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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 歯 学 ) 堀 内 ( 藤 田 ) 留 美     学 位 論 文 題 名

Utrastructure of ceramic‑bone interface uslnghydrOXyapatite     andグ ・triCalCiumphOSphateCeramlCS

andreplacementmeChanismofグ ・ t血 甜 Ciumphosphateinbone     ( ハ イ ド ロ キ シ ア パ タ イ ト セ ラ ミ ッ ク ス お よ び

ロ ―3リ ン 酸 カ ル シ ウ ム セ ラ ミ ッ ク ス と 骨 と の 界 面の 超 微 細 構 造 な ら び に 骨 内 に お け る グ −3り ん 酸 カ ル シ ウ ム セ ラ ミ ッ ク スの 置 換 機 構 に つ い て )

学位論文内容の要旨

[緒言]

  歯科補綴領域において,義歯の維持安定を得るため,顎堤が著しく吸収した症例の顎 堤形態を改善するニとは,重要な課題のひとっになっている.リン酸カルシウム系セラ ミックスの.)ち,ハイドロキシアノくタイト(HA)およびB一3リン酸カルシウム(序一TCP) は生体適合I生ヤ骨伝導性に優れていることから,硬組織代替材料として研究され,臨床 に.(応用されている.HAは表面活性型セラミックスのひとっで,その表面にアノくタイト 層を形成し.ご骨と接することが報告されているが,その層の成因などの詳細については 不明である.一方,ロ一TCPは生体内吸収性セラミックスの一種であり,骨と直接結合し 経時的に骨と置換すると考えられているが,HAに比較すると骨形成や骨内における吸収 に′ついてび)研究は少なく,特に骨組織との置換にっいては不明な点が多い,これまでに,

箸肯は,臨J宋における顎堤挙上をモデル化したOnlay garftを用いた実験系を用いて,

HAPとBーTC゛P周囲での骨形成および埋入した材料の生体内での動態にっいて光学顕微鏡 を川 いて 組織学 的, 組織 計量 学的 に比 較検 討を 行っ た. その結果,埋入24週後の材料

‑ 103 ‑

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周凶の骨形成二量および残存材料量は,ロ‑TCPではHAに比較し有意に少なく,またロ―TCP にゎいてfよ.新生骨周囲に塩基好性に染色される網状構造が認められることを報告した 本研 究で ル,IIAとロ‑TCPのそれぞれの材料と骨組織との界面および材料周囲での骨形 成,特に序・‑TCPの骨組織との置換の機構を明らかにすることを目的とし,透過型電子顕 微鏡を用いて超微細構造学的検索をおこなった,

[材料と方法]

実 験 材 料 とし て , 気 孔 率55%,直 径5mm,厚 さ2mmの 多孔 質のHAPお よびB―TCPブ ロ ック を用 いた. 焼結 温度 は,HAは1200℃と し, ロ‑TCPは1100℃と した. 気孔は,200 丶一丶400jfmび)´冫クロポアと2Umのマイクロポアからなり,気孔相互が連続する開放性の 構造を有している.これらの材料は,ethylene dioxide gasにて滅菌後,実験に用いた.

実 験 動 物 とし て は ,6週齢 雄性Wistar系 ラッ ト( 平均 体重190土14g) 22匹 を用 いた ぺントノくルビタールナ卜リウムの腹腔内投与による全身麻酔下にてラット頭頂部を 剃毛後,皮膚に切開を加え,骨膜を剥離後,頭頂骨骨面上頭蓋骨膜下に各材料を埋入す る とと もに 、腹 部皮下にもポケットを形成し,皮下組織にこれらを埋入した.術後4お よ び8週 後に 材料 を周 囲組 織と とも に摘 出し ,Karnovsky固定液(2.5%glutaraldehyde および4. O".'oparaformaldehydeを含むO.05mol/L sodium cacodylate緩衝液)で1日間 前固 定し ,そ の後 標本 を2分 割し ,一 方をEDTAによ る脱 灰標 本, もう 一方 を非 脱灰標 本 とし た. 透過 型電 子顕微 鏡(TEM)によ る観 察視 野を決 める ため 、そ れぞ れの標本の 一部 をhemaitoxylin−eosinおよびvan Giesonを用いて染色し,光学顕微鏡下にて検索 した.それぞれの標本は,TEM観察のために,1%Os04で後固定し脱水後エポキシ樹脂で 包埋した.ダイヤモンドナイフを用いて超薄切片を作製し,酢酸ウランおよびクエン酸 鉛 で染 色後 ,TEMに て検 索した .さ らに ,HAの超 薄切 片の一部をO.1N塩酸で脱灰し観

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察した.

