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高齢者の視運動性眼振

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Academic year: 2021

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Title

高齢者の視運動性眼振( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

佐久間, 伸二

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)乙 第1127号

Issue Date

1997-09-10

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/15144

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 佐久間 伸 ニ(岐阜県)

士(医学)

乙第 1127 号 平成 9 年 9 月10 日

学位規則第4条第2項該当

高齢者の視運動性眼振

(主査)教授

(副査)教授 伊 雄夫 英和

田藤

教授

一 論 文 内 容 の 旨 近取 高齢化社会を迎えつつあり,日常診療において高齢者のめまい・平衡障害患者を取り扱う機会が増え, 高齢者の平衡機能に関心が持たれている。視運動性眼振(OKN)検査は,とくに中枢神経系の平衡障害の把嵐 責任病巣の推定に有用な平衡機能検査の一つである。 高齢者のOKNについて,緩徐相速度は高齢者では低下するとの見解で一致している。しかし,急速相速度で は一定した意見がない。この理由は.第1に検査するOKNの違い.第2にOKNを解析,評価する方法の違いによ ると思われる。 検査するOKNには,Schau-NystagmusとStier-Nystagmusがある。高齢者では指示したとおりのOKNが検査 されているとは限らない。そのため,随意性の強いSchau-Nystagmus(随意的OKN)と反射性の強いStier-Nystagmus(反射的OKN)の,両OKNを検討する必要がある。 OKNの解析,評価方法としてはt 当教室の時田,富軋菱田らは定性的,定量的解析法を開発し,この方法 はOKNを生理的眼振として原波形を線条と対応させて記録し,分析する方法としてすぐれている。 以上の観点より,高齢者のONKにつき随意的OKNと反射的OENを検査して,定性的と定量的に解析して検討 した。 研究対象 被験者は.1)めまい・平衡障害の訴えのないこと,2)脳血管障害の既往のないこと,3)脳神経症状を認め ないこと,4)眼前の2点交互注視の可能な視運動機能を有していること.の4条件を満たす65歳から83歳までの 高齢者30名(男12名,女18名)である。年齢構成は65歳から69歳が8名(男4名,女4名),70歳代15名(男3名, 女12名),80歳代7名(男5名,女2名)であ阜。 研究方法 1)検査方法:被験者をOhm型大円簡(直径2m,高さ2m,内面には等間隔に巾5cmの12本の線条が付してある) の中央においた椅子に座らせ,頭部を固定し視運動刺激を与えた。円筒は20/sec2の等角加速度にて90秒間回 転した。最終円筒速度は1800/secである。検査に先立ち,被験者に眼前を横切る線条を1本1本追祝し,線条数 を数えるように指示し,まず随意的OKN(VoluntaryOKN)を検査した。次に,線条を追視せず,正面をぼん やりみるように指示し反射的OKN(ReflexiveOKN)を検査した。なお,各検査間には5分の休憩をおいた。 2)OKNの解析方法:被験者の正面を横切るときの線条シグナルと誘発される眼振を同時に眼振計ならびにデー タ・レコーダに記録した。データ・レコーダの記録をA-Dコンバータを経て.サンプリング周波数200Hzで小型 電算機PC-9801RXに入力し,岐大眼振解析用プログラムで定性(軋 定量的に分析した。 a)定性的分析:計算された線条運動と眼振波形が重ね合わさって陰極線管に表示される。表示された画面を 写真撮影した乱解析に用いた。随意的OKNでは.眼球が線条を追従する能力(追従の遅れ,円滑さの欠如) および新しい線条を捉える能力(捉え開始の遅れ,OCulardysmetria,線条捉えの脱落)を評価した。反射的 OKNでは眼振波形の形状,眼振解発の良否を判定した。 b)定量的分析:PC-9801RXに入力された90秒間の眼振記録より,随意的OKN.反射的OKNともに10秒毎の 眼振数,平均振幅.平均緩徐相速嵐 20毎の捌副こ対する急速相速度を計算し評価した。 いずれも20歳代の健康成人の成績と比較し判定した。 結果と考察 1)高齢者の随意的OKN,反射的OKNの成績 解析成績から,高齢者のOKNは次のとおり4つの群に分類できた。第1群:20歳代の健康成人と比べて随意的 OKNと反射的OKNともに異常が少ないもの(被験者30名中9名)。第2群:随意的OKNの緩徐相速度のみ低下し -119一

