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研究開発支出と組織内スラックおよびそのガバナンスに関する考察 : パネルデータ分析

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研究開発支出と組織内スラックおよびそのガバナンスに関する考察

―パネルデータ分析―

馬 場 正 弘

1 はじめに

企業の研究開発活動に影響を及ぼす要因の一つとして、組織内での研究 開発に関するコストの認識と意思決定のプロセスがある。本稿ではこれに ついて、企業内において厳しいコスト上の監督なしに支出することが容易 な経営資源の多寡と、それを執行する際の組織による監督の程度に注目す る。仮説としては、企業内において潜在的なスラック(余剰資源)が豊富 な企業ほど、そしてその資源を元にした研究開発への意思決定に際してそ れを促進するようなガバナンスが行われやすい企業ほど、研究開発への支 出は大きくなると考えられる。本稿では、研究開発支出およびその変動を 説明する要因としての、企業の資金面での余力を意味するスラックおよび その使用に当たっての意思決定上の要素であるガバナンスの状態について、 どのような特徴を持つ企業において積極的な活動が行われるかを中心に、 日本の上場企業のデータを用いて検討する。

2 研究戦略に影響する組織内の余剰の存在

2. 1 企業内スラックの存在と研究開発活動 Greve[2003]は技術革新活動に影響するものの一つとして、技術の探 索(サーチ)における各種の形態に注目した。そこでは、「ある問題によ って刺激されその問題に対する答えを見つける方向に向かうサーチ」であ

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り主観的なパフォーマンスの低さが引き起こすプロブレミスティックサー チ(problemistic search)、組織内の未利用の資源が促進するスラックサ ーチ(slack search)、および企業のリスク受容に対する態度の3つがとり あげられた。このうち、本稿では特にスラックサーチの概念に注目して検 討する。スラック(slack)という言葉はときに「余剰資源」と訳される が、過剰な資源の余剰が組織内に存在するとき組織はそれを用いたサーチ を実行し、組織内の経営資源の希少性を理由に認められないであろうイノ ベーションであってもそれを強く支持する内部の組織においてサーチが行 われるという結果が生じうる1 )。 スラックサーチの概念は以下のように研究開発と結びつく。組織の経営 資源が多いほど、その組織はより多くの新たな試みや組織の変革が可能で ある。すなわち、余裕の時間や資源を持つ組織は新たな試みを行うための より豊富なチャンスを持ち、同時にそこから得られるかもしれない成果を 評価する際の厳格なチェックを逃れることができる。すなわちスラックは 技術革新に必要な資源および経営上の忍耐強さを与える。さらに、より上 級の管理者に知られていないプロジェクトに対して非公式に時間を占有さ せることも可能である。すなわち、厳しいコスト意識を持つ組織であれば 研究開発活動に存在するリスクの高さと不確実性を理由に却下されてしま うプロジェクトであっても、組織内により監督がゆるい部門があればその 中で継続されるプロジェクトがあることや、資金が豊富なために実施の機 会費用が小さい企業においてはこうしたプロジェクトを採択しやすいこと などが理由となって、スラックの存在は研究開発支出や新規市場への積極 的な参入行動を促すと考えられる。 スラックは組織の短期的な操業および維持のために必要とされる水準を 超過した経営資源の利用という形で存在する。このタイプのスラックはア ブソーブドスラック(absorbed slack)と呼ばれ、研究開発のための設備、 研究開発という目標に特化したスタッフ、および他のスタッフが研究開発

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活動にかけることのできる時間などが、イノベーションの展開に有用なこ のスラックの例である。また資金的な準備としてのスラックも存在する。 これにはアンアブソーブドスラック(unabsorbed slack)を形成する現金 や資金調達方法の保有や、組織が潜在的に提供可能な水準を下回る量の資 源しか提供せずに余力を準備するというポテンシャルスラック(potential slack)が該当する。こうした準備は必ずしもイノベーションの展開に直 接使用されるわけではないが、研究開発プロジェクトの継続あるいは中止 に影響を及ぼしうる。巨額な資金が存在する場合に不確実性を持つプロジ ェクトに対する成果の監視が緩む理由の一部はこれらのスラックにある。 プロジェクトの成果の厳格な監視は、新しい取り組みが実際にパフォーマ ンスを改善するかどうかを知るために必要な経験を十分蓄積する前に組織 がこれを中止してしまうことの原因となりうる。研究開発活動はそれがも たらす成果の見込みがあいまいであるがゆえに事業資金の切り詰めに対し て脆弱であるため、スラックが低水準にとどまることによって生じる事業 評価への辛抱強さの低下は研究開発プロジェクトに特にダメージとなる。 こうした状況では、アンアブソーブドスラックおよびポテンシャルスラッ クが大きいほど、研究開発プロジェクトを継続することは容易になる。プ ロブレミスティックサーチがそのパフォーマンスが低いときに生じるのと 対照的に、この種のサーチは豊富な経営資源によって、言いかえれば高い パフォーマンスによって作り出される。かくしてGreve[2003]は、組織 のスラックが増加するとき研究開発集約度が上昇する、という仮説を提起 した2 )。 Greve[2003]においては、このアブソーブドスラックは売上高に対す る販売および一般管理費支出の比率で測られている。アンアブソーブドス ラックは現金や市場性証券からなる当座資産の対負債比率で測られる。こ れは短期の負債に対する企業の支払い能力を見るための指標で、負債に見 合ってすばやく現金化できる資産の比率という意味である。ポテンシャル

