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) 7 8 9 1 近畿大農紀要
近畿地方 にお けるアベ リアの害虫
桜谷保之暮・田中利弘●・杉本 毅●
に葉 を食審 するだけでな く,人 を刺 す種類 である場 合 には,人の多 く集 まる公園等で衛生害虫 として も 緑低木 で,樹性 が強 く,大気汚染 に も強 い ことか ら, 問題 となることが予想 され る.
近年道路 の中央分離帯 やの り面,公園等 に広 く植栽 以上の よ うな点か ら, アベ リアに寄生 す る昆虫相 されている. さらに, アベ リアには,病害虫はほ と を把握 してお くことは並要 と思われ るので,都市部 ん ど発生 しない とされて お り日,東北 自動車道 のサ や近郊の道路,公園,緑地等広範囲 に本種 の植栽が ー ビスエ リア等で行われた調査 では. ユキヤナギア 行 われ ている近畿地方で調香 を行 った.
プ ラム シ AP
れたにす ぎない2). その他 の地域 では調査 は行 われ
目
方 法ていないようであるが, アベ リアが全国各地 で通路 調査 は近畿地方の公園,道路の り面,サー ビスエ に沿 って帯状 に植栽 され ていることを考 える と,棉
に分布 を拡大 する可能性が考 えられ る.特 にそれが 新御堂筋.藻星川市太閤町,大阪市住之江区南港で 多食性 の穐額であ る場合,沿道の農作物 や樹木 を加 は定期的調査 を行 った.
宰 す る こ と も考 え られ る. また, ドクガ の頬 EIL・ 調査 は,観察者 1名が生埼状 に楯栽 されたアベ リ
・Jt字的 ・見出乍研恐喝 (aL b o E tnoor no lg〉tⅠ.kpLofAq)utle KikclLr. n.U n、.i・ H一卵 Shitおk ) a O a a .sk 57Ja a )7 p n
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リア等1地点 で,1 年 来本種 を好んで加害す る害虫が出現 した とき,急速 秋期 に行 った
Ⅰ 緒 言 eo
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26 近畿大学農学部紀要 第2号 (1987)
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アの木 を 1調査地点 につ き10分間見回 り, その間 に OdonoLL)LTelaarida(BuTLER)の5種類 で, これ ら 見出 され た昆虫 (審虫 と天敵 (クモ類 も含む))の種 は一応こアベ リアの哲虫 と見なす ことがで きよ う. こ 類 と個体数 を記録 す るとい う方法 をとった.定期的 の他,カンタ ン Oecan sllhu ogz〃 l dcauaM ATSUMURA 調査 を行 った上記 3地点 では, アベ リアの楯栽本数
が多 く, それぞれ 2‑ 4つの区 を設 けて各区10分間 ずつ調査 した. 二の方法は,短時間 にで きるだけ多 くの種類 の昆虫 を記録 するのに適 してお り.昆虫の 発生地が それほ ど多 くない場合 には,個体 数のカ ウ ン トの ため に調査 時間 を多 く幹 やす こ とはな いの
はい くつかの地点で記録 され,寝屋川市大間町 では アベ リアの小枝の内部 に産卵 しているのが観察 され た.しか し.本棟 はふ化後 は植物体内 よ り脱 出 して, 様 々の植物 の集 や ア プラム シ等 の小 動物 も摂 食 す
る3)ので,害虫 と天敵の両方の特性 を持 っている.ま た,今 回の調査 で記録 された個体数はご く少ないの
0
で,1分間の調査時間において昆虫の唖類数の把握
が不十分 にな る危険性 はほ とん どない. グロツユムシ
で, アベ リアの害虫か どうかは断定 で きない. アシ igroanelnnaal l
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F 1yza a n BRUN また,今 Eiの調査 でその加書が確認 されたチ ャ ミ) NERは,花粉 と花弁 を摂食 しているのが観察 され た
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を他種の樹木 か らも採雑 した後, アベ リアおよび本 し て 扱 っ た 方 が 適 当 か も しれ な い. ツ ユ ム シ が,摂食itは少ないよ うで,害虫 よ りは訪花昆虫 と ノガ kLBuTLEfについては, これt
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aanLus 種 の寄生 に好適 なプラタナス Pの秦 を与 えて飼育 し,生存率,生長比 頭幅 を比較 食 す る行動 は観察 されなか った. その他 の食植性昆
した. 虫塀 は,個体数が少な くまた摂食 は未確認のため,
アペ リアの智虫 か どうかは断定 で きないが,現時点 L.
