電解中の電極表面のin-situ評価法
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(2) むUUロqJOSq<. ・「. VqCuum. 6. 1151711弘511573 1160111629 E/eV. 日. 図= 電解電極用EXAFSセル. 園2 Pt L3端吸収スペクトルにおける泡の影響と,図1 のセルによる影響の除去。a:−0.3V vs SSCE,b: −0.4V vs SSCE,C:図1のセルによる−0.4V vs SSCE. X線吸収分光法による微粒子電極の構造解析 高表面積の炭素に分散した白金は極めて大きな表面. 積を持っ水電解用陰極となる。したがって,白金原子. 大きい時は吸光度は小さくなり,脱離すると元に戻る ことが予想されるが,この周期的な変化は,図2aの. の大半が表面原子または表面近傍原子である。また粉. スペクトルに特徴的に表れている。電極電位が−0.4V. 末を成型するため,多孔性であり,炭素表面の官能基. になると,スペクトルに重畳した微細な変動にはもは. の特性にも依るが,水が侵入する。水素は微粒子表面. や周期性はなくなり,泡の発生が激しくなったことを. で発生しているのは間違いないが,光学的に問題にな. 反映している。同一の電極,溶液で電位−0.4Vで図1. るのは成型された電極ペレット内外で成長する泡であ. のセルを用いて測定したスペクトルが図2cである。. る。これを成長前に取り除くために図1に示すセルを. 泡の影響は殆ど消失している。図3に−0.4V,−0.6V. 作製した1)。ペレット状の電極の背面に多孔性テフロ. のEXAFS振動とそのフーリエ変換による動径分布を. ン膜を密着し,その背後を真空排気する。気体は透過. 示す。−0・6Vでは,取り除くことができなかった泡の. するため,除去されるが,水溶液は保持される。この. 影響が残っており,(k=130nm ̄1付近)フーリエ変. ため水電解は泡を生成することなく定常的に行われる。. 換においてもr<0.2nmの低距離の領域にノイズが見. テフロン膜は多孔性炭素板で支持され,Ⅹ線はキャブ. られる。しかしながら,Pt−Pt結合に対応すると考え. トン窓一水溶液一電極−テフロン膜一炭素板−キャブ. られる主ピーク2)をフーリエ・フィルタリングし,カー. トン窓を透過する。電極は炭素に担持したPtである. ブフィッティングを行ったところ,合理的に解析可能. が,Pt平均粒子径が1・5nmのものが,様々な電気化. であった。構造パラメータは,−0.6Vと水素発生が始. 学的な効果を調べるのに適しているので,その例を挙. まる前の−0・1Vで変化はなく,Pt−Ptの結合距離が,. げることとする。. 共に0・274nm,配位数が前者が8.4,後者が8.3であっ. 図2に通常の透過セルによるPt L3端吸収スペクト. た。また,ⅩANES領域に現れる,いわゆるwhite. ル(ⅩANES)と,図1のセルを用いて測定したスペ. lineの強度も殆ど電位依存性を見せず,白金のd電子. クトルを示す1)。−0.3V vs SSCEでは光が当たってい. 状態は水素発生領域では変化が見られないことが,明. る部分で水素の泡が発生,成長,脱離を繰り返してい. らかになった。. ることが目視でも観察された。この時,付着した泡が. 水素発生領域で起こるため,実験的に確かめるのが.
(3) 95. underpotentialdepositionとは,電析電位より酸 化側で電極表面に1層分程度のイオンが還元・析出す. ることであるが,析出電位に関しては,Kolbがあら ゆるカチオンに当てはまる一般式を見いだしている3)。 アルカリカチオンは非水溶媒中で値が求められ,その 値は彼の式を越えるものではない。しかしながら,水 醸化リチウム溶液中のPdによる水素発生反応では, Pdをわずかに分極(−0.22V vs RHE)しただけで, LiがPd内部に溶解することが,SIMSにより確認さ れた4)。一方Kolbの式からの予測は−1・1Vであって, この差は実験誤差や,式の適用誤差では説明できない。 Pd電極内部に見いだされたからには,Pd表面に一度 は吸着しているはずである。上記のセルによる EXAFSスペクトル測定を試みることは,アルカリ水 溶液中での水素発生反応を理解する上で意義深い。. 20. 60. ただし,Ⅹ線の吸収端のエネルギーの都合上,アル. 100 140. カリカチオンとしては,Rb+以外は測定が困難である。 k/nm・1. したがってやや特殊であるが,Pt電極上へのRbの underpotentialdepositionを解析することになる5)。 図4は硫酸中(a)と,Rb+をわずかに加えた硫酸中(b). でのPtのL3端のEXAFS振動である。−0・4V vs SSCEでは,両溶液に差が見られないのが,−0・6V, −0.8Vとなるにつれ,Rbを加えた溶液では高波数側 の振動が相対的に大きくなる。これは,重元素が白金 の配位圏に加わったことを示唆している。これらは全 て,フーリエ変換し,主ピークをフーリエフィルタリ. 呈Ht彗∈し2. 非常に困難だった現象として,アルカリ水溶液中での 陰極への電解質カチオ ンのunderpotential depositionがある。これは,アルカリ水溶液中の水 素発生反応が,酸性溶液の場合とは異なることの原因 とされていたが,他に説明ができないという消極的な 理由で提唱されてきた観がある。したがって,決定的 な実験的証拠が古くから望まれていた。. 30 50 70 901101刀 30 50 70 90 叩130 k/nn†l. k/nnうー. 図4 Pt L3端EXAFSスペクトル。a:硫酸中,b:硫酸に Rb+を加えた水溶液中.
