運 送 人 の 責 任 制 限 と そ の 権 利 の 喪 失
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(2) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶. 二. 荷送人が船積前に︵国際海上物品運送法では︑運送の委託の際に︶運送品の種類および価額を通告し︑かつそれが船 荷証券に記載されている場合に限られる︒. 運送人は︑責任制限によって︑価額不知の運送品に関する不測の危険を回避することができ︑また︑荷主も低廉な. 運送賃を享受することができる︒このような経済的効果の面で︑責任制限は︑運送人および荷主の双方が望む所であ ︵2︶ り︑統一条約以前からの慣行であった︒統一条約の目的は︑船荷証券の円滑な流通を確保するとともに︑運送人と荷 ︵3︶ 主とを公正かつ公平な地位に置くことにある︒この目的を達成するために︑統一条約は︑従来の免責約款を禁止し︑. 他方︑運送人の免責事由ならびに責任制限を法定した︒責任制限は︑運送人の責任を軽減する点で運送人に有利な規 ︵4︶. 定であり︑また同時に︑運送人がそれ以上自己の責任の軽減を図ることを禁止し︑それによって免責約款の禁止を補. 完する点で荷主を保護する︒つまり︑責任制限の限度額は︑統一条約が強行法的に定めた運送人と荷主との危険負担. の分岐点となる︒運送賃と賠償額とに相関性が認められる限り︑海運の安定経営の見地から︑また︑統一条約上︑責. 任制限制度が運送人と荷主との公平を実現する一環として位置づけられることからも︑責任制限の運用には高度の安. 定性が求められる︒そして︑これが︑条約の定める︽いかなる場合においても︾という文言の意義であると考えられ ︵5︶. る︒国際海上物品運送法第一三条一項にはこの文言が定められていないが︑当然のこととして省略されたものと解さ れ︑責任制限が高度の安定性を有する点に相違はない︒. 他方︑責任制限が一面において運送人に有利な規定であるため︑その適用には︑公序という一般法理により制限が. 加えられる︒故意︵悪意︶によって損害を惹起した場合に︑故意ある運送人は︑法律上保護すぺからざる者であり︑. して認める所である︒また︑国際海上物品運送法が︑定額賠償の排除を定める商法第五八一条を準用する︵国際海運二. ︵6︶. 自己に有利な規定を援用することは公序に違反する︒故意による責任制限排除は︑統一条約の解釈として学説が一致.
(3) へ7︶ ○条②︶のも︑この趣旨であると解されている︒ところで︑商法第五八一条の準用により︑運送人は重過失について ︵8︶ も責任制限の援用を否定されることになる︒統一条約の解釈では重過失は責任制限の適用を排除しないとされるが︑. 国際海上物品運送法が国内法として重過失による責任制限排除を規定するのであれば︑責任制限の安定性との関係 で︑その妥当性ないし予定されるぺき機能について検討することが必要である︒ ︵9︶. この問題を検討するに際して︑フランス法︑特に︑フランスにおける最初の統一条約国内立法である﹁海上物品運. 送に関する一九三六年四月二日の法律﹂の下での判例および学説の展開が参照に価すると思われる︒一九三六年法第. 五条は︑統一条約第四条五項と同様の規定を置き︑︽いかなる場合においても︵①ロ讐︒巨8の︶︾運送人が責任制限を ︵10︶ 受ける旨を規定した︒一方︑フランスでは︑﹁故意はすべての規則の例外をなす︵︷寅島oヨロド8畦ヨ冨︶﹂ならびに. ﹁重過失は故意に等しい︵o巳饗鼠富3一〇器ρ鼠廊葺H︶﹂という二つのローマ法の原則が継受されている︒そこで︑重. 過失による責任制限排除の可否は︑﹁重過失と故意との同一視︵毯冒まぎ口︶﹂という原則をめぐる問題として取扱わ. れる︒判例・学説の関心は︑故意に関する原則が責任制限を排除することを前提として︑同一視原則も一九三六年法. に適用されるか︑つまり︑重過失により責任制限が排除されるかという点に集中する︒ここでは︑主に︑運送人と荷. 主との衡平が問題とされる︒他方︑少数の学説は︑同一視原則自体を疑問視する︒そのため︑同一視原則の意義も明 らかにされなければならない︒. 以下では︑まず︑海上物品運送契約における重過失概念の輪郭を明らかにし︑その上で︑重過失と故意との同一視 をめぐる判例・学説の立場を参照することにしたい︒. 三. なお︑フランスでは︑船荷証券が条約締結国で発行され︑かつ︑船積港および陸揚港が異なる二国に所在する国際 ︵n︶ 運送などには︑統一条約がそのまま適用される︒そして︑統一条約の下では︑運送人のあらゆる過失が責任制限の対 運送人の責任制限とその権利の喪失.
(4) 早稲田法学会 誌 第 三 五 巻 ︵ 一 九 八 四 ︶ ︵12︶. 象になるとされ︑重過失による責任制限排除は否定される︒. 石井照久﹁運送人の責任﹂海法会誌復刊第五号︵昭三二︶三頁・三二頁︑小町谷操三・統一船荷証券法論及び国際海上物品. 吉田昂・コンメンター. 吉田・前掲注︵1︶・二〇四頁︒. 運送法註釈︵昭三三︶・三六〇頁︑山戸嘉一・国際海上物品運送法︵昭三三︶・一五二頁︑田中誠二. ︵1︶. 戸田修三・海商法︵三訂版・昭五四︶・一六六頁︒. ル国際海上物品運送法︵昭三九︶・二〇六頁︒. 小町谷・前掲注︵1︶・二三六頁︑山戸・前掲注︵1︶・一五〇頁︑田中. 小町谷・前掲注︵1︶・一二頁︑山戸・前掲注︵1︶・七頁︒. 小町谷・前掲注︵1︶・三六〇頁︒. ︵3︶. ︵5︶. 小町谷・前掲注︵1︶・二三九頁︑山戸・前掲注︵1︶・一五三頁︑田中誠二・海商法詳論︵昭四五Y三〇五頁︒田中腫吉田 ・前掲注︵1︶・二〇六頁は︑これを疑問視される︒. 国際海上物品運送法第一三条一項と商法第五八一条との関係について︑運送人に悪意・重過失がある場合には︑商法第五. 小町谷・前掲注︵1︶・二三九頁および三六〇ー三六二頁︒. 吉田・前掲注︵1︶・二〇七頁︶︒つまり︑賠償額の算定と. 責任制限とを区別し︑商法第五八一条の準用が前者を目的にすると理解されるわけで︑運送人の悪意・重過失について責任. 制限を受けるとする見解もある︵田中・前掲・三〇六頁︑田中. 主が運送人の悪意・重過失を立証するときは︑特別損害を含めた賠償額︵民四一六条②︶が国際海運法第=二条一項による. 他方︑国際海運法第一三条一項による責任制限は︑商法第五八○条および第五八一条による賠償額の決定を前提とし︑荷. 神奈川法学第八巻二号︵昭四七︶四一頁・四四頁︶︒. 四九︶所収二七頁・七四頁︑不当な甲板積に関する運送人の責任について︑重田晴生﹁甲板積運送品に関する若干の問題点. 昭三九︶・二五八頁︑離路に関する運送人の責任について︑中村真澄﹁離路と海上運送人の責任﹂海上物品運送人責任論︵昭. 八一条の準用により責任制限が排除されると解釈するのが通説的見解であると思われる︵石井照久・海商法︵法律学全集30・. ︵7︶. ︵6︶. ︵4︶. ︵2︶. 四.