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orz PhaneyOlPlem/acl lan (PoDA)では この ような花 を摂
Ⅲ 結 果 では少 な くとも塵要啓虫ではない.
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1. 宮虫 と天敵類 一方, これ ら脊虫 に対 す る天敵昆虫 としては,捕 Ta
食性の唖類が記録 された t). この うち,/、
本調査 で記録 された昆虫類 お よびクモ額 とそれ ら
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ユ キヤナギアプラムシ, チ ャミノガ, ハモグ リガ料 は, アプラムシの捕 食者 で,特 にユキヤナギアプラ T
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桜谷 ・田中 ・杉本 :近畿地方におけるアベ リアの害虫 2
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や多かった他は,いずれの地点で も 3匹以下 であ っ
確認 され,比較的発生出 も多かったユキヤナギアプ リアの花期の終 る11月下旬 には, アプラムシの寄生 ラムシの大阪府下 2地点における発生消長 を示 した も終了す るもの と思われ る.同地点の B区では終始 ものである.各地点 とも2か所 (A, B)ずつ調査 低密度 であった.大阪市住之江区南港のA区では,
9月中旬 に,B区では10月中旬 に ピー クが認め られ はかな り異なっていた. この うち,豊中市新御堂筋 た. なお,笹屋川市大間町では, 2区 とも終始低密 したが,同地点で も場所 によって個体数変動の様子
) 7 8 9 (1
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近畿大学農学部紀要 第 20号
ために,チ ャミノガ を用 いて実験 を行 った.大阪府 SIEB.
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4 5
度 で,最高 で1匹 に遠 したにす ぎなか った Ta
1).今 回の調査 を通 じて観察 されたユキヤナギアプ 者虫の寄主植物 としての アベ リアの好適性 を知 る ラムシの屈大密度 は1 匹であ った Ta el
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す ぎなか った. B区で1月に入 って個体数がやや増 加 したのは,比較的多発 が認 め られた隣接の シャリ
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て,2 ,15LDの条件下 で飼育 し,生存率,生長 蕊,頭幅 を調べた.
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低密度 であ った. ものである. アベ リアの生垣 か ら採集 した後,引 き Oか ら一部個
体 が移入 して きたため と考 えられ る. A区では終始 は,本qi.幼虫の生存率の経時変化 を示 した 28
9 桜谷 ・田中 ・杉本 :近畿地方 におけるアベ リアの害虫 2
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存率 は, それ ぞれ4%と1%で, ヤマモモよ り採集
した幼虫 では, アペ リアを与 えた場合 よ りもかな り もの と思われ る. しか し, アベ リアでの生息密度 は
高 か った. 低 く,花の部分 に多少 まとまって寄生 してい る程度
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c.で 2種頬,平均 は2種頬である.今回 80
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ま り生長せず.1‑6日目の間 にやや急速 な生長 を
示 し, それ以降 は再 び生長が鈍 った.飼育最終 日の GooTが7 .A, A
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種類記録 されたが, これは きわめて少ない部類 に属
れ ている2)ことか ら,全国に普遍 的 に分布 してい る
ミノの大 きさは,どの区で も大差 はなか った.また,
この時の幼虫の頭幅 は, アベ リアとエニ シタか ら採 ユキヤナギの新稗の場合, ユキヤナギアプラムシの 施 して アペ リアの薬 を与えて飼 育 した ものは, それ 個体数が 匹 に達 した例 を観察 してい る(莱
ぞれ 発表).したが って,本種 の アベ リア上 での寄生密度
続 きアベ リアの葉 を与 えて飼育 した幼 虫 の生存 率
5は,本種幼虫の ミノ (義)の長 さの経時変化
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±1 6mmで,ヤ
マモモ とユニシタか ら採集 してプラタナスを与 えた は,他の場合 に比 べて著 しく低 い とい える.ただ し, 3.