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スラックは負債比率(負債÷自己資本)であるが、これについては、負債 が大きいほどその企業の借り入れ能力が低下するので負の係数を持つと予 想される3 )。そして日本の造船部門のデータを用いたその計測結果では、 スラック変数の係数の推定値はアブソーブドスラックが正で有意な効果を 持つことを示したが、他のスラックの形については効果が見られなかった という。すなわち彼は、大きな間接部門を持つ企業は研究開発集約度に表 されるような高水準のサーチを行っていることを明らかにした。 これに加えて本稿では、このスラックと関係が深いものとしてキャッシ ュフローを検討する。事業活動によって生じた現金収支という概念である 営業キャッシュフローは処分されない手元の資源の留保なのでスラックと いう性格を持つ。投資キャッシュフローは設備投資が行われる企業では通 常負の値をとるので、反対にこれが正の値であるということがその企業が 必要な投資を過小に行っているというスラックを意味するものとも解釈で きる。財務キャッシュフローは新たな借り入れの超過などの財務活動によ って発生する現金収支なので、その増加は経営の優良さを損なうともみら れる一方で、新たな投資が可能な余力を意味する。 また、企業が持つキャッシュフローは以下のような経路でも企業の研究 開発に関する意思決定に影響する。すなわち、「ペッキングオーダー理論」 (Myers[1984]など)によれば、経営者と投資家との間で情報が非対称 的である場合、研究開発プロジェクトは当初内部資金によってファイナン スされる。正の収益をもたらすような機会を持つ研究開発プロジェクトが 内部で調達できる金額を上回るほど存在する場合、その資金を外部から調 達しなければならないという資金上の制約が生じ、内部資金の場合よりも 大きなコストが発生する。これはキャッシュフローが研究開発支出にもた らす潜在的な正の効果の存在を示唆する。すなわち、その意思があれば研 究開発に利用可能な原資が企業の内部にあるとき、そのコストは外部資金 に頼る場合に比較して小さく、したがってその豊富さが研究開発に正の効

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果を持つという仮説である4 )。キャッシュフローと後述のコーポレートガ バナンスの状況が企業の研究開発支出との間に持つ関係そのものについて は、日本の企業データについてすでに蟻川・河西・宮島[2011]において 詳細なデータを用いた包括的な分析が行われており、そこではキャッシュ フロー、負債、増資による資金調達から見た資金制約の存在と研究開発投 資の間の関係について詳細な分析がなされている。そして特に新興企業に おいて研究開発投資に対する資金制約の影響が見られることが明らかにさ れている。本稿ではこれを参照しつつ、さらにスラックという要因がそこ にどのように関与するかを明らかにするという視点をもって、実証分析を 試みる。 2. 2 スラックの使用におけるコーポレートガバナンスの作用 しかし、この企業内スラックが研究開発活動への利用に結びつくために は、余剰な資源を効率化や価格の引き下げではなく研究開発活動に使用す るという組織としての意思決定が必要である。これはGreve[2003]にお けるサーチのもう一つの要因である企業のリスク受容に対する態度とも関 連する。すなわち、企業には研究開発支出に限らず様々な支出項目があり、 その中でも研究開発への支出は通常の営業や操業あるいは設備投資に比べ て長期にわたり、確実に製品や技術の実用化に至るとは限らず、さらにそ の場合でも収益への貢献の程度は不確実である。また企業は市場における 競争圧力にさらされており、余剰資源の存在を価格引下げによる競争力の 強化に回すという決定もまた合理的な判断である。このように研究開発へ の資源の投入は企業にとってよりリスクの高い行動である。そしてそれを 行うためには、長期的な成果が上がるまでの間の赤字とそれが商業的に失 敗に終わることによる損失を覚悟することについて、経営者や株主を含む 企業内で合意を得、決断がなされなければならない。これは企業の経営幹 部の意思決定におけるガバナンスの問題である。これを行うためには、例

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えば短期的な収益と株価の上昇を求める株主に対してそれを我慢してもら うための説得をしなければならず、また最終判断を下す経営者自身がそれ を覚悟しなければならない。

