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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博士 (農 学 )Lerma じaJulganoCampO

     学位論文題名      く .ffalo

    Study on the production ofaWampbu fromOOCyteSmatured ,fertiliZedandCulturedinVitrO .      (体外成熟・受精・培養した沼沢型水牛卵子からの      子牛の生産に関する研究)

学位論文内容の要旨

  フイ リッピン におい て,水牛 (沼沢 型水牛,swamp buffalo)は,亜熱帯の気候風土に 良く適応し,農耕・運搬などの役畜として,また乳と肉生産が農家の補助的収入源として 重要な大型家畜であるが,小型化し頭数が減少傾向にある.大型で乳量の優れた河川型水 牛(river buffalo,murrah種)の国外からの導入を含め,生産性改良の努カが進められて いるが,ウシに比較して性成熟が晩く,交配のための発情兆候が微弱で受胎率が低いなど 繁殖面での問題を抱えている.その解決策として,過剰排卵処理あるいは胚の体外作出と 胚移植の実用化が強く要望されている.本研究は,と畜場で得られる卵巣からの卵胞卵子 を利用し,成熟培養avrvDと体外受精(IVF)によって作出した胚を移植(ET)することにより,

子牛を生産する技術を確立することを目的にしたものである.論文内容は以下のように要 約される.

1.卵胞の成熟に影響する要因

  胚を体外で作成する第一段階は,卵巣から摘出した卵子の受精適期までの培養で卵子成 熟と呼ばれ,第一減数分裂による極体の囲卵腔への放出ないしは核の形態変化によって確 認される.卵巣には様々な発育段階の卵胞が存在し,卵子成熟に必要な成分が卵子とそれ に付着した卵丘細胞とのギャップジャンクションを介して補給されることから,卵丘細胞 に損 傷がなく 細胞質 が均一な卵子ほど成熟率が高く,特に3層以上の緊密な卵丘細胞層で 包まれた卵子を利用することが望ましいことを明らかにした.また,体外成熟にグルタミ ンとLH(黄体形成ホルモン)が必須であること明らかにした.

2.精子の受精能獲得ならびに体外受精の培養液と精子濃度

  精子は通常雌の生殖道(子宮および卵管)内で受精能カを獲得するが,体外受精に用いる 時に はそのた めの処 理が必要 であり ,家畜の 種類の応 じ適し た培養液(BOやTAI亅P)と 添加物(ヘパリンやカフェイン)が用いられる.水牛精子の体外受精に,カフェイン濃度   (2.5〜10.0 imDの効果 に差はな かった が,BOある いはm′rALP培養 液より はrlyis緩 衝培養液が適していることを明らかにした.また,体外受精に用いる精子濃度を高めるに っれ て受精率 が高ま るが,同 時に多 精子受精 の比率も高まり正常な単精子受精の比率は

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2.5xl06/rrilで最も高くなることから,精子濃度は2.5‑‑ 5.Oxl06/mlが好ましいことを見出 した。

3.受精後の胚発生に影響する要因

  卵胞は遠隔地の複数のと畜場から採取する必要があり,と殺後卵胞吸引までの時間的遅 れ(2〜6時間) がその後の発生,受精率に及ぼす影響を調査した.経過時間が長くなるに っれて,卵子の成熟が自発的に進行する傾向があったが,受精率と胚の発生率に有意な差 は認められなかった.一方,交通事情および電力状態が万全でなく培養液の完全な管理が 難しい地方では,培養液の品質が卵子成熟と胚の発生能に微妙に影響することが明らかに なった. すなわ ち,液状 で市販 のTCM培 養液は直 接使用 でき便利 であるが,品質保証期 限を越えた使用や不適切な保存管理を余儀なくされ,その間に一部成分などが変質し,む しろ,粉末状で購入したTCM199の随時調製がより有効であった.

