日本小児循環器学会雑誌 4巻3号 424〜425頁(1989年)
〈研究会抄録〉
第11回 北海道小児循環器研究会 時場長 日会会 昭和63年11月19日(土)
三和化学研究所札幌メディカルホール 山内 豊茂
一般演題
1.Golaski人工血管を使用した小児心手術 札幌医科大学第2外科
菊池 洋一,馬場 雅人,浅井 康文 安喰 弘,小松 作蔵
同 小児科 沢田 陽子,富田 英 過去3年間に,Golaski microknit人工血管を用い た小児心手術19例を経験した.
2年6ヵ月の累積開存率は94.4%と良好であった.
特に4mmサイズの人工血管は100%の開存率であっ
た.
ファロー四徴症根治手術時に得られた人工血管の病 理組織像では,比較的薄い内膜が新生し,器質化も良 好であった.しかし,一部内膜の強い肥厚がみられ,
小口経人工血管における問題点が残った.
2.最近経験したmodified BT短絡術後の同側肺 動脈狭窄の2例
北海道大学第2外科
大原 正範,大場 淳一,吉田 秀明 大滝 憲二,佐々木重幸,松居 喜郎 合田 俊宏,安田 慶秀,酒井 圭輔 田辺 達三
症例1,4歳女児.生後3ヵ月に左B・Tシャント施 行,術前シャソト造影でB−Tシャソトは開存していた が吻合部限局性狭窄と末梢肺動脈の低形成が認められ
た.
症例2,6歳女児.3歳時に左B−Tシャント施行.
術前シャント造影でB−Tシャントは開存していたが,
左肺動脈は低形成のままであった.これら2例に対し て,人工心肺下に姑息的右室流出路形成術を施行した.
流出路拡大は,ファロー四徴症根治術時の内藤らの 拡大基準のそれぞれ58%及び50%であった.術後,一 過性に肺うっ血・心不全が認められたが,50%程度の 拡大で適正だったと思われた.
3.肺動脈閉鎖症に対するCentral paliation施行
の2例
国立札幌病院心臓血管外科 梶谷 道夫,岩代 松浦 弘司,俣野 同 小児科
北海道大学第2外科 酒井 同 小児科 小西 清水 隆
望,今永 和幸 順,明神 一宏 遠藤 真理 圭輔,田辺 達三 貴幸,信田 知 太田八千雄,長谷 直樹 今回我々は純型肺動脈閉鎖症(PPA)及び,極型ファ ロー四徴症の計2例に体外循環下にCentral palia−
tionを施行した.症例1は生後20日の男児で生下時よ りチアノーゼを認め心エコーにてPPAと診断され,
PGE1投与下に当科転科,緊急手術施行.体外循環下に 肺動脈主幹部切開し膜様閉鎖部を切開.PGE1離脱し 術後経過は良好.症例2は極型ファロー四徴症の4歳 女児で生後3ヵ月時左B−Tshunt施行.左肺動脈末梢 に狭窄があり多血症が進行.左室発育不全の為根治は
せず,RVOT径を7mmにパッチ形成し,左PA末梢狭
窄部解除施行.術後左心不全,敗血症.高度の溶血を 合併したが,肺血流量,血液ガスの改善をみた.4.乳児期総肺静脈還流異常症2例(la+IIa, Ia)
の治験
北海道立小児総合保健センター胸部外科 浜谷 秀宏,樫野 隆二 同 小児科 池田 和男,津田 哲哉 総肺静脈還流異常症(TAPVC)の混合型(Ia+IIa
と上心臓型(Ia)を経験し,手術施行し救命し得たので 報告した.症例1は,生後3ヵ月の女児.左上肺静脈 が垂直静脈(VV)を介して無名静脈(IV)に流入し,
他の肺静脈は共通肺静脈(CV)を形成し冠状静脈洞
(CS)に流入していた.手術は心房中隔欠損とCSの間 をcut backし心房中隔をGoretexパッチにて形成し た.左上肺静脈は放置した.症例2は生後5ヵ月の男 児.VVを介してIV流入するIa型で,手術は心筋保 護下に心房横切開法にてCVと左房を吻合し,心房中 隔は自己心膜で形成した.2例とも術後経過良好であ
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日小循誌 4(3),1989
る.