(5) 鰹限を授用できるか否かは︑商法第五八一条の準用とは別に︑一般法理により決定されることになろう︒山戸教授もこのよ. 本稿では︑通説的立場から問題点を提示したが︑何れにせよ︑運送人の重過失について責任制限が排除されるぺきか否. うな見解をとられるように推察される︵前掲注︵1︶・一五二ー一五四頁︶︒. 小町谷・前掲注︵1︶・二三九頁︑反対. 山戸・前掲注︵1︶・一五三頁︒. か︑また︑それが肯定される場合に︑責任制限の安定性の要請との間をいかに調整すぺきかが基本的な問題点である︒ ︵8︶. 原意は︑﹁故意はすべてを懲戎す﹂︒国o象驚ρ8BB8鼠ぼρU●蜜9国這①ρoooo鱒ooω直︒. ︒ヨ胃︒訂巳ぎω︒ ︵9︶ピo一含鱒零三一8①琶&く①帥受賃碧︒︒℃︒旨︒ユ︒︒. ︵10︶. ︒g旨多 ︵n︶因︒象働ρ↓邑叡αq魯α邑伍︒象︒即日鉱二Bρ卑題轟︒B①暮︒=轟霧℃︒昌一﹂H︵一8刈︶u昌︒置も. ︵12︶ ↓︻ヲ8目●竃貰器=ρOB胃ω一30 U設菊一3ρo︒島甲評旨uO一忌昌一〇留uU6蜜聾一〇認u N po8ω窪養αq9. フランスでは︑一九三六年法以前から︑賠償額制限約款︵o﹃騒窪冨馨08冨の8屋・. ニ フランスにおける判例・学説の展開 O重過失の認定 ①抽象的認定基準. ︵13︶. び旨仏︶の効力との関係で︑運送人または履行補助者の重過失が問題とされた︒賠償額制限約款は︑違約金約款︵号ロ8. 需髭一〇︶として︑その金額が著しく低くない限り有効とされる︵民法典一一五二条︶︒しかしながら︑運送人または履行 ︵14︶. 補助者に重過失がある場合には︑その有効性が否定された︒ソバージュ︵留黛おo︶によれば︑判例は︑次のような. 場合に重過失を認定している︒④荷送人の同意のない甲板積︑◎運送品の保管︵︒8器ミ銭8︶に関する注意義務の重. 大な違反︑例えば︑油樽の隣りに殻物をばら積した事例︑荷揚時に艀上で油樽の隣りに織物を配置した事例︑腐り易. 五. い物品︵バナナ︶を到着時に荷受人に通知することなく放置した事例︑高価品を特別に監視することなく一般貨物と 運送人の責任制限とその権利の喪失.
(6) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶. 六. ともに倉庫に放置した事例など︑㊦引渡の相手方を間違えた場合︵ミスデリパリー︶︑e同一時期に同一航路で盗難お よび物品の消失が多発した場合︑である︒. ︵16︶. 学説は︑これらの事例から︑いくつかの抽象的な認定基準を抽出する︒まず︑ソパージュは︑裁判所が過失および ︵15︶ 損害の重大性︵窟≦叡︶により重過失を認定するとしている︒しかし︑損害と過失の程度との間には必然的な関係がな. く︑損害の重大性は重過失の評価基準として不適当であることが指摘される︒また︑過失の重大性は︑ジョスラン. ︵17︶ ︵甘羅β民︶が﹁重過失を特色づけるのは︑冨$という形容詞が示す過失の法外さ︵魯o巨叡︶である﹂と言うように︑. ︵18︶. 重過失の言い換えでしかない︒民事上の過失は︑抽象的に︵ぎ勢募臣08︶評価されなければならず︑通常人の行為と. の比較によりその存否が決定される︒重過失についても抽象的評価が採用されるぺきであるが︑より明確に重過失を ︵19︶. 評価する基準が検討される︒ヴ・ヴァン・モ︵<仁くき浮仁︶は︑﹁損害発生の蓋然性が大きければ大きいほど︑それ. を無視することが過失の法外さを明白にする﹂とする︒すなわち︑運送人の立場に置かれた通常人が︑同様の行為を. することにより︑損害の発生が確実もしくはその蓋然性が高いことを予見するか︑または単なる可能性を予見するに. とどまるかを評価の基準とする︒そして︑前者の場合に損害発生について重過失の存在が認定される︒また︑蓋然性. の生じる要素は︑前述の例では︑運送品の種類︵腐り易い物品・高価品︶︑積付の過失︵油樽の隣りへの殻物のばら積 み︶ならびに過失の頻度︵盗難の多発︶であるとされる︒ ︵20︶. これに対して︑ロブロ︵園o匡9︶は︑契約上の義務を本質的義務︵o窪鴉菖9馨注巴o︶と副次的義務︵o匹窓江9. §8鼠屋︶とに区別し︑前者の違反が重過失になるとする︒これは︑思慮深い人が︑義務が厳格であればあるほど. 多くの注意を払うことを前提として︑履行されなかった義務が厳格であれば過失も重大であるとする考え方である︒. 何が本質的義務となるかは運送契約の性質にょるが︑例えば︑運送品を荷受人に引渡すことは運送人の本質的義務で.
(7) 破殿院のコントロール ︵22︶. 破殿院は︑過失の存在について事実審裁判官の評価を原則的に受容するが︑重過. ︵21︶ あり︑第三者への引渡は重過失を構成するとされる︒また︑不当な甲板積についても同様であるとされる︒. ②. 失の認定を法律問題であるとし︑監督権を留保する︒これは︑下級審裁判所による重過失概念の濫用に歯止めをかけ ︵23︶. るための措置であり︑破殿院による監督権の留保が事実審裁利官の重過失の認定を制約する︒リーディング・ケース. は︑破殿院民事部一九三一年二月二五日判決である︒運送品を積み残した事例について︑同判決は︑他のすべての状. 況を通して破設院が監督権を行使できない限り︑積み残しだけでは︑﹁故意に相当する﹂重過失たる性質を帯びてい ︵24︶. ないと判示した︒したがって︑事実審裁判官は︑破殿院が自ら過失の重大性を判定できるように︑損害の原因を取巻. く状況を十分に明確にしなければならない︒また︑これに伴って︑過失の重大性を法律概念として構成する必要が生. 一九四九年復刊後のドロワ・マリティーム・フランセ︵U︒ζ︒■︶に掲載された判例を整理す. じ︑前述のロブロのような学説が生まれている︒ ③ 具体的事例. ると︑次のような事例について重過失の存否が争われている︵表−︶︒すなわち︑盗難︑原因不明の数量不足︑積付過. 盗難. 履行補助者の故意が立証された事例はなく︑運送品に対する運送人の監視義務違反︵泳鼠暮留の賃. 失︑不当な甲板積などである︒. ④. ︵%︶. 旨口8︶が問題となる︒盗難に関して︑破殿院は︑﹁盗難が船上で生じたという事実のみから︑重過失の存在を結論 <o. ︵26︶. づけることはできない﹂として︑監督権を行使する︒その結果︑事実審に詳細な認定が課されるが︑この点で次の二 つの控訴院判決が注目される︒. 第一は︑パリ控訴院一九五一年三月一二日判決である︒事案は︑物品の抜き取りで︑物品は木製の梱包に納めら. 七. れ︑木枠により補強され︑さらにタガがはめられていた︒しかし︑梱包にはこじあけられた痕跡があり︑釘が抜か 運送人の責任制限とその権利の喪失.