4.培養液への抗酸化剤添加の有効性

  卵子ない しは胚 のエネル ギー代 謝過程で 発生する活性酸素が細胞に有害な損傷を与え るが,抗酸化剤であるシステアミンの培養液への添加が酸化障害回避に有効であることが ブタやウシで認められている,システアミンの培養液への添加によって,水牛でも卵子内 のグルタチオン(還元型アミノ酸の一種)含量が高まり,胚盤胞形成率が高まることが認 めれ , 水 牛の 胚 の 培養 に も シス テ ア ミ ンの 添 加 が有 効 で ある こ とを明ら かにし た.

5.卵子の体外成熟,体外受精過程の経時的推移

  卵子の成 熟培養 に伴う減 数分裂 の様相を 調べ,卵胞は培養開始後8時間後に第1減数分 裂を開始 し、12〜19時間でMi期に,22〜 24時 間でM2期の 成熟に 達することを明らかに した.成 熟したM2期の卵子 を精子 と共培養 して体外受精させた.精子の卵子への最初の 侵入 は1時間後 に認め られ,第2極体 放出と 侵入精子 頭部の 膨化が5〜8時間後 に認めら れた.前核形成は8 ‑11時間に起こり,20時間後に雌雄の核が融合し、受精が完了した.

異 常 な 受 精 の 多 く は 多 精 子 受 精 お よ び 雄 性 前 核 形 成 不 全 に よ る も の で あ っ た . 6.体外生産された胚からの子牛の生産

  改善された条件と培養液を用いて,と体から採取した卵胞卵子を成熟培養後に体外受精 し, 胚 盤 胞まで培 養した 胚を各3個づ っ10頭の受 卵牛に 移植した .この内5頭 に移植し た胚は体外受精後鶏胚内培養したものであった.その結果,体外で作成し体外培養と鶏胚 内培養した胚から,1頭づっの正常な子牛の生産に成功した.

  以上のように本研究は,体外で作出された胚から水牛の産子生産に,インドの研究グル ープに次いで成功させるとともに,水牛の卵胞ならびに胚の発生に関する多くの知見を得,

東 南 ア ジ ア に お け る 水 牛 の 繁 殖 技 術の 発 展 に大 き く 寄 与す る こ とが 期 待 され る .

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学 位 論 文 審 査 の 要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

清水 大久保 田中 上田

    弘 正彦 桂一 純治

     学位論文題名

    Study on the production of awamp buffalo from oocytes matured ,fertilized and cultured in vitro .

( 体 外 成 熟 ・ 受 精 ・ 培 養 し た 沼 沢 型 水 牛 卵 子 か ら の     子 牛 の 生 産 に 関 す る 研 究 )

本 論 文 は ,図5, 表17を 含む90頁か ら な る英文 論文であ り,他に 参考論 文4編 が添え ら れ て い る.

  フ イリッピ ンにお いて,水 牛(沼沢型水牛,swamp buffalo)は,亜熱帯の気候風土に 良く適応し,農耕・運搬などの役畜として,また乳と肉生産が農家の補助的収入源として 重要な大型家畜であるが,小型化と頭数減少が進んでいる.大型で乳量の優れた河川型水 牛(river bufffalo,murrah種)の国外からの導入を含め,生産性改良の努カが進められて いるが,ウシに比較して性成熟が晩く交配のための発情兆候が微弱で受胎率が低いなど増 殖面での問題を抱えている.その対策として,過剰排卵処理あるいは胚の体外作出と胚移 植の実用化が強く要望されている.本研究は,と畜場で得られる卵巣からの卵胞卵子を利 用し,成熟培養と体外受精によって作出した胚を移植(ET)することにより,子牛を生産す る 技術を確 立する ことを目 的にしたものである,論文内容は以下のように要約される.

1.卵胞の成熟に影響する要因

  胚を体外で作成する第一段階は,卵巣から摘出した卵子の受精適期までの培養(これを 卵子の体外成熟と呼ぶ)で,第一減数分裂による極体の囲卵腔への放出ないしは核の形態 によって確認される.卵巣には様々な発育段階の卵胞が存在し,卵子成熟に必要な成分が 卵子と付着する卵丘細胞とのギャップジャンクションを介して補給されることから,卵丘 細 胞に損傷がなく細胞質が均一な卵子ほど成熟率が高く,特に3層以上の緊密な卵丘細胞 層で包まれた卵子を利用することが望ましいことを明らかにした.また,体外成熟にグル タ ミ ン と LH( 黄 体 形 成 ホ ル モ ン ) が 必 須 で あ る こ と も 明 ら か に し た . 2.精子の受精能獲得ならびに体外受精の培養液と精子濃度

