alloy cast strip 159) 1-9

(10)

1.3 薄板連続鋳造法

1.3.1 薄板連続鋳造法の開発目的

薄板は厚さ0.125~6 mm程度の平板状素材として定義される.この様な材料は鉄鋼では 自動車の車体,アルミニウム合金では飲料缶,マグネシウム合金では小型電子機器のボデ ィをはじめ多くに用いられ非常に需要が高い.しかし,Fig. 1.17に示すように薄板製造は,

従来は分塊圧延法,現在はスラブ連鋳法が主流となっているものの,多くの圧延・加熱工 程を必要とした.ここで,省工程により設備費・エネルギー費を低減させるため,溶湯か ら直接薄板を製造する薄板連続鋳造プロセスが1856年にH.Bessemerに提案1)されて以来,

多くの研究・開発が行われてきた.Table 1.6に各薄板作製プロセスの特性を示す.

同時に,薄板連続鋳造プロセスは省工程のみならず,圧延とは塑性加工を使わない点で 異なる加工条件であるため,本来熱延が不可能または圧延歩留まりの悪いとされていた材 料から良好なストリップの作製が可能となると期待される.(株)IHI45)ではアメリカにて 鉄鋼のストリップキャスティング専用工場を立ち上げた.

さらに,急冷効果により従来の加工方法では得ることのできなかった様な組織を持つ材 料を作製することもでき,新素材の創出という効果もある.

連続鋳造プロセスは,①急冷凝固法で得ようとする目的の材質(微細凝固組織,アモル ファス)を得るための冷却速度の確保,②工業的に有利な形状(幅,厚さ,板厚偏差)と 表面性状(粗度,酸化皮膜),の観点から研究が進められている.

Table 1.6 Properties of each Process

Amount of

Energy Consumption [GJ/sec]

Amount of CO2

Generation [t/sec]

(Total)

Cast Thickness [mm]

Casting Speed [m/min]

Average Shell Cooling Rate [℃/sec]

Thick Slab

CC+HSM 1.8 0.20 220 2 12

Thin Slab

CC+HSM 1.08 0.14 50 6 50

Strip

Casting 0.2 0.04 1.6 80 1700

※HSM:Hot strip mill

1-10

(11)

(a)Thick slab continuous casting

(b)Thin slab continuous casting

(c)Continuous strip casting

Fig. 1.17 Schematic illustration of each continuous casting of steel 1.3.2 薄板連続鋳造プロセスの分類

薄板連鋳プロセスは単ロール法と双ロール法に大別される.単ロール法は一つのロール でストリップを作製するため,機械の制御が簡単であるが,自由凝固面側の表面性状(粗 度,酸化など),冷却状態,板厚分布よび板厚領域等に問題がある.これに対し双ロール法 は二つのロール間で溶湯を凝固させながら成形するため,表面性状,板厚分布,板厚領域 および冷却状態等ロールに対する利点も多いが,凝固完了位置の制御が非常に困難であり 高速域での薄板作製が困難である.また,高圧下をかけるため,材料のロールへの固着,

負偏析の問題が起きることもある.43)

(1)各種単ロール法と問題点

単ロール法はノズルによるパドル規制方法で大きく分類することができ,分類の結果を 以下に示し,各プロセスの概略をFig. 1.18に示す.

1-11

(12)

Fig. 1.18 Schematic illustrations of single roll processes 65)

(a) パドル両側ノズル規制 PFC法①

メルトドラッグ法(クローズドトップ)② (b) パドル片側ノズル規制 メルトドラッグ法(オープントップ)=本研究③ (c) パドル自由形成 スプレーポジション法④

① PFC法57)

Fig.1.18①に示すように,ロールとノズル間のギャップを小さくし,ノズルとの接触長さ を大きくとって平坦流(Planer Flow)にする.もともと20~30 μm厚のアモルファス合 金箔帯用に開発されたものであるが,これを数mm 厚の鋼ストリップまで発展させる開発 がDept. of Environment (USA)プロジェクトの一つとして行われた.特に数mm厚の鋼を この方法で鋳込む場合には,凝固完了までの十分な抜熱と自由面の平坦形状保持が必要で ある.このため,ノズル形状の工夫,特に前方リップの延長化や電磁力の利用によるパド ル保持と抜熱能力向上のためのロールと凝固シェルとの密着性向上,ノズル材質(ファイ ンセラミックス)の最適設計とリップ部の精密加工及び表面粗度などの研究がされている.

②メルトドラッグ法(クローズドトップ)

1-12

(13)

Fig.1.18②に示すように,PFC 法との違いは,外観的には冷却ロールの側方から注湯す ることであるが,ノズルリップ部のパドルに作用する働きが異なる.この方法ではPFC法 の様に前方リップを用いて積極的にパドルを保持するものでなく,溶湯の粘性によって自 由面の張力を加えることが特徴である.このため,作製結果が溶湯の粘性及びロール周速 に大きく影響されるので,材料依存性が高く,SUS304,Ni3Alの様な粘性の高いものでは 自由面の粘性ドラッグが効いて結果が良好でも,Fe-Siの様に粘性の低い溶湯では思わしい 結果が出ない場合がある.