(4) ≡ミ∈声−. 30 冥) 70. 90 k/nm ̄l. 〈0. 60 80 100 120 k/nnうー. 〈0. 60 80 1∞ 120 k/∩ホl. 国5 図4のカーブ・フィッティング 0.2. ング後,逆フーリエ変換し,カーブフィッティングを. と理論曲線(破線)が良く一致していて,Pt原子の 配位圏にはPtのみがあることを示している。−0.8Va. 0.6. ︵孝蔓.∈L2. 析であるが,(b)の−0.8Va以外は実験データ(実線). ︵. −0.6V,−0.8Vaは,Pt−Ptの結合のみであるとした解. い. 行った。図5にその結果を示す。(a)と(b)の−0.4V,. 0.4 r/nm. はあまり良くフィットしなかったので,更にPt−Rb 結合をパラメータに加えて解析した。その結果が−0.8. (0 60 80 100 120. Vbであるが,実験データが理論と良い一致を示して. k/nm ̄1. いる。したがって,−0.8VではPt−Rb結合の存在の可. 能性が示されたわけであるが,これはRbのK吸収端 のEXAFSスペクトルにより確認される。図6はRb. 図6 Rb K吸収端のEXAFS振動,フーリエ変換,カー ブ・フィッティング. のEXAFS振動(a),フーリエ変換(b),カーブフィッティ ング(C)である。一般に溶液中のイオンは,周囲に堅固. 以上のEXAFSの解析結果は,−0.8V vs SSCEに. な秩序構造が存在しないため,EXAFS振動は表れな. てRbはPt電極の上に吸着することを証明一している。. い。図6(a)の−0.4Vはまさにその例である。ところが,. Kolbの式の見積もりでは,underpotentialdeposi−. −0.8Vでは明らかな振動が現れ,Rb元素の周りに短. tionは−1.4V程度で起きるので,Li/Pd系と同様,. 距離秩序構造が形成されたことを示している。これを. かなり酸化側で吸着していることになる。. (b),(C)と解析を勧めていくと,Rb−Pt結合でデータ. アルカリカチオンが他のカチオンとは異なる理由で. と理論が一致することがわかる。さらに,Pt吸収端. あるが,これはRb/Pt系のEXAFSの解析結果を検. とRb吸収端のPt−Rb結合は,それぞれ別々に解析さ. 討してみると理解できる。Rb−Ptまたは,Rb−Pt−H. れているが,距離がそれぞれ0.367nmと0.364nmに l. 系の物質としては,現在までにRb2PtH46)と. なり,誤差の範囲で一致している。このことは,−0.8. Rb3PtH57)が知られているのみである。これらのRb−. VでRb−Pt結合が形成されていることを示している。. Pt結合長はそれぞれ0.363nm,0.395nmである。微.
