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水素酸化細菌の培養における溶存水素の挙動と培養 工学的諸特性

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

水素酸化細菌の培養における溶存水素の挙動と培養 工学的諸特性

武下, 俊宏

Graduate School of Agriculture, Kyushu University

https://doi.org/10.11501/3075451

出版情報:Kyushu University, 1993, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

3-1

第三章 水素と酸素の総括物質移動容量係数の測定

ー=--

tコ

グルコース1 mo 1が好気性菌によって完全代謝されるときの反応を 化学重論的に考えると,

C6H1206 + 602 →6H20 + 6C02

つまり6molの酸素が必要になる1). グルコース1 gは30.Cの水0.8 mlに溶ける2)ので, グルコースの飽和溶解度は6.94 mol/l-H20にな

る. 一方, 300 Cの水に対する酸素のBunsen吸収係数は0.0261 ml/ml -H2 0である3 )ので, 1気圧における酸素の飽和溶解度は1.17mmol/lと 計算される. よって, グルコースが完全代謝されるにはモル比でグ

ルコースの6培の酸素が必要であるにもかかわらず, 酸素の溶解度 はグルコースの溶解度の1/5930でしかないことがわかる. 通常, 好 気性菌の培養 では酸素供給源として空気を用いることが多いが, 空 気中には体積比で20.948%の酸素しか含まれていない4 )ので, 空気飽 和水 溶液中の酸素の溶解童をHenryの法則を用いて計算すると, 溶解

童はわずか0.244 mmol/lでしかない. したがって, 酸素は好気性菌 の酸素要求重を満足するよう連続して供給されなければならない.

ところが, 培養液中には高密度の微生物が存在しており, これらの 微生物の酸素要求量は, 河)11 , 湖沼や海洋など自然の生態系で微生 物が要求している酸素重に比べ, その単位容積当りの酸素要求重は

(3)

異常に高くなる. もし もそのような微生物培養系の通気かくはんを 停止したならばF 数秒のうちに溶解した酸素は消費し尽くされてし まうであろう. と ころで微生物が利用できる酸素は培養液中に溶解 した酸素だけであり, 培養槽に通気されても液に溶解しなかった酸 素は微生物には利用されず培養槽を素通りすることになる. 山根5 ) は反応器(培養槽)に送り込まれた空気中 の酸素のうち実際に微生物

に利用された割合を概算し, この割合は20%以下である場合が多いと 報告している. ここで, 微生物は培養液中に溶解した敵素だけを利 用することを記したが, 培養槽に送り込まれた空気から菌体内への 酸素の拡散には何段階かのスッテプが存在している. J.E.Baileyと D.F.Ollisの著書6 )では図3-1に 示すような九つのステップが示され ている. すなわち

1 .気泡から気液界面への拡散 2.気-液界面を通る移動

3 .気泡近傍の比較的混合されてい ない液体領域を通り, 十分に混ム された液体 の中への溶質の拡散

4 .液体を通り菌依周囲の第二の比較的混合されていない液体領域ヘ の溶質の移動

5.菌体に関連した第二の比較的混合されていないを通る輸送 6.液体-凝集塊界面の移動

-58-

(4)

Stagnant reglon Stagnant

reglon Biochemical

reaction

im∞。

~ν�

Cell

Cell membrane Gas-liquid

interface

Liquid-aggregate interface

図3

-1

空気から菌体内への酸素の拡散

(5)

7 .菌塊, 菌糸体, 国体物質の中への拡散輸送 8.菌体外膜の横断

9 .菌体内反応、部位への移動

であるが, 菌体が単細胞である場合には6.と7.の抵抗はあらわれな し、.

化学工学の分野で用いられるfガス吸収jは, 混合気体を液体と 接触させて, 特定の成分を液体中に溶解, 吸収させる操作, と定

されている7). 気相から液相へ溶解成分が一方向に拡散するような 物質移動である. 二重境膜説(定常モデル)や浸透説, 表面更新鋭な ど(非定常モデル)が代表的 なモデルである. 工学的には二重境膜鋭 が簡便であり, 好気性微生物の反応器設計に主に用いられている.

また, 溶解ガスが液中の溶質と化学 反応を起こす場合(炭酸ガスやア ンモニアなど)は化学吸収であり, 反応、を伴わない単なる吸収の場合 (酸素や水素など)は物理吸収である. 好気性微生物用の反応器内の 炭酸ガスのガス発生と吸収に関しては石崎8 )によって詳しく検討さ れている. 乱流液体中へのガス吸収の理論としては浸透説(1935年) 境膜浸透説(1958年), 二重境膜説(1924年), 表面更新説(1951年)等

諸説提唱されている9). これらの中でガス吸収を解析するもっとも 簡単なモデルは二重境膜説である. これは, 気液界面に隣接してガ ス境膜と液境膜が存在し, ガス境膜および液境族内では分子拡散に

-60・

(6)

よって物質移動が起こり, さらに気液界面においてはガス分圧と液 濃度との間には平衡関係が成立すると仮定する理論である. またこ の理論を用いて計算される吸収速度は, その他の理論から計算され る吸収速度と大差なく数貨の範囲内でこれらの理論値は一致する9)

図3-2に二重境膜説の気液接触界面近傍での酸素の濃度分布を示す

7 ) 二重境膜説に基づくガス吸収では, ガス境膜を通るガス移動速

度と, 液境膜を通るガス移動速度は等しいので, これらの関係を図 3・3の平衡曲線を基に酸素について求めると酸素の物質移動速度 (OTR)は,

OTR=KGa(p-PL )=kGa(p-pj )=kLa(Ci -C)=KLa(CG -C) (1) Henryの法則を用いてCG=Hp, Cj =Hpj ,C=HPLとするとさらに

OTR=a(CG-C)/(H/KG) (2)

=a(CG-Cj )/(H/kG) (3)

=a(Cj -C)/(l/kL) (4)

=a(CG-C)/(l/KL) (5) (3)式と(4)式からCjを消去すると

OTR=a(CG -C)/(H/kG+1/kL) (6)

したがって(2), (5), (6)式から次の関係がわかる.

l/KL=H/kG+l/kL=H/KG (7)

(6 )式において(Cí,-C)の項は, 酸素の移動を起こさせる推進力である

(7)

p Cj

C

Bulk gas Gas film Liquid film Bulk liquid

Gas-liquid interface

図3-2 二重境膜説に基づく気液接触界面の酸素の濃度分布

-62-

(8)

0..

日何 ミ‘ーιー」

EE也

EQ

E

D

、oトー

a

L

E

回凹q》

2L

E七ELU 0..

C Cj CG

Dissolved oxygen concentration [g/I]

図3-3 酸素分圧と溶存酸素濃度の気液平衡曲線

(9)

と考えられ, H / k Gとl/k しはそれぞれ単位面積当りのガス境膜物質移 動抵抗と液境膜物質移動抵抗を表している. ガス移動に対するガス 境膜物質移動抵抗は, 気相に純粋なガスを用いることでほとんどゼ

ロにすることができる(ガス境膜物質移動は, 着目ガス分子が他のガ スの分子間を縫って拡散することに起因する). 一般に溶解度の低い 気体の場合, ガス境膜物質移動抵抗は液境膜物質移動抵抗に比べて

無視できることが知られている. さらに, 難溶性ガスの場合, ( 7 ) 中のHenry定数(H)は1よりかなり小さいので, K LはほぼkLに等しくな る. よって, (6)式は(8)式のように表すことができる.

