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命の繋がり : 芸術的観点から探求する生命の本質 [要旨]

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Academic year: 2021

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氏 名 山 田 彩 加 ヨ ミ ガ ナ ヤマダ アヤカ 学 位 の 種 類 博 士 ( 美 術 ) 学 位 記 番 号 博 美 第 427号 学 位 授 与 年 月 日 平 成 26年 3月 25日 学 位 論 文 等 題 目 〈 論 文 〉 命 の 繋 が り - 芸 術 的 観 点 か ら 探 求 す る 生 命 の 本 質 - 〈 作 品 〉 生 命 の 変 容 と 融 合 - 0 へ の 回 帰 - 手 向 け ら れ た 花 を も 、 命 と 共 に 霞 ゆ く 情 景 memento mori 論 文 等 審 査 委 員 ( 主 査 ) 東 京 藝 術 大 学 教 授 ( 美 術 学 部 ) 東 谷 武 美 ( 論 文 第 1 副 査 ) 東 京 藝 術 大 学 准 教 授 ( 美 術 学 部 ) 佐 藤 直 樹 ( 作 品 第 1 副 査 ) 東 京 藝 術 大 学 准 教 授 ( 美 術 学 部 ) 三 井 田 盛 一 郎 ( 副 査 ) 東 京 藝 術 大 学 准 教 授 ( 美 術 学 部 ) 坂 田 哲 也 ( 論 文 内 容 の 要 旨 ) 序 論 「 命 の 繋 が り 」 と は 、 宇 宙 の 誕 生 か ら 過 去 ・ 現 在 ・ 未 来 を 通 じ て 、 全 て の 時 間 と 空 間 の 中 で 生 じ る 命 の 連 鎖 で あ る 。 宇 宙 の 誕 生 か ら 現 代 ま で の 約 数 百 億 年 の 間 に 、 万 物 の 基 と な る 物 質 は 、 様 々 な 惑 星 ( 太 陽 系 ・ 地 球 等 ) を 形 成 し た 。 地 球 上 で 誕 生 し た 原 始 生 物 が 、 進 化 と 共 に 絶 滅 と 生 成 を 繰 り 返 し 、 種 の 多 様 性 を 得 て 過 去 ・ 現 在 ・ 未 来 を 通 じ て 共 存 し て い る 。 命 の 連 鎖 と は 、 森 羅 万 象 に 共 通 す る 最 小 の 物 質 ( 粒 子 ) か ら 細 胞 が 誕 生 し 、 多 種 多 様 な 生 物 へ と 進 化 を 経 る 中 で 、 生 と 死 を 通 じ て 生 物 か ら 再 び 粒 子 へ と 還 元 さ れ る 一 連 の 過 程 で あ り 、 更 に そ の 生 成 と 分 解 を 全 て の 生 物 が 同 様 に 繰 り 返 す こ と で あ る 。 そ の 一 連 の 中 で 、 生 物 は 時 代 毎 に 子 孫 を 残 し 、 自 ら の 遺 伝 情 報 の 伝 達 と 種 の 保 存 を 本 能 的 に 行 っ て い る 。 生 物 間 の 異 種 ・ 同 種 が 互 い に 連 関 し 共 存 す る 上 で 、 生 存 維 持 に 必 要 な 環 境 や 活 動 が 成 り 立 っ て い る の で あ る 。 「 命 の 繋 が り 」 を 創 作 概 念 と し て 確 立 し た の は 、 生 物 間 に お け る 形 態 の 類 似 性 に 感 銘 を 受 け た か ら で あ っ た 。現 在 の 生 物 間 に 見 ら れ る 形 態 や 性 質1の 類 似 性 は 、全 て の 生 命 が あ る 根 源 的 な 共 通 祖 先( 原 始 生 物 )か ら 多 種 多 様 に 進 化 し た 存 在 で あ る と い う こ と を 示 唆 し て い る 。 