第4章 実験結果及び考察
4.1 研究・実験用試料の合成
後の重量変化から計算した結果を示す.ここで、I Mg,N2合成における窒素反 応量が計算値に対して比較的大きい相違があるのは、 Mgの蒸気圧が1100 K
において0.067atm程度10)であることから類推すると、 Mg蒸気の拡散による 柑場内の原材料自体が減少したため、もしくはMg/N2界面に生成したMg.3N。が、以後の継続的なマグネシウムパウダーの窒化反応を阻害してしまったた
めと考えられる。しかしながら、 Fig. 4‑3に示すように、得られたサンプル
(color : olieve)の皿測定結果は、 Mg,N2の参照パターン(JCPDS : 35‑0778)
と完全に一致し、少量のMgの存在が確認された。従って、 Mg,N2の合成結
果は非常に良好であるということが出来る。
Table4‑3にはTable4‑2の合成Exp. No. 5‑19に示す合成実験により得られ
たサンプルの皿解析で確認された相をまとめて示す。
4.1.3 Li‑Mg‑N 3元系試料の合成
試料の合成においては、 735 K付近から急激に窒化反応を開始し、反応に
よる若干の自己発熱もありチャンバー内温度は最高で900 Kに達した:二 また合成したサンプルをチャンバーから取り出した後Cuメッシュの状態を確認 したが、 cuメッシュの酸化は見られず、合成前後では重量の変化は無かっ た。またLi‑Mg‑N 3元系試料の合成における窒素反応量の、計算値に対
する相違は誤差の範囲内と考えられる。ここで、 Fig. 4‑4 (a)〜(C)にそれぞれ Table 4‑2及び4‑3のExp. No. 6‑8に対応する合成したサンプルのm結果 を、 JCPDSカードデータ(LiMgN : 06‑0702、原材料としてLi,N : 30‑0759と Mg,N2 : 35‑0778)からの参照パターンとともに示し、また(d)にカブトンフイ ルムのみのⅩmパターンを示す。 Fig. 414においていずれもLiMgNの合成 は確認出来るが、同時にいずれのサンプルでもMg3N2が確認された。特にFig.4‑4 (a)はLiMgN、 Li3N 2相混合物の合成を目的とした実験であるが、 Li3Nの 生成量は少なく、またMg3N2の存在も確認され、 Li3Nの合成についての結果 が必ずしも良好であるとは言えない。これは、 Li3Nが一度生成したものの、
その後も継続的に発生する反応熱による過度の温度上昇( 〜900 K )等によっ
てLi,Nが分解し、チャン!1‑内壁等に革着してしまったため】2'と・考えられ
る。
4.1.4 Li‑Al‑N 3元系試料の合成
試料の合成においては、合成Exp. No. 9‑11では980 K付近から急激に窒
化反応を開始し、反応による自己発熱によりチャンバー内温度は最高で1195
Kに達した。また合成Exp. No. 12‑15では反応開始温度が895 K付近で、
最高温度は1045 Kであった。ここで、合成したサンプルをチャンバーから
取り出した後、酸素のゲックーとして導入したcuメッシュの状態を確認し たが、 Cuメッシュの酸化は見られず、合成前後では重量の変化は無かったこ
これらの6つのサンプルの中で、 Fig.3‑4におけるA、 B、及びCとして最も Xmの結果が良好であったもの(A:合成Exp.No. 12、 B‥合成Exp.No. 13、C :合成Exp.No. ll)を起電力測定用試料として選択した。 Fig. 4‑5(a)、 (b)、
及び(C)にそれぞれTable 4‑2及び4‑3のExp. No. 12、 13、 11に対応する合成 したサンプルのm結果を、 JCPDSカードデータ(Li,AIN2二0710245、原材 料として参照のためのLi,N : 30‑0759とAlN : 3410679)からの参照パターン とともに示し、また(d)にカブトンフイルムのみのmパターンを示す。 Fig.
