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口腔粘膜障害に対する口内ケアの標準化に向けた看護師教育(第1 報) -症状緩和のためのガイドラインの導入-

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Academic year: 2021

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口腔粘膜障害に対する口内ケアの標準化に向けた看護師教育(第 1 報)

-症状緩和のためのガイドラインの導入-

      2 階東病棟        ○佐藤 美度利  山崎 麻朱  岡田 日和  廣瀬 明美     濱渦 和    坂本 美和 キーワード:口腔粘膜障害、口内ケア、看護師教育、症状緩和 Ⅰ.はじめに  口腔腫瘍は放射線療法と化学療法(以下、放射線化学療法)を併用した治療が一般的である。放射線療 法は、口腔や咽頭全体または、口腔の一部が照射野内に含まれており、口腔粘膜障害の発生は著しく高く なる。化学療法を併用することにより、さらに発生のリスクを上昇させる。  口内ケアにおける看護師の役割について、大田らは「口腔有害反応・口腔トラブルを評価して主体的な ケア 、 またはコーディネートを行うのが看護師の役割である」と述べている1)。看護師は口腔内観察を行 いながら症状や状態に合わせて口内ケアを実践していくことが必須である。実際に口内ケアを積極的に介 入することで、副作用である粘膜障害などの症状緩和や感染予防、QOL の低下を防ぐことができることが 明らかになっている。  口内ケアの 3 本柱は口腔内清潔保持、口腔内保湿、疼痛コントロールと言われているが、当院では鎮痛 剤による疼痛コントロールが主であり、看護師の保清・保湿の必要性の認識は高いが、知識や技術の不足 が考えられ、積極的な介入が出来ていない現状である。そこで、看護師の知識・技術の向上のための看護 師教育や、ケアの標準化を図るためのガイドラインの導入が必要であると感じた。しかし、実際に看護師 がどのように考え、またどのような知識や技術を持って口内ケアを実践しているかはわからない。効果的 にガイドラインを導入し、看護師の口内ケアの標準化につなげるためには、まず現状を知り、明らかになっ た問題点をふまえ、看護師教育を行うことが必要であると考えた。  今回はガイドライン導入前の看護師の口内ケアに関する知識・行動の現状について報告する。 Ⅱ.研究目的  口腔粘膜障害に対する看護師の口内ケアの現状や行動、ケアの学習ニーズを明らかにすることを目的と する。 Ⅲ.概念枠組み 看護師 口内ケアの標準化 症状緩和・悪化予防 感染予防 ガイドライン導入 口腔内観察 保清 疼痛緩和 患者への生活指導 口腔ケアチームとの連携 患者の知識やセルフケア能力の向上 知識 行動 属性 口腔粘膜障害に対する口内ケア の 識 看護師の知識や技術の向上 患者 知 ・行動