(8) 重過失の存否が争われた事例. 牌矧否認. 不当な甲板積ii(磁慧). 積付過失101. その瑚・!. 3 0 1 (D.M。F.1949〜). 八. き取りの事案について︑ジュート製の梱包を開包し復元するには多くの時間を要. り︑重過失に相当する︒﹂他方︑パリ控訴院一九五一年四月四日判決は︑同様に抜. になされなかったことを示す︒これは︑運送人の基本的義務の重大な違反であ. 日間︶であったことは︑乗組員の加担があったか︑または最低限の監視すら続継. 当量の物品を隠匿し︑陸揚げするのに必要な措置︑ならびに︑航海が短期間︵三. 留まれたこと︑抜き取りおよびそれを隠ぺいするために取られた処置の性質︑相. た︒﹁梱包が配置された船鎗に出入りできたこと︑抜き取りに必要な時間そこに. の乗組員または乗客により実行されたことを確認した上で︑次のように判示し. れ︑打ち直されていた︒判決は︑盗難が海上運送中に発生し︑したがって︑本船. 早稲田法学会誌第三五巻 ︵一九八四︶. 足 不. 原 因不. 明数. の量. 剃5 2 一1 11 2 盗. ︵%︶. ている︒. ◎ 原因不明の数量不足. 例えば︑海損調査人︵8目・. 他方︑タンク積ワインの数量不足について︑仕切弁の状態不良︑船上での不注意または悪意を伴った行為ならびに. そらく盗難を助長するであろう︾ことを指摘しても︑それだけでは盗難の立証とはならない︒. ︵30︶. 露冨隻麩畳窃︶が︑梱包に抜き取りの徴候があると︽思われる︾こと︑また目立つ物品が損害を受けやすく︑︽お. 重過失の立証には︑確実性をもって数量不足の原因を明らかにすることが要求される︒. ︵29︶. これは︑盗難の疑いがあるが立証されず︑損害の原因を特定できない場合である︒. 他の判決でも︑盗難が長時間の作業を要するか否かは︑ 運送人の監視義務に関する重過失認定の主要な基準とされ. 下では気付ずかれに済むとして︑ 重過失を否認した︒. ︵留︶. さず︑また︑物品を隠匿し︑秘密裡に陸揚げすることは︑ 二万個以上の物品を運送する船舶において︑通常の監視の. 表1.
(9) ︵33︶. 荒天により固縛ロープが切断され︑パワーシャベルが損傷を被った事例︑荒天によりミサイル. ︵32︶. ︵鑓︶ 仕切弁の操作ミスが損害の原因であるとする鑑定に基づき︑重過失が認定されている︒. ㊦積付過失. 砲戦車の固縛ロープが切断され︑発射装置が船舶に穴をあけたため︑浸水により戦車が損傷を被った事例︑航空機エ ︵34︶. ンジンが積込まれた円筒型コンテナを天地逆に積付け︑航海中横転するとともに︑荷揚時にコンテナを転がしたこと. ︵35︶. 甲板積が荷送人の同意なしに行なわれ︑かつ運送人がこの事実を隠ぺいするために船荷証. から︑エンジンに損傷が生じた事例について︑何れも重過失が否認されている︒. ②不当な甲板積. ︵36︶. 券に瞼内積の旨の記載をなした事例について︑故意が認定されている︒しかし︑同様の事例について︑最近の破殿院 ︵37︶. 判決は︑故意を︑﹁具体的に損害を惹起する意思﹂に厳格に解しており︑事件の移送を受けたルアン控訴院は︑重過 失を認定するに留まっている︒. 商法典旧二二九条は︑沿岸小航海の場合ならびに荷送人の書面による同意がある場合を除いて︑運送品の甲板積を ︵38︶. 停泊地での積替時に︑大波のためにフックがはずれ︑運送品が海中に転落した事例について重過. 禁止する︒一九二〇年の破毅院審理部判決は︑この規定に違反する甲板積があらゆる場合に運送人の重過失を構成す. ︵39︶. その他. ると判示している︒. ㊨. 失が否認される︒また︑貯水タンクから船愴への浸水により運送品が濡損を被った事例について︑浸水を受けた船鎗 ︵40︶ 内の運送品を保護するためにあらゆる措置をとる義務に違反があるとして︑重過失が認定されている︒. ︵41︶. 以上から︑重過失が認定される場合の代表例として︑ 盗難に長時間を要する場合ならびに不当な甲板積を挙げるこ. 九. とができる︒しかし︑過失の重大性を基準とする限り︑ 重過失は︑かなり弾力性をもった概念となる︒その結果︑重 運送人の責任制限とその権利の喪失.
(10) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶. 一〇. 過失による責任制限排除を肯定する場合には︑責任制限の安定性が害されるおそれが生じる︒ただ︑破段院のコント. ロールが事実審裁判官に詳細な認定を課すため︑立証の難易によって︑重過失の認定される事例が類型化される傾向. ︒︸. 一〇㎝o. βo一ρ. ユ件ぎoo信冨旨①ω貫ρU出﹂Oo︒鱒 oぼop. があるように思われる︒そして︑このような重過失の認定状況を背景として︑重過失による責任制限排除の可否が争. O●勾ぎ①昌08諦ヨ曽ユ鼠Bρ心︒&︒︵一〇呂yp︒の一〇〇曽9一〇〇曽窪ω.. われている︒. ︵13︶. 昌oO. 昌oω一〇1一ω︒. 国ω霊奉oqρい螢ぎ凱o昌象h帥葺o一2巳①鼠霧一①8昌賃象餌o霞碧招o旨ヨ ︸. Nq. ︵14︶. 層 ︒U. 一げ. い一〇ω器量pタ昌9ρU︒一〇〇〇ω 一●おり0ρ. 9閃邑ζp↓邑叡倉寅H①巷8器竃ま含言雪の℃o幕畦目費三Bρ︵這零︶﹄︒ω︒︒い. ︵15︶. ︵17︶. ︵16︶. =. 冨口&8餌①富葺︒一2巳︒旨賃きω℃︒器霞妙鼠くRω﹃冒一の冥&98讐O始﹂︒・ω﹂o︒旦苗ρ. い雪い竃欝9&一ビ80p血o晋o濤︒三︻﹂●戸oo①①血︒昌︒長斡. ︵18︶. <ζ︒匡き. 竃角〜窪℃冨昌o富︵一〇︶一ロo一N●. 評旨噌ま蜘き. oo9窪劉 o 勾︒幻oげ剛o♪Uo一騨︷角暮〇一〇竃血oo昌象o搾℃ユ鼠︷旨暑鉱∫国o〜胃一B︒騨︒o一く 一〇合︸どp︒の心. ︵19︶. ︵21︶. o目蕊圏︐ 男言①詳oD縄冥曽po串︵一ω︶∪β︒一〇 〇漣い家・α仁冒笹曽旨︸oげ器円茜諏o霧 旨q閏一〇qo. ︵⑳︶. ︵22︶. O霧ω.o劉︸謡︷曾い一〇〇〇どω︒一8ど一︒8ω︐. 一3♪①合. ︵23︶. ↓冒ゆF一3介U・蜜句. O器ω︒o劉ω09︐8ヨ. ω卑仁く帥σqρ霊冥帥50冨︵置︶讐p︒一一●. ︵25︶. o︒ oづoけ①困℃o旨りU﹂3ン一①Oρ琴ε覆℃2一・画邸 評ユ漁旨蓉貰︒︒一3どU●寓句●一〇〇一 ⑲o. ︵餌︶. ︵26︶.