③メルトドラッグ法(オープンドトップ)(本研究)4),9),11),25),27),29),31),49),51),52)-82)

Fig.1.18③に示すように,本プロセスはBattele Development Corp.で考案されたもので,

ノズル内の溜まっている溶湯を,回転しているロールにより冷却・凝固することによって 引き上げ(掻き上げ)薄板を作製する方法である.メルトドラッグ法(クローズドトップ)

と良く似た方法であるが,溶湯が冷却ロールと接する部分にメニスカスがあり,より自由 面での粘性ドラッグの影響が出る.この方法では,注湯部先端はノズルを形成せずにタン ディッシュの延長と考えられている.本研究では,ノズル詰まり等の問題が無く,いくつ かのプロセスの中では最もシンプルな構造となっているため,本プロセスに着目した.

④スプレーディポジション法49)

Fig.1.18④に示すように,ガスアトマイズ法により冷却ロール上に液滴をスプレーしてス

トリップキャスティングを行う.この鋳造概念は漸次凝固法と呼ばれ,冷却ロールにより 抜熱が先行している液滴がまだ凝固完了しない内に次の液滴が到達する.この方法は厚肉 のものや工具鋼などの特殊な材料も製造可能であるが,生産性が悪いことや,自由面の粗 度やポロシティーが大きいために,ストリップキャスターとしての開発はあまり活発では なく,むしろ特殊材の均質な鋼塊の製造に向いている.

(2)各種双ロール法の特徴と問題点

双ロール法は注湯方法・ロール形式で分類することができ,分類の結果を以下に示し,

各プロセスの概略図をFig. 1.19に示す.

注湯方法 ロール形式

(a) 直上注湯 ①同径双ロール (b) 傾斜注湯(含水平) ②傾斜双ロール (c) パドル注湯 ③異径双ロール

④ 内輪双ロール

①同径双ロール

ロール間隙上部から注湯する方法で,1865年にH.Bessemerが提案した基本的形態であ り,多くのプロセスが研究・開発されている.このプロセスにおいてはメニスカスの安定 性が問題で,これに対処すべくアルミニウム合金薄板作製においては直下から注湯するハ

1-13

(14)

ンター法が実用化されている.以前,川崎製鉄(株)10),新日鐵(株)18)でこのプロセスに よるステンレス鋼のストリップキャスティングの研究を行っていたが平滑な薄板表面性状 を得ることが困難との理由から現在では中止された.国内では,羽賀ら150)がこのプロセス を用いてマグネシウム合金のストリップキャスティングを行っている.

②傾斜(水平)双ロール

ハンター法33)を後工程の圧延プロセスに対応すべく水平に注湯する 3C法24)がアルミニ ウム合金薄板作製に実用化されている.また,ロールを傾斜させて配置させることにより 注湯流を片側のロールに沿って整流化させながら鋳造することができる.これによりロー ルキス部での溶湯の安定化ができ,表面性状の向上が期待できる.材料としては鋳鉄やス テンレス鋼などで1~1.5 mm厚×100 mm幅のものが試作されている.鋳鉄では急冷凝固 と中間焼鈍とにより延性の向上が見られ,圧延が可能になったこと,またステンレス鋼で も,冷延と中間焼鈍が報告されている.国内では松浦ら2)がDRX-3型などを開発し,鋳鉄,

珪素鋼に関して成果をあげ,先駆的存在である.また,日本圧延工業(株)ではハゼレッ ト連続鋳造機(傾斜双ロール双ベルト)7)を用いてアルミニウム合金の連続鋳造を行ってい る.このプロセスを用いたマグネシウム合金のストリップキャスティングに関しては,国 内では,権田金属工業(株)112)や三菱アルミニウム(株)133),浅川ら 132)が,国外ではマ グネシウムシートの専用工場を立ち上げた韓国のPOSCO158)やドイツのMgF Magnesium Flachprodukte GmbH117)などが研究を行っている.

③異径双ロール

メルトドラッグ法(クローズドトップ)のノズル上部のリップ部が,可動式になった様 なもので,単ロール法の欠点とされる自由凝固面の改善のために,小径ロールが付加され ている.ステンレス鋼板作製に関し日本金属工業(株)12)やドイツのKrupp Stahl A.G.15) などで成果をあげている.アルミニウム合金薄板作製に関しては凝固完了位置の制御が困 難である.

④内輪双ロール25)

異径双ロールが大径ロール外表面を使用するのに対して,内輪双ロールは大径ロールの 内表面を使用し,ロール自身が大きな湯溜まりを内抱している.

1-14

(15)

Fig.1.19 Schematic illustrations of twin roll process 1-15

(16)

(3)従来の薄板連続鋳造プロセスと本研究

単ロール法は機構の簡潔さと,高速で薄板を作製することが可能とされるが,自由凝固 面性状,板厚分布などが双ロール法と比較し良好ではなく,これらの改善に主眼が置かれ ている.PFC 法やメルトドラッグ法(クローズドトップ)は,パドルを規制することによ りこれらの改善を行うため,メルトドラッグ法(オープンドトップ)より,自由凝固面性 状,板厚分布が良好な薄板の作製が可能である.しかし,PFC 法やメルトドラッグ法(ク ローズドトップ)ではノズルリップ部形状,リップ部温度等の因子があり,ノズル出口で の溶湯詰まりも問題となる.スプレーポジションに関しては生産性が悪い,自由凝固面が 粗い,ポロシティーが大きいなどの問題が有り,ストリップ製造に適さない.

