小学校における数学的リテラシーの育成に関する研究
115
0
0
全文
(2) は じめ に. 算 数 ・数 学 に対 して苦 手 意 識 を もっ 児 童 ・生徒 は 少 な くな い 。 これ は 筆 者 独 断 の 見 識 で あ る か も しれ な い が 、 教 壇 に 立 っ て い た とき に十 分 に感 じた こ とで あ る。 い つ も年 度 初 め に 、児 童 に 向けて、 「 算 数 は好 き で す か 、 そ れ とも嫌 い で す か。 」 とた ず ね る。 す る と、 「 嫌 い 」 と答 え る児 童 の 割 合 は 、 学 年 が 上 に あが る につれ て増 え る傾 向 に あ っ た。 算 数 ・数 学 は 、 他 の教 科 に 比 べ て 、 内容 が 系 統 立 って い る こ とや 、 で き るで き な い が は っ き り して い る とい う こ とが 、 「 嫌 い」 と答 え る原 因 な の か も しれ な い。 友人 に、 「 大 学 生 の と きは 数 学 科 に所 属 して い た。」 と言 う と、まず 返 っ て くる言 葉 は 、 「 す ごい ね. 」 とか 「 頭 が い い ん だ ね。 」 で あ る。 そ の よ うな こ とを言 わ れ る とい うこ とは 、や は. り算 数 ・数 学 とい う教 科 は 「 難 しい」 とか 、 「 嫌 い 」 とか 、 そ の よ うなイ メ ー ジが 大 人 に な っ て も根 強 く残 っ て い るの だ な と感 じる。 振 り返 って み る と、筆 者 は 、 算 数 ・数 学 に つ い て それ ほ ど苦 手 意 識 を持 たず 、 む しろ得 意 教 科 で あ っ た 。 だ か ら、 「 嫌 い 」 と思 っ てい る人 た ち の苦 労 や 気 持 ち は 分 か らな い 。 そ れ で も、 児 童 が算 数 ・数 学 に対 して 、 少 しで も 「 で き た」 ・ 「 分 か っ た 」 とか 、 「 楽 しい な」 ・ 「 おも しろ い な 」 と思 う授 業 を して い くこ と、それ に よ っ て算 数 ・数 学 に 対す る マ イ ナ ス イ メー ジ を 払 拭 させ る こ とが 使 命 で あ る と 日頃 か ら思 って い る。 学 校 現 場 に い た とき に 、 「 数 学 的 リテ ラ シー 」 とい う言 葉 を 耳 に した こ とが あ っ た。 新 た な 視 点 で これ ま で の 算 数 ・数 学 教 育 の あ り方 を変 え よ う と言 わ れ 出 した の か も しれ な い が 、 「 数 学 的 リテ ラ シー 」 とは 一 体 何 な の か、 その 内 容 につ い て ま で は よ く分 か らな か った 。 そ こで 、 まず は 筆 者 が 数 学 的 リテ ラ シー につ い て の知 識 を 深 め る 必 要 が あ る と考 え た。 そ し て 、 研 究 に よ っ て 得 られ た成 果 や 結 果 を、 学 校 現 場 に戻 っ た とき に 同僚 に伝 達 した り、児 童 に 還 元 した りす る こ とが で き る よ うに なれ ば と思 った 。 筆 者 は 小 学 校 の 教 員 で あ るの で 、小 学 校 で 育 成 す る た め に は どの よ うな こ とをす れ ば よい の か を導 き 出 そ うと考 え た。 上 で 述 べ た 思 い か ら、筆 者 は 、 「 小 学 校 に お け る数 学 的 リテ ラ シ ー の 育 成 に 関 す る研 究 」 と い うテ ー マ で 、研 究 を進 め る こ とに した。. 2008年12A22日. 榊 原. 正 憲.
(3) 目. 次. は じめに. 2. 第2節. 「リ テ ラ シ ー 」・「数 学 的 リ テ ラ シ ー 」と 「 学 力 」と の 関 連. 第3節. 本 研 究 の 目的 と論 文 の 構 成. 0 1. 今 求 め られ て い る 「学 力 」と は. さ ま ざ ま な 数 学 的 リ テ ラ シ ー の 捉 え 方 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …11. 第1節Jablonkaに. よ る数 学 的 リテ ラ シー の 捉 え方12. (1)人. 的 資 本 の 発 展 の た め の 数 学 的 リテ ラ シー. (2)文. 化 的 ア イ デ ンテ ィテ ィの ため の 数 学 的 リテ ラ シー. (3)社. 会 的 変 化 の た め の 数 学 的 リテ ラ シー. (4)環. 境 の 認 識 の た め の 数 学 的 リテ ラ シー. (5)数. 学 の 使 わ れ 方 を 評価 す るた め の 数 学 的 リテ ラ シー. 第2節. 7. 第1節. 第2章. 国'. 1. 「学 力 」 の 問 題 と 本 研 究 の 目 的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ …. 第1章. 日本 の 文 献 に お け る、 主 とな る数 学 的 リテ ラ シー の 捉 え方18. (ア)教 養 の た め の数 学 的 リテ ラ シー (イ)高 度 情 報 化 社 会(rr社 第3節PISAに. 会)の た め の 数 学 的 リテ ラ シー. よ る 数 学 的 リテ ラ シー の 捉 え方26. (1)PISAが. 行われ る経緯. (2)PISAの. 概要. (3)PISAの. 数 学 的 リテ ラ シー の 問 題 を特 徴 づ け る3つ の側 面. ①. 「 知識領域 」. ②. 「 関係 す る 能 力」. ③. 「 状 況 ・文 脈 」.
(4) 第3章 第1節. 数 学 的 リ テ ラ シ ー を 育 成 す る た め の 算 数 教 材 ・ ・ ・ ・ ・ …'"匿44 「 算 数 科 ・PISA型 学 力 」を育 成 す るた め の 教 材45. (1)「. 算 数 科 ・PISA型 学 力 」 とは. (2)「. 算 数 科 ・PISA型 学 力 」 の 意 義. (3)「. 算 数 科 ・PISA型 学 力 」 育 成 のた め の教 材 例. 第2節. 全 国 学 力 ・学 習 状 況 調 査 か ら求 め られ る能 力 を育 成 す る た め の 教 材60. (1)「. 活 用 」 に 関す る 問 題(B問. 題)の 趣 旨. (2)「. 活 用 」 に 関す る 問 題(B問. 題)の 例. 第3節. 「 算 数 を楽 しむ 」 た め の 教 材70. (1)「. 科 学 技 術 の智 」 プ ロ ジ ェ ク トで 求 め られ る観 点. (2)「. 算 数 を 楽 しむ 」 た め の 教 材 例. 第4章 第1節. 数学 的 リテ ラシー の育成 を具体 化す る算数授 業の提 案 ・ ・・ ・・…79 「 活 用 力 」 に 重 点 を置 いた 授 業 案80. (1)開. 発 した 教 材. (2)開. 発 した 教 材 を使 った 授 業 の 構 想. 第2節. 「 与えられた情報を分類整理すること」に重点を置いた授業案89. (1)開 発 した教材 (2)開 発 した教材を使 った授業の構想 第3節. 「 算 数 を楽 しむ こ と」 に重 点 を置 い た授 業 案95. (1)教. 材 に用 い る ゲ ー ム. (2)ゲ. ー ム を 使 った授 業 の 構 想. 7 9. おわ りに 9 9. 引用 ・参考文献.
(5) 「 学 力 」 の 問 題 と本 研 究 の 目的. 第1章. 本 章 で は 、 算 数 ・数 学 教 育 に お け る 「 学 力 」 に 関 す る現 状 と課 題 、 そ して 、 本 研 究 の 目 的 にっ い て述 べ る。 第1節. で は 、 これ ま で 行 わ れ て き た 学 力 調 査 の 結 果 を も と に 、今 求 め られ て い る 「 学力 」. とは何 か につ い て述 べ る。 第2節. で は 、 「リテ ラ シ ー 」 と 「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 そ れ ぞ れ の 言 葉 の 意 味 に つ い て 述. べ、「 学 力 」 と 「リテ ラ シ ー 」・「 数 学 的 リテ ラ シー 」 と の 関 連 に つ い て 述 べ る。 第3節. で は 、 本 研 究 の 目的 と、 本 論 文 の 構 成 に つ い て 述 ぺ る。. 一1一.
(6) 第1節. 今 求 め られ て い る 「 学 力」 とは. 近 年 、 学 力 低 下 の 問 題 が 取 り上 げ られ 、 マ ス コ ミな どで 報 道 され て い る。 こ う した 中 、 日本 で は 全 国 的 な 規 模 で の 学 力 調 査 が 行 わ れ 、 そ の 結 果 か ら どの よ うな 能 力 が 児 童 ・生 徒 に 不 足 して い る の か に つ い て 様 々 な 指 摘 が な され て い る。 OECD(経. 済 協 力 開 発 機 構:OrganisationforEconomicCooperationandDevelopment)が. 施 し て い るPISA(生 図1-1に. 徒 の 学 習 到 達 度 調 査:ProgamforInternationalStudentAssessment)で. 示 す よ うな 問 題 が 出 題 さ れ た 。 こ の 調 査 は 、 高 校1年. が 、 こ の 問 題 の 日本 の 生 徒 の 正 答 率 は29.1で. 実 、. 生 を対象 に行 われ て い る. あ っ た 。 こ の こ と に 関 して 清 水(2006)は. 、. 以 下 の よ うに 指 摘 して い る。. 《与 え られ た 表 や グ ラ フ か ら適 切 に 情 報 を 読 み 取 る 力 の 育 成 が 日本 の 数 学 教 育 に お け る課 題 とな っ て い る 。》(p。50). 図1-1=PISAの. 問 題(盗. 難 事 件 の 問 題)(国. 一2一. 立 教 育 政 策 研 究 所,2004b,p.119).
(7) ま た 、2007年4月. に 、 全 国 の 小 学 校6年. 生 と中 学 校3年. 学 習 状 況 調 査 」 が 行 わ れ た 。 そ の 中 で 、 小 学 校6年 -2の. 生 を 対 象 と して 、 「 全 国学力 ・. 生の 「 算 数B」. よ うな 問題 が 出 題 され た 。こ の 問 題 の 正 答 率 は18.2%と. の 問 題 に お い て 、 図1. 低 か っ た 。そ の 主 な 原 因 は 、. 平 行 四 辺 形(「 中央 公 園 」)の 面 積 を 求 め る 際 に 、 「 一 辺 の 長 さ(160m)」. を、平 行 四辺形 の. 「 高 さ」 と取 り違 え た こ とで あ る。 こ の 結 果 を受 け て 、 文 部 科 学 省 ・国 立 教 育 政 策 研 究 所 (2007)が ま とめ た 今 後 の 指 導 改 善 の ポ イ ン トに は 、 以 下 の よ うな 対 策 が 述 べ られ て い る 。. /婿 報 過 多 の 場 面 や 課 題 か ら、 問 題 解 決 の た め に 必 要 な 情 報 を 選 択 して 考 え る 活 動 の 充 実 を 図 る こ とが 大 切 で あ る。》(p.11). 図1-2:「 (「平 成19年. 面積 」の 問 題. 度 全 国 学 力 ・学 習 状 況 調 査 」 小 学 校 算 数B問. 一3一. 題 よ り).