(11) ↓ユげ︑8タ寓ω①ぎρ昌一睾<﹂漣o︒. 評ユ9. U設︑コ這q︒︒﹄①㎝いロgoギo牙oB箆①ω︒ ︵27︶. <ユ=O㎝どU●一〇q一し︒①09. ︵28︶. ↓ユ¢8ヨζ費︒︒︒出一〇︸嶺o︒蛭這. o︒. U●客■問︒一3ρおO ︵ωo饗︶甲嵩念︒●一〇おいO設.男一3ρωO黛〇 伽ぴ〇一漣P. 嵩ヨ費の一〇qρ いρ悼一〇紹. 一〇㎝ρUま︒男一3ρO=︵のo日︒︶︒. ︒ご 画耶9ωの99︿﹄︒︒﹃8ヨ ∪設●コ一︒㎝O﹄o. U・ζ9閃﹂︒qρ9①︵ωo旨︶脚↓ユぴ●8目︒蜜貰ω︒出一ρ︒︒一きく●. 目ミO㎝●. ≧〆OooB巴一〇〇〇〇 U︒蜜︒国一〇8い㎝8●. ︵29︶. ︵30︶. ↓ユげ︒8ヨ曾富ω①冒ρo︒鼠︒一〇㎝o ︒植U寂・閃﹂O㎝ρω①直●. 竃o巷︒臣①♪漣一島一一一3ρU■竃●国一3一﹄Pぎ件①国Bo・. 蜜男●一〇①o ︒ふ戯oo●. ︵31︶. ↓二げ8窮勾o岳Po︒獄く短●一〇①o︒一U. ︵32︶. ︵33︶. ︵鈎︶. ︒﹄S ≧〆け薯注一88Uま︒閃︒一〇①o. ↓ユす85霞巽ω毘一ρ一〇︒叡く﹃﹂O昭︾O■琴閃・一︒㎝P謡P. 幻o岳戸ミ髄≦出一3ρU●琴男一〇・O噂戯o︒一●. ①口B帥20円O. 畠︒慧霧℃o旨B帥葺首︒ OG. 菊o富コ一〇h卑円﹂88U.ζ動一88①謡葛ξ℃o賃くoご 9のω.8B 8帥≦臨一〇①PUま●男一〇①P①蜀. O霧98旨 ωO甘奪●一零o︒︸U.ζ殉●一零o ︒ふ曽︑. ︵35︶. ︵36︶. O霧のみ呂. 男o垢p置o︒e一〇〇 ︒一しO①・ 〇ρU家︐閃●一〇〇. ︵39︶. q甘ぢ一8ρU︐勺﹂旨Oし●一〇︒ピ. ︵38︶. ︵37︶. ︵40︶. 国留薯品ρζ貯三︒一〇賃飢︒①二①巴ぎ一藝一〇霧一ぴαq巴①︒ 留3︒︒℃︒霧昏ま鼠. 言員︒弩ρ09勺﹂3ρ山o駐●や寅. ︵41︶. 運送人の責 任 制 限 と そ の 権 利 の 喪 失. 重過失と故意との同一視ー旧九三六年法への適用の可否. o.
(12) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶. ︵45︶. 一二. ︵42︶ 重過失と故意との同一視は︑ローマ法を継受し︑フランスで確立された原則である︒しかし︑明文の規定がない以 ︵43︶ 上︑公平およびモラルによりその適用が正当化されることを条件として︑この原則を適用すぺきであるとされる︒ ︵必︶ 運送人または履行補助者に重過失がある場合に︑賠償額制限約款は無効とされる︒それは︑重過失による損害の. 一部を合意により予め免責することが公序に反するからである︒判例も一貫して︑重過失と故意との同一視を肯定. し︑賠償額制限約款の効力を否定する︒それでは︑法定の責任制限︵団B富臨8鼠αQ巴o留目$宕馨び凶露似︶についても︑. 重過失は故意と同一視され︑その適用を排除するであろうか︒この点に関して︑学説は二分される︒まず︑重過失に. よる責任制限排除を肯定する説は︑重過失と故意との同一視が公序により法的正当性を認められるのであれば︑法定 ︵46︶ 責任制限であれ︑賠償額制限約款であれ︑同一視はあらゆる場合に認められると主張する︒これに対して︑リペール. ︵困需詳︶に代表される︑重過失による責任制限排除を否定する説︵多数説︶は︑まず︑賠償額制限約款は契約自由 ︵σ︶. の領域における合意の効力の問題であるが︑法定責任制限は法律上の条文解釈の問題であるとして︑問題の次元が異. 立法の経緯. ︵48︶. 英米法主導の統一条約制定作業では重過失に関づる検討がなされず︑統一条約は︑責任制限. なることを明確にする︒そして︑次のような理由から重過失による責任制限排除を否定する︒. ④. を︽いかなる場合においても︾と定め︑何らの留保もしていない︒一九三六年法の立法作業においても︑立法者には. ◎. 一九三六年法の趣旨. ︵49︶. 一九三六年法の趣旨は︑統一条約を国内法化し︑国際的レペルでの海上運送に関す. 重過失により責任制限を排除する意思がなく︑責任制限を定める第五条にいかなる留保も付されていない︒. る規則の統一に参加することによって︑フランスの海運業者を外国の競争相手と同一の状況に置き︑かつ同一の責任. 一九三六年法の強行法規性. ︵50︶. 一九三六年法は統一条約に準じて強行法であり︑解釈を否定して厳格に適用. に服せしめることにある︒重過失により責任制限を排除することは︑フランスの海運業者を不利な立場に置く︒. ㊦.
(13) ︵51︶. 法定責任制限制度における荷主と運送人との利益の均衡. されなければならない︒. ◎. 一九三六年法第五条は︑荷送人が価額の通告を. すれば︑運送人はその価額に基づいて損害賠償の責を負い︑通告がなければ︑運送品に関する運送人の責任は一包ま. たは一単位あたりの限度額に制限されるという一組の制度である︒この制度に︑重過失が価額の通告と同一の効果を. 有するという原則を導入することは︑一定の分野において荷主と運送人との私的な利益の衝突を調整することを目的. 同一視原則の適用は︑公平およびモラルにより正当化されなけ. とする法律の均衡を修正する︒このことは︑同一視の原則を排除する十分な理由となる︒責任の加重は︑運送賃の追 ︵52︶. ㊨ 一九三六年法上の荷主と運送人との均衡. 加なしには認められない︒. ればならない︒統一条約は︑運送人と荷主との権利および義務の均衡を確立しており︑一九三六年法は統一条約に準. 他方︑判例においては︑商事裁判所および控訴院は︑多数が運送人の重過失による責任制限排除を肯定し︑破殿院. じる立法である︒重過失は︑行為の道徳性を評価する場合には︑故意とは等くない︒. ︵53︶. はそれを否定する︵表2︶︒責任制限を排除する判決には︑重過失と故意との同一視が確立された判例であることを理. 由とするものが多くみられる︒また︑同一視を否定する判決の理由には︑﹁一九三六年法第五条が強行規定であり︑ ︵54︶. ︵55︶. 損害賠償額の評価において︑過失概念または重過失のあらゆる介入を排除する﹂とするものと︑前述の﹁法定責任制. 一三. 限における荷主と運送人との利益の均衡﹂を理由とするものがある︒そして︑この問題は︑一九六〇年の破殿院連合. 梱包の中からセーター六五三着が抜き取られた事例︒. 部判決により解決をみた︒ ︵56︶ 破鍛院連合部一九六〇年三月一一日判決︵︽ストラスブルジワ︾号事件︶. ︿事案および訴訟の経過﹀. 運送人の責任制限とその権利の喪失.