原 始 生 物 を 構 成 し て い る の は 、 極 め て 小 さ な 物 質 ( 粒 子 ) で あ り 、 こ れ を 「 物 質 的 な 命 の 本 質 」 と す る 。 そ れ ら の 物 質 は 森 羅 万 象 を 構 成 し 、 生 物 の 生 と 死 を 通 し て 過 去 か ら 未 来 に 掛 け て 輪 の よ う な 一 連 の 繋 が り 、「 命 の 連 鎖 」を 形 成 し て い る と 考 え る 。し か し 、多 種 多 様 な 生 物 の 中 で 、 人 類 は 他 の 生 物 よ り 脳 が 進 化 し 、 約 数 千 年 の 間 に 生 命 活 動 に 加 え て 極 め て 理 知 的 な 活 動 を 営 ん で き た 。 進 化 と 共 に 知 能 や 心 、 精 神 の 働 き は 複 雑 化 し 、 そ れ ら が 蓄 積 さ れ た 固 有 の 存 在 が 全 て 無 に 帰 す る と い う「 死 」の 存 在 に つ い て 、人 類 が 考 察 し 始 め た こ と は 必 然 で あ っ た 。「 死 後 肉 体 は 消 滅 す る 。で は 、 心 や 精 神 、 我 々 の 存 在 と 行 方 は ど う な る の か 」 と い う 極 め て 不 明 瞭 な 問 題 を 浮 き 彫 り に し 、 ま た 未 解 決 の ま ま 、 未 だ 問 い 続 け て い る の で あ る 。 本 論 文 で は 、ま ず 、心 や 精 神・意 識 等 の「 形 而 上 的 な 存 在 」の 根 底 を 成 す も の と し て 、「 形 而 上 的 な 存 在 の 本 質 」 が 存 在 す る と 仮 定 す る 。 物 質 的 な 存 在 の 本 質 が 、 生 命 の 死 後 自 然 へ と 還 元 さ れ 循 環 し て い く こ と に 対 し て 、 形 而 上 的 な 存 在 の 本 質 は ど の よ う な 状 態 を 持 っ て 変 化 し 、 或 い は 存 在 す る の か に つ い て 、 芸 術 的 観 点 か ら 考 察 す る 。 1毛 細 血 管 と 植 物 の 根 等 の 形 態 や 、 恒 常 性 ・ 自 己 複 製 能 力 ・ エ ネ ル ギ ー の 変 換 を 行 う 等 の 性 質 。

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本 論 文 の 構 成 は 以 下 の 通 り で あ る 。 第 1章 本 質 の 探 究 方 法 本 章 で は 、 万 物 が 形 成 す る マ ク ロ コ ス モ ス に 対 応 し た 、 一 つ の 生 命 の 内 に 形 成 さ れ る ミ ク ロ コ ス モ ス 的 観 点 を 基 に 、 様 々 な 哲 学 的 方 法 論 や 、 そ れ に 基 づ く 芸 術 作 品 を 参 照 す る 。 そ の 上 で 、「 形 而 上 的 な 存 在 の 本 質 」 が 、 過 去 ・ 現 在 ・ 未 来 に お い て ど の よ う な 状 態 を 持 つ の か 、 ま た 繋 が り を 形 成 す る の か に つ い て 探 求 す る 。 第 1節 「 心 と は 何 か - 形 而 上 的 な 存 在 と 、 そ の 本 質 に つ い て 」 で は 、「 形 而 上 的 な 存 在 」 で あ る 心 や 精 神 、 記 憶 等 の 現 世 に 纏 わ る 固 有 的 な 意 識 、 ま た そ れ ら の 本 質 の 存 在 に つ い て 考 察 す る 。 