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●学生と図書館
わたしの好きな昔話( 17 )
(ちりめん本)
北詰 也紗
私が今回取り上げるちりめん本は『羅生門』
です。「羅生門」と聞いて、皆さんは高校の国 語の教科書に載っている、芥川龍之介の『羅生 門』を思い浮かべたのではないでしょうか。し かし、ここで取り上げる『羅生門』は全く異な る内容です。
〈源頼らいこう光の四天王の一人、渡わたなべのつな辺綱は大江山の 鬼が羅生門から京へ入り悪事を働いていると聞 き、羅生門へ行った。綱は鬼の首領・酒し ゅ て ん ど う じ
呑童子 に襲われ、格闘の末に刀で相手の腕を切り落と したものの、敵には逃げられた。綱は陰陽師の 安倍晴明に相談し、切り落とした鬼の腕を石いしびつ櫃 に入れ七日間守ることとしたが、七日目の夜に 綱の伯母を名乗る老婆が来て鬼の腕を見せて欲 しいと涙ながらに頼まれた。老婆は念願叶うと 腕を奪い、たちまち鬼の姿に戻って大江山へ逃 げ去り、頼光に次第を話した綱はいつか大江山 へ退治に行こうと誓った。〉(京都外国語大学付 属図書館ホームページより)
これは能楽の謡曲や絵巻物で知られる、渡辺 綱の鬼退治伝説を題材としたものです。平安京 はかつて都として栄えていましたが、治安悪化
とともに、羅生門周辺は次第に荒んでいき、誰 も寄り付かないような奇怪な土地となったそう です。そこから、芥川龍之介の小説や羅生門に 巣食う鬼のような、羅生門を題材とした怪談話 が人々の間で囁かれるようになりました。私は 一度、羅生門のあった場所を訪れたことがあり ます。現在は、かつてのような羅生門の面影は なく、公園の中に記念碑がぽつんと建てられて いるだけですが、当時の情景がありありと目に 浮かんでくるような気がしました。
この話は京都が舞台となっていますが、昔話 には『壊れた像』や『一寸法師』など京都にま つわる話が数多く残されています。普段何気な く、京都で生活を送っていますが、このちりめ ん本を通し、改めて素晴らしい土地に住んでい るのだと実感しました。せっかく京都の大学に 通っているのですから、物語に登場する土地を 訪れ、昔の息吹を感じてみてはいかがでしょう か。
きたづめ ありさ(日本語学科4年次生)