安全運転カウンセリングシステムの構築
研究実施メンバー
研究代表者
芝浦工業大学工学部教授
春日 伸予
第一章 ヒヤリハット映像の心理的側面からの分析
研究実施者
芝浦工業大学工学部教授
春日 伸予
研究協力者
芝浦工業大学工学部学部生
小鮒 陸人
研究協力者
芝浦工業大学工学部学部生
吉田 知覚
研究協力者
芝浦工業大学工学部教授
澤田 東一
第二章 ドライブレコーダ映像を用いた運転手挙動の画像解析
研究実施者
慶應義塾大学理工学部教授
青木 義満
研究協力者
慶應義塾大学理工学部学部生
尾山 啓介
報告書概要 本プロジェクトは,第一段階として,2 年計画による安全運転カウンセリングシステムの構築を行 うことを目的としており,この段階でのドライブレコーダの画像はシステムの教育内容を作成するた めの分析対象としている。しかし,プロジェクトの最終目的は,車載されたドライブレコーダの画像 をリアルタイムで解析し,心理面を中心とした安全運転のためのアドバイスをするシステム(ドライブ レコーダに内蔵を想定)を構築することにあり,そのため画像からの心理面の分析に加えて,画像解析 処理によってドライバーの表情や行動を定量的にとらえ,運転手挙動と事故発生原因の関係を解明 する研究も並行して行っている。 本報告書では,まず第一章において,システムの教育内容を作成するためのドライブレコーダの画 像分析に関する研究の成果を,そして第二章において,画像解析処理によって運転手挙動と事故発生 原因の関係を解明する研究の成果を報告する。 目 次 第一章 ヒヤリハット映像の心理的側面からの分析 1.背景 2.目的 3.分析方法 4.分析結果 5.項目の相関図 6.まとめ 参考資料 第二章 ドライブレコーダ映像を用いた運転手挙動の画像解析 1.研究背景 2.システム概要 3.手の移動軌跡取得 4.実験 5.考察と検討 6.結論
第一章
ヒヤリハット映像の心理的側面からの分析
1.背景 1.1.ヒューマンエラーと心理的要因 自動車事故の原因のほとんどはドライバーのミス,すなわちヒューマンエラーであり,これを防止 することが事故削減につながる。これまで,ヒューマンエラー防止のためには様々な運転支援の技術 開発や法規制が行われており,一定の効果をあげている。しかしながら,2009 年の自動車事故による 死亡者は 5744 人,死傷者は 100 万人以上で,いまだ多くの人が自動車事故の犠牲になっており,依然 として安全・安心な車社会と言える交通環境がもたらされているとは言えないのが現状である(図1)。 図 1 交通事故発生状況の推移(警察庁資料より) 自動車事故の原因のほとんどはドライバーのミス,すなわちヒューマンエラーであり,これを防止 することが事故削減につながる。これまで,ヒューマンエラー防止のためにさまざまな運転支援の技 術開発や法規制が行われており,一定の効果を挙げている。しかし,大幅な事故削減にいたってはお らず,今後は,技術的支援や法規制だけでなく,効果的なドライバー教育の推進が大きなカギを握っ ていると言える。 これまでのドライバー教育は,運転技術の向上を図ったり,事故原因と事故パターンに関する理解 を深めたりするといった活動が主として行われてきた。そして,その教育にあたっては,事故事例だ
ヒの法則によると,1 件の死亡事故の背後には,29 件の軽症事故と 300 件のヒヤリハットが存在する。 したがって,300 件のヒヤリハットをなくすことによって,その延長上にある事故を削減することが 出来る,というのがハインリッヒの法則の示すところであり,それゆえ,ヒヤリハット予防という趣 旨でのドライバー教育が盛んに行われているのである。 しかし,ヒヤリハットやその延長上にある事故の原因となるヒューマンエラーの背景には,それを 誘引する要因があるはずであり,その最も大きなものとして心理的要因が考えられる(図2)。従って, 今後の大幅な事故削減のためには,運転支援の開発や法規制だけでなく,さらには,技術教育や事故 事例教育によるヒューマンエラーの防止だけでなく,ヒューマンエラーの背後にあってエラーを誘引 する心理的要因を明らかにし,その予防を行うことが必要である。具体的には,ドライバーの精神状 態や性格特性など,どのような心理的要因がどのようなヒューマンエラーと関連があるのかを研究し, その結果に基づいて,ドライバーの心理的側面からの教育を推進することが重要である。
1.2.ドライバー教育プログラム 現在のドライバー教育における心理的側面のケアとしては,教育プログラムを有する機関において 性格特性などの心理的特性は測定などがある。しかし,それらは心理的特性の測定はできるが,日々 の運転中の心理状態を測定することは困難である。また,教育機関において教育を終了した後は,ド ライバーをフォローする体制がほとんどないのが実情である。本来,ドライバーは検査等によって自 分の心理的特性やその影響による運転特性への気づきを与えられた後は,教育を生かして自主的に安 全運転を継続することが望ましい。しかしながら,一度の気づきによって得られた安全運転への動機 を長く継続することは難しく,教育直後は安全運転を心掛けても,やがて教育効果は薄れていく可能 性が大きい。 さらに,教育機関を利用することは時間的にも労力的にも,そして経済的にもドライバーにとって 負担であるため,職業ドライバーを抱える組織でも利用することは少ない。まして一般ドライバーに いたっては自主的に教育を受けるケースは極めて少なく,事故を起こしたドライバーが再び運転する 前に矯正的な教育を受けるケースが大半を占めるのが現状である。今後,飛躍的な事故削減を実現す るためには,職業ドライバーだけでなく,一般ドライバーの安全教育も継続的に実施することが重要 課題になる。そして,そのためには現在の教育状況の改善が求められている。 以上のことから,大幅な事故削減のためには,ドライバーのエラーを誘引する心理的な要因を明ら かにして,心理的な側面からの運転教育を強化することが重要であり,さらに,その教育方法は,多 くの一般ドライバーが容易にかつ継続的に利用できることが必要である。 1.3.このプロジェクトに至るまでの経緯 本プロジェクトのリーダーである春日は,心身医学分野で得た知識と経験を生かし,交通安全に関 して,ドライバー心理を中心としたヒューマンファクター領域の研究を行ってきた。そして,若年ド ライバーの苛立ちや敵対心(自動車技術会論文集 Vol.36, No.3, 145-150,2005),トラックドライバーの ヒヤリハットに関する調査研究(自動車技術会論文集 Vol.38 No.3,105-110,2007),携帯電話使用に よる運転行動への影響(自動車技術会論文集Vol39. No.1,133-138 そして,早大モビリティ研究会(代表 大聖泰弘教授)の分科会として「交通安全と心理研究会」 (委員長 春日伸予)を立ち上げ,大学教員,自動車メーカー安全部門関係者,保険会社,トラック 協会,等からの委員参加を得て,ヒューマンファクターを中心とした側面から交通安全を検討してき た。さらに,自動車技術会において「交通安全にかかわる運転心理検討委員会」(委員長 春日伸予) を発足し,工学分野の研究者や心理学分野の研究者などによる学際的なチームを組織して,ドライバ ーの心理的側面から事故防止を図る教育や支援の方法について検討を行ってきた。これらの研究会は, いずれもその基本理念を「ドライバーや歩行者に自身の運転特性や行動特性への「気づき」を与える」 ,2008),交通事故の背景にある心理 的要因に関する研究―ストレスと事故との関係―(自動車技術会 2008 春季大会発表予定)などの研究 成果(資料として添付)から,心理的要因が与える事故の危険性への影響を確認しており,ドライバ ーの心理的側面から事故防止を図る教育や支援の重要性を認識している。
