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包括的高度慢性下肢虚血患者における切断部位による歩行能力について

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(1)日本フットケア・足病医学会誌 Vol. 2 No. 2 日本フットケア・足病医学会誌 2(2) :77-82,2021. ―原著― 包括的高度慢性下肢虚血患者における切断部位による歩行能力について 松本. 1). 2). 純一 ,久保 . 1). 和也 ,菱沼 1). 聡子 ,山崎. 3). 遼 ,松本 5). 知美 ,寺部. 4). 拓也 ,村田 6). 雄太 ,安藤. 1)IMS(イムス)グループ春日部中央総合病院. 弘. 健児 , 6). リハビリテーション科. 2)足のクリニック 3)草加整形外科内科リハビリテーションセンター 4)埼玉県立大学保健医療福祉学部理学療法学科 5)IMS(イムス)グループ春日部中央総合病院 6)IMS(イムス)グループ春日部中央総合病院. 要. 看護部. 下肢救済センター. 旨. 包括的高度慢性下肢虚血(chronic limb-threatening ischemia,以下 CLTI)患者の切断術後の 歩行能力を調査した報告は寡少である.今回,CLTI 患者の切断術後の歩行能力を調査した. 2010 年 4 月から 2015 年 2 月に CLTI の治療目的で当院循環器科に入院し,切断術施行およびリ ハビリテーション介入を行った 51 例を対象に,年齢,併存疾患,切断部位,免荷期間,入院前 および切断術後の歩行能力,健側下肢の等尺性膝関節伸展筋力を診療録より後方視的に調査し, 入院前・切断術後の歩行能力から歩行維持率を算出した. 歩行維持率は足趾切断 90%,中足骨切断 100%,ショパール離断 100%,下Ò切断 71%と,先 行研究と同様に,高位切断例では歩行維持率が低かった.一方で,下Ò切断後の歩行維持率は先 行研究と比較して高かったことから,リハビリテーション介入が歩行維持に寄与する可能性が示 唆された. キーワード:包括的高度慢性下肢虚血,歩行,下肢切断. Walking Ability According to Lower Extremity Amputation Level in Patients with Chronic Limb-threatening Ischemia 1). 2). 1). Junichi Matsumoto , Kazuya Kubo , Ryo Hishinuma , Takuya Matsumoto 4). 1). 5). 6). 3). Kenji Murata , Satoko Sakaki , Tomomi Yamazaki , Yuta Terabe , Hiroshi Ando. 6). 1)Department of Rehabilitation, Kasukabe Chuo General Hospital 2)Foot Clinic Omotesando 3)Department of Rehabilitation, Soka Orthopedics Internal Medicine 4)Department of Physical Therapy School of Health and Social Services ,Saitama Prefectural University. 連絡先:松本 純一 〒 344-0063 埼玉県春日部市緑町 5-9-4 IMS(イムス)グループ春日部中央総合病院リハビリテーション科 TEL:048-736-1221 E-mail:[email protected] *『日本下肢救済・足病学会誌』投稿論文. − 77 −.

