Title Establishment of a Detection System of Toxoplasma gondiiInfection in Chickens( 内容と審査の要旨(Summary) )
Author(s) APPIAH-KWARTENG, Cornelia
Report No.(Doctoral Degree) 博士(獣医学) 甲第564号 Issue Date 2020-03-13 Type 博士論文 Version none URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/79365 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏名(本(国)籍) APPIAH-KWARTENG, Cornelia(ガーナ共和国) 主 指 導 教 員 氏 名 岐阜大学 准教授 高 島 康 弘 学 位 の 種 類 博士(獣医学) 学 位 記 番 号 獣医博甲第564号 学 位 授 与 年 月 日 令和2年3月13日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 研 究 科 及 び 専 攻 連合獣医学研究科 獣医学専攻 研究指導を受けた大学 岐阜大学
学 位 論 文 題 目 Establishment of a Detection System of Toxoplasma gondii Infection in Chickens
(ニワトリのトキソプラズマ感染検出系の確立) 審 査 委 員 主査 岐 阜 大 学 教 授 福 士 秀 人 副査 帯広畜産大学 教 授 横 山 直 明 副査 岩 手 大 学 教 授 板 垣 匡 副査 東京農工大学 准教授 古 谷 哲 也 副査 岐 阜 大 学 准教授 高 島 康 弘 学位論文内容の要旨 Toxoplasma gondii はほとんどすべての哺乳類・鳥類に感染する人獣共通偏性細胞内寄 生性原虫である。オーシストで汚染された土壌と水が感染源となる。T.gondii 潜伏感染動 物由来食肉のシストを摂取することでも感染する。鶏肉はヒトへの重要な感染源となりえ るとともに,土壌のオーシスト汚染検出に, ニワトリを利用できる可能性がある。本研究 では, ニワトリの T. gondii 感染を効果的に検出できる診断系の確立を目的とした。本学 位論文は以下の 3 章から構成されている。 第 1 章では, ニワトリの血清診断系に用いる抗原を検索した。実験感染ニワトリから継 時的に血清を採取し,Latex Agglutination Test 及び, 大腸菌発現組換え T.gondii 抗原 を使用した Enzyme Linked Immunosorbent Assay(ELISA)で特異抗体の検出を試みた。い ずれの手法でも感染後 1‐2 週間で陽性反応を示したが, その後陰性に転じた。T.gondii タキゾイト粗抗原を用いた Western blot (WB)法による分析では, 感染後 4 週間まで陽性 反応が確認された。感染後長期にわたって反応し続ける抗原は surface antigen 1 (SAG 1) であった。以上からタキゾイト粗抗原に含まれる SAG 1 に対する抗体を WB 法で検出するこ との有用性が示唆された。
第 2 章では, タキゾイト粗抗原を用いた WB 法をT. gondii 感染ニワトリ摘発に使用でき るか検証した。まず一般的な他の寄生虫に対する抗体とタキゾイト粗抗原との交差反応を 調べた。Eimeria tenella オーシストまたは Ascaridia galli 虫卵感染ニワトリの血清は
WB 法でタキゾイト粗抗原と反応しなかった。次に感染ニワトリ 40 羽から様々な時点で採 血した合計 60 の血清検体を得てタキゾイト粗抗原を用いた WB 法と, Modified Aggregation Test(MAT)に供した。2 検体を除き, WB 法と MAT の結果が一致した。また実験感染ニワト リの肉汁と血清を WB 分析に供したところ, 血清で陽性を示したすべての個体で肉汁も陽 性となった。肉汁が擬陽性を示す個体はなかった。以上からタキゾイト粗抗原を用いた WB 法はT.gondii 感染を検出するのに適しており,肉汁も使用できることが明らかになった。 第 3 章では,ガーナおよび日本のニワトリを WB 法で検査した。ガーナの無窓鶏舎で飼育 されているニワトリ血清はタキゾイト粗抗原と反応しなかった。ガーナの放し飼いの農場 で飼育されているニワトリでは, 1 羽の血清が SAG 1 と推測される抗原と反応した。日本 の地鶏の肉汁を WB 法に供したところ, 一部の検体で SAG 1 と推測される抗原との反応がみ られた。日本のブロイラーの肉汁はタキゾイト粗抗原と反応しなかった。ガーナにおいて も日本においても,ニワトリがT.gondii に感染している可能性が示された。 本研究により, タキゾイト粗抗原に含まれる SAG 1 がニワトリの抗トキソプラズマ抗体 を検出するのに最適の抗原であり, 血清だけでなく肉汁を用いた検査が可能であることが 分かった。本研究の成果は, ニワトリの血清や市場の鶏肉を用いた広範囲の調査を実施可 能にすると考えられた。 審 査 結 果 の 要 旨 Toxoplasma gondii はヒトやニワトリを含むほとんどすべての哺乳類・鳥類に感染する 原虫である。このため鶏肉は T. gondii のヒトへの感染源となる可能性がある。本研究で は, ニワトリのT. gondii 感染を効果的に検出できる手法を確立することを目的とした。 第 1 章では, ニワトリの血清診断系に用いることのできる抗原を検索した。まずタキゾ イト粗抗原を用いた Western blot(WB)法を用いれば, 感染後長期間にわたって陽性反応 が確認されることが示された。