十 三 湖 にお け る塩 分 と溶存 酸 素 の変 動 に関 す る観測 と解 析
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(2) 1052. 海. 図‑2. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). 十三 湖平 面 図 と調 査地 点. 表‑1. 湖内 の調 査地点 と項 目. 図‑3. 調査期 間 中 の十 三湖 にお ける水文,気 象条件. で計 測 した水 深 か ら,概 略 的 に算 出 した参 考 値 で あ る. 測 器 は,塩 分 ・水 温 計 が ア レ ッ ク電 子(株)製COMPACT‑ CT,溶. 存 酸 素 計 が ア レ ッ ク電 子(株)製COMPACT‑DOW. を 用 い た. 測 定 期 間 は,2007年6月9日 る汽 水 湖 で あ る.湖 面 積18.6km2,水. 面 標 高Om,湖. 心部. 〜10月11日 の 約4ヶ 月 間 で,. 測 定 間 隔 は い ず れ も10分 と した.測 定 期 間 中 の8月9日 か. に お け る 最 大 水 深 が 約2mの 浅 い 湖 で あ る .湖 の 平 面 形. ら10日 に か け て,一 度 測 定 機 を引 き上 げ,デ. 状 を図‑2に 示 す.十 三 湖 の 北 西 部 に あ る下 流 端 が,岩 木. 及 び 測 器 の メ ン テ ナ ンス を 行 っ た.さ. 川 の河 口 とな って お り,水 戸 口 と 呼 ば れ て い る.こ の 水. 月11日 に は,セ. 戸 口 を通 じて,日 本 海 へ 流 れ て い る.十 三 湖 は,平 均 水. 現 場 で 測 器 の清 掃 作 業 を行 った.溶 存 酸 素 計 に は,測 定. 深 が 約1mと 浅 く,湖 の容 積 に対 して 集 水 面 積 が 大 き い.. の度 にセ ンサ部 を 洗 浄 す る ワイ パ ー が 付 属 して い る の で,. ータの回収. らに,7月14日. と9. ンサ 部 分 へ の 付 着 物 を 除去 す る た め に,. そ の た め,湖 水 の 平 均 滞 留 時 間 が3日 程 度 と非 常 に短 く,. セ ンサ 部 分 の汚 損 は ほ とん ど無 か っ た.し か し,塩 分 ・. 湖水 の 回 転 が速 い こ とが 特 徴 で あ る.ま た,河 川 か らの. 水 温 計 は,ワ イパ ー 等 が な い た め,セ. 流 入 は,岩 木 川 本 川 が 全 集 水 面 積 の 約80%を. ツ ボ等 の 付 着 が あ った.. そ の ほか に 山 田川,鳥. 谷 川,相. 占 め て お り,. 内 川 な ど の流 入 が あ る.. 十 三 湖 に は,汽 水 環 境 に特 有 の生 物 で あ る ヤ マ トシ ジ. ンサ周 辺 に も フ ジ. 岩 木 川 の 流 量 は五 所 川 原 地 点 に お い て,十 三 湖 近 傍 の 風 向 風 速 は 十 三 地 点 に お い て,そ. れぞれ国土交通省 に よ. ミが 生 息 し,日 本 で も有 数 の シ ジ ミ産 地 と な って い る.. り測 定 さ れ て い る.潮 位 は 深 浦 地 点 に お い て,気 象 庁 に. 十 三 湖 で 漁 獲 され る 魚 介 類 の うち,90%以. よ り測 定 さ れ て い る(地 点 の 位 置 は,図‑1,図‑2を. 上(2,360ト ン,. 参 照) .. 平 成9年)が ヤ マ ト シ ジ ミで 占 め られ て い る こ と か ら,十. 十 三 湖 の水 位 は,岩 木 川 河 口 の 若 宮 地 点 お よ び水 戸 口 の. 三 湖 の漁 業 は シ ジ ミ漁 で成 り立 っ て い る と い っ て も過 言. や や 南 側 の十 三 地 点(図‑2参 照)に お い て,国 土 交 通 省 に. で は な い と され て い る(田 村 ら,2000) .. よ り測 定 さ れ て い る.. (2) 観 測 方 法. (3) 観 測 結 果. 十 三 湖 内 の塩 水 流 動 と そ れ に 関 連 した水 質 の 変 化 の 時 空 間 的 な 挙 動 を 捉 え る た め の 現 地 計 測 を実 施 した.