(2) 日本フットケア・足病医学会誌 Vol. 2 No. 2. 5)Nursing Department,Kasukabe Chuo General Hospital 6)Limb Salvage Center, Kasukabe Chuo General Hospital. Abstract We examined the post-amputation walking ability in 51 of 71 CLTI patients who were admitted to our cardiology department between April 2010 and February 2015 to undergo lower extremity amputation and post-amputation rehabilitation. Medical records were retrospectively reviewed for the following factors: age, comorbidities, the level of amputation, non-weight bearing period, changes in walking ability associated with the amputation level, and isometric knee extension strength of the contralateral leg. Walking ability was preserved in 90%, 100%, 100%, and 71% of the cases of toe, transmetatarsal, Chopart, and below-knee amputation, respectively. Previous studies reported that a higher amputation level results in a greater reduction of walking ability. In our study, the walking preservation rate in patients who underwent lower extremity amputation was superior to that in previous reports at any amputation level. Our study suggested that rehabilitation improves the walking ability preservation rate. Key words : chronic limb-threatening ischemia, walking ability, lower extremity amputation. はじめに. 方 法. 包括的高度慢性下肢虚血(chronic limb-threatening. 2010 年 4 月から 2015 年 2 月に CLTI の治療目的で当. ischemia,以下 CLTI)は,下肢虚血,組織欠損,神経. 院循環器科に入院し,切断術およびリハビリテーション. 障害,感染などの趾切断リスクがあり,治療介入が必要. 介入を行った片側の切断患者 71 例中 51 例を対象とし. な状態の総称であり,従来の末梢動脈疾患(peripheral. た.なお,術後死亡 9 例,反対側の大切断 8 例,術後早. arterial disease,以下 PAD)の重症型である重症下肢. 期に転院 1 例,重度の認知機能低下 1 例は除外した.. 虚血(critical limb ischemia,以下 CLI)や糖尿病性足 1, 2). 調 査 項 目 は,年 齢,体 重,body mass index( 以 下. .CLTI の治療戦略には,血行. BMI),併存疾患として心疾患の有無(診断の有無) ,糖. 再建,感染制御,デブリードマン,切断がある.海外に. 尿病の有無,糖尿病罹病歴,糖尿病治療内容,維持透析. おける下肢切断に関する調査では,PAD に対して施行. 施行の有無,生化学データとして入院時ヘモグロビン. 病変などが含まれる. 3−6). された切断術患者は増加していると報告している. .. 機能的予後の指標の一つとして歩行維持率があり, 7). ,入院時アルブミン(以下 Alb)足趾 A1c(以下 HbA1c) 切断歴の有無,切断部位(足趾切断,中足骨切断,ショ. ら によると CLI 患者の歩行維持率は切断部位ごとに異. パール離断,下Ò切断) ,入院時患側足関節上腕血圧比. なり足趾切断 98%,中足骨切断 86%,ショパール離断. (ankle-brachial pressure index,以下 ABI) ,反対側の. 50%,下Ò切断 33%,大Ò切断 0%となり,切断部位が. 切断の有無,免荷期間,入院前および切断術後の歩行能. 高位になるほど歩行維持率が低下すると報告している.. 力,入院時健側下肢の等尺性膝関節伸展筋力,感覚障害. この結果により,切断後に残存する下肢の機能は切断部. の有無を診療録より後方視的に調査した.筋力の測定に. 位により大きく影響され,歩行能力を維持するには切断. は handheld dynamometer(μ-Tas F-1,アニマ株式. 部位は最小限にする必要があることが示された.. 会社,日本)を使用した.測定した値を体重で除し,体. CLTI 患者の創傷治療には免荷が必須であり,創傷治 療中の免荷維持と身体機能維持が課題である. 1, 2, 8−10). が,. 重支持指数(weight bearing index,以下 WBI)を算出 11). した. .. 現在 CLTI 患者に対するリハビリテーションや理学療法. 免荷期間は,切断肢側の全足底面において免荷を開始. に関する報告は寡少である.臨床上,limb salvage が困. し,主治医の指示により免荷デバイスを使用し,荷重を. 難な症例において,切断部位が高位となっても歩行能力. かけるまでの期間と定義した.なお,下Ò切断について. を維持できるという報告は有用なエビデンスとなると考. は仮義足装着までの期間を免荷期間とした.. える.そこで今回,当院の循環器科に血行再建および創. 歩行能力については,入院前の歩行能力は,本人もし. 傷治療目的で入院となった CLTI 患者の切断後の歩行能. くは家族に聴取したものを採用した.また,切断術後の. 力を調査することとした.. 歩行能力はリハビリテーション介入後の歩行能力を評価 し た.歩 行 能 力 の 評 価 に は,機 能 的 自 立 度 評 価 表. − 78 −.