(5) 粒子電極では,結合長は固体バルクのそれより長くな ることを考慮すると,Rbが吸着した状態では,前者. の化合物が形成している可能性が高い。少なくとも Rbの周囲の環境はRb2PtH4のそれと同じであろうこ とが示唆される。この化合物はRbをHのoctahedral が覆うような結晶構造を持っている。このことから考 えて,Rbは+1価であろうと予想される。. 同様にLi/Pd系でも,還元が起きずに複合水素化 物が形成されるため,電位は遥かに酸化側でLiがPd に取り込まれるものと考えられる。Kolbの式あるい. は非水溶媒中でのunderpotentialdepositionの結果 がアルカリ水溶液中での結果と一致しない理由は,水 溶液中では電解による水素が表面に大量に存在するた め,アルカリカチオンは還元されなくても表面化合物. 図7 パラジウム薄膜電極用,電解セル. を形成することが可能なためと,説明される。. このように,EXAFSが水素発生領域でも測定可能. j。/jDOは吸蔵の湧き出しの被毒の程度を表す。また,. になったことで,従来の相互に矛盾した実験結果が見. 軽水電解を開始すれば,電極表面にはHとDが存在す. 事に説明される。. るが,それらが再結合して発生水素となる前に表面拡 散が十分行われるならば,生成するHDの同位体モル 分率Ⅹ(HD)eqは,2Ⅹ(H)Ⅹ(D)となる。ここで,Ⅹ(H). 表面水素同位体交換反応を利用した電極被毒. のキャラククリゼーション 電極被毒は,一般に電流一電位曲線により評価され るが,水素発生反応においては,いわゆるTafelplot により行われるため,表面被毒種の量と表面反応への. 効果を定量できない。また,水素は金属電極表面で吸. は軽水素の原子モル分率,Ⅹ(D)は重水素の原子モル. 分率である。従って,発生したHDのモル分率を Ⅹ(HD)eqに対して割合を取れば,表面拡散の程度を 表すパラメータとすることができる。 また,定電位電解の電流密度jfに対するH発生量を. jHとすれば,jH/jfは,軽水素発生の電流密度となる。. 着,拡散,吸収,脱離を起こすが,このうち電流に関. jH/jf<1の場合,軽水素の吸蔵が速く,jH/jf>1の. 与するのは一部である。電極材料との関係,電解還元. 場合,表面水素と水素イオンとの交換反応. 反応との関係の上から被毒を検討しなくてはならない 場合,電流値に現れない素過程に関する情報が必要と なる。. パラジウム膜は水素を透過することは良く知られて いるが,この特性を利用し定常的に軽水電解を行って. D且d+H+ → H8d+D+. が速いことを意味する。(ただしこれらは同時に起こ り,相殺しうる。) 以上のjD/jDO,Ⅹ(HD)/Ⅹ(HD)eq,jH/jfを評価. いるパラジウム薄膜極表面に裏側から重水素を供給す. のパラメータとし,軽水電解の水素発生反応の被毒の. る。生成した水素の種類はH2,HD,D2であるが,. 評価に用いることが可能である。. このうちHは水溶液起源,Dは電極内部起源である。. 硫酸,水酸化リチウム,水酸化ナトリウム,水酸化. 従って,これらの生成量を適当にパラメータ化すれは. カリウムについてⅩ(HD)/Ⅹ(HD)eqがどのように変. 吸着,表面拡散,吸蔵などの素過程に対する被毒が評. 化していくかを図8に示す。時間軸の原点はおもて面. 価できる8)。. での定電位電解開始時刻である。. 実験的には,裏側からの重水素供給も電解により行. 時刻が負のところでは,重水素が単に透過,発生し. うのが機械的に無理がない。図7に示すセルを用いて,. ているだけであるが,わずかに軽水素が見られる。い. 裏側で低電流電解の陰極として重硫酸を電解すると,. ずれにしても量が少ないので,Ⅹ(HD)/Ⅹ(HD)eqの. パラジウムの表側に一定速度で重水素が供給される。. 精度は悪く,データは分散している。定電位電解開始. この時表側では電位が下がるが,その時に被毒がはと. 後はばらつきは小さくなる。水酸化リチウムは60分程. んどない場合の重水素の発生量を基準にとり,これを. 度で値が安定する傾向があるが,水酸化ナトリウム,. jDOとする。軽水電解中の重水素発生量をjDとすれば,. 水酸化リチウムでは,値は減少し続ける。この違いは.