心 等 の 形 而 上 的 な 存 在 は 、 生 き て い る 限 り 身 体 と い う 物 体 に 付 随 す る 形 で 存 在 し て い る 。 心 や 精 神 或 は 魂 で あ り 、 そ の 本 質 は 死 後 、 物 質 で あ る 身 体 と 不 可 分 な 関 係 か ら 解 放 さ れ る 中 で 、 ど の よ う に 状 態 を 変 化 さ せ る の か 。 ま た 、 物 質 の 循 環 と 同 様 に 繋 が り を 形 成 す る の か に つ い て 、探 求 す る 。第 2節「 超 自 然 的 存 在 に つ い て 」で は 、超 自 然 的 存 在( す な わ ち 神 の 存 在 ) に つ い て 参 照 す る 。 理 知 的 な 働 き を 行 う 脳 を 持 つ 人 類 は 、 古 代 か ら 超 自 然 的 、 す な わ ち 神 の 存 在 を 信 じ て い た 。 こ の 超 自 然 的 存 在 に 基 づ く 思 想 が 、 私 達 人 類 の 身 体 と 精 神 を 分 類 し 、 心 で あ り 精 神 或 は 魂 の 存 在 が 、 異 世 界 を 通 じ て 延 々 と 繰 り 返 す こ と を 認 識 付 け た の で あ る 。 第 3節 、「 意 識 の 純 化 」 で は 、 形 而 上 的 な 存 在 の 本 質 を 見 出 す た め 、 理 性 的 な 意 識 の 純 化 ( 既 成 概 念 の 純 化 ) を 行 う 方 法 に つ い て 考 察 す る 。 第 1項「 超 越 的 自 覚 へ の 探 求 」で は 、形 而 上 的 な 存 在 の 本 質 を 見 出 す 方 法 と し て 、存 在 論 を 考 察 す る 上 で の 現 象 学 の 方 法 を 参 考 と し 、意 識 の 純 化( 既 成 概 念 の 純 化 )を 試 み る 。「 我 思 う 、ゆ え に 我 あ り 」と い う ル ネ・デ カ ル ト ( 1596〜 1650年 ) の 言 葉 は 、 全 て の 存 在 に 確 実 性 が 無 い 中 で 、 唯 一 の 確 実 な 存 在 と し て 認 識 さ れ る の が「 自 己 」で あ る こ と を 決 定 付 け た 。こ れ は ミ ク ロ コ ス モ ス 的 観 点 に 基 づ い て 、「 存 在 」に つ い て の 真 の 本 質 が 、 自 己 を 自 己 の 内 に 向 け て 深 淵 に 探 求 す る 上 で 見 出 せ る 可 能 性 を 示 し て い る 。 第 2項 「 終 末 へ 向 か う 存 在 」 で は 、第 1項 で 試 み た 意 識 の 純 化 か ら 、存 在 の 本 質 へ と 近 付 く 方 法 に つ い て 、マ ル テ ィ ン・ハ イ デ ッ ガ ー( 1889 〜 1976年 ) の 著 書 『 存 在 と 時 間 』 を 基 に 、 考 察 す る 。 ハ イ デ ッ ガ ー が 導 き だ し た 「 存 在 の 本 質 」 へ と 近 づ く 方 法 と は 、「 死 を 自 覚 す る こ と 」、「 死 に 直 面 す る こ と 」 で あ る と 推 測 さ れ た 。 第 3項 「 フ ラ ン シ ス コ ・ デ ・ ゴ ヤ —四 大 版 画 よ り 」で は 、ハ イ デ ッ ガ ー の 思 想 か ら 連 想 す る 画 家 と し て 、フ ラ ン シ ス コ・デ・ゴ ヤ( 1746〜 1828 年 ) の 作 品 で あ る 《 四 大 版 画 》 を 参 照 す る 。 こ れ ら 一 連 の 作 品 か ら ゴ ヤ は 、 理 性 の 中 に こ そ 、 人 間 と し て の 「 真 の 本 質 」 が あ る と 考 え て い た と 推 測 さ れ る 。 