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― 103 ― Ⅳ.研究方法    研 究 デ ザ イ ン:量的研究    対 象:A大学病院B病棟看護師 25 名    期 間:2011 年 4 月~ 2011 年 8 月    データ収集方法:質問紙調査法を用いる。作成した質問用紙を部署内で配布し、回収箱に投函しても らい、回収する。質問紙は 5 段階尺度(- 2:全くそうではない、- 1:あまりそ うではない、0:どちらともいえない、1:ややそうである、2:非常にそうである) を使用する。    データ分析方法:質問紙調査の結果は、エクセル統計を使用し分析する。分析手法は統計学的分析方 法を用いて分析する。 Ⅴ.倫理的配慮  所属施設の委員会による倫理審査を受け承認を経て、本研究を行った。研究対象者は、研究の目的・内容・ 方法等と文章で説明し、回収箱への投函をもって同意を得たもののみを対象とした。調査によって得られ たデータは、本研究以外には使用しないこと、プライバシーを厳守すること、研究への参加は自由であり、 いかなる場合も不利益を被らないことを文章で説明を行った。また、研究結果の公表の同意は、文章で説 明し投函をもって得たものとし、発表内容には個人が特定されるような情報は記載しないこととした。 Ⅵ.結  果  回収数 22 名、回収率 88%、有効回答数 22 名、有効回答率 100%であった。対象者は 4 分の 3 以上が 30 歳以下であり、経験年数の平均は 6 年であった。  1.口腔粘膜障害に対する口内ケアについての看護師の知識    18 項目中 17 項目と全体的に平均が低く、ばらつきも大きかった。その中でも【口内炎のグレード分類】 【唾液腺マッサージの方法】【保湿剤の種類別の特徴】は特に平均が低かった。    【鎮痛剤の種類】については、平均が高く、ばらつきが少なかった。 表1 口腔粘膜障害に対する口内ケアについての看護師の知識 -2.00 -1.50 -1.00 -0.50 0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 口 内 炎 の グ レ ー ド 分 類 舌 苔 の ケ ア 方 法 ブ ラ ッ シ ン グ の 方 法 禁 煙 の 目 的 唾 液 腺 マ ッ サ ー ジ の 方 法 義 歯 の ケ ア 方 法 義 歯 の 保 管 方 法 歯 科 衛 生 士 へ の 口 腔 ケ ア の 依 頼 口 内 の 観 察 項 目 患 者 の 口 内 の 保 清 方 法 口 腔 粘 膜 障 害 の 程 度 に 合 わ せ た 口 内 保 清 の 方 法 口 内 の 保 湿 の 方 法 保 湿 剤 の 種 類 保 湿 剤 の 種 類 別 の 特 徴 口 腔 粘 膜 障 害 の 程 度 に 合 わ せ た 含 嗽 薬 の 選 択 方 法 鎮 痛 剤 の 種 類 鎮 痛 剤 の 種 類 別 の 特 徴 痛 み の 評 価 方 法 平均 ばらつき

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― 104 ―  2.口腔粘膜障害に対する口内ケアについての看護師の行動  25 項目中 18 項目は、平均が低く、ばらつきが大きいことがわかった。  平均が低くばらつきが大きかったのは、【患者とともに口内の観察】【口内機能の評価】【グレード分 類を用いた口内の評価】【実際の患者の口内保清の観察】【口腔粘膜障害の程度に合わせた口内保清の提 案】【舌苔のケア】【歯磨き習慣の情報収集】【ブラッシング指導】【口内の状態に合わせた保湿剤の使用】【口 内の状態に合わせた含嗽薬を医師に相談】【痛みの程度に合わせた鎮痛剤を医師に相談】【禁煙の目的の 説明】【食事について栄養士に相談】【治療開始前に、口腔粘膜障害の発生時期と症状の経過、疼痛など の自覚症状について説明】【唾液腺マッサージの指導】【義歯のケア方法の観察】【義歯の保管方法の観察】 【歯科衛生士への口内ケアの依頼を医師に相談】であった。  平均がやや高く、ばらつきが大きいのは【局所麻酔入りの含嗽薬の使用方法の説明】であった。  平均が高く、ばらつきが小さいのは【口内の観察】【含嗽の必要性の説明】【鎮痛剤の効果の観察】【痛 みの評価】【食事摂取状況の確認】【食事摂取状況や食事量、口内の状態に合わせた食事の選択】であった。  3.学習ニーズ  「疼痛緩和」「口腔内観察」「保清」「保湿」「口腔粘膜障害」について項目をあげ、学習ニーズを調査 した結果、全ての項目において対象者の 50%以上が学習したいと答えた。各項目の結果を以下に示す。 3.学習ニーズ 「疼痛緩和」「口腔内観察」「保清」「保湿」「口腔粘膜障害」について項目をあげ、学習ニーズを調査した結 果、全ての項目において対象者の 50%以上が学習したいと答えた。各項目の結果を以下に示す。 表2 口腔粘膜障害に対する口内ケアについての看護師の行動 -2.00 -1.50 -1.00 -0.50 0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 口 内 の 観 察 患 者 と と も に 口 内 の 観 察 口 腔 機 能 の 評 価 グ レ ー ド 分 類 を 用 い て 口 内 の 評 価 実 際 の 患 者 の 口 内 保 清 の 観 察 口 腔 粘 膜 障 害 の 程 度 に 合 わ せ た 口 内 保 清 の 提 案 舌 苔 の ケ ア 歯 磨 き 習 慣 の 情 報 収 集 ブ ラ ッ シ ン グ 指 導 口 内 の 状 態 に 合 わ せ た 保 湿 剤 の 使 用 含 嗽 の 必 要 性 の 説 明 局 所 麻 酔 入 り 含 嗽 薬 の 使 用 方 法 の 説 明 口 内 の 状 態 に 合 わ せ た 含 嗽 薬 を 医 師 に 相 談 鎮 痛 剤 の 効 果 の 観 察 痛 み の 評 価 痛 み の 程 度 に 合 わ せ た 鎮 痛 剤 を 医 師 に 相 談 禁 煙 の 目 的 の 説 明 食 事 摂 取 状 況 の 確 認 食 事 摂 取 状 況 や 食 事 量 、 口 内 の 状 態 に 合 わ せ た 食 事 の 選 択 食 事 に つ い て 栄 養 士 に 相 談 治 療 開 始 前 に 、 口 腔 粘 膜 障 害 の 発 生 時 期 と 症 状 の 経 過 、 疼 痛 な ど の 自 覚 症 状 に つ い て の 説 明 唾 液 腺 マ ッ サ ー ジ の 指 導 義 歯 の ケ ア 方 法 の 観 察 義 歯 の 保 管 方 法 の 観 察 歯 科 衛 生 士 へ の 口 腔 ケ ア の 依 頼 を 医 師 に 相 談 平均 ばらつき 表3 学習ニーズ 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 唾液 腺マ ッサ ージ グレ ード分 類 ブラ ッシ ング 嗽 除痛 ラダ ー 口腔 機能 義歯 管理 舌苔 ケア 保湿 剤 経過 観察 項目 道具 発生 機序 鎮痛 剤に つい て 痛み の評 価方 法 学習項目 パ ー セ ン ト