4‑5においてLi3AlN2やAlNの合成は比較的良好であるが、 (a)ではLi,Nに
ついての結果が必ずしも良好とは言えない。やはりこれもLi3Nが一度生成 したもののその後の継続的な高温熱処理によって分解し蒸着したため12)と考
えられる.またTable4‑2においてLi‑Al‑N 3元系試料の合成結果の中で、
特に合成Exp. No. 9、 10、 12、及び13等あらかじめLi3Nが原材料として多
く含まれている試料程、重量変化により算出した実際に反応した窒素量が実 験前の計算値よりも大きくなった。これは、鉄製相場とLi3Nを含む試料の 界面における鉄製相場自体の窒化や、実際には非常に少ないと思われるが、
この窒化鉄等の不純物の試料中‑の混入等により、相場を含む全体の重量が
計算値よりも大きくなり、結果的には窒素ガスの過度の消費になったためと
考えられる。
4.1.5 Li‑Ga‑N.3元系試料の合成
試料の合成では、 895 K付近から急激に窒化反応を開始し、反応による自 己発熱によりチャンバー内温度は最高で1095 Kに達した。他の3元系試料 の合成時同様、合成したサンプルをチャンバーから取り出した後cu メッシ ュの状態を確認したが、 Cu メッシュの酸化は見られず、合成前後では重量
の変化は無かった。 Li‑Ga‑N 3元系試料の合成では、合成後のサンプルが1つの塊に凝固し鉄製相場内壁に残存する等試料全量の回収に困難を生じた ため、重量変化による反応窒素量を計算することは不可能であった。このた
め、反応量はTable 4‑2に示す様に合成中のチャンバー内の窒素分圧変化により見積もった。 Fig. 4‑6 (a)、 (b)、及び(C)にそれぞれTable4‑2及び413のExp.
No. 15、 16、 17に対応するサンプルのm結果を、 JCPDSカードデータ (Li3GaN2 : 06‑0193、原材料として参照のためのLi3N : 30‑0759とGaN : 02‑
1078)とともに示し、また(d)にカブトンフイルムのみのXmパターンを示 す。 Fig. 4‑6においてLi3GaN2の合成は比較的良好であり、 (C) (さらに(b)で
も)ではそのエネルギーバンドギャップの大きさゆえ合成が非常に困難と忠 われるGaNがわずかながらも確認できた。これは、複合窒化物Li3GaN2が
GaNの生成を促進させる反応媒体(mediator)として働いている可能性を示唆 している。しかし(a)では、 Mg及びAlを含む系の場合と同様Li,Nについての結果が必ずしも良好であるとは言えず、やはり理由も同様と考えられる。
また原材料として用いたLiGa (合成Exp. No. 18から)の合金相が残存して おり、 Gaを含む窒化物の合成は、 Mg、 Alを含む系に比べ困難であることが わかった。 Table 4‑2に示す反応窒素量の算出値と実験前の計算値の大きな相 違も、未反応のLiGaによるものと考えられる。またFig. 4‑7 (a)及び(b)にそ れぞれTable4‑2及び4‑3のExp. No. 18、 19に対応するサンプルのm結果 を、 JCPDSカードデータ(LiGa : 09‑0043、 Li2Ga : 36‑0934)からの参照パタ
ーンとともに示し、 (C)にカブトンフイルムのみのmパターンを示す.合
成Exp.No. 18、 19はともに良好なXm結果が得られ、 LiGa (合成Exp.No. 15
‑17の原材料)、 Li2Gaの合成を確認出来た。ただし、 Li2Ga合成については
同時に安定なLiGaとの中間合金相である..Li,G42の生成が少畢ながらも確認
された。4.2 平衡実験
4.2.1 Li‑Mg‑N 3元系平衡実験
試料の入ったステンレス相場を水中にて急冷後、蓋上部を切り取って中身 を取り出した後cuメッシュを観察したが、 Cuメッシュの酸化は肉眼では見 られず、また重量変化もほとんど見られなかったc Lたがって、試料に対す
る酸素の影響はほとんど無いと考えられる。 Fig. 4‑8には、平衡実験後に回収した試料のXmパターンとJCPDSカードからの参照パターンの比較を、
またTable 4‑4にはそれぞれの試料においてmにより解析された相をまと
めたものを示す。 Fig. 4‑8からわかるように、試料番号①と②ではLi3Nと LiMgN、 ③ではMg3N2とLiMgN、 ④〜⑧ではMgとMg3N2の相の存在が確 認できた。4.2.2 Li‑Al‑N 3元系平衡実験
前節で述べた実験と同様、試料を取り出した後Cuメッシュを観察した が、 Cuメッシュの酸化は肉眼では認められず、また重量変化も全く検出さ れなかった。したがって、試料に対する酸素の影響はほとんど無かったもの
と思われる. Fig. 419には、平衡実験後に回収された試料のXmパターンと JCPDSカードからの参照パターンの比較を、 Table 4‑5にはそれぞれの試料に おいてXmにより解析された相をまとめて示す. Fig.4‑9において、 Li‑Al‑N 3元系の各物質の標準回折パターン(Li3AIN2 : 07‑0245、 Li3N : 30‑0759、
LiAl : 03‑1215、 Li : 15‑0401)の中でそれぞれが重ならない明瞭なパターンが
いくつか存在するため、いずれの物質が混在していても各相の識別は可能で
ある。試料番号③及び④では、Li ‑ A1 2元系の合金相であるLi,A14及びLi3A12
が見られるが、これらは900Kにおいては存在しない相であるので、実験中
の埠度が若干低か?たか、もしくはLiAl.相‑の移行が完全には行われなか った(保持時間が不足であった)ことが考えられる。また、この他にも水中 での急冷中に生成した可能性もあるが、いずれにしてもその存在理由は、現 状では不明である。
4.2.3 Li‑Ga‑N 3元系平衡実験
この3元系においても、 Li‑Mg‑N 3元系同様試料を取り出した後cuメ
ッシュを観察したが、 Cuメッシュの酸化は肉眼では認められず、また重量 変化も全く検出されなかった。したがって、試料に対する酸素の影響はほと
んど無かったものと思われる。 Fig. 4‑10には、平衡実験後に回収された試料 のmパターンとJCPDSカードからの参照パターンの比較を、 Table 416にはそれぞれの試料において別により解析された相をまとめて示す。 Fig.