(8) 一方で. 、 以 下 に 示 して い く よ うに 、 基 礎 的 な 計 算 問 題 や 、 基 本 的 な平 面 図 形 の 面 積 を 求. め る 問題 は 、 全 体 的 に よ く理 解 で き て い る。. 図1-3=計. 算 問 題(「 平 成20年. 度 全 国 学 力 ・学 習 状 況 調 査 」 小 学 校 算 数A問. 固 次 の平 鷺 欝 辺 琳 の 繭 積 を求 め る武 ζ答 え を書 き ま も 禽 う.. 図1-4=平 (「平 成20年. 行 四辺 形の 面積 を求 め る問 題. 度 全 国 学 力 ・学 習 状 況 調 査 」 小 学 校 算 数A問. .4.. 題 よ り). 題 よ り).
(9) 図1-3と A」. 図1-4は. 、2008年4Aに. の 問 題 で あ る 。 図1-3は. (3)83.1%で 85.3%で. 行 われ た 、 「 全 国 学 力 ・学 習 状 況 調 査 」 の. 、 計 算 問 題 で あ り 、 正 答 率 は 、(1)93.1%、(2)86.5%、. あ っ た 。 ま た 、 図1-4は. あ っ た 。 図1-3も. 「算 数. 図1mも. 、平 行 四辺 形 の面積 を求 め る問題 で 、正 答率 は 、 ほ と ん どの 児 童 が 理 解 で き て い る と い うこ とが. 言 え る。. 図1-2と. 図1-4の. 問題 にっ いて 、 どち らの問題 も平行 四辺 形 の 面積 につ い て考 えな. けれ ば な らな い 問 題 で あ る。 しか し、2っ は 、 図1mの. 問 題 の 方 が 、 図1-2の. の 問 題 の 正 答 率 に 大 き な 違 い が 出 て い る。 これ. 問 題 に 比 べ て 、 与 え られ て い る情 報 が あ る程 度 限. 定 され て い た た め で あ る と考 え られ る。 PISAや. 「 全 国 学 力 ・学 習 状 況 調 査 」か ら分 か る こ と は 、 基 礎 的 な 計 算 の 問 題 や 普 段 算 数. の 授 業 で 行 わ れ て い る 問 題 を解 く こ と は で き る が 、 適 切 な 情 報 を 読 み 取 る カ や 必 要 な 情 報 を 選 択 して 考 え る力 とい う よ うな 、 学 習 した 知 識 や 技 能 を応 用 し た り活 用 した りす る こ と に 問 題 が あ る 、 と い う こ とで あ る 。 こ の こ とは 、 中 央 教 育 審 議 会 が 出 して い る答 申 に も 指 摘 され て い る。2008年1月17日 に 出 され た 『幼 稚 園 、 小 学 校 、 中 学 校 、 高 等 学 校 及 び 特 別 支 援 学 校 の 学 習 指 導 要 領 等 の 改 善 に つ い て(答. 申)』 で 、 これ か ら の社 会 に 必 要 と され る 力 に つ い て 、以 下 の よ うに示 され. て い る。. 《(前 略)、21世. 紀 は 、 新 しい 知 識 ・情 報 ・技 術 が 政 治 ・経 済 ・文 化 を は じ め社 会 の. あ ら ゆ る領 域 で の活 動 の基 盤 と して 飛 躍 的 に 重 要 性 を増 す 、い わ ゆ る 「 知 識基 盤社 会 」 (㎞owledge-basedsociety)の. 時 代 で あ る と言 わ れ て い る。. 「知 識 基 盤 社 会 」 の 特 質 と し て は 、 例 え ば 、 ① 知 識 に は 国 境 が な く 、 グ ロ ー バ ル 化. が 一 層 進 む 、 ② 知 識 は 日進 月 歩 で あ り、 競 争 と技 術 革 新 が 絶 え 間 な く生 ま れ る 、 ③ 知 識 の 進 展 は 旧来 のパ ラ ダ イ ム の 転 換 を 伴 うこ とが 多 く 、 幅 広 い 知 識 と柔 軟 な 思 考 力 に 基 づ く判 断 が 一 層 重 要 に な る 、 ④ 性 別 や 年 齢 を 問 わ ず 参 画 す る こ とが 促 進 され る 、 な ど を 挙 げ る こ とが で き る 。(中. 略)。. この よ うな社 会 に お い て 、 自 己 責 任 を果 た し、. 他 者 と切 磋 琢 磨 しつ つ 一 定 の 役 割 を 果 た す た め に は 、 基 礎 的 ・基 本 的 な 知 識 ・技 能 の 習 得 や そ れ ら を 活 用 して 課 題 を 見 い だ し、 解 決 す る た め の 思 考 力 ・判 断 力 ・表 現 力 等 が 必 要 で あ る 。 しか も 、 知 識 ・技 能 は 、 陳 腐 化 しな い よ う常 に 更 新 す る 必 要 が あ る 。 生 涯 に わ た っ て 学 ぶ こ とが 求 め られ て お り、 学 校 教 育 は そ の た め の 重 要 な 基 盤 で あ. 一5一.
(10) る 。 》(中. 央 教 育 審 議 会,2008,pp.8-9). っ ま り、 「 知 識 基 盤 社 会 」 で 求 め られ て い る能 力 は 、 基 本 的 な 知 識 ・技 能 を 「 活 用す る」 力 で あ る。 以 上 か ら 、 今 求 め られ て い る 「 学 力 」 は 、 単 な る 知 識 や 技 能 の 習 得 だ け に と どま らず 、 知 識 や 技 能 を 実 生 活 の 場 面 で 活 用 す る力 で あ り、 現 在 の 教 育 は 、 そ れ を 育 成 して い こ う と す る 流 れ に な っ て い る。. 一6一.
(11) 第2節. 「リ テ ラ シ ー 」・「数 学 的 リテ ラ シ ー 」 と 「学 力 」 と の 関連. こ の 節 で は 、 「リテ ラ シ ー 」 と 「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 の 言 葉 の 意 味 に つ い て ふ れ 、 第1 節 で述 べ た 「 学 力 」 との関連 にっ いて述 べ る。. ま ず 、 「リテ ラ シ ー 」 に つ い て で あ る が 、 佐 藤(2003)は. 、 「リ テ ラ シ ー 」 の 歴 史 的 な 展. 開 に つ い て 以 下 の よ うに 述 べ て い る 。. 《「リテ ラ シ ー 」 は 二 つ の 意 味 を 担 っ て き た。 一 つ は 「 教 養 」 と して の リテ ラ シ ー とい う伝 統 的 な 概 念 で あ り,こ の 用 法 は 長 ら く 「 高度 の教養 」 あ るい は 「 優 雅 な教 養 」 を 意 味 して き た が,近 年 で は 「 共 通 教 養(commonculture)」. あるいは 「 公 共 的 な 教 養(public. culture)」 を意 味 す る も の へ 変 化 して い る。 も う一 つ は,19世 字 」 あ るい は. 紀 の 末 に 登 場 した 「 識. 「 読 み 書 き 能 力 」 と して の リテ ラ シ ー で あ り,こ の 用 法 は 学 校 教 育 の概. 念 と して 登 場 し,社 会 的 自立 に 必 要 な 基 礎 教 養 を意 味 す る 「 機 能 的 識 字 」 とい う概 念 に 支 え られ て 普 及 して き た 。》(p.293). 『ジ ー ニ ア ス 英 和 大 辞 典 』 に よ れ ば 、14世. 紀 に ラ テ ン 語 の 「litteratura(書 く こ と,文. 学 ぶ こ と)」 か ら 「1iterature」と い う英 語 が 生 ま れ 、15世. 紀 に ラ テ ン語 の. 法,. 「literatus(教 養 の. あ る)」 か ら 「literate」と い う英 語 が 生 ま れ た 。 「1iteracy」と い う言 葉 は 、19世. 紀 に 「literate」. と い う形 容 詞 を 名 詞 化 し て で き た も の で あ る 。 「literacy」と い う言 葉 が 登 場 す る 前 ま で は 、 rlherature」 が. 「literacy」に 該 当 す る 言 葉 と し て 使 わ れ て い た 。. これ らの 言 葉 の 意 味 か ら分 か る よ うに 、 「リテ ラ シ ー 」 とい う言 葉 に は 、 「 教養 」 とい う 意 味 と、 「 識 字 」 とい う意 味 の 二 面 性 を持 っ て い る とい うこ とが 分 か る。. 一7..
(12) 次 に、 「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 にっ い て で あ る。 我 が 国 で は 、1980年 た 。 長 崎(2003)は. 代に 「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 とい う言 葉 が 初 め て 使 わ れ る よ うに な っ. 、 日本 に お け る 「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 の 変 遷 を 概 観 し、 以 下 の よ うに. 述 べ て い る。. 《高 等 学 校 進 学 率 が90%を プ が,高. 超 え た1970年. 等 学 校 に お け るrM勾orityの. 代 後 半,数. 学 者 秋A康. 夫 を 中心 とす る グル ー. た め の 数 学 」 と して 「 大 多 数 の 生 徒 が,数. 勉 強 す る の が 好 き に な る よ うな カ リキ ュ ラ ム を 求 め 」 始 め た 。 そ の 後,こ. 学を. の発 展 と し. て,「 数 学 的 リ テ ラ シ ー 」 が 提 唱 され る よ うに な る。 高 等 学 校 や 大 学 で の 数 学 教 育 を 念 頭 に 置 い て,数. 学 教 育 の 目的 は 「 数 学 的 知 性 の 酒 養 」 に あ る と し,育 成 す る べ き 能. 力 を,「 数 学 的 思 考 力 」 と 「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 と し,前 者 は 数 学 者 の 道 で あ り,後 者 は 数 学 の ユ ー ザ ー の 道 で あ る と した 。 そ して,高 等 学 校 段 階 で の 数 学 的 リテ ラ シ ー を,「 知 的 な 活 動 に お い て 必 要 な 数 学 の 常 識 を備 え た 上 に,数. 学 の 確 か さ を 知 り,数. 学 の 概 念 を 思 考 ・記 述 に 取 り入 れ る能 力 」 と して い る。》(p.304). 《数 学 的 リテ ラ シ ー は,1980年 て,数. 代 く らい か ら 高 等 学 校 や 大 学 で の 数 学 教 育 を念 頭 に 置 い. 学 者 グル ー プ を 中 心 に 提 唱 され る よ うに な っ た 。》(p.305). これ らか ら言 え る 、 「 数 学 的 リテ ラ シー 」 の 特 徴 は 、 以 下 の よ うで あ る。 ・数 学 者 が 「 数 学 的 リテ ラ シー 」 を提 唱 し始 め た こ と。 ・高 等 学 校 以 上 の 段 階 で 、 大 多 数 の 生 徒 が 数 学 を使 え る よ うに な る こ とや 、 数 学 に 関 す る 知 識 を 使 っ て 思 考 し、 表 現 す る能 力 を育 成 す る こ と。. そ の 後 、1990年. 代 後 半 に 、OECDがPISAを. テ ラ シ ー 」 と い う名 称 を用 い た 。PISAに. 行 う事 業 を 展 開 し始 め 、 そ こ で 、 「 数学的 リ おける 「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 とは 、 以 下 の よ うで. あ る。. 一8一.