(14) }破 殿 院 5ー 0 ;但し,同一事件. 1 1 t i. 3. ー 肯定. (D.M.F.1949〜. 0. 一四. 第一審のラ・セーヌ商事裁判所一九四八年一月一二日判決は︑運送品の盗取が長時間の. 作業を要し︑かつ︑運送人の履行補助者により︑その者が梱包を自己の管理下におく間に. のみ可能であるとし︑盗取を可能にした運送人の監視義務違反が︑故意に相当する重過失 ︵57︶ を構成すると判示した︵責任制限排除︶︒. 控訴審のパリ控訴院一九五一年三月一二日判決も︑前述のように︵e③④︶︑より詳細に. 重過失を認定した後︑運送人の重過失ならびに履行補助者の故意および重過失は︑運送人. の故意と同一視されるとし︑責任制限が︵一九三六年法による運送人の︶責任増加の代償. であるとしても︑運送人に欠くべからざる注意および予防の怠慢を導くような重過失につ ︵58︶ いて︑その一部の免責を正当化することはできないとする︵責任制限排除︶︒. ︵59︶. ︵60︶. 一般法または一九三六年法が課す責任を負わ. 詐欺︵ヰ窪8︶と同様︑故意はすべての規則が適用されず︑法定の責任制限を妨げるとしても︑条文の一般的およ. び価額を通告した場合を除いて︑一九三六年法第五条が定める金額を超えて責任を負わない︒. ないことを直接または間接的に目的とする条項を挿入することが禁止されるが︑荷送人が船積前に運送品の種類およ. ︿判旨﹀ ﹁海上運送人は︑一九三六年法第九条により︑船荷証券に︑. 人は再上告し︑再上告審の破殿院民事部一九五九年二月四日判決を経て︑事件は破殿院連合部に回付された︒. ︵61︶. しかし︑移送審であるルアン控訴院一九五五年六月七日判決が ︑同一視を肯定し︑責任制限を排除したため︑運送. 妨げない﹂として︑原判決を破殿し︑ 事件をルアン控訴院に移送した︒. り︑運送人または履行補助者の重過失は︑ 強行法規により絶対的かつ不可侵的な文言で規定される責任制限の適用を. これに対し︑上告審である破段院民事部一九五四年七月六日判決は︑ ﹁すぺての規則が適用されない故意とは異な. の上級審も算入). 早稲田法学会誌第三五巻 ︵一九八四︶. 商事裁 判 所 控 訴 院. 1 旨. 6 3. 否定. 重過失の故意との同一視 表2.
(15) び強行的条項は︑重過失と故意とのあらゆる同一視を排除する︒実際に︑海上運送人の責任制度は︑当事者の意思で. はなく︑強行規定により決定される︒一九二四年統一条約の規則に基づく強行規定は︑当事者相互の債務の範囲を決 定し︑両者の均衡を実現した︒﹂. このように︑一九三六年法でも重過失は責任制限を排除しないことが確立されたが︑この判旨には従来の学説が総 ︵62︶ 括されているように思われる︒また︑ロディエール︵国o島驚①︶は︑この判決を支持し︑次のような説明を加える︒一. 九三六年法は︑運送人の免責事由および責任制限の法定と︑荷主に不利益な条項の禁止とにより︑均衡のとれた完結. 的な体系︵の器節ヨo包8︶を採る︒重過失と故意との同一視は︑この法的均衡を変更する︒一九三六年法が条約に準じ. って︑故意のみが規則の適用を妨げる︒. て︽いかなる場合においても︾と定めることにより明確にしようとしたのは︑責任制限規則の堅固さである︒したが. 以上の学説・判例を要約すると︑一九三六年法の下では︑重過失について責任制限を援用することは公序に反さな. いこと︑ならびに︑責任制限を排除することが強行法により確立された運送人と荷主との法的均衡を破ることから︑. 重過失による責任制限排除が否定されるといえる︒しかし︑次に紹介する︑﹁重過失と故意との同一視﹂という原則. ︵一〇紹︶︸昌︒一〇〇〇窪の引匡.謹き陣o一. の意義︑ならびに︑特に重大な過失がモラルに衝突するという主張も注目に値すると思われる︒. P園首①3ロ9ρU●一〇㎝O︸い一零9. 一五. O①&︒︵一〇漣︶一ロ︒o o㎝ご P国首①旨卑いω〇三卑pαqoさ. ︵42︶ ︾Oo一ぎ卑冨O巷諦き計Ooξの伽竃ヨo艮巴話傷①黛o津9<一一ヰ帥暑巴の﹂●戸鱒︒&. gP肉首①旨い↓N鉱泳鷺象5岳山o窪o一け9≦一坤帥暑巴ヌρ<一一. ︵43︶. ↓屋一泳留象o評9≦一︸け.目︒︵お竃ンロ︒まO●. ︵44︶. 国首①旨﹄仁冥帥昌o冨︵一〇〇y昌︒一〇〇思旧国o象卑ρ鴇冥卑ロo件o︵一一︶︸昌︒零oo︒. 運送人の責任制限とその権利の喪失.