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― 105 ― Ⅶ.考  察  口腔粘膜障害に対する口内ケアについての看護師の知識が低い、行動できていないと答えた内容と学習 ニーズが一致しており、口腔粘膜障害に対する口内ケアの 3 本柱である口腔内清潔保持、口腔内保湿、疼 痛コントロールの知識不足が明らかとなった。このことは、看護師の行動に影響を及ぼし、口内ケアが十 分に実施できていないことにつながっている。  そのため、知識を向上させ、ケアの標準化を図ることが必要であるが、まずは知識を向上させることが 優先課題であり、学習会を行う必要がある。学習会は、口腔粘膜障害に対する口内ケアの 3 本柱に重点を あて、口内観察や口腔粘膜障害についても計画し、実施していかなければならない。  また、各分野の専門性や他職種と連携を図り、看護師だけでなく医師や歯科衛生士と協働することで、 効果的な学習会が開催できると考える。 Ⅷ.おわりに  効果的な学習会が行え、看護師の知識向上につながることができたかについては、学習会実施後のアン ケートを行い、評価・修正を行っていく必要がある。  今回アンケート調査を行うことで、自分達の知識不足を認識することができた。このことから、学習会 へのモチベーションが高まり、知識や技術の習得に対し意欲的に取り組み始めている。  今後は学習会を重ね、医師や歯科衛生士と協働しながらガイドラインを作成・導入し、看護師の知識・ 技術の向上とケアの標準化を目指していく。 引用・参考文献  1)村田翼・大田洋二郎,がん患者の口腔トラブルとケア,看護技術,52(14),1243 - 1247,2006.  2)山田みづき,がん化学療法と症状管理② 口内炎.[シリーズ]がんの化学療法と看護 No.5,2003.  3)篠田宏文,頭頚部放射線治療における口腔ケア,月刊ナーシング,28(13),2008.  4)大田洋二郎,頭頚部がんの口腔ケア,がん看護,12(6),2007.  5)大田洋二郎,口内の痛み・口渇感,Expert Nurse,21(10),2005.  6)大田洋二郎,がん患者の口腔トラブルとケア,看護技術,52(14),2006.

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