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荷送人の運送品処分権と荷受人の権利

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論 説

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荷送人の運送品処分権と荷受人の権利

109一一『奈良法学会雑誌』第7巻3・4号 (1995年3月〉 目 次 は じ め に 一 ド イ ツ 商 法 二 日 本 商 法 結 語 は

め 一運送人は、委託を受けた運送給付を運送契約の本旨に従って履行すべき義務を負う。運送契約は、通常、運送人 が運送口聞の発送地で荷送人から運送品を受取り、それを到達地まで輸送し、そこで荷受人に運送品を引渡すことによ り終了する。運送契約締結時の当事者は荷送人と運送人とであるから、運送契約上、運送人に対して権利を有し、義 務を負う者は原則として荷送人であるが、第三者が荷受人として指定されている場合には、荷受人は、運送給付の進 行にともなって運送人との聞に法律関係が生じて、運送契約上の権利を取得し、義務を負うに至る(商法五八三条)。

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運送契約上、荷送人が荷受人を兼ねない場合の運送人、荷送人および荷受人間の法律関係は、運送給付の進行にと 第 7巻3・4号一一110 もなって次のように変化すると解されている。すなわち、第一段階として、運送品が到達地に到着するまでは、原則 として荷送人だけが運送契約上の権利を有し、義務を負うのに対し、荷受人は、特約がない限り、運送人に対して権 利も義務も生じない。したがって、この段階では、原則として荷送人だけが運送品処分権を有する(商法五八二条一 項)。次に、第二段階として、運送品が到達地に到着した後には、荷受人は、運送契約上の荷送人の権利を取得して (商法五八三条一項)、運送人に対して自己の名で運送品の引渡を請求することができるが、荷送人も運送品処分権を 有し、両者の権利は併存すると解するのが通説・判例である。そして、第三段階として、運送品が到達地に到着した 後、荷受人が運送品の引渡を請求した場合には、法は、荷送人の運送品処分権が消滅すると定めているが(商法五八 二条二項)、従来の通説は、荷送人の運送品処分権は消滅せず、荷受人の権利が荷送人の運送品処分権に優先するに すぎないと解してい信最後に、第四段階として、運送品が荷受人に引渡された場合には、荷受人は、運送契約上の 義務を負い、例えば、運送賃その他の費用の未払いがあれば、その支払義務を負う(商法五八三条二項﹀。このよう に、運送人と荷送人との聞で締結された運送契約は、荷送人が荷受人を兼ねない場合、運送品の到達地において運送

右に述べたように、荷受人が指定されている場合、運送給付の進行にともなって運送人と荷送人との聞の運送契 人と荷受人との聞で終了することになる。 約上の権利・義務関係には変化が生じるが、運送給付が右に述べた第一段階または第二段階にある場合には、荷送人 の運送品処分権(商法王八二条一項)が荷受人の権利(商法五八三条一項)に優先すると解することについて争いは ない(通説﹀。また、運送給付の進行が右に述べた第四段階にある場合、運送人が運送給付の履行として約定の運送品 を荷受人に無事に引渡したとき、運送給付は終了するから、運送品の引渡に関して荷送人の運送品処分権に対する荷

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受人の権利の優先関係の問題は生じない。 しかしながら、運送給付の進行が右に述べた第二段階に達した場合に、荷受人は、運送人との聞に法律関係が生じ て運送契約上の権利を取得するのに対し ︿ 商 法 五 八 三 条 一 項 ) 、 運送給付の進行が右に述べた第三段階に達した場合 111-.-:荷送人の運送品処分権と荷受人の権利 の荷送人の運送品処分権について、商法五八二条二項は﹁:::荷送人ノ権利ハ運送品カ到達地ニ達シタル後荷受人カ 其引渡ヲ請求シタルトキハ消滅ス﹂と定める。そして、判例には、商法五八二条二項と同様、運送品が到達地に到着 した後、荷受人が運送品の引渡を請求した場合には、荷送人の運送品処分権は消滅すると判示するものもあお山これ に対し、従来の通説は、運送品が到達地に到着した後、荷受人が運送口聞の引渡を請求した場合には、荷送人の運送品 処分権は消波せず、ただ荷受人の権利が荷送人の運送品処分権に優先するにすぎないと解し、その理由として、運送 人は、運送品の引渡について争いがあるとき、荷送人の指図を受けなければならないこと(商法五八六条一項、五八 五条二項)や荷受人が運送品の受領を拒否したとき、荷送人の運送品処分権が回復することを挙げて、荷送人の運送 品処分権と荷受人の権利との関係を論じている。 こうした日本商法の規定や従来の通説の立場に対し、大陸法系の国の運送法においては、荷送人の運送品処分権は、 荷受人の運送品引渡請求の時に消誠するとするではなく、荷受人への運送品もしくは運送状の引渡により、または荷 受人が運送人に対して﹁訴え﹂を提起することによって消滅すると定めるものもある(ドイツ商法四三三条二項第一 文参照﹀。また、最近の標準運送取引約款には、荷送人の運送品処分権の消滅に関して、荷受人の運送品引渡請求を基 準とするのではなく、荷受人への運送品の引渡を基準とする幻げも散見される。 三そこで、本稿では、商法五八二条一項に定める荷送人の運送品処分断ピ、商法五八三条一項に基づき荷受人が取 得する権利との関係について、荷受人が運送品の引渡を請求した場合には、荷送人の運送品処分権は消滅すると定め

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第7巻3・4号一一112 る規定(商法五八二条ニ駒山や荷受人の権利は荷送人の運送品処分権に優先すると解したり(従来の通説)すること が通信機器の発達により物品運送の利害関係者間の意思伝達が簡易・迅速になった今日の実務界の要請に合致するも のであるか否か、これを課題として取り上げて検討してみたい。その際、まずわが商法五八二条の母法であるドイツ しかる後にわが商法における荷送人の運送 商法四三三条が定める荷送人の運送品処分権の消滅時期について紹介し、 品処分権と荷受人の権利との聞の優先関係について検討を試みる。 なお、本稿の課題すなわち荷受人が運送品の引渡を請求した後、荷受人の権利が荷送人の運送品処分権に優先する と解することの当否の問題は、貨物引換証(海上運送では船荷証券)が発行されない場合に、運送契約の委託当事者 で な 荷 戸之 .)<.. 人 ヵ: 運 送 給 付 の 進 行 と も ー

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対 運 し 送 、 契 貨 約 物 の 引 当 換 事 証 者 である荷送人が荷受人を兼ねないで (海上運送では船荷証券)が発行された場合には、荷送人および荷受人の地位はすべて証券所持人に吸収されること になるから、荷送人の運送品処分権と荷受人の権利との関係が個別に問題になることはない。 ( 1 ) 東 京 地 判 昭 和 九 年 二 月 二 七 日 法 学 新 報 三 五 人 号 二 三 頁 ・ 法 律 評 論 二 三 巻 一 一 一 二 頁 、 大 阪 地 判 昭 和 コ 一