測 定 項 目 は,塩 分,水 温,溶. 存 酸 素 量 で あ る.測 定 地 点 は,. 本 観 測 期 間 中 の十 三 湖 に お け る水 文,気 象 条 件 と して, 図‑3に 岩 木 川 流 量(五 所 川 原 地 点),水 び風 速(十 三 地 点)を 示 す.上. 位(若 宮 地 点)お よ. 段 の 流 量 時 系 列 か ら,7月. 湖 形 状 お よ び流 入 河 川 と流 出部(水 戸 口)を 考 慮 して,湖. 半 ば か ら8月 初 め にか け て は渇 水 で あ った こ とが 分 か る.. 内5地 点 に 測 器 を設 置 した.図‑2に. この 渇 水 が,湖 水 環 境 お よ び ヤ マ トシ ジ ミに影 響 した 可. 点Eの 合 計5地 点 で あ る.各 と測 定 高 度 は,表‑1に. 示 し た地 点Aか ら地. 測 定 地 点 に お け る測 定 項 目. 示 す と お りで あ る.な お湖 底 標 高. と して 示 した 値 は,現 地 調 査 時 の 湖 水 位 と設 置 地 点 付 近. 能 性 が 予 想 さ れ る.こ の 渇 水 は,8月 解 消 され て い る.ま た,こ. 中 頃 の 出水 に よ り. れ と ほぼ 同 じ期 間 に10日 間 ほ. ど,風 速10m/s前 後 の 強 風 が 継 続 して い る.こ れ は,東.
(3) 1053. 十三 湖 にお け る塩 分 と溶存酸 素 の変動 に関 す る観 測 と解析. 図‑5十. 三湖 にお けるDOの. 測定 結果.(a)地 点D,(b)地 点E. 化 が 生 じる こ と は,興 味 深 い と思 わ れ る.貧 酸 素 の発 生 要 因 につ い て は,次 節 の解 析 に よ り考 察 を 行 う. 3.数. 値解析. 湖 内 の塩 分 とDOの 変 動 に つ い て,鉛. 直1次 元 の比 較 的. 単 純 な数 値 シ ミュ レー シ ョ ンを 行 い,十 三 湖 の水 理 環 境 につ い て の 考 察 を行 った. (1)計 算 方 法 計 算 対 象 項 目 は,水 温,塩 式 は,式(1)で. 分,DOで. あ る.基 礎 方 程. 表 さ れ る湖 内 の鉛 直拡 散 方 程 式 で あ る.. (1) こ こ にc:塩 分,水 数 で あ る.Sは 図‑4. 十 三 湖 にお け る塩 分 の測定 結果.(a)地 点A上 層,(b)地 点B,(c)地 点C,(d)地 点D上 層,(e)地 点D下 層,(f)地 点 E.た だ し,最 下 段 の太 矢 印 は測 器 メ ンテ ナ ンス の実 施 日,図 中 の実線 矢 印 は欠 測期 間,破 線矢 印 は汚損 に よ るセ ンサ感 度低 下 の可能 性 が あ る期 間 を示 して い る. 温 ま た はDOを. 示 し,K:鉛. 直拡 散係. 生 成 項 で あ り,水 温 に つ い て は,気 象 条. 件 に よ る水 面 を通 じた 熱 収 支 を考 慮 して い る. 気 象 条 件 に よ り生 じる水 面 で の熱 収 支 φ[W/m2]は,日 射 に よ り受 け る 熱 量(全 天 日射 量,φI),長. 波 放 射 φL,. 潜 熱 φe,顕 熱 φcにつ い て,. 北 地 方 に 顕 著 な 山背 で あ る と考 え られ る.ま た,こ の 強. (2). 風 に対 応 す る よ うに,若 宮 地 点 の水 位 が 大 き く下 が って い る.こ れ は,湖 水 が 強 風 で 吹 き寄 せ られ た結 果 だ と考. と して 与 え た.こ. え られ る.. で あ る.こ の う ち,長 波 放 射 φLはSwinbankの 式,潜 熱 ・. 図‑4に 塩 分 の 観 測 結 果 を示 す.地 の1ヶ 月 弱 が 欠 測 とな って い る.地. 点Eは7月 点Aは,潮. 中旬 か ら 汐 に応 じ. た海 水 の流 入 お よ び 湖 水 の流 出 に よ り,塩 分 が 大 き く日 内 変 化 して い る.ま. た,設 置 標 高 の 比 較 的 高 い地 点B,. Cお よ びDの 上 層 は,湖. 