Driver and Guedes[2012]はガバナンスの強さが研究開発というリス ク要因への資金の使用に関する意思決定に及ぼす作用について実証分析を 行った。そこにおけるガバナンスの指標となる変数は以下の点に注目する ものである。すなわち取締役会の規模が大きく、CEOと取締役会の権力 が分離しており、社外取締役の比率が高く、総報酬に占めるボーナスの比 率やストックオプションの比率が高いほど、強いガバナンスが行われてい るというものである5 )。コーポレートガバナンスの強化が研究開発支出に 対してもたらす効果には互いに対立する2つの可能性が存在する。まず、 プリンシパル=エージェント問題の見方に立てば、ガバナンスの強化は研 究開発を増やすと考えられる。すなわち、研究開発活動は通常長期に及ぶ 期間とその成果の不確実性に関する特有のリスクを伴うため、過少投資の 状態から始まることが予想されるのに対して、ガバナンスが適切に行われ ている企業においては、経営者は怠けることがないと投資家が信頼するこ とができることを通じて、この種の投資が促されうる。そこでDriver and Guedes[2012]は、「ガバナンスの水準が高いほど研究開発支出が誘発さ れる」という仮説を設定した。しかしそこには、強力なガバナンスが経営 者の自主的判断を妨げるということを通じて、研究開発などの不確実な投 資に対して反対の効果を持つ可能性もあり、彼らは「ガバナンスの水準が 高いほどより少ない研究開発支出が行われる」という、相反するもう一つ の仮説も提示した6 )。 このコーポレートガバナンスの効果に関しては、前述の企業内における 可能な資金としてのキャッシュフローの効果との間の相互作用にも注目で きる。すなわち、Driver and Guedes[2012]は、適切なガバナンスが行 われる企業では、投資家はいわゆる「レモン」の問題が弱まると考えて安

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心するため、外部資金の制約が発生しにくいという関係を想定する7 )。図 1 はHubbard[1998]およびDriver and Guedes[2012]による研究開発資

金に関する単純な需要曲線と供給曲線の関係を表したもので8 )、供給曲線 の水平な部分は内部資金によってこれが行われることを意味し、外部資金 が投入される規模を超えると右上がりの形状を持つようになる。研究開発 資金への需要曲線が供給曲線の右上がりの部分と交差する場合には、その 費用に見合うように研究開発の収益は供給曲線が水平な規模の場合よりも 高いものでなくてはならない。このモデルにおけるガバナンスの働きは、 それが研究開発を支援するか抑制するかしだいで需要曲線を移動させると いうものである。一方、ガバナンスが情報と透明性の点で投資家を安心さ せるものであるとき、ガバナンスの強化は供給曲線の傾きを緩やかにし、

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交点を右に移動させ、研究開発支出が増加する。かくしてDriver and Guedes[2012]は、「ガバナンスの水準の高まりは研究開発集約的な企業 にとっての資金制約を低減させるように作用する」という仮説を提示した9 )。 さらに、ガバナンスと密接に関連する要因として彼らは、研究開発に対 する企業の所有形態の影響を強調する。すなわち、どのような投資家が株 式のどれほどを所有するかは経営者の意思決定の自由度に影響を及ぼす。 例えば(英国では)通常5%以上の保有として定義される「大量株式保有 者」は株主による経営者への監督の強化を促しうる。これはある種の機関 投資家による株式保有についてもあてはまる。また、最高経営責任者など 経営者自身による株式の保有も重要である。なぜならそれは経営に利害関 係を持ちこむだけでなく、取締役会の中で特に情報を持つ役員が他の役員 との関係においてより突出する状態を作り出すからである。ここから彼ら は、「経営者自身の株式保有や機関投資家の株式保有が大きいほどより多 くの研究開発支出がもたらされる」との仮説を提示した10 )。 これらの要因に注目して行われたパネル分析によって彼らは、より強い ガバナンスが研究開発活動を抑える傾向があることや、最高経営責任者に よる企業の所有という形での関与が研究開発活動を支える方向の効果を持 つことを見出している。 2. 3 収益性への効果 さらに、こうしたガバナンスのもとで実行された研究開発活動が企業の 収益性に対してより強い貢献をするか否かについて、ガバナンスの強さと 利益率の高低、およびそこにおける研究開発支出の効果の大小との関係を 通じて観察することができる。すなわち、イノベーションへの投入が産出 を生み出し、それが企業の収益性を引き上げるという関係においてガバナ ンスがもたらす作用を明らかにするという試みである。Diaz et al.[2008] はイノベーションへの投入・産出と企業の収益性の間の関係について、イ

