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ハムスターにおける卵胞の発育及び退行機構に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

ハムスターにおける卵胞の発育及び退行機構に関する研究(

内容の要旨 )

Author(s)

大塚, 麻里子

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 甲第031号

Issue Date

1997-03-14

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2085

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 学位授与の要件 研究科及び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 貞 論 大 塚 麻 里 子 (神奈川県) 博士(獣医学) 獣医博甲第31号 平成9年3月14日 学位規則第4条第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 東京農工大学 ハムスターにおける卵胞の発育及び退行機構に 関する研究 主査 東京農工大学 副査 東京農工大学 副査 帯広畜産大学 副査 岩 手 大 学 副査 岐 阜 大 学 文 の 内 容 の 授授授授授 教教教教教 幸宏 三一孝 一義純陽義 谷 田 田 宅 木 田 金 山 三 鈴 晴乳類の雌は、出生後に卵巣活動が開始され、やがて卵巣活動が停止するまでの 間、卵巣では常に卵胞発育、退行、排卵、黄体形成が繰り返されている。しかし、 出生時の卵巣に存在する卵の数に比べれば、排卵する卵の数は極めて少なく90%以 上の卵は退行する0この様に、卵の退行すなわち卵胞の退行は、卵巣活動において 卵胞発育のいづれの時期でも観察されるごく自然な生理的現象である。しかし、卵 胞がどの様なメカニズムで退行過程へ進むのか、また、退行過程に入った卵胞がど の様な機能的及び形態的変化を伴うのか等についての詳細な機構は未だ未解決な部 分が多く残されている。 本研究は、多排卵動物で卵巣の構造上、卵胞の発育及び退行が解析しやすい ゴールデンハムスターを用いて、卵胞の発育および退行の機構について研究したも のである0研究に際しては、4つの実験モデル、すなわち(Ⅰ)正常発情周期中のハ ムスター、(ⅠⅠ)下垂体摘出ハムスター、(ⅠⅠⅠ)妊娠期及び(IV)泌乳期のハムス ターを用いて卵胞の発育及び退行の機構を機能的及び形態的に解析した。 免疫組織化学的方法により検索した結果、アロマターゼは、健常な大型胞状卵胞 および退行初期の大型胞状卵胞の卵胞上皮細胞に観察された。また、卵巣での健常

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-107-な大型胞状卵胞数の変化は、血中エストラジオール濃度の変化とよく一致すること から、ハムスターのエストラジオールの主な分泌源は、健常な大型胞状卵胞の卵胞 上皮細胞であろうと推察された。ひとたび健常な卵胞が退行過程に入ると、卵胞は 直ちに内卵胞膿からのテストステロン分泌を停止し、ついで、卵胞上皮細胞のエス トラジオール分泌を停止する。しかし、エストラジオール分泌を停止した胞状卵胞 でも血山打りの培養状態下でアンドロステンジオンを加えるとエストラジオールを分 泌することから、退行過程の初期には卵胞はアンドロステンジオンから、エストラ ジオールへのステロイド変換の機構を保持しているものと推察された。また、卵胞

か退行過程に入ると、2時間以内に、卵胞上皮細胞のアポトーシスが誘導される事

実を明らかにした。一方、ステロイドホルモンとは異なり、卵胞上皮細胞がアポ トーシスを起こしている卵胞においてもインヒビンは長期間分泌を続ける事実が明 らかになった。これらの結果は、卵胞上皮細胞を同一分泌源とするインヒビンとエ ストラジオールの分泌調節機が異なること初めて明らかにした。 妊娠中のハムスターでは、自然排卵が停止するが、卵胞の発育・退行が繰り返さ れており、妊娠前半期の卵巣には、約16個の健常な胞状卵胞が常に存在するが、妊 娠後半期になると胞状卵胞の数は約33個に増加する。しかし、分娩を境にしてこれ らの胞状卵胞はことごとく退行し、泌乳中には胞状卵胞がほとんど存在しないこと が明らかとなった。しかし、妊娠後半期中の卵巣では、多数の卵胞が一斉に発育を 開始するにもかかわらず、血中のFSHおよびLH濃度の上昇は認められず、胞状卵 胞が一斉に退行する分娩時に、明らかな血中LH濃度の低下が認められた。そこ

で、妊娠期間中の卵胞機能維持に関するLHの役割について検討するため寧こ、妊娠

後期にLHの抗体を用いて内因性LHの中和実験を行った。その結果、内因性LH を中和すると血中エストラジオールおよびインヒビン濃度が減少し、大型胞状卵胞 は急激に退行することが判明した。これらの結果から、下垂体から分泌される基底 レベルのLHが妊娠期間中の卵胞発育・維持に重要な役割を演じているものと推察 された。しかし、\妊娠中期において多数の大型卵胞が急激に発育を開始する機構に ついては明らかに出来なかった。 泌乳期間中の卵巣では、卵胞の発育は極度に抑制され、エストラジオール及びイ ンヒビンの分泌も抑制されている。この様に卵胞発育が著しく抑制される泌乳ハム スターの下垂体と卵巣の内分泌学的特徴について検討した結果、泌乳ハムスターに 観察されるFSH、LHおよびプロジエステロンのdailysurgeが泌乳ハムスターの特 徴的な卵巣構造を形成する事実が明らかとなった。すなわち、「泌乳ハムスターで は、吸乳刺激によりLH分泌が低下し、卵巣での卵胞発育が抑制されてエストラジ オールの分泌が低下するとFSHとLHのdailysurgeが出現する。このLHにより卵