[結果]

  HAで は, 術後4お よび8週の 頭頂 骨骨 膜下 に埋 入し た標本 において,電子密度の高い 層 を介して骨と接している像が観察され,層の形態はさまざまであったが,経時的にそ の 層の電子密度は高くなり層の数も増加する傾向が認められた.また,腹部皮下組織に 埋 入した標本においても,HA表面に電子密度の高い層が観察された.これらの切片を,

O.1N塩酸 を用 いて さら に脱灰 すると,頭頂骨骨膜下埋入した標本のHAと骨との介在層 に は,線維状の規則的な構造が観察された.この構造は,腹部皮下組織に埋入した標本 にむいては認められなかった.

  一方 ,Bー'rCPを 頭頂 骨骨膜 下に埋入した標本においては,4および8週のいずれにお いても,材料表面に電子密度の高い層は観察されず,材料と新生骨は直接接 しており,

B−'rCPと骨との界面は不明瞭であった.腹部皮下組織に埋入した標本では,周囲軟組織 と 直接接しており,その界面は不明瞭であった.光学顕微鏡で観察されたロ‑TCPブロツ ク 内の新生骨周囲の特徴的な好塩基性の網状構造には,石灰沈着を示す電子密度の高い 領 域が観察された.さらに拡大すると電子密度の高い領域の間に鬆粗なコラーゲン線維 が観察された,また,ロ‑TCPは経時的に小さくなっており,この吸収が進んでいるローTCP の周囲に形成された骨組織には,ロ−TCPの表面に近接して骨細胞の突起が観察され,一     一

部ではぉ−'rCP方向に伸長している突起も認められた,ロ‑TCPにおけるこの突起の数は,

経 時 的 に 増 加 し て お り ,HAに 比 較 し 多 く , そ の 大 き さ も 大 き い 傾 向 を 示 し た.

[考察]

  HAでは骨膜下埋入,皮下組織埋入のいずれにおいても材料表面に電子密度の高い層が 観察され,卩→TCPではこの層が観察されなかったことから,この層は周囲の環境より材

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料 に 依 存 し て 形成 され ると 考え られ た. また ,HAと 骨の 間の 層内 の微 細な 線維 状構 造は , 骨 組 織 と の 問 に の み 観 察 さ れ る こ と か ら ,HA表 面 の 骨 形 成 メ カ ニ ズ ム と 関係 し てい るこ と が 示 唆 さ れ た . 同 時 にHAが ロ −TCPに 比 較 し 生 体 内 で 安 定 で あ る 理 由 と し て , こ の 層 がIIAび)溶角ギを抑制していることが推察された.

・ 一 方 ,BTCPに お い て は , 新 生 骨 と の 境 界 部 付 近 の ロ‑TCPの 周 囲 に 骨 細 胞 の 突 起が 多 数 観 察 さ れ た こ と , お よ び 口 ―TCPが 経 時 的 に 減 少 す るこ とか ら, こ れら の突 起が 材料 の 吸 収 に 関 与 し て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た , こ れ は , 骨 細 胞 が 骨 内 の 圧 受 容 器 と し て 重 要 な 機 能 を 果 た し て い る と い う 説 を 裏 付 け る も の と 考 え ら れ る . さ ら に ,BTCPでは , 骨 形 成 と 同 時 に 材 料 の 吸 収 が 起 こ る こ と に よ っ て 骨 組 織 と の 置 換 が 生 じ る た め , 骨 組 織