一方,双ロール法は板厚分布,表面性状など単ロール法と比較し良好であるが,高速域 での薄板作製が困難であるという欠点があげられる 30).この原因として,使用するロール 径が単ロール法と同等と仮定した場合,単ロール法と比較してロールと薄板の接触面積が 小さいこと,凝固完了位置の制御に高度な技術を要すること,そして特にアルミニウム合 金の場合,圧下荷重によって薄板のロールへの固着が生じやすいことがあげられる.ここ で,双ロール法における注湯方法は凝固完了位置に大きく影響し,いかに安定した液面を 保つかという点から様々な方法が考えられた.同径双ロールでは垂直式のものは液面を定 常に保つのが困難で,その他の双ロールプロセスはそれを改善するように考案され,ハン ター法,3C 法は実用化に至っている.しかし,傾斜式双ロール,異径双ロール,または,

内輪双ロールは二つのロールの冷却方法に差が有るため断面組織の上下に違いが見られる.

また,異径双ロールが上のロール径が小さいので,剛性が小さいことと,溶湯内に長時間 さらされるため熱負荷の影響が大きいことが問題である.内輪双ロールでは機構の複雑さ,

溶湯供給の難易度,薄板作製が非定常,エッジトリミングが問題となっている.

Table 1.7に双ロール法および単ロール法の代表的プロセスであるメルトドラッグ法(オ

ープンドトップ)(以下,メルトドラッグ法,と略)の特徴と本研究で構築するプロセスの 特徴を示す.本研究ではメルトドラッグ法の装置の簡潔さに着目し,単ロール法の高速薄 板作製という利点 38)をさらに拡大しながら自由凝固面の平滑化,断面プロフィールの制御 を目的として,メルトドラッグ法を拡張化したプロセスを構築することにより薄板連続鋳 造法の可能性を拡大することを考え,さらに,次世代合金として需要の拡大が予想される マグネシウム合金の薄板作製において新しい加工プロセスを開拓することを考えた.Fig.

1.20 に本研究で考案したプロセスを示す.(a)はマグネシウム合金へのメルトドラッグ法 の適用可能性を探ることを目的とした.(b)は酸化の抑制と高速薄板作製を目的とした.(c)

は薄板表面性状の改善と薄板作製の安定化を目的とした.

1-16

(17)

Table 1.7 Comparison between twin roll process and melt drag process

Process Twin Roll Melt Drag

(Single Roll) This Study

Schematic Illustration

Extended Melt Drag Process

Strip Thickness mm 1~20 0.5~2 0.5~2

Strip Thickness

Distribution Even Uneven Even

Cooling Area Small Large Larger

Roll Speed m/min 1~15 5~100 5~200

Roll Contacting

Surface Fine Fine Fine

Free Solidified

Surface - Coarse Fine

Compression Area Only Kiss Point No Area Variable Microstructure Contacted 2 Layers 1 Layer Controlled

(a)ではまず第一に,オープントップタイプのメルトドラッグ法をマグネシウム溶湯に 適用すべく,装置全体を密閉し,内部に不活性ガスを充填させ,大気との反応を防ぐこと を考えた.大気との反応を防ぎ溶湯の燃焼を抑えることができればメルトドラッグ法を適 用することが可能であると考えた.

(b)では,成形ベルトを付加することにより,半凝固成形による自由凝固面性状の改善 と,更なる高速化,冷却状態の自在なコントロール,そして,ベルトによって凝固完了ま で大気との反応を防ぐことを考えた.これは,急冷凝固法,半凝固成形法に二次的冷却的 効果を兼ね備えた同時複合加工を目指したシステムである.

Fig. 1.26に示すように,鋳造ベルトを用いた連続鋳造プロセスは他にもプロペルチ法3)

ロータリーキャスター法277),ヘズレット法23),ベルト・ロール法102),垂直双ベルト法257), などがあり,その中でもロータリーキャスターは形態的に本プロセスと類似している.し かし,これらはストリップ鋳造としてではなく,薄スラブ連鋳として開発され,そのベル トの役割は,単なる“無摺動鋳型”にすぎない.作製される製品寸法も5~20 mmと本プ ロセスで目標とするものより大きく,冷却速度は低く,鋳造速度も遅い(1~5 m/min程度).

これに対し,本プロセスは,従来の鋳造ベルトを用いたプロセスとは異なり,凝固量が 少なく板厚が薄く,成形ベルトは,薄板上部に存在する薄い未凝固層を成形するため,ダ ムブロックが不要となり,凝固層に乗ると想定される溶湯にも対応し,溶湯が十分冷却さ

1-17

(18)

れるまで成形ベルトと接触すると期待される.よって,本プロセスは,高速で板厚の薄い 薄板を高い冷却速度を伴って作製可能であると期待される.