4‑10において、 700KにおけるLi‑Ga‑N 3元系で報告されている化合物の
標準回折パターン(Li,GaN2 : 06‑0193、 Li,N : 30‑0759、 LiGa : 09‑0043、 (Li,Ga2 :
36‑0933、 ) Li2Ga : 36‑0934、 (Li : 15‑0401))の中でそれぞれが重ならない明瞭
なパターンがいくつか存在するため、いずれの物質が混在していても各相の
識別は可能である。解析結果はほとんど全ての試料がstarting materialのまま
であり、この系では平衡‑の到達が非常に遅いことを示している。この結果
はGaNの合成の困難さからも容易に理解できるが、 Fig. 4‑10に示す結果で 注目すべき点は、試料番号①〜③ではほぼ完全にstarting materialのままであ ったのに対し、試料番号④及び⑤ではstarting materialではないLiGaの生成が確認されたことである。この点は後に詳細に議論する様に、等温状態図の 作成に関しては、この結果が非常に重要なポイントになると考えている。
4.3 3元系等温状態図の作成
4.3.1 Li‑Mg‑N 3元系等温状態図(900K)
Fig. 4‑11に、 Ⅹ皿による相同定の結果(Fig. 4‑8、 Table 414)に基づいて作成
した、 900K樗串けるLi ‑Mg‑N ・3元系等温状態図を示す.作卿寺のポイ ントは、 LiMgNl‑ M岳平衡もしくはLi ‑ Mg,N2平衡のいずれが成立するかと いうところにあるが、 Fig. 4‑8の③〜⑧において、 Mg3N2の存在が確認され ているため、 Li ‑ Mg,N2平衡が成立しFig. 4‑11に示す状態図が妥当と考えら れる。
4.3.2 Li‑Al‑N 3元系等温状態図(900K)
Fig. 4‑12には、皿による相同定の結果(Fig. 4‑9、 Table 4‑5)に基づいて作 成した、 900KにおけるLi‑Al‑N 3元系等温状態図を示す。この場合も作 成時のポイントは、既にFig.2111の(a)及び(b)の様に、 Li‑AlN平衡もしくは Li3AIN2 ‑ LiAl平衡のいずれが成立するかというところにある。 Fig. 4‑9に示
す結果からも明らかなように、固相平衡が十分に達成されていないところも
あり、解析は幾分困難な部分もある。しかし、 Fig.4‑9の③〜⑤においては、Li3AIN2の存在がわずかながらも確認されており、また②〜④においてはAIN の存在が認められないことを考慮すれば、 Fig. 4‑12に示す状態図が妥当と考
えられる。またFig・ 2‑11の(b)と見比べてわかるように、 Li,AIN2の△G?′‥L.,A,N2 はおおよそ‑410‑‑550 kJ/molの範囲であることも推定出来る。
4.3.3 Li‑Ga‑N 3元系等温状態図(700K)
Fig. 4‑13には、 Ⅹ皿による相同定の結果(Fig. 4‑10、 Table 416)に基づいて
作成した、 700KにおけるLi‑Ga‑N 3元系等温状態図を示す。この場合も 作成時のポイントは、既にFig. 2‑12の(a)、 (b)及び(C)に示す様に、これらの いずれの平衡関係が成立するかというところにある。 Fig. 4‑10の結果からも