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ノベーションの実行とは短期的な費用を伴う(直接効果)一方で長期的な 便益を狙うことができる(間接効果)選択であるとして、イノベーション と財務上のパフォーマンスの間に短期的には直接的な負の影響がある一方 で、長期的にはイノベーションの成果の利用によって生じる間接的な正の 影響があるという仮説を設けた。そこでは後者の効果はタイムラグをとも なって発生するものであり、企業はその獲得までの間短期的な費用の存在 による業績に耐える必要がある11)。 彼らは、イノベーション自体には全体として前者が卓越する正の効果が あることを明らかにするために、技術知識への投入がストックとしてのイ ノベーション成果を通じて企業の収益性の変化に及ぼすという2段階のモ デルを想定してその効果の計測を試み、短期的なパフォーマンスとしての 総資本利益率の変化が数年のラグを伴って内部使用研究費など技術水準に 関する変数によって説明されることを示した。すなわち、有意な正の間接 効果がイノベーション経由で技術知識資産とパフォーマンスの間に存在す ることを明らかにした。

3 モデルと仮説

3. 1 検討するモデルと仮説 本稿では上記の先行研究に基づきつつ、研究開発に対して影響を及ぼす 要因としてスラックおよびガバナンスに関するいくつかの指標に注目し、 これらによって研究開発支出を説明するモデルを検討する。特に、どのよ うなガバナンスの状況にある企業において研究開発支出を増加させるスラ ックとそれに関連したキャッシュフローの効果が促進あるいは打ち消され るかに注目する。本稿で検討する仮説は次のようなものである。まず、 Greve[2003]におけるスラック変数のイノベーションへの効果の検討か ら予想される関係に基づき、これらと研究開発支出の間に次の仮説を置く。

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仮説1「スラックの指標が大きい企業ほど、研究開発支出あるいはそ の対売上高比率は大きい。」

また、スラック変数としての解釈ができるDriver and Guedes [2012]の キャッシュフロー変数も同様の効果があると考えられるため、以下の仮説 を置く。 仮説1A「キャッシュフローが潤沢な企業ほど研究開発支出あるいは その対売上高比率は大きい。」 一方、Greve[2003]における組織の監督の強度の指標となりうる、Driver and Guedes [2012]が検討したコーポレートガバナンスの状態に関する 指標については、Driver and Guedes [2012]が想定した方向の関係が存 在すると予想する場合には、以下の仮説を置くことができる。 仮説2「コーポレートガバナンスが強い企業ほど、企業の研究開発支 出あるいはその対売上高比率は大きい。」 さらに、ガバナンスの強さに上記のような効果があるならば、コーポレ ートガバナンスが強いほどキャッシュフローをより長期的な活動である研 究開発に対して充当することが促進されるとみて、以下の仮説を置く。 仮説3「コーポレートガバナンスが強い企業ほど、スラックあるいは その表れとしてのキャッシュフローの研究開発支出あるいはそ の対売上高比率への効果は大きい。」 しかし、Greve[2003]においては、反対に厳格な組織の管理が行われ ないことがイノベーションの決定を促進するという見方が提起されており、 この仮説3と対立する関係が成り立つ可能性もある。 コーポレートガバナンスが研究開発活動に及ぼす影響については、その 方向や効果の大きさは各国の法制度や企業文化しだいで異なるが、本稿で は彼らのような詳細な指標を用いず、株主構成が及ぼす影響を中心に検討 する。そこでは株主構成の特徴が研究開発活動への直接の監督の強さを左 右する可能性に注目する。

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計測に際しては、これらの変数の直接の効果を推定するとともに、スラッ クの大きさとガバナンスの強さの相互作用を検討する。Driver and Guedes [2012]や蟻川・河西・宮島[2011]では両変数の交差項を説明変数に導 入することでこの相互作用が検討されているが、本稿では、これらの変数 の値の大小をもって標本分割を行った場合にそれぞれの集団の間で変数間 の関係がどう変わるかを調べることを通じて、この関係を検討する。例え ばガバナンスの強さの指標が大きいグループと小さいグループに分け、両 者の間でスラック変数やキャッシュフロー変数の効果がどのように異なる かを見ることで、両者の相互作用を明らかにすることを試みる。 3. 2 データと計測方法 本稿では研究開発支出(対数)LRD およびその対前年度変化率(対数階 差)GRD を被説明変数とし、これを説明するモデルとして、Greve[2003] がイノベーション指標を説明する際に用いたものにならって、説明変数と して各種のスラックおよび従業員数など規模に関する変数を用いる。そし てこれに加えてDriver and Guedes [2012]における前期のキャッシュフ ローを用いる。そして企業の株式保有の状況など意思決定に対する企業所 有と関与の程度を代理させる変数を用いる。被説明変数と各説明変数の間 には1期のラグを置く。 データは次に示す変数について、東証一部上場企業の単独決算ベースで、 2007から2009年(に始まる決算期)に関してプールしたものである。出所 は東洋経済『会社四季報CD−ROM』2010年夏号を中心とした。なお研究 開発支出については2010年の数値は業績見込み額である。またキャッシュ フローに関する変数は連結決算ベースである。 まずスラック変数についてはGreve[2003]における変数に基づいて、 ポテンシャルスラックとして負債の総資産に対する比率(対数)LDEBT、 アンアブソーブドスラックとして当座資産対負債比率(対数)LLIQ、ア