(c)では,メルトドラッグ法の自由凝固面側に成形ロールを設置し,自由凝固面に存在 すると想定される半凝固層を凝固・成形する方法を考えた.従来の単ロール法では例えば クローズドトップタイプのノズルを使用していたが,成形ロールによる方が効果が大きい と考えられる.また,この方法は,双ロール法と比較すると溶湯液面の安定性が良く,ま た,凝固完了位置の厳密な制御は不要である.本方法は異径双ロールと似通った機構であ るが,本方法は,ストリップ上部の半凝固層のみの成形を狙うため,成形ロールを溶湯内 にさらす必要はなく,ロールへの熱負荷の影響は小さい.成形ロールを前方に出すことに よりロールの寸法的自由度が増し,成形ロールを小さくする必要が無くなる.このためよ り冷却能力の高いロールを用いることができる.また,双ロール法はそれぞれのロールか ら凝固が開始した板を圧着するため,tonf オーダーの荷重を必要とするが,成形ロールを 設置したメルトドラッグ法は薄板上部の半凝固層のみを成形するため kgf オーダーの荷重 のみで良いと期待される.これにより,ロールは剛性より冷却効果を優先させることがで き,ストリップのロールへの固着も低減できる.以上から得られる大きな効果として,ロ ール寿命の延長,鋳造速度の高速化がある.鋳造速度に関しては,マグネシウムに関して は,現時点では双ロール法にて報告されている板厚1.5 mmを下回る薄板作製が可能であり,

さらに高速化が期待される.単ロール法と双ロール法の利点を兼ね備えた方法であり,急 冷凝固法と半凝固成形を兼ね備えたマグネシウム合金の新しい同時複合加工を提案する.

本研究では,これらの新プロセスを構築することにより,単ロール法の高速薄板作製の 利点を拡大しながら,従来の単ロール法と比較して自由凝固面性状,板厚分布,冷却状態 の改善を試みる.

なお,詳細は後述するが,アルミニウム合金のメルトドラッグ法 82)にて,成形ベルト,

成形ロールは共に一定の効果を上げている.

(a) Conventional Melt Drag Process

with a Forming Belt (b) Process equipped

with a Forming Roll (c) Process equipped

Tundish Roll

Strip Molten Metal

Forming Roll Forming Belt

Fig. 1.20 Extended melt drag process of this study

1-18

(19)

1.3.3 マグネシウム合金の薄板連続鋳造95)-159)

鉄鋼,アルミニウム合金と続く薄板連続鋳造法は,数年前よりマグネシウム合金への適 用を目的とした研究が行われている.プロセスは主に双ロール法(直接圧延)であり,そ の他,メルトドラッグ法(単ロール法),シングルベルト法,水平スラブ連鋳法などが試み られている.適用合金は主に展伸用合金AZ31である.

国内の状況について述べる.中浦ら133)は,水平双ロール法にて,AZ31 合金薄板の製造 を行っている.鋳造薄板の寸法は厚さ5 mm,幅250 mmである.鋳造板を異周速圧延し 微細な結晶粒を得ることで超塑性現象を発現させている(Fig. 1.21).権田,西山ら112)は,

水平双ロール鋳造と温間圧延を行っており,対象とした材質はAZ91,AM60,AM50,AZ61, AZ31,AZ21であり,鋳造速度10~80 m/minで,板幅300 mm,板厚1.5~6.0 mmの鋳 造板が得られている.羽賀ら150)は,垂直型高速双ロール鋳造装置にてAZ31,AM60,AZ91 を用いて 4 mm 以下の厚さのストリップを 60~150 m/min の速度で鋳造している(Fig.

1.22).渡利ら108)は,AZ31,AZ61,AM60,AZ91 の鋳造シートは塑性成形に用いること ができることを見出し,限界絞り比2.4がAZ91の場合可能であることを示している.茂木,

城戸ら 130)は,傾斜冷却板を用いて AZ31 セミソリッドスラリーから薄板を作製している.

三野,田中,浅川ら132)は,AZ61 合金板を双ロールストリップキャスターにて鋳造し組織 制御圧延により平均粒子径5 μmの組織を得ている(Fig. 1.23).松本,鎌土ら129)は,双 ロール鋳造によりマグネシウム合金板を製造している.松崎ら140)は,AZ31,AZ61,AZ91 にCa を添加した合金の双ロール鋳造を行っている.Tada138)は,AZ31 溶湯からスラブを 引き出す形で水平スラブ連鋳を行っており,厚さ5~15 mmのスラブを1~4 mm/secで鋳 造している.

海外の状況について述べる.海外では,自動車のボディへの適用を目指した広幅マグネ シウム合金薄板の製造が実用化の段階にある.韓国 POSCO158)では,水平双ロール法と圧 延により,自動車のフードへの適用を目的とし,最大幅530mm,厚さ0.4~4.3 mm,長さ 500~1000 mmのAZ31コイル/シートを製造しており圧延により最大幅2,000 mmの技術 を開発している(Fig. 1.24).ドイツMgF Magnesium Flachprodukte GmbH(2001年に Thyssen Krupp Stahlが設立)117)では,溶湯から連続鋳造圧延により,幅700mm,厚さ 4.5~7.0 mmを鋳造し,幅2,000 mm,厚さ0.55 mmの圧延板をコイルアップしている(Fig.

1.25).中国Yigguang Group146)では,幅600 mmのAZ31B板を製造している.オースト ラリアCSIRO410)では,水平双ロールにより,幅600 mmのAZ31板を試作している.ド イツTechnische Univ. Clausthal110)では,シングルベルト鋳造法によりAZ31板を作製し ている.シンガポールSingapore Institute of Manufacturing Technologyでは,成形ベル トと 2 つのピンチローラーにより AM60 の薄板を作製している.韓国 Institute of Machinery and Materials126)では,水平スラブ連鋳によりAZ31スラブを作製している.

