論文内容要旨
論文題名 Detection of metallo-β-lactamase genes in clinically isolated
Klebsiella pneumoniae
andKlebsiella oxytoca
(臨床分離された
Klebsiella pneumoniae
とKlebsiella
oxytoca
におけるメタロβラクタマーゼ遺伝子の検出)掲載雑誌名 臨床病理 第 62 巻第 12 号 2014 年掲載予定
病理系臨床病理診断学専攻 楯野 英胤
内容要旨
広域抗菌薬の使用により、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、多剤 耐性緑膿菌(MDRP)、多剤耐性アシネトバクター・バウマニ(MDRAB)、基質 拡張型βラクタマーゼ(ESBLs)産生グラム陰性桿菌、メタロβラクタマー ゼ産生グラム陰性桿菌など抗菌薬耐性菌の増加が顕著となっている。抗菌 薬耐性に関わる遺伝子は、プラスミドなどを介して他の菌株に伝達するこ とで、抗菌薬耐性が高度化する。中でも、メタロβラクタマーゼはカルバ ペネムを含むすべてのβラクタム系抗菌薬耐性を獲得させるため、この遺 伝子を保有する菌の蔓延防止が急務となっている。
今回の研究では、2011 年 1 月 1 日から 2012 年 12 月 31 日までの期間内 に昭和大学病院で臨床分離された
Klebsiella pneumoniae
995 株およびKlebsiella oxytoca
380 株を対象とし、第 3 世代セファロスポリン耐性 あるいはカルバペネム系抗菌薬の MIC 値が上昇した分離株の抗菌薬耐性 機構の解析を行った。なお、抗菌薬耐性の判定基準は CLSI document M100-S18 に準拠した。第 3 世代セファロスポリンのセフタジジム(CAZ)ま たはセフォタキシム(CTX)に耐性を示した株は、K. pneumoniae
、K. oxytoca
ともに約 5%存在した。一方、カルバペネム系抗菌薬であるイミペネム (IPM) の MIC 値 が >8 μ g/ml を 示 し た 判 定 基 準 に よ る 耐 性 株 は 、K.
pneumoniae
で 1 株のみであったが、IPM の MIC 値が軽度上昇した 2μg/ml 以上の株は、K. pneumoniae
で 3.6%、K. oxytoca
で 6.5%存在した。これら IPM の MIC 値が軽度上昇した株の多くが NICU から検出された株であ ったため、期間中 NICU で分離された第 3 世代セファロスポリン耐性、ま たは IPM の MIC 値が軽度上昇した
K. pneumoniae
16 株およびK. oxytoca
6 株の詳細な検討を行った。ESBLs 産生能とメタロβラクタマーゼ産生能を確認するために、それぞ れクラブラン酸と CTX または CAZ、メルカプト酢酸ナトリウム(SMA)と CAZ または IPM を使用した Double Disc Synergy Test を施行したところ、ESBLs 産生株は無く、すべての株にメタロβラクタマーゼ産生が示唆された。こ れら 22 株から抽出した DNA を用いて、我が国で高頻度に検出されるメタ ロβラクタマーゼである
bla
IMPとbla
VIM-2遺伝子を PCR により存在確認し た。全 22 株のすべてでbla
IMP遺伝子の増幅産物が得られ、bla
VIM-2遺伝子 は検出されなかった。PCR 産物の塩基配列の決定によりbla
IMP遺伝子の型 を確定したところ、K. pneumoniae
3 株とK. oxytoca
1 株からbla
IMP-1が、K. pneumoniae
13 株とK. oxytoca
4 株からbla
IMP-11が検出された。また、K. oxytoca
の 1 株からはbla
IMP-1とbla
IMP-112 つの遺伝子が検出された。今回の検討で、薬剤感受性試験で非耐性と判定された株であっても、メ タロβラクタマーゼ遺伝子を保有している株の存在が明らかとなった。抗 菌薬使用環境下で耐性能が誘導され、耐性菌としての形質を発現すること が予想される。耐性菌の蔓延防止のため、表現型に基づく耐性判定基準の 設定と遺伝子検査を組み合わせた監視が必須であると考えられた。