(13) 《数 学 的 リテ ラ シ ー とは 、 数 学 が 世 界 で 果 た す 役 割 を 見 つ け 、 理 解 し、 現 在 及 び 将 来 の 個 人 の 生 活 、 職 業 生 活 、 友 人 や 家 族 や 親 族 との 社 会 生 活 、 建 設 的 で 関 心 を も っ た 思 慮 深 い 市 民 と し て の 生 活 に お い て 、確 実 な 数 学 的 根 拠 に も とづ き判 断 を 行 い 、数 学 に携 わ る能 力 で あ る。》(国 立 教 育 政 策 研 究 所,2007b,p.18). PISAの. 調 査 問 題 は 、学 校 で 学 習 した 知 識 を応 用 して 解 く 問 題 で あ っ た り、問 題 場 面 が よ. り現 実 に 即 し て お り、 情 報 を 的 確 に 読 み 取 っ て 数 学 的 に解 釈 ・表 現 し、 判 断 を行 う問 題 で あ っ た りす る。 学 校 で 学 習 した 数 学 的 な知 識 や 技 能 が 、 多 様 な 問 題 揚 面 に お い て 「 役 立つ よ うに使 え る か ど うか 」 とい うこ と を 評 価 す るの で あ る。. 「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 も 「リテ ラ シ ー 」 と 同 じ よ うに 、 二 つ の 意 味 が あ る。 「 教養」 と して の 「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 は 、数 学 的 な知 識 や 技 能 の こ と を 指 し、 「 識 字 」 と して の 「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 は 、 数 学 に 関 す る読 み 書 き能 力 、 つ ま り、 数 学 の 問 題 を 理 解 し、 数 学 を 使 って 思考 して 、表 現す る こ とを指す。. 第1節. で 述 べ た 、 今 求 め られ て い る 「 学 力 」 とは 、 単 な る 知 識 や 技 能 の 習 得 だ け に と ど. ま らず 、知 識 や 技 能 を 実 生 活 の 場 面 で 活 用 す るカ で あ っ た 。 こ こ で 述 べ た 「(数学 的)リ テ ラ シ ー 」 も 、 た だ(数. 学 に 関す る)知 識 や 技 能 を知 っ て い る こ とだ け で は な く 、 そ れ らを. 活 用 して 課 題 を 考 え 、解 決 して い く力 を必 要 と して い る。今 求 め られ て い る 「 学力 」も 「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 も 、 「 活 用 す る」 ・「 活 用 で き る」 と い う言 葉 が キ ー ワ ー ド とな っ て い る。 これ らは 、 「 活 用 す る」・「 活 用 で き る 」 とい う点 に お い て 関 連 が あ る と考 え られ る。. 一9一.
(14) 第3節 第1節. 本 研究 の 目的 と論文 の構 成 で は 、 今 求 め られ て い る 「 学 力 」 に つ い て 、 第2節. で は 、 「リテ ラ シ ー 」 と 「 数. 学 的 リテ ラ シ ー 」 の 意 味 に っ い て 確 認 し、 「 学 力 」 と 「リテ ラ シ ー 」・「 数 学 的 リテ ラ シー 」 と の 関連 に つ い て 述 べ て き た 。 そ れ ら は 「 活 用 す る」 ・「 活 用 で き る 」 とい う言 葉 が キ ー ワ ー ドとな っ て い る の だ が. 、 具 体 的 に ど うす る こ とが 「 活 用 す る」・「 活 用 で き る 」 こ とに な. る の か 、 ま た 、 何 を どの よ うに 「 活 用 す る」・「 活 用 で き る」 の か が 今 の 時 点 で は 明 確 に 見 え てい な い。 数学 を 「 活 用 す る」 ・「 活 用 で き る 」 よ うにす る た め に 身 に つ け て お くべ き カ は 何 か 。 そ の た め に 小 学 校 の 算 数 で は どの よ うな 準 備 が で き る の か。 これ ら を探 る た め に 、 以 下 の2 点 を 本 研 究 の 目 的 とす る。. ①. 数学的 リテ ラシー とい う視点か ら、小学校の算数科で児童 に身につ けさせたい力は 何 かを明確 にす る。. ②. ① で明 らか となった力を育成す るための具体的 な教材や授業案 を提案す る。. 本 論 文 は4章 第2章. で 構 成 す る 。 第2章. 以 降 の 内 容 につ い て 、 以 下 に 示 す 。. で は 、 さ ま ざ ま な 数 学 的 リテ ラ シ ー の 捉 え 方 に つ い て 、 過 去 の 先 行 研 究 や 報 告 書. を 調 べ 、 概 要 を 述 べ る。 具 体 的 に は 、 様 々 な 国 や 地 域 に お い て 世 界 的 に 議 論 され て い る数 学 的 リテ ラ シ ー の 捉 え方 を 独 自の 視 点 で ま と め て い る 、Jablonkaに と 、 日本 で 提 唱 され て き た 数 学 的 リテ ラ シー 、そ し て 、PISAに. よ る数 学 的 リテ ラ シー. よ る数 学 的 リテ ラ シ ー にっ. い て 述 べ る。 第3章. で は 、 小 学 校 で 数 学 的 リテ ラ シ ー を 育 成 す る た め の 算 数 教 材 に つ い て 考 察 して い. く。 具 体 的 に は 、PISAの. 数 学 的 リテ ラ シ ー を も とに 考 え られ た 「 算 数 科 ・PISA型 学 力 」. や 、 全 国 学 力 ・学 習 状 況 調 査 の 「 活 用 」 に 関 す る 問 題(B問. 題)か. ら求 め られ る 力 の 育 成. 方 法 と教 材 例 を 述 べ る。 ま た 、 「 算 数 を楽 しむ 」 こ と を数 学 的 リテ ラ シ ー の 一 部 と して 捉 え る こ との 意 義 と 、 そ の 教 材 例 に っ い て述 べ る。. 第4章 は、第3章 で述べた、小学校で数学的 リテ ラシー を育成す るための観 点をもとに、 具体的な授業 を提案す る。開発 した教材 とその教材 を用いた授業案 を紹介す る。. 一10一.
(15) 第2章. さ ま ざ ま な数 学 的 リテ ラ シー の 捉 え 方. 近 年 、「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 とい う言 葉 は よ く聞 か れ る言 葉 に な っ た 。 しか し な が ら、「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 の 捉 え 方 に っ い て は 、 非 常 に 多 義 的 で あ る。 そ の 理 由 と して 、Jablonka (2003)は. 、 以 下 の よ うに述 べ て い る。. 《数 学 的 リテ ラ シ ー を推 進 す る利 害 関係 者 の価 値 観 と合 理 性 の 違 い に よ っ て 変 わ る た め 》 (p.75). 本 章 で は 、 多 義 的 な 数 学 的 リテ ラ シ ー の 捉 え方 に つ い て 、 過 去 の 先 行 研 究 や 報 告 書 を調 べ 、概 要 を述 べ る。 第1節. で は 、 世 界 的 に 議 論 され て い る数 学 的 リテ ラ シ ー の 捉 え 方 を 独 自の 視 点 で ま とめ. て い る 、Jablonkaの 第2節. 数 学 的 リテ ラ シ ー に つ い て 述 べ る。. で は 、 日本 で 提 唱 され て き た 数 学 的 リテ ラ シ ー の 捉 え 方 につ い て 書 か れ た 論 文 を. 紹 介 し、 そ こ で 取 り上 げ られ て い る数 学 的 リテ ラ シ ー に つ い て 述 べ る。 第3節. で は 、PISAに. な っ た 経 緯 や 、PISAの. よ る数 学 的 リテ ラ シ ー につ い て 取 り上 げ 、PISAが 概 要 、PISAに. 行 わ れ る よ うに. よ る数 学 的 リテ ラ シ ー の 枠 組 み に つ い て 述 べ る。. 一11一.
(16) 第1節Jablonkaに. Jablonka(2003)は. よ る 数 学 的 リテ ラ シ ー の 捉 え 方. 、 数 学 的 リテ ラ シー に 関 わ る 文 献 を 概 観 し、 数 学 的 リテ ラ シ ー に 対. す る 多 様 な 考 え 方 に つ い て ま と め て い る。 以 下 の5つ. の 視 座 が 、Jablonkaが. 分 類 して い る. 数 学 的 リテ ラ シ ー の 捉 え 方 で あ る。. ・人的資本 を開発す るための数学的 リテ ラシー ・文化的アイデンティティのための数学的 リテラシー ・社会 的変化 のための数学的 リテラシー ・環境の認識のための数学的 リテラシー ・数学 の使われ方 を評価す るための数学的 リテラシー. 以 下 で は 、 こ れ ら につ い て 、 具 体 例 を 入 れ な が ら述 べ て い く。. (1)人. 的資本 を開発するための数学的 リテラシー. Jablonkaは. 《そ れ(数. 、 こ こ で の 数 学 的 リテ ラ シ ー を 以 下 の よ う に 述 べ て い る 。. 学 は 道 具 で あ る とい う考 え)に. よれ ば 、 数 学 的 問 題 を設 定 した り解 決 す る こ. と に よ っ て ア イ デ ィ ア や 結 果 を 分 析 し、推 理 し、コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンす る 能 力 と して 、 数 学 的 リテ ラ シ ー を捉 え る こ とに な る。》(p.80). こ の 視 座 で は 、 数 学 的 リテ ラ シー を 、個 人 が 実 生 活 の 問 題 を 数 学 とい う道 具 を使 っ て 解 決 す る た め の 能 力 と位 置 づ け て い る。. 具 体 的 な 例 と し て 、 以 下 のPISAで. 定 義 され た 数 学 的 リテ ラ シ ー を 挙 げ て い る 。. 《数 学 的 リテ ラ シ ー と は 、 数 学 が 世 界 で 果 た す 役 割 を 見 つ け 、 理 解 し、 現 在 及 び 将 来 の 個 人 の 生 活 、 職 業 生 活 、 友 人 や 家 族 や 親 族 との 社 会 生 活 、 建 設 的 で 関 心 を も っ た 思 慮 深 い 市 民 と して の 生 活 に お い て 、確 実 な 数 学 的 根 拠 に も と づ き 判 断 を 行 い 、 数 学 にi携 わ る能 力 で あ る。》(p.80,訳 は 国 立 教 育 政 策 研 究 所,2007b,p.18に よ る 。). 一12一.