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年三月八日判例時報 七 五 号 一 八 頁 。 第二段階における荷送人と荷受人との権利関係について、荷受人は、運送契約によって生じた荷送人の権利(運送日間引渡 請求権、損害賠償請求権、その他荷送人が運送契約によって取得した一切の権利)を取得し、これを自己の権利として行使 す る こ と が で き る ( 商 法 五 八 三 一 条 一 項 ﹀ 。 荷 受 人 が 取 得 す る 権 利 は 、 運 送 口 聞 が 到 達 し た と き に 発 生 す る 独 立 の 権 利 で あ り 、 荷送人の権利が荷受人に移転するのではなく、両者の権利は併存する、と解するのが通説・判例である(佐藤幸夫・ジュリ スト・商法の争点 E ・ 二 五 二 真 ﹀ 。 ( 2 ) 竹田省﹁商法の理論と解釈﹂三六

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頁、大隅健一郎・商行為法一四五頁、石井照久/鴻 平 出 憲 道 ﹁ 商 行 為 法 ︹ 第 二 版 ︺ ﹂ 五

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八頁、大森忠夫﹁新版商法総則・商行為法﹂二七

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頁 。 常 夫 ﹁ 商 行 為 法 ﹂ 一 回 入 頁 、

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( 3 ﹀大塚龍児﹁判例コンメンタ l ル 商 法 E 上増補版﹂五三三一具、名古屋地判昭和三七年一一月三日判例時報三四二号六五頁参 照 。 ( 4 ﹀標準宅配便約款第一五条二項、園内利用航空運送約款第二八条二項、国際利用航空運送約款第六章的項。なお、標準貨物 自動車運送約款(運輸省告示第五七五号、平成二年二一月一日実施)第二七条・第二八条は、商法五八二条二項と同趣旨の こ と を 定 め て い る 。 ( 5 ) 村田治美﹁運送法の研究﹂一七四頁参照。なお、学説では、﹁荷送人ノ権利ハ・::消滅ス﹂(商法五八二条二項﹀の場合 の﹁荷送人ノ権利﹂の内容について、﹁荷送人ノ権利﹂とは運送品引渡請求権および損害賠償詰求権をいうと解したり、あ るいは﹁荷送人ノ権利﹂は、運送ロ間引渡請求権、損害賠償請求権およびその他荷送人が運送契約によって取得した一切の権 利を含むと解したりしている。このように、荷受人の運送品引渡請求により消滅する﹁荷送人ノ権利﹂の内容につき、学説 上、必ずしも見解が一致しているわけではない。 ( 6 ) 荷受人の権利について、村田治美﹁体系海商法﹂一五六頁は、﹁荷受人が取得する運送契約上の権利は、通説によると、 運送品引渡請求権だけであると解されている。荷受人が取得する権利の中に、①運送品引渡請求権が含まれるのは当然であ るが、そのほか、②運送口聞の保管請求権・③運送請求権、さらには④運送品の引渡を受けるか否かを決める等のために運送 契約の存在および内容について運送人から開示・説明を受けるいわば運送契約開示請求権ゃ、運送口問に関する書類の呈一不・ 閲覧を求めるいわば書類閲覧請求権なども、これを取得することが荷受人にとって必要・有益であるから、こうした諸権利 を総称して仮に運送給付請求権というならば、荷受人はこのような運送給付請求権を運送契約上の権利として取得すると解 す べ き で あ る 。 ﹂ と 述 べ る 。 ( 7 ) なお、荷送人が運送中の売渡物品を取り戻す場合、荷送人の運送品の処分は、売主が破産法人九条一項によって有する運 送品の取戻権に基づいてなされることがある。この場合には、物品が売買契約に基づいて運送ぜられる場合に関するもので あって、同条の規定の適用ある範囲内において、商法五八二条の規定の適用は排除される。したがって、買主が運送口同を受 取るまでは、買主が運送人に対して運送口聞の引渡を請求した場合でも、売主たる荷送人は運送人に対し、運送品の返還を請 求することができる(小町谷操一二﹁商行為法論﹂一二五七頁参照﹀。平出・前掲四六五頁参照。

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第7巻 3・4号一一114 ド イ ツ 商 法 ドイツでは、荷送人の運送品処分権(︿

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は、運送契約の履行として荷受人への運送品の 引渡により消滅すお山その際、運送品が一部滅失・段損の有る状態で引渡された場合、または運送品が延着して引渡 された場合にも、荷送人の指図に基づく運送給付は履行されているのであるから、荷送人の運送品処分権は消誠する。 序 こうした運送品の引渡が完了した結果として荷送人の運送口問処分権が消滅する場合のほか、ドイツ商法は、荷送人の 運送品処分権が消滅する要件を商法四三三条二項第一文で定めている。 荷送人の運送品処分権について規定するドイツ商法四三三条および荷受人の権利について定めるドイツ商法四三四 条・四三五条によると、荷送人および荷受人の権利関係は、運送給付の進行にともなって次のように変化する。まず、 ①運送品が到達地に到着するまでは、運送品処分権は荷送人に帰属する(ドイツ商法四三三条一項、四三五条第三文﹀。 この段階では、荷受人は、運送口聞の保全に必要な処分をなす権利を有するにすぎないが 文)、荷送人が運送人に対して授権をしていた場合には、荷受人は、運送品の到達地への到着前においても運送品の 引渡を請求することができる(ドイツ商法四三四条第二文)。次に、②運送品が到達地に到着すれば、荷受人は、運 送契約上の権利を行使できる権利を取得するが(ドイツ商法四三五条第一文)、運送品もしくは運送状が荷受人に引 渡されるまで、または荷受人が運送人に対して訴え(関

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を提起するまでは(ドイツ商法四三三条二項第一文参 (ドイツ商法四三四条第 照)、荷送人の運送品処分権と荷受人の権利とは、競合して存続する。けれども、 この段階においては、 荷送人の運 荷送人の指図に従い、例えば 荷送人が荷受人の変更の指図をした場合、荷受人として指図された者に運送品を引渡さなければならない。そして、 送口問処分権が荷受人の権利に優先するから(ドイツ商法四三五条第三文)、 運 送 人 は 、

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③ 運 送 品 が 到 達 地 に 到 着 し 、 運 送 品 ま た は 運 送 状 が 荷 受 人 に 引 渡 さ れ た 場 合 、 ま た は 荷 受 人 が 運 送 人 に 対 し て 訴 え を 提 起 し た 場 合 に は 、 荷 受 人 が 運 送 品 の 処 分 権 者 と な り 、 荷 送 人 の 運 送 品 処 分 権 は 消 滅 す る ( ド イ ツ 商 法 四 三 三 条 二 項 第 一 文 参 照 ) 。 最 後 に 、 ④ 荷 受 人 が 運 送 品 の 受 領 を 拒 否 し た 場 合 に は 、 荷 送 人 の 運 送 品 処 分 権 は 、 当 初 か ら 荷 送 人 に 帰属していたとか、または復活すると解されている。 ︿ 1 ) ﹄ O 町 田 口 ロ の 帽 。 円 四 国 何 回 5 ・ H り 円 安 リ 伊 丹 円 相 n v 片 ( の 口