(16) ︵46︶. ︵45︶. 空℃①詳︒︒ξ冨ぎ吟︒︵一ω︶︸昌︒一〇︒一9ぎ件ρU﹂OO鱒一●8一︒. 殉ぎ︒芦ぎ一βの看鍔ぎ富︵直o︒︶gO﹂Oα一﹂.8①.. ω霊く囲ρ︒︒看冨ぎ一︒︵合︶も﹂︒. 困℃︒芦一匡山●甲=き一〇一①件困℃璽も舌旨昌︒一︒︵島︶も︒︒︒①P. 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶. ︵47︶. 一. 0. 蜜貰巴ω. 山︒O旨且B昏opoげ器署畳opU9蜜男一〇3ωo︒9. ︒︒. ︵49︶. ︵48︶. ︵50︶. 閑ごo旨︸ぎ89の巷38け①︵. 閃●閑o象卑ρ8BB︒三葺ρU︒言悶●一︒8ω器︑. ↓ユぴ︒. 8B・ピ︒=薯βど島p一逡PU・言男一︒㎝O﹄o︒ご国帥訂計一︒ヨ帥房一漣︒ ︒. 8ヨ・竃壁︒罠ρ一ω︒3一︒直︒︒も・冥餌ぎ件︒︵8︶脚↓き︒8ヨ︒ぴ角ω︒置︒●嶺象︒謹︒﹄巷壁. 口o冨O器色︒幕●. 一︒ρ. 一80目. P琴コ一︒貫お9. ↓ユげ・. ぎ一①男o象酵2ω﹂り8一①︒. H曾三3一一ヨ帥窃一8ρU︒言切﹂︒8ωo︒ドぎけ8国o山一酵︒gO旨包ヨ器g. ●. 8幹9き︸一〇帥呂二︒㎝ρU︒鍔閂一︒㎝ど謹. O霧のり. ↓ユげ︒. o︒︶g︵ミ︶■. ぎけρU﹂Oおし●爵. ︵52︶. ︵1 5︶. ︵53︶. ︵留︶ ︵55︶. ︵56︶. 一U︒一︒①O﹂﹄ミ. U●言岡●一〇・Pω傘. 山ハ. oげω︒. ぎ言︵⑩ooy. 二㎝8露・. 一〇脇し﹂ooOuぎ一〇. ︒葺=・一3介u・鍔男・一︒・♪㎝︒ ︒︾昌︒盆O旨&塁ぎ三︸●ρ℃﹂︒鰹自︒︒︒ ︒餌 oげ・﹂︒冒唯帥旨. ぎ一〇︵一一︶︾昌︒O謡.. 8ヨ.﹂叡養一3P. ご島昌一︒・90・審コ一3P ︒︒︒ ︒ も︒一︒ω窪奉磯2いρ℃●一︒3目︒ ︒刈賃︒びの﹂︒冒αq一帥吋εo. いど昌〇一①勾帯震ρ. 身・器︒蛭8ヨ. 旨ヨ貰ω一〇〇一﹄看増帥ぎ酔o︵困y. 859ω︒ぎρ旨一きく﹂逡︒︒uO設︒悶﹂30﹂8︵ω︒B︒︶一〇●一漣Pい①ド. 冒o⇔ポ旨. ↓ユび.. 畠o. 評ユの︸. ︵訂︶. ︵8 5︶ O②ωの.. ご. 国oβoP. 一〇3鷲. ︵59︶. ︵60︶. 家℃Rけ. ︵1 6 ︶O霧ω●9︿●器o. ︵2 6︶園o島酵ρωξ旨.
(17) ㊧. 同口視原則の意義. 故意は損害を惹起する意思をいうが︑重過失は︑いかに過失の程度が高くとも︑かかる意思を伴わない︒両者は︑. 行為者の内心において本質的に異なる概念であり︑重過失と故意との同一視は不自然なことであるという批判がなさ ︵63︶. ︵㏄︶. ︵65︶. れる︒また︑沿革的にも︑重過失と故意との同一視は責任発生要件の問題であり︑賠償額の面での同一視は根拠を欠 くことが指摘される︒. これに対して︑マソー︵r蕾巳︶は︑立証上の理由から︑同一視原則の意義を次のように説明する︒﹁故意あ. る者は︑常に軽卒という安易な仮面をかぶる︒過失の重大性は認められるが︑その者の善意が確認される︒︵すなわ. ち︑︶悪意ではなく︑愚かさによって非常識に行為したことが認められる︒重過失に故意と同じ民事上の効果を付与. することにより︑この都合の良すぎる防禦手段をやめさせるべきである︒︵そこで︑︶過度に重大な過失がある者に損 ︵66︶. 害を惹起する意思を認めることが提案される︒︵つまり︑︶重過失は故意であると推定される︒﹂ ︵67︶. この推定は反証により履しうるものとされる︒したがって︑故意の推定を受けた債務者は︑契約上のモラルおよび. 公序に照して︑自己に故意がないことを立証することができる︒このように︑損害を惹起する意思の立証の困難さを. 除去し︑他方で反証を認めることにより︑立証上の当事者の公平を図ることが︑同一視原則の意義であると主張され. ↓§o︶は︑重過失を︑﹁その者が損害を惹起する意思を有さなかったとはほと. る︒但し︑マゾーが同一視原則により故意の推定を及ぽそうとするのは︑過度に重大な過失である︒これを受けて︑. マソー タンク︵員9ご蕾&. ︵銘︶ んど信じられないほど重大な解怠または不注意である﹂と定義している︒. ︵69︶. 確かに︑損害を惹起する意思を立証することは︑極めて困難であると一般に理解される︒しかし︑故意の推定は︑. 一七. 故意が立証されなければならない旨を規定する民法典第一一一六条に反する解決である︒そのため︑この主張に反対 運送人の責任制限とその権利の喪失.
(18) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶. ︵70︶. 一八. する説が有力であるが︑マゾーの示唆する︑過度の重過失を故意と同一視する必要性は︑メルラン︵竃R﹃︶によっ て支持されている︒. メルランは︑重過失と故意との同一視原則を否定する立場をとる︒そして︑﹁特に重大な過失はモラルに衝突し︑. ほとんど故意に相当する﹂とし︑故意概念の拡張が図られる︒それによれば︑﹁不法行為の分野では︑個人間に明確. な義務が存在しないことから︑第三者に対する関係で故意が存在するためには︑積極的かつ意識的な損害を惹起する. 態度が不可欠である︒契約の分野では︑単なる無意識の消極的態度が契約の履行を妨げるような場合には︑その態度. が損害を惹起する意思を示し︑かつそれで十分である︒﹂とされ︑故意は︑﹁明確な︽損害を惹起する意思︾の有無に. かかわらず︑契約の履行に必要なことをしないという明白な意思である﹂と定義される︒また︑立証の面で︑この定. 義における故意は︑重過失と同様に︑特別な失策︵琵﹃砕馨︶のような外的な客観的事実によって証明されるとし︑. 善意の推定を覆す︵故意を認定する︶必要があるとされる︒. 過失の重大性またはその性質により故意が実際上確実に存在するのと同じであることが立証された場合に︑裁判官は. このような︑立証上の公平を図るための同一視の必要性︑ならびに︑立証上の困難を軽減するための故意概念の拡. 張は︑統一条約の強行法規性に必ずしも反するものではなく︑むしろ︑運送人と荷主との公平を維持する上で検討さ れるべき問題であると思われる︒. マゾーによる故意の推定の主張は︑行為者の内心による故意と重過失との区別を維持しつつ︑特に重大な過失を故. 意と同一視する考え方である︒但し︑反証を認めることにより当事者の公平を図っている点に留意する必要がある︒. 他方︑メルランは︑特に重大な過失がモラルに衝突すると認識し︑重過失の中に反道徳性を帯びたものがあること. を示唆している︒この点に関して︑メルランの論説に先行する判決に︑次のような説示をするものがある︒﹁社会生.