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±0 mmと 0mm(1個体
のみ)で. いずれ も有意差 は認 め られなか った. 市新御堂筋では他所 よ りも多い傾 向を示 した. この 以上 の ことか ら,死亡率が高か った区で も,最後 地点 は今回調査 した中で, 自動車の交通丑が最 も多
8 32.
ものは,それ ぞれ 地域的にみて発 生消長 に多少の ちがいがあ り.豊 中
30 近畿大学農学部紀 要 第 20号 (1987) い と思 われ る所 で, しか も中央分離帯 に植栽 されて
いるため,車の排 ガス等の影響 を最 も受 けやすい所 であ る. BRAUNandFLOcKIGER6)によれば,サ ンザ シ頼CT7keazgwsJt).につ くアプラムシの 1種ALhs)i i)mio DEGEERの高速道路 における発生量 は,中央分 離帯,の り面,道路 よ り 200m離れた地点 を比較す る と,中央分離帯 で最 も多か った. その原 因 として, 天敵の減少,排 ガスによる寄主植物 の成 分の変化, アスフ ァル トによる微気象の変化等が考 えられ る と してい る. 当地点 で も自動車道特有の この よ うな要 因が,害虫の発生 に直接的,間接的 に働 いている も の と思われ るので, その ような所 では十分な管理が 必要 であろ う.
一方,淳屋川市太閤町の調査地点 は,淀川 の河川 敷公園 で,薬剤散布 は全 く行 われていない所である が, ユ キヤナギアプラム シは じめ他の害虫の発生 も きわめて少 なか った. ここは天敵 としては クモ額が 他所 よ りもやや多い傾 向を示 し,樹勢 も強 いようで,
こうした ことが害虫の発生 を抑制 してい ると考 えら れ る.
また, チ ャミノガ も豊 中市新御宝筋や大津市のサ ー ビスエ リアでそれぞれ十数匹記録 されたが,発生 血 としては ご く少ない ものであ った.例 えば,豊中 市内の道路 の り面 に植栽 されたヤマモモは新御室筋 の アベ リア と同程度 の大 きさであったが, これにチ ャ ミノガの幼虫が数百匹寄生 し, ほ とんどの薬 を食 いつ くしていた. なお,飼育実験 に用 いた個体 は こ の木 よ り採集 した t )のである.
アペ リアではその他の昆虫の発生丑 もきわめて少 なか った ことか ら,本種 には曹虫が発生 しに くい と い うことがで きよう. ただ し,今回の調査 は秋期 に 行われた もので, 春や夏の状況 は不明 である. しか し,調査 した各地点では,薬 に食宮の跡 はほ とん ど 認 め られず, さらにアプラム シやカイガラムシが大 丑 に発 生 した場合 に生ず るスス病 による薬の汚れ も 認 め られなか った. また,近畿大学構 内に植栽 して あるアベ リアは無防除であるが,これ までの 3年間, 審虫の発生 はほ とん ど認 め られていない.以上 の こ
とか ら, アベ リアは四季 を通 じて寄虫の発 生が少 な い もの と推察 され る.
一般 にある楯物種 における審虫の発生 には , 2つ の側面 が含 まれ る. 1つは種 類数で, もう 1つは発 生血である.天敵 は害虫の発生丑 に影廿 を与 え,本 調査 で も何種 頬かの天敵 が観察 されているので,多 少 とも害虫の発生地 を抑制 している と考 えられ る.
一方,天敵相 は啓虫相 に依存 してお り,通常,智虫
相が豊富であれ ば天敵相 も豊富 であるが,天敵相が 害虫 の種 類数 に影響 す る こ とは普通 は考 え られ な い. したが って,害虫の種類数の決定 に関 しては, 天敵以外の別の要因 を考 えなければな らない.
昆虫の寄主選択 はい くつ もの プロセスか ら成 り立 ってお り,例 えばその植物 が栄養的 にす ぐれ ていて ち,摂食 を阻害す るような物質 を含 んでいれば, そ の昆虫の寄生 は困難 である7 )1)チ ャミノガの飼育実8.
