Title
牛ウイルス性下痢ウイルス持続感染牛保有群の検出に関す
る研究( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
関, 慶久
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(獣医学) 乙第089号
Issue Date
2008-09-12
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/33560
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氏名(本籍)
学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月日 学位授与の要件学位論文題目
事
査 委 員 関慶
久(岩手県) 博士(獣医)獣医博乙第89号
平成20年9月12日学位規則第3条第2項該当
牛ウイルス性下痢ウイルス持続感染牛保有群の検出に関す
る研究 主査 岐阜 大 学 教 授 副査帯広畜産大学
副査 岩 手 大 学 副査東京農工大学
副査 岐阜 大 学 教 教 教 教 授 授 授 授裕志
汎一誠 宏 邦英
光 木 川多
山 恒 鈴 晶 本 杉 論 文 の 内容
の要
旨 牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)の感染は世界中の牛群に広く認められ,異常産,粘膜病,下痢,肺炎など多彩な病態を示して養牛農家に甚大な経済的被害を与えている。
本病の防疫を図る上で牛群から持続感染(PI)牛を除去することが重要であり,PI牛保有 群を効率的に検出するスクリーニング法としてスポットテストやバルク乳検査が報告され ている。従来のスポットテストでは,各群から教頭の牛を抽出し,それらの血清中和抗体 価に基づいてPl牛保有の有無を判定していた。しかし,低抗体価のPl牛が抽出された時 に精度の高い判定が困難になる。一方,バルク乳からBVDV遺伝子を検出するバルク乳検 査は乳用牛群で有用であるが,肉用牛群への適用が困難であり,また,非泌乳期のPI牛の みが存在する乳用牛群を正確に評価できない。本研究では,わが国で適用できる精度の高 いPl牛保有群検出法の確立を目的として,スポットテストの改良とその有用性の検討なら びにBVDVの簡易迅速な遺伝子型別法の検討を行った。 第1章では,スポットテストに必要な諸条件を推計学的に検討した。2000∼2004年に, 岩手県内の20群(Nos.ト20)の飼養牛1,272頭・より血清あるいは白血球を採取してウイル ス分離ならびに1a遺伝子型株を攻撃ウイルスとした血清中和試験を実施した。18頭のPI 牛が5群(Nos.ト5)に存在した。5,末端非翻訳領域(UTR)の塩基配列に基づく系統樹上, これらの分離株は-1aならびに1b遺伝子型に分類された。各牛群から抽出した6∼12ケ月 齢のBVDVワクチン未接種子牛3頭のうち,64倍以上の抗体価を示す牛が2頭以上含ま れる確率(PsN),PI牛が1頭以上含まれる確率(Pv.)および両条件のいずれかが満たされ る確率(PT。.;.1)を算出した。P]牛が検出された5群(Nos.1-5)のP,。.u.は1・000であった。抽出対象月齢に多数のPl牛を含む3群(Nos.1-3)のPsNは0.500以下と低く,Pvlは0・886
以上と高かった。当該月齢に少数のPl牛を含む他の2群(Nos.4,5)のPsNは1・000であ
り,Pvlは0.375以下と低かった。Pl牛が存在しない15群中13群(Nos・8-20)のP・Ibta-は 0.000,他の2群(Nos.6,7)のそれらは0.714または0.774であった。以上より,スポット テストで正確な判定を得るためには,各牛群から抽出された6∼12ケ月齢の子牛3頭につ いて血清中和試験に加えてウイルス分離を行う必要があると考えられた。第2章では,上述のスポットテストの精度を検証する目的で,2005∼2006年に岩手県内 の他の26群,すなわち24酉各農場(A-X)ならびに2肉用牛繁殖農場(YZ)を対象に本テ ストを実施した。BVDV株間での抗原性の違いを考慮して,血清中和試験には4種類の遺 伝子型(la,】b.】e,2a)の攻撃ウイルスを用い,各ウイルス抗体価のうち最高値を中和抗体
価とした。各群から抽出された子牛3頭中,2頭以上から64倍以上の抗体価が検出,また
は)頭以上からBVDVが分離された計9群(A-GY,Z)がスポットテスト陽性と判定され た。26群の全飼養牛1,182頭のウイルス分離により,8群(A-F,Y,Z)の12頭がPIと診断 された。これらの12頭中11頭は未経産牛であり,他の1頭は泌乳牛であった。5,UTRの分子系統解析に妄り,分離株は1a,1bおよび1cの遺伝子型に分類された。1群(Z)の陽
性判定は,分離株と血清中和試験に用いた攻撃ウイルスの遺伝子型が同一の時に限定され
た。以上より,スポットテストはPI牛の泌乳状態に関わりなく,PI牛を保有する群を高い精度で評価できると推察された。また,その精度は攻撃ウイルスの遺伝子型により影響
されることから,本テストの応用には,流行株の遺伝子型の把握が重要であることが示唆
された。第3章では,BVDVの簡易かつ迅速な遺伝子型別法を検討する目的で,1957∼2006年に
日本で分離された本ウイルス計177株のE2領域を対象に制限酵素断片長多型(RfLP)解 析を実施した。新たに設計した42Fならびに既報の6Rから成るプライマー組を用いた RTIPCR法により,全株から532bpの増幅産物が得られた。PCR産物の塩基配列決定に基 づく分子系統解析により,わが国の牛由来175株中63,69,18,4,2,2および17株は1a,1b,1c,1e,1f,Soおよび2aの各遺伝子型に分類された。他の2株は輸入された牛胎
