日本小児循環器学会雑誌 9巻5号 705〜706頁(1994年)
第1回長野小児循環器談話会
日 時 場 所 世話人
平成5年10月2日 長野県立こども病院 里見 元義
長野小児循環器談話会が発足致しました.今後も小 児循環器学会の仲間として続けていくつもりです.ど
うぞよろしくお願いします.
症例1:チアノーゼ性心疾患の新生児例 長野県立こども病院循環器科 安河内 聡 司会 長野県立こども病院循環器科 里見 元義 新生児期に発見された総肺静脈還流異常と肺動脈狭 窄を伴う無脾症候群のMRIアンジオ診断と外科的治 療方法について報告された.本症例では共通肺静脈は 右上大静脈に還流しており,右上大静脈と単心房間に 狭窄があり,これに対してバルーン拡大術の可能性に ついての質問あったが静脈壁の可塑性および壁破裂の 可能性もありやはり外科的治療の方がよいという意見 が多いようであった.この症例は結局総肺静脈還流異 常の手術を行ったが,術後,肺動脈血流が増加し肺動 脈絞拒術を追加したが,実に微妙な調節を要し,結局 失った.次回同様な症例があれぽ,総肺静脈還流異常 を修復した後に肺動脈を離断しBTシャントを置いて はと言う案も出された.
・症例2:冠動脈病変を伴った川崎病の3例 飯田市立病院小児科 長沼 邦明 司会 信州大学小児科 滝 芳樹 巨大冠動脈瘤を伴った川崎病の3例について報告さ れた.1例目は経過中心電図上,II, IIL aVFでQRS 波形の変化(RSからrS)で著明でV5, V6でR波の減高 も見られ,右冠動脈瘤後の下側梗塞が考えられた.冠 動脈造影では右冠動脈Seg l〜2の動脈瘤と血栓後の再 疎通(狭窄75%)と思われる所見が呈示された.心電 図上,small rが見られたことに対しては,梗塞後の時 間経過で説明可能であるとの意見が出された.また,
巨大冠動脈瘤を持つ川崎病の患児の抗血栓療法につい て活発な議論がされ,ワーファリンがよいかアスピリ ンのみで十分であるか討論された.心筋のperfusionが 良けれぽ,冠動脈瘤の大きさに関係なくアスピリンの みでよいのではという意見が出された反面,アスピリ ソのみで管理されていた巨大冠動脈瘤の症例で突然死 を3例経験したという意見もあり,現時点では結論の
でない問題とも思われた.また,長期的な外来フォロー の方針としては,心筋シンチ,心エコー,トレッドミ ルをセットで1回/年で行いながら観察し,異常が見つ かれぽ冠動脈造影を行うのがよいと言う案も出され
た.
症例3:14歳のチアノーゼ性心疾患
国立療養所東松本病院小児科 天野 芳郎 司会 市立岡谷病院小児科 吉江 春人 チアノーゼを持った年長児の管理方針につき国立療 養所東松本病院より14歳女子の症例呈示があった.症 例は無脾症候群に単心房,単心室,肺動脈閉鎖,
MAPCAを合併した珍しい症例で現在頻脈発作と喀血 を生じている,その原因として,(1)房室弁逆流,(2)
肺高血圧,(3)側副血行からの出血,(4)非抗酸菌性 感染などの感染症などが考えられ,現在の病態を正し く把握することの必要性が指摘された.また多血症の 際の凝固能についても議論された.
症例4:肺高血圧を伴ったダウン症候群の症例 山梨医科大学小児科 駒井 孝行 司会 飯田市立病院小児科 長沼 邦明 肺高血圧を伴ったダウン症候群の3症例について詳 細な報告がされた.1例は等圧の心室中隔欠損児,他 の2例は60〜80%の右室圧上昇を有する心室中隔欠損 を主病変とする症例で,3歳を超えていたにも拘わら ずいずれも手術により順調な経過をたどり右室圧も低 下した.肺高血圧を伴ったダウン症における同疾患の 手術適応につき意見が出された.
症例5:異常心電図を呈した兄妹例
市立甲府病院小児科 青山 香喜 司会 厚生連篠ノ井総合病院小児科 青沼架佐賜 胸部誘導のT波の平低化,q波を認めた心筋肥大の兄 妹例について症例呈示された.この例では詳細な家族 歴も同時に示され,今後の遺伝学的検索に興味が持た れた.また小児における異常Q波の解釈や,検診におけ る心エコーの適応についても興味ある議論がなされ た.治療として,β・blockerの予防的投与についても意 味があるかもしれないとの意見が出された.また生活
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管理指導についても討論された.
症例6:拡張期心雑音を呈した15歳の心室中隔欠損 例
信州大学小児科 岩崎 康 司会 山梨医科大学小児科 矢内 淳 拡張期心雑音を呈した14歳の心室中隔欠損の症例が 信州大学より呈示され,心室中隔欠損に伴う大動脈弁 逸脱についての意見が出された.ARとVSDの拡張期
日小循誌 9(5),1994 短絡の鑑別が問題にされた.また心室中隔方向へ向か
うARがある場合は無冠尖逸脱を伴っていることを考 慮したほうが良いとの指摘もあった.大動脈弁逸脱を 伴ったVSDの手術適応についてはまだ定まったもの はないとの意見が出た.しかし本症例は,左室拡張末 期容積が240%of Normalなので既に何らかの処置を する時期に来ているとの意見が出された.
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