(17) そ し て 、Jablonkaは. 《こ のPISAで. 以 下 の よ うに 述 べ て い る。. の 数 学 的 リテ ラ シ ー の 見 方 は 、 数 学 的 な 眼 を 通 し て 世 界 を 見 る こ とが ね. らい で あ る 。 そ れ は 基 本 的 な 数 学 の 技 能 で は な く高 次 の 思 考(一. 般 的 な 問題解 決 技能. を発 展 ・応 用 す る こ と)を 強 調 して い る。ま た 、数 学 的 な 問 題 解 決 に 従 事 す る こ とが 、 積 極 的 な 態 度 と、 数 学 とそ の利 益 を正 し く認 識 す る こ とに 通 ず る。》(p.81). PISAは 、調査参加 国の生徒が、それぞれ持 ってい る知識や技能 をもとに、自らの将来の 生活 に関係す る課題 を積極的に考 え、知識や技能を活用す る能力 があるかを見 るものであ る。 PISAの. (2)文. 具 体 的 な 定 義 や 枠 組 み に つ い て は 、 後 ほ ど 、 第3節. で 詳 し く述 べ る こ とに す る 。. 化 的 ア イ デ ン テ ィ テ ィ の た め の 数 学 的 リテ ラ シ ー. 世界の各民族 が独 自に持 ってい る数学、すなわち民族数学 とい う立場か ら見た、各民族 で昔か ら使 われ てきた数学 に関す る数学的 リテラシーである。 民族数学 には、非公式 な数学的概念や計算方法な どを使用す る学校外での さま ざまな実 践 が含まれ る。例 えば、路上販売、木材 工芸をすること、洋服仕 立業、家計簿、ギャンブ ル な どが挙 げ られ る。 これ らは学校で教え られ る数学 とは異なった数学を使用 してい る。 学校数学はそれ ら学校外 の実践 とはかけ離れた存在 となっているけれ ども、それ らを結び っ けることで、学校数学 の学習 をより充実 させ るこ とが期待 できる。 ま た 、 民 族 数 学 に は 、 各 民 族 が 日常 生 活 か ら独 自 に 作 り上 げ て き た 自分 た ち の 数 学 を 学 ぶ こ と も含 ま れ る。. 日本 に お い て は 、 数 字 を漢 数 字 で 表 す 伝 統 が あ る。 領 収 書(図2-1)や. 小切 手 に金額. を 手 書 き で 記 入 す る と き に 、 漢 数 字 を使 用 す る場 合 が あ る。 ア ラ ビア 数 字 で 表 示 す るの と 比 べ 、 桁 数 を 間 違 え る こ とが 少 な い 。 ま た 、 数 字 や 桁 数 を 変 え る とい うよ うな 書 類 の 改 ざ ん を 防 ぐ た め で も あ る。. 一13一.
(18) 領. 載. 謳. 様. 髄4. ★. 弐万九千人 百円也. 艇 奪 内. ] 詔F封. 刃. 日.L耗. 匪に麟職悔、た し2し た. 盤. 艇顛奮眠 竃貿娩甑襯%}. 卯 豊闘. 図2-1=領. 収 書(ALTECHホ. ー ム ペ ー ジ よ り). 不 動 産 の 広 告 で 、土 地 の 価 格 を 表 示 す る の に 、漢 数 字 「 万 」が 使 わ れ て い る(図2-2)。 0を 書 き連 ね る よ りは 見 や す い し、 間 違 い も少 な い 。 算 数 の 授 業 で 数 を 漢 数 字 で 表 す こ と は 少 な い の だ が 、 日常 生 活 で は漢 数 字 が 根 強 く使 わ れ て い る の で あ る。. 図2-2:不. 動 産 の 広 告(東. 建=i一 ポ レー シ ョ ン ホ ー ム ペ ー ジ よ り). 一14一.
(19) ま た 、 日本 独 特 の 単 位 も あ る。 土 地 の広 さ を表 す. 「 坪 」 や 、 部 屋 の 広 さ を表 す. 「 畳 」。. 今 で は 面 積 と言 え ば 、 平 方 メ ー トル を使 うの だ が 、 平 方 メ ー トル で 表 され る表 現 よ りも、 何 坪 、 何 畳 と 言 わ れ た ほ うが 広 さ の 感 覚 と して よ く分 か る(図2-2)。. 同 じ よ うに 、 炊. 飯器 に はお 米 「 一 合 ・二 合 」 に 対 す る水 の 量 が 示 され て い る こ とや 、 「 五 寸 釘 」 の よ うに長 さ を セ ン チ メ ー トル で は な くて 「 寸 」 とい う単位 で 表 して い る。 日本 独 特 の 単 位 の 方 が な じみ 深 い と い う こ とが あ る。. (3)社. 会 的 変 化 の た め の 数 学 的 リテ ラ シ ー. Jablonkaは. 、 こ こ で の数 学 的 リテ ラ シ ー を 、 以 下 の よ う に述 べ て い る。. 《民 族 数 学 が 文 化 的 ア イ デ ンテ ィテ ィ に 焦 点 を 当 て て い る 一 方 で 、 批 判 的 教 育 学 とい う 領 域 に お い て の 数 学 教 育 は 、 批 判 的 市 民 と して の 行 動 を 目的 とす る政 治 的 視 野 を伴 う 一 つ の 事 業 と見 な され る. 。 こ こ で の 数 学 的 リテ ラ シ ー は 、 現 実 を捉 え 直 し、 違 っ た現. 実 を 追 求 す る過 程 に 参 加 す る 能 力 で あ る。》(p.85). ここでの数 学的 リテ ラシーは、社会的あるいは政治的関心、 とくに社会的不平等 を変 え る ことで現 実の側面 を発 見 した り意思伝達 した りす るための重要な道具 としての数学 とい う立場か ら見た、個人が社会的変化に対応す るための能力の ことである。 こ の 視 座 に お い て は 、 批 判 的 教 育 学 の 考 え方 も 包 含 され て お り、 「 批 判 的 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 は 、 他 人 に よ っ て 与 え られ た 統 計 的 デ ー タや 議 論 を理 解 した り、 批 判 的 に 評 価 す る た め の能 力 の こ とを あ らわす。. 「 批 判 的 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 の 例 と して 、 以 下 の よ うな こ とが 挙 げ られ る。 あ る新 聞 記 事 で 、 「 警 察 庁 の調 べ に よれ ば 、 性 犯 罪 者 の 再 犯 率 は50%を と報 道 され た(図2-3)。. 越 え て い る。」. あ ま りに も数 値 が 高 い と思 い 、 元 に な っ た 資 料 を た ず ね 、 そ. の デ ー タ か ら再 検 討 して み た 。 詳 し く資 料 を 見 て み る と、 再 犯 者 数 に 「 性 犯 罪 以外 の前科 を も つ 者 」 も 計 算 に 含 ま れ て い た 。 実 際 は16%で. あ った。. 再犯率は、 「 一 度 処 分 さ れ た 犯 罪 者 の うち 、 処 分 後 一 定 期 間 内 に 再 び 犯 罪 を 犯 す 人 の割 合 」の こ と を 指 し、再 犯 者 率 は 「 検 挙 ま た は 処 分 され た 犯 罪 者 の うち 再 犯 者 が 占 め る割 合 」 の こ とを 指 す 。これ は誤 っ て 再 犯 者 率 を再 犯 率 と して 報 じて い た め に 起 こ っ た も の で あ る。. 一15一.
(20) 口50 % 超 が. 驚察げによると、強麟と. 強斜わいせ つで検鐵さ れた. 容疑齋のうち、何らかの前. 礎を捕つ者 の割負 縛鍛 ). は ここ数掘㍉ 50 %を超え、. 30%台後雛 にとど謹 ってい る他の卿 濠犯とは大きな開. えて. 特 に、最 近は懸質献犯行. を繰り婆 9前歴蒸 図2-3:再. 奪. この よ うに 、 疑 問 を 感 じ、 批 判 的 な 見 方 で 再 検 討 す る 能 力 の こ と で あ る。. 弥 再. 磐 犯. 犯 率 の 新 聞 記 事(2004年12月31日. 読 売 新 聞 よ り). 他 に も 、 内 閣 の 支 持 率 や 視 聴 率 が 公 表 され る と き 、 た だ 数 字 だ け を 見 て 議 論 を す る の で は な く、 実 際 に そ の 数 字 に 信 用 性 は あ る の か と い うよ うな 批 判 的 な 見 方 で 検 討 を す る能 力 も 、 批 判 的 数 学 的 リテ ラ シ ー に あ て は ま る。. (4)環. 境 の 認 識 の た め の 数 学 的 リテ ラ シー. 個 人 や 狭 い 地 域 に 限 られ る 問 題 を 解 く た め の 個 々 の 力 量 だ け で は な く、 世 界 的 な 環 境 問 題 を解 決 す る 言 語 ・道 具 と して の 数 学 と い う立 場 か ら 見 た 、 環 境 に 対 す る認 識 を 高 め る能 力 の こ とで あ る。 Jablonkaは 、 環 境 問 題 に 対 し て 数 学 が 果 た す 役 割 を 以 下 の よ うに 述 べ て い る。. 《数 学 は 、 環 境 問題 に 関 して2重 学 的 概 念 を(再)公. の 役 割 を 果 た す 。 一 方 で 、 重 要 な 生 物 学 的 概 念 と物 理. 式 化 す る た め の 言 語 と して 、 数 学 が 使 用 され る。 他 方 で 、 環 境 問. 題 をモ デ ル 化 す る た め の 道 具 と して 、 数 学 が使 わ れ る。 た と え ば 、 複 雑 な シ ス テ ム を シ ミュ レー シ ョ ン した り、 生 態 系 へ の 理 論 的 洞 察 を得 る と言 っ た こ と に ま で に も 、数 学 は 利 用 され て い る の で あ る。》(p.86). 具 体 的 に は 、例 え ば 、「10年 後 の 二 酸 化 炭 素 の 排 出 量 を6%削. 減 す るた め に は どの よ う. な こ と を しな け れ ば な らな い の か 」 とい うこ とに つ い て 、 物 理 学 や 生 態 学 の 知 識 を 活 用 し. 一16一.