OTR二KL a (CG -C) (8) あるいはHenryの法則を用いて

OTR=KLa'H(p-PL) (9)

と表せる. 実際の培養系で総括物質移動係数(K L )と単位体積当りの 気液接触面積(a)をそれぞれ個別に測定することは困難であるから通

常液境膜物質移動容量係数(KLa)という積の形で測定される. ( 8 )式 と(9)式は化学工学の領域のガス吸収に関する理論から導かれた物質

移動の関係式であるが, 微生物の培養系においても先に記した各種 の抵抗のうち, 3.の抵抗, つまり気泡のまわりの液境膜物質移動抵 抗が最も支配的である引とされるので, この仮定にしたがえば, 培 養槽内のガスの物質移動速度についても( 8)式や(9)式で代表できる

-64-

(10)

ものと考えられる.

水素は水素酸化細菌のガス培養に用いるガス基質中で最も大量に 消費される基質である. しかしながら, 30. Cの水素のHenry定数は酸 素のそれよりも小さく7.49・10-6 mol/l・kPaである. 藤田7 )は,

Henryの法制は液中の濃度が低いとき( 液相中の溶質のモル分率が 0.01未満)にのみ成り立つこと, すなわち溶解しにくい気体しかし常 温で溶解しやすい気体であっても混度が高くなると溶けにくくなる

気体でも成り立つ, ことを示している. したがって, 水素の場合も 酸素のときと同様にHenryの法則が成立する. さらに, 先にも述べた

酸素について導かれた物質移動速度の定義式は一般に難溶性ガスに ついて用いることができる.

水素の物質移動速度(HTR)も酸素の物質移動速度と同様に考え, 次 式で定義する.

Henryの法則を用いて

HTR=(KLa)H{(CG)H-CH} (10)

HTR=(KLa)H'HH{(P)H-(PL)H} (11)

ここで, (KLa)Hは水素の総括物質移動容量係数, (CG)H(=HH・(P) H )は 気泡の水素分圧と平衡な溶存水素濃度, CH (=HH・(PL)H)は液中の溶存 水素濃度である.

酸素の場合, 総括物質移動容量係数は, 培養槽の形状や通気かく

(11)

はん速度, 培養液のレオロジ)などによって影響を受ける. 水素の 場合もこれら物理的因子によって影響を受けると考えられる . 培養 槽の酸素移動能力は物質移動容量係数(K L a)で表され, 菌体や代謝産 物などの生産性や生産速度に直接影響を与えるブアクターである.

培養槽のKLaの測定方法はすでに確立されており, 次のような方法が 用いられている. すなわち, 亜硫酸酸化法, gassing out法, 排気ガ ス分析法などである. Gassing out法はさらにstatic法とdynamic法 に二分される1 )

本章では, Alcaligenes eutrophu sを独立栄養条件下で培養を行う 際の水素と酸素の物質移動現象を明らかにするため, これらのガス についての総括物質移動容量係数について議論する. まず, モデル 系におけるこれらガスの総括物質移動容量係数を測定し, つづいて 水素酸化細菌の培養系におけるこれらガスの総括物質移動容量係数 を求め, その関係について論じる. さらに, これらの総括物質移動 容量係数と, 亜硫酸酸化法による酸素の総括物質移動容量係数との 関係について検討した. また , 亜硫酸酸化法による総括物質移動容 量係数(KLa)sを知ることにより, その培養槽の水素の総括物質移動

容量係数(KLa)Hが予測できないかどうかを検討した. 最後にかくは ん速度と培養系の水素と酸素の物質移動容量係数の関係を示す.

-66-

(12)

3-2 亜硫酸酸化法による酸素の物質移動容量係数の測定

酸素移動速度の測定は, Dixon & Elliott1 Ø)のピロガロールを用 いる方法と, Cooperら1 1 )の亜硫酸ナトリウムを用いる方法の二つが よく知られている. このうち亜硫酸ナトリウムを用いる方法は亜硫 酸酸化法と呼ばれており, 発酵槽の酸素移動速度の能力を評価する のに広く用いられている方法である. 亜硫酸酸化法では, 亜硫酸の 濃度が約0.01 mol/l以上であれば, 亜硫酸の酸素による酸化速度は

亜硫酸の濃度と無関係に一定となること, また酸素移動速度は触媒

として用いる用いる金属イオンの種類によって影響を受ける1 2 )こと が知られている.

本研究では亜硫酸酸化法による酸素の物質移動容量係数の測定は

実験書1 3 )を参考に しておこなった. 本方法は, 培養槽に亜硫厳ナト リウム水溶液を入れ, 二価の銅イオンを触媒として亜硫酸ナトリウ ム溶液の空気酸化を行わせるものである. 通気か く はんを行ってし る培養槽中での亜硫酸ナトリウムの空気酸化過程では下に示す反応

式(1 ) , すなわち, 亜硫酸ナトリウムと溶存酸素から硫厳ナトリウム が生成する反応が起こる. この反応はマンニトールやエチルアルコ

ールで抑制される. 酸化速度の測定にあたっては亜硫酸ナトリウム 水溶液を培養槽から一定時間毎にサンプリングし, ヨウ素酸カリウ

ム液で滴定を行う. 滴定過程では下の( 2)と( 3)に示す反応が起こる.

(13)

滴定により亜硫酸ナトリウムがなくなると, 過剰なヨウ素がデンプ ンと反応し紫色を呈するのでこれを滴定終点とする.

反応式(1): Na2S03 + 1/202→Na2S04

反応式(2): K1 03+5K1+6HCl→312 + 6KCl + 3H20 反応式(3): Na2S03+12+H20→Na2S04+2H1

以上の操作を繰り返して, 亜硫酸ナトリウムの濃度(Cs )の経時変化 を測定し, 亜硫酸ナトリウム濃度の減少速度(dCs/dt)から酸素移動

速度を求める. 酸素移動速度(OTR)は次式で表される.

OTR=1/2(-dCs/dt) (12)

一方, 気相から液相への酸素移動速度は3-1節で述べた (8)式が成立 しているので, 亜硫酸酸化法によって測定した(KLa)sとの間に次式 が成立する.

OTR=(KLa)s(CG-C) (13)

項(CG -C)は酸素移動の推進力である. ところで, この測定系では亜 硫酸ナトリウムの酸素による酸化速度は非常に大きいので, 事実上

亜硫酸ナトリウム液中の溶存酸素濃度はOである. したがって,

(13)式は

OTR= (KLa)s.CG (14)

と近似される. さらに, 亜硫酸酸化法では亜硫酸ナトリウムの厳化 速度と酸素移動速度は等しいので, 酸素移動速度は下式で表される.

-68・

(14)

(KLa)s=1/(2CG)(-dCs/dt) (15)

He n r yの法則 式は

(KLa)s=1/(2Hp) (-dCs/dt) (16)

と記述できる. ここで30・Cにおける酸素のHenry定数1 . 15・10-5 mol Il.kPaと, 空気の酸素分圧21.2 kPaを代入すると

を得る.