子血清由来であり,1d型に属した。6穣類の制限酵素(4クOi,〟かⅠ,β∫班タⅠ,Pv〟ⅠⅠ,助r I,EcoRV)を用いたPCR産物のRFLP解析により,177株の切断パターンは11グループ (Ⅰ∼ⅩⅠ)に分類された。各グループは単一の遺伝子型株から成り,1a遺伝子型株はグル ープⅠならびにII,1b型株はグループIIIならびにIV,1c型株はグループVならびにVIに含まれ,1d,1e,1f,Soおよび2aの各棟はそれぞれVII,VIII,IX,XおよびXIのグ
ループに分類された。これらの成績から,本RfLP解析により,わが国に存在するBVDVの遺伝子型を簡易かつ迅速に識別できると考えられた。
以上のことから,牛群より6∼12ケ月齢のBVDVワクチン未接種子牛3頭を抽出して血清を採取し,ウイルス分離と血病中和試験から成るスポットテストを実施することにより,
PI牛を保有する群を高精度で検出できることが明らかとなった。また,RfLP解析は流行 株の簡便な遺伝子型別法として有用であり,本法の実施により血清中和試験における適切 な攻撃ウイルスの選択が可能になる。今回開発したスポットテストを肉用ならびに乳用牛 群のスクリーニング法として活用することにより,BVDV防疫の効率的な推進に貢献でき ると考えられる。 審 査 結 果 の要
旨 牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)の感染は世界中の牛群に広く認められ,異常産, 粘膜病,下痢,肺炎などを引き起こして甚大な経済的損失をもたらしている。本病の防疫 上,牛群から持続感染(PI)牛を除去することが重要であり,Pl牛を保有する群を効率的に検出するスクリーニング法としてスポットテストやバルク乳検査が報告されている。従
束のスポットテストでは,各群から教頭の牛を抽出し,それらの血清中和抗体価に基づい
てPI牛保有の有無を判定していた。しかし,低抗体価のPl牛が抽出された時に精度の高
い判定が困難になる。本研究では,精度の高いPI牛保有群検出法の確立を目的として,ス
ポットテストの改良とその有用性の検討ならびにBVDVの簡易迅速な遺伝子型別法の検
討を行った。第1章では,20農場の全飼養牛1,272頭をウイルス学的に検査し,推計学的にPI牛を
保有する群を検出可能なスポットテストの諸条件を検討した。各群から6∼12ケ月齢の
BVDVワクチン未接種子牛を3頭抽出して血清中和試験ならびにウイルス分離を併用し,
3頭中2頭以上から64倍以上の抗体価が検出,または1頭以上からBVDVが分離された
時,当該牛群に高い確率でPI牛が存在することが明らかになった。
第2章では,本スポットテストを26農場に応用し,その有用性を検討した。PI牛を保
有する8農場では全てが陽性,PI牛が存在しない18農場中17農場は陰性と判定された。
前者の8農場中1農場では,分離株と血清中和試験用攻撃ウイルスの遺伝子型が一致した
時にのみ陽性と判定された。これらの成績から,本スポットテストはPI牛保有群の検出に
有効であることが明らかになった,また,その精度は血清中和試験に流行株と遺伝子型が
同一の攻撃ウイルスを用いることでより向上すると考えられた。第3章では,BVDVの簡易かつ迅速な遺伝子型別に制限酵素断片長多型(RfLP)解析法
を応用した。わが国で分離されたBVDV177株の8遺伝子型(1a,1b,1c,1d,1e,1f;So,2a)
は6種類の制限酵素(4,0Ⅰ,〟かⅠ,風船げⅠ,アv〟ⅠⅠ,助rI,且∝成V)を用いた本法で識別でき
ることが明らかになった。本法による流行株の遺伝子型別は,スポットテストにおける血
清中和試験用攻撃ウイルスを選択する上で有用であると考えられた。以上のことから,今回開発したスポットテストならびにRfLP解析法はBVDVPI牛保有
群の検出に有用であると結論された。本研究の成果はBVDV防疫の効率的な推進に貢献す
ると考えられる。
以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科の学位論
文として十分価値があると認めた。 基礎となる学術論文 1)題 目:Identincationofherdswithcattlepersistentlyinftctedwilhbovineviraldiarrhea virusbyviro)oglCalevaluationofthreeca)ves著
者 名:Seki,Y,Seimiya,Y.M.,Yaegashi,G.andSato,C・ 学術雑誌名:TheJournalofVヒterinaryMedicalScience 巻・号・頁・発行年:68(3):255-258.2006 2)題 目:Fieldapplicationofthecombinalionofneulra)izingtestandviruSisolation, so-Calledspottest,10detectherdsincludingcatt)e persistentlyinftctedwithbovineviraldiarrheavirus著
者 名:Seki,Y,Seimiya,YM.,Motokawa,M.,Miyazaki,H・,Konno,M・andYaegashi, G. 学術雑誌名:TheJourna)ofVヒterinaryMedicalScience 巻・号・頁・発行年:69(10):1087-1089,2007 3)題 目:AppIicationofrestrictionftagmentlengthpo)ymorphismanalysistosimpleand rapidgenotyplngOfbovineviraldiarrheavirusstrainsisolatedinJapan 著 者 名:Seki,Y,Seimiya,YM.,Motokawa,M・,Yaegashi,G,Nagai,M・andHayashi, M. 学術雑誌名:TheJournalofVeterinaryMedicalSciellee巻・号・頁・発行年:70(4):393-395,2008
既発表学術論文1)題
目:打トPCRによるパラフィン標本からの牛ウイルス性下痢ウイルス遺伝子
検出法の検討
著
者
名:関慶久,吉間昌行,今井邦俊
学術雑誌名_:日本獣医師会雑誌巻・号・頁・発行年:55(10):652-657,2002
2)題 目