韓国Pusan National Univ.149)では,有限差分法(2D)および有限要素法(2D)を用いて,

垂直双ロール鋳造の熱流現象を考慮し解析を行っている.

1-19

(20)

Fig. 1.21 Schematic illustration of equipment by Mitsubishi Aluminum 133)

Fig. 1.22 Schematic illustration of twin roll caster by Haga lab. 150) 1-20

(21)

Fig. 1.23 Schematic illustration of twin roll caster by Asakawa lab. 132)

Fig. 1.24 Cast strip of AZ31 by posco 158) 1-21

(22)

Fig. 1.25 Cast strip of AZ31 by Thyssen Krupp Stahl 117)

1.4 急冷凝固法と本研究

Duwezら335)が液体の急冷凝固法によりアモルファス金属の作製に成功して以来,種々の

アモルファス合金が見出されると共に,我が国においては増本ら336)を中心として研究が開 始され,その後多くの急冷凝固法が研究・開発されている(Fig. 1.29).特に,アルミニウ ム合金の場合では,冷却速度があまり速くない通常の平衡凝固的なプロセスで1at%以上固 溶できる合金元素の数は約 8 元素と少なく,合金設計の自由度が小さいのに対し,急冷凝 固法を用いると固溶限の拡大,アモルファス化,結晶粒や晶出化合物の微細化などが期待 でき,設計の自由度が大幅に上がるため,盛んに研究されている.336)

急冷凝固法はスプレーフォミングの様な,主に粉末冶金法(Powder Metallurgy,以下,

P/M と略す)的アプローチやメルトスピニング法による箔帯の作製において,その微小な 寸法より大きな急冷効果を得ることが可能である.それに対し,薄板連続鋳造プロセスの 場合は,箔帯や粉末作製とは異なり,比較的板厚が厚いためそれらと比較し急冷効果は小 さくなり,アモルファス金属の作製は困難である.しかし,薄板連鋳においては固溶限の 拡大,結晶粒や晶出化合物の微細化などに関する急冷効果は,以下に述べるように従来の インゴットプロセスと比較し顕著に見られるため,特にこれらの効果に着目され研究が行 われている.合金の結晶の細かさは一般に二次DAS(Secondary Dendrite Arm Spacing,

デンドライト二次枝間隔)332)で表され,Fig. 1.28に示すように冷却速度と一義的な関係に ある337).冷却速度が高くなるほどDASは小さくなり,引張強度,伸び,衝撃値,および 絞り率等の機械的性質が向上する(Fig. 1.29).Fig. 1.30に示すように,砂型,金型鋳造や

1-22

(23)

DC 鋳造と比較しアルミニウム合金薄板連続鋳造プロセスの代表的プロセスであるハンタ プロセスでは冷却速度102~103 ℃/secと二桁程度高く,顕著な機械的性質の向上が認めら れる.なお,マグネシウム合金に関しては,一般的にDASではなく結晶粒径が微細組織の 評価に用いられる.しかし,冷却速度と結晶粒径の関係を示すデータは現時点ではまだな く,急冷自体の研究がほとんどされていないのが現状のようである.また,本研究で材料 として用いているAZ31は展伸用合金であり,通常は鋳造材として用いないことから,メル トドラッグ法によって作製した鋳造まま材の結晶粒径の比較の対象は圧延加工や押し出し 加工された微細組織となる.このような見地から,メルトドラッグ法によっても結晶粒の 微細化に主眼を置き,103 ℃/sec程度の冷却速度を目標とする.急冷効果による晶出化合物 の微細化から,リサイクル材の機械的特性向上も期待される.

マグネシウム合金,特にAZ31の急冷凝固に関する報告はほとんど無いが,例えばAZ31 圧延用スラブの鋳造では,結晶粒径が1 mm以上と粗大化し,かつ,β相Mg17Al12が晶出 し長時間溶体化処理を必要とするなどの問題点がある.本研究における急冷凝固の効果は,

結晶粒径の微細化のみならず,機械的性質や成形性の向上等,特性改善にとって有効かつ 重要であると考える.

1-23

(24)

Fig. 1.26 Schematic illustrations of

twin-roll or twin-belt processes 7),14),19),26),35),37),40),44),46),47)

1-24

(25)

Fig. 1.27 Schematic illustration of rapid solidification processes 343)

1-25

(26)

Fig. 1.28 Relation between cooling rate and DAS (Al-8mass%Fe) 337)

Fig. 1.30 DAS of products cast by each process 337)

Fig. 1.29 Relation of between DAS and mechanical property (A2017)337)

1-26

(27)

1.5 溶湯とロールの接触状態

鋳造において,鋳型と溶湯の接触状態に関し多数の研究が行われてきた.ここではスト リップキャスティングに関連する溶湯の接触状態の事例を述べる.