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ブソーブドスラックとして販売管理費比率(対数)LSGA、および関連する 変数としてキャッシュフローの概念のうちから一株当たり営業キャッシュ フローの増分DCF を用いる。ガバナンスに関する変数については、Driver and Guedes [2012]の検討の一部と同様に株主構成に関する要因を用い、 本稿では以下の4種類の指標を利用する。すなわち、発行済株式数のうち 外国人投資家が保有している株数の割合である外国人持株比率STOCK1、 保有数10位までの大株主と役員持株および自己株式の単純合計(重複分は 除く)の割合で計算される少数特定者持株比率STOCK2、市場で流通す る可能性の高い株式の割合である浮動株比率STOCK3 を用いる。また Driver and Guedes [2012]は株主構成について特に機関投資家に注目し ているが、本稿ではすべての機関投資家ではないものの、投資信託持株比 率STOCK4 でこれを見てみる。これらについては、直接の変数としてガ バナンスの効果を見るとともに、標本の分割の基準として用いることでこ れらの状況の相違がスラックやキャッシュフローの効果に与える影響を調 べる。

その他のコントロール変数として、Driver and Guedes [2012]は企業 規模の作用を強調する。企業の大きさそのものに関しては、シュンペータ ー以来論じられてきたように大企業ほど研究開発の促進に有利な点を持つ とされるが、大企業は資源配分における経営上のコントロールの欠損とい う問題に直面するかもしれない。また、シュンペーター仮説として知られ るように、企業規模は市場支配力の代理変数あるいは市場の競争性に関す るマイナスの指標とされる一方で、イノベーションに対して好ましい効果 が存在することも指摘される(Aghion et al. [2005]など)。さらに、企 業規模は外部の技術の吸収能力や共同研究開発への参入能力を反映するも のであり、これらの能力は自身の研究開発活動にも影響するという研究 (Cohen and Levinthal [1989]など)もあることから、企業規模を説明変 数に含めることは適切であると考えられる。なお Driver and Guedes

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[2012]では、占有可能性の条件や技術的機会など時間とともに変化しな いその他の要因を表す変数については固定効果に一括できるとして、パネ ル分析が行われている。一方、Greve[2003]は、技術革新を決めるコン トロール変数として、企業の環境要因については産業の技術革新水準が各 企業に及ぼす効果という面から前年のその産業でのイノベーション件数を 用い、企業規模については従業員数(対数)や資産規模を用いている。そ してこれらに加えて、産業全体の年間産出や年間所得の成長率など経済ト レンドの効果をコントロールする変数と対象産業に特有の変数を用いてい る12 )。これらに依拠しつつ、パネル分析である本稿のモデルにおいては、 コントロール変数のうちでも短期的な市場や企業規模の変動の効果などに ついては売上高(対数)LSALES および従業員数(対数)LEMPL を用い て明示的な変数とする一方、イノベーションを行いうる技術的機会や Greve[2003]の指摘にある企業のグループ分けの必要などについては、 これらは短期的には安定していると想定して各企業の固定効果に一括する。 このように本モデルは、研究開発支出の水準及び成長率を被説明変数と し、これを3つのスラック変数、キャッシュフロー水準、ガバナンスの指 標としてのいくつかの株主構成比率、およびその他のコントロール変数で 説明するものである。なお、企業が実際に研究開発支出を決定する際に、 しばしば売上高の見込みの何らかの割合という根拠で予算化されるケース があることも、売上高の水準を説明変数とする理由である。

4 計測結果

上記のモデルに関する計測結果を以下に記す。標本を分割しない場合の モデルの計測結果は表 1 、株主構成に従って標本分割を行った場合の結果 は表 2 のようになった。計測はTSP5.0 のパネルデータ分析を用いた。い ずれの計測についても、固定効果モデルと変量効果モデルの選択に関する

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Hausman検定の結果は変量効果モデルを 1 %水準で有意に棄却したため、 各表には固定効果モデルの推定結果を示してある。また、TSPによるラグ ランジュ乗数検定において分散均一の帰無仮説が棄却されたため、推定結 果はTSPによる不均一分散に対して頑健性のある標準誤差に基づいて評 価した。 (1)全般的な結果 表 1 に示したように、売上高の係数は有意ないしそれに近い正の値を示 し、また後述の標本分割を行った場合でも有意になるのは推定値が正値の 場合である。これらは研究開発の原資という側面あるいは支出額を決定す る際の材料の一つという役割と一致する。研究開発支出およびその成長率 は前年の研究開発支出との間に有意な負の相関を持ち、支出が時間ととも に長期的な趨勢に回帰するという傾向を示唆する。 3 種類のスラック変数に関しては、まず販売管理費比率は有意ないしそ れに近い正の相関を持ち、アブソーブドスラックの効果があることを示し、 LRD LSALES LDEBT LSGA LLIQ LEMPL STOCK1 STOCK2 STOCK3 STOCK4 DCF LRDt t GRDt t LRDt t GRDt LRD LSALES LDEBT LSGA LLIQ LEMPL STOCK1 STOCK2 STOCK3 STOCK4 DCF LRDt t GRDt t LRDt t GRDt t