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・村田・﹁運送法の研究﹂一七六頁、八木弘﹁濁逸商法・商行為法﹂一四三頁、 竹田・前掲三六

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頁 参 照 。 ( 2 ) 間 四 -5 ・ ﹀ ロ ヨ -E N Z 2 ω ω 問 。 回 一 問 。 口 問 ♂ ﹀ 出 5 ・ YNN 己主 ω ω 図 。 ロ ・ ︿ 3 ) ドイツ商法四三三条一項は、﹁荷送人ハ運送品ノ保持、返還、又ハ運送状ニ記載セラレタル荷受人以外ノ者一一対スル引渡 -一付、指図ヲ為スコトヲ得。此ノ処分一一因リテ生ジタル増加費用ハ運送人-一対シ之ヲ償還スルコトヲ要ス﹂と定め、同条 二 項 第 一 文 は 、 荷 送 人 の 運 送 品 処 分 権 の 消 滅 に つ い て 、 ﹁ 口 出 回 ︿ 開 門 宗 関 口 口 岡 田 円 巾 円 伊 丹 ︻ H 2 ﹀ ZEP52 ロ 印 円 E ・ 4 司 開 ロ ロ E n F 門H 2 ﹀ ロ -2 ロp a g c c 同 町 田 間 同 H H 。 ユ 色 町 円 ﹀ 宮 常 時 叩 門 戸 国 ロ 向 島 内 w吋 司 E n E ず ユ 色 色 相 B 開 51 酔 口 問 巾 円 位 σ 巾 門 間 一 巾 σ 巾 ロ O 門 凶 m w H ︿ 。 ロ 門 同 巾 旨 H W S M V S 白 岡 市 叫 百 回 官 官 B E 2 ω 日 常 岡 g 含口明 E n 宮内喜岡市門司門町各自主三・﹂と定める。また、商法四三五条第一文、第二文は、運送品 が到達地へ到着した後の荷受人の権利について、﹁運送品ガ到達地ニ到着シタル後、荷受人ハ、自己ノ利益ニ於テ為スト又 ハ他人ノ利益一一於テ為ストヲ間ハズ、運送契約ニ因リテ生ジタル権利ヲ運送契約ニ因リテ生ジタル義務ノ履行ト引換一一、運 送人ニ対シ自己ノ名ヲ以テ行使スル権利ヲ有ス。特ニ、荷受人ハ運送人ニ対シ運送状ノ引波及ピ運送品ノ引渡ヲ請求スル権 利ヲ有ス﹂と定め、同条第三文は、荷受人の権利行使の制限について、﹁虫 2 2 m 2 Z m E R E -唱 g ロ 。 2 K F ず m g a R 含 B 司 g n z z z 司 開 同 市 山 口 四 回 目 n F ま ω ω ロo n F N 巳 陣 白 色 問 骨 巾 ロ 仲 間 叩 m g g g v m ロ 品 開 ﹀ ロ 司 冊 目 出 口 ロ 間 四 円 円 相 日 戸 ﹂ と 定 め て い る 。 ( 4 ﹀出色 S は、この場合の荷受人の権利を﹁緊急指図権﹂ ( Z ♀ 司 a m g m 出 足 円 伊 丹 ﹀ と い っ て い る ( ﹀ ロ 5 ・ H E 官官図。

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第7巻 3・4号一一116 ( 6 ) 開 。 口 角 川 同 1・ ﹀ ロ ヨ ・ ] N 己 主 ー ω ω 出 の 回 一 ﹀ -R K戸 口 5 ・ 品 N C 一 本 ω ω 問 。 ∞ -( 7 ) 荷受人は、契約当事者以外の第三者が直接に給付の請求権を取得する受益者として(ドイツ民法コ一二八条参照)、運送契約 から生じる権利を取得しても、この権利取得をドイツ民法三コ一三条に基づき拒絶することができると解されている(白色

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巾 円 N ユ n F m c m H Z E 印 刷 U n Z 白 日 目 白 山 岳 丹 市 円 当 053 ・﹂と定める。本条の趣旨は、﹁第三者のためにする契約においては、 第三者は白分の関与しない契約に基づいて直接に権利を取得するが(民法コ一二八条一項)、何人も自己の意志に反して権利 取得を強制されるべきでなく、その権利取得の意思決定は当該第三者に委ねられなければならないから、本条は、権利取得 を拒絶する権利を第三者に与えた。﹂と(椿寿夫・右近健男編﹁ドイツ債権法総論﹂二四七頁)。 ︿ 8 ) 出 色 B -﹀ ロ ヨ -M 叶 N Z 2 ω ω 図 。 回 ・ ︿ 問 ︼ ・ 門 U 問 問 ︼ 巴 r w ¥ 門 リ 田 口 氏 ・ 回 目 、 回 目 口 弘 司 ︼ 印 s n F 昨 日 目 ・ ﹀ 丘 - E m m ω ・ ω 己 ・ ( 9 ) ∞ 円 注 巾 問 巾 ︼ σ 巾 -m 2 ・ ¥ の 巾

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-出 。 切 品 ・ (NH ・ ) ﹀ 口 出 国 間 巾 忌 叶 同 ﹀ ロ ヨ ・ ω N 己主 ω ω 国 の ∞ -運送日間処分権の消誠 付 ドイツ商法四三三条二項第一文は、荷送人の運送品処分権が運送品の引渡完了前に消滅する場合について 序 定め、同法四三五条第三文は、荷受人の権利について、荷受人の﹁権利ハ、荷送人ガ運送人ニ対シ第四三三条ニ依リ テ為シ得ベキ之ト反対ノ指図ヲ為シタルトキハ、消滅ス﹂と定めている。このようなドイツ商法四三三条二項第一文 や同法四三五条第三文の規定とわが商法五八二条二項や五八三条一項とを比較してみると、ドイツ商法の規定がわが 商法のそれより詳細であり、その内容を比較してみると、両者には荷送人の運送品処分権の消滅要件について差異が あ る 。 ところで、ドイツ商法四三三条二項第一文は、 ﹁荷送人ノ処分権ハ、運送品ガ引渡ノ場所ニ到着シタル後、荷受人