(21) な が ら、 確 率 論 的 な 予 想 を 立 て て 、 計 算 を し、 具 体 的 な 目標 を提 示 で き る能 力 が 、 こ こで の 数 学 的 リテ ラ シ ー で あ る 。. (5)数. 学 の使われ方 を評価す るための数学的 リテラシー. 批 判 的 な 見 方 で 数 学 を評 価 す る た め の能 力 の こ と で あ る。 具 体 的 な 例 と し て 、 次 の よ う な 能 力 が 考 え られ る 。 大 阪 府 立 成 人 病 セ ン タ ー で は 、そ こ に 入 院 され た 喫 煙 患 者 に 対 し、入 院 時 ・退 院 後 半 年 ・ 退 院 後1年 (予測 値)を. に タバ コ に 関 す る ア ン ケ ー ト調 査 を実 施 し て 、 そ の 結 果 を 分 析 し て 禁 煙 成 功 率 算 出 して い る。 そ の 率 は 、禁 煙 成 功 の 予 測 に必 要 な6つ. の 情 報(①. 性 別②年. 齢 ③ タ バ コ を 吸 っ て い る か ど うか ④ ニ コチ ン 依 存 度 ⑤ 禁 煙 成 功 の 自信 ⑥ これ ま で に 入 院 さ れ た 回数)で. 分 か る とい う。 しか しな が ら 、 本 当 に そ の6つ. の情報 で分 か るのか 、他 の要. 因 も あ る の で は な い だ ろ うか と、 批 判 的 に 考 え る 能 力 で あ る 。 ま た 別 の 例 と して 、肥 満 度 を 調 べ る と き に 、BMI指 ÷ 身 長(m)÷. 身 長(m)で. 数 を 使 う。 そ の 求 め 方 は 体 重(kg). あ る。 しか しな が ら、 本 当 に そ の 求 め 方 で 肥 満 度 を 見 て よい. の か 、 例 え ば 、 動 物 に も あ て は ま る の か 、 生 まれ た て の 赤 ち ゃ ん に もそ の 式 が 適 用 で き る の か とい う こ と に つ い て 、 批 判 的 な 目で 見 る とい う能 力 で あ る 。. 一17一.
(22) 第2節. 日本 の 文 献 に お け る 、主 とな る数 学 的 リテ ラ シ ー の 捉 え方. 長 崎 ・阿 部(2007)は. 、 日本 で 紹 介 ・発 表 され た 数 学 的 リテ ラ シ ー に つ い て の 文 献 ・論. 文 を 調 べ 、 発 表 され た論 文 の 数 を 以 下 の 棒 グ ラ フ に 表 して い る(図2-4)。[※ 一. 一. 註]. 学. 篇. ■. 20. 論憾 業 等 数鱒. 卿. II. 轟. 0. 1. E. 、 嘘_,_意. 議. 且血. 、 鐸. {. 匿. r厨. 1,一藁一. 孟. 望. 耀. 離 離 館 講 讐器鴇驚鵠 囎 欝認 葛霧瀦 鵠 雛 轡書醐 紐懲糞奮巽繋雲雲雲2韓 攣韓灘i鐸 蘂 奪繋繋繋禦鐙舞窯爲裳瀦裳鵠 図2-4=数. 学 教 育 に お け る リテ ラ シ ー の 論 文 数 の 変 遷(p.14). [※ 註] 長 崎 ・阿 部(2007)は 、 以 下 の 文 献 か ら数 学 的 リテ ラ シ ー の 論 文 の数 を 調 べ て い る。 ・『日本 数 学 教 育 学 会 誌 ・数 学 教 育 学 論 究 』(日 本 数 学 教 育 学 会)1970-2005 ・『日本 数 学 教 育 学 会 誌 ・数 学 教 育 』(日 本 数 学 教 育 学 会)1970-2005 ・『日本 数 学 教 育 学 会 誌 ・算 数 教 育 』(日 本 数 学 教 育 学 会)1970-2005 ・『数 学 教 育 論 文 発 表 会 論 文 集 』(日 本 数 学 教 育 学 会)1970-2005 ・『日本 数 学 教 育 学 会 誌 ・総 会 特 集 号 』(日 本 数 学 教 育 学 会)1970-2005 ・『全 国 数 学 教 育 学 会 誌 ・数 学 教 育 学 研 究 』(全 国 数 学 教 育 学 会)1995(創 ・『数 学 教 室 』(数 学 教 育 協 議 会)1970-2005 ・『教 育 科 学 数 学 教 育 』(明 治 図 書)1970-2000 ・『教 育 科 学 算 数 教 育 』(明 治 図 書)1970-1999 ・『新 しい 算 数 研 究 』(新 算 数 教 育 研 究 会)1970-2005 ・『科 学 教 育 研 究 』(日 本 科 学 教 育 学 会)1977-2005 ・『日本 科 学 教 育 学 会 年 会 論 文 集 』(日 本 科 学 教 育 学 会)1977-2005 ・『研 究 報 告 』(日 本 科 学 教 育 学 会)1986-2005 ・『数 学 セ ミナ ー 』(日 本 評 論 社)1970-2005 ・『数 学 の 楽 しみ 』(日 本 評 論 社)1977-2005. 一18一. 刊)-2005.
(23) こ の グ ラ フ か ら読 み とれ る こ とに つ い て 、 以 下 の よ うに述 べ て い る。. 《数 学 教 育 に お け る リテ ラ シ ー に 関 す る議 論 が な され 始 め た の は 、1980年 代 半 ば で あ り、 全 体 と して み る と数 学 教 育 に お け る リテ ラ シ ー の 議 論 は 増 加 傾 向 に あ る。》(p.13). 筆 者 が 調 べ た と こ ろ 、 こ れ らの 文 献 ・論 文 の 中 で 、 以 下 の3つ. の 数 学 的 リテ ラ シ ー の捉. え方 で議 論 され て い る もの が多 か った。. ・実 生 活 に 活 か す た め の 数 学 的 リテ ラ シ ー(PISAの ・教 養 の た め の 数 学 的 リテ ラ シ ー(マ ・高 度 情 報 化 社 会(IT社. 会)の. 数 学 的 リテ ラ シ ー). ジ ョ リテ ィ の 知 的 育 成 の た め の 数 学). た め の 数 学 的 リテ ラ シー. 1つ 目の 「 実 生 活 に 活 かす た め の 数 学 的 リテ ラ シ ー 」に つ い て は 、PISAの シ ー の こ とで あ る の で 、 後 ほ ど、 第3節. 数 学 的 リテ ラ. で 詳 し く述 べ る こ と に す る。. 本 節 で は 、(ア)「 教 養 の た め の数 学 的 リテ ラ シ ー 」 と 、(イ)「 高 度 情 報 化 社 会 の た め の 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 に つ い て 、 具 体 例 を紹 介 し な が ら述 べ て い く。. (ア)教. 養 の た め の 数 学 的 リ テ ラ シ ー(マ. 藤 田 ら(1986)は. ジ ョ リテ ィの 知 的 育 成 の た め の 数 学). 数 学 的 リテ ラ シ ー に つ い て 以 下 の よ うに 述 べ て い る。. 《日本 の よ う な 高 度 技 術 ・情 報 化 社 会 で の 数 学 教 育 の 目的 を 、 と くに 、 中 等 教 育 の そ れ を 、 進 学 者 ・非 進 学 者 を 問 わ ず 生 徒 の 数 学 的 知 性 の 酒 養 に お く こ と を 提 唱 す る もの で あ る 。 そ う して 、数 学 的 知 性 の 構 成 成 分 は 数 学 的 リテ ラ シ ー と数 学 的 思 考 か ら成 る と 考 え る 。 こ こ に 、 数 学 的 リテ ラ シー は 、a)数 盲 で は な い 状 態)に b)数. 学 に つ い て 教 育 され た 状 態(数 学 的 文. あ り、 数 学 の 機 能 に 関 して の 常 識 を 具 え て い る こ と. お よび. 学 に っ い て の 基 本 的 な 程 度 の 運 用 能 力 が あ る こ と を 意 味 して い る 。》(p.74). 大 多 数 の 生 徒 が 、 数 学 に つ い て の 常 識 を備 え て い る こ とや 、 数 学 につ い て の 基 本 的 な 能 力 を も つ こ と で あ る。 こ れ は 教 養 の た め の数 学 的 リテ ラ シ ー と言 え る。. 一19一.
(24) 具 体 的 な例 と して 、 以 下 の よ うな 内 容 が 挙 げ られ る。. 蜷 昭 和44年. に 改 訂 され た 中 学 校 学 習 指 導 要 領 で は 、 位 取 り記 数 法 に つ い て 、 二 進 法,五. 進 法 を取 り扱 う と明 記 され 、 指 導 され た(図2-5)。 二 進 法 で あ れ ば 、 バ ー コー ドや 点 字 な ど、 実 際 の 生 活 に応 用 され て い る例 が た く さ ん 挙 げ られ る。 しか しな が ら、 五 進 法 は 実 際 の 生 活 で 使 う場 面 は ほ とん ど な い 。 そ れ で も 、 五 進 法 を 学 習 す る こ と で 、 十 進 法 の 概 念 も よ く分 か る と い う こ とで 取 り扱 わ れ て い た 。n進 法 に つ い て 理 解 して い る こ とは 、 教 養 の た め の 数 学 的 リテ ラ シ ー と言 え る。. 玉. 進. 法. 十進 法では,十 ず つで上 の位 に進 むが,整 数を衷 わすのに,五 ず つ で 上 の 位 に 進 む よ うに 位 取 りを す る こ と もで き る ウ つ ま り,1が 五 つ 集 ま った も の をro,ユ0が. 五 つ 集 ま った も の を20゚,…. ・. … とい. う よ うに 褒 わ す し か た で あ るO こ の し か た で,整. 数 を1か. ら 順 に 書 い て い く とt. 1,2,3,4,10,11,12,13,14,20,21,…. の よ う に なhzす. …・. ぺ て の 整 数 を,0,1,2,3,4の5欄. の 数 字 を使. っ で 書 き 表 わ す こ と が で き る。 こ の 表 わ し方 を 五 進 法 の10は,1が 法 の100は,そ. 53,54,一. 五 つ 集 ま っ た も の だ か ら,十. れ が 置 つ 集 ま っ た も の だ か ら,十. 岡 じ よ う に,ヨ 雌. 五進 法. 法 の1◎oo,1◎o◎o,…. ・ ・を 表 わ す 。 だ か らYた. … は,そ と え ば,五. と い う。. 進 法 の5,五. 進. 進 法 の52で. あ る。. れ ぞ れ,+進. 法の. 進 法 の234は,. YUQIOt1101゚1 ・f・f. で,十. 進 法 で は,52x2十5×3十4=69. と な り,五 翻. 進 法 の234は. 五 湛 法 の234は 図2-5:五. 十 進 法 の69を. 表 わ し て い る。. 十 進 法 と 匿 別 し て 、23娠. の よ うに 書 く こ と が あ る.. 進 法 の 内 容 が 入 っ た 教 科 書(正. 一20一. 田 ら,1971,p.37).
