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Academic year: 2021

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論文内容要旨

Differentiating between patients with Alzheimer ’ s disease and patients with major depressive disorder using the voxel-based speci fic regional analysis system for Alzheimer’s disease

(VSRAD advance による変性性認知症と大うつ病の鑑別に関する研究)

Brain Disorder and Therapy

内科系 精神医学 徳増卓宏

日本社会では高齢化が進んでおり、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease:

AD)も増加傾向にある。また、自殺者に占める老人の割合も多く、老年期うつも 深刻な問題となっている。両者は共に認知機能低下、抑うつ症状を呈すること から病初期にはしばしば鑑別が困難であり、早期診断に有用なツールの開発 が望まれている。

早期アルツハイマー型認知症診断システム( Voxel-based specific regional analysis for Alzheimer’s disease:VSRAD)は頭部 MRI 矢状断画像から健常者 の脳画像と統計学的に比較することで、海馬、海馬傍回の局所脳容積を評価 するソフトウェアであり、早期 AD の診断に有用であるとされている。

今 回 我 々 は ア ル ツ ハ イ マ ー 病 に 関 連 す る う つ 状 態 と 大 う つ 病 ( major depressive disorder: MDD ) を 鑑 別 す る 目 的 で 、 認 知 症 に 対 す る VSRAD advance の診断精度を検討した。

昭和大学附属烏山病院と昭和大学病院附属東病院の入院、及び外来患者で、

MDD と診断された 60 才以上の患者を対象とした。対照群は MDD を合併しな い AD とした。

各患者につき、同意取得後に VSRAD advance による萎縮指標(Z-score)を評価 した。うつ症状は Patient Health Questionnaire 9(PHQ-9)、ハミルトンうつ病評 価尺度(HAM-D)、社会機能は Global Assessment of Functioning(GAF)、認知 症状は Mini-Mental State Examination(MMSE)を用いて重症度を評価した。2 か月後及び6か月後に再度精神症状評価を施行し、その得点の変化と Z-score との関連を検討した。診断は同意取得時に暫定診断、6 か月で最終診断をつ けた。

患者は AD 群 30 名(平均年齢 82.4 歳、男女比 7:23)、MDD 群 19 名(平均年 齢 74.8 歳、男女比 4:15)で、AD 群の平均 Z‐score:1.99、MMSE:21.17 点、

HAM-D:5.72 点で、MDD 群の平均 Z‐score:1.11、MMSE:26.89 点、HAM-D:

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9.58 点であった。

AD 群の Z-score は MDD 群と比べ有意に高く、また Z-score が 2 を超えたもの は 10 名で、その全員が AD と診断された。その診断は 6 か月後も変わらなかっ た。また、MMSE は AD 群で有意に低く、HAM-D は MDD 群が有意に高かっ た。

AD 群では MMSE と Z-score の間に有意な相関が認められたが、MDD 群では 有意な相関が認められなかった。

今回の結果から、VSRAD による Z-score が 2 を超え、かつ認知機能低下を示す 場合は AD を強く疑うべきと結論づけられた。また、Z-score が2以下であれば MDD の可能性も念頭に入れて治療に当たる必要がある。AD 群では MMSE と Z-score に相関が認められたが、これは AD では海馬の萎縮が認知機能低下に つながっていたためと考えられる。一方で、MDD では抑うつ症状から認知機能 低下を呈するため、Z-score には反映されず、MMSE と Z-score の相関がみら れなかったと考えられる。

MRI は日本では汎用性があり、非侵襲的であることからも VSRAD Advance が認 知症の補助診断、及び重症度の予測に有用である可能性が本研究より示され た。

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