人 間 と し て の 「 真 の 本 質 」 と は 、 す な わ ち 「 理 性 ( 理 性 の 光 )」で あ り 、こ れ は 根 幹 と な る 生 命 の 本 質 に 加 味 さ れ た も の で あ る と 考 察 す る 。人 間 と は 、理 知 的 な 精 神( 理 性 )を 持 つ 生 物 で あ る 。そ の 中 で 、純 化 さ れ た 意 識 、形 而 上 的 な 存 在 の 本 質 を 探 求 す る た め に は 、人 間 を「 人 間 」と し て 成 立 さ せ る 理 性( 高 度 な 意 識 )を 排 除 す る の で は な く 、「 純 化 」し な け れ ば な ら な い 。「 純 化 す る 」 と は 、 人 間 と 不 可 分 な 関 係 で あ る 理 性 ( 意 識 ) の 、 更 に 奥 へ と 思 考 を 重 ね て 行 く こ と で あ る 。 本 項 で は 、 ゴ ヤ の 理 性 的 な 思 想 と 、 超 現 実 的 ・ 幻 想 的 な 思 想 と を 対 照 し 、 存 在 の 本 質 の 展 開 を 試 み る 。 第 2章 時 間 と い う 概 念 本 章 で は 、 マ ク ロ コ ス モ ス 的 な 観 点 に お い て 、 科 学 的 な 考 察 を 基 に 、 時 間 と 空 間 の 密 接 な 関 係 に つ い て 考 察 す る 。 形 而 上 的 な 存 在 で あ り そ の 本 質 を 含 む 万 物 は 、 時 間 や 空 間 と 密 接 な 関 わ り を 持 っ て い る 。 ま た 、 時 間 や 空 間 に は 形 が な く 、 概 念 的 な も の で あ る 。 以 上 の 関 連 性 か ら 、 生 命 の 生 と 死 、 万 物 の 創 造 に 深 く 関 わ る 時 間 や 空 間 の 「 真 の 本 質 」 を 考 察 す る こ と が 、 形 の な い 存 在 の 本 質 を 見 出 す 鍵 に な る の で は な い か と 推 測 さ れ た 。そ の 上 で 、第 1節「 時 間 と い う 象 徴 I—時間と空間」では、世界的に著名な科学者である、アルベルト・ ア イ ン シ ュ タ イ ン ( 1879〜 1955年 ) の 研 究 の 一 端 を 参 照 し 、 真 の 時 間 に つ い て 考 察 す る 。 ま た 、 現 在 研 究 さ れ て い る 多 次 元 空 間 や ゆ ら ぎ の 存 在 に つ い て 参 照 し 、存 在 の 本 質 を 見 出 す 可 能 性 を 探 る 。第 2項「 時 間 に よ る 象 徴 Ⅱ —メ メ ン ト・モ リ 」、第 3項「 時 間 に よ る 象 徴 Ⅲ 」で は 、形 而 上 的 な 概 念( 時 間 )を 芸 術 的 観 点 か ら 考 察 す る 。 形 而 上 的 な 存 在 を 探 求 す る 上 で 、 ア ル ブ レ ヒ ト ・ デ ュ ー ラ ー ( 1471〜 1528年 ) の 銅 版 画 作 品 や 、 納 骨 堂 で の 装 飾 を 参 照 し 、 時 間 の 経 過 を 表 す 芸 術 的 モ チ ー フ ( 芸 術 に よ る 概 念 の 象 徴 化 ) に つ い て 着 目 す る 。 時 計 や 砂 時 計 、 骸 骨 、 枯 れ た 植 物 等 は 、「 メ メ ン ト ・ モ リ ( 死 を 想 え )」 と い う メ ッ セ ー ジ を 含 み 、 死 を 象 徴 す る 芸 術 的 な モ チ ー フ と し て 用 い ら れ て き た 。 こ れ ら の モ チ ー フ は 、 時 間 の 経 過 と 共 に 近 付 く 死 の 出 来 事 や 肉 体 の 老 化 ・ 消 滅 を 、 間 接 的 に 示 唆 し て い る 。 こ の よ う に 芸 術 作 品 は 、 形 而 上 的 な 存 在 を 実 存 す る 物 質 と 結 び