Ohnakaら249)は,低融点のPb-Sn合金を用い,溶湯の挙動が直接観察できるパイレック

スガラス製移動鋳型を0.05~0.5 m/sec で移動させ,凝固殻の形成を観察した結果,鋳型- 溶湯間にガスの巻き込みによるシワ等が形成され,溶湯と鋳型の接触線はある鋳造速度以 下で一定の振幅で振動を行うことを明らかにした.

Yun M.,Hunt J. D.ら39)は,様々なアルミニウム合金の双ロールストリップキャスティ

ングについて研究を行い,表面性状について,ストリップ表面にくぼみ状に発生し高濃度 の金属間化合物粒子を含有する欠陥の発生機構について調査した結果,ブリード(bleed) は後方滑りによってロールとストリップ表面の間に生じた隙間を,凝固中の半溶融体から 絞り出された融体が充填してできることを明らかにした.また,この欠陥の形成が,鋳造 速度が高く,ロール面圧が低い,板厚が薄い,半溶融域が10~30 ℃の合金,凝固完了前の 適度な液体金属の存在,などの条件によって促進されることを明らかにした.また,作製 した薄板の微細組織は,縞状組織,チャンネル偏析,変形編堰,結晶粒径の不均一化など,

微細な欠陥が見られることを示し,それらの形成機構について検討した.

マグネシウム合金のメルトドラッグ法においては,例えばアルミニウム合金や銅のメル トドラッグ法による薄板と比較し,表面性状が非常に悪く,ロール接触側に,シワや空孔 などの欠陥が多数生じることが分かってきた.本研究では,これを溶湯とロール間の接触 問題ととらえ,薄板の表面性状発生メカニズム及びその対策を明確にすることは重要であ ると考える.

1.6 メルトドラッグ法に関する解析的な研究5),6),17),22),23),34),36),42),60),70),73),252)-331)

1.6.1 他研究機関での研究状況

双ロール法は液面位置等の成形因子の精密な制御の必要性から現在まで凝固解析などの 数値解析が行われてきた.これに対し,単ロール法のメルトドラッグ法はその機構の簡潔 さから数値解析の必要に迫られていなかった背景もあり,数値解析に関する報告例は少な い.しかし,ここ数年メルトドラッグ法はその高速域での薄板作製の可能性から着目され,

プロセスの諸特性解明のためにS.P.Mehrotraら261),263),286),A.C.Sousaら277),315),Y.Sahai ら278),G.Liら284),鈴木ら82)などによって報告がなされている.以下では各研究機関での 解析手法とその特徴のついて述べる.

本研究では,従来のメルトドラッグ法による薄板作製の解析方法について検討し,熱伝 達係数の推定や全周解析,薄板の接触状態など独自に拡張したメルトドラッグ法の成形特 性解明のために解析を行う.そのため,従来行われてきた解析手法の運用の有用性などを 吟味した後,本研究に適した解析方法を検討する.

1-27

(28)

(1)S.P.Mehrotraらの研究

S.P.Mehrotraら263)は,溶湯と凝固層の界面および溶湯プールに関してヒートバランス式

を用いて,巨視的なエンタルピーバランスを基にした解法により各条件で作製されて薄板 の板厚を算出した.

この方法は,作製される薄板の板厚が簡易的に求められるが,離散化しないため詳細な 温度,速度プロフィールを算出不可能であり,Fig.1.31におけるロールの位置βによる凝固 層厚さの変化を算出が不可能で,ノズル内の凝固層の体積を板幅,ノズル底部の凝固層厚 さと最終板厚を用いて近似的に求めている.

よって,正確に薄板作製過程でのノズル内の板厚変化を算出するのは困難であり,また,

半凝固層が仮定されていないことや,ノズル内での溶湯とロール間の熱伝達係数の変化が 仮定できない.

また,S.P.Mehrotraら263)は上述の問題点のうちの温度プロフィール算出を可能にするた

めに,Fig. 1.31に示すようにヒートバランスを各微小な要素に関して求めた後,その総和

を評価している.本解析ではノズル内の板厚変化を予め仮定し,一次元の熱伝導方程式に より,各要素の温度を求め,ヒートバランスが均衡するロール回転速度を求めている.

この手法ではロール周速を任意の変数として入力することは不可能で,本来,解析によ って求めるべきノズル内の凝固層厚さの変化を著者の独断で初期値として解析していると いう問題がある.

Fig. 1.31 Description of caster drum and solidified strip finite difference grid263) また,S.P.Mehrotraら286)は各成形因子で作製される最終板厚を以下のように算出してい る.解析モデルをFig. 1.32に示す.溶湯プール内のヒートバランスとマスフローを考慮し 算出した結果,単位時間に溶湯プールから流出する薄板の体積を求め,その体積から板厚 を求めた.

1-28

(29)

Fig. 1.32 Schematic representation of various regions composing the caster286)

このように各成形条件で作製される薄板の板厚が簡易的な式で容易に求められるのが本 解析手法の特徴である.

しかし,薄板作製過程で凝固層の厚さの変化を,実験結果から算出された凝固層成長速 度Gを用いて算出しているため,解析結果の精度に疑問が残ることや,溶湯プール内およ び作製された薄板内の温度分布を算出するのが不可能である点が問題である.