(KLa)s=2050(-dCs/dt) (17)

亜硫酸ナトリウムの酸化速度(-dCs/dt)は, 実験結果から最小自乗 法によって求めた. 酸素移動容量係数の単位は1/hとした.

試薬の調製は同ーの実験指針書によった. 操作手I1債を以下に示す.

1 )全容200 mLの培養槽に10-3 mol/lの二価の銅イオンと0.5 mol/lの 亜硫酸ナトリウムを含む水溶液100 mLをいれ, スターラーを入れて 一定速度でかくはんし反応を開始する. 反応開始と同時に時間測定

も開始する. かくはん速度は電気式回転計で正確に調整する. 水温 が一定(30.C)になるまで5分待つ.

2)反応開始より5分毎あるいは10分毎に, 100 mL容三角プラスコに 114M ヨウ化カリウム水溶液 10 mL, 10%塩酸 10 mL, マンニトール 薬サジで1杯, デンプン指示薬 1-2 mしをいれ, ここに培養槽の溶液

5 m しをホールピペットで正確にサンプリングし, ピペットの先を空 気に触れないように三角フラス コ中の液にっけながら迅速に注ぎ込

(15)

む.

3)ヨウ素酸カリウム標準液によりデンプン指示薬を用いて迅速滴定 する.

4 )亜硫酸ナトリウムの濃度変化を時間に対してプロ ットする. サン プリングは1つの回転数について5回行う.

サンプリングの間の空き時間に ,114M ヨウカリウム 10mL, 10%塩 酸 10 mL, マンニトール1さじ, デンプン指示薬 1-2 mしを予め100

mL容三角プラスコに分取して準備しておく. サンプリング後直ちに 三角プラスコをかくはんする.

3-3 Gassing out法によるbiologicalな系の酸素と水素の物質移動 容量係数の測定

Gassing out法によるKLaの測定は, 通気かくはんを行っている培 養液中の溶存酸素濃度を下げておき, 適当な範囲内で溶存酸素濃度

の増加を溶存酸素電極で測定し, 得られる溶存酸素濃度の経時変化 から酸素移動速度を計算して酸素移動容量係数を求める方法の総称 である. 溶存酸素濃度を下げる方法によってstatic methodと

dynamic methodに二分される. Static methodは培養液に窒素ガスを 吹き込んで培養液の溶存酸素濃度を下げる方法であり, 培地をその まま用いたり? 殺菌した菌徐や菌糸を培地に共存させたりして酸素 移動速度の測定が可能である. 方, dynanjc nethodは生菌によっ

-70・

(16)

て培養液の溶存酸素濃度を下げる方法である. したがってこの方法 では実際の培養系により近い液の状態で 酸素移動速度を測定できる

利点がある. しかしながらgassing out法による酸素移動速度の測定 では膜電極の応答特性が重要になる. また溶存酸素濃度が増加して

いるような培養系には使用できない, gassing out時に溶存酸素濃度 がその臨界濃度を下回つてはならない, などの注意を必要とする.

この方法によって, 短時聞に起こる溶存酸素濃度の変化を追跡する 場合, 使用する溶存酸素電極の時定数は酸素の物質移動速度の応答 時間である1/kLaに比べ十分短くなければならない141.

Dynamic gassing out法による培養系の 酸素移動容量係数の測定は,

酸素移動速度の定義式

OTR=(dC/dt)=KLa(CG-C) (18)

をC:O→CL t : 0→tの範囲で積分した後, Henryの法則を用いて CG=H.p, C=H'PLを代入して整理した下式

ln(l-PL/p)=-KLa.t (19)

により求めた. 藤尾ら15 )は横軸にし 縦軸にln(l-PL/p)をプロ ット したグラブから傾きを求め, 酸素の総指物質移動容量係数を提案し ている. なお, 本方法ではHenry定数を知らなくても酸素の総括物質 移動容量係数を求めることができる利点がある. 水素についてもl百

様に

(17)

ln{l-(PL)H/(p)H}=ー(KLa)H.t (20)

について水素の総括物質移動容量係数(KLa)Hを求めることができる.

実際の測定は, 次のように行った. すなわち, 通気かくはん培養 を行っている途中で, 培養槽への通気を停止すると同時にかくはん

速度も 250rpmと遅くして培養液中の溶存酸素レベルを下げ, 次いで 再び通気かくはんを同時に初めの状態に戻し, この時の溶存酸素の 増加を溶存酸素電極で測定する. このときの溶存酸素濃度の変化か ら酸素移動速度を計算しKLaを決定する. 図3-4にgassing out法にお

ける溶存酸素分圧の変化のプロフイールを示す. ここで, レコーダ ーチャートに記録された溶存酸素分圧の経時変化データの, 一定時 間間隔の3点(t1,t2,t3)をとり, これらの時点における溶存酸素分圧 (PL1,PL2,PL3)をノギスを用いて正確に読み取った. その後, 式(18

)を用いて最小自乗法によりkLa健を決定した.

先にも述べたが, この方法では用いる膜電極の時定数が問題とな る. 図3-5のガス吸収系において, モル分率Xj nとXoutのガスが示す 分圧と平衡にある溶存酸素濃度をそれぞれCj nとCoutと考え, 物質収

支式を求めると,

V.dCout/dt=Ft n・Cjn-Fout 'Cout (21) である. ここでFj n=Fout=Fが成立つものとすると(21 )式は,

V'dCout/dt=F(Ctn-Crut) (22)

ー72・

(18)

ー・・・・・・ーーーーーーーーーーーーー----ーー--

! i

' '

' '

a '

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I :

一一一一一 ー一ーーー・ーーーーーーー--・・一一一一一ーーーーーー→ーーーーー一一一

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S E

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oacoa

a.. に2

{何仏V4]CωO〉×O刀ω〉一oωω一万平00」コωωω」丘一何一七偲仏

Gassing

out法によって得られる溶存酸素分圧のプロフィール

t2 Time

[h]

図3・4

(19)

Fin (mol/h) Fout (mol/h)

Xin (

) Xout (

)

(Xin)H (

) (Xo凶)H (-)

(Xin)N (

)

I I

(xout)N (

)

V(。

Fermentation vessel

図3-5 培養系の酸素と水素の物質収支

-74・

(20)

と変形できる. ここで, 定常状態における培養液中の溶存濃度をC.

と仮定し, 入口と出口のかからの偏差をそれぞれB,n, Boutとする と, 入口と出口のガス分圧と平衡な溶存濃度は(23)式と(24)のよう に表せる.

Cin=C.+B In (23)

Cout=C.+ B out (24)

これらの式を(22)式に代入すると(2 5)式を得る.

d e out/dt+(F/V). e out二(F/V) (J ; n (25)

ここで, t豆Oでは定常状態にあるという初期条件。in=8out=0, で (25)式をLaplace変換すると

Sゆout+(F/V)ゆout=(F/Y)ゆin (26) ゆou t二(F/V)/(S+F/Y)・ゆ i n (27) (F/V)/(S+F/Y)の項はこの系の伝達関数と呼ばれるものである.