  精子は通常雌の生殖道(子宮,卵管)内で受精能カを獲得するが,体外受精に用いるとき

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にはそのための処理が必要であり,家畜の種類に適合した培養液(BO,TALP)と添加物(ヘ パリン,カフェイン)が用いられる.水牛精子の体外受精に,カフェイン濃度(2.5〜10.0 /ml)の 効果 に 差 はな か っ たが ,BOあ る い はmTALP培 養 液 より はrlyis緩衝 培養液が 適 していることを明らかにした.また,体外受精に用いる精子濃度を高めるにっれて受精率 が高まるが,同時に多精子受精の比率も高まり正常な単精子受精の比率は2.5x106/rrilで最 も 高 く な る こ とか ら , 精子 濃 度 は2.5〜5.Ox106/rrilが好 ま し いこ と を 見出 し た 。 3.受精後の胚発生に影響する要因

  卵胞は遠隔地の複数のと畜場から採取する必要があり,と殺後卵胞吸引までの時間的遅 れ(2〜6時間)がその後の発生,受精率に及ばす影響を調査した.経過時間が長くなるにつ れて卵子の成熟が自発的に進む傾向はあったが,受精率と胚の発生率に有意な差は認めら れなかった.一方,交通事情や電力状態が万全でなく培養液の完全な管理が難しい地方で は,培養液の品質が卵子成熟と胚の発生能に微妙に影響することが明らかになった.すな わち, 液状で市 販のTCM培養液 は直接 使用でき 便利であ るが, 長期間にわたる使用と不 適 切な 保管 を余儀な くされ 一部成分 などが 変質し, むしろ, 粉末状 で購入し たTCM199 の随時調製がより有効であった.

4.培養液への抗酸化剤の添加の有効性

  卵子ないしは胚のエネルギー代謝で発生する活性酸素が細胞に有害な損傷を与えるが,

抗酸化剤であるシステアミンの培養液への添加が酸化障害回避に有効であることがブタや ウシで認められている.システアミンの培養液への添加によって,水牛でも卵子内のグル タチオン(還元型アミノ酸の一種)含量が高まり,胚盤胞形成率が高まることが認められ た.

5.卵子の体外成熟,体外受精過程の経時的推移

  卵子の 成熟培養 に伴う 減数分裂 の様相 を調べ,卵胞は培養開始後8時間後に第1減数分 裂を開 始し,12 ¥‑19時間 でMi期に ,22〜 24時間でM2期の成熟に達することを明らかに した. 成熟したM2期の卵 子を精子 と共培 養して体外受精させた.精子の卵子への最初の 侵 入は1時間後に 認めら れ,第2極体放 出と侵 入精子頭 部の膨 化が5〜8時 間後に 認めら れた.前核形成は8〜 11時間に起こり,20時間後に雌雄の核が融合し,受精が完了した.

異 常 な 受 精 の 多 く は 多 精 子 受 精 お よ び 雄 性 前 核 形 成 不 全 に よ る も の で あ っ た . 6.体外生産された胚からの子牛の生産

  改善された条件と培養液を用いて,と体から採取した卵胞卵子を成熟培養・体外受精し,

胚 盤胞 まで 培養した 胚を各3個づ っ10頭の 受卵牛に 移植した .この 内5頭 に移植 した胚 は体外受精後鶏胚内培養したものであった.その結果,体外培養と鶏胚内培養した胚から 1頭づっの正常な子牛が生まれた.

  以上のように本研究は,体外で作出された胚から水牛の産子を生産できることを,イン ドの研究グループに次いで実証するとともに,水牛の卵胞ならびに胚の発生に関する多く の知見を得,水牛の繁殖技術の発展に寄与すること大である.

  よ って審査 員一同は ,LermaC.Ocampoが博士(農学)の学位を受けるのに十分な資格 を有するものと認めた,

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参照

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