日本小児循環器学会雑誌 13巻3号 499頁(1997年)
<研究会抄録・
第11回長野小児循環器談話会
日 時 会 場 世話人
1997年2月8日
長野県立こども病院会議室 遠山 麻里(国立東信病院小児科)
1.骨髄移植の心合併症について 長野県立こども病院血液免疫科
小[ 弘子,石井栄三郎 同 循環器科 安河内 聰,里見 元義 同 循環器外科 原田 順和 当院における骨髄移植37例中3例で重篤な心合併症
を認めたので文献的考察を加え報告する.症例1は再 生不良性貧血の18歳女児でHLA− 致同胞から移植後 24日に電解質異常によるtorsades de pointesを生じ
た.症例2は神経芽細胞腫の4歳男児で末梢血幹細胞 移植8日にHUSを発症し,13口に心タンポナーデを 合併した心嚢ドレナージを必要とした.症例3は急性 白血病の16歳女児で末梢血幹細胞移植,0日に冷水刺 激によると思われる心筋虚血を呈した.
2.著明な徐脈がみられた神経性食欲不振症の1女 児例
信州大学小児科
片桐麻由美,牛久保誠一・,依田 達也 皆川 綾子,清水亜矢子,稲葉 雄二 田村 秋穂,松岡 高史,小宮山 淳 14歳の女児.検診で徐脈を指摘された.3カ月後,
著明な体重減少(34.8kg,]8%)がみられ,神経性食 欲不振症の診断で入院.行動療法により2カ月後体重 41.2kg, 4%と改善した.治療前後のホルター心電 図(H−ECG)では, HR32−105,平均50からHR36−134,
平均59と増加,FFT解析ではHF成分が終日高値で変 動が少なかったのが夜間高値,昼間低値の変動が出現
した.LF/HFは差がなかった.H−ECGのFFT解析は 本症の経過観察に有用と考えられた.
3.無脾症候群における肺炎球菌感染症 長野県立こども病院循環器科
汲田 喜宏,里見 元義 安河内 聡,岩崎 康 同 心臓血管外科
原田 順和,竹内 敬昌 森嶋 克昌,太田 敬三
別刷請求先:(〒386)ヒ田市緑が丘ユ 27−21 匡陀束信病院小児科 遠山 麻里
無脾症候群では,複雑心奇形に加え,易感染症が予 後を規定する因子と考えられている.なかでも肺炎球 菌感染症は劇症型の経過をとることが多く,ショック 死することが知られている.当院では,現在まで無脾 症候群19例中で3例(10カ月,1歳,7歳10カ月)の 肺炎球菌感染症を経験し,その内2例(10カ月,7歳
/0カ月)を敗1血症のため失った.無脾症候群児におい ては,肺炎球菌ワクチン接種などの予防対策が必要と 考えられる.
4.pseudoVTを呈しカテーテルアブレーションが
奏効したWPW症候群の1例
山梨医科大学小児科
内藤 敦,矢内 淳,駒井 孝行
杉山 央,丹 哲士
同 第2内科 小森 貞嘉 近年,若年者の上室性頻拍に対してカテーテルアブ
レーション(CA)が適応とされるようになった.今回,
我々は心房細動(Af)と副伝導路によってPneudoVT
を呈したWPW症候群の1例に対してCAを施行し
た.電気生理学的検査にて副伝導路は左室前側壁に存 在することを確認し,逆行性にlarge tipカテを挿入
し,HAT200Sを用いてKent束を離断した.現在CA
後4カ月を経過しているが,頻拍発作の再発は認めら れていない.5.川崎病罹患10年後,房室解離i・心室固有調律の 冗進が認められた1症例
北信総合病院小児科
今井 寿郎,浦澤林太郎,芳賀奈緒子 久保 徹夫,杉山 裕
症例は13歳男児.1歳6カ月時川崎病(不全型)と 診断され8歳までフォローされたが,心エコー法,負 荷心電図で異常なく経過観察中止されていた.中学の 心電図検診で不整脈を指摘され精査したところ,
mollomorphic slovv VT波形(VR二58−9. 9)の頻発が 観察された.Tl心筋シンチで異常なく心収縮も良好で あったが,右冠動脈造影で4AVからLCXへの側副血 行路が造影され,川崎病急性期になんらかの冠動脈傷 害,心筋障害が存在した可能性が示唆された.
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