(25) ②三平方 の定理(ピ タゴラスの定理) 中 学 校 の 学 習 で 三 平 方 の 定 理 が あ る。 教 科 書 で は 、 直 角 三 角 形 の 辺 を 一 辺 とす る 正 方 形 を 考 え 、 斜 辺 を 一 辺 とす る正 方 形 の 面 積 が 、他 の2つ. の 辺 を一 辺 とす る 正 方 形 の 面 積 の 和. と等 し く な る こ とで 三 平 方 の 定 理 を 証 明 して い る(図2-6)。. 下 の 図 の よ う に,△A8Cと A8を1辺. 奔 溝 な 湧二 角 黛 角 形 を,. と す る1蚤三 方 膨 の 外 測 に か き 繍 え て み る と,. 華 長 三芳 彩 鷺FCDが 8C驚. で き ます 。. 躍,CA綴. δ と す る と,醸. 積 左 は,. 鍍三ノゴ犀多E董 ぞ(二工)一 △ 〆kβ(二 ×4. と し て 求 め られ る の で,. 澱瓢(励)曙. 腐み×4. 端ζ ∼ 鉢2《 漁 牽 ゲ ー2諺 わ 靴 ∼ 鉢. ゲ. と な 導 ま す.. こ こ で,P靴. ノ,Q灘. ゲ. な の で,♂ 祥 々 瓢R. が 戒 り寛 ち 譲 す 、 図2-6=教. 科 書 で 取 り上 げ られ て い る 三 平 方 の 定 理 の 証 明 法(岡. 一2i一. 本 ら,poos,p.119).
(26) ユ ー ク リ ッ ドは 、 上 記 と同 じよ うに 正 方 形 を作 っ て 考 え て い る が 、 等 積 変 形 の 考 え を 用 い て 証 明 して い る(図2-7)。. 図2-7:ユ. ー ク リ ッ ドの 証 明 法(秋. 一22一. 山 ら,2002,p.7).
(27) ま た 、 上 記 以 外 に も さ ま ざ ま な 証 明 法 が あ る 。 そ の 一 例 と して 次 の よ うな も の が あ る (図2-8)。. 亀. \ 4. ゲ. / α. \\ 一. 図2-8:三. }. a`. ノ. / 。一 ノ \一. 平 方 の 定 理 の い ろ い ろ な 証 明 法(秋. 一23一. δ__一/. 山 ら,002,P.5,p.10).
(28) 有 名 な 数 学 者 の 証 明 法 を 理 解 した り、 証 明 法 を た く さ ん 知 っ て お く こ とは 、 数 学 に 対 す る 多 様 な 見 方 ・考 え 方 を 育 成 した り、 数 学 者 に つ い て の 歴 史 的 な 内 容 に ふ れ た りす る こ と が で き る 。 こ れ は教 養 の た め の 数 学 的 リテ ラ シ ー で あ る と言 え る。. (イ)高. 度 情 報 化 社 会(IT社. 会)の. た め の 数 学 的 リテ ラ シ ー. 目本 数 学 教 育 学 会 で は 、 「高 度 情 報 化 社 会 に 対 応 す る 算 数 ・数 学 教 育 の 在 り方 」 に 関 す る 特 別 委 員 会(委. 員 長 ・植 竹 恒 男)を 設 け 、1987年. に 報 告 書 を ま とめ た 。. 算数 ・数学科 におけ る基礎 ・基本 については、まず 「 高度情報化社会 において一般市民 が身につ けるべ き数学的 リテラシー(広 義の読み書き能力)は 何か」 とい う観点か ら再 検討 され なけれ ばな らない。 高度情報化社会 における数学的 リテラシー を考 える場合、 次の3つ の観点 が重要である。 ①社会 の変動 に関係 な く保持すべき能力は何か。 ②新たに開発すべ き能力、伸 ばすべ き能力は何か。 ③一般市 民は高度情報化 とともに増大 しつっ あるブ ラ ックボ ックスの 中身 について ど こま で学 習 す べ きか。 (日本 数 学 教 育 学 会 特 別 委 員 会,1987,p,33). 植 竹(1996)は. 、3つ. の観 点 の 説 明 と して 、 以 下 の よ うに 述 べ て い る 。. ① に っ い て は 、 「これ だ け の こ とは 今 ま で 通 り教 え な け れ ば な らな い 」 とい うも の は確 実 に 押 さ え 、信 念 を も っ て 教 え る と い うこ と も大 切 で あ ろ う、② に つ い て は 、適 当 な 問 題 を設 定 し て 、解 き 方 あ る い は 法 則 性 を発 見 し、そ の 正 当性 を 論 証 す る過 程 な どで 、論 理 的 な 思 考 力 を養 わ せ る こ と を 心 が け る べ き で あ ろ う、③ に つ い て は 、ブ ラ ッ ク ボ ック ス を 把 握 す る た め に 「アル ゴ リズ ム」 を 取 り上 げ る。. (植 竹,1996,PP.6-10). 特 に 、 ③ に つ い て 言 え ば 、 コ ン ピ ュー タ の利 用 に つ い て 述 べ て い る。 高 等 学 校 に お い て は 、平 成 元 年 に 改 訂 され た 学 習 指 導 要 領 か ら、 「 数 学A」 タ を 使 っ たBASICプ. 「 数 学B」. ロ グ ラ ミ ン グ の 内容 が 入 っ た(図2-9)。. 一24一. 「 数 学C」. で コ ン ピ ュー.
(29) 一. 具 体 的 に は 、コ ン ヒ。 ユ ー タ を 用 い て複 雑 な計 算 を 実 行 した り、プ ロ グ ラ ム を 作 成 した り、 統 計 的 デ ー タ を グ ラ フ化 した りす る 能 力 の こ とを 指 す 。. 174一. 第4章. コ ン ピ ュ ー タ. 1行 に蕪数 の 命令 業 を書 くには,. ダ イ レ ク ト モ ー ドの 場 合 と 同 様 に,. コ ロ ン を 用 い,. ま た,長. 同種類 の命 令 を ま とめ て讐 くときな どに利用 され る.. い プ ロ グ ラ ム の 要 所 に は 簡 単 な 説 明 を つ け て お く と,後. ら の 修 正,変. 更 が し や す く な る,こ. る,REM文. は,プ. REM一. 以 降,そ. の よ う な と き にREM文. を用 い. ロ グ ラ ム の 実 行 に は 何 の 影 響 も与 え な い,*) の 行 の 終 わ り ま で,任. る.REM扁. 以 降 を コ ◎ ン で 続 け て,命. 圃14右. の 図 の △ABCに. BCの. か. 意 の 文 宇 を 書 くこ とが で き 令 を 書 い て も 無 視 さ れ る.. お い て,辺A. 長 さZは a=∼/〃22+%2-・ZmncosA. で 与 え ら れ る.. m=12,n=15の. と き,実 行 時 に 入BtC. 力 さ れ る 角Aに. 対 して,辺BCの. 長 さ を 求 め る プ ロ グ ラ ム は,. 次 の よ う に 書 け る.圏 ◎ 0 0 ◎ ◎ 0 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8. REMREI-14:タ. イヘン. 王LAPUT"カ. クAノ. ノ. オオキ サ. ナ カNサ ハ 鱒;A. M=12SN=15 RE魏. 一一. カク. ノ. カンサン. X=A*3.14159fl80 Y-M^2+N^2-2*M*N*C◎S(X) PRINT"リC=";SQR(YI END. ・ 練 習Y7例14の. *)REMは,remarkに. 図2-9=コ. プ ログラムを入 力せ よ. .ま. た,角. ・4を60。 と して 実 行 せ よ 。. 由 来 す る.. ン ピ ュ ー タ の 内 容 が 入 っ た 教 科 書(永. 一25一. 尾 ら,1993,p.174).
(30) 第3節PISAに. 第1節. よ る数 学 的 リテ ラ シー の 捉 え 方. の ヤ ブ ロ ン カ が 捉 え た 数 学 的 リテ ラ シー に も、 第2節. い る 数 学 的 リテ ラ シ ー の 捉 え方 に も 、 とも に 、PISAに. の 日本 の 文 献 で 議 論 され て. よる 「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 の捉 え方. が 紹 介 され て い た 。 こ の 節 で は 、PISAで. (1)PISAが. 定 義 され て い る 「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 に つ い て 詳 し く述 べ る。. 行 わ れ る経 緯. 1961年 に 、経 済 に 関す る 国 際 協 力 機 関 、OECDが. 設 立 され た 。OECDは. 「 経 済 成 長 」・「 発. 展 途 上 国 援 助 」 ・「 多 角 的 な 自由 貿 易 の 拡 大 」 を 目的 と して 挙 げ て い る が 、 教 育 は 各 国 の経 済 発 展 の た め の 人 材 育 成 に 結 び っ く とい う考 え の も と に 、 教 育 を 身 の 回 りの 社 会 ・経 済 活 動 の 一 部 と し て と ら え 、 多 くの 提 言 を して い る。 ・.1年 代 、 グ ロ ー バ ル 化 の 波 が 押 し寄 せ 、先 進 国 で は 、世 界 市 場 に お け る経 済 競 争 が 激 化 し始 め た 。 自 国 の 経 済 発 展 の た め の 人 材 育 成 と して の教 育 の 重 要 性 が認 識 され る よ うに な っ た 。 国 際 的 に 見 て 、 自国 の 教 育 の 現 状 が ど の よ うな水 準 に あ る の か 、 世 界 各 国 の 教 育 を 共 通 の 枠 組 み に 基 づ い て 比 較 す る必 要 性 が 出 て き た 。 そ の位 置 づ け を 示 す 指 標(イ ィ ケ ー タ)を. ンデ. 開 発 す る気 運 が 高 ま っ て き た 。. そ こ で 、1988年. に 、OECDの. 「教 育 委 員 会 」 と. 「教 育 局 」、 そ し て 、OECD関. 連組 織 の. 「教 育 研 究 革 新 セ ン タ ー 」(CERI:CenterforEducationalResearchandInnovation、1967年 置)が. 設. 共 同 で 、 「国 際 教 育 イ ン デ ィ ケ ー タ 事 業 」(INES:IntemationalindicatorsofEducation. Systems)を. 実 施 した 。 国 際 教 育 イ ン デ ィ ケ ー タ事 業 の 目的 は 、 以 下 の と お りで あ る。. 《INESと は 、(中 略)、 各 国 の 教 育 制 度 や 政 策 を、共 通 の 枠 組 み に お い て 比 較 対 照 す る こ とが で き る よ うな 指 標(イ. ン デ ィ ケ ー タ)を 開 発 し 、 デ ー タ を 収 集 、 分 析 、 公 表 す る. こ と に よ っ て 各 国 の 教 育 政 策 の 策 定 に役 立 て る こ と を 目的 に 行 わ れ て い る 、OECDの 教 育 事 業 の 一 っ で あ る。》(渡 辺 良 ら,2003,p.3). 一26一.