5.PA banding後restrictive VSDを呈しVSD
拡大術を行った三尖弁閉鎖症(II−C)の1例札幌医大第2外科
馬場 雅人,安喰 弘 菊池 洋一,浅井 康文 同 小児科
東館 義仁,沢田 陽子,富田 英 II−C typeの三尖弁閉鎖症で肺動脈絞拒術後, VSD がrestrictiveとなり心不全が増悪し,内科的にコソト
ロール不能となった症例に対し,人工心肺下にVSD 拡大術を行い良好な結果を得たので報告した.
6.弁輪部低形成に伴う僧帽弁狭窄を合併した肺動 脈閉鎖兼心室中隔欠損症の1例
旭川医科大学小児科学教室
岡 隆治,伊藤 真也,土田 晃 市立旭川病院胸部外科
村上 忠司,久保田 宏,青木 秀俊 先天性僧帽弁狭窄症は大部分が他の先天性心疾患を 合併する.弁輪部低形成に伴う僧帽弁狭窄症を合併し た肺動脈閉鎖兼心室中隔欠損症の一例を報告した.患 者は生下時から全身のチアノーゼと心不全症状を呈
し,二度の短絡手術後も心不全症状が持続している.
現在5歳で心不全は一応コントロールされているが多 血症を呈し,中心肺動脈の低形成を認め,僧帽弁閉鎖 症に準じた手術法を検討中である.
7.川崎病による右冠動脈閉塞の臨床所見 札幌医科大学小児科
轟 伊佐雄,富田 英 沢田 陽子,東館 義仁 川崎病合併症としての冠動脈の閉塞は非常に重大な
問題であるが,冠動脈閉塞を示す非侵襲的検査所見に ついての報告は少ない.今回我々は経過中に右冠動脈 に閉塞または重度の狭窄が出現し,しかも左冠動脈に 狭窄所見の認められない4症例を経験したので,心エ コーおよびその他の非侵襲的検査所見と併せて検討し
た.
結果:1)左冠動脈に有意狭窄がなく,右冠動脈のみ に重症狭窄性病変を認めた4例(6ヵ月より2歳)に ついて検討した.
2)異常Q波は半数に出現した.
3)心エコー上2例に冠動脈内のエコー輝度異常が
認められた.
4)シンチでは全例に変化が認められた.
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ビデオセッション
1.Darling Ia型総肺静脈還流異常症(TAPVC)
の心エコー所見
国立函館病院小児科
浜田 勇,葛西 龍樹,古田 博文 症例は48歳,男性(昭和12年9月15日生)12歳時学 校健診で心臓の異常を指摘されていたが放置してい た.上気道炎罹患時血疾が出現したため当院を受診し た.初診時心房中隔欠損症を疑われたが,心臓カテー テル検査等でTAPVC Ia型と診断した.術前,術後の 心エコー所見を報告した.
2.dysplastic tricupid valveを伴う重症肺動脈狭 窄と肺動脈閉鎖の2例
札幌医科大学小児科
富田 英,沢田 陽子,東舘 義仁 同 第2外科 安喰 弘 三尖弁の異形成をともなう重症肺動脈狭窄と,肺動 脈閉鎖の新生児例を経験したので報告する.2例とも 生直後からのチアノーゼを認め,精査のため当科を受 診した.症例1では心断層エコーにて,三尖弁の弁尖 肥厚と中隔尖の付着異常を認めた.右室容量と主肺動 脈は比較的保たれていた.三尖弁逆流は,カラードプ ラーにて3度と診断された.症例2は三尖弁の付着異 常は認めないが,弁尖の著明な肥厚を認め,三尖弁逆 流は3度であった.右室容量と主肺動脈は良好に保た れていた.カラードプラーにて,肺動脈内にわずかな forward flowを認めた.2例ともBrock手術後,著明 な三尖弁逆流にもかかわらず良好に経過している,
3.Criss・cross heartのエコー所見 北海道大学小児科
小西 貴幸,信太 知,清水 隆 太田八千雄,長谷 直樹
症例は,13歳の男児.小学校4年のときに心雑音を 指摘されたが放置し,中学校1年で再び心雑音を指摘 され,精査のため来院した.自覚症状はないが,身長,
体重ともに約一2SDと体格は小さい.チアノーゼはな く,胸骨左縁第3肋間にLevine 4度の収縮期雑音を 聴取した.胸部X−Pは,軽度の肺血流増加及び心拡大
(CTR 53%)を,心電図は,左軸偏位と右室肥大を示 した.心エコー検査では,{S,D, DT}, atrio−
ventricular discordance, ventriculo−arterial discor−
dance, VSD, PSを認めた.同一断面で2つの房室弁 が同時に記録されないというGriss−cross heartの特 徴的エコー所見が,診断する上で有力であった.
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