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-一対シ運送状ノ引渡アリタルトキ、又ハ荷受人ガ第四三五条ニヨリ運送人-一対シ訴ヲ提起シタトキニ消滅ス﹂と定め ているから、荷送人の運送品処分権が消滅する要件は、運送品が到達地へ到着した後、運送状が運送人から荷受人へ 引渡されること、または荷受人がドイツ商法四三五条に基づいて運送人に対して訴えを提起することである。 ~ 運送品の到達地への到着 ドイツ商法四三三条二項第一文によると、運送品が到達地へ到着した後、運送 ① 117 状が荷受人に引渡されれば、荷送人の運送ロ問処分権は消滅すると定められているが、この場合、運送品が到達地へ到 着することおよば運送状の引渡の二つの要件が具備される順序は前後しても、荷送人の運送品処分権の消滅に影響を 与えないと解することについて争いはない。すなわち、運送品が到達地に到着した後に運送状の引渡がなされた場合 にも、またはこれと逆に運送状の引渡がなされた後に運送品が到達地に到着した場合にも、荷送人の運送品処分権を 消滅させる要件としての運送品の到着および運送状の引渡の二つの要件は具備されたことになる。 ②運送品の全部が到達地に到着すれば、それは運送品の﹁到着﹂である。しかし、運送品の一部が到達地に到着 したときに運送状の引渡が行われた場合、荷送人の運送品処分権が消滅すると解するか否かについては、運送品の一 部が到着すれば、運送品の全部が到着したと解する見解(積極説﹀と、運送品の一部が到着すれば、その一部の運送 品だけが到着したと解する見解(消極説﹀とが対立している。

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巴官同¥の島町円は、﹁運送品の一部が到達地に到着し、運送状が引渡された場合、運送品は 不可分の一単位として運送されるべきであるから、荷送人の運送一品処分権は消誠するよと解している。この見解に よると、運送品の一部が到着すれば、運送品の全部が到着したものと見倣される。 一 、 積 極 説 国 巾 ヨ ロ 山 口 ー ロ ¥ 関 020 や問。

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は、到達地に到着した運送品に関する権利は荷受人に属し、到達地に 到着していない運送中の運送品に関する運送口問処分権は荷送人に属すると解している。また、図。

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は、これらの見 二、消極説

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第 7巻 3・4号一一118 解に対し、ドイツ商法四三三条二項および四三五条の規定から、結論を導くことはできず、出。吉岡忘ロロ¥問。片言の見解 は、実務の側面から考慮されなければならない。運送給付を履行する者は誰の指図に従うべきかを確知しておく必要 があることから、運送品が到達地に到着するまで運送品に関する荷受人の権利は、運送人の利益のために原則として 否定されなければならない(ドイツ商法四三四条の例外参照﹀。荷受人が運送品の到着前に運送品について処分権を 取得するためには、その旨の特約が必要である。荷送人の運送品処分権が運送ロ聞の一部の到着の有無に左右される場 合、未到着の運送品の運送中に荷送人が運送品処分権を有するか否かを決定することは不可能であり、極めて困難で ある。したがって、荷送人は、運送給付の進行中、原則として運送給付の指図者としての地位にとどまるべきであり、 荷受人の関与は、すでに運送給付の履行が完了した運送品に関してのみ認められるべきである、と述べる。 私見によると、荷送人の運送品処分権が消滅する要件は運送品の到着および運送状の引渡であるから、到達地に到 着した運送品に関する権利は荷受人に属し、到達地に到着していない運送中の運送品に関する運送口問処分権は荷送人 に属すると解すべきだとする

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等の見解が支持されるべきである。それというのも、荷送 人の運送品処分権の消滅には運送品の到着および運送状の引渡のニつの要件が具備される順序の前後は問わないと解 されているのであるか

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運送品の到着は、その一部が到着し、運送状が引渡された後、運送品の残部が到着しても 十分であるが、荷送人の運送品処分権の消滅要件としての運送品の到着は、その残部の到着でもって運送品が到着し たと解すべきだからである。もっとも、荷送人の運送品処分権の消滅要件としての運送品の到着は、運送日間の一部が 到着すれば、その全部が到着したと解する

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の 見 解 に お い て も 、 荷送人の運送品処分権の消 滅には運送口問の到着および運送状の引渡の二つの要件が具備されなければならないが、その順序の前後は間わないと 解されているのであるから、荷送人の運送品処分権の消滅要件としての運送品の到着は、その一部が到着し、運送状

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が引渡された後、運送品の残部が到着しても十分であるかのようにも解される。しかし、運送品の一部が到着して運送 状の引渡を受けた荷受人が未到着の運送口聞についても運送契約上の権利を有することになる∞各ぽ想

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﹀ ロ B -N N N ロ宝 ω ω 図 。 ∞ -KF ロ 日 ・ 日 Nロ官 ω印 問 。 ∞ 一 ﹀ 5 ・ ﹀ ロ B ・ 日 N 主 ω日 間 の ∞ -( 5 ) 同 c 口市﹃は、運送品の全部が滅失した場合には、荷受人は結果的に何の権利も取得しないが、運送品の一部が滅失したと き、その滅失した運送品に対する損害賠償を請求する場合には、運送ロ聞の残りの部分が到達地に到着することによって、荷 受人は損害賠償請求権を取得すると解している(問。

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﹀ 口 同 H H・ ∞ N 主 ω日 問 。 ∞ 一 回 己 E -﹀ ロ 旨 ・ 印 Nロ 官 印 日 出 。 ∞ -日本商法によると、荷受人が﹁運送品ヲ受取リタルトキ﹂には、荷受人は、運送人に対して運送賃その他の費用を支払う 義務を負う(商法五人三条二項)。この場合、﹁運送品ヲ受取﹂るとは、運送品として確定的に受取ることをいい、検査のた めの仮の受取や、運送人のために保管するにすぎない場合、運送ロ問の一部のみを受取った場合などは、まだ﹁運送品ヲ受取 リタルトキ﹂に該当しない(佐藤・前掲二五三頁)。運送品が確定的に受取られた限り、荷受人が現実に運送品の直接占有 をなす必要はなく、占有改定(民法一八三条)により、運送人に引き続きその運送口問を保管させる間接占有でも、﹁運送品ヲ 受取﹂ったことになる(小町谷・前掲三九七頁、石井/鴻・前掲一五人頁)。 ( 6 ) ω n E再 開 叩 5 m -m m ¥ の 巾 巴 巾 ♂ ﹀ ロ ヨ -E N M M 2 ω ω 図 。 ∞ -日 開 運送状の引渡 運送状

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芹 N 巾 印 ﹀ 動車近距離物品運送の場合には、運送状は殆ど利用されていないから、運送状の引渡を荷送人の運送口問処分権の消誠

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第7巻3・4号一一120 要件に加える実質的意義は少ない、と解されている。 ( 1 ) ω n F Z 同 巳 σ 己 同 町 同 ・ ¥ の 巾 田 -m F ﹀ ロ B -E N C 2 ω ω 出 の ∞ 一 回 巾 ヨ ロ 白 ロ ロ ¥ 関 0 2 P K F D B ・ ωN 己主 ω ω 問 。 ∞ 一 回 。 -5 ・ k r ロ 5 ・ N ω N 5 や お ω 問 。 ∞ -( 2 ) 白 色 B -﹀ ロ 自 -N H N