(31) 国際教育イ ンデ ィケータ事業 は以下の活動を実施 してきた。. ○各国の教育 に関す る資料の収集 ・調査 ○イ ンデ ィケー タの開発 と検討 ・生 徒 の 学 習 到 達 度 に 関 す る 指 標(イ. ン デ ィ ケ ー タ). ・義 務 教 育 修 了 後 の 教 育 在 学 率 ,就 職 率 ・失 業 率 な ど、 学 校 か ら職 業 生 活 へ の 移 行 に 関 す る 指 標(イ ・授 業 時 間 数. ン デ ィ ケ ー タ). ,教 員 の 人 員,学. 校 の教 育課 程 な ど、学 習環 境 や 学 校組 織 に関す る指標. (イ ンデ ィ ケ ー タ) ○ 『Educationataglance』,『EducationPolicyAnalysis』. の刊行. 国 際 教 育 イ ンデ ィ ケ ー タ 事 業 の ま とめ と して 、 毎 年 刊 行 し て い る。. 「 国 際 教 育 イ ン デ ィ ケ ー タ事 業 」 で は 、 事 業 参 加 各 国 の 教 育 に つ い て の 調 査 や 研 究 が な され 、 教 育 に 関 す る イ ンデ ィ ケ ー タ の 開 発 に 取 り組 ん で い る。 生 徒 の 学 習 到 達 度 に 関 す る イ ン デ ィ ケ ー タ を 開発 す る 一 環 と して 、1997年 か らPISAの こ う して 、PISAはOECDの. 事 業 が 行 わ れ る よ うに な った 。. 「国 際 教 育 イ ン デ ィ ケ ー タ 事 業 」 の 一 環 で 実 施 され る よ うに. な った。. (2)PISAの ①PISAの PISAの. 概要 目的 目 的 は 以 下 の とお りで あ る。. 《読 解 リテ ラ シ ー 、 数 学 的 リテ ラ シ ー 、 科 学 的 リテ ラ シ ー と い う領 域 は 学 校 の 教 科 に対 応 して い る けれ ど も 、OECDの. 評 価 は 、 生 徒 が 特 定 の 教 科 内 容 を い か に 習 得 して い る. か を調 べ る の が 主 眼 で は な い 。 そ うで は な く、 大 人 に な っ た と き に 必 要 とな る で あ ろ う、 こ れ らの 領 域 で の 幅 広 い 知 識 と技 能 を 、 若 者 が どの 程 度 獲i得して い る か を評 価 す る こ とが 目的 な の で あ る。 した が っ て 、教 科 横 断 的 な 能 力 の 評 価 が 、OECD/PISAの 可 欠 な 部 分 で あ る。》(OECD,1999,p.9). 一27一. 不.
(32) PISA参 加国で共同 して調査全体を開発 し、国際的に標準化 された調査 を実施す ることで、 生徒の学習到達度 に関す るイ ンデ ィケータを開発 しよ うとす るのである。. ②PISAの. 実 施 年 、調 査 対象 、 調査 分野. (ア)PISAの PISAは 年 、2012年 (イ)調. 実施 年. 今 ま で に 、2000年 、2015年. と3年. 、2003年. 、2006年. ご と に 実 施 さ れ た 。 今 後 も 、2009. ご とに 実 施 され る 予 定 で あ る。. 査対象. 調 査 の 対 象 は 、 義 務 教 育 を修 了 す る15歳. 児 で あ り、 国 際 的 な 規 定 に よ り一 部 の 生 徒 を. 抽 出 して 行 わ れ て い る。 日本 で は 、 全 国 の 学 校(高 了 した 高 校1年 (ウ)調. と3年. 等 学 校)か. ら抽 出 した 、 義 務 教 育 を修. 生 を 対 象 に 行 わ れ て い る。. 査分野. 調 査 問題 の 分 野 は、 「 読 解 力 」、 「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」、 「 科 学 的 リテ ラ シ ー 」 の3分. 野が. あ る。 各 実 施 年 で そ れ ぞ れ 、 中 心 分 野 が 設 定 され て い る。. [表2-1]:PISAで. 調査年. 実施 され た分 野 と中 心分 野. 実施 された分野. 中心分野. 2000年. 読 解 力 ・数 学 的 リテラシー ・科 学 的 リテラシー. 読解力. 2003年. 読 解 力 ・数 学 的 リテラシー ・科 学 的 リテラシー ・問題 解 決 能 力. 数 学 的 リテ ラシー. 2006年. 読 解 力 ・数 学 的 リテラシー ・科 学 的 リテラシー. 科 学 的 リテ ラシー. 2009年. 読 解 力 ・数 学 的 リテラシー ・科 学 的 リテラシー. 読解力. 2012年. 数 学 的 リテ ラ シー. 2015年. 科 学 的 リテ ラ シー. 一28一.
(33) ③PISAに PISAに. お け る 数 学 的 リテ ラ シ ー の 定 義 お け る 数 学 的 リテ ラ シ ー は 、 以 下 の よ うに 定 義 され て い る。. 数学的 リテ ラシー とは、数学が世界で果 たす役割 を見つけ、理解 し、現在及び将来の個 人の生活、職業 生活、友人や家族や親族 との社会生活 、建設的で関心をもった思慮深い 市民 としての生活において、確実 な数学的根拠 にもとづ き判断を行い、数学に携わ る能 力である。. こ の 定 義 の よ り詳 細 な 内 容 は 、 以 下 の とお りで あ る 。 ① 定義 文 中の. 「 数 学 的 リテ ラ シ ー 」 とは. 「リテ ラ シ ー 」 と い う用 語 を 用 い た 理 由 は 、PISA調. 査 の 重 点 は従 来 の 学 校 の 数 学 カ リ. キ ュ ラ ム で 規 定 され た数 学 の 知 識 や 技 能 で は な い 、 とい う こ と を 強 調 す る た め で あ る。 特 にPISA調. 査 で は 、 判 断 と洞 察 が 必 要 と され る様 々 な状 況 の も とで 、 機 能 的 な利 用 が. で き る よ うな 数 学 的 知 識 を 重 視 して い る。 ② 定 義文 中 の 「 世 界 」 とは 「 世 界 」 とい う用 語 は 、個 人 が 生 活 して い る 自然 的 、社 会 的 及 び 文 化 的 環 境 を 意 味 す る。 ③ 定 義文 中 の 「 携 わ る」 と は 「 携 わ る」 と は 、 数 学 に っ い て コ ミ ュニ ケ ー シ ョン した り、 数 学 の 立 場 に 立 っ た り、 数 学 と関 連 づ け た り、 数 学 を 評 価 した り、 さ ら に は そ の よ さ を 知 り楽 しむ こ とな ど を 意 味 し、 数 学 の機 能 的 な 活 用 だ け に 限 らず 、 数 学 の 審 美 的 、娯 楽 的 な 要 素 も含 ま れ る と捉 え て い る。 ④ 定 義文 中 の 「 現 在 及 び 将 来 の 個 人 の生 活 、職 業 生 活 、友 人 や 家 族 や 親 族 と の 社 会 生 活 、. 建設的で関心を もった思慮深 い市民 としての生活」 とは 「 現在及 び将来 の個人の生活 、職業生活、友人や家族や親族 との社会生活 、建設的で関 心 を も っ た 思 慮 深 い 市 民 と して の 生 活 」 とは 、 コ ミ ュ ニ テ ィ の 市 民 と して の 生 活 と と も に 、 同 僚 や 親 族 との 私 的 生 活 、 職 業 生 活 及 び 社 会 生 活 を 指 す 。 (国 立 教 育 政 策 研 究 所,2007b,p.18). 一29一.
(34) (3)PISAの PISAに. 数 学 的 リテ ラ シ ー の 問 題 を特 徴 づ け る3つ の 側 面 お け る調 査 問 題 は 、 以 下 の3つ の 側 面 に よ っ て 特 徴 づ け られ て い る 。. ①生徒が各分野で習得する必要がある 「知識領域」 ②生徒が応用す る必要がある 「関係す る能力」 ③知識 ・技能の応用やそれが必要 とされるr状 況 ・文脈」 (国 立 教 育 政 策 研 究 所,2007b,p.13). 以 下 で は 、 数 学 的 リテ ラ シ ー の 問 題 を特 徴 づ け る これ ら の3つ れ 述 べ て い く。PISAの. 数 学 的 リテ ラ シ ー の 各 調 査 問 題 に つ い て 、3つ の 側 面 の そ れ ぞ れ ど. れ に 分 類 され て い る か は 、 国 立 教 育 政 策 研 究 所(2004b,pp.80-81)ま 所(2007b,p.226)に. の側 面 に つ い て、 それ ぞ. 掲 載 され て い る 。. 一30一. た は国立 教 育政 策研 究.
(35) ①. 「 知識領域」. 「 知 識 領 域 」 で は 、 数 学 的 な 内 容 の ま とま りを 「 量 」・「 空 間 と形 」・「 変 化 と関 係 」・「 不 確 実 性 」 の4つ. に 分 け 、 調 査 問 題 は そ の4つ. の どれ か に 分 類 され て い る。 そ れ ぞ れ の 分類. に つ い て の 内 容 は 、 以 下 の よ うに 述 べ られ て い る。 「 量」. 数 量 的 な 関係 、数 量 的 な パ タ ー ン 、 数 量 的 な 現 象 。 相 対 的 な 大 き さの理 解 、 数 の パ タ ー ン を見 つ け る こ と、 量 、 及 び 、(数 え る こ とや 測 定 の よ うに)量. と して 捉 え る こ とが 可 能 な 実 世 界 の 対 象 の 特 性 を数 を用 い 、表. す こ と。 数 を 理 解 した処 理 をす る こ と。 ま た 重 要 な の は 「 量的推 論 」で あ る。 「 量 的 推 論 」 は 、数 感 覚 、 数 を表 現 す る こ と、 演 算 の 意 味 も の 理 解 、 暗 算 や 見 積 も りに 関 わ る。 伝 統 的 な数 学 カ リキ ュ ラ ム の 内 容 にお い て は数 と最 も関 連 して い る。. 「 空間 と形」. 空間的、幾何的な現象や関係。 ものの形 の構成 を分析す るとき、対象の 性質や相対的な位置を理解す るとともにそれ らの形 が異 なる表現や異 なる次元で表 されても認識でき、類似点や相違点を探す こと。 伝統的な数学カ リキュラムの内容においては幾何 と最 も関連 している。. 「 変 化 と関 係 」:変 数 間 の 関 数 的 な 関 係 と依 存 関係 と とも に変 化 の 数 学 的 関 係 を 明 らか に す る こ と。 数 学 的 関 係 とは 方 程 式 や 不 等 式 の 形 を取 る こ とが 多 い が 、等 しい 、割 り切 れ る 、含 む 、 な どの よ り一 般 的 な 関 係 も含 む 。 関 係 は 記 号 、 代 数 、 グ ラ フ 、表 、 幾 何 的 表 現 な ど様 々 の表 現 が 役 立 っ の で 、 あ る表 現 か ら別 の表 現 に翻 訳 す る こ とは 、状 況 や 問題 を 扱 う際 に 非 常 に重 要 で あ る。 伝 統 的 な 数 学 カ リキ ュ ラム の 内 容 に お い て は 代 数 と最 も 関 連 して い る。 「 不確 実性 」. 確 率 的 ・統 計 的 な 現 象 や 関 係 で あ り、 これ ら は今 日の 情 報 化 社 会 に お い て ま す ま す 関 連 して く る。 伝 統 的 な 数 学 カ リキ ュ ラ ム の 内 容 に お い て は 統 計 や 確 率 と最 も 関 連 して い る。. (国 立 教 育 政 策 研 究 所,2007b,pp.210-211). 以 下 に 、 実 際 に公 開 され た 調 査 問題 を載 せ て お く。. 一31一.