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つ け 、 象 徴 化 す る こ と が 可 能 な の で あ る 。 第 3章 創 作 過 程 及 び 作 品 に つ い て 本 章 で は 、 以 上 ま で に 考 察 し た 探 求 方 法 を 踏 ま え て 、 創 作 概 念 で あ る 「 命 の 繋 が り 」 に 基 づ い た モ チ ー フ に つ い て の 考 察 で あ り 、版 表 現 と そ の 作 品 に つ い て 説 明 す る 。第 1節「 幻 想 と 夢 ― オ デ ィ ロ ン・ル ド ン 」で は 、 芸 術 行 為 を 通 じ て 、 作 品 に 自 身 の 生 命 を 呼 応 さ せ た オ デ ィ ロ ン ・ ル ド ン ( 1840〜 1916年 ) の 生 涯 と 作 品 に つ い て 参 照 す る 。 幻 想 の 作 品 世 界 に 残 さ れ た 「 心 の 投 影 」 は 、 自 身 の 制 作 姿 勢 に 共 鳴 し て い る 。 ル ド ン の 石 版 画 に よ る 幻 想 の 世 界 で は 、 無 ・ 無 意 識 を 連 想 さ せ る 「 黒 」 に よ っ て 、 非 現 実 的 で 超 越 的 な 精 神 世 界 へ と 導 か れ る 。 ル ド ン の 幻 想 的 な 作 品 か ら 、 形 而 上 的 な 存 在 ( の 本 質 ) が 作 品 と い う 形 を 借 り て 、 ど の よ う に 象 徴 化 さ れ て い る の か を 参 照 す る 。 第 2節 「 形 態 の 類 似 性 に よ る 繋 が り の 可 能 性 」 で は 、「 命 の 繋 が り 」 に 基 づ く 物 質 的 観 点 か ら 、 生 物 間 の 形 態 の 類 似 性 に つ い て 述 べ る 。 第 3節 、「 制 作 方 法 及 び 作 品 に つ い て 」 の 第 1項 で は 、 本 論 で 考 察 し た 「 命 の 繋 が り 」 の 探 求 方 法 を 基 に 、 形 而 上 的 な 観 点 ( 抽 象 的 な 描 写 ) と 、 物 質 的 な 観 点 ( 写 実 的 な 描 写 ) を 画 面 上 で 連 関 さ せ る 制 作 方 法 及 び 作 品 に つ い て 述 べ る 。 第 2項 ・ 第 3項 で は 、 ア ル ミ 板 や 石 版 を 用 い た リ ト グ ラ フ 制 作 の 方 法 に つ い て 述 べ 、 版 画 作 品 ・ 印 刷 技 法 の 変 遷 に つ い て 概 観 す る 。 ま た 、 今 後 の オ リ ジ ナ ル 版 画 ( 創 作 版 画 ) が ど の よ う に 展 開 さ れ る べ き か に つ い て 論 じ る 。 結 論 本 論 で は 「 命 の 繋 が り 」 を 形 而 上 的 、 物 質 的 な 観 点 の 2 つ の 視 点 か ら 考 察 し た 。 自 身 の 創 作 活 動 と は 、 精 神 的 或 は 物 理 的 な 働 き か け が 一 つ の 画 面 上 で 融 合 し た 上 で 、 初 め て 成 立 す る も の で あ る 。 現 代 に お い て 芸 術 は 様 々 な ジ ャ ン ル に 別 れ 、 多 様 化 し 続 け て い る 。 