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巣の問質細胞では、プロジエステロンのdailysurgeが誘起され、問質細胞は著しく 発達し、卵胞の発育はさらに抑制される」ものと解釈された。 以上の研究成果は、これまで不明の点が多く残されていた卵胞の退行過程にお ける機能的及び形態的な変化の一端を明らかにしたものであり、生殖生理学上極め て重要な内容である。また、産業動物の生産性向上を目的とした卵胞卵の有効利用 に際しても基礎データーとなる内容である。 審 査 結 果 の 晴乳類の雌は、出生後に卵巣活動が開始され、やがて卵巣活動が停止するまでの 間、卵巣では常に卵胞発育、退行、排卵、黄体形成が繰り返されている。しかし、 出生時の卵巣に存在する卵の数に比べれば、排卵する卵の数は極めて少なく90% 以上の卵は退行する。この様に、卵の退行すなわち卵胞の退行は、卵巣活動におい て卵胞発育のいづれの時期でも観察されるごく自然な生理的現象である。しかし、 卵胞がどの様なメカニズムで退行過程へ進むのか、また、退行過程に入った卵胞が どの様な機能的及び形態的変化を伴うのか等についての詳細な機構は未だ未解決な 部分が多く残されている。 本研究は、多排卵動物で卵巣の構造上、卵胞の発育及び退行が解析しやすい ゴールデンハムスターを用いて、卵胞の発育および退行の機構について研究したも のである。研究に際しては、4つの実験モデル、すなわち(Ⅰ)正常発情周期中のハ ムスター、(ⅠⅠ)下垂体摘出ハムスター、(ⅠⅠⅠ)妊娠期及び(IV)泌乳期のハムス ターを用いて卵胞の発育及び退行の機構を機青銅勺及び形態的に解析した。 免疫組織化学的方法により検索した結果、アロマターゼは、健常な大型胞状卵胞 および退行初期の大型胞状卵胞の卵胞上皮細胞に観察された。また、卵巣での健常 な大型胞状卵胞数の変化は、血中エストラジオール濃度の変化とよく一致すること から、ハムスターのエストラジオールの主な分泌源は、健常な大型胞状卵胞の卵胞 上皮細胞であろうと推察された。ひとたび健常な卵胞が退行過程に入ると、卵胞は 直ちに内卵胞膿からのテストステロン分泌を停止し、ついで、卵胞上皮細胞のエス トラジオール分泌を停止する。しかし、エストラジオール分泌を停止した胞状卵胞 でも〟=〟打℃の培養状態下でアンドロステンジオンを加えるとエストラジオールを分 泌することから、退行過程の初期には卵胞はアンドロステンジオンから、エストラ ジオールへのステロイド変換の機構を保持しているものと推察された。また、卵胞 が退行過程に入ると、2時間以内に、卵胞上皮細胞のアポトーシスが誘導される事実 を明らかにした。一方、ステロイドホルモンとは異なり、卵胞上皮細胞がアポトー

シスを起こしている卵胞においてもインヒビンは長期間分泌を続ける事実が明らか

になった。これらの結果は、卵胞上皮細胞を同一分泌源とするインヒビンとエスト ラジオールの分泌調節機が異なることを示すものである。 妊娠中のハムスターでは、自然排卵が停止するが、卵胞の発育・退行が繰り返さ れており、妊娠前半期の卵巣には、約16個の健常な胞状卵胞が常に存在するが、妊

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-109-娠後半期になると胞準卵胞の数は約33個に増加する。しかし、分娩を境にしてこれ

らの胞状卵胞はことごとく退行し、泌乳中には胞状卵胞がほとんど存在しないこと が明らかとなった。しかし、妊娠後半期中の卵巣では、多数の卵胞が一斉に発育を 開始するにもかかわらず、血中のFSHおよびLH濃度の上昇は認められず、胞状卵 胞が一斉に退行する分娩時に、明らかな血中LH濃度の低下が認められた。そこ

で、妊娠期間中の卵胞機能維持に関するLHの役割について検討するために、妊娠

後期にLHの抗体を用いて内因性LHの中和実験を行った。その結果、内因性LHを 中和すると血中エストラジオールおよびインヒビン濃度が減少し、大型胞状卵胞は 急激に退行することが判明した。これらの結果から、下垂体から分泌される基底レ ベルのLHが妊娠期間中の卵胞発育・維持に重要な役割を演じているものと推察さ れた。しかし、妊娠中期において多数の大型卵胞が急激に発育を開始する機構につ いては明らかに出来なかった。 泌乳期間中の卵巣では、卵胞の発育は極度に抑制され、エストラジオール及びイ ンヒビンの分泌も抑制されている。この様に卵胞発育が著しく抑制される泌乳ハム スターの下垂体と卵巣の内分泌学的特徴について検討した結果、泌乳ハムスターに 観察されるFSH、LHおよびプロジ土ステロンのdailysurgeが泌乳ハムスターの特 徴的な卵巣構造を形成する事実が明らかとなった。すなわち、「泌乳ハムスターで は、吸乳刺激によりLH分泌が低下し、卵巣での卵胞発育が抑制されてエストラジ オールの分泌が低下するとFSHとLHのdailysurgeが出現する。このLHにより卵 巣の問質細胞では、プロジエステロンのdaiIysurgeが誘起され、問質細胞は著しく 発達し、卵胞の発育はさらに抑制される」ものと解釈された。 以上の研究成果は、これまで不明の点が多く残されていた卵胞の退行過程にお ける機能的及び形態的な変化の一端を明らかにしたものであり、生殖生理学上極め て重要な内容である。また、産業動物の生産性向上を目的とした卵胞卵の有効利用 に際しても基礎データーとなる内容である。 以上について、審査委貞全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の 学位論文として十分価値あるものと認めた。

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