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地下鉄における新たなレール塗油手法の検証(その3

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Academic year: 2022

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地下鉄における新たなレール塗油手法の検証(その3

東京地下鉄(株) 山下 清貴 東京地下鉄(株) 正会員 大澤 純一郎 東京地下鉄(株) 正会員 ○小林 実 東京地下鉄(株) 正会員 工藤 浩之

1.はじめに

当社は、8 路線 183.2kmの営業路線を有しているが、東京都心の地下鉄道網であるため、用地等の制約に より半径 800m未満の曲線が路線の 40%を占めている。曲線部では、レールと車輪フランジの接触によるレ ール側面摩耗とフランジ直立摩耗の抑制を目的として、昭和 2 年の銀座線開業当時から人力による塗油作業

(油の手付け)を始め、昭和 29 年頃より曲線進入部の外軌レール側にアラジン塗油器を設置し、地上側から の塗油手法が開始された。その後、レール塗油器の機種も改良され、現在では摩耗防止用として外軌レール 側に、きしり音防止用として内軌レール側にレール塗油を実施している1)

前々報その 12)では、内軌レールにおける車輪とレールの間に発生する摩擦力を塗油により低下させるこ とにより内外軌レールに発生する横圧の低減ができることを確認し、前報その23)では、内軌レール塗油手 法による外軌レールの磨耗抑制効果及び内軌レール頭頂面の凹凸量(波状摩耗)の抑制効果について確認す ることができた。本報では、さらなる安全性の検証として、台車試験機による台車曲線通過性能の試験結果 及び営業線における内軌レール塗油手法の検証試験結果について報告をする。

2.横圧発生のメカニズム

前軸 後軸

摩擦力

外軌

内軌

横圧(横クリープ力)

横圧(フランジ反力)

進行方向

曲線通過時の台車前軸の外軌側車輪は、レールと車輪 フランジが接触して内軌側に押されながら走行する。

内軌側車輪は内軌レール接触面に発生する摩擦力(輪重

+摩擦係数)に抵抗するため、摩擦力を反力として外軌 側横圧として作用する。(図-1)

3.台車曲線通過性能試験 3.1 試験の概要

内軌レール塗油状態における曲線での台車の旋回性能 図-1 横圧発生のメカニズム を検証することを目的に、独立行政法人交通安全環境研

究所の「都市内鉄軌道用台車試験設備」にて実物の台車 を用いて試験を実施した。(図-2)

試験に用いた台車は、営業線で使用している台車を使 用し、軌道の条件は、 軌間 1,435mm、50Nレール、ス ラック 15mmとした。曲線条件として、曲線半径 500m

~120m区間を空車条件の加重で、約 20km/hの走行速度 で行った。

試験項目は、無給油状態と内軌塗油状態における各曲 図-2 都市内鉄道用台車試験設備 線走行時の台車前軸外軌側の横圧及び同軸のアタック角

の比較検証をした。

キーワード レール塗油器 内軌レール塗油手法 横圧 レール摩耗 波状摩耗 レール削正

〒110-8614 東京都台東区東上野 3-19-6 鉄道本部工務部軌道課 Tel:03-3837-7092

4-064 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

-127-

(2)

3.2 外軌側横圧値の比較

0 5 10 15 20

100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 曲線半径

kN 無給油

塗油

外軌側横圧測定値を図-3に示す。無給油状態におい ては、曲線半径が小さくなる毎に、横圧値が上昇するこ とが確認され、内軌レール塗油状態においては、曲線半 径が小さくなる毎に横圧値は、緩やかに上昇することが 確認された。最小曲線半径 120mでの横圧値を比較する と、無給油状態で約 16kN、内軌レール塗油状態で約 4 kNであり横圧が低減していることが確認された。

今回の試験にて、曲線半径別における内軌レール塗油 手法の安全性を検証することができた。

0 5 10 15 20

100 150 200 250 300 350 400 450 500 550 曲線半径

(m rad)

無給油 塗油

3.3 前軸アタック角の比較

前軸アタック角測定値を図-4に示す。無給油状態と 内軌レール塗油状態においてアタック角の変化がないこ とが確認され、内軌レール塗油手法による曲線通過時に おける台車の旋回性能に悪影響を及ぼす恐れはないと考 察する。

4.営業線における検証試験

塗油状態の異なる区間を連続して、車両走行試験を行 い、各曲線における外軌側脱線係数値を図-5に示す。

0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2

0

150 200 250 300 350 400 450 500 550 600 曲線半径

Q/P 内軌塗油

外軌塗油

当該区間は、 フランジ角度 70 度であることから脱線 係数の目標値は 1.14 である。走行試験の結果、内軌レー ル塗油区間において、脱線係数の目標値を超える箇所は 確認されないことから営業線における連続する区間での 走行安全性を検証することができた。

5.まとめ

内軌レール塗油手法の検証として、走行安全性の評価 及びレールに与える影響評価をこれまで実施し、塗油器

の目的である外軌レールの摩耗抑制、内軌レールのキシ リ音の防止及び波状摩耗の抑制に対し、有効性を評価す

ることができた。この結果を基に塗油器の設置位置は曲線半径 200m を超え 600m 以下の曲線では内軌用レ ール塗油器(LRE-200-M4 型)とし、曲線半径 200m以下の曲線では外・内軌用レール塗油器(LRE-200-M8 型)を設置することを標準化とした。外・内軌用レール塗油器を設置する理由として、曲線半径 600m を越 える塗油器の設置されていない曲線区間での外軌レール摩耗抑制を目的としている。すなわち曲線半径 200m 以下の曲線にて、外軌側車輪フランジに塗油することでレール及びフランジ摩耗抑制を図っている。

今後の課題として、標準化とした塗油器についての営業線での長期的な評価を実施し、地下鉄急曲線にお ける塗油管理手法の更なる構築を図りたい。

【参考文献】

1)桜庭:地下鉄におけるレール塗油 新線路(1996.5)pp16-18

2)武藤,小林,星野:地下鉄における新たなレール塗油手法の検証,土木学会第 60 回年次学術講演会概要 集,4-105(2005.9)

3)武藤,小林,工藤:地下鉄における新たなレール塗油手法の検証(その2),土木学会第 61 回年次学術 講演会概要集,4-235(2006.9)

4-064 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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