(6) 98. 1. bむ︵凸〓︶x、︵q〓︶x. 0.8. ⊂〉 0.6. 0.6. .. 、 (⊃. ■ 0.4. 0.2. 0 1. 0 1 貞V. 0 0. 4. b∬︵凸〓︶×、︵凸〓︶×. 0 − 員V. 0 ▲U. 4. O. 2. b¢︵q〓︶x、︵q〓︶×. 0. 500. 1000. 1500. jH仏・m ̄2. 国9 重水素湧き出しの抑制とVolmer過程の関係 −50. 0. 50. 100. 150. t/min. 傾向が大きいが,KOHとの差は小さい。 また図9にjD/jDOを生成軽水素量に対してプロッ. 図8 水素同位体平衡化進行度. トしたものを示すが,依存性は見られない。このこと は,電解による電荷移行とそれに続く水素の吸着. 披毒の進行と関連づけられる。. −0.6V vs RHEでの各パラメーター覧を表1にま. (Volmer過程)は,電極内部からの重水素の湧き出 しには影響を及ぼさないことを示していて,jD/jDO. とめた。いづれのパラメータも硫酸中でははぼ1で被. の減少は,他の要因によるものであることが明らかで. 毒が見られない。アルカリ水溶液中ではLiOH<NaO. ある。これらをアルカリカチオンの効果に帰するのが,. H<KOHの順になっており,LiOHは,最も. もっともらしい説明である。リチウムに関しては,こ. ①電極内部からの水素湧き出しが小さく,. こに示された電位で電極内部にLiが吸蔵されている. ②表面拡散の被毒が大きく,. ことが示されている4)。. ③電極内部への吸蔵が大きく. なっていることがわかる。次はNaOHに上記3点の. 従来,金属電極上の水素発生反応は,表面が均一で あるとして定式化された速度論より理解されていた。.
(7) 99. 表1表面水素過程の種々のパラメータ(電解は、−600mV vs RHE). l_jOH. X田切/刈川勘司. h/i. KOH. ト由OH. 愉. 0.05. 0.40. 0.69. 1.彷. 0ノ氾. 0.71. 0.89. 0.!お. 0.73. l;. 0.∝). 0.97. ところが表1の結果から,①表面下から湧き出す水素 の密度が高いところ,Volmer過程により生成した水. 文献. 素の密度の高いところが存在すること(Ⅹ(HD)/Ⅹ. 1)H.Yoshitake,0.Yamazakiand K.Ota,. (HD)eq<1より),②吸蔵と湧き出しでは,被毒の. J.Electroanal.Chem.,371,287(1994). 2)H.Yoshitake,0.Yamazakiand K.Ota, J.Electrochem.Socリ141,2516(1994). 3)D.M.Kolb,inH.Gerischer and C.Tobias. 程度がかなり異なる(jD/jDO<<jH/jf)ことが示さ. れる。このうち②に関しては,同位体効果の可能性, 水素の供給の条件が異なっているためである可能性が. ある。しかしながら,金属電極による水素発生反応は,. ed.,Advancesin Electrochemistry and ElecT. 空間的に不均一に進行していることば示され,反応機. trochemicalEngineering vol.11,John Wiley. 構の描図は書き換えられなくてはならないであろう。. &Sons,New York,1978,P.125.. 表1に見るような表面不均一性の問題と関連して, 二酸化炭素の電解還元におけるギ酸生成サイトと一酸 化炭素生成サイトが同一ではないことが示唆されてい. る9)。 同位体の利用は,速度論の興隆・衰退と期を同じく している。この手法は,物理化学的計測法により解明. 4)0.Yamazaki,H.Yoshitake,N.Kamiya and K.Ota,].Electroanal.Chem.,390,127 (1995).. 5)H.Yoshitake,0.Yamazakiand K.Ota, J.Electroanal.Chem.,387,135(1995). 6)W.Bronger,G.Auffermann and P.Ml王. される構造化学的な特徴と,電極の水電解ダイナミク. 11er,].Less−CommonMet.,142,243(1988).. スを関連づける橋渡しにはなっていない点が問題であ. 7)W.Bronger,G.Auffermann and P.Mli. るが,個々の素過程あるいは,個々の機能は相互に関. ller,Z.anorg.allg.Chem.,566,31(1988).. 係づけられるため,電極被毒を(構造設計ではなく). 8)H.Yoshitake,G.Muto and K.Ota,].. 機能の上から理解するときの診断法としては有効にな. Electroanal.Chem.,401,81(1996). 9)H.Yoshitake,T.Kikkawa,G.Muto and. りうる。. K.Ota,].Electroanal.Chem.,396,491(1995). おわりに 水の電解は重要な機能を持っにも関わらず,気体発 生,大電流という不可避な特性のため,現代の電気化 学の発展の恩恵をあまり受けていない。ここに紹介し たのは,現代化のわずかな試みであるが,他にも多少 の改良でこの系に適用できそうな手法は幾っか考えら. れる。いずれにせよ,機能を担うのは化学反応に他な らないのであるから,水電解中の電極表面のキャラク タリゼーションを更に精密化するためには,分光法な どによる構造解析と反応の定量(電流値計測,生成物 分析,同位体分析など)を融合して用いる必要がある。.
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