で単位スッテップ関数

。in(t)=O (t豆0) (28)

。in(t)=l (t>O) ( 29) を考え, ( 29)式をLaplace変換すると

ゆI n=l/S (30)

(30)式を(27)式に代入し式(31 )を得る.

ゆout =(F/V)/(S+F/V)・(l/S) (31)

、, 、,

丸dιー

(21)

さらに, ( 31 )式をHeavisideの展開定理を用いて部分分数化し(式

(32) )

ゆout=(l/S)+{-l/(S+F/V)) (32) 式(32)を逆Laplace変換すると式(34)を得る.

。out=O (t豆0) (33)

。out=l-e-(F/U)t. (t>O) (34) ここで, F/V=l/Tとおいた(35)式

。out=l-e-<t/TJ (t> 0) (35) の係数Tは一次選れの時定数であり, 時間の次元を有している . r

そ欠遅れJとは入力(Ð i n )と出力(Ðout)の関係が(22)式のようにÐ(l

u tに関して一階の定数 係数の常微分方程式で表されるような遅れを

さす. また, プロセスの「時定数jは(容量)I (流量)という物理的意 味を持つ. 一次遅れではスッテップ入力に対する応答の最終平衡値 の1-e-1 (=0.632)に達するまでの時間が時定数の値となる.

一方(19)式から(36)式が導かれる.

(35)式と(36)式から

であるから

PL/p=l-e-KLa.t (36)

。out=PL/p (37 )

l/T=KLa (38)

-76・

(22)

である. すな わち, 培養系に取り付けた電極の時定数を測定すれば.

その値から総括物質移動容量係数を求めることができることがわか る. また, 電極の時定数がシステムの時定数よりも短くなければ培 養系の溶存ガス濃度の経時変化を十分に追跡できないことがわかる.

本実験で用いた 溶存水素電極の時定数は, 窒素気流中から水素気 流中ヘ置換したときのステップ応答で5.9秒であり, この時の水素の

gassing out法による水素の物質移動容量係数の測定上限は約610 1fhと計算される. 一方, 溶存酸素電極の時定数は窒素から空気への 置換におけるステップ応答で11 .6秒であり, この時の酸素の

gassing out法による酸素の移動容量係数の測定上限は約310 1fhと 計算される. 培養システムのステップ応答が, これら電極の測定上 限を越えるような場合にはgassing out法による物質移動容量係数の 測定は不可能となる.

3-4 排気ガス分析法によるbiologicalな系の酸素と水素の物質移動 容量係数の測定

発酵槽中の培養液量と溶存酸素濃度, 発酵槽出入口における酸素 の流量, 分圧, 温度が測定されれば排気ガス分析法による測定が可

能である. 粘性の高い培養液の物質移動容量係数の測定には本方法 による測定の方がgassing out法による測定よりも優れている. 本法

(23)

もHenry定数を知らなくてもkLaを求めることができる利点がある.

しかも, この測定方法では定常状態の溶存酸素濃度を測定すればよ く, 溶存酸素濃度の変化速度を測定しているわけではないので,

極の応答時間は問題とならない

本方法で最も問題となるのは菌体による酸素移動速度(OTR)をいか に正確に求めることができるかにかかっている. OTRを求める方法と しては; 1)培養槽出入口のマスバランスをとる方法, 2)Gassing out法を用いる方法の二法が挙げられる. 以下にこれらの方法によっ てOTRを求める計算式を示す.

1 )培養槽出入口で物質収支をとる方法

系の物質収支を考える場合, はじめに着目成分について1 )系への 流入速度, 2)系からの流出速度, 3 )系内での蓄積速度, 4)系内での 生成速度, 5)系内での消滅速度, の五つの要素を考慮した物質収支 式を構築しなければならない . これらの要素は次式の関係にある.

(蓄積速度)= (流入速度)ー(流出速度)+ (生成速度)ー(消滅速度) 培養系の場合(生成速度)と(消滅速度)の項はOであるから, 結局培

養系の物質収支式は次式の三つの項を考慮して矯築される.

(蓄積速度)= (流入速度)ー(流出速度)

ここで, 図3-5に示すような 培養系を考え, 着目成分である酸素 につ いて物質収支式を構築すると

-78-

(24)

V'OTR=(F,n .x, n-Fout'xιut) (39) ここで, 培養槽内の生物反応に全く関係しない窒素の収支は

Fjn'(X,n)N=Fout'(Xout)N (40) と表せるので, ( 40)式を(39)式に代入しFoutを消すと,

を得る.

V'OTR=Fj n{Xj n-(Xj n)N 'xout/(xout )N} (41)

培養に用いる混合気は水蒸気を含むため水蒸気補正を行う必要が ある. 水蒸気補正のため(41 )式に(42)の項を掛け(43)式を得る.

(P-pω)/P (42)

V .OTR={(P-pω)/P) 'Fj n{Xj n-(Xj n)N 'xout/(Xout)N} (43) 培養液(V) 0.1 1, 通気量(Fj n ) 100 m1/min, 培養槽出入口のガスの 全圧(P) 101.325 kPa, 温度を30・C, 30・Cの水の水蒸気圧(pω) 4.37 62 kPa)であり, 30・Cのガス定数は24.9 1/mo1であるから, (43)式は

OTR=2309Fj n{Xj n-(Xj nL�'xout/(xout)N} (44) と表せる. よって, 窒素と酸素の培養槽入口と出口の組成と, 培養 槽入口の混合気流量が正確に測定されれば, ( 44)式からOTRを求める ことができる. ( 44)式を物質移動の定義式(8 )式に代入し

OTR=KL a (CG -C)

=2309F, n {X i n -(X, n) N Xo u t I (Xr, IJ T ) N}

KLa=2309F, r, {X,れー(x ro ) fJ Xらut/(Xrリ1.)r,)/(CIj-C) (45)

(25)

によってKLaを求めることができる.

水素の物質移動容量係数 も 酸素の場合と同様に次式

、‘.E,JUH FU uH 、、,,J‘hu pし,,E、、

r,‘1 J/ 、EB,J削円、‘,,,eEt・u O VA ,,s、、,/ け円‘•• ,J

.,、HU o vn ,,a、、-M円、‘,,Jn vA ,,a、、uH 、‘,,,円HVA ,,E‘、,a《E、MH 、‘,,JnH nr rs,‘、AUU ハυ

ntu

nfi-μH 、、a,,a SL UR ,,B、、

(46) によって計算できる.

2)Gassing out法を用いる方法

OTRは溶存酸素電極を用いて図3-4に示す通気停止から通気再開時 の聞の直線的な溶存酸素圧の減少速度を記録したレコーダーチャー

トから, 次式により計算することができる.

OTR=H. (P O f f -Pon)/t (47)

M. Joliceら1 6 lは同様の方法を用いて, 二重ラセンリボン回転翼バ

イオリアクターの酸素移動速度を測定し, :t 10%の誤差範囲で酸素移 動速度を測定できたことを報告している. また, Yuan Shi'7l ら も

乳類細胞培養で同様の方法で酸素移動速度の測定を行っている.

(47)式と物質移動の定義式(8)式から物質移動容量係数を求める (48)式を得る

OTR=KL a(CG -C )

=H' (POf f -Pon)/t

KLa=H' (POf f -Pc-r,)/{t(CG-C)} (48) 水素移動速度 も 同様にして導かれるそ欠式を用いて計算した.