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ω ω 出 の ∞ -倒 した場合には、運送人は、その訴えが提起されたときから、荷受人の指図に従わなければならない(商法四三三条二 項第二文)。この﹁訴え﹂が提起されれば、荷送人は運送口問処分権を行使することができなくなるから(商法四三三 条二項第一文)、荷受人の権利が荷送人の指図権行使により消滅することはない(商法四三五条第三文)。したがって、 荷受人は、荷送人が指図権を行使していない限り、運送人に対する﹁訴え﹂の提起により荷送人の運送品処分権を失 運送人に対する﹁訴え﹂の提起 荷受人がドイツ商法四コ一五条に定める権利を訴え(百話。)の方法で行使 効させることによって自己の権利を確保することができる。また、この訴えを荷送人も荷受人に代わって提起する、 ことができるが、そのためには荷受人からの授権を要すると解されている。 なお、商法四三一二条二項第一文は、荷送人の運送品処分権を消滅させる為に、荷受人のいかなる権利が﹁訴え﹂の 方法で行使されなければならないかを明確に規定しているわけではないが、運送品引渡請求の﹁訴え﹂の提起が荷送 人の運送品処分権を消滅させる効力を有することは自明の理である(ドイツ商法四三三条二項第一文)。けれども、 の行使のための訴えにより荷送人の運送品処分権が消滅すると解すること、 同

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は、従属的権利

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ロ ) および単なる運送状の提示を求める訴えの場合にも荷送人の運送品処分権が消波すると解することには疑義がある、 と 解 し て い る 。 ( 1 ) ( 2 ) 国 昂 ︼ 同 H f ﹀ ロ 5 ・ ω H N 己主 ω ω 図 。 ∞ ・ 出 色 B -﹀ ロ B -N 日 N ロ 申 品 川 w ω 出 の 切 ・

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日 本 商

日本商法の下における本稿の課題、すなわち荷受人が運送口聞の引渡を請求した後、荷受人の権利が荷送人の運送 口問処分権に優先すると解することの当否について検討を試みる。 この問題について、商法五八二条二項は、荷送人の運送品処分権は﹁運送品カ到達地ニ達シタル後荷送人カ其引渡 ヲ請求シタルトキハ消滅ス﹂と定め、従来の通説は、運送品が到達地に到着した後、荷送人の指図がないうちに荷受 人が運送品の引渡を請求した場合には、荷受人の権利が荷送人の運送口問処分権に優先するものの、荷送人の運送品処 分権が真に消滅するのではないと解している。これに対し、運送品が到達地に到着した後、荷受人が運送品の引渡を 請求しても、荷送人が指図権を行使すれば、荷送人の指図を優先すべきであると解する見解も散見される。また、各 種の標準運送取引約款には、ドイツ商法におけると同様、運送品が荷受人に引渡されるまでは、荷送人の運送品処分 権が荷受人の権利に優先する旨を定めるものもある。 二付従来の通説によると、荷送人の運送日間処分権が消誠ずる要件は、運送品が到達地に到着することおよび荷受 人が運送品の引渡を請求することである。したがって、荷送人は、運送品が到達地に到着しても荷受人の運送品引渡 請求がない限り、または荷受人の運送品引渡請求があるも運送品が到達地に到着していない限り、運送品処分権を行 使することができるが、しかし、運送品が到達地に到着し、荷受人が運送品の引渡を請求すれば、荷送人の運送口問処 分権は消滅する。この場合、荷送人の運送品処分権の消滅は真の消滅ではなく、荷受人の権利が荷送人の運送品処分 権に優先するにすぎず、荷受人が自己の権利を放棄したとき、荷送人の運送口問処分権が回復し、または運送品の引渡 につき争いがあるとき、運送人は荷送人の指図を求めるべきである(商法五八六条一項・五八五条二項)、と解されて

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第7巻 3・4号一一122 いる。商法五八二条二項に定める荷送人の運送品処分権の﹁消滅﹂について、小町谷説は、﹁荷送人の運送品処分権は、 運送品が到達地に到着した後、荷受人がその引渡を請求したときは消滅する(商法五八二条二項)。消滅とは、荷受人 の不利益に於いてなす荷送人の権利が、停止せられる意であるよと解し、その根拠として、﹁荷受人が自己の権利を 放棄した場合等にも、荷送人は運送品の上に、何等の権利をも行使しえない不都合を、生ずるからである。﹂と述べる。 この従来の通説に対し、安田説は、荷送人の運送品処分権と荷受人の権利とが競合する場合には、荷送人の運送品 処分権が優先すると解する見地から、﹁荷受人の貨物引渡請求権と荷送人の指図権とが競合したときは、運送人とし ていずれに応ずるか疑義があるが、この場合は、当該貨物の運送が荷送人のために行われるということにより、荷送 人の指図権をもって優先するとすべきであるよと解している。 。さて、従来の通説は、運送口聞が到達地に到着し、荷受人が運送品の引渡を請求しても、荷送人の運送品処分権 は真に消滅するのではないと解しているが、この解釈の根拠は、﹁荷送人ノ権利ハ運送品カ到達地ニ達シタル後荷受 人カ其引渡ヲ請求シタルトキハ消滅ス﹂と定める商法五八二条二項の規定と、運送人は﹁運送品ノ引渡一一関シテ争ア ル場合﹂に荷送人の指図を求めるべき旨を定める商法五八六条一一擦の規定との整合性の維持にあると解される。なぜ なら、運送契約の委託当事者でない荷受人は、運送契約上の荷送人の権利を取得して(商法五八三条一項)も当然に 運送品の受取義務を負うわけではなく、さらに運送品の引渡を請求しても(商法五八二条二項﹀、直ちに運送契約上 の運送品受取義務を負うと解することに疑問もないではないから、運送品が荷受人に引渡されるまでは、運送給付の 履行のために運送契約の委託当事者である荷送人の運送品処分権の存在を否定することができないからである。また、 従来の通説によると、荷受人が運送品の引渡を請求すれば、荷受人の権利は荷送人の運送口問処分権に優先すると解さ れていることから、運送人は、到達地において運送品の引渡を請求した荷受人に対して運送品を引渡すことにより、