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これは日本におけるGreve[2003]の結果と一致する。これに対して、当 座資金対負債比率は明確な関係が認められず、この変数を用いた限りでは アンアブソーブドスラックの効果は不明だった。負債対資産比率はいずれ の計測でも予想された負の関係を研究開発支出との間に持っていたが、有 意性は高くなかった。なお、後述のように、これら3種類のスラックと研 究開発との関係は外国人持株比率が平均以上の企業および投信比率が平均 以上の企業のグループでは不明確である一方で、これら以外の各グループ ではおおむね有意に近い関係があった。これらから、本稿の計測結果は、 この2つのグループ以外のグループおよび東証一部上場企業全体という条 件の下で、前述の仮説1を支持する。 一方、キャッシュフロー変数として一株あたり営業キャッシュフローの 増分を用いた計測は有意ではなかった。グループ分けをした後の計測でも 有意に近い係数が推定されたのは一部にとどまる。表には示さなかったが、 これは増分の代わりに各年の実額を用いた場合でも同様だった。これらは 仮説1Aが否定されるとも取れる結果だが、本稿では特殊な変数や標本を 用いているわけではないにもかかわらず、同時期の日本の企業データによ る蟻川・河西・宮島[2011]の計測結果との乖離が明らかに大きすぎる。 これについては、キャッシュフローの測り方と変数の処理には様々な方法 があるので、データ系列としてこれを用いたことの妥当性なども含めて再 検討の必要がある13 )。 さらに、株主構成に関する変数のうちでは、後述の標本分割を行った場 合を含め、全体としては外国人株式保有比率の高い企業ほど研究活動に積 極的と見られる関係が認められた。この結果は、同じく日本企業のデータ を検討した蟻川・河西・宮島[2011]において企業全体では有意に認めら れなかったが小規模な企業に限った計測では認められたものと同じである。 蟻川・河西・宮島[2011]はそれを比較的小規模な企業では海外投資家比 率が高い企業ほどキャッシュフロー制約が緩和される傾向があることを示

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しているとしている14 )。これはDriver and Guedes [2012]の「レモン」 の問題の回避に関する仮説や本稿の仮説2を支持し、企業の長期的意思決 定に関するガバナンスが、国際資本市場の参加者による株式保有という監 視の下にある企業ほど研究開発を行いやすいという方向に働いたことを意 味していると解釈できる15 )。別の解釈として、Greve[2003]の指摘のよ うな産業ごとの固有の要因の作用として、自動車やハイテク産業などとい う特性を持った産業に属する企業は研究集約的であると同時に資金調達の 国際化が進んでいる企業でもあるということの表れと見ることもできるが、 これは資金調達の国際化のおかげで研究集約度が高まったという解釈と矛 盾するものではない。これとは対照的に、(研究開発を水準で見た限り) 大株主や役員の持株比率が高い企業ほど研究開発活動に対して消極的とも とれる関係が見られた。こちらについては、長期的な投資の意思決定に関 して株主の了解を得やすい特定の株主の比率が高いほど研究開発支出に積 極的になりやすいというDriver and Guedes [2012]が予想した形でのガ バナンスの結果とは反対の結果であり、むしろ変化を求める市場からの働 きかけが少ないことが企業の新しい事業への展開に関する消極性をもたら したとも解釈できる。外国人比率の効果の場合についても同様であるが、 何らかの株主構成やコーポレートガバナンスの状況が企業の意思決定にど のように作用するかは、各国の法律や規制、およびその他の社会制度上の 特徴しだいで国ごとに異なっており、彼らの予想が日本のデータに関して 当てはまらないことは意外ではない。 (2)ガバナンスと株主構成に関する結果 仮説3を検討するために株主構成上の特徴に従って標本を分割した表2 の場合、各変数の係数については次のような傾向が見られた。なお、被説 明変数として研究開発支出の変化率を用いた場合には決定係数が低く、説 明力が低いものが多いため、以下では水準で見た研究開発支出を被説明変 数とした場合を中心に検討する。