心 や 湖 奥 部 とい う平 面 位 置 に 関. こにr=水 面 の反 射 率,b=水. 顕 熱 φe+φcはRohwerの ら算 出 した.ま. 面吸収率. 式 な ど の 経 験 式(岩 佐,1995)か. た,水 面 を 透 過 した 日射 の 水 深 方 向 で の. 熱 伝 達 は,Lambert‑Beerの DOの 生 成 項SDOは,底. 法 則 に基 づ い て与 え た. 泥 に よ る酸 素 消 費 と水 面 で の 再. 曝 気 を次 式 で 考 慮 した.. わ りな く,潮 汐 や 河 川 流 量 の影 響 を 受 け て大 き く変 化 し て い る.一 方 で,地. 点D(設 置 標 高‑1.1m,下. 観 測 期 間 を通 じて 塩 分 が高 い.こ. 層)で は,. で は定 常 的 に 塩 分 成 層 が形 成 され て い る と考 え られ る. DOに. つ い て は,図‑5に. 観 測 結 果 を 示 す.こ. か ら40cmと い う下 層 で の 測 定 で あ る が,概 条 件 で 推 移 し て い る.し. (3). の こ とか ら,十 三 湖 内. れ は底 面. ね好 気的 な. か し,地 点Dで は8月 上 旬 に,. 地 点Eで は8月 下 旬 と9月 中 頃 に 貧 酸 素 化 して い る.十 三 湖 の よ う に湖 水 の交 換 が 速 く浅 い湖 で も,夏 期 の貧 酸 素. こ こ に,T:水. 温,Tb:基. 消 費 速 度,θ:温 度,△Z:格. 準 水 温,a:T=Tbに. 度 影 響 係 数,DOsat:飽. 子 間 隔,As:各. 再 曝 気 係 数 を 示 す.本. 水 深 に お け る湖 水 表 面 積,ka:. 研 究 で はTb=20[℃],a=0.50[g/m2/d],. θ=1.06,ka=1.0[m/d],△Z=0.05[m]と 溶 存 酸 素 濃 度 は,次. お け る酸 素 和 溶存 酸素 濃. 式 か ら求 め た.. し た.ま. た,飽. 和.
(4) 1054. 海. 岸. 工. 学. 論. 文. 集. 第55巻(2008). (4) 湖 内 へ の 流 入 水(河 川 水 お よ び水 戸 口 を 経 由す る海 水)は. a)流量(五 所川原地点). 湖 内 の等 密 度 層 へ と流 入 す る と した.一 方,水 戸 口 か ら 海 へ の流 出 は湖 底 か ら水 面 まで,全 層 一 様 に流 出 す る と 仮 定 した.流 入 水 及 び 湖 水 の 密 度 は,UNESCOの. 状態 方. 程 式 を用 い て,水 温 と塩 分 か ら決 定 した. b)上層塩分(実 測 値:地 点B) 計 算 期 間 は,十 三 湖 で 夏 季 水 質 調 査 を 実 施 した6月10 日か ら10月12日 まで と した.河 川 か らの 十 三 湖 へ の流 入 量 は,主. な 流 入 河 川 で あ る岩 木 川 の十 三 湖 か ら約30km. 上 流 側 に位 置 す る五 所 川 原 地 点 の 流 量 よ り,流 域 面 積 を 考 慮 して 推 定 した.. (5) こ こで,QR:岩. 木 川 か らの 流 入 量,AR:岩. 点 に お け る 流 域 面 積,AG:五 QG:五. c)下層塩分(実 測値:地 点D). 木 川の若宮地. 所 川 原 地 点 の 流 域 面 積,. 所 川 原 地 点 に お け る岩 木 川 流 量 で あ る.ま. 水 戸 口 の通 過 流 量 は,Sasakiら(2007)に. d) 下層DO(実. 測値:地 点D). た,. 倣 い,十 三 地 点. に お け る水 位 変 動 と湖 面 積 お よ び 河 川 流 量 の 関 係 か ら推 定 した. 図‑6. (6) こ こで,QM:水. 戸 口流 量,AL:十. 三 湖 面 積,h:十. 三湖. 水 位 を示 す.. DOと. 湖 内塩 分 ・DOの 再現 計算 結果. も に,変 動 傾 向 が よ く捉 え られ て い る.た だ し,7. 月 中 旬 か ら8月 中 旬 に か け て 上 層 塩 分 で実 測 と計 算 値 の. 湖 内 へ の 流 入 水(河 川 水 お よ び水 戸 口 か らの海 水)は 湖. 乖 離 が 大 き い.