(2)Navier-Stokesの式とエネルギ保存の式による解法

ノズル内での温度場,速度場を算出するには Navier-Stokes の式とエネルギ保存の式を 用いるのが一般的である.R.K.Mllikら261)はノズル内とロール内部を円柱座標系で表示し,

ロール半径方向および回転方向の Navier-Stokes を用いて速度分布を有限差分法を用いて 解析している.半径方向には陰解法,周方向には陽解法を用いている.エネルギ保存の式 を用いて温度分布を算出している.Fig. 1.33のフローチャートにしたがって計算を行って いる.

Fig. 1.33 Flow chart representing steps involved in numerical computations 1-29

(30)

このように Navier-Stokes の式を直接解く手法は,一般に速度・圧力法と呼ばれる.こ の解析手法では溶湯の静水圧が誤差の原因になるという欠点があるものの,境界条件や解 析結果が速度,圧力で表現されるため直感的に分かりやすく,その対応がしやすい.

(3)渦度,流れ関数法による解法

M.R.R.I.Shamsiら263)はFig. 1.34に示すようにノズル内の溶湯を円柱座標系で表示し,

ロール半径方向および回転方向の Navier-Stokes の式を交差微分し辺々引くことによって 圧力の項を消去し,渦度移動方程式を流れ関数を用いて表し,楕円型のポアソン方程式を 得,有限差分法陰解法によって算出している.ノズル内の渦度,流れ関数の分布を解析す ることにより速度分布を,エネルギー保存の式により温度分布を解析し,最終的に作製さ れる薄板の板厚を算出している.

Fig. 1.34 Two dimensional computational mesh263)

この解析方法のように,渦度と流れ関数を用いて解く手法は流れ関数・渦度法と呼ばれ ている.速度・圧力法と比較し,誤差の原因となる圧力項が無いことや流れ関数分布,渦 度分布が解析可能で,さらに速度分布も算出できる利点を有する.Fig.1.35に示すように渦 度分布を求めることによって,ノズル内の澱み点を予測でき,それに伴い溶湯と凝固層間 の熱伝達係数の変化が考察可能である.

その反面,微分方程式の微分階数を一階上げているために境界条件が一つ増すこと,境 界条件や解析結果が直感的に分かりにくい流れ関数や渦度で表現されること,圧力算出に は不向きであること,3次元に拡張不可能,という欠点がある.

1-30

(31)

(4)境界層理論による解法

A.C.M.Sousaら277)はFig. 1.36に示すようにロールを平坦状に近似し,ノズル内及び凝 固途中の溶湯の流れに対し,薄いせん断層(Thin-shear-layer)のモデリングを適用してい る.このため,Navier-Stokesの式が簡略化されている.以下の様な入力値を基礎式,流れ 関数及び境界条件を用いて出力値を算出している.これにより,温度分布,圧力分布,自 由凝固面の形状,凝固界面(液相と固相の界面)の形状,作製される薄板の板厚等の推定 が可能となる.計算結果についてアルミニウム合金を実験材料に用いた場合の実験結果と の検証を行い,その有効性を示している.

Fig. 1.35 (a) Isostream function plots (rotating speed: 5rpm, standoff distance:

20mm, meniscus level: 25deg). (b) Velocity field in the metal pool (rotating speed:

1rpm, standoff distance: 20mm, meniscus level: 45deg). 263)

Fig. 1.36 Schematic representation of a melt drag single roll-caster:

(a) Two-dimensional physical model; (b) Simplified physical model 277) 1-31

(32)

Fig.1.36のように,解析されるモデルの溶湯形状がタンディッシュから引き出される形状 であり,本研究で用いるものと大きく異なる.よって本研究への適用可能性は困難である.

(5)一次元伝熱凝固解析による手法

G.Liら590)は,熱の移動がロール半径方向のみが支配的であるとして1次元熱伝導凝固解 析により温度分布を算出している(Fig. 1.37).以下に基礎式を示す.

Fig. 1.37 (a) Schematic of single wheel thin strip casting process. (b) Simulation domain for strip and wheel heat transfer model. 284)

さらに,この手法を元に溶湯流動を考慮した 3 次元モデルに拡張し,Fig.1.38 に示すよ うな詳細な結果を得ている.この解析手法による一次元伝熱凝固解析は簡易的に温度場を 算出可能であるという利点が挙げられる.この解析の簡便さにより,本研究でも,この手 法を採用する.凝固潜熱の補正に等価比熱法を用いているが,本研究で用いる凝固温度範 囲の狭い合金には著しい誤差を生じる可能性があるため,以下に示すように温度回復法を 用いる.

1-32

(33)

Fig. 1.38 (a) Velocity and superheat temperature in the liquid pool: (a) velocity field, (b)superheat temperature field (10s), and (c)temperature field (steady state).284)

1.6.2 凝固潜熱の取扱い252)

凝固解析において凝固潜熱取扱い方法は非常に重要であるため多く議論されており,各 方法について以下に述べる.

実用合金の場合には通常平滑な凝固界面は生じず,デンドライト凝固する場合がほとん どである.ここで,移動する固液界面における境界条件を考慮するかわりに,液相線温度 以下の領域では失われる熱量に相当する潜熱が放出され固相率が増大すると考える.この 考えにより合金の凝固解析は著しく容易化される.

(1)等価比熱法

凝固潜熱放出による発熱量を考慮した熱エネルギ保存則は以下に式で表すことにより,

形式上凝固問題を単なる非定常熱伝導問題とすることができるという意味で便利である.