と の 境 界 はHAと 異 な り 不 明 瞭 に な る と 推 察 さ れ た . ま た , 骨 形 成 は , 基 質 内 の コ ラ ー ゲ ン 線 維 に ハ イ ド ロ キ シ ア パ タ イ ト が 沈 着 す る こ と に よ り 生 じ る と さ れ て い る が ,TEM に よ る 観 察 で 新 生 骨 の 形 成 前 に 石 灰 化 が 生 じ て い る こ と が 示 さ れ た こ と か ら ,BTCP 周 囲 に お い て は , 特 徴 的 な 骨 形 成 が 生 じ て い る こ と が 示 唆 さ れ た .

[ 結 諭 ]

  HAわ よ びBTCPに お い て , 材 料 表 面 の 超 微 細 構 造 に 差 異 が 認 め ら れ た .HAの 表 面 に 形 成 さ れ る 電 子 密 度 の 高 い 層 と 骨 形 成 と の 関 連 が 示 唆 さ れ た . ま た, ローTCPの 吸収 と骨 形 成 , す な わ ち ロ ―TCPの 骨 組 織 と の 置 換 に は 骨 細 胞 の 突 起 が 関 与し てい るこ と が示 され た .

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学位論文審査の要旨

Utrastructure of ceramic‑bone interface using hydroxyapatite

       and B ‑tricalcium phosphate ceramics

 and replacement mechanism of  f3 ‑tricalcium phosphate in bone     ( /ヽ イ ド ロ キ シ ア ノ ヾ 夕 イ ト セ ラ ミ ッ ク ス お よ び グ−3リン酸カル シウムセラ ミックスと 骨との界面の超微細構造ならびに 骨内におけ るグ―3りん酸カ ルシウムセ ラミックスの置換機構について)

審査は向後,吉田およぴ川崎審査委員全員が出席のもとに,まず論文提出者に対して参 考論文を含めた提出論文の内容の要旨を説明させ,論文の内容について審査委員の口頭試 問を行った.以下に提出論文の要旨と審査の内容を述べる.

  論文提出者は,ハイドロキシアパタイト(HA)およびp−3リン酸カルシウム(p―TCP) について,臨床における顎堤挙上を想定してラット頭頂骨骨膜下に埋入し,それそれの材 料と骨組織との界面および材料周囲での骨形成,特にp−TCPの骨組織との置換機構を明ら かにすることを目的とし,透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて超微細構造学的検索を行った・

[材料と方法]

  実験材料として,気孔率55%,直径5mm,厚さ2mmの多孔質のHAおよびp−TCPブ口ック を用いた.焼結温度は,HAは1200℃とし,4−TCPは1100℃とした.気孔は,直径200〜 400ルmのマクロポアと直径約2ルmマイクロポアからなり,気孔相互が連続する開放性の 構 造 を有 し てい た.実験動 物としては ,6週 齢雄性Wistar系ラヅ ト22匹を用い た.

  ペントバルビタールナトリウムの腹腔内投与による全身麻酔下にてラット頭頂部を剃毛 後,皮膚に切開を加え,骨膜を剥離後,頭頂骨骨面上頭蓋骨膜下に各材料を埋入するとと もに,腹部皮下にもポケットを形成し,皮下組織に埋入した.術後4およぴ8週に材料を 周囲組織とともに摘出し,Karnovsky固定液で前固定し,その後標本を2分割し,一方を EDTAによる脱灰標本,もう一方を非脱灰標本とした.TEMによる観察視野を決めるため、

それそれの標本の一部を光学顕微鏡下にて検索した.それそれの標本は,TEM観察のため に,1% Os04で後固定し脱水後エポキシ樹脂で包埋した.ダイヤモンドナイフを用いて超薄

生 男

貴 隆

崎 後

川 向

授 授

教 教

査 査

主 副

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切片を作製し,酢酸ウランおよびクエン酸鉛で染色後,TEMによる超微細構造学的検索を 行 っ た. さ らに ,HAの 超 薄切 片 の一 部 をO.1N塩 酸 で脱 灰 し,TEM観 察を 行 っ た.