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運送契約上の義務を履行したことになる。したがって、この見解によると、運送品が到達地に到着し、荷受人が運送 品の引渡を請求すれば、その後の荷送人の運送品処分権行使の有無に関係なく、運送人をして荷受人に対して速やか に 運 送 日 間 の 引 渡 を 完 了 さ せ 、 かつ各種の請求権(商法五八三条二項参照)を取得さぜることになり、そして運送品の 到達地において運送人と荷受人との聞で運送契約を終了させることになるから、従来の通説は運送人にとって有利・ 好都合な見解であると言える。 しかしながら、従来の通説は、運送品の到着後の荷受人の運送日間引渡請求により、荷送人の運送品処分権が真に ﹁消滅﹂するのではなく、荷受人の権利が荷送人の運送口問処分権に優先するにすぎないと解する根拠として、荷受人 が自己の権利を放棄した場合、または運送品の引渡につき争いがある場合に、荷送人が運送品の上に何等の権利をも 行使しえない不都合を回避することを挙げているが、このことは、荷受人の運送品引渡請求により(商法五人二条二 123一一荷送人の運送品処分権と荷受人の権利 項)荷送人の運送品処分権が消滅しないと解することの理由としては妥当しえても、荷受人の運送品引渡請求により 荷受人の権利が荷送人の運送品処分権に優先すると解するための根拠にはなりえないのではないだろうか。そこで、 従来の通説のように、運送口問の到着後の荷受人の運送品引渡請求により荷受人の権利が荷送人の運送品処分権に優先 すると解することの当否について検討を試みることにするが、約定の運送品の全部が運送契約で荷受人として指定さ れた者に無事に引渡される場合には、荷送人は、運送品の引渡につき異議がなければ、運送口問処分権を行使すること がないのであるから、運送品の引渡に関して荷送人の運送品処分権に対する荷受人の権利の優劣の有無を論ずる実質 的意義はない。それゆえ、荷受人の運送品引渡請求後、運送品の引渡に関して荷受人の権利が荷送人の運送品処分権 に優先すると解することの当否について、まず荷受人の運送日間引渡請求の前または後に荷送人が運送ロ問処分権を行使 した場合の荷送人の指図と荷受人の権利との関係、次に運送品の引渡につき争いがある場合に、運送人は荷送人の指

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第7巻3・4号一一124 図を求めることになるが(商法五八六条一項、五八五条二項)、その際﹁運送品の引渡につき争いがある場合﹂とはい かなる場合をいうのか、これらの点から検討を試みてみたい。 ① 荷受人の運送品引渡請求の前または後に荷送人が運送品処分権を行使した場合の荷送人の指図と荷受人の権利 との関係について 荷送人の運送品処分権の行使として、運送契約で荷受人として指定された者が運送品の引渡を請求する前に荷送人 がこの者への運送品の引渡の中止または荷受人として他の者を指図したならば、荷送人の運送口問処分権が荷受人の権 利に優先するから(第二段階参照)、 運送契約で荷受人として指定されていた者は無権利者となり、 受人として指図された者が正当な運送品受領権限者となる。これに対し、運送契約で荷受人として指定された者が運 送品の引渡を請求した後に(第三段階参照﹀、荷送人が運送契約で荷受人として指定された者への運送品の引渡の中 止または荷受人として他の者を指図し、その者が運送品の引渡を請求した場合には、従来の通説によると、運送契約 で荷受人として指定された者の権利が荷送人の運送品処分権に優先するから、運送契約で荷受人として指定された者 荷送人により荷 が正当な運送品受領権限者となる。 これに対し、荷送人が運送口問処分権を行使して荷受人として他の者を指図したのは、運送契約で荷受人として指定 されていた者が運送口聞の引渡を請求する前であったが、運送契約で荷受人として指定されていた者が運送品の引渡を 請求した後に荷送人により荷受人として指図された他の者が運送口聞の引渡を請求した場合に、荷送人の指図が到達地 の運送人側の関係者(実際には、船長、到達地にある運送人の代理人等)に伝達されていなかったため、すでに運送品 が運送契約で荷受人として指定されていた者へ引渡されていたとしよう。この場合、従来の通説によると、荷送人の 運送品処分権が荷受人の権利に優先するため、運送契約で荷受人として指定されていた者が運送品の引渡を請求した

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とき、すでにこの者は運送品の引渡につき無権利者であり、荷送人の指図により荷受人となった者が正当な運送品受 領権限者であるから、運送人は、運送品受領権限のない者に運送品を引渡したことになる。このようなことは、荷送 人から荷受人変更の通知を受けた運送人側の関係者と到達地の運送人側の関係者との意思伝達が不可抗力や関係者の 故意または過失により不十分な場合に起こる可能性があるが、荷受人変更の通知は、運送人の本庖に到達しただけで は足りず、現に運送品を取り扱っている営業所に到達した時にその効力を生ずると解すれば、回避することができる。 運送品の引渡につき争いがある場合について ② 運送人は、運送品の引渡につき争いがある場合には、荷送人に対して運送品の処分につき指図を求めることができ る(商法五八六条一項、五八五条二項)。しかし、従来の通説は、その見解の中で挙げている﹁運送品の引渡につき争 いがある場合﹂について、その内容を明確にしてはいないものの、商法五八六条一項に定める﹁運送品ノ引渡ニ関シ 125 テ争アル場合﹂とは、運送品の数量不足、品質の相違等による荷受人の受領拒否の場合や、荷受人の資格に関する疑 いのある場合をいうと解されている。 そこで、例荷送人の運送品処分権と荷受人の権利とが競合するときに、これを荷受人の資格に関する疑いのある場 合の中に含めるのか否か。また、似複数の者が運送品の引渡請求をしたときに、これを荷受人の資格に関する疑いの ある場合と解しうるのか否か。これらの問題について検討してみることにする。 まず、例荷送人の運送日間処分権と荷受人の権利とが競合する場合に、すなわち荷送人が運送品処分権の行使として ﹁運送ノ中止﹂、﹁運送品ノ返還﹂、﹁荷受人の変更﹂等の指図をしたとき(商法五八二条一項)、運送品の引渡請求をし た荷受人について運送品受領権限者としての資格に疑いがあると解すべきか否か。これを積極に解すれば、運送人は、 荷送人の指図を求めることになり、結局荷送人の指図(運送ノ中止、運送品ノ返還、荷受人の変更等の指図)に従わ

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第7巻 3・4号一一126 なければならず、荷送人の運送品処分権が荷受人の権利に優先することになるのに対し、これを消極に解すれば、運 送人は荷送人の指図を求める必要がなく、/荷送人の運送品処分権に対する荷受人の権利の優劣は、従来の通説による と、荷送人の運送品処分権行使が荷受人の運送品引渡請求の前であるか、後であるかによって決まる。 次 に 、