(36) 「 量 」 の 問題 例 「 …. …. ……}吟}榊. 一. 一. i階. ,「 段 パ ター ン. }縁満 さん は・正 方形 を働 … 丸. て 階段 パ ター ン辮. iロ. ・てい ます・ 騨. 次 の よ う鍛. 階で作 って ヤコ. 』. i第. 椴 階. i. 箆3段 陵. 第 ・段 階. i. 1ヨ. 上姻 観 てわかるよう醐. さ・蜘. 段購で 楓. 第鍛 階で ・騨. ・鵬 で・副 登. iの 正方 形 を使 い ま した。i I嬉4段 …. 階で は何 個 の蕉 方 形 を使 い ます か。. i答:個 一. 閏騨r鼻r欄_一. 2-10:「. 唱胴_μ属胴一■一陣一坤囎 幽騨__輯. _____一_一. 階 段 パ タ ー ン 」 の 問 題(国. 騨」. 立 教 育 政 策 研 究 所,2004b,P.304). 「 空 間 と形 」 の 問 題 例 r-一. 脚,⇔ 輔開一一 一. 一一. 一}鱒}僻. 剛 卿眉 一 一 蝋 鱒輔輔 鱒輔聞 糊…四一-一 …. ii l花. 騨圏一一t .s. 壇i. iあ 。繍. 長、伽. の概. 甑. 伽. 外わ、を徹. 購. えて嚇. …. この 人 は巌 の よ うな デザ イ ンを考 えて い ます 。. i i←. 隅伽 』. シ. 。 ←. ●獅 扁→{. i. ←-1伽 長・が ・2mの繍. →. ←. ・一・それ禰. デザ・・の曝. 糞{加 → 織. とができ・ず轍{. …. L-__ 2-11=「. 32メ ー トル の木 材 で、 で き るか で き ない か. デ ザ イ ンA.. で き る/で. きな い. デ ザ イ ンs. で きる/で. きな い. デ ザ イ ンC. で きる/で. きな い. デ ザ イ ンD. で きる/で. きな い. 花 壇 」 の 問 題(国. 立 教 育 政 策 研 究 所,2004b,p.117). 一32一. 臨ー i き 箋 8⋮ 8重 ⋮. デザインの癒類. ー. き る」 ま た は 「で きな い」 の どち らかを ○ で蜀 ん で くだ さい。1.
(37) 「 変化 と関係 」 の 問題 例 レ脚シングカーの建痩 下 の グ ラ フ穏 、33kリの. 平 らな サー キ ッ トで 、レ ー シ ング カ ー の 露周 紹 の趨 度 が ど の よ. う に 変 化 した か を添 した も の で す ⇔ ・. 総趨. 肇幾3㎞. の サ ー キ ッ トで の レ ー シ ン グ カ ーの 遮 度. 伽 鱒剛. α 霞欝}. 鵬捲 伽 櫛8。 6・ 鱒2・ 。. レ. 騰 茎 レーシ ングカーの蓮度 ス ター トライ ンか ら、 もっ とも蔑 い痘線 ニースが始 まる地点 該での 、およその繊離 糠次の うち どれですかゆ A◎.5km 葦3ユ.5㎞. 2-12=「. C2.諏. 鰍,. D潔.6な. 恥. レー シ ン グ カ ー の 速 度 」 の 問 題(国. 立 教 育 政 策 研 究 所,2002,p.115). 「 不確実性」の問題例 …"1. 6喝 ・・ ろ嫡 のキヤンデ・1 明 さ ん に お母 さ んが バ ッグ か らキ ャ ンヂ ィを1個 取 る よう に誉 い ま した 。 畷 さん は キ ャ ン. i. デ ィ を見 る こ とが で きま せ ん。 バ ッグ の 中 の キ ャ ンデ ィの 色 ご と の数 は下 の グ ラフ の麺 りで す。魑 8 6 i a. 2. :. ピ. レ ≧. ン ク. ン. 紫. 茶. 明 さん が 赤 い キ ャ ンデ ィ を取 る確 率 はい く らです か。 ALD% B20%. }. C25% D50% も一冒. 2-13:「. い ろ い ろ な 色 の キ ャ ン デ ィ 」 の 問 題(国. 一33一. 立 教 育 政 策 研 究 所,2004b,p. .321).
(38) ② 「関 係 す る 能 力 」 PISAで. は 、生 徒 が 数 学 の 問 題 を解 決 す る と き に 必 要 とす る 能 力 に つ い て 、以 下 の8つ. の. 要 素 が あ る と捉 え て い る。. 1.思. 考 と推 論. ① 数 学 に 特 有 な 質 問 を す る こ と(「 … は あ ります か 」 「も しそ うな ら、 そ の数 は どの く らい で す か 」 「どの よ うに見 つ け る こ とが で き ます か 」)を 示 す こ と ② これ らの 質 問 に 対 して 数 学 が提 示 す る答 え の種 類 を知 る こ と ③ 異 な る種 類 の 言 明 を 区 別 す る こ と(定 義 、 定理 、 推 測 、 仮 説 、 例 、 条 件 付 き主 張) ④ 与 え られ た 数 学 的 概 念 の 範 囲 と限 界 を 理 解 し、 処 理 す る こ と 2.論. 証. ① 数 学 的 な 証 明 と は どの よ うな も の で 、他 の 種類 の 数 学 的 な 推 論 と ど う違 うか を知 る こ と ② 異 な る タ イ プ の 一 連 の 数 学 的 議 論 を た ど り、評 価 す る こ と ③ 発 見 法 に 対 す る感 覚 を 身 にっ け る こ と(「何 が起 こ り得 る か(得 な い か)」、 「 な ぜ 起 こ り得 るの か(得 な い の か)」) ④ 数 学 的 議 論 を構 築 し、 表 現 す る こ と 3.コ. ミュニ ケ ー シ ョン. ① 様 々 な 方 法 で 、 数 学 的 な 内 容 を持 っ 事柄 に つ い て 口頭 あ る い は書 面 で 自分 を表 現 す る こ と ② これ ら の 事 柄 に 関 す る 、 他 の 人 の 書 面 ま た は 口頭 に よ る説 明 を理 解 す る こ と 4.モ. デル化. ① モ デ ル 化 され る 場 や 状 況 を構 造 化 す る こ と ② 「 現 実 」 を数 学 的 構 造 へ と翻 訳 す る こ と ③ 「 現 実 」 とい う観 点 か ら数 学 的 モ デ ル を解 釈 す る こ と ④ 数 学 的 モ デル を扱 うこ と ⑤ モ デル を検 証 す る こ と ⑥ モ デ ル と そ の 結 果 に つ い て の 批 判 を熟 考 し、 分 析 し、 提 供 す る こ と ⑦ モ デ ル と そ の 結 果(結. 果 の 限 界 を含 む)に. ⑧ モ デ ル 化 の 過 程 を 監 視 し、 統 制 す る こ と. 一34一. つ いて 伝 達す る こ と.
(39) 5.問. 題 設 定 と解 決. ① 様 々 な種 類 の 数 学 的 問題(「 純 粋 」、 「 応 用 」、 「自 由記 述 式 」、 「 多 肢 選 択 式 」な ど)を 設 定 し、 定 式 化 し、 定 義 づ けす る こ と ② 異 な る 種 類 の 数 学 的 問題 を 様 々 な 方 法 で解 く こ と 6.表. 現. ① 表 現 形 式 が 異 な る数 学 的 な 対 象 物 と状 況 に つ い て 、 及 び 様 々 な表 現 の 間 の 相 互 関係 に つ い て 、 解 読 し、 コー ド化 し、 変 換 し、解 釈 し、 区別 す る こ と ② 状 況 や 目 的 に 応 じて 、 異 な る形 式 の表 現 の 中 か ら選 択 し、 切 り替 え る こ と 7.記. 号 言 語 、公 式言 語 、技 術 的 言語 、演 算 を使 用す る こ と. ① 記 号 言 語 及 び 公 式 言 語 を解 読 し、解 釈 す る こ と ② 自然 言 語 との 関 係 を 理 解 す る こ と ③ 自然 言 語 か ら記 号 言 語/公 式 言 語 に 変換 す る こ と ④ 記 号 及 び 公 式 を 含 む 記 述 や 式 を 扱 うこ と ⑤ 変 数 を使 う こ と 、 方 程 式 を解 く こ と、 計 算 を行 う こ と 8.支. 援 手 段 と道具 の 使 用. ① 数 学 的 な 活 動 を支 援 す る各 種 支 援 手 段や 道 具(情 報 技 術 ツ ー ル を 含 む)に つ い て 知 り、 こ. れを利用す ることができること ② これ ら支援手段 な らびに道具の限界を知 ること (国 立 教 育 政 策 研 究 所,2004a,p.31). 「 関係 す る能力 」 で は、 「 再 現 ク ラ ス タ ー 」・「 関 連 付 け ク ラ ス タ ー 」 ・「 熟 考 クラ スター」 の3つ. の 段 階 が 設 定 され て い る。 そ れ ぞ れ の 内容 は 、 以 下 の よ うに 述 べ られ て い る。. 一35一.
関連したドキュメント
また,文献 [7] ではGDPの70%を占めるサービス業に おけるIT化を重点的に支援することについて提言して
この説明から,数学的活動の二つの特徴が留意される.一つは,数学の世界と現実の
いない」と述べている。(『韓国文学の比較文学的研究』、
・学校教育法においては、上記の規定を踏まえ、義務教育の目標(第 21 条) 、小学 校の目的(第 29 条)及び目標(第 30 条)
本案における複数の放送対象地域における放送番組の
年間約5万人の子ども達が訪れる埋立処分場 見学会を、温暖化問題などについて総合的に
大学図書館では、教育・研究・学習をサポートする図書・資料の提供に加えて、この数年にわ
社会学研究科は、社会学および社会心理学の先端的研究を推進するとともに、博士課