-80-

(26)

HTR=(KLa)H{(CG)H-CH}

『,tJ、‘,s'MH PしuH 、‘,,,G

十し Fし J/

If­

-,J r,‘k H 与し 1・I

rlL n //

、、j nド・

MH

,,,‘、、‘.,,

- n川 H o --

Da SI Ft‘、

61 - O H ny --J

r,,‘、SE'

r,、t e'

-nv

uH Da nn ft

一-r,、、-H円Hn MH 、‘E,Ja tL UR ,,目、、

(49)

3-5 物質移動容量係数の測定結果

亜硫酸酸化法によって得られた酸素移動容量係数, gassing out法 による水素と酸素の物質移動容量係数, 排気ガス分析法による水素

と酸素の物質移動容量係数を表3-1にまとめ示す. この結果から水m と酸素の物質移動容量係数には, 以下に述べるのような傾向が存在

することがわかった.

1 .培養系において求められる酸素の物質移動容量係数は, 亜硫酸酸

化法によって求められる酸素の物質移動容量係数よりも

gassing out法では小さくなり, 排気ガス分析法では大きくなる.

2 .培養系においては, いずれの測定方法においても水素の物質移動 容量係数が酸素の物質移動容量係数よりも大きくなる傾向にある.

しかし, マスバランス法によりガス移動速度を求める排気ガス分析 法による測定では, 水素と酸素いずれも非常に高い物質移動容量係 数を算出する結果となった. これは, ガスクロマトグラブを用いた 気相ガス組成の定量にインテグレーターを用いず, レ コーダーに記

(27)

室主l

Gas

1100 1400 1700

亜硫酸酸化法 02 257 319 417

Gassing out法 02 157 313 362

H2

154 465 504

排気ガス分析法1) 02 2230 3860 6760

H2

5560 10600 21600

排気ガス分析法2) 02 385 558 716

H2

628 847 1430

1)ガス移動速度を物質収支式から求めた.

2)ガス移動速度をgassing out法によって求めた.

ー82-

(28)

録させたピークをチャート紙から切取り, その重量を天秤で秤量す ることによりガス組成を定量していたため, 測定精度が悪かったた めであると考えられる. そこで, 生菌によるガス移動速度 を電極を

用いて測定するgassing out法で水素と酸素双方の物質移動容量係数 を求めたところ, 非常によい結果を得ることができた. しかしなが ら, gassing out法を用いて培養系のガス移動速度 を測定する場合,

全て のガ スの溶存濃度がそれらの磁界溶存圧を下回らないように留 意しなければならない. なぜならば, ガス成分のいずれか一方が制 限されてしまうと, それにともない菌の生理活性が変化し残りの成 分のガス移動速度が大きく減少してしまうからである.

3-6 物質移動容量係数の相互関係

Gassing out法によって得られたデータについて水素と翼賛素の物質 移動容量係数の関係を調べた. まず培養系で得られた水素と酸素の 物質移動容量係数を両対数プロ ットした. これを図3-6に示す. この

プロ ットから水素の物質移動容量係数と酸素のそれとの関係は

KLaH=0.286KLal.28 (50)

で表され, 相関係数は0.930と求められた. これより, 水素と酸素の 物質移動容量係数の対数値は線形関係にあることがわかった. しか しながら, 図3-6に示すように, 培養系の酸素の物質移動容量係数

(29)

6.4 6.2 6.0 5.8 5.6 5.4 5.2

工(句ピ)C一

5.0

5.0 5.6 5.8 6.0

In(ベa)

5.2 5.4

Gassing

out法による培養系の水素の総括物質移動容 係数

(べa)Hと酸素の総括物質移動容量係数(�a)の関係.

-84・

図3-6

(30)

(K L a)と亜硫酸酸化法による物質移動容量係数(KLa)sの値を両対 数プ ロ ットしたところ, 関係式

KLa=0.0157(KLa)sl.68 (51)

を得たが, 相関係数は0.833とあまりよくない結果で あった. これは 使用した溶存酸素電極の時定数が長く, 正確な酸素の物質移動速度 の測定ができなかったためと考えられる.

次に, 排気ガス分析法によって得られた水素と酸素の物質移動容 量係数についてその関係を調べた. 排気ガス分析法によって得られ た培養系の水素と酸素の物質移動容量係数を図3-8に両対数プロ ット で示す. 水素と酸素の物質移動容量係数の関係は式,

(KLa)H=0.280(KLa)I.29 (52)

で示され, 相関係数は0.930と求められた. 培養系の酸素の物質移動 容量係数(KL a)と亜硫酸酸化法による(KLa)sを両対数プロ ットして図 3-9に示す. 関係は下式

KLa=0.347(KLa)Sl.27 (53) で示され, 相関係数は0.970と求められた.

以上のように, 培養系における水素と厳素の物質移動容量係数の 関係と, 培養系と亜硫酸系の酸素の物質移動容量係数の関係は, こ れらを雨対数プロ ットすることでうまくまとめる ことができた. さ らに, 排気ガス分析法によって得られるデータはgassing out法によ

(31)

6.0

5.8

5.6

5.4

5.2

(句ピ)C一

5.0

5.5 5.8 5.9 6.0 6.1

In(�a)s

5.6 5.7

図3・7

Gassing

out法による培養系の酸素の総括物質移動容量係数

(民a)と亜硫酸酸化法による酸素の総括物質移動容量係数( KLa)sの関係.

-86-

(32)

7.4

7.2

7.0

6.8

6.6

工(句ピ)C一

6.4 5.8

係数

6.6

図3-8 排気ガス分析法による培養系の酸素の総括物質移動容

�aと水素の総括物質移動容量係数(l\_a)Hの関係.

6.4 6.2

In(Kí_a)

6.0

(33)

6.4 6.6

6.2

6.0

(句ピ)C一

5.8

5.5 6.1

図3・9 排気ガス分析法による培養系の酸素の総括物質移動容量係数 I\aと亜硫酸酸化法による酸素の総括物質移動容量係数(1(a)sの関係.

6.0 5.9

-88・

5.8

In(べa)s

5.6 5.7

(34)

って得られるデータよりも相関係数が高くなっている. この事実は,

排気ガス分析法によって得られるデータ が, 培養槽の水素と酸素の

物質移動容量係数聞の関係を整理するのに適していることを示すも

のである. Heijenemら1 8 )は, 排気ガス分析法が最も優れた方法であ

ることを明記しており, ここで得られた 結果も彼らの結果を支持す

るものとなった. 以上の結果を基に亜硫酸酸化法による酸素の物質

移動容量係数から計算される培養系の水素と酸素の物質移動容量係

数の計算を行った. この計算結果を図3-10に示す. これから, 培 系で得られる水素と酸素の物質移動容量係数は亜硫酸酸化法による

物質移動容量係数よりも常に大きくなることがわかる. これは, 菌

は培養液に溶解した溶存ガスを利用するばかりでなく, 気泡から直 接菌体内にガスを取り込んでいるためかも知れない. 山根1 9 )は, ガ

スが培養槽内で吸収される機構はこれらの拡散抵抗を経て菌体に輸

送される機構の他に, 気液接触境膜内で菌体に消費されつつ吸収さ

れる反応吸収機構も考えられることを示唆している. この場合, 拡

散と微生物による 酸素の取り込みが並行して起こるため, 気液接触

境膜中のガス分子の濃度が低下し, 未反応のまま液中に拡散するガ

スの量は次第に減少する. 結果, 液相内拡散に対する抵抗は, 同 の流動条件下での物理吸収における拡散抵抗よりも小さくなり, 吸

収速度は反応のないときよりも速くなる. 反応吸収における液相物

(35)