究において,ドライバーの心理的要因と事故の危険性との関連性を解明し,心理的側面からの気づき を与えて安全運転を促進するシステムを開発することとなった。 まず,自動車技術会の「交通安全に関わる運転心理検討委員会」においてプロジェクトが発案され, プロジェクトを実行する段階で早大モビリティ研究会の「交通安全と心理研究会」に受け皿を変え, そして,「交通安全と心理研究会」の中でプロジェクト実行委員を選出して行うことになり,現在に至 っている。 2.目的 前述のような交通事故や運転教育の現状を考えると,今後,ドライバーのエラーを誘引する心理的 な要因を明らかにして,心理的な側面からの運転教育を強化することが重要であり,さらに,事故後 の矯正教育よりも安全運転保持の予防教育を強化することが必要である。そのためには,ドライバー に対して,自分のどのような心理特性や心理状態がどのような危険運転行動や事故の危険性にむすび ついているのかを気づかせ,運転中の自分の心理状態をマネージメントして安全運転を保持するよう な教育を行うことが必要と考えられる。さらに,多くのドライバーの教育が可能になるために,ドラ イバーの時間や労力の負担の軽い教育システムにする必要もある。 春日は,自動車技術会「交通安全にかかわる運転心理検討委員会」において,既に2つの安全運転 に関する Web システムを構築し,自動車技術会のホームページ上で一般公開している。最初に構築 したのは「ヒヤリハット特性検査」で,アクセスした各ドライバーのヒヤリハットの特性を明らかに するものである(参考資料を添付)。次に構築したのが「生活ストレスと運転リスクの検査」であり, これは過去一年間のストレス状態を診断し,その場合の事故やヒヤリハットを起こす危険性について 解説するものである(参考資料を添付)。これらは,マスコミで取り上げられたこともあり,非常に多 くのドライバーのアクセスを受けて交通安全に貢献している。 自動車技術会HP 上の Web システムは,いずれもヒューマンファクターの中でも特に心理状態に 注目したものであるが,しかし,運転中の心理状態や日常のストレスとの事故の危険性については取 り上げてはいない。そこで,本プロジェクトでは,運転中の心理状態や日常のストレス状態も含めた 幅広い心理的要因を取り上げ,さらに,調査データだけでなく,ドライブレコーダの画像データも用 いることで,より詳しくそして精度の高い内容の教育内容を提供できる Web システムを構築するこ とを目的とする。このシステムも,Web へのアクセスによるフィードバック教育を想定しているので, ドライバーは簡単に自分の心理的側面からの安全運転カウンセリングを受けることが出来るようにな る。さらに,ドライバーの労力や時間の負担も軽いため,一般ドライバーも気軽に利用でき,幅広く 多くのドライバーの継続的な安全教育が可能となるものである。
3.1.分析項目の作成 運転中にどのような心理状態が発生するか,どのような行動に結びつくかを推測し,ドライブレコ ーダの画像やアンケート調査で取得するデータ項目を作成した。項目は,①運転時の心理状態に関す る項目,②不安全行動に関する項目,③ヒヤリハット時の状況に関する項目,④日常の心理状態に関 する項目,に分類される。 ①運転時の心理状態に関する項目,②不安全行動に関する項目,③ヒヤリハット時の状況に関する 項目は,表1 に示す通りである。 表 1 画像データ分析項目 また,④日常の心理状態に関する項目は,慢性ストレス状態と急性ストレス状態に関する項目を選 定した。 ・慢性ストレス状態 標準化されている日常苛立事尺度(付録 1)を使用し,日常でのストレス,不安についてアンケート 調査を行う。(例.自分の将来のことについて.等 計 30 項目) ・急性ストレス状態 標準化されている生活出来事尺度(付録 2)を使用し,過去一年でのストレスについてアンケート調 査を行う。(例.収入が大幅に減った.等 計 37 項目) 分析項目は, ・ドライブレコーダの画像から判断出来るもの, ・ドライブレコーダの画像だけでは十分な判断できない場合もあるため,アンケート調査によるデ ータも併せて取得するもの ・ドライブレコーダの画像では判断できないため,アンケート調査によりデータを取得するもの の3種類に分類される(図3)。 A)ドライバーの顔画像 漫然状態,低覚醒,苛立ち,他のものに気を取られている,安全確認行動の有無 B)運転操作 操作の遅れ,不適切な車速選択,急な操作(急加速,急な車線変更等)など C)ヒヤリハット時の道路状況 直進道路,交差点,など D)ヒヤリハット時の状況 ヒヤリハット発生時間,ヒヤリハット時の車両の挙動,ヒヤリハットの種類
図 3 分析項目 ヒヤリハット時に関するアンケート調査用紙は,付録 3 に示すとおりである。ヒヤリハットが発生 した時間も記入項目に入っている。 3.2.予備実験 作成した項目を分析できる画像が取得可能であるかどうかを確認するため,商業用トラック1台に ドライブレコーダを搭載して,1ヵ月間予備実験を行った。 その結果,当初は顔画像と車両前方風景の 2 画面の画像データであったが,分析精度を高めるため に斜め上からのドライバーの半身像を加えた 3 画面(図 4)が必要であると判明し,ドライブレコーダ
アンケート
画 像
心配事
ストレス状態
漫然状態
苛立ち
低覚醒
焦り
他のことに気を
取られた
安全確認行動
認知状況
運転時間
道路状況
ヒヤリハット時間
ヒヤリハット種類
自車の挙動
図 4 ドライブレコーダ取得映像 3.3.実験方法 予備実験の後,ヒヤリハット場面を取得するためにドライブレコーダを使用した本実験を開始した。 (1)実験対象者 商業車ドライバー5 名(車種:トラック,普通乗用車) 一般ドライバー8 名(車種:普通乗用車) (2)実験装置 高性能ドライブレコーダ(CF-2400A)(図 5)を 5 セット用意し,被験者の乗る各車両に取り付けて実 験を行った。ドライブレコーダの性能としては,音声(つぶやく声も記録),画像,加減速,ブレーキ, 速度,揺れの記録が可能である。
表 2 ドライブレコーダの仕様 内蔵 HDD 容量 30GB(2.5 インチ型) 記録時間 約 10 時間 (最高画質時 フォーマット容量 28GB 以上の場合) 記録時間 約 600 時間 (最低画質時 フォーマット容量 28GB 以上の場合) 温度範囲 性能保障温度-10℃~+50℃ 耐振動作 動作範囲 0.7G 以下 5~200Hz(上下) 耐衝撃性(動作中) 30G 以下 作用時間 11ms(上下,左右) 電源電圧範囲 10.0V~30.0V(AGS は 24V 車専用) 映像信号 NTSC 方式準拠 本体質量 2.1kg (3)実験内容 ドライブレコーダで運転中のドライバーの表情,上半身,車両前方風景を録画する。記録は乗車時 から降車時まで連続して行う。 3.4.アンケート調査 画像だけでは判断できない心理状態に関して,ドライバーにアンケート調査を行う。 (1)調査対象者 実験対象者全員。 (2)調査内容 ①ヒヤリハットの調査 ヒヤリハット時の心理状態のアンケートとヒヤリハット発生時間を調査する。この調査は,ヒヤリ ハットが起こる度に 1 回に 1 枚記入してもらう。 ②慢性ストレスの調査