こ の 理 由 と して,当 該 期 間 は塩 分 セ ンサ. 内 の等 密 度 層 へ と流 入 す る と した.一 方,水 戸 口 か ら海. に付 着 物(フ ジ ツ ボ類)が 非 常 に 多 か っ た影 響 で,感 度 が. へ の 流 出 は 湖 底 か ら水 面 まで ,全 層 一 様 に流 出す る と仮. 低 下 して い た 可 能 性 も考 え ら れ る.後 述 す るDOの 低 下. 定 した.湖. に 関 して 重 要 な期 間 で も あ る こ とか ら,塩 分 の 測 定 値 の. 内 へ 流 入 す る 河 川 水 温 は,津 軽 大 橋 地 点(十. 三 湖 か ら約3km上. 流)で 水 温 が 国 土 交 通 省 に よ り定 期 的. 信 頼 性 は,本 研 究 の 重 要 な課 題 で あ る.こ の 期 間 の十 三. (月一 回)に 測 定 され て い る.こ の測 定 水 温 と そ の 日の 気. 湖 内 の 塩 分 収 支 を厳 密 に求 め るの は難 しい.し か し定 性. 温 か ら相 関式 を 作 成 して求 め た.十 三 湖 へ 流 入 す る海 水. 的 に は,こ. 温 は,水. 戸 口 の 近 傍 で あ る地 点Aに. 湖 水 位 はむ しろ上 昇 傾 向(図‑3)を 考 慮 す る と,海 水 流 入. 与 え,海. 水 塩 分 は33psuと した.河 川 及 び 海 か らの 流 入. 水 のDOは,飽. お け る実 測 値 か ら. 和 濃 度 を 仮 定 した.. の値 を 用 い た.河 川 流 量,風. 量 が小 さ い と は考 え に くい.従. って,こ. の期 間 の 塩 分 の. 測 定 値 は,誤 差 が 大 き い と見 る の が 妥 当 だ と考 え られ る.. 気 象 デ ー タは 十 三 湖 近 傍 の 気 象 庁 に よ る測 定 値 と して, 気 温 を 市 浦 地 点(ア メ ダ ス),日. の期 間 の 河 川 流 量 が少 な い に もか か わ らず,. 射 量 を青 森 地 方 気 象 台 で. 速,十 三 湖 測 量 デ ー タ は 国. 図‑7に,塩. 分 とDOの 鉛 直 分 布 時 系 列 の 計 算 結 果 を,. そ れ ぞ れ 上 段 と 中段 に 示 した.さ. らに,海 水 ま た は河 川. 水 が 十 三 湖 へ 流 入 して か らの 滞 留 日数 分 布 に つ い て の 計. 土 交 通 省 よ り提 出 され た もの で あ る.ま た,計 算 時 間 ス. 算 結 果 を,下. テ ッ プ は1時 間 と した.塩 分 ・水 温 分 布 の 初 期 条 件 は,. 滞 留 時 間 を 表 現 す る た め の ト レー サ ー を 用 い て行 った.. 十 三 湖 中心 部 に お い て 計 算 の 開 始 時点 に対 応 す る6月10. これ は,河 川 及 び海 か らの 流 入 時 点 で は 値 が0で,そ. 日 に測 定 さ れ た実 測 値 を 参 考 と して 与 え た.. 後 は,計 算 時 間 間 隔 △t[日]に対 応 して. (2) 計 算 結 果 と考 察 計 算 結 果 を図‑6に,観 観測値 は測定地点 が同. の 計 算 は,式(1)のcと. して. の. (7) 測 結 果 と対 比 して 示 す.た だ し,. の 生 成 項 を加 え て 計 算 を行 っ た も の で あ る.っ ま り,湖. 一 で は な い もの の,表‑1に. 内 で 一 日滞 留 す る と値 が1増 加 す る トレー サ ーで あ る.. 示 した. 湖 底 標 高 と設 置 高 さ か ら求 め た測 定 標 高 に対 して,計 算 値 と比 較 した.た. 段 に示 した.こ. だ し,前 述 の通 り湖 底 標 高 が概 算 値 で. あ る た め,厳 密 に は一 致 して い な い可 能 性 が あ る.塩 分,. こ の結 果 に よ る と,渇 水 で あ った7月 中 旬 か ら下 旬 に か け て,中 層 で の 滞 留 時 間 が2週 間 程 度 に まで 増 加 して い る こ とが 分 か る.密 度 差 の 関 係 か ら,上 層 は河 川 水 が.