(Kí_a)H

�a

3000

2500

エ=、、、

ごニ2000

どJ

て3

æ

1500

- 1000

500

£0」20」コどコOC一室。一O一ヒ000』ω窃ccbωωcεo一」目。εコ一O>

600

図3

-1 0

亜硫酸酸化法による物質移動容量係数から

計算される培養液中の水素と酸素の物質移動容量係数

500

(Kl_a)s (1/h)

Volumetric mass transfer coefficient in sulphite solution

-90-

400 300

200 100

(36)

質移動係数( k L・)と, 反応吸収の場合と同ーの流動条件下での仮想的 な物理吸収における液相物質移動係数( k L )の関係は次式で表される.

kL・= {3・kL (54)

ここで, (3は反応係数と呼ばれる値であ り, 常にPミ1である. 培 養系ではFの値は1よりほんのわずか大きい程度の値となる. しか し, 微生物細胞が気泡に付着するような場合でも戸の備は1 .2程度と

いう. 一方, J. L . Rolsら2 ø )はガスベクターを用いた実験において,

気泡から液徐を経ずに直接菌徐内にガスが拡散する経路の存在を 定している.

3-7 ガス移動の制御因子と 物質移動容量係数との関係

発酵槽の物質移動容量係数に影響をおよぽす因子として通気速度,

かくはん強度, 培養液のレオロジ一等がある. A. e utrophu sのガス培 養では, 培養の溶存ガス濃度はおもに供給される ガスの分圧とかく

はん速度によって 制御される. 酸素の場合, これらの制御因子の中 で, かくはん強度が発酵槽のガス移動速度に最も影響を与えること が知られている21). 3-6節でも述べたように, 排気ガス分析法によ って得られた水素 と酸素の物質移動容量係数は, gassing out法によ って得られたものよりも良好な線形関係を得ることができた. そこ で, 排気ガス分析法によって得られた値を用いてかくはん速度と水

(37)

素と酸素の物質移動容量係数との関係を調べた.

図3-11は, かくはん速度(N)と水素と酸素の物質移動容量係数 (KLa)H, KLaを両対数プロ ットしたものである. この図から, 水素と 酸素の物質移動容量係数とかくはん速度は両対数プロ ットすること で線形化できることが示された. 培養系の水素と酸素の総括物質移 動容量係数とかくはん速度との関係式と括弧内に相関係数を以下に

示す.

(KLa)H=O.00130Nl.86 (0.953) (55) KLa=0.017 2Nl.43 (0.998) (56)

さらに亜硫酸酸化法による酸素の総括物質移動容量係数とかくはん 速度の関係式 と相関係数を以下に示す.

(KLa)s=O.11N1.10 (0.99 2) (57)

このように両対数プロ ットにより, かくはん速度と物質移動容量係 数の間に良好な線形関係を得ることができ, かくはん速度から水素 と酸素の物質移動容量係数を予測可能であることがわかった. (55) 式と(56)式から計算によって求められる培養系の水素と酸素の総括 物質移動容量係数を図3-12に示す.

-92・

(38)

7.5

(KLa)H

7.0

6.5

(句JX)C一

6.0

KLa

5.5 6.9

7.5

かくはん速度と物質移動容量係数の両対数プロ ッ

7.4 7.3

7.2 In

(N)

7.0 7.1

図3

-11

(39)

(Kl_a)H

Kt_a

2000

1500

1000

500

{工\F}HC20一位ω00」ωBcgHωωのEoEOEコ一O〉

1500 2000 2500

Agitation

[rpm]

1000 500

かくはん速度と総括物質移動容量係数の関係

-94-

図3-1

2

(40)

3-8 小括

水素酸化細菌のガス培養では, 今日ま で発酵槽内掃入型の溶存水 素電極を用いて培養液中の溶存水素圧を直接測定した例はい. しか し, 第二章で詳説した溶存水素電極を作製することで培養液の溶存 水素圧の測定が可能になった. そこで, 本章ではすでに確立してい

る酸素の物質移動容量係数の測定方法を, 水素の物質移動容量係数 の測定に応用し, A. utrophusの培養液を用いて培養系の水素と酸素 の総括物質移動容量係数の測定方法を種々検討した. 結果骨 水素の 物質移動容量係数の測定においても, 電極の時定数を考慮する必要

のない排気ガス分析法がgassing out法よりも優れていた. しかしな がら, 小規模の培養槽の水素と酸素の吸収速度を測定するには

gassing out法によって溶存ガス濃度の減少量を測定する方法の方が,

培養槽の出入口の物質収支をとる方法よりも優れていた. そこで,

これらの長所を組み合わせた方法によりA.e utrophusの培養系の水素 と酸素の培養系の総括物質移動容量係数を求め, これらの関係が以

下の関係式お よび相関係数

(KLa)H=0.280(KLa)1.29 (0.930)

で表せること, また, 培養液の酸素の総括物質移動容量係数と, 培 養槽の物質移動能力の評価に用いら れている亜硫酸酸化法による酸 素の総括物質移動容量係数の関係が以下の関係式および相関係数

(41)

KLa=0.347(KLa)Sl.27 (0.970) で表せることを明らかにした.

さらに, 培養系の水素と酸素の総括物質移動容量係数および亜硫 酸酸化法による酸素の総括物質移動容量係数と, 物質移動容量係数 の制御因子の一つであるかくはん速度との関係は以下の関数および

相関係数で表せることが明らかとなった

(KLa)H=0.00130Nl.86 (0.953) KLa=0.0172N1.43 (0.998) (KLa)s=O.llNl. 1 ø (0.992)

以上の関係式から, 培養系の水素と酸素の総括物質移動容量係数は,

亜硫酸酸化法による酸素の総括物質移動容量係数から推定すること が明かとなったが, また, 亜硫酸酸化法のKLaとかくはん速度関係が

明かとなった培養系では, かくはん速度から水素のKLaも推算できる ことを明らかにした. これらの関係はさらに, 第四章で述べる

A.� utrophusの独立栄養的培養において, 水素と酸素の菌体による要 求童と培養装置の供給能力との関係を明らかにするために必要とな る.