3.4.分析方法 ドライブレコーダで取得した映像からヒヤリハット場面を抜き出し,ヒヤリハット場面の心理状態 を,ヒヤリハット数値化シート(付録 4)を用いて評価する。 (1)ヒヤリハット場面の抽出方法 ドライバーの申告によりヒヤリハット発生時間がわかっているものはその前後 15 分を含めた画像 を抽出する。ヒヤリハット発生時間が不明のものは,ドライブレコーダで記録されている加減速,ブ レーキ,速度,揺れ(図 6)が通常の運転では起こりえない数値に達しているところを抽出する。 図 6 ドライブレコーダの出力グラフ (2)画像データの分析 ヒヤリハット場面前後 15 分を抜き出し,映像から顔の表情,目の動きなどの挙動から,ヒヤリハ ット場面に至る心理状態を観測し,分析項目を判別する。 (3)画像データとアンケート調査データの分析 ドライブレコーダの画像だけでは分析が不十分なものに関しては,ヒヤリハットアンケートの結果 を元にヒヤリハット場面に至る心理状態の総合分析を行う。 (4)ストレス状態とヒヤリハットの分析 慢性ストレス状態にある人,そうでない人,急性ストレス状態にある人,そうでない人に分類し, ヒヤリハットとストレス状態との関係について分析する.項目同志の関連性を検討するためχ2 χ 検定を 行った。 2検定とは,調査データのバラつきの差が統計的に意味のあるものか,あるいは偶然に発生したも のであるかを検定するものであり,2 つのカテゴリー変数に対して 2×2 のクロス集計表が作成できる 場合に用いられる。2 つのカテゴリー変数に対してクロス集計表を作成し,帰無仮説「2 つの変数に関
が 5%または 1%より小さいとき帰無仮説は棄却され,2 つの変数に関連性があると結論する。 4.分析結果 ヒヤリハット画像は一般ドライバー48 件,商業者ドライバー4 件,全 52 件取得できた。心理的要 因とヒヤリハット時の不安全行動,ヒヤリハット状況,ストレス状態を分析し,関連性が認められた ものを次に示す。 ①安全確認と眠気 ヒヤリハット時の安全確認の有無とヒヤリハット時の眠気の有無との間に有意な関連が認められ た(P<0.05)。 図 7 安全確認の有無(判定)と眠気の有無 図7 から眠気があるときは安全確認が不十分になってヒヤリハットが起こりやすいことが示されて いる。 0 10 20 30 40 50 60 70
安全確認に問題はない
安全確認不十分
%眠気は全くなかった
多少眠気があった
かなり眠気があった
P<0.05
②安全確認とヒヤリハットの種類 ヒヤリハット時の安全確認の有無とヒヤリハットの種類に有意な関連性があった(P<0.05)。 図 8 安全確認の有無(判定)とヒヤリハット種類の傾向 図8 から,安全確認が不十分なときは,対象物の認知ミスによるヒヤリハットが起きやすいといえ る。(歩行者に直前で気がついた、など) また、飛び出しによるヒハリハットも起きやすくなることが示されている。 図 7,図 8 の示す結果から,眠気があると安全確認が不十分になりやすくその結果,相手の動きに 対する判断ミスによるヒヤリハットや相手の側道からの飛び出しを避けられないことによるヒヤリハ ットを起こしやすくなると推察される。
P<0.05
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50安全確認に問題はない
安全確認不十分
%飛び出し
道路状況
他車の車線変更
自車の車線変更
自車の動きに対する相手の判断ミス
相手の動きに対する自車の認識ミス
側道からの割り込み
自車の操作ミス
③ヒヤリハット発生時間と漫然状態 図9に示すように,運転し始めてからヒヤリハットするまでの時間と漫然状態との間に有意な関連 があった(P<0.05)。 図 9 ヒヤリハット発生時間と漫然状態(判定) 図 9 から,運転し始めてから 45~60 分後に漫然状態になりやすく,そのためにヒヤリハットを起 こしてやすいことが示唆されている。
P<0.05
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 1000~15
15~30
30~45
45~60
60~
% 分漫然でない
漫然である
P<0.05
④ヒヤリハット発生時間と眠気 運転し始めてからヒヤリハットするまでの時間と眠気の間にも関連が認められた(P<0.05)。 図 9 ヒヤリハット発生時間と眠気の有無 図 10 ヒヤリハット発生時間と眠気(上:ドライバーの自覚,下:画像による判定) 図 10 からは運転し始めてから 45~60 分後に眠気が発生しやすく,低覚醒になる傾向があるといえ 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0~15 15~30 30~45 45~60 60~ (分) % 眠気は全くなかった 多少眠気はあった かなり眠気はあった
P<0.05
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0~15 15~30 30~45 45~60 60~ (分) % 完全覚醒状態 多少眠気がある状態 かなり眠気がある状態P<0.05
⑤認知と眠気 ヒヤリハット時の認知の有無と眠気には有意な関連があった(P<0.05)。 図 11 認知(判定)と眠気(判定) 図 11 から眠気が高くなるにつれて相手を認知しにくくなり,ヒヤリハットが起こりやすいことが わかる。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
完全覚醒状態
多少眠気がある状態
かなり眠気がある状態
%認知していない
認知していた
P<0.05
⑥安全確認とストレス ヒヤリハット時の安全確認の有無を慢性ストレス状態は有意な関係があることが認められた (P<0.05)。 図 12 安全確認行動と慢性ストレス 図 12 は慢性ストレス状態で運転すると安全確認行動を怠りやすくなりヒヤリハットを起こしやす いことが示唆されている。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90
安全確認に問題はない
安全確認不十分
%慢性ストレス状態ではない
慢性ストレス状態である
P<0.05
⑦ストレスと苛立ち 慢性ストレス状態とヒヤリハット時の苛立ちは有意な関係があると認められた(P<0.05)。 図 13 苛立ちと慢性ストレス 図 13 から慢性ストレス状態にあると運転中に苛立ちがおきやすく,ヒヤリハットする傾向がある ことを示唆している。
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
慢性ストレス状態でない