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複数の者が運送品の引渡を請求した場合には、運送人は、運送品の正当な受領権限者すなわち荷受人を特 定して、これに運送品を引渡すか、または﹁荷受人の資格に関する疑いのある場合﹂と解して荷送人の指図を求める ことになるであろう。したがって、この場合、運送人から運送品の正当な受領権限者すなわち荷受人と認められなか った者、または運送人から指図を求められた荷送人が運送品の引渡を請求した者の中の一人への運送品の引渡を指図 したため、運送品を受取ることのできなかった者にとっては、必ずしも荷受人の権利が荷送人の運送口問処分権に優先 すると解することはできないのではないか。また、運送人から指図を求められた荷送人が運送人に対して運送品の返 還、運送口問の引渡を請求した総ての者への運送品の引渡の中止(商法五八二条一項参照)などを指図し、運送人がそ の指図に従って運送品の引渡を請求した総ての者に運送品を引渡さなかった場合には、荷送人の運送品処分権が荷受 人の権利に優先することになり、従来の通説とは異なる結果になる。 同右で検討した諸点を踏まえると、①の場合、荷送人の運送品処分権が荷受人の権利に優先するか否かは、従来 の通説によれば、荷送人の運送口問処分権行使の時期が荷受人の運送品引渡請求の時期の前か、後かによって左右され ることになる。しかし、運送人は荷送人の運送口問処分権行使の時期と荷受人の運送品引渡請求の時期との前後関係に ついて確知することができても、荷送人は、運送品の到達地にいないのが通常であるから、荷受人の運送品引渡請求 の有無を知ることが困難である一方、荷受人変更の通知は、運送人の本庖に到達しただけでは足りず、現に運送品を 取り扱っている営業所に到達した時にその効力を生ずると解さない限げド荷受人は、運送人の本庖と到達地の営業所

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との意思伝達が不可抗力や関係者の故意または過失により不十分なとき、荷送人の運送品処分権の行使を知ることは 容易でない。そして、荷送人の運送品処分権行使と荷受人の運送品引渡請求とが同時のとき、またはその先後の不分 明なときには、運送人は、荷送人の運送品処分権と荷受人の権利との優先順位を決定することが困難であるから、結 局荷受人の資格に関する疑いのある場合と解して荷送人の指図を受けることになるのではないか。さらには、②の場 合のように、荷送人の運送品処分権と荷受人の権利とが競合する場合や複数の者が運送口聞の引渡請求をした場合に、 これを荷受人の資格に関する疑いのある場合と解するか否かは運送人の意思決定に委ねられることになるが、これで は、運送人、荷送人および荷受人聞の法律関係が運送人の意思決定に左右される不安定なものとなり、法的安定性お よび明確性に欠けることになるおそれもある。 127一一荷送人の運送品処分権と荷受人の権利 右に述べた諸事情を考慮すると、従来の通説のように、荷送人の運送日間処分権が荷受人の権利に優先するか否かの 決定は、運送品の到達地への到着後、荷受人の運送品引渡請求の有無に左右されると解することには疑義がある。こ れに対し、運送人が運送品を荷受人に引渡すまでは、荷送人の運送品処分権が荷受人の権利に優先すると解すれば、 運送品の引渡について荷送人、荷受人および運送人の聞に生じうる粉争を回避したり、または比較的簡単に処理する こ と が で き 、 かつ運送契約上の法律関係を簡略化することになると解される。しかし、このように解することは、商 法五八二条二項が﹁荷送人ノ権利ハ運送品カ到達地ニ達シタル後荷受人カ其引渡ヲ請求シタルトキハ消滅ス﹂と定め ている関係上、その文言を文字どおりに解釈すれば、不可能であるようにも考えられる。けれども、そうした考え方 は、商法五八二条二項の文言にとらわれた不当な解釈であると解されなくもない。また、荷送人の運送品処分権の消 減要件として、荷受人の運送品引渡請求だけではなく、運送品の引渡、運送状の引渡等をも定めるとともに、運送品 が荷受人に引渡されるまでは、荷送人の運送品処分権が荷受人の権利に優先すると定める各種の標準運送取引約款等

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第7巻 3・4号『一一128 と、荷受人の運送品引渡請求後には荷受人の権利が荷送人の運送処分権に優先すると解する従来の通説との聞に一平離 があることにも疑問がないわけではない。 なお、安田説は、荷送人の運送品処分権が荷受人の権利に優先する根拠として﹁当該貨物の運送が荷送人のために 行われる﹂ことを挙げているが、物品運送は必ずしも荷送人のためだけに行われるわけではない。そして、この説で ﹁荷送人ノ権利ハ運送品カ到達地-一達シタル後荷受人カ其引渡ヲ請求シタルトキハ消滅ス﹂と定める商法五八二 条二項の規定と、﹁荷受人の貨物引渡請求権と荷送人の指図権とが競合したとき、荷送人の指図権が荷受人の権利に 優先する﹂と解することとの整合性の問題について論及されていないことに疑義はあるものの、同説が﹁荷受人の貨 物引渡請求権と荷送人の指図権とが競合したとき、荷送人の指図権が荷受人の権利に優先する﹂と解していることに は ついては一定の評価を与えてしかるべきである。 ( 1 ) 竹田・前掲三六

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頁 。 (2﹀竹田・前掲三六

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頁、大隅・前掲一四五頁、石井/鴻・前掲一四人頁、平出・前掲五

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入頁、青木徹二﹁商行為論﹂二七 三 真 、 岡 野 敬 次 郎 ﹁ 高 行 為 及 び 保 険 法 ﹂ 二 五 七 頁 、 喜 安 健 次 郎 ﹁ 運 送 営 業 ﹂ 二 八 八 頁 参 照 。 名 古 屋 地 判 昭 和 一 ニ 七 年 一 一 月 一 一 一 日 判 例 時 報 三 四 二 号 六 五 頁 。 ( 3 ) 小町谷・前掲三五七頁。また、小町谷説は、﹁荷送人が荷受人の利益のために権利を行使することは、図より妨げないと ころであって、例えば、運送ロ聞を荷受人に引渡すべきことを催促するが如き、又は荷受人のために損害賠償の請求をなすが 如きこれである。要するに荷送人の運送口問処分権と荷受人の権利とは、相互に弾力性を有し相反発するものである。﹂とも 述 べ る ( 小 町 谷 ・ 前 掲 三 五 七 頁 ) 。 西 原 寛 一 ﹁ 商 行 為 法 ﹂ 一 一 二 三 頁 は 、 ﹁ 荷 受 人 の 引 渡 請 求 は 、 荷 送 人 の 運 送 品 処 分 権 の 停 止 と い う 点 に 意 味 が あ る o ﹂ と 述 べ る。また、中村武﹁商行為法概説﹂三五六頁は、商法五八二条二項にいう﹁消滅﹂とは、﹁運送契約上の総ての権利に付 いてではなくて処分権だけであ﹂ると解しているが、この説によると、﹁運送契約上の総ての権利﹂の中に運送品処分権以