ー96-

(42)

第四章 独立栄養培養における酸素と水素の要求童と供給量の関係

4-1 一='"仁コ

対数増殖期における水素酸化細菌A1ca1i�enes eutrophu s ATCC 17697の元素分析の結果, 本菌は各基質ガスからそ欠の化学重論式にし たがって菌体を形成していることがわかっている1 )

21.36H2+6.2102+4.09C02+O.76NH3→C4. �9H7. 1301. 89Nø.76+18.7H20

の化学重論式にしたがい ,炭酸ガスを基準にしてガスの要 求量を比較すると, 水素:酸素:炭酸ガス=5.22:1.52:1になる. こ の比率を基に計算すると, 混合気787 1(30・C,l atm)から, 97. 1 gの 菌体と337 m1の水が生成することになる. 張り込み量1 1の培養槽を 用いたと仮定すると, 787 1の混合気が完全に消費し尽くされた時点、

で菌体97.1 gが培養槽中に生産され菌体濃度72.6(=97.1/1.337) g/lが得られる. 実験に使用している15.5 1のガスチャンパーにこの

の混合気を充 填して培養を行 う ガスチャンパ 内の混合 15.5 1が完全に消費し尽くされたときには, 100 m1の培養液中には 1.91 gの菌体と6.64 m1の水が生成し, このときの菌体濃度は計算上 では(1.91/0.10664=)17.9 g/lとなるはずである. しかしながら, 水

素:酸素:炭酸ガス=5.22:1.52:1の混合ガスを培養槽に通気しなが ら培養を行 う 場ガス培養液中に 溶る 溶存量 は

Bunsen吸収係数とHenryの法則を用いて計算すると, 水素512 μ moJ

(43)

11, 酸素 2 28 μmo1/1, 炭酸ガス3840 μ mol/1となり, これら溶存ガ

スのモル比を炭厳ガスの濃度を基準にして計算すると, 水素:駿素 :炭酸ガス=0.133: 0.0593: 1となる. このように, 菌体増殖のため に菌体が要求するガス比率と, 供給される溶存ガスの比率とは全く

異なった比率となって しまうことがわかる. ここでの溶解度の計算 にはBunsen吸収係数(30・C,l atm)を用いた. 化学便覧に記載されて いるBunsen吸収係数は, 水素0.01699, 酸素0.02608, 炭酸ガス

0.665 [ml/m1-H20Jである2).

一方, 本菌のガス培養では酸素を溶存酸素分圧が0.048 atmとなる ように制御して供給したとき, 最大比増殖速度0.4 l/h程度が得られ ている1). したがって, 培養の増殖速度を高く維持するためには,

この溶存酸素分圧の値を維持し続けなければならない. また, 水素 と酸素の供給制限も本菌の対数増殖を維持する条件である. さらに,

本菌の培養に用いるガス基質は水素爆鳴気となることが考えられる ので水素爆鳴気を回避するガス組成も考慮する必要がある.

本章では, 以上の既知データおよび実験結果を踏まえ, 本菌の大 量培養を行う際に問題となる難溶性ガスの水素と酸素の供給量と菌 体による要求霊との関係を明らかにすると共に, システムの安全性 を確保するための 基質ガス組成を爆発範囲外に維持する条件, 菌体 を対数増殖させるため に水素と酸素の供給が律速とならない条件を

-98伊

(44)

考慮し, これらの諸条件を満足する培養条件の検討を行った.

4-2 対数増殖期の菌体による基質ガスの要求量と供給量の関係

培養液中に溶解した基質ガスは菌体によってのみ消費され, 培養 液の成分とは全く反応せず, また培養液中からは新しいガスの発 はないと仮定して, 主.e utrophu s ATCC 17697の化学童論式から対数 増殖期の菌体によるガス消費速度を計算した. 本菌の対数増殖期に おける菌体生成の化学重論式から, 分子式C4 . ø 9 H7 .1301.89 Nø. 7 6を 1 mo1と定義したとき, 1 mo 1の菌体, すなわち97.1gの菌体を生じる とき水素21.36 mo1を消費し0.336 1(18.7 mol)の水を生じる. よっ て乾燥菌体X gを生成するのに必要な水素量はO.220X mo1(=X/97.1*

21.36 mo1)で与えられる. 培地の張り込み量をV (1), これに菌体の 生成によって生じる水の増加重を加えた培養液量をv (1)とすれば,

菌体がX (g)生成したときの培養液量は, v=V+0.00346X l(=V+

X.O.336/97.1)となる. この時の菌体濃度(見かけの菌体濃度)は X/v (g/l), すなわちX/(V+0.00346X) g/lと表される. ここでX/Vを真の 菌体濃度(菌体の増加に伴って生じる水の量を差し引いたときの菌体 濃度)とすると, 見かけの菌体濃度(X/v)(実験値)から真の菌休濃度

(X/V)をX/(v-O.00346X)によって求め ることができる. 真の菌体濃度 が求められると比増殖速度がμ (líh)のときの水素消費速度( r r1 )は,

(45)

rH=0.220(X/V)・μ/V ( 1 )

=0.220X'μ

によって求められる. 同様に酸素の消費速度( r)は(2 )式のように表 せる.

r=0.0640(X/V)・μ/V (2)

=0.0640X'μ

一方, 物質移動の定義式より, 水素の物質移動速度(HTR)は三章の

( 11 )式から

HTR=(KLa)H'HH{(P)H-(PL)H} (3)

である. 同様に酸素の物質移動速度(OTR)は(4)式のようになる.

OTR=KLa'H(p-PL) (4)

ここでさらに, 培養系で得られた水素と酸素の総括物質移動容量係 数の関係式(三章(52)式)

(KLa)H=0.280(KLa)1.29 を(3)式に代入すると(5)式を得る.

HTR=O. 280(KLa) 1.29・HH{(P)H-(PL)H} (5)

(5)式を用いれば培養系の酸素の物質移動容量係数を用いて水素の物 質移動速度を求めることができる.

さらに, 亜硫酸酸化法と培養系で得られた酸素の総括物質移動容 量係数の関係式(三章(53)式)を用いると

-100-

(46)

KLa=0.347(KLa)� 1.27 (4)式に代入すると(6)式を得る.

OTR=0.347(KLa)Sl.27・H(P-PL) (6) (5)式に代入すると(7)式を得る.

HTR=0.280{0.347(KLa)Sl.ε7}1.29HH{(P)H-(PL)H} (7)

(6)式と(7)式を用いれば, 亜硫酸酸化法によって得られる酸素の物 質移動容量係数(KLa)sを用いて, 培養系の水素と酸素の物質移動速

度を求めることができる. 亜硫酸酸化法による物質移動容量係数カ ら計算される培養液の(KLa)HとKLaの結果はすでに3章の図3-10に山 している. 図のように亜硫酸酸化法による酸素の総括物質移動容 係数(KLa)sから計算される培養液の酸素の総括物質移動容量係数 (KLa)は, 亜硫酸酸化法による厳素の総括物質移動容量係数(KLa)sの 増加にともないほぽ直線的に増大しているが, 培養液中の水素の総 括物質移動容量係数(KLa)Hは急激に増大していることがわかる. こ で図3-10に示したデータに水素と酸素のHenry定数を掛けた値, す なわちガス吸収速度係数を図4 - 1に示すようにプロ ットした. 図の4

・1から培養系の水素と酸素のガス吸収速度係数は, 亜硫酸酸化法に よって得られる物質移動容量係数が約300 l/h以下ではほぼ等しいが,

それ以上では水素のガス吸収速度係数が酸素のそれを上回るこ とが わかる.