慢性ストレス状態である
%
苛立っていない
苛立っている
P<0.05
⑧ストレスと焦り 慢性ストレス状態とヒヤリハット時の焦りも有意な関係があることが認められた(P<0.05)。 図 14 慢性ストレスと焦り 図 14 から,慢性ストレス状態にあると運転中に焦りやすく,それが影響してヒヤリハットを起こ しやすいことが推察される。
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
慢性ストレス状態ではない
慢性ストレス状態である
%
焦りはない
多少焦っている
非常に焦っている
P<0.05
⑨ストレスと心配事の有無 慢性ストレス状態と心配事の有無も有意な関係があることが認められた。(P<0.05)。 図 15 慢性ストレスと心配事 図 15 は,慢性ストレス状態だと心配事をかかえながら運転してヒヤリハットを起こす傾向がある ということを示唆している。 図 12~図 15 の結果から,慢性ストレス状態にある人は、運転中に心配事を抱えて,安全確認を怠 りやすかったり,苛立ち,焦りを起こしやすく,そのためにヒヤリハットを起こしやすいことが推察 される。
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
慢性ストレス状態ではない
慢性ストレス状態である
%
心配事がない
心配事がある
P<0.05
⑩車の挙動と認知 ヒヤリハット時に相手を認知できていたかヒヤリハット時の車の挙動には,有意な関係があること が認められた(P<0.05)。 図 16 車の挙動と認知 図16 から,直進、右折では相手を認知していたにもかかわらず,ヒヤリハットが多く,一方,左 折や車線変更時には相手を認知できなかったためにヒヤリハットを起こしていることがわかる。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
直進
右折
左折
車線変更
その他
%認知していない
認知していた
P<0.05
⑪運転を始めてからヒヤリハットが起きる時間の記述統計
運転を始めてからヒヤリハットが起きるまでの時間を15 分刻みで集計を行った結果を図 17 に示す。 一度休憩をした場合は,再び乗車した時間を新たなスタート時間とした。
また,事業車の事故は休日明けが多いという記録もあり(図18),一般ドライバーも職業ドライバ ーも運転開始直後が危険であることが示唆されている。
これらの結果から,運転開始直後のドライバーの状態に何らかの要因があると考えられる。そこで, 運転開始から 30 分未満のヒヤリハットと 30 分以降のヒヤリハットにグループ分けし,各項目に関し て比較分析を行った。しかし、30 分未満のヒヤリハットと 30 分以降のヒヤリハットには心理的要因 での有意差は認められなかった。このことから,今回調査した心理的要因以外の,例えば,運転を開 始してから運転感覚を取り戻すまでに 30 分程度の時間がかかり,感覚を取り戻すまでの間に事故やヒ ヤリハットにつながるといった理由が考えられる。 ⑫ヒヤリハット発生時間とヒヤリハットを起こした状況 ヒヤリハット発生時間を運転開始後 30 分までと 30 分以降に分けると,両者のヒヤリハット状況に 有意な違いがあることが認められた(P<0.05)。 図19 ヒヤリハット発生時間とヒヤリハットを起こした状況 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
交差点
まっすぐの道
カーブ
合流地点
その他
%0~30
30~
P<0.05
⑪ヒヤリハット発生時間とヒヤリハットの種類 ヒヤリハット発生時間を運転開始後 30 分までと 30 分以降では,ヒヤリハットの種類に有意な違い が認められた(P<0.05)。 図20 ヒヤリハット発生時間とヒヤリハットの種類 図 20 から,運転開始後 30 分までは飛び出しや自車の車線変更によるヒヤリハットが多く、30 分以 降では道路状況(赤信号など)や他車の車線変更によるヒヤリハットが多いことがわかる。 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
0~30
30~
P<0.05
5.項目の関係図 項目同士の関係性を分かりやすくするために,関係図を作成した。関係図は有意な関連が認められ た項目の中で共通点があるものを組み合わせた。結果を以下に示す。 ①ヒヤリハット種類,安全確認と低覚醒 図21 ヒヤリハット種類の関係図 運転開始後 45~60 分は最も低覚醒状態になりやすく,その低覚醒時に安全確認をおこなわず,相 手の動きに対して判断ミスをしてヒヤリハットを起こしている状況がうかがえる。 ②ヒヤリハット状況と認知
相手の動きに対する
判断ミス
不十分な
安全確認
運転開始45~60後に起
きる低覚醒状態
直進,左折時の
ヒヤリハット
認知ミス
交差点での
認知している
左折,車線変更は相手を認知していないことから起きるヒヤリハットが多く,交差点では,相手を 認知しているにもかかわらずヒヤリハットを起こしやすい傾向があることが示唆された。 ③慢性ストレスと安全確認および運転中の心理状態 図 23 ストレスと安全確認の関係図 慢性ストレス状態で運転すると安全確認がおろそかになりヒヤリハットを起こしやすいことや,慢 性ストレス状態時は運転中に心配事を抱え,苛立ちや焦りを感じやすいといった心理的背景があるこ とが示唆されている。
慢性ストレス
苛立ち
不十分な
安全確認
焦り
心配事
④ヒヤリハット発生時間と漫然状態,覚醒状態,および認知 図 24 ヒヤリハット発生時間の関係図 運転開始後 45 分~60 分は低覚醒状態や慢性状態になりやすく、そうした低覚醒状態の時には,相 手を認知していないことによるヒヤリハットが起きやすいという関係が推察される。 6.まとめ ヒヤリハットとその延長上にある自動車事故の大幅な削減のために,ヒヤリハットや事故の背景に あってそれらを誘引する心理的要因に焦点をあて,心理的要因と事故の危険性との関係を分析・検討 した。その結果,次のような事が示唆された。 ① 運転開始後45~60 分は最も低覚醒状態になりやすく,その低覚醒時に安全確認を怠り,結果 的に相手の動きに対して判断ミスをしてヒヤリハットを起こす傾向がある。 ② 左折,車線変更は相手を認知していないことから起きるヒヤリハットが多く,交差点では,相
運転開始後45~60分
で起きるヒヤリハット
漫然状態
低覚醒
認知DR
すいことも示唆されており,その時間帯は事故の危険性が高まると推測される。また,乗車して 30 分以内にヒヤリハットが多く発生していることから,乗車直後から 30 分までは,特に注意が必要で あると言えよう。 来期は,本研究によって明らかになった事故の危険性と心理的要因との関係をもとに安全教育の内 容を考案し,データベース化してWeb システムの構築を行う。 参考文献 (1)春日,大聖,ドライバー心理に関する調査研究―若年ドライバーの苛立ちや敵対心―,自動車技術 会論文集 Vol.36, No.3, 145-150 (2006) (2)春日,間地,大聖,トラックドライバーのヒヤリハットに関する調査研究,自動車技術会演論文 集,Vol.38 No.3,105-110 (3)春日伸予,澤田東一,大聖泰弘,交通事故の背景にある心理的要因に関する研究-交通事故の危険 性とストレスとの関係-,自動車技術会春季大会講演論文集(2008) (2007) (4)国土交通省自動車交通局,自動車運送事業用自動車事故統計年報(2009) (5)春日伸予,上野俊介,角田誠,澤田東一,携帯電話使用による運転行動への影響,自動車技術会春 季大会講演論文集(2007)