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まず外国人株式保有比率が平均以上か未満かで分けた場合、比率が高い グループ( 1(a))では各スラック変数について係数が有意ではない。反 対に外国人比率の低いグループ( 1(b))では各変数の有意性の傾向は全 標本での計測の場合に近い。また少数特定者株式保有比率の高さは外国人 比率が上位のグループにおいて研究開発支出を減らすことがわかる。これ らの結果は、全体としては外国人持株比率が高いことが研究開発を促進し ながらも、そのような企業に限った中では研究開発に関する意思決定が企 業内のスラックの存在などの影響を受けにくい、あるいはスラックを利用 しにくいということを示唆する。反対に、外国人株主比率が低い企業では、 スラックが存在することによる効果が存在する様子がうかがえる。 一方、少数特定者持株比率の高低で標本を分けると、平均以上のグルー プ( 2(a))は未満のグループ( 2(b))よりも各スラック変数の係数の値 が大きく、有意性も高い傾向がある。これらは、外国人株主比率の場合と 対照的に、少数特定者の意向が働きやすい企業では研究開発への選択が内 部の資源に左右されやすいことを示唆する。またこのグループでは株主構 成の効果が有意であった。 さらに浮動株比率で分けた場合、これが平均を上回るグループ( 3(a)) では下回るグループ( 3(b))よりもスラックおよび売上高に関する変数 の係数が大きく、市場性の高い資金が多い企業ほどスラックの効果が生じ やすいことがうかがえる。特に負債比率の有意な負の効果がこのグループ で認められ、資産に比べて大きな負債を持つ企業ほど研究開発の資金調達 が妨げられるというポテンシャルスラックの効果の存在と一致する。反対 に浮動株比率が低い場合には株主構成の効果が高いように見える。 最後に、投資信託比率が平均を上回るグループ( 4(a))では係数の有 意性がいずれも低く、標本全体について観察されたようなスラックの効果 が認められなかった。一方下回るグループ( 4(b))では有意性の傾向は 全体と同様であるとともに、さらに負債比率の有意な負の効果が認められ、

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LRD LSALES LDEBT LSGA LLIQ LEMPL STOCK1 STOCK2 STOCK3 STOCK4 DCF LRDt t GRDt t LRDt t GRDt t LRD LSALES LDEBT LSGA LLIQ LEMPL STOCK1 STOCK2 STOCK3 STOCK4 DCF LRDt t GRDt t LRDt t GRDt t LRD LSALES LDEBT LSGA LLIQ LEMPL STOCK1 STOCK2 STOCK3 STOCK4 DCF LRDt t GRDt t LRDt t GRDt t

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スラックの効果がよりはっきりと表れている。このグループ間の相違は外 国人持株比率による分割の場合と同じ傾向であり、意思決定への作用にお いて今日の日本の市場における機関投資家の存在は外国人株主と同様な役 割を持つと考えられる。 このように、標本の分割による検討から、株主がどのような集団から構 成される比率が高いかによって、企業の研究開発への資金上の余力の存在 が実際に研究開発支出の積極化に結びつくか否かが影響を受けることが明 らかとなった。

5 結論

本稿における計測結果は以下のように要約できる。まず、各種のスラッ クの存在は研究開発の意思決定の際にその原資として有意な効果を持ちう るが、その効果は株主構成しだいで異なる。次に、外国人株主は全体とし て企業に研究開発に関して積極的な行動をとらせるという効果を持ち、一 方この比率が高い企業自体はスラックの影響を受けにくいことから、その LRD LSALES LDEBT LSGA LLIQ LEMPL STOCK1 STOCK2 STOCK3 STOCK4 DCF LRDt t GRDt t LRDt t GRDt t (表 2 のつづき)

(20)

ウェイトが大きな企業に対して内部のスラックの有無にかかわらずリスク に対して積極的な行動をとらせ、それが大株主や経営者株主の慎重な態度 を凌ぐ傾向が見られる。反対に特定少数株主の作用は内部のスラックに左 右されやすい研究開発という傾向をもたらし、また浮動株比率が高く市場 の意思が働きやすい企業でもスラックに左右されやすい活動の傾向が生じ る。 本稿において残された問題として以下のものがある。まずGreve[2003] が指摘したように、研究開発活動には産業や市場ごとに大きく異なった特 徴があり、また研究集約的な産業とそうではない産業との間や、事業展開 が国際的な産業とそうではない産業との間などにおける相違によっても、 本稿で検討した関係は影響を受けると考えられる。したがって、産業毎の 比較が必要になる。また、本稿ではガバナンスに関する変数を直接的には 検討しておらず、ガバナンスに株主構成が影響を及ぼすことを前提として 代理させた形になっている。両者が密接に関連しつつも異なる概念である ことはDriver and Guedes [2012]でも指摘されており、本稿で提示した 仮説の検証のためには、これらに関する詳細な検討が必要とされる。 上記に加えて今後の考察の展開方向として考えられるのは、本稿で検討 したスラックの利用とそれに影響するガバナンスについて、リスク評価と の間の関係を見るために、資本の形成という面では研究開発と共通しなが らも異なったリスク上の特徴を持つ、例えば設備投資や事業の多角化など に関する意思決定との比較を行うというものである。 本稿における検討は試みの計測とその解釈にとどまるものであり、適切 なキャッシュフロー変数の選択や計測方法の選択などとあわせて、これら はいずれも引き続き検討すべき重要な問題であるといえる。