(3) 日本フットケア・足病医学会誌 Vol. 2 No. 2. 図 1 免荷期間のリハビリテーション介入 健側下肢・患側下肢ともに重錘を用い,大Ò四頭筋の抵 抗運動を実施している.健側下肢と患側下肢の筋力に差が あったため,重錘による負荷量は左右で異なっている. 1 セット 10 repetition maximum(RM)として,徐々に セット数と負荷量を増やしていく.また主観的自覚強度と して Borg scale 11-13 レベルで実施している20).. 図 2 歩行練習 左下Ò切断後に下Ò義足を作製し,歩行練習を実施し ている.歩行練習開始当初は平行棒を把持していたが, 義足への荷重を増やし杖歩行などに移行するために徐々 に平行棒から手を離して歩行練習を実施した.. ( functional independence measure,以 下 FIM )を 用 い,7(自立),6(修正自立)を歩行可能と定義し,5 (監視レベル)以下を歩行不可能と定義した.歩行維持. 結 果. は,入院前に歩行が可能であった症例が,切断術後も歩. 全 51 症例の基本情報は,年齢は 69(45-89)[中央値. 行可能であったことと定義し,その割合を算出した. 今回,切断部位を足趾切断,中足骨切断,ショパール. (最小値-最大値)]歳,男性 30 例女性 21 例,BMI は. 離断,下Ò切断の 4 群に分類し,各項目を群間で検討し. 21.3 であった.ABI は 0.90(0.33-1.40)であった.併存. た.. 疾患について糖尿病は 40 例(78.4%),維持透析は 25. 入院時の WBI については,入院時歩行可能であった. 例(49%) ,心疾患は 31 例(60.8%)と,併存疾患を有. 症例と入院時に歩行困難であった症例の 2 群に分類し. する症例が多かった.全体の免荷期間は 27.5 日であっ. た.. た.今回,切断部位で分類すると,足趾切断 26 例,中. 当院のリハビリテーション介入は,主治医の指示の. 足骨切断 10 例,ショパール離断 5 例,下Ò切断 10 例で. 下,全身状態が安定していることを確認した後,入院直. あった(表 1).免荷期間[日:数値は中央値(最小値-. 後より開始している.入院期間中は,約 40-60 分間のリ. 最大値)で示す]は足趾切断 14(1-191)日,中足骨切. ハビリテーションを週 5-6 日実施している.創傷を有す. 断 35( 5-52 )日,シ ョ パ ー ル 離 断 79. 5( 61-177 )日,. る下肢および外科手術後の下肢の運動は,主治医の指示. 下Ò切断 61(35-110)日と切断部位が高位になるにつ. に合わせて実施し,免荷期間中は関節可動域練習,筋力. れ,延 長 す る 傾 向 を 認 め た.歩 行 維 持 率 は 足 趾 切 断. 強化運動(図 1)や非切断肢側下肢での起立練習を実施. 90%,中足骨切断 100%,ショパール離断 100%,下Ò. している.荷重開始許可後は荷重練習,歩行練習を実施. 切断 71%であった(表 2,図 3) .そのうち足趾切断例. し(図 2),退院直前には退院後の生活を見据えた日常. の中に入院前に歩行不可能であった症例 1 例(4%)は. 生活動作練習を実施している.退院後には症例個々の必. 退院時に歩行可能となった.併存疾患は,糖尿病や心疾. 要性に合わせ,外来リハビリテーションを実施してい. 患はショパール離断を除き,それぞれ 50%を超えてい. る.. た. また,入院当初に等尺性膝関節伸展筋力の測定が可能. 倫理的配慮. であった 29 例の健側 WBI は,0.28(0.11-0.45)と低値. 本研究は,対象者に書面および口頭による説明を実施 後,同意を得て実施した.. であった.29 例中歩行が可能であった 26 例の WBI は 0.29(0.12-0.54),歩行困難であった 3 例は 0.12(0.110.39)であった.. − 79 −.