(6)Thomas A. Dingus , ph.D.,Driver Distraction: New Features, New Tasks, New Risk (2007) (7)春日伸予,間地寛,大聖泰弘,トラックドライバーのヒヤリハットに関する調査研究,自動車技術会 論文集, (8)ITS 推進協議会,安全運転支援システムの実用化に向けた実証実験のあり方について Vol.38 No.3,105-110(2007) (9)春日伸予,澤田東一,大聖泰弘,交通事故の背景にある心理的要因に関する研究―事故の危険性と ストレスとの関係―,自動車技術会春季大会講演論文集(2008) (10)小竹元基,岡田洋祐,道辻洋平,鎌田実,永井正夫,茂呂克己,前車追従時のヒヤリハットデー タに基づく道路環境要因と運転行動の関係性の検討,自動車技術会春季大会講演論文集(2008) (11)大慈弥拓也,交通事故の抑止と効果的処理―ドライブレコーダを用い運転者の視点から事故を考 察する―,自動車技術会春季大会講演論文集(2005) (12)内田信行,川越麻生,田川傑,阿賀正巳,映像記録型ドライブレコーダによるフィールドデータ 収集と事故メカニズム解明の取り組み,自動車技術会秋季大会講演論文集(2007) (13)内田信行,川越麻生,田川傑,阿賀正巳,ドライブレコーダを活用した人的要因解明のための時 系列詳細解析―脇見による追突ニアミス事例―,自動車技術会秋季大会講演論文集(2007) (14)内田信行,川越麻生,田川傑,阿賀正巳,交差点での追突事故に関する人的要因の実験検討 自動車技術会秋季大会講演論文集(2007) (15)大谷亮,宇野宏,飯星明,運転支援機能への信頼感がドライバー行動に及ぼす影響に関する基礎
資料1 ヒヤリハット関連項目の数値化
ヒヤリハット関連項目の数値化
漫然状態(ヒヤリハット前1 分) (運転操作も参考) DR: 漫然状態の程度 0 漫然としていない 1 漫然としている 調査: ・考え事をしていた 0 全くない 1 多少あった 2 かなりあった 3 そのことで頭がいっぱいだった ・何も考えずにボーっとしていた 0 全くない 1 多少そうだった 2 かなりそうだった 3 完全にそうだった 低覚醒 DR: 覚醒程度 0 完全覚醒状態 1 多少眠気がある状態 2 かなり眠気がある状態 3 完全に眠っている 調査: 覚醒程度(本人の自覚との比較のために) 0 眠気は全くなかった 1 多少眠気があった 2 かなり眠気があった 3 完全に眠っていた 苛立ち (加減速度も参考) DR: 苛立ち状態の程度(読み取れれば) 0 苛立ちはない 1 多少苛立っている 2 非常に苛立っている 調査: 苛立ち状態 0 苛立ちはなかった 1 多少苛立っていた 2 非常に苛立っていた調査: 焦り状態 0 焦ってはいなかった 1 多少焦っていた 2 非常に焦っていた 心配事 調査: ・心配事の有無 0 心配事はなかった 1 心配事があった ・そのことを考えていた 0 全くない 1 多少あった 2 かなりあった 3 そのことで頭がいっぱいだった 他のことに気をとられた DR: 他のことに気をとられたか 0 気をとられていない 1 多少気をとられている 2 完全に気をとられている 調査: 他の事に気をとられていたか 0 全くなかった 1 多少気をとられた 2 完全に気をとられていた ↓ 回答が0以外の場合,気をとられていた事についての調査も行う 他のことに気をとられた場合の各項目の重み付け ① 6 点 3)携帯電話, 17) テレビ, 15)車中での読み物, 13)車中の拾い物, 16)身だしなみ ② 5 点 12)タバコ, 11)車中での飲食 ③ 4 点 4)ハンズフリー携帯電話, 5)無線,6)エアコン, 7)ラジオ, 8)CD, 9)NAVI ⑤ 3 点 10)同乗者との会話 ⑥ 2 点 14)周りの風景 1)周囲の静止物 (運転行動に不必要な注意) 2)周囲の動く対象物 ( 〃 ) ⑦ 1 点 1 )周囲の静止物 (運転行動に必要な注意) 2)周囲の動く対象物 ( 〃 )
安全確認行動 DR:安全確認 0 確認に問題はない 1 不十分 2 安全確認していない 調査:安全確認 0 確認に問題はない 1 不十分 2 安全確認していない *回答が「2」の場合,思い込みに関する本人調査 0 うっかりした 1 危険がないと思った 99 問題は無 相手の行動に対するドライバーの認知度 DR: 認知度 0 認知していない 1 認知している 調査: 認知度 0 認知していなかった 1 認知していた 「1」の場合は認識状況へ 相手の行動に対する認識状況 DR: 認識状況 0 予測不可能な行動だった 1 予測が難しい行動だった 2 予測可能な行動だった 調査: 相手の行動に関する認識状況 0 全く意外な行動だった 1 ちょっと意外な行動だった 2 予測可能な行動だったと思う 交通環境に対する認識ミス DR: 車速に関する認識ミス 0 なし 1 あり 一時停止違反と徐行無視 0 なし 1 あり 赤信号無視
0 なし 1 あり (理由: ) 一時停止違反と徐行無視 0 なし 1 あり (理由: ) 赤信号無視 0 なし 1 あり (理由: ) その他の交通違反 0 なし 1 あり (理由: )
資料2 ヒヤリハットアンケート用紙
3.ヒヤリハットアンケート用紙
ヒヤリハット発生時間: 月 日 時 分 車両ナンバー: 名前(イニシャル) あなたのヒヤリハット場面(事故にはならなかったが、ヒヤッとしたりハッとしたりした場面)につ いて当てはまるものに○を付けて下さい。(ヒヤリハットが起こったごとに記入をお願いします。) (1) 考え事をしていましたか 0 全くない 1 多少あった 2 かなりあった 3 考え事で頭がいっぱいだった (2) 何も考えずにボーっとしていましたか 0 全くない 1 多少そうだった 2 かなりそうだった 3 完全にそうだった (3) 眠気を感じていましたか 0 全くなかった 1 多少眠気があった 2 かなり眠気があった 3 完全に眠っていた (4) イライラした気持ちがありましたか 0 苛立ちはなかった 1 多少苛立っていた 2 非常に苛立っていた (5) 焦っていましたか 0 焦ってはいなかった 1 多少焦っていた 2 非常に焦っていた (6)その日心配事はありましたか 0 心配事はなかった 1 心配事があった 心配事があった場合、運転中にそのことを考えていましたか? 