(19) 活の必要により︑人々は︑人および財産の安全を保障するために︑最低限度の注意を尽す義務を負う︒この努力をし ︵71︶. ないことは︑単なる不注意ではなく︑積極的な反社会的行為であり︑故意の場合と等しい責任により制裁されなけれ. ばならない︒﹂この説示は︑重過失H反社会的行為と定義するように理解されるが︑メルランの主張は︑行為の反道徳. 性を基本原理とし︑故意概念を拡張することによって︑特に重大な過失を故意の枠組に取り込もうとする考え方であ る︒. 何れも︑問題は︑意思主義による故意の立証の困難さをいかに軽減するかという点に帰着すると思われるが︑さら なる問題は︑﹁特に重大な過失﹂という概念の安定性をいかに確保するかという点にある︒ 甲巴犀旦の巷壁ぎ8︵一①︶︸口︒oo. S. ︵3 6︶. 園︒冒3げ仁−蜜R一一PUo一9富葺o一〇仁乱①︾P一〇脇︾oぼoP℃・ooPO一の. H三山●. ピ﹂≦欝o器斜い︑霧ω一B出葺一〇誉留鼠蜜暮o一〇仁缶①窪亀oポU●軍一8Go︒oぼopやお︸器. ︵劔︶. ︵66︶. ︵65︶. 閏H帥静ぎ.霊℃冨ロoε︵一〇︶u昌︒oo. o︒・. ︵67︶. p︒占膳・. =ゑい鼠欝g&①酔>■↓昌ρ↓邑砕曾竃oユ2︒g冥卑二2①餌巴鴛︒巷gω帥匹搾ぴ︒三一墜一︒ε︒一一①卑8三H8ε︒一一p. 一九. ︐r竃$〜Oo一弧餌葺①一〇自留g話巷o霧号臨一孤魯霞きω℃o昌oξ. ︵68︶. 宰鉱5P窪冥魯poε︵一①︶馳目︒oo囑●. 貯ご0①①山. ︵70︶. ︵69︶. Oo巨弩︾謹ぎ. ㌣ζo岳P霊質餌ロ90︵O躯y℃やO一18︐. 運送人の責任制限とその権利の喪失. 小括ーフランス法からの示唆. P蜜︒コ一3ρ①﹂唱●お①件の忌く;. 一〇㎝ρU﹂O㎝一︸い窃一︸画暉. ︵1 7︶. ㊨.
(20) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶. 二〇. フランスにおけ蚤︑重過失による責任制限排除に関する判例・学説の展開を︑重複を厭わずに整理すると次のよう になる︒. ④重過失が行為のモラルを評価する上で故意に等しくないこと︑ならびに︑統一条約および一九三六年法が強. 故意の立証の厳格さとの関係で︑﹁特に重大な過失﹂の取扱いが問題とされる︒. 行法的に運送人と荷送人との法的均衡を確立していることから︑重過失による責任制限排除は否定される︒ ◎. わが国の国際海上物品運送法も︑フランス一九三六年法と同様に︑統一条約国内立法である︒責任制限制度に関す. る唯一の相逢は︑国際海上物品運送法が準用規定によって重過失による責任制限排除を定めると解されている点にあ. る︒しかし︑その妥当性ないし予定されるべき機能を検討する上で︑右の二点は考慮に値するものと思われる︒. ところで︑現行の﹁傭船契約および海上物品運送契約に関する一九六六年六月一八日の法律﹂は︑責任制限が排除. される場合として︑運送人の故意および運送品の価額の通告を規定する︵第二八条︶︒ここでは︑もはや︑重過失と故 ︵72︶. 意との同一視は問題とされず︑故意だけが運送人の責任制限を排除する︒また︑前述のように︑破殿院は故意を﹁具. 体的に損害を惹起する意思﹂と厳格に定義するため︑一九六六年法の下では︑運送人の責任制限は極めて高度の安定 性を付与されている︒. ︵72︶ 国o象酵ρ霊冥四50一〇 ︵一一︶︸p︒①胡甲中魯勺g冨≦oρ03一仲g冥暮一20ユoの言雪巷o﹃富ヨ帥ユ一ぎ霧o貫申α8ヨ〇三ω. 国際海上物品運送法の検討. ︵一SO︶︸一鱒oo●. 三. まず︑故意について責任制限を援用することは︑公序すなわち正義に違反すると考えることができる︒他方︑重過.
(21) 失については︑それが﹁注意の著しい欠如﹂であるという限りにおいて︑責任制限の援用は︑正義に違反せず︑むし ろ問題となるのは︑当事者間の公平であると思われる︒. しかしながら︑責任制限制度は︑統一条約が強行法的に定める運送人と荷主との権利・義務の公平を構成する要素. の一つである︒また︑責任制限制度自体においても︑損害賠償額と運送賃とが相関性を有し︑運送人と荷主との利害 ︵73︶. の均衡が保たれる︒したがって︑過失の程度を考慮し︑重過失について責任制限を排除することにより︑当事者間の 公平を図る必要性は極めて限定されると考えられる︒. そこで問題となるのは︑フランス法においてマゾーおよびメルランが指摘するように︑注意の著しい欠如を超えた. ﹁特に重大な過失﹂である︒故意と過失とが行為者の内心によって区別される限り︑故意を立証するためには︑運送. 人の損害を惹起する意思を立証しなければならない︒しかし︑そうであるからといって︑このような積極的故意の立. 証がない限り︑常に責任制限を認めることが妥当であるとは思われない︒故意を立証できない場合を含め︑損害を惹. 起する意思と注意の著しい欠如との間に位置する過失について︑責任制限を排除し︑当事者の公平を図るべきであ. る︒そして︑国際海上物品運送法による商法第五八一条の準用は︑このような見地から︑重過失についても悪意と同 一の効果を付与すべき場合があることを想定した措置であると解される︒. 大な過失とは︑相当の注意をなすに及ばずして容易に違法有害の結果を予見し回避することを得べかりし場合におい. ところで︑商法第五八一条にいう悪意とは︑運送品を滅失・殿損または延着せしめようと欲することであり︑重過 ︵ ︶ 失とは︑通常人のなす注意すらなさないことで︑ほとんど悪意に近いものをいうと定義される︒また︑判例も︑﹁重. ︵75︶. て︑漫然意わず︑これを看過して回避防止せざりしが如き︑ほとんど故意に近似する注意欠如の状態を指示するもの. 一二. とす﹂と定義する︒このように︑商法第五八一条の重過失は︑例えば︑錯誤︵民九五条︶や手形の善意取得︵手一六条②︶. 運送人の責任制限とその権利の喪失.
(22) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶ ︵76︶. 二二. 意との近似性が要件となり︑このような重過失について悪意と同様の効果が付与されるべきである︒. などの重過失と比ぺて厳格に解され︑故意との近似性が要件となる︒国際海上物品運送法による準用においても︑故. 以上のように︑重過失による責任制限排除は︑故意との近似性により公序ないしは当事者間の公平に反する重過失. についてのみ妥当し︑かつ︑そのような重過失を責任制限の対象から除外するこ弔がその予定された機能であると解. される︒しかし︑なお︑何を基準に故意との近似性を評価するかという問題が残される︒前述の判例によれば︑④相. 当な注意を用いることなく容易に損害発生を予見でき︑かつそれを回避できること︑ならびに︑◎漫然と損害発生の. 危険を看過し︑回避および防止しなかったことが︑故意に近似する重過失の基準となる︒ところが︑特に陸上運送に. ︵77︶. 関する判例には︑この基準によりながら︑運送人の注意義務を厳しく解すことによって︑重過失を肯定するものがあ. る︒このような方向は責任制限の安定性を害すおそれがあり︑さらに故意との近似性について配慮を要する︒そこ ︵78︶. で︑メルランが示唆するように︑故意を観念的に﹁損害発生を認識しながら︑それを容認して行為すること﹂と緩や. かに解し︑責任制限が排除されるのは︑荷主側の立証により︑裁判官の心証形成においてある程度故意の存在が認め られるような場合に限定されるべきではないかと思われる︒. アメリカ法において︑運送人の責任制限が排除されるのは︑地理的離路︵留≦暮一9︶および非地理的離路︵2霧包o≦?. ユo昌︶の場合に限られる︵清河雅孝﹁運送人の責任に関する制定法とコモン・ローの関係旬﹂産大法学第一二巻三号︵昭五. ︵73︶. 這謡>・匡︒O︒器. ︵鱒昌傷O買一S戯︶●. 9︶についても責任制限. 三︶二七頁・三〇頁以下︶︒最近の判例によれば︑非地理的離路の原則は不当な甲板積にのみ適用され︑堪航能力担保義務. 小町谷操三・運送法の理論と実際︵昭二八︶・三七八頁︒. が肯定されている︵霞鴨昌一糞・ω霊巴〜甘ゲ昌名o巻跨器島R. に関する運送人の重大な塀怠︵露吼蒔oロ8︶または故意のかつ理由のない不当な行為︵ヨ一ω8昌ユ. ︵74︶.