(4) 日本フットケア・足病医学会誌 Vol. 2 No. 2. 表1. 下肢切断部位別の基本情報. 趾切断. 中足骨切断. ショパール離断. 下Ò切断. 症例数(人). 26. 10. 5. 10. 年齢(歳). 69(52-88). 70(45-75). 71(56-82). 69(49-89). 性別(男:女). 17:9. 7:3. 1:4. 5:5. BMI(kg/m2). 21.4(14.7-29.1). 21.9(14.2-39.1). 23.2(18.4-32.9). 22.1(17.1-37.0). 糖尿病(有:無). 21:5. 6:4. 5:0. 8:2. 糖尿病罹病歴(年). 19(1-44). 13(7-15). 1(1-40). 29(7-44). インスリン使用(有:無). 10:11. 3:3. 4:1. 5:3. 維持透析(有:無). 9:17. 心疾患(有:無). 20:6. 2:8. 2:3. 6:4. 2:8. 3:2. 6:4. 免荷期間(日). 14(1-191). 35(5-52). 79.5(61-177). 61.0(35-110). 入院時 CRP(mg/dl). 3.31(0.56-22.0). 6.16(1.31-31.75). 3.00(0.41-31.6). 12.2(3.73-21.37). 入院時 WBC(/dl). 9,100(3,400-17,900). 6,950(4,100-30,200). 6,600(4,900-27,400). 14,500(7,900-17,900). 入院時 Alb(mg/dl). 3.5(2.2-4.0). 3.3(2.7-3.9). 3.0(2.9-3.1). 3.1(2.2-3.6). 入院時 HbA1c(%). 6.7(5.1-9.0). 6.0(4.5-7.4). 6.5(5.8-11.7). 6.4(5.7-7.0). 入院時 ABI. 0.78(0.49-1.40). 1.12(0.56-1.30). 1.00(0.92-1.08). 0.98(0.33-1.06). 反対側の切断(有:無). 0:26. 2:8. 0:5. 0:10. 感覚障害の有無(有:無). 12:14. 2:8. 1:4. 0:10. 数値は中央値(最小値-最大値)で示す.. 表2 歩行維持率. 足趾切断. 中足骨切断. ショパール離断. 下Ò切断. 90%. 100%. 100%. 71%. 図3. 考. 切断部位別の歩行維持率. 切断部位別の歩行再獲得率. 同様,糖尿病,慢性腎臓病による維持透析施行や心疾患. 察. などを併発していた。Vogel ら. 12). は CLI 患者の身体機. 今回の調査では,当院における CLTI 患者の特徴とし. 能の調査を行い,併存疾患による身体機能の影響が大き. て,糖尿病は 51 名中 40 名(78.4%) ,維持透析施行は. かったことを報告しており,今回の結果も併存疾患を有. 25 名(49.0%) ,心疾患は 31 名(60.8%)と先行研究と. する症例が多かったことから,併存疾患による低活動が. − 80 −.

(5) 日本フットケア・足病医学会誌 Vol. 2 No. 2. 身体機能低下になんらかの影響を及ぼしていた可能性が. 短期間の安静による廃用であっても歩行困難となる危険. 考えられる.今回の調査において,これらの併存疾患を. 性が高いと考える.歩行維持症例と歩行不可能症例で比. 有していると,創傷治療期における免荷期間中に歩行が. 較すると,歩行困難症例は WBI が低い傾向を認めたこ. 困難となることから,廃用症候群を惹起しやすい可能性. とから,切断術後の歩行能力には健側下肢筋力の低下が. も示唆された.すでに糖尿病患者では,足病変の免荷期. 影響する可能性が示唆された.今岡ら. 間中に歩行能力が低下することが報告されており. 13, 14). ,. 18). は,下Ò切断. 患者における健側下肢の筋力を測定しており,歩行能力. CLTI 患者においても創傷治療中に免荷が必要となるた. との検討で,健側下肢の筋力が高い症例で歩行が獲得で. め,患側下肢を免荷しながら歩行することは身体機能や. きたと考察しているが,今回の結果では,筋力が低下し. アドヒアランスの観点から困難なことが多い.そのため. ている症例であっても切断術後に歩行が可能となる症例. 免荷期間中に歩行に必要な筋力を維持することが困難に. がみられることから,CLTI 症例に健側下肢の WBI 測. なる可能性がある.また,入院時の WBI は 0.28(0.11-. 定を行っても先行研究. 0.45)と,黄川. 11). による健常人における歩行可能な基準. 