0 全く考えていない 1 多少考えていた 2 かなり考えていた 3 そのことで頭がいっぱいだった (7)運転以外の何かに気をとられましたか 0 全くなかった 1 多少気をとられた 2 完全に気をとられていた * 気をとられた場合(上の回答が1か2の人)、次のどれに気をとられましたか 1 周囲の静止物 2 周囲の動く対象物 3 携帯電話 4 ハンズフリー携帯電話 5 無線 6 エアコン(8)安全確認はしましたか 0 確認に問題はない 1 不十分だった 2 安全確認していない *安全確認をしなかった人はなぜですか 0 うっかりした 1 危険がないと思った (9)ヒヤリハットした相手の存在は認知していましたか 0 認知していなかった 1 認知していた * 認知していた人は、なぜヒヤリハットになったと思いますか 0 相手の行動が全く意外なものだった 1 相手の行動がちょっと意外だった 2 相手の行動は予測可能だったと思う (10)自車のスピードが適正ではなかったと思いますか 0 適正だった 1 適正ではなかった(理由: ) (11)一時停止違反と徐行無視はありましたか 0 なし 1 あり(理由; ) (12)赤信号無視はありましたか 0 なし 1 あり(理由; ) (13)(11)、(12)以外の交通違反はありましたか 0 なし 1 あり(理由; ) (14)過労状態でしたか 0 過労状態ではなかった 1 過労状態だった (15)睡眠不足でしたか 0 睡眠不足ではなかった 1 睡眠不足だった (16)飲酒あるいは二日酔いのどちらかの状態でしたか 0 どちらにも当てはまらない状態だった 1 どちらかに当てはまる状態だった (17)(14)~(16)以外の体調不良はありましたか 0 なし 1 あり(具体的に: ) (18)どのようなヒヤリハットでしたか?具体的にお願いします。 ( )
資料3 ストレスアンケート1(急性ストレス状態)
ストレスアンケート用紙①
乗車日: 月 日 車両ナンバー: 名前(イニシャル) 過去1年間にあなたに起こった出来事に○を付けて下さい。 (1) 収入が大幅に減った。 (2) 支出が大幅にふえたり、大きな借金(ローンを含む)を抱えた。 (3) 入院したり、1ヶ月以上仕事や学校を休まなければならないような病気や怪我をした。 (4) 家族に大病(寝たきりやぼけを含む)や大怪我をしたものが出た。 (5) 自分や配偶者が妊娠した。 (6) 自分や配偶者が出産した。 (7) 正式に結婚した。 (8) 自分や配偶者が流産した。 (9) 配偶者が死亡した。 (10)親や子が死亡した。 (11)兄弟姉妹、親友が死亡した。 (12)頼りにしていた人(家族を含む)と離ればなれになった。 (13)大事にしていた物がなくなったり(ペットが死んだり、いなくなったりした場合を含む)、壊 れたりした。 (14)引っ越した。 (15)相手に大怪我を負わせたり、大きな損害を与えたりした。(20)勤務時間や勤務内容に変化があった(配置転換の場合も含む)。 (21)職務上、昇格した。 (22)職務上、降格した。 (23)退職した。 (24)転勤や単身赴任を命ぜられた。 (25)職場(学生の場合学校)や取引先の人と大きなトラブルがあった。 (26)配偶者に就職(パートを含む)、退職、勤務時間や内容の変更等、仕事上の変化があった。 (27)就職(転職)や入学(進級)などにより失敗した。 (28)就職(入学)や転職(転学)があり、新たな生活が開始した。 (29)親や教師など、立場が上の人にひどく怒られた。 (30)いざこざ以外の理由(夫の長期出張や単身赴任など)で配偶者と別居するようになった。 (31)離婚した。 (32)親や子、兄弟姉妹が離婚した。 (33)配偶者(恋人や婚約者を含む)ともめ事を起こした。 (34)配偶者以外の家族ともめ事を起こした。 (35)親戚や近所ともめ事を起こした。 (36)子どもが自立(結婚を含む)するようになった。 (37)新たな人が家族のメンバーとして同居(親の引き取りや出戻りの子どもなど)するようにな った。
資料4 ストレスアンケート2(慢性ストレス状態)
ストレスアンケート用紙②
乗車日: 月 日 車両ナンバー: 名前(イニシャル) 下記の事で悩んでいることがある場合、当てはまるものに○を付けて下さい。 (1) 自分の将来のことについて (2) 家族の将来のことについて (3) 自分の健康(体力の衰えや目・耳の衰えを含む)について (4) 家族の健康について (5) 出費がかさんで負担であることについて (6) 借金やローンを抱えて苦しいことについて (7) 家族に対する責任が重すぎることについて (8) 仕事(家事、勉学等を含む)の量が多すぎて負担であることについて (9) 異性関係について (10)職場(学生の場合学校)や取引先の人とうまくやっていけないことについて (11)家族とうまくやっていけないことについて (12)親戚や友人とうまくやっていけないことについて (13)近所とうまくやっていけないことについて (14)家事や育児が大変であることについて (15)いつ解雇(学生の場合退学)させられるかということについて (16)退職後の生活について(21)どうしてもやり遂げなければならないことがひかえていることについて (22)自分の外見や容姿に自信がもてないことについて (23)生活していく上で性差別(男性の場合も含む)を感じることについて (24)不規則な生活が続いていることについて (25)まわりからの期待が高すぎて負担を感じることについて (26)陰口をたたかれたり、うわさ話をされるのがつらいことについて (27)過去のことで深く後悔しつづけていることについて (28)公害(大気汚染や近隣騒音など)があることについて (29)コンピューターなどの新しい機械についていけないことについて (30)朝夕のラッシュや遠距離通勤(通学を含む)に負担を感じることについて
資料5 本研究に用いた解析方法(その1)
χ
2(カイ 2 乗)検定について
■カイ2乗分布(χ
2分布)[chi-square distribution] ・・・ 比率の検定
◇簡単な例でイメージ作り(1)◇例1
日本人の ABO 式血液型の分布はおよそA型 40%,B 型 20%,AB 型 10%,O 型 30%だといわれている.ある
村で献血に応じた者のうち先着 100 人の血液型は次の表のとおりであった.(ただしデータは架空のもの) 血液型 A型 B型 AB 型 O 型 計 度数 37 25 12 26 100 この村の住人の血液型分布は,日本人全体の血液型分布とほぼ同じと見なしてよいか? (考え方) もし,完全に一致していたら,次の表の期待度数で示される人数となるはずであるが,標本調査の場合に は少々の凹凸はありうる.どの程度の差異ならば偶然として許容されるかと考える. 血液型 A型 B型 AB 型 O 型 計 観測度数 37 25 12 26 100 期待度数 40 20 10 30 100 標準偏差を定義したときの式の作り方から類推して Σ(差)2 を考えると, (37-40)2+(25-20)2+(12-10)2+(26-30)2 この式は,観測値が大きくなると必要以上に大きくなり過ぎる.実際,標本を 10 倍に増やしたときを考える と,次の分布が上の分布と比較して 100 倍ずれているとは言えない. 血液型 A型 B型 AB 型 O 型 計 観測度数 370 250 120 260 1000 期待度数 400 200 100 300 1000 そこで,各々の(差)2を各々の期待度数で割った次の式を考え,χ2と呼ぶ.(2つの分布が完全に一致して いればこの式の値は 0 となり,食い違いが大きいほど大きな数となる.)