(23) 大審院大正二年一二月二〇日判決・民録一九輯一〇三六頁︒陸揚時にバラスト・タンクに海水を注入した際に︑測水管. ︵水槽の満水を知る設備︶に破損があり︑漏水により運送品︵砂糖︶が濡損を被った事例︒本件では︑測水管は︑事故発生前. ︵75︶. 一か月内に取換えられ︑正規の船舶検査を受け︑また︑木製の覆箱により保護されていたことから︑船員が異常の発生に気. 不法行為法の分野では︑重過失の認定基準が緩和される傾向にある︵加藤一郎・不法行為法︵法律学全集22−皿・増補版昭. 付かなくとも 重 過 失 は 存 在 し な い と 判 示 さ れ た ︒ ︵76︶. の不法行為法において重過失が問題となるのが︑不法行為者の責任軽減についてであり︵例えば︑失火法︶︑重過失を厳格. 和四九年︶・七五頁︶︒すなわち︑学説は︑重過失を故意と軽過失とのほぼ中間に位置するものと解す︒その理由は︑わが国. に解釈することは︑いたずらに免責の範囲を拡大することになり︑被害者の利益を無視することになる点にある︒したがっ. て︑注意義務違反の程度がかなり著しい段階にあるときはこれを重過失と認定して差し支えないものとされる︵三島宗彦・. しかし︑運送法︑特に国際海上物品運送法においては︑法律上責任制限を前提として当事者の公平が確保されており︑不. 注釈民法㈹︵昭四〇︶・八八頁︶︒. 最高裁第三小法廷昭和五五年三月二五日判決・判例時報九六七号六一頁︵貨物自動車運送における高価品の紛失・ワゴン. 法行為とは利害の状況を異にする︒したがって︑重過失は故意に近似するものと厳格に解すぺきである︒ ︵77︶. 決には︑次のようなものがある︒神戸地裁昭和二四年一二月一日判決・民事裁判例特報一七六︵鉄道運送における手荷物の. 車の後部扉を閉めただけで施錠しなかったことに重過失を認定︶︒その他︑運送人または履行補助者の重過失を認定した判. 紛失・荷物車に施錠せず放置︶︑東京地裁昭和二六年三月一二日判決・下民集二巻三七一頁︵鉄道運送における手荷物の紛. 失・係員以外の者に保管庫への立入りを許した︶︑最高裁第二小法廷昭和五一年三月一九日判決・判例時報八〇七号三頁︵航. 空運送における高価品の滅失・履行補助者の窃取または手違いによる積残し︶︑東京地裁昭和五七年二月一〇日判決・判例. 加藤・前掲注︵76︶・六七頁︒. バーをせず︑またはカバーが不十分であった︶︒. 運送人の責任制限とその権利の喪失. 二三. 時報一〇七四号九四頁︵航海中荒天に遭遇し︑通風筒から海水が侵入して運送品の一部に汐濡損が生じた事例・通風筒にカ. ︵78︶.
(24) 早稲田法学会誌第三五巻︵一九八四︶. 四 おわりに. 二四. 一九六八年議定書︵ウィスビー・ルール︶は︑一九二四年統一条約第四条五項を改正し︑運送人の責任制限が排除. される場合として︑﹁損害を生じさせる意図をもってなし︑または︑無謀にかつ損害が生ずるであろうことを知りな. がらなした運送人の作為または不作為﹂を規定する︵第三条㈲︶︒前者の﹁損害を生じさせる意図﹂は︑統一条約の解 ︵79︶. 釈上︑従来より認められるところであったが︑後者の﹁無謀にかつ損害が生ずるであろうことを知りながら﹂という 要件に注目される︒これは︑重過失というより消極的故意であるとされる︒. 商法第五八一条の重過失は︑前述のように︑故意に近似する過失と解される︒そして︑かかる過失について公序な. いし公平に照し責任制限を排除すべきであるというのが︑本稿の結論である︒しかしながら︑法律構成の上では︑. ウィスビー・ルールのように︑むしろ故意を拡張する方が法的安定性に優ると思われる︒また︑それが責任制限の安. 定の要請に資することになる︒そこで︑立法論としては︑ルールに則した新規定を設けるべきであると考える︒. フランスでは︑一九七七年のデクレによりウィスビー・ルールが発効し︑国際運送に適用されている︒消極的故意 ︵80︶. は︑許し難い過失︵富90ぼ霞量匡o︶と呼ばれ︑損害の予見可能性と正当な事由によらない危険の受容とがその基. 準になるとされる︒今後︑具体的事例においてこの概念がどのように機能するかという点に関し︑フランスの判例を. 注目していきたい︵一方︑一九六六年法では︑責任制限排除事由である運送人の故意に︑許し難い過失は含まれない ︵81︶ ものと解され︑条約との齪齪が指摘されている︶︒. 以上︑本稿において検討したのは︑責任制限排除の主観的要件に関する問題であるが︑客観的要件についても重要. な問題が存在する︒それは︑商法第五八一条にいう運送人の意義であり︑﹁運送人﹂に履行補助者が含まれるか︑ つ.
(25) まり︑履行補助者の悪意・重過失は運送人の責任制限を排除するかという問題である︒運送人の責任制限の限界を明. 谷川久﹁船荷証券条約及び海難救助条約の改正﹂海法会誌復刊第一三号︵昭四〇︶三頁・七〇頁以下︒. らかにする上で重要な問題であるが︑ここではその指摘のみにとどめ︑検討は今後の課題としたい︒ ︵79︶. 照︒. ︵80︶型帰・2凶8一霧りぎ5Pζ局●這oo︒ o 一〇一●また︑金沢理・保険と民事責任の法理︵昭四一︶・八二−八三頁注︵2︶︵3︶参. 一8ρU・一8ρoぼo昌 〇・. や一一8一一〇. 〇甘日 ︵8 1︶国o島酵oもξ3po言︵一一︶りp︒O謡一一〇巴鉱甲>巳oざ︸円目象oξのo幹88三〇H︒・矯げ8鑑o民8の山o一鎖一〇一畠o一〇. 本稿は︑昭和五九年一〇月五日に開催された第三四回日本海法学会における報告に︑若干の訂正を加え︑注を付したもので. 二五. す︒当日︑司会の労をお取りいただいた原茂太︸先生ならびに貴重な御教示を賜わりました諸先生に厚くお礼申し上げます︒. 運送人の責任制限とその権利の喪失.
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