11). のカットオフ値との比較によ. り歩行可否を推測することは困難であり,CLTI 患者に. 0.40 と比較し低下していた.入院以前より併存疾患の影. 生じうるさまざまな代償動作を動作解析などで確認し,. 響だけでなく創傷部位の疼痛などの影響により活動量が. 分類して検討する必要があると考える.また,筋力測定. 低下し,筋力が低下していた可能性が考えられる.ま. の実施は簡便に行うことができるが,切断肢の測定では. 15). は下肢虚血の程度により筋力低下. 切断による足部の喪失があり,質量が異なってしまうこ. を認めたと報告しており,本研究の対象者においても虚. とを配慮する必要がある.臨床では感染,虚血,術後疼. 血による下肢筋力の低下が生じていた可能性が示唆され. 痛などの影響により筋力測定が困難であることも多い.. た.. 健側下肢の筋力と歩行能力との関係を明らかにする必要. た,McDermott ら. 切断部位別の歩行能力は,先行研究と同様に高位切断. がある.. 例で歩行維持率が低い傾向を認めた.切断部位別の比較. 今回の対象者は,ABI が 0.90(0.33-1.40)と正常値を. では中足骨切断は先行研究での歩行維持率が 86%に対. 示していた.ABI は透析患者など血管の石灰化が強い. し本調査では 100%,ショパール離断では 50%に対し. 症例では高値を示す場合があるとされ,皮膚組織灌流圧. 100%,下Ò切断では 33%に対し,71%と高値であっ. (skin perfusion pressure,以下 SPP)などのより信頼性. 7). た .歩行維持率が高値であった要因にはリハビリテー. 19). の高い検査がなされるべきである. .今回の対象症例. ション介入によるものがあると考えるが,先行研究と比. において SPP は測定していたものの,創傷部分をずら. 較し対象者数は少なく,さらなる調査が必要である.. した測定や,測定時の微細な体動などにより,測定が困. Serizawa ら. 16). は透析患者を対象とした後方視調査に. より,大切断後に歩行可能な症例は,移動手段が車いす. 難であった症例が多かった.そのため下肢虚血の程度に 差があった可能性は否定できないと考える.. の症例や寝たきりの症例と比較し生命予後が良好である. 今回 51 例の CLTI 患者の調査を行ったが,歩行能力. ことを報告している.本調査では,高位切断例では歩行. については入院直前の歩行状況の確認が聴取のみであっ. 維持率は低いことが確認され,歩行が困難な症例におい. たこと,筋力の測定が困難であった症例が存在するこ. ては,生命予後を考慮した介入を検討する必要があると. と,その他の身体機能の評価が行えていないこと,リハ. 考える.切断術後の歩行能力の維持は CLTI 患者にとっ. ビリテーション介入は実施しているが,介入実施内容の. 14). て重要な課題である.また Kanade ら. は糖尿病患者に. おいては切断部位が高位となると歩行効率が低下する, 17). 標準化はなされていないことが研究の限界である.今回 歩行能力の評価には FIM を用いたが,歩行能力を評価. は CLI 患者は身体活動量が低下しやすいと. する因子には下肢筋力のみならず,バランス機能や認知. 報告しており,歩行能力の改善を図る介入や身体活動量. 機能も含まれる.入院時やリハビリテーション介入初期. を維持する介入が必要である.. において,CLTI 患者の患側下肢は虚血,創部の感染や. Sakaki ら. 一方,足趾切断で入院前歩行が困難であった症例でも. 創部痛などにより筋力測定などが困難であることが多い. 退院後には歩行可能となった症例が 1 例存在した.今回. ため,歩行能力の予後を評価する新たな検討が必要であ. の調査では入院以前の歩行が困難であった要因を調査で. ると考える.一方で介入時に歩行可能な症例では timed. きていないため,研究の限界となるが,歩行が困難な症. up & go test,10 m 歩行速度など複数の歩行能力の測定. 例であっても,リハビリテーション介入により歩行能力. を行い評価していく必要がある.さらに切断部位のみで. の再獲得が可能であることを示唆した.. はなく,血流障害の重症度と身体機能との関係性の調査. 入院早期に WBI を測定できた 26 例において,健側. や術前の身体機能をより詳細に評価し,術後切断部位別. 下肢の WBI は 0.29(0.12-0.54)と荷重歩行可能である. にリハビリテーションの介入内容を検討していく必要が. カットオフ値 0.40. 11). と比較し低値であり,CLTI 患者は. あると考える.. − 81 −.

(6) 日本フットケア・足病医学会誌 Vol. 2 No. 2. 結. 本下肢救済・足病学会誌,7(3) :113-120, 2015.. 語. 9)The International Working Group on the Diabetic Foot:. 当院の CLTI 患者において,入院時の下肢筋力は低下. The 2015 IWGDF Guidaance documents on in diabetes:. していた.切断術後の歩行維持率は高位切断例で低かっ. development of an exidence-based global consensus.. たが,ショパール離断術後や下Ò切断術後の歩行維持率. 2015.. は 50%を超えていた.今後リハビリテーション介入の. 10)土田博光:末梢動脈疾患(PAD)に対する血管リハビ. 効果を検証する必要性が示唆された.. リテーション(まとめ) .日本心臓リハビリテーション, 16(1) :77-80, 2011.. 利益相反 本研究において,開示すべき利益相反はな. 11)黄川昭雄:スポーツ傷害後の機能回復訓練−筋力評価の. い.. 面から−.体育の科学 / 日本体育学会,39(2) :99-104, 1989.. 文. 12)Vogel TR, Petroski GF, Kruse RL, et al: Functional. 献. Status of elderly adults before and after intervenetions. 1)Michael SC, Andrew WB, Bradbury PK, et al: Global. for critical limb ischemia. J Vasc Surg, 59(2): 350-358,. Vascular Guidelines on the Management of Chronic Limb-Threatening Ischemia. Eur J Vasc Endovasc Surg,. 2014. 13)日本理学療法士協会編:10.糖尿病理学療法診療ガイド. 58(1s): S1-109, 2019.. ライン第 1 版(2011) ,731-856, 2011.. 久 恵,大 塚 未 来 子:包 括 的 高 度 慢 性 下 肢 虚 血. 14)Kanade RV, Deursen WM, Harding K, et al: Walking. (CLTI)重症化予防における理学療法.理学療法学,46. performance in people with diabetic neuropathy: be-. (6):457-464, 2019.. nefits and threats. Diabetologia, 49(8) : 1747-1754, 2006.. 2 )林. 3)Anderson PL, Gelijns A, Moskowitz A, et al: Understand-. 15)McDermott, Criqui MH, Greenland MP, et al: Leg. ing trends in inpatient surgical volume: Vascular. strength in peripheral arterial disease: associations with. interventions. 1980-2000. J Vasc Surg, 39(6): 1200-1208,. disease severity and lower extremeity performance. J Vasc Surg, 39(3) : 523-530, 2004.. 2004. 4)Ziegler-Graham K, MacKenzie EJ, Ephraim PL, et al:. 16)Serizawa F, Sasaki S, Fujishima S, et al: Mortality rates. Estimating the prevalence of limb loss in the United. and walking ability transition after lower limb major. States: 2005-2050. Arch Phys Med Rehabil, 89(3): 422-. amputation in hemodialysis patients. J Vasc Surg, 64 (4) : 1018-1025,. 429, 2008. 5)陳. 隆明:重症虚血肢の治療. 7. リハビリテーション医. の立場から.重症虚血肢診療の実践. tics of physical activity in patients with critical limb. 集学的治療による. ア プ ロ ー チ( 南 都 伸 介 編 ),144-149,南 江 堂,東 京, 2008.. ischemia. J Phys Ther Sci, 28(12) : 3454-3457, 2016. 18)今岡信介,工藤元輝,次山航平,ほか:血管原性下Ò切. 6)Toursarkissian B, Shireman PK, Harrison A, et al: Major. 断患者に対する義足リハビリテーションの臨床経過.大 分県理学療法学,13:25-29, 2020.. lower-extremity amputation: contemporary experience in a single Veterans Affairs institution. Am Surg, 68(7):. 19)安部貴之,大谷祐美,木村. 出感度のカットオフ値の検討〜指導管理加算の値との比. 依子,寺師浩人,田原真也:重症下肢虚血患者にお. 較〜.日血浄化技術会誌,24(2) :336-338, 2016.. ける下肢切断レベルによる歩行機能への影響.日形会. 20)榊. 誌,30(12):670-677, 2010. 8)河辺信秀,林. 翼,ほか:透析患者におけ. る末梢動脈閉塞性疾患に対する ABI と SPP を用いた検. 606-610, 2002. 7). .. 17)Sakaki S, Takahashi T, Matsumoto J, et al: Characteris-. 久恵,近藤恵理子,ほか:下肢慢性創傷. 患者のリハビリテーション−歩く足を守るために−.日. − 82 −. 聡子:重症下肢虚血の理学療法−トータルフットマ. ネジメントの実際−.理学療法ジャーナル,50(9) : 827-832, 2016..

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