(47)

(Kd)H

Kd

0.025

0.020

0.015

0.010

0.005

{(~-C止v一・工)\一oε}さω一oEωooco一室」Oω心のω60

0.00

0 600

Volumetric mass transfer coefficient by sulphite oxidation method [1/h]

図4-1

500

(KL a)sと水素と酸素のガス移動速度係数の関係

ー102- 300 400 200

100

(48)

4-3 磁界圧以上に溶存水素分圧や溶存酸素分圧を維持する

溶存酸素分圧は, 好気性微生物の増殖速度やガス消費速度に影 を与え , 溶存酸素圧が変化すると代謝系がそれに応じて変化し,

として代謝産物の生成速度の変化として現れる. 例えば, 糖の分解 が酸素の存在によって抑制されるPasteur効果などが挙げられる. 酵 母では酸素が不足 している状態で解精が活発であるが, 酸素が充足 している状態では解糖は緩慢である. これは, 酵母が酸素の有無に

よって糖の分解を調節し, エネルギーの効率的利用を行っているた めと考えられている. また, アミノ酸の生産 では, ブエニルアラニ ン, パリン, ロイシンの場合は酸素非充足の方が生産性がよい1).

これらは酸素供給が制限されることで, T CAサイクルによるグルコー スの厳化が十分に行われずピルビン酸やホスホエノールピルビン酸 からこれらのアミノ酸を生成する代謝系へと系が傾くためと考えら れてる. Alcaligenes eutrophu sも溶存酸素分圧が膜電極での検出限 界濃度のOとなり酸素の供給が制限されると, 菌体増殖から3-ヒド ロキシ酪酸のポリマー(PHB)の菌体内蓄積へと移行することが知られ ている. また, 3-ヒドロキシアルカン酸のポリマー(PHA)の菌体内生 産を目的とした培養では, 酸素を制限して同時に培地成分も制限す ると生産性が改善されるという報告引もある. 以上のように, 生産 の目的が菌体でなく代謝産物である場合, 酸素不足の状態で高い蓄

(49)

積が得られる場合がある. しかし, A. utrophu sの培養では, 菌体の 生成には酸素充足状態を維持し続けなければならない. 多くの好気 性培養では, 正常な培養の ために培養槽の溶存酸素分圧はその磁界 圧以上に維持する培養条件に設定する. 装置の酸素供給能力には限

界があるから, 溶存酸素分圧を臨界圧以上に維持する ためには, 培 養系の酸素要求童が装置の酸素供給能力を越えないように微生物の

活動を制御しなければならない

比呼吸速度(菌体単位重量当りの呼吸速度; q)や呼吸速度(単位体 積当りの呼吸速度; r)と溶存酸素分圧(P L ) (あるいは溶存酸素濃度 (C)との間には酵素反応の一般式(Michaeris-Mentenの式)と類似の玄 が成立する4}. 比呼吸速度を用いたものとしてはP.S.Stanburyらの 著書5 )あるいはS.J. Pirtの著書6 )があり, 呼吸速度を用いたものと しては田口らの著書4)がある. 呼吸速度(r)は比呼吸速度( q )と菌体

濃度(X)の積で表される. 一般に比呼吸速度は対数増殖期の初期に最 大となりその後低下するが, 呼吸速度は比呼吸速度が最大となる時 期を過ぎた対数増殖期中期以前に最大値を示すことが多いとされる 4). 呼吸速度(r)は酸素の臨界溶存分圧(Pc;)まではPLの増加と共に増

大し磁界溶存圧以上では一定となる. 一般にPCは空気飽和値の2-] 0 Z程度である4 ) 酸素の臨界溶存分圧(P c )を求める方法には, 図4-2 に示すような溶存酸素分圧(P L )に対する比呼吸速度(q )や呼吸速

-104・

(50)

×ωE」

(」)25co一HaεコωcoocωO〉×O

Pcr比

Partial pressure of dissolved oxygen (p J

図4・2 溶存酸素分圧と酸素消費速度の関係から求められる臨界溶存酸素圧.

図の関係は r=rmax.PL/(Kn,+pJで表わされる.

(51)

度(r )をもとめる方法と, 図4-3に示すようなgassjng out法による総 括物質移動容量係数の測定中に起こる溶存酸素分圧(P l )の直線的減 少(0次反応であることを意味している)を追跡する方法とがある. 酸 素に関するこれらの関係式を以下に示す. 図4-2に示した関係は

Michaeris-Mentenの式と類似の (8)式で表せる.

r=- (dpl Idt) =rma x ' PL I (Km +PL) (8)

ここで, K mは酵素に関する親和定数, R m a xは臨界溶存厳素圧Pて以 の溶存酸素分圧PLにおける呼吸速度である. 溶存酸素分圧の儲が磁

界溶存酸素圧以上でかつ基質阻害(酸素毒 )のかからない範囲では(9 )式の線形関係が得られる.

r=ー(dpL/dt)=rmax (9)

(9)式をPL=Poff (t=O), PL=PL (t=t)の積分範囲で積分すると( 1 0)式 が得られる.

PLごPLoff-rm8x.t (10)

これは図4-3の磁界溶存酸素圧以上でかつ酸素毒による阻害のかから ない範囲における溶存酸素圧の経時変化を示している. また(8)式を PL=PLof f (t=O), PL=PL (t=t)の積分節回で積分すると(11 )式が得ら れる.

PL=PLoïf-rma〆.t+Km・ln(PLcff-PL) (11)

( 1 1 )式を用い れば, 臨界溶存酸素圧以下 の溶存酸素庄の経時変化も

-106-

(52)

一十一一一

pし0仔

Pcrit

(Ja)CωO〉×ouo〉一Oωω一刀半00」コωωω」丘一の一七ω止

Time

(t)

図4-3

Gassing

out法から求められる臨界溶存酸素圧.

PL =PLoff-r

max・tで表わされる.

図中の直線部分は

(53)

表すことができる.

以上の式の変形から, 図4-2と図4-3はいずれも酸素消費速度(r)と 溶存酸素分圧(P L )の関係を表していること, 図4-2を表す関係式の積 分型が図4-3の関係を表す関係式となっていることがわかる. そして,

双方の式にお いて直線性から逸脱する点が臨界溶存酸素圧と定義さ れてた点を示すことがわか る. しかし, Michaeris-Mentenの式と類

似の式を用いる場合, 磁界 溶存酸素圧の値の決定方法には図4-4に /J、

す点Aを求めて臨界圧とするものと, 点Bを求めて磁界圧とするもの の二通り報告されている4‘6). しかし? 点、Aを磁界圧とする方法が記

載されれいるのはPirtの報告6 )のみであったことから, 本研究では 多くの実験者に用いられている点Bを磁界圧として求める方法を採用 した. これらの方法はすべて酸素について確立された理論であるが,

本研究は水素についての研究であるから これらの理論を水素に対し てもそのままあてはまるものと考え, 臨界溶存水素圧((PC)H)を求め た. 磁界圧の測定は菌体濃度8.0g/1の培養液100mlを求めた, 図1 - 1 に示す培養システムと, 図1-2に示す培養槽を用いて行った. 培養条

件は第1章に示したものと同ーである. なお, A. utrophu sの培養で は呼吸による炭酸ガスの発生はないので, 呼吸速度に代わってガス

消費速度を用いる.

A . e utrophu s ATCC 17697の独立栄養培養条件における磁界溶作氷

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参照

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