そ の 中 で オ リ ジ ナ ル 版 画 ( 創 作 版 画 ) と は 、 今 日 ま で の 伝 統 的 な 表 現 の 良 さ 、 或 は 尊 さ を 軸 に 保 ち な が ら 、 新 た な 表 現 へ と 更 に 発 展 す る 可 能 性 を 秘 め て い る 。 芸 術 ・ 創 作 版 画 も 生 命 の 連 鎖 と 同 様 に 、 根 源 的 な 部 分 を 大 切 に 保 ち 、 ま た 後 世 に 伝 達 す る 上 で 、 新 た な 進 化 を 経 て い る の で あ る 。 作 品 に 描 写 し た 渦 巻 く 線 や 編 み 目 の よ う に 、 根 源 的 な 生 命 は 過 去 か ら 未 来 に か け て 渾 然 一 体 と な り 森 羅 万 象 の 中 で 延 々 と 循 環 を 繰 り 返 す 。 こ の よ う な 「 物 質 的 存 在 の 本 質 」 の 推 移 に 対 し て 、「 形 而 上 的 存 在 の 本 質 」 は ど の よ う な 状 態 を 経 て い く の で あ ろ う か 。 そ れ ら の 「 生 命 の 本 質 」 を 唯 一 形 と し て 具 現 化 し 、 後 世 に 繋 い で 行 く こ と が 可 能 で あ る の は 、 芸 術 と い う 固 有 の 分 身 的 存 在 な の で あ る 。 ( 博 士 論 文 審 査 結 果 の 要 旨 ) 山 田 氏 の 作 品 は 、 身 体 の ミ ク ロ コ ス モ ス と 宇 宙 の マ ク ロ コ ス モ ス の 照 応 関 係 に 着 目 し 、 そ れ を 西 洋 の 過 去 の 巨 匠 た ち 、 す な わ ち デ ュ ー ラ ー の 技 法 、 ル ド ン や ゴ ヤ の モ チ ー フ 、 ブ レ ス ダ ン の 表 現 方 法 を 用 い て 表 現 し た も の で あ っ た 。 山 田 氏 は 自 作 の イ ン ス ピ レ ー シ ョ ン ソ ー ス や 制 作 動 機 な ど を 俯 瞰 の 視 線 で 冷 静 に 見 つ め 、 詳 細 に 論 じ た 点 が と り わ け 評 価 に 値 す る と 思 わ れ る 。 提 出 作 品 と 呼 応 す る 、 優 れ た 論 文 で あ る 。 ( 作 品 審 査 結 果 の 要 旨 ) 山 田 彩 加 の 博 士 審 査 の 作 品 群 に は 根 底 的 に 生 死 の 問 題 が 横 た わ っ て い る 。 こ れ を そ の ま ま 二 項 対 立 関 係 を 維 持 し な が ら 、 い く つ か の キ ー ワ ド “ 形 而 上 、 形 而 下 ”“ 精 神 と 身 体 見 え る も の と 見 え な い も の ”“ 象 徴 と 運 動 ” な ど を 繋 ぐ よ う に 思 考 し 、 リ ト グ ラ フ 版 画 作 品 へ と 結 実 さ せ て い る 。 作 品 は 、 女 性 像 や 動 物 を 主 題 と し て 、 美 術 解 剖 学 の 研 究 書 や 標 本 か ら 得 た 血 管 や 神 経 細 胞 の 構 造 と 、 作 者 が 解 釈 す る 自 然 や 宇 宙 の 象 徴 と し て の 植 物 の 構 造 が 融 合 変 質 し 、奇 妙 で 薄 い 重 層 的 な 構 造 が 展 開 さ れ て い く 、 極 め て 緻 密 細 密 な も の で あ る 。 こ の リ ト グ ラ フ 作 品 で は 、 モ ノ ク ロ ー ム の 表 現 が 徹 底 さ れ る 。 し か し 、 山 田 の モ ノ ク ロ ー ム 表 現 は 不 思 議 と 華 や か さ を 備 え る 。 こ れ は 、 コ ン セ プ ト と し て ネ ガ ポ ジ で あ れ ば 、 ネ ガ の 部