験では,途 中か ら寄主植物 を変 えた域合 (特 にアベ リアに変 えた場合) ,生存峯が 15日目以降急激 に低下 した. しか し,生 き護 った個体の大 きさ (ミノの長 さや頭幅) は,好適 な寄主植物 を与えた もの と大差 なか った ことか ら, アベ リアは少な くともある個体 群のチ ャ ミノガに とっては栄餐的 に不通 ではない と 思わ九,他 の要因が死亡率 を高 めた と推察 され る.
ところで,S oUTHW(泊D91によれ ば,イギ リスにお いては第四紀 の化石の記録数 の多い樹種,すなわ ち 古 くか ら傑 占的な在来 の樹種 ほ ど等生 す る昆虫の種 類数が多 い傾 向にあ り,最近専入 された樹種 では少 ない とい う.一方 ,STROh'C10)は,導入年代の新 しい 樹種 で も広 く植栽 され ていれば,寄生す る昆虫の種 類数 は多い と述べ ている.アベ リアは他種の AbeL由 属 どうしの雑種 で ,1880年以前 に作 り出 され, 日本 には 1920年頃等入 された川.寄生す る昆虫の種 類数 が少 ないのは,非常 に新 しい樹種 であるため と思わ れ る. しか し, その植栽面概 は特 に この数年急速 に 拡大 している といわれ るので,地域的 な昆虫相 の ち がい も反映 して,全体 として昆虫の種棟数が増加 す る可能性 がある. また,今回の調査 では,本種 に高 密度 で発生 している昏虫は認 め られなかったが,今 Lg記録 されたユ キヤナギアプラムシ,チ ャミノガ, テンブイラガ, エブ リヅマエダシヤクは多食性で, それ らの寄主植物の中には農作物 もかな り含 まれて いる一 ).したが って.これ らの啓虫の大発生 について も今後注 目してい く必要があ ろう. なお, テンブイ ラガは,幼虫が番針 を持 ち人 を刺す種類の多いイラ ガ科 に属 す るが,本棟 は人 を刺 さないようであ る.
昆虫 と寄主植物 との関係 は,両者の相互作用によ って互 いに進化 して きた といわれ るが 12), その関係 は微妙 で,寄主植物 の小 さな化学的変化 も両者の関 係 に大 きな形轡 を与 える可能性 もある とい う' 3). ア ベ リアでは,今の ところ等生す る昆虫の種類数 も寄 生密度 も少ないが,かな り新 しく導入 された樹種 で あ り, しか も種 々の環境 の所 に広範 囲に植栽 されて い るので, この ような初期の段階か ら両者の関係に 注 目 してい くことは,昆虫 と寄主植物 の関係の生態
桜谷 ・田中 ・杉本 :近畿地方におけるアベ リアの害虫 31
字的,化学的研究 において意義があると思われや.
Ⅴ 要 約
造園木 として近年広 く植栽 されているアベ リアの 害虫の種類 と発生丑 を近畿地方の各地で調査 した.
その結果. アベ リアに対 して明 らかな摂食が認め ら れたのは,ユキヤナギアプラムシ. チャミノダ.ハ モグ リガの1種, テングイラガ.エブ リヅマユダシ ヤクの 5種類 であった. これは 1種類の樹木に寄生 する昆虫の種類数 としては,非常 に少ない もので, それ らの発生丑 もかな り少なか った. また, チャミ ノガの飼育実験では, アベ リアはチャ ミノガに対 し て栄兼的には必ず しも不適ではない ことが示唆 され たが,他種の植物か ら採集 し, その後 アベ リアに餌 を変 えた幼虫の生存率は著 しく低下 した. この よう に, アベ リアには啓虫が発生 しに くいことがわか っ たが, その要凶について若干の考察 を行 った.
謝 辞
本研究 を遂行するにあた り, アプラムシの同定 を していただいた農業環境技術研究所昆虫分類研究室 の宮崎昌久博士およびツユムシ類の同定 をしていた だいたあやめ池遊園地 自然博物館の河合正人氏 に厚 く御礼申 し上げる. また, アベ リアに関する文献等 の御教 示をいただいた本学農学部園芸学第‑研究室 の鈴木 登助教授に深 く感謝する.
引 用 文 献
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(昭和61年 10月27日受理)