(5) 1055. 十 三 湖 にお ける塩分 と溶 存酸素 の変 動 に関 す る観 測 と解析 流 入 し,下 層 に は 塩 水 が 流 入 して い る の で あ るが,中 層 は 両 者 の間 に挟 ま れ,結 果 的 に 湖 水 が 停 滞 して い た と い う こ と に な る.湖 水 が 停 滞 して い る層 で は,底 泥 な ど に よ る酸 素 消 費 が 進 む た め,中 層 に貧 酸 素 水 が 発 生 した と 考 え られ る.D地 層 水 が,8月. 点 に お け る8月 の 貧 酸 素 化 は,こ. の中. 上 旬 の 出 水(淡 水 で あ る た め,密 度 差 か ら上. 層 へ 流 入 す る)に よ り,下 層 へ 押 し下 げ られ,底. 層へ貧. 酸 素 水 が 移 流 した 結 果 で あ る こ とが 分 か る.つ ま り,実 測(図‑5)で 現 れ た 下 層 の貧 酸 素 化 は,そ の 場 で 酸 素 消 費 が 進 ん だ 結 果 で は な い こ と に な る.地 点Eの 観 測 結 果 で 生 じて い た貧 酸 素 化 も,図‑7の. 計 算 結 果 と対 応 を見 る と,. 中 層 か ら下 層 に か け て の 湖 水 の 滞 留 時 間 が 長 くな り,酸 素 消 費 が進 ん だ 後 に生 じて い る こ と が分 か る. 十 三 湖 は,水 深 が 浅 い と は いえ,最 生 息 して い な い.こ. 深 部 に は シ ジ ミが. れ は,最 深 部 が 地 点D周 辺 の湖 心 部. で,底 質 が 泥 質 化 して い る影 響 な ど の 理 由 が 考 え られ る. シ ジ ミの 分 布 が 多 い の は,水 深 が1m未 満 程 度 の か な り 浅 い領 域 で あ る.こ の 高 さ は,シ. ミュ レ ー シ ョ ン結 果 に. 見 られ た 貧 酸 素 化 領 域 に,概 ね 一 致 す る.昨 夏 の渇 水 時 に は,ヤ マ トシ ジ ミの 斃 死 が あ った と い う地 元 か らの 情 報 が あ った.湖. 内 の 高 塩 分 が 原 因 と も考 え られ るが,こ. れ に加 え て 中 層 で の 貧 酸 素 化 が,シ. 図‑7. 湖 内 水 質 シ ミ ュ レ ー シ ョ ン結 果 の 鉛 直 分 布 時 系 列a)塩 分,b)DO,c)湖. 水 の 滞 留 日数. ジ ミに対 す るス ト レ. ス と して 作 用 して い た 可 能 性 が あ る.. に は各 種 の測 定 デ ー タ を提 供 い ただ い た.ま た 現 地 観 測 の 際 に は,十 三 漁 業 組 合 お よ び 太 公 望 に ご協 力 を い た だ. 4. 結. 論. い た.こ. 本 研 究 で は,岩 木 川 水 系 十 三 湖 に お い て,2007年. こに 記 して 謝 意 を 表 す る.. の夏. 期 に,塩 分 お よ び 溶 存 酸 素 量 に 関 す る現 地 観 測 を 行 っ た. 多 地 点 の 連 続 的 な 測 定 を行 い,こ れ らの 時空 間 的 な挙 動 を 捉 え る こ と が で き た.ま 変 動 につ いて,鉛. た,十. 三 湖 内 の 塩 分 とDOの. 直 一 次 元 の数 値 解 析 を実 施 した.こ. の. 数 値 解 析 に よ り,観 測 結 果 で 見 られ た湖 心 部 底 層 の貧 酸 素 化 は,渇 水 期 間 中 に 中層 で生 じ た貧 酸 素 水 が,出 水 の 流 入 に よ り下 層 に移 流 して発 生 した と推 測 で き る こ とが 分 か っ た.昨 夏 の 渇 水 時 に,ヤ. マ ト シ ジ ミの 斃 死 が 見 ら. れ た と い う情 報 が あ り,こ の 一 つ の要 因 と して,中 層 部 (ヤ マ ト シ ジ ミが 生 息 す る浅 瀬 領 域 の湖 底 高 度 に 概 ね 一 致 す る)の 貧酸 素 化 が 影 響 して い る可 能 性 が 考 え られ る. な お,本 研 究 に は,種 々 の 課 題 が 残 され て い る.