準 5%の限界値は,理論的なモデルから 7.81 と求められていて,これと比較して χ2<7.81 だから有意水準 5%で「有意差はない」と言える. [与えられた母集団の分布と一致しているかどうかを判定するものは,適合性の検定と呼ばれる] ○ 次のような観測データの分布を基準の比率と比較するには 項目 1 項目 2 ・・・ 項目 n 観測値の度数 O O1 O2 ・・・ On 基準値の度数 E E1 E2 ・・・ En 次の式で定義されるカイ2乗値 χ2 = を,理論的な計算で求めたχ2値と比較すればよい. ○ なぜ,この方法でできるのかという数学的根拠は難しい 「n個の変数が各々独立に標準正規分布に従うとき」(自由度n),それらの2乗の和 χ2=Z 12+Z22+…Zn2 は, 標準正規分布(の2乗)を単純にn倍したものにはならず,自由度nのカイ分布と呼ばれるものになる.(シミ ュレーションにより目で確かめる方法は「仕事に役立つ EXCEL 統計解析」p.186~に出ている) しかし,利用する側から見れば「前提条件に気をつけながら当てはめるだけ」で利用できる. ○ χ2分布関数は自由度に応じて関数の形が異なり,1 枚の表にまとめられないので,自由度-よく使う確 率(5%,1%など)から χ2を読み取るように作られている.(コンピュータではこの制限はない.)次の表では, 自由度 3 で p=0.05 に対応する χ2の値は 7.815 となる. (p は右片側面積) ◇簡単な例でイメージ作り(2)◇ 例2 ある果物をA方式で育てたものとB方式で育てたものの出荷時の等級が次の表のようになったとき,これ らの育て方と製品の等級には関連があると見るべきかどうか.(ただしデータは架空のもの) 集計表 優 良 可 計 A方式 12 30 58 100 B 方式 14 90 96 200 計 26 120 154 300
(考え方) A,B が独立であるとき,分割表は次のようになる. 集計表 優 良 可 計 A方式 8.7 40.0 51.3 100 B 方式 17.3 80.0 102.7 200 計 26 120 154 300 これらの観測度数と期待度数について,前の例1と同様にカイ 2 乗値を求める. χ2= =6.97 自由度 2,有意水準 5%のときχ2= 5.99 5.99<6.97 だから有意差があり,育て方と製品の等級には関連がある. [2つのグループで比率に差異があるかどうかを判断するものは,独立性の検定と呼ばれる.] ○ 2つの育て方が製品の等級に影響しない(育て方と製品の等級が独立なとき)ときは,次の表において a1:a2:a3=b1:b2:b3が成り立つはずである. 集計表 優 良 可 計 A方式 a1 a2 a3 100 B 方式 b1 b2 b3 200 計 26 120 151 300 このとき,表の周辺和(黄色の背景で示した値:行小計,列小計)を元に考えると,a1:b1=100:200 で a1+b1=26 のように各々の値は,縦の計を右端の周辺和(行小計)の比率に配分したものとなるはずであるから, a1 = 26×100/300=8.7 b1 = 26×200/300=17.3 他の値についても,期待度数を埋めることができる. ○ 各マスの (Oij-Eij)2/Eij の和
○ 日常生活では,行小計に対する割合で表わした表 集計表 優 良 可 計 A方式 12% 30% 58% 100% B 方式 7% 45% 48% 100% を元に「少し違う」「あまり違わない」といった議論をすることがあるが,カイ2乗を用いた検定は,割合ではな く,度数を用いて計算することが重要. ■要約■ 1 ある標本の各カテゴリー(分類項目)ごとの比率が,基準の比率と一致しているかどうかを判定するもの は,適合度の判定と呼ばれる. 観測度数が表1のようになったとき,この度数分布が表 2 で与えられる母 集団の割合と一致するかどうかを判断するには, (1) 表 3 のように計 N から理論的に求まる期待度数と観測度数を比較して カイ2乗値 χ2 = を,求める. (2) この場合,n個の期待度数を変数と見るとき,これらの和は N でなければならないから,自由に決めら れるのは n-1 個で残り1個は自動的に定まる.→自由度は n-1と考える. (3) 次のグラフにおいて,多くの場合,右片側検定を考える. (p は右片側面積) (4) χ2分布表により,多くの場合,有意水準 5%の χ2値と比較し,これよりも大きければ帰無仮説を棄却し て有意差ありとし,そうでなければ有意差なしとする. 表1 項目1項目2・・・項目n計 観測度数 x1 x2 ・・・ xn N 表2 項目1項目2・・・項目n計
表3 項目1項目2・・・項目n計 観測度数 x1 x2 ・・・ xn N 期待度数 p1×N p2×N ・・・ pn×N N ○ 分類項目 1~nはカテゴリーデータでもよいし,定量的データ(もしくはそれらの階級)でもよ い. ○ 期待度数が 5 未満のものがあるとき,分類の項目を併合して5 以上にする.(カイ2乗分布という 連続曲線で近似するためには,どの期待度数も pk×N≧5 を満たすことが条件とされている.) 例 優良可 不可計 観測度数 7 1810 9 44 期待度数 3 1615 10 44 秀 可不可計 観測度数2510 9 44 期待度数1915 10 44 2 2つの属性によって分類した分割表(クロス集計表)から,これらの分類が独立(無関係)かどうか調べ るものは,独立性の検定と呼ばれる. 表 4 のような分割表(クロス集計表)が得られたとき,2つの属性が独立(無関係)かどうか・・・項目 A,B,C に 差異があるかどうかを判断するには (1) 集計表の周辺和(行小計,列小計)の比率で割り出した期待度数を求める.(たとえば,項目 A-項目 1 の 期待度数は n・1×n1・/n)→表 5 (2) 2つの表のすべてのマス目からカイ2乗値を計算する:
自由度は 2×3 [一般にm×nの分割表では,自由度は(m-1)(n-1)となる.] (3) 次のグラフにおいて,多くの場合,右片側検定を考える. (p は右片側面積) (4) χ2分布表により,多くの場合,有意水準 5%の χ2値と比較し,これよりも大きければ帰無仮説を棄却し て有意差ありとし,そうでなければ有意差なしとする. ※重要 観測値は,観測度数を用いることが重要--割合表(%)では検定はできない.(同じ割合でも度数 が異なれば検定結果は異なる.) 表 4 観測度数 項目 1 項目 2 項目 3 項目 4 計 項目 A O11 O12 O13 O14 n1・ 項目 B O21 O22 O23 O24 n2・ 項目 C O31 O32 O33 O34 n3・ 計 n・1 n・2 n・3 n・4 n 表 5 期待度数 項目 1 項目 2 項目 3 項目 4 計 項目 A E11 E12 E13 E14 n1・ 項目 B E21 E22 E23 E24 n2・ 項目 C E31 E32 E33 E34 n3・ 計 n・1 n・2 n・3 n・4 n 表 6 [自由度] 期待度数 項目 1 項目 2 項目 3 項目 4 計 項目 A E11 E12 E13 * n1・ 項目 B E21 E22 E23 * n2・ 項目 C * * * * n3・ 計 n・1 n・2 n・3 n・4 n
※ E11~E34は小数部分を四捨五入して整数化してもよいが,途中経過はすべて実数(小数)でおこなうので, 小数のままでもよい. ※ 2×2の分割表では,期待度数のうち幾つかが 4 以下であっても分類の項目を併合すると意味がなくな る.この場合,標本の個数(観測度数)を大きくすることができなければ,「イエーツ(イエツ)の(連続)補正」 呼ばれる方法(小さい方の期待度数に 0.5 を加える方法)がとられることがある.(離散分布を連続分布で近 似するときに,真の値の限界を2つの整数の中央とするのと同様の考え方で,この方が経験的にも有効で あるとされている.なお,列小計,行小計は変えない. ※ カイ2乗検定で「有意差がある」かどうかを調べるには,右側の片側検定を用いればよい. 「一致し過ぎ」を捉えたいとき(似すぎている文体を特定語彙の使用頻度で検出するなど)は左側の片側検 定とすればよい. 「一致し過ぎ」のも「離れ過ぎ」のも捉えるには両側検定とすればよい.(5%のときは左右 2.5%ずつ→97.5%と 2.5%の表を読む) 期待度数 項目1 項目2 計 項目 A 4 15 19 項目 B 7 11 18 計 11 26 37 期待度数 項目1 項目2 計 項目 A 4+0.5 15-0.5 19 項目 B 7-0.5 11+0.5 18 計 11 26 37