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外の運送契約上の権利の存在を認めることになり、運送口問処分権とそれ以外の運送契約上の権利とを区別しなければならな いことになるが、その具体的・個別的指摘はない。 なお、運送人の責めに帰すべき事由によって一部滅失、鼓損または延着した運送品が運送給付の履行として荷受人に引渡 された場合と商法五八二条二項との関係について、村田・﹁運送法の研究﹂一七六頁は、運送人の責めに帰すべき事由によ って一部滅失・致損・または延着した運送品が到達地で荷受人に引渡されるに際して、もし荷受人が当該運送ロ聞の引渡を請 求しないならば、商法五八二条二項の適用はないから、この場合には荷送人の運送口問処分権がいつまでも存続し、いつ消滅 するか、の問題が当然起こりうる。これに対し、もし荷受人が当該運送品の引渡を請求した場合には、商法五八二条二項の 適用がある結果、荷送人の運送品処分権はそうした請求の時以降消滅せざるをえないが、通説によると、その消滅は真の消 滅ではなく、ただ単に荷受人との関係で荷送人の運送日間処分権が効力を停止されるだけであると解されている。こうした通 説に従えば、荷受人が当該運送品の引渡を請求した場合にも、なお荷送人の運送口問処分権は存続することなるため、やはり、 その運送品処分権がいつまで存続し、いつ消滅するか、の問題がおこり得るわけである、と述べる。 ( 4 ) 安田健蔵﹁貨物運送法概説﹂九八頁。 ( 5 ﹀本稿の﹁はじめに﹂の項参照。 ( 6 ) 本稿の﹁はじめに﹂の項参照。 ( 7 ﹀名古屋地判昭和三七年一一月三日判例時報三四二号六五一具。 ( 8 ﹀大原栄一﹁基本法コンメンタール(商法総則・商行為法)﹂一七九頁、大塚・前掲五四二頁。もっとも、﹁運送日間ノ引渡ニ 関シテ争アル場合﹂でも、荷受人が運送口聞の受領を拒否すれば、荷送人の運送口問処分権に対する荷受人の権利の優劣の問題 は 生 じ な い 。 ( 9 ) 名古屋地判昭和三七年一一月コ一日判例時報三四二号六五頁。 (印)名古屋地判昭和三七年一一月三日判決に関する判例時報の評釈者の見解参照ハ判例時報三四二号六五頁)。 (日)商法五八二条二項と同趣旨の約款として、標準貨物自動車運送約款第二七条二項は、﹁前項に規定する荷送人の権利(貨 物の運送の中止、返送、転送その他の処分)は、貨物が到達地に達した後荷受人がその引渡しを請求したときは、消滅しま す。﹂と定めている。これに対し、国際利用航空運送約款第六章 ( E ﹀ 項 は 、 ﹁ 荷 送 人 の 処 分 権 は 、 あ て 先 地 に 物 口 聞 が 到 達 後 、

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第7巻3・4号一一130 荷受人が物品もしくは、航空貨物運送状を入手しもしくはそれらの引渡を請求しあるいは貨物引取の意志表示をした時に消 滅する。﹂と定めて、荷送人の運送日間処分権の消滅時期を必ずしも荷受人の運送品引渡請求に限定していないのであり、国内 利用航空運送約款第二八条は、その二項において、﹁前項第一号(運送の取消)、第三号(荷受人の変更)及び第四号(到達 地の変更)の指図は、その貨物の発送地に限り有効とします。又前項第二号(発送地への返送)の指図は、その貨物が運送 状に指定する荷受人に引渡される前に限り有効とします。﹂と定め、荷送人の運送品処分権の一部(発送地への返送)につ いては、運送品が荷受人に引渡されるまで消滅しない旨を定めている。そして、標準宅配便約款第一五条一項は、﹁荷送人 は、当庖に対し、荷物の運送の中止、返送、転送その他の処分につき指図をすることができます。﹂と定め、同条二項は、 ﹁荷送人の運送品処分権の消滅時期について、﹁前項に規定する荷送人の権利は、荷受人に荷物を引き渡した時に消滅しま す。﹂と定めて、荷送人の運送品処分権の消滅時期を運送品の引渡時としているのである。 なお、国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約は、その第二一条一一項で荷送人の運送品処分権について定め、 同条第四項で荷送人の運送品処分権の消滅時期にいて﹁荷送人の権利は、荷受人の権利が第一三条に従い生ずる時に消滅す る。﹂と定め、同条約第二一一条一項は、﹁荷受人は、前条に掲げる場合を除く外、貨物が到達地に到着したときは、運送人に 対し債務の額を支払い、且つ航空運送状に記載された運送の条件を満たした上、航空運送状の交付及び貨物の引渡しを請求 す る 権 利 を 有 す る 。 ﹂ と 定 め て い る 。

吉 岡 本稿において、私は、荷送人の運送品処分権と荷受人の権利との関係について、運送品が到達地に到着した場合、 荷受人が運送品の引渡を請求すれば、荷送人の運送品処分権は真に消滅するのではなく、荷受人の権利が荷送人の運 送品処分権に優先するにすぎないと解する従来の通説には疑義があることを示した。その際、ドイツでは、荷受人へ の運送品もしくは運送状の引渡があれば、または荷受人が運送人に対して﹁訴え﹂を提起すれば、荷送人の運送品処

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分権は消滅すると解されていること、および荷送人の運送品処分権は、その消滅まで荷受人の権利に優先すると解さ れていることを紹介して、ドイツ商法四三三条二項と日本商法五八二条二項および日本の従来の通説との差異につい て 明 ら か に し た 。 従来の通説によると、荷送人の運送品処分権が荷受人の権利に優先するか否かは、荷送人の運送品処分権行使が荷 受人の運送品引渡請求の前か、後かによって決まることになる。しかし、運送人は荷送人の運送品処分権行使の時期 および荷受人の運送品引渡請求の時期の前後関係について確知することができても、荷送人は荷受人の運送品引渡詰 求の有無を知ることが困難である一方、荷受人は荷送人の運送品処分権の行使を知ることは容易ではない。そして、 運送品の引渡について争いがある場合には、運送人は荷送人の指図を求めることになる。そのような場合、荷送人の 運送品処分権と荷受人の権利との聞の優先関係や荷送人に指図を求めるか否かの決定は運送人の意思決定に委ねられ ることになるが、これでは、運送人、荷送人および荷受人間の法律関係が運送人の意思決定に左右される不安定なも のとなり、法的安定性および明確性に欠けることになるおそれがある。さらには、各種の標準運送取引約款において は、荷送人の運送品処分権の消滅要件として運送品の引渡、荷受人の運送品引渡請求、運送状の引渡等が定められて おり、実務界では、荷送人の運送品処分権の消滅要件を必ずしも荷受人の運送品引渡請求に限定していない。これは 実務界の実際的要請に基づくものと考えられるが、この実務界の実際的要請と日本商法五八二条二項や従来の通説と の間に一平雑があることについて疑義があることをも指適した。 こうした従来の通説に対し、運送人が運送品を荷受人に引渡すまでは、荷送人の運送口問処分権が荷受人の権利に優 先すると解すると、運送契約の利害関係者間の権利義務関係を簡略化することにはなると考えられる。

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