ま ず 観 測 に つ い て は,例 え ば 塩 分 セ ンサ へ の 付 着 物 に よ る影 響,DOの. 鉛 直 分 布(中 層 に お け る 貧 酸 素 化)を 実 測 す る. こ とな ど で あ る.次. に解 析 につ い て は,3次. 元 モデルの. 導 入 や植 物 プ ラ ンク トン等 を 含 め た物 質 循 環 を考 慮 した DO変 動 解 析 モ デ ル の 構 築 な どが 挙 げ られ る.今 後,こ れ らに つ いて 対 処 して い き た い と考 え て い る.. 謝 辞:本. 研 究 は,岩 木 川 に お け る 河 川 生 態 学 術 研 究 会 の. 総 合 的 な 調 査 研 究 の 一 環 と して実 施 され た.国 土 交 通 省. 参. 考. 文. 献. 岩 佐 義 朗 編 著 (1995): 数 値 水 理 学, 丸 善, 214p. 佐 々木 幹 夫 ・田 村 保 憲 ・藤 囲 豊 (1997): 十 三 湖 遡 上 塩 特 性, 水 工 学 論 文 集, 41巻, pp.501‑507. 鈴 木 誠 二 ・西 田 修 三 ・金 城 周 平 ・小 野 雅 史 ・中辻 啓 二 小 川 原 湖 に お け る ヤ マ トシ ジ ミの 資 源 量 変 動 と物 水 工 学 論 文 集, 52巻, pp.1041‑1045. 田村 眞 通 ・中村 幹 雄 編 著 (2000): 日本 の シ ジ ミ漁 業,. 水の挙動 (2005): 質 循 環, た た ら書. 房, 266p. 高 杉 奨 ・藤 原 広 和 ・沼 邉 武 志 ・二 木 幸 彦 ・長 崎勝 康 (2005): 小 川 原 湖 に お け る水 質 環 境 お よ び ヤ マ ト シ ジ ミの生 息 状 況 に つ い て, 水 工 学 論 文 集, 49巻, pp.1561‑1566. 高 橋 迪 夫 ・藤 田 豊 ・佐 々 木 幹 夫 ・池 田 通 政 ・川 名 慶 紀 (1994): 十 三 湖 に お け る 出 水 後 の水 質 の 時 ・空 間 変 動 特 性 に関 す る 現 地 観 測, 水 工 学 論 文 集, 38巻, pp.283‑288. 鶴 田 泰 士 ・石 川 忠 晴 ・西 田修 三 ・成 田 舞 ・藤 原 広 和 (2002): 小 川 原 湖 に お け る ヤ マ ト シ ジ ミの繁 殖 環 境 に つ い て, 土 木 学 会 論 文 集, No.705/II‑59, pp.175‑187. 中村 由 行 ・井 上 徹 教 ・柳 町 武 志 ・石 飛 裕 ・神 谷 宏 ・嘉 藤 健 二 ・ 山 室 真 澄 (1997): 汽 水 湖 沼 沿 岸 部 に お け る水 温 ・水 質 構 造 の 日周 変 動‑鉛 直 対 流 循 環 が 二 枚 貝 生 態 系 に及 ぼ す 影 響‑, 水 工 学 論 文 集,. 41巻,. pp.469‑474.. Kasai, A, H. Toyohara, A. Nakata, T. Miura and N. Azuma (2006): Food sourcefor the bivalve Corbiculajaponica in the formost fishing lakes estimated from stable isotope analysis,Fisheries Science,Vol.72: pp.105-114. Sasaki, M. and M. Sato (2007): Characteristicof favorablecurrent and backflow in Iwaki river mouth, Journal of Water Rresources and EnvironmentalEngineering & Proceedings of Japan-VietnamEstuary Workshop, pp.109-114..
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