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ているもの(追従運動の低下)(被験者30名中11名)。第3群:随意的OKNの緩徐相速度に加え急速相速度も低下 しているもの(披験者30名中8名)。このうち.①随意的OKNと反射的OKNとの差が明確でないもの(4名),② 随意的OKNと反射的OKNとの差が明確なもの(2名)がみられた。第4群:随意的OKNと反射的OKNともに低 下しているもの(被験者30名中2名)である。すなわち,今回の65歳以上の被験者の70%に健康成人の所見と比 べて異常所見が認められた。その被験者を年齢別にみると,第1群は60歳代から70歳代前半に多く認められたが, 81歳の被験者にも認められた。第2群は高齢者の全年齢を通して認められた。第3群は60歳代から70歳代に認めら れた。第4群は60,70歳代ではなく.80歳代のみに認められた。 以上の成績から,高齢者のOKNは加齢と共に随意的OKNの緩徐相速鼠急速相速乱反射的OKNの順で低下 すると考えられる。 2)OKNの神経経路と加齢変化 脳の加齢変化についてはt 90歳では脳の実質は55歳以前に比べると10%以上萎縮するといわれている。今迄の 報告をまとめると,解剖学的には脳の加齢変化は大脳皮質,基底核.小脳に主に出現し,脳幹には現われにくい と考えられる。

随意的OKNの緩徐相速度はdirect pathway(大脳皮質視覚野,背外側橋1乳 小脳片彙が関与)とindirect

pathway(前庭神経核が関与)より形成され,directpathwayは追従機構が関与していると考えられている。 高齢者の随意的OKNの綾徐相速度が低下するのは,追従機構の関与するdirectpathwayの形態的な加齢の影響 であると思われる。急速眼運動は視覚対象のうち特定のものを選択して捉えようと眼運動が起こされた場合(選 択的注意)とそうでない場合とは視覚応答が異なることが知られている。随意的OKNの急速相は線条を認識し て中心高に捉えようとする眼運動であるので,線条に対する選択的注意があると考えられる。この選択的注意を もって急速眼運動をおこしたとき視覚応答の増強が認められる部位は,前頭葉,頭頂葉,大脳基底核,上丘など が報告されている。これらの部位がバースト・ニューロンの発火頻度に影響を与えていると考えられている。こ れらの部位の加齢変化により,高齢者の随意的OENの急速柏速度の低下が起こっていると思われる。 反射的OKNは随意的OKNと神経経路が異なり,随意的OKNには大脳皮質や小脳の関与が重要であり.反射的 OKNにはその関与は少なく脳幹中心の経路と考えられている。前述のとおり脳幹は形態的に加齢変化が現われ がたいので.反射的OKNは加齢の影響が現われにくいと考えられる。 3)高齢者でのOKN検査の問題点 健康成人の随意的OKNと反射的OKNの急速相速度を比較すると.,反射的OKNの方が随意的OKNよりも振幅 40以上で有意(危険率5%)に低下している。そのため.随意的OKNを指示しても反射的OKNが解発されれば, その随意的OENの急速相速度は低下していると判定されることが考えられる。したがって,高齢者の随意的OE Nの急速相速度が低下する一因として,指示に対する的確応答の欠如.随意性の低下あるいは検査中の意識レベ ルの低下も考慮する必要があると考えられる。 論文審査の結果の要旨 申請者 佐久間 伸二は,高齢者の視運動性眼振(OKN)につき随意的OKNと反射的OKNを検査し.定性帆 走量的に検討し,4群に分類し.加齢と共に随意的OKNの綬徐相通鼠急速相速乱 反射的OKNの順で低下す ることを明らかにした。この知見は高齢者の神経耳科学の進歩に少なからず寄与するものと認める。 [主論文公表誌] 高齢者の視運動性眼振 平成9年6月発行 Equilibrium Res 56(3)242∼257,1997

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