比熱と潜熱を等価であると考え,以下の式を用いる.

⎜ ⎞

= ∂

⎟ ∂

⎜ ⎞

− ∂

X T X t T T L g

C

P S

λ

ρ

(1.1)

(1.2) ここで,

T L g C

CpE P S

− ∂

=

とおき,CPEが温度で変化すると考える.

(2)エンタルピ法

凝固変態をする物質の比エンタルピhは,溶湯の比熱Cp,固相率fs,潜熱Lを用いて,

h h C dT

(

fS L

T

T P + −

+

= 0

0 1

)

(1.3)

1-33

(34)

で,温度Tで微分すると,

T L f T C

h s

p

− ∂

∂ =

∂ (1.4)

となる.体積固相率=質量固相率(gs=fs)とすると,熱伝導率λを用いて,

⎜ ⎞

= ∂

x T x t

h

λ

ρ

で表され,前進差分法により温度変化を求めることができる.この方法では等温凝固の場 合でも固相率を容易に求めることができ,等価比熱法のような問題は生じない.

(3)温度回復法

ある領域(体積V)で固相率がΔgs増大すると,その放出量Qsは次式で表される.

(1.5)

(1.6)

Q

s

= ρ VC

P

Δ g

S

L

温度回復法ではまず潜熱の放出を考えずに温度解析を行い,微小時間Δt間の液相線温度 Tからの温度低下量ΔT(=TL-T)を求める.ΔT>0ならば凝固が生じて潜熱の放出によ り温度はTに回復するはずである.したがって次式が成立する.

(1.7)

Q

s

= ρ C

P

V Δ T

さらに,

(1.8)

Δ g

S

= C

P

Δ T / L

本手法は,潜熱の放出の代わりに固相率の増加を考え,固相率が1になったら領域 Vの 凝固は終了したものとする.また,等温凝固の場合でも固相率は容易に求められるため,

本研究では主に温度回復法を用いることとする.

Table 1.8 List of symbols558) ρ :density

Cp :heat capacity L :latent heat

s :volume fraction of solid g :mass fraction of solid

h :enthalpy L :latent heat

T :temperature, liquidus temperature λ :thermal conductivity

Qs :latent heat discharge amount

1.6.3 熱伝達係数の取扱い

熱伝達係数は伝熱問題を解析する上で不可欠な値であり,特に薄板連続鋳造においては,

1-34

(35)

解析結果で予測される薄板の特性に大きな影響を与えるので吟味して値を決定する必要が ある.また,薄板連続鋳造ではロールと溶湯間のせん断力が作用し,相変態を伴うため凝 固収縮による凝固途中の溶湯の剥離が生じる.それに伴い熱伝達係数が変化することが予 測される.従って,従来の熱伝達係数がどのように推定され,どのような値が選択されて いるかについて述べる.

(1)双ロール法における熱伝達係数

上述の通り,双ロール法は従来多くの数値解析がなされ,ロールと溶湯の間の熱伝達係 数についても薄板の板厚と同条件の実験によって作製された薄板の板厚を比較する方法や,

解析した温度プロフィールと同条件の薄板作製実験時に測定された温度プロフィールを比 較する方法によって熱伝達係数を推定している.Table 1.9に推定された熱伝達係数を示す.

マグネシウム合金についてはほぼ唯一,三菱アルミニウム株式会社が双ロール法における 伝熱凝固解析にて熱伝達係数を推定しており 338),その値はロール接触孤の範囲で 2×101

~162×104 W/m2・Kである.双ロール法では鋳造と圧延の複合プロセスであるため,熱伝 達係数の推定は単ロール法と比較し困難であるが,結晶粒径やDASなどから冷却速度を求 め,解析により冷却速度との比較を行っている.

Table 1.9 Heat Transfer coefficient between the molten metal and the roll on twin roll caster

Researcher Roll Strip Heat transfer coefficient

×104 [W/m2・K]

M.Nara et al344) Copper Steel (4.5wt%Si) 4.19 M.Ozawa et al345) High Cr steel Steel (4.5wt%Si) 3.35~4.60 D.Ju et al346) Copper Sn-Bi (U-Alloy150A) 0.745 H.Takuda et al347) Copper Steel (4.5wt%Si) 2.1

S.Hirano et al262) Steel (S45C) SUS304 2.90

H.Takemoto et al348) Copper Steel 0.29~0.81

(Model experiment) Mitsubishi

aluminum Co.,LTD.338)

Steel Magnesium alloy

AZ31

2×101~162×104

(2)メルトドラッグ法における熱伝達係数

従来のメルトドラッグ法においても溶湯とロール間の熱伝達係数は吟味されるべき問題 である.1.6.1で示した各解析での熱伝達係数の取扱いについて以下に述べる.S.P.Mehrotra ら286),A.C.Sousaら 277)は,境界条件として,ロール温度と薄板温度は等しいとして解析 を行っているが,実際はロールと薄板間にエアギャップが生じる可能性があると考えられ,

1-35

参照

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19 荒 木 34 3 左望 上縁二突起形成 爾側氣管枝周防浸潤 20 山 元 30 ♂ 右v 扇孚開状 爾側上葉浸潤 21 津 川 20 ♀ 左V 扇孚開状