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分 に 触 れ る こ と を 続 け な が ら 、 あ る 軽 や か な 明 る さ に 至 る 作 家 の 資 質 に よ る と 考 え ら れ る が 、 同 時 に こ の 気 の 遠 く な る よ う な 制 作 を 支 え る 強 い 精 神 性 と も め ぐ り あ う 。 博 士 論 文 の 中 に も 登 場 す る オ デ ィ ロ ン ・ ル ド ン の “ モ ノ ク ロ ー ム は 脳 か ら 手 へ と 直 接 イ メ ー ジ を 伝 え る 精 神 の た め の 働 き 手 ” と い う 言 葉 は 、 他 に 大 き な 影 響 関 係 を 自 覚 す る ロ ド ル フ ・ ブ レ ス ダ ン 、 フ ラ ン シ ス コ ・ デ ・ ゴ ヤ の 制 作 活 動 と と も に 山 田 作 品 に と っ て 重 要 な 位 置 を 占 め て い る 。 モ ノ ク ロ ー ム と い う 要 素 と 同 様 に 重 要 な 問 題 と し て 「 紐 、 網 目 = 時 間 イ メ ー ジ 」 が あ る 。 描 か れ た も の を 具 体 的 に 名 指 せ ば 、 単 に 血 管 や 神 経 、 木 の 根 の 形 状 で あ る が 、 こ の 作 品 の 大 部 分 を 占 め る 網 目 状 の イ メ ー ジ は 、 抽 象 的 で 名 指 し よ う の な い 不 気 味 さ を 感 じ る も の で も あ る 。 こ れ は 、 見 か け の 作 品 主 題 で あ る 女 性 や 胎 児 の 顔 、 動 物 や 時 計 等 の 見 え る も の に 対 立 す る 、 影 の 主 題 と な っ て い る 。 無 意 識 の 言 葉 の 寄 り 添 わ な い 膨 大 な 作 業 で あ り 、“ 見 え る も の ”に 対 立 す る“ 見 え な い も の ”、“ 生 ”に 対 立 す る“ 死 ”と し て 、作 者 は 強 く 自 覚 し て い る の で あ る 。 以 上 の よ う に 本 作 品 は 、 作 者 の 精 神 性 が 繊 細 な 理 論 の 構 築 、 制 作 上 の 技 術 に 裏 付 け ら れ 、 大 変 に 高 質 で あ る 。 本 審 査 グ ル ー プ は こ の こ と を 高 く 評 価 し 本 作 を 博 士 号 に ふ さ わ し い も の と 判 断 し た 。 ( 総 合 審 査 結 果 の 要 旨 ) 本 論 文 は 、 作 品 と 共 に 絵 画 ( 美 術 ・ 人 間 の 生 命 そ の も の の 在 り 様 と 変 容 等 に つ い て ) の 持 つ 純 粋 な 可 能 性 を 模 索 す る と 共 に 、 自 己 と 宇 宙 ・ 自 然 と の 関 係 を 検 証 す る 試 み と し て 始 ま っ て い る 。 始 め に 序 章 と し て 「 命 の 繋 が り 」 と は 宇 宙 の 誕 生 か ら 過 去 、 現 在 、 未 来 を 通 じ て 全 て の 時 間 と 空 間 の 中 で 生 じ る 命 の 連 鎖 で あ る と 述 べ て あ り 、 そ の 事 を 創 作 概 念 と し て 確 立 し た の は 、 生 物 間 に お け る 形 態 の 類 似 性 に 感 銘 を 受 け た こ と か ら 始 ま っ て い る 。「 生 物 間 で 見 ら れ る 形 態 の 類 似 性 」に 着 目 し 、形 態 の 類 似 性 か ら「 命 の 繋 が り 」 を 表 現 す る た め 、 制 作 上 で 生 物 間 の 形 態 を 変 容 さ せ 融 合 す る こ と を 試 み て い る 。 