[結果と考察]

  HAでは,術後4および8週の頭頂骨骨膜下に埋入した標本および腹部皮下組織に埋入し た標本において,材料の表面に電子密度の高い層が観察された.これらの切片を,さらに 0.1N塩酸を用いて脱灰すると,頭頂骨骨膜下埋入した標本のHAと骨との介在層には,線 維状の規則的な構造が観察された.一方,p―TCPを頭頂骨骨膜下に埋入した標本および腹 部皮下組織に埋入した標本においては,4および8週のいずれにおいても,材料表面にこ のような構造の層は観察されず,材料と新生骨は直接接しており,pーTCPと骨との界面は 不明瞭であった.これまでの光学顕微鏡を用いた研究において,p―TCPブロック内で認め られた新生骨周囲の特異的な好塩基性の網状構造には,TEMによる検索では,石灰沈着を 示す電子密度の高い領域が観察された.さら゛に拡大すると電子密度の高い領域の間に鬆粗 なコラーゲン線維が観察された.また,p−TCPは経時的に小さくなっており,この吸収が 進んでいるp−TCPの周囲に形成された骨組織には,p―TCPの表面に近接して骨細胞の突起 が観察され,一部ではp−TCP方向に伸長している突起も認められた.p―TCPにおけるこの 突起の数は,経時的に増加しており,HAに比較し多く,その大きさも大きい傾向を示した.

  HAの材料表面に観察された電子密度の高い層は,pーTCPでは観察されず,この層は周囲 の環境より材料に依存して形成されると考えられた.また,HAと骨の間の層内の微細な線 維状構造は,骨組織との間にのみ観察されることから,HA表面の骨形成メカニズムと関係 していることが示唆された.同時にHAがp―TCPに比較し生体内で安定である理由と して,

この層がHAの溶解を抑制していることが推察された.

  一方,p−TCPにおいては,新生骨との境界部付近のp−TCPの周囲に骨細胞の突起が多数 観察されたこと,およびp−TCPが経時的に減少するという,これまでの研究の組織計量学 的検索結果から,これらの突起が材料の吸収に関与している可能性が示唆された.これは,

骨細胞が骨内の圧受容器として重要な機能を果たしているという説を裏付けするものと考 えられる.さらに,p−TCPでは,骨形成と同時に材料の吸収が起きることにより骨組織と の置換が生じるため,骨組織との境界はHAと異なり不明瞭になると推察された.また,骨 形成は,基質内のコラーゲン線維にハイドロキシアバタイトが沈着することにより生じる とされているが,光学顕微鏡観察で認められたp―TCPの好塩基性網状構造は,TEMによる 観察で新生骨の形成前に石灰化が生じていることを示しており,p―TCP周囲での特徴的な 骨形成のメカニズムが示唆された.

[結論]

  HAおよびp−TCPにおいて,材料表面の超微細構造に差異が認められ,HAの表面に形成 される電子密度の高い層と骨形成との関連が示唆された.また,p―TCPの吸収と骨形成,

すなわ ちp―TCPの骨組織との置換には骨細胞の突起が関与していることが示された.

  以上の論述に弓iき続き実験方法,結果,考察,今後の展望およぴ臨床とのっながりにつ い て の 質 疑 応 答 を 行 い , 論 文 提 出 者 は いず れ にも 明 快な 回 答と 説 明を 行 った ・   本研究は,TEMを用いた超微細構造学的検索により,HAおよびp−TCPブロックをラット

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頭頂骨骨膜下に埋入した場合の材料表面の超微細構造における差異ならびにp−TCPの骨組 織との置換における骨細胞の突起の関与について明らかにした.これは,臨床におけるHA およびp−TCPブロックの有効性を広げる可能性を示唆している.また,本論文提出者は本 論文の内容に関係のある事項に対しても明確橡知識を有していた.さらに今後の展望に関 してもしっかりとした研究立案をもっており,将来性の点においても高く評価されるもの であった.よって,学位申請者は博士(歯学)の学位授与にふさわしいものと認めた.

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