資料6 本研究に用いた解析方法(その2)
Wilcoxon 順位和検定について
平均値の差の検定 1)2標本の差の検定 A、対応のない場合 対応のない場合と言うのは、2群が互いに独立である場合のことです。 ◎2標本t検定 "処理群 vs 非処理群","被験薬 vs 対照薬"などのように、2つの 母集団の比較を行うような場合、ど ちらの群もデータが正規分布にしたがうとすると、2 つの母集団の 母平均の差に関する検定を考える と比較しやすくなります。この検定を行うために用いるのが2標本t検定です。ここでは等分散が認 められる場合の Student のt検定、等分散が認められない場合の Welch の t 検定 を行います。データ 数は異なっていてもかまいません。 ◎Wilcoxon の順位和検定 正規分布が仮定できない場合この方法を用います。 B、対応のある場合 対応のある場合とは、2群のデータの間に術前・術後とか、薬の投与前・投与後などといった同一対 象から異なる2時点の観測値の「ペア」が得られる時、または異なる 母集団から同じ条件を持つもの をペアとして選択するような場合を言います。 例:ある病院の眼科患者の眼部水晶体の厚さを2通りの方法で測定した時それらに差が認められるか。 2)分割表の検定 A、2×2分割表の場合 ◎フィッシャーの正確確率検定 2×2分割表 発症 有 無 合計 有 15 4 19この検定は、上のような分割表を作成したとき、 要因 A と要因 B (この場合は喫煙習慣と発症の有 無)の2変数が独立であるかどうか(喫煙習慣と発症の有無が無関係かどうか)もしくは、2群の比 率に差があるかどうか(喫煙習慣で発症率に差があるかどうか)を知りたいとき、に用います。上の 例では P=0.00814 という結果が出ます。 有意水準 5%(α=0.05)で検定を行うとするとこの場合P ≦α となります。このとき帰無仮説 (2要因は独立ではない)は 棄却され、喫煙習慣と発症の有無 には関係がある(独立である)というということになります。 B、2×m分割表の場合 ◎正確確率検定 m個のカテゴリーに順序関係がない場合、この方法で独立性の検定(または比率の差の検定)を行い、 2群とm個のカテゴリーが独立であるか(関連があるか)どうかを判断します。例えば、職種別(カ テゴリー)に禁煙率(タバコを吸う、吸わないの2群)に差があるかどうかというような場合です。 ◎Wilcoxon の順位和検定 m個のカテゴリーに順序関係がある場合この方法を用います。(2群が正規分布をするかどうか分か らない場合にも適用できます。) 例:降圧剤としての A 薬の臨床比較試験での改善度に関する以下の表で、改善度をよい方から順に1、 2・・、5とした場合、この2群に差があるかどうかを検定する場合。 改善度 1 2 3 4 5 計 A 薬 9 12 11 9 0 41 対照薬 3 7 10 16 3 39 計 12 19 21 25 3 80 帰無仮説を2群間に差がないと仮定し検定を行います。ここでは有意水準1%で有意差が認められる という結果になり、A 薬のほうが改善度に優れていることがわかります。 3)多重検定 帰無仮説がひとつしか設定されていない場合、2標本t検定で問題ないのですが、比較対象が3群以 上存在し、帰無仮説が複数個になると、検定の多重性の問題が生じます。 たとえば 3 群(A,B,C)を比較するとき、”全体としての 有意水準”を5%で検定したいとします。A とC、BとCについて有意水準5%の2標本t検定を2回繰り返すとき、もしその母平均 (それぞれ a,b,c とする)が a=b,and,b=c(つまり a=b=c)を満たしているなら、2つの帰無仮説のうちどちらか 一方が棄却されると a=b=c という帰無仮説は棄却されることになります。このとき、帰無仮説が棄却 される確率は約9%であり、設定した5%より大きくなっています。
多重比較法とは、このようなことが起こらないように”全体としての有意水準”を公称の値(あらか じめ宣言した値)にコントロールできるように一回一回の検定における個々の有意水準を調整する方 法を言います。
●t検定と多重比較法の使い分けについて 平均の差の検定を複数回行うときに、それらの検定すべて において有意差があるという結果のみに意 味があるときは、 t検定を繰り返して用います。一方、それらの検定のうち少なくとも1つ以上の検 定での有意差に意味があるときには多重比較法を用います。 例1:2種類の既存薬AとBを組み合わせた配合薬Cの配合効果を評価する場合。 この場合、既存薬A,Bのそれぞれの効果と配合薬Cの効果を比較します。ここでいいたいのはCが 既存薬A、Bの両方よりも効果があるということです。「CがAよりも優れている、かつCがBより も優れている」ということを示します。このような場合には2標本t検定を繰り返して用いるほうが 適切だと考えられます。 ○t検定の繰り返しで、どれかひとつ有意差が検出されたとき、その検定のみを取り上げて「有意差 がある」とはいえません。また、複数の検定のうちひとつでも「有意差がない」と言う結果がでれば、 上の例でいうと結果としてわかることは「CはAより優れていて、かつBより優れている、といえな い」ということだけです。 例2:新薬の用法を2種類(A1、A2)設定しそれらの薬効と標準薬(C)の薬効を比較する場合。 ここで示したいのは「2つの新薬のどちらか一方、または 両方がCより優れている」ということです。 「A1がCよりも優れている」「A2がCよりも優れている」と個々に言いたいとき2標本t検定を 用いると、すでに述べたようにどちらか一方には差がある(優れている)という結果が出る確率が高 くなってしまうので、多重比較法を用いたほうがよいといえます。 ○多重比較法で有意差が検出されなかった検定では(例えば、CとAに有意差がなかったとすると) 「AはCよりも優れているという結果が得られなかった」だけで ”帰無仮説を保留する” というこ とになります。これは多重比較法では 有意水準を調節しているため単回の検定よりもさらに、積極的 には帰無仮説が支持されないことを示しています。
出典:
http://www.gen-info.osaka-u.ac.jp/testdocs/tomocom/wilc1.html資料7 本研究で取得したヒヤリハット時ドライバー顔画像 別添 画像データ「ヒヤリハット顔画像」 資料8 ドライブレコーダ映像の分析結果・データファイル 別添 データファイル「分析用データファイル」 資料9 本研究の基礎となった先行研究 別添 論文データ 1.トラックドライバーのヒヤリハットに関する研究 2.携帯電話使用による運転行動への影響に関する研究 3.飲酒運転の背景要因に関する研究 4.交通事故の背景にある心理的要因に関する研究 5.飲酒運転による視線の動向に関する研究
第二章
ドライブレコーダ映像を用いた運転手挙動の画像解析
1.背景 1.1.日本の道路交通の現状 現代社会において, 自動車交通は最も世界的に普及している交通手段のうちの一つである.し かしその一方で, 数多く発生する交通事故が社会的問題の 1 つになっている. 警視庁交通局の平成20 年度の道路交通事故による交通事故発生件数,死者数及び負傷者数の グラフによれば平成20 年の死者数(24 時間以内)は 5155 人であった.この数は近年減少傾向にあ り,交通事故対策は一見有効に機能しているように思われる.しかしながら,交通事故発生件数 は約76 万件,負傷者数は約 95 万人であり,図 1.1 に示すように依然として高い水準を維持して いる.この傾向差の理由としては,衝突安全に関する車両技術と救急救命の改善が大きく寄与し ている [1].しかしながら,命が助かっても重度の後遺障害者が年間数万人にも上る.今後目指 すべきところは,交通事故そのものの発生を大幅に減らすことである.そのために,事故を未然 に防ぐ予防安全に軸足を移していく必要がある. 図1.1 道路交通事故による交通事故発生件数,死者数及び負傷者数の推移
1.2.事故原因 交通事故の原因の一つとして,運転手挙動が挙げられる.図1.2 は平成 20 年度における原付 以上運転者の起こした事故件数を法令違反別にグラフにしたものである.これによると法令違反 による事故の中でも漫然運転や脇見運転,運転操作不適などの運転手挙動が原因と思われる事故 が全体の約半数を占めている.これらのことから,現在運転手の身体的もしくは心理的状態を判 断する研究が行われている. 図1.2 法令違反別(第1当事者)死亡事故発生件数