生 命 の 多 様 な 繋 が り を 具 現 化 し た 紐 状 の 描 写 を 交 差 し 、 網 目 状 に 集 積 さ せ た 画 面 は 、 生 命 の 誕 生 前 と 死 後 に 見 ら れ る 精 神 的 な 繋 が り を 表 現 し 、 現 実 的 な モ チ ー フ が 複 雑 に 絡 み 合 い な が ら 一 つ の 作 品 を 創 り 上 げ て い る 。 こ れ ら の 制 作 意 図 に 至 る ま で の 芸 術 作 品 と の 出 会 い と し て 、フ ラ ン シ ス コ・デ・ゴ ヤ の 版 画 、オ デ ィ ロ ン・ ル ド ン の 石 版 画( リ ト グ ラ フ )、ア ル ブ レ ヒ ト・デ ュ ー ラ ー の 銅 版 画 、ル ド ル フ・ブ レ ス ダ ン の《 善 き サ マ リ ア 人 》 等 強 く 影 響 さ れ た 作 品 を 取 り 上 げ 、 作 者 自 身 の 作 品 と の 関 連 性 を 分 析 し 検 証 す る 事 に よ り 山 田 彩 加 の 創 作 理 念 の 根 源 を 解 き 明 か す こ と に 成 っ て い る 。 論 文 全 体 は 山 田 彩 加 自 身 が 、 迷 い な が ら 手 探 り で 実 感 し た 言 葉 を さ ぐ り 、 実 体 や 感 触 を 求 め て い る 姿 が 写 し 出 さ れ て い る 。 論 文 と し て 少 し 問 題 が 拡 張 し 過 ぎ て い る 感 が あ る が 、 完 成 さ れ た 論 文 は リ ア リ テ ィ ー を 強 く 写 し 出 す も の と な り 高 く 評 価 さ れ 、 審 査 員 の 承 認 を 得 た 。 作 品《 生 命 の 変 容 と 融 合 —0へ の 回 帰 — 》は リ ト グ ラ フ の 技 法 に よ る も の で あ り 、そ の 技 術 の 完 成 度 も 非 常 に 高 い も の で あ る 。 只 ひ た す ら 描 く 事 に 集 中 す る 事 が 、 作 者 自 身 の 生 命 力 そ の も の を 版 上 に 刻 み 付 け る 表 現 と 成 っ て い て 、 鮮 や か な 黒 い 線 の 集 積 と し て 紙 上 に 刷 り 取 ら れ て あ る 。 作 者 自 身 が 語 る 「 こ の 身 体 全 て 」 と 言 う 身 体 と 心 が 一 体 化 し て 生 じ る 漠 然 と し た も の と し て 認 識 す る 心 の 本 質 が 、 強 烈 に 描 き 出 さ れ て 見 る 者 を 圧 倒 す る 版 画 作 品 に な っ て い る 。 こ の シ リ ー ズ の 集 大 成 と な っ て い る 大 作 《 命 の 繋 が り —芸 術 的 観 点 か ら 探 求 す る 生 命 の 本 質 —》 は 、 誕 生 し た ば か り の 不 思 議 な 光 を 放 射 す る 子 供 が 画 面 の 中 心 に あ り 、 そ の 子 の 一 生 を 暗 示 す る か の ご と く 成 人 か ら 老 い て 行 く 様 を 複 雑 に 絡 み 合 っ た 細 胞 分 裂 的 な 描 写 の 中 に 描 か れ て い る 。 画 面 全 体 は 、 魅 力 的 な 深 く 黒 い 線 の 集 積 で 埋 め 尽 く さ れ 、 作 者 の 特 別 な 想 い が 伝 わ っ て く る 作 品 は 、 大 変 高 く 評 価 さ れ る も の で あ る 。

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