(21)

1)Greve[2003], p.688。 2)Greve[2003], p.688。 3)ただし、Greve[2003]はいずれのスラック変数も同様の事業の形態をと っている組織で比べることが必要で、スラックの効果の分析には単一産業の 母集団にするか比較可能性のために企業固有の効果をコントロールする必要 があることを指摘する。Greve[2003], p.688。 4)もしも企業が外部からの資金調達よりも内部での資金調達を選好し、外部 から資金を得る場合でも株式よりも負債を選好するならば、その企業は pecking order すなわち資金選好の序列に従っているとされる。Myers[1984], p.581, Driver and Guedes[2012], p.1568。

5)Driver and Guedes [2012]はガバナンスについて以下の指標を総合した データを検討している。 ・取締役会の構成人員数が多いか ・取締役会の議長とCEOが別人か ・少なくとも50%が社外取締役ないし非常勤取締役であるか さらにこれと密接に関係する経営者の報酬の構造として以下を検討している。 ・総報酬に占めるボーナスの割合が20%超か ・総報酬に占めるストックオプションの割合が30%超か (p.1570)。

6)Driver and Guedes[2012], p.1568。

7)Stein[2003], Driver and Guedes[2012], p.1568。

8)この図と説明は情報の不完全性と過少投資の関係に関するHubbard[1998], p.196の図およびDriver and Guedes[2012], p.1569に基づいている。 9)Driver and Guedes[2012], p.1569。このモデルではガバナンスが研究開発

を直接抑制するか支援するかしだいで図の需要曲線は左右どちらにもシフト しうる。

10)Driver and Guedes[2012], p.1569。 11)Diaz et al.[2008], p.1517。 12)Greve[2003], p.692。

13)また、本稿では3年分しかないものの、時系列方向の要素があるパネル分 析において設備投資や研究開発投資への支出を計測することについては、例 えばDriver and Guedes [2012]や蟻川・河西・宮島[2011]が推定法とし てGMMを用いたように、推計の技術的方法についてさらに検討する必要が ある。

14)蟻川・河西・宮島[2011]、pp.362-4。そこにおける仮説は、配当への選好 が強い外国人や機関投資家の比率の上昇が長期的な投資である研究開発投資 にはマイナスに作用するというものであった。

(22)

15)蟻川・河西・宮島[2011]において「保証効果」と呼ばれた、外国人投資 家によるモニタリングが市場に安心感を与え、これが長期的投資を可能にし ているという解釈もこれと同様である。

参考文献

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蟻川靖浩・河西卓弥・宮島英昭[2011]「R&D 投資と資金調達・所有構造」宮 島英昭編著『日本の企業統治』東洋経済新報社、pp.341-66.

Cohen, Wesley M. and Daniel Levinthal [1989]“Innovation and Learning: The Two Faces of R&D,”Economic Journal, Vol. 99, pp. 569-96. Diaz-Diaz, Nieves Lidia, Inmaculada Aguiar-Diaz and Petra De Saa-Perez

[2008]“The Effect of Technological Knowledge Assets on Performance: The Innovative Choice in Spanish Firms, ”Research Policy, Vol. 37, pp. 1515-29.

Driver, Ciaran and Maria Joao Coelho Guedes[2012]“Research and Develop-ment, Cash Flow, Agency and Governance: UK Large Companies, ” Research Policy, Vol. 41, pp. 1565-77.

Greve, Henrich R. [2003]“A Behavioral Theory of R&D Expenditures and Innovations: Evidence from Shipbuilding, ”Academy of Management Journal, Vol. 46, Iss.6, pp.685-702.

Hubbard, R.Glenn. [1998]“Capital-Market Imperfections and Investment, ” Journal of Economic Literature, Vol. 36, pp.193-225.

Myers, Stewart C.[1984]“The Capital Structure Puzzle,”Journal of Finance, Vol. 39, No. 3, pp.575-92.

Stein, Jeremy C. [2003]“Agency, Information and Corporate Investment, ” in G.M. Constantinides, M. Harris and R. Stulz (Eds.), Handbook of the Economics of Finance, Vol.1, Part A, Chapter 2, pp.111-65, Elsevier. Wally, Stefan and Cher-Min Fong [2000]“Effects of Firm Performance,

Organizational Slack, and Debt on Entry Timing: A Study of Ten Emerging Product Markets in USA, ”Industry and Innovation, Vol.7, Issue 2, pp.169-83.

参照

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