また粗抗原に含まれる surface antigen 1 (SAG 1)が特に 安定して感染ニワトリ血清中の抗体に認識されることも示された。以上の結果から, ニワ トリのT. gondii 感染を検出するにあたり,タキゾイト粗抗原に含まれる SAG 1 に対する 抗体を WB 法で検出することの有用性が示唆された。第 2 章では, タキゾイト粗抗原を用い た WB 法の特異性や他の検査法との整合性について検証した。本章ではEimeria tenella あ るいはAscaridia galli に感染したニワトリの血清が上記の WB 法においてタキゾイト粗抗 原と反応しないことが示された。さらにニワトリの血清診断において広く用いられている Modified Aggregation Test(MAT)の結果と WB 法の結果が一致することも示された。本研 究の結果からタキゾイト粗抗原を用いた WB 法が MAT の代用となる可能性が示された。さら に本章で,WB 法において血清の代わりに肉汁が使用可能であることも明らかにされた。第 3 章では, タキゾイト粗抗原を用いた WB 法を,ガーナおよび日本で収集した血清および肉 汁に適用した。その結果,さまざまな微生物に感染していると思われるガーナの粗放的農 場で飼育されたニワトリ血清であっても,非特異反応によると推測されるバンドが現れな いことが示され,WB 法の特異性が再確認された。また国内の平飼いのニワトリから得た肉 汁を検査したところ,一部の検体で分子量から SAG 1 と推測される抗原と反応する抗体の 存在が示された。これは国内で飼育されるニワトリの一部が T. gondii に感染しているこ とを強く示唆している。
以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論 文として十分価値があると認めた。
基礎となる学術論文
1)題 目: Native SAG1 in Toxoplasma gondii lysates is superior to recombinant SAG1 for serodiagnosis of T. gondii infections in chickens
著 者 名: Appiah-Kwarteng, C., Saito, T., Toda, N., Kitoh, K., Nishikawa, Y., Adenyo, C., Kayang, B., Owusu, E. O., Ohya, K., Inoue-Murayama, M., Kawahara, F., Nagamune, K. and Takashima, Y.
学 術 雑 誌 名: Parasitology Interntional 巻・号・頁・発行年:69:114-120, 2019
既発表学術論文
1)題 目: Theileria annulata seroprevalence among different cattle breeds in Rajshahi Division, Bangladesh 著 者 名: Ali, M. W., Alauddin, M., Azad, M. T. A., Hasan, M. A.,
Appiah-Kwarteng, C., Takasu, M., Baba, M., Kitoh, K., Rahman M. and Takashima, Y.
学 術 雑 誌 名: The Journal of Veterinary Medical Science 巻・号・頁・発行年:78(10):1577-1582, 2016
2)題 目: Atypical virulence in a type III Toxoplasma gondii strain isolated in Japan
著 者 名: Taniguchi, Y., Appiah-Kwarteng, C., Murakami, M., Fukumoto, J., Nagamune, K., Matsuo, T., Masatani T., Kanuka, H., Hoshina, T., Kitoh, K. and Takashima, Y. 学 術 雑 誌 名: Parasitology International
巻・号・頁・発行年:67(5):587-592, 2018
3)題 目: A Toxoplasma gondii strain isolated in Okinawa, Japan shows high virulence in Microminipigs
著 者 名: Taniguchi, Y., Yanagihara, I., Nakura, Y., Ichikawa, C., Saito, T., Appiah-Kwarteng, C., Matsuzaki, M., Fukumoto, J., Nagamune, K., Kyan, H., Takasu, M., Kitoh, K. and Takashima, Y.
巻・号・頁・発行年:72:101935, 2019
4)題 目: First molecular detection of Theileria annulata in Bangladesh
著 者 名: Moni, Mst. I. Z., Hayashi, K., Sivakumar, T., Rahman, M., Nahar, L., Islam, Md. Z., Yokoyama, N., Kitoh, K., Appiah-Kwarteng, C. and Takashima, Y.
学 術 雑 誌 名: The Journal of Veterinary Medical Science 巻・号・頁・発行年:81(8):1197-1200, 2019