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近畿大学奈良キャンパスにおけるヤママユガ科ガ類の生息状況

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近畿大学奈良キャンパスