• 検索結果がありません。

道徳の時間における人権教育の実践方法についての研究:―人権教育と道徳教育の意義を踏まえた授業の提案―

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "道徳の時間における人権教育の実践方法についての研究:―人権教育と道徳教育の意義を踏まえた授業の提案―"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)道徳の時間における人権教育の実践方法についての研究 一人権教育と道徳教育の意義を踏まえた授業の提案一.                       教育実践高度化専攻                       小学校教員養成特別コース                       P  0  8  0  6  5  E                       坪    内         亮. 1.構成. 性も論じられるようになった。近年では国連が全世界的規. 第O章 はじめに(問題の所在と背景). 模で人権教育の推進を徹底させるための「人権教育のため. 第1章道徳教育の意義と可能性等について. の世界計画」を2005年に開始する宣言を採択するという.  第1節 学校における道徳教育の目的. 動きも見られた。日本でも多くの人権に関する条約へ賛同.  第2節 道徳教育の可能性と方法. する姿勢が見られ,それに伴う各種政策が講じられてきた。.  第3節 道徳の時間の取り扱い.  この人権教育の目標とは,一人ひとりが人権の意義・内. 第2章 人権教育の意義と方法等について. 容や重要性について理解し,自他の尊厳を認めることがで.  第1節 人権教育の目的. きるようになることである。さらにそれが様々な場面,状.  第2節 人権教育の重要性と方法. 況で具体的な行動となって現れるとともに,人権が尊重さ.  第3節 これから求められる人権教育. れた社会づくりに向けた行動にっながるようにすること. 第3章 道徳の時間において人権教育をどう進めるか. である。.  第1節 道徳の時間と人権教育.  しかし,この目標とは裏腹に依然としていじめや差別等.  第2節 道徳の時間に人権教育を関連させる方法. が後を絶たず.人権に関する問題が社会に泥のようにしみ. 第4章実践報告とまとめ. ついている。また人権といえば,漠然とした重たい物,腫.  第1節 野口小学校における実践報告. れものであるかのような感覚が人々の潜在意識の中に形.  第2節 まとめと今後の課題. 成されているようである。さらに,人権教育そのものの存. 在も否定するような考え方を持っ人が存在することも事 2.研究の概要. 実である。.  (1)問題の所在と研究の目的.  このような現状を克服するには,人権教育の在り方を,.  人類の歴史をふり返ると,その負の部分が見えてこざる. その意義に照らし合わせて見直し,学校教育における実践. を得杜い。戦争や奴隷制度など,人間が人問を苦しめる行. 方法をさらに考えを深めていくことが必要である。. 為はいつの時代にも絶えることがなかった。今では人権侵.  さらに人権教育と道徳教育の関連性についても触れて. 害とも言える行いが,平気で正当化されてきた。そこで傷. おく。文部科学省は,道徳教育をr児童生徒が人間として. ついてきた多くの人々のことを考えると,人間の歴史は人. の在り方を自覚し,人生をよりよく生きるために,その基. 権侵害の歴史であるとも言える。. 盤となる道徳性を育成しようとするもの」として,教育課.  これを乗り越えるかのように,社会の底辺に位置付けら. 程に位置付けている。つまり,道徳教育が機能していれば. れてしまった人々から、人間は人権を勝ち取ってきた。そ. 一人一人がより豊かな社会を形成することを目指すよう. して現代,人権を尊重することの大切さが社会通念として. になるはずである。しかし,その実践は教員の意識によっ. 認識されるようになった。21世紀は人権の世紀であると. て様々であり,道徳教育が殺害I1を果たしているとは言い難. いわれ,人類が繁栄を保持するためには人権という価値観. い。これはまさに人権教育の抱える問題と類似しているの. が欠かせないという機運が国際的にも高まってきている。. である。. 1948年の世界人権宣言をはじめとしてこれまでに人権に.  これらのことを踏まえて,人権教育と道徳教育双方が効. 関する様々な条約が採択され,それに伴い人権教育の必要. 果的に実践されるための方法を検討し,その具体案を示す. 』134一.

(2) 必要があると考えた。本研究は人権教育を道徳教育に絡め. 5.今後の課題. て実践していくことの可能性を示すとともに,その具体案. ①研究に関して. を提案することに主幹を置いた。.  まず,人権と道徳のつながりをより深い次元で追求しな ければならない。そのためには,西欧生まれの概念である.  (2)研究の対象と方法. 人権と,日本固有の道徳の違いを歴史的な視点から捉えな.  文部科学省が作成している「人権教育の指導法等の在り. おす必要があろう。相違を漠然とした状態でなく,明瞭に. 方について[第三次とりまとめユ」をもとに,道徳の時間に. することで,重要な共通点も見えてくるはずである。それ. おける人権教育に関わる指導のための実践方法の検討を. ができれば,研究が一層堅実なものとなるであろう。. 打つだ。.  また,実践の量的問題も挙げられる。第3章で述べた内.  まず、研究の土台として、道徳教育と人権教育について. 容が反映された実践が多くできれば,その後の分析によっ. 根本的な意義から知るために、道徳、人権そのものの知識. て,また新たな成果や課題が見つかるだろう。それを踏ま. を身につけた。その上で、課題を検討し、双方を関わらせ. えて分析を重ねることで,研究はより堅牢なものになって. ることを提案した。その具体的な方法を示し、実践案を作. いくと考えられる。. 成したのち、連携協力校において授業実践を行った。そし.  さらに,他の実践との比較も行う必要がある。人権教育. てその授業を、道徳、人権それぞれの意義を視点として、. の主な実践事例との比較によって,自己の実践の長短が導. 評価、分析を行い、再度実践の価値について検討を加えて. き出せるであろう。そうすれば,より評価に客観性を持た. いった。. せることができるのではないか。 ②実践に関して. 4.研究の成果.  まず,指導案レベルでの課題を挙げる。授業をする上で.  第1章と第2章において,道徳と人権の概要をまとめ,. 最も重要な指標となるものが指導案である。そのため,研. 道徳教育と人権教育の意義や課題について触れた。それら. 究の内容を反映させた指導案を書くことは必須であろう。. をまとめた上で,第3章にて双方の課題を解決する方法と. 自己の実践を見ると.さらに精緻化を図るためにその点に. して,道徳の時間と人権教育を関連させることを提案した。. 関して改善の余地も見受けられるため,今後の課題として. 人権教育を道徳の時間に行う方法自体は文部科学省も既. 指導案における研究内容の反映のさせ方が求められよう。. に示してあったが,それをさらに詳しく検討し,工夫を施.  次に,授業の内容についてである。この研究で示された. した。そして,第4章において実践事例を紹介した。そも. 授業の形は,かなりフレキシブルなものとなっている。例. そもこの研究の目的は,人権教育を道徳の時間に導入する. えば,道徳的価値を見直すことで,解釈が拡大されること. ことで相互に補完させることにあった。そのために,以上. も予想されうるし,人権教育で身につけたい資質が多様か. の手順を踏むことで,次のような成果を得ることができた。. つ固定されていないため,それを扱う授業自体が多様な在.  この研究によって,道徳,人権双方の意義について再確. り方を示すことになろう。柔軟であることは,強みである. 認することができたと同時に,それらの相違点と,類似点. 反面,脆さも含んでいる。ひとつ方向を間違えれば,その. について改めて考える機会を持つことができた。また,今. 意義を見失うことにつながるからである。だからこそ、堅. まで曖昧であった人権教育についてその重要性を示すと. 実であることが同時に求められるのである。この堅実さを. 同時に,その在り方の多様な具体を示すことができたと思. 生み出すものは,授業の目標であると考える。その授業で,. われる。その中で,今後の人権教育に対する見識を広める. 何を取り扱うのかを,道徳,人権双方の意義に沿って明確. こともできた。. にしておくことが何より欠かせないであろう。今後,研究.  また道徳の時間に関しても,その足りない部分を補い活. を進めていく上でこの点を押さえておけば,より有意義な. 性化する可能性を示せたのではないだろうか。ここから,. ものとなると考える。. 道徳の時間を有用なものにしていく方法を探っていくこ 指導教員 前芝武史. とができるだろう。. ■135一.

(3)

参照

関連したドキュメント

専攻の枠を越えて自由な教育と研究を行える よう,教官は自然科学研究科棟に居住して学

工学部の川西琢也助教授が「米 国におけるファカルティディベ ロップメントと遠隔地 学習の実 態」について,また医学系研究科

 日本語教育現場における音声教育が困難な原因は、いつ、何を、どのように指

 以上のように,無断欠席を善用し,道徳的教 訓や神道の教義に接触したことで,築地外人英

1、研究の目的 本研究の目的は、開発教育の主体形成の理論的構造を明らかにし、今日の日本における

確かな学力と自立を育む教育の充実 豊かな心と健やかな体を育む教育の充実 学びのセーフティーネットの構築 学校のガバナンスと

大学で理科教育を研究していたが「現場で子ども

定期的に採集した小学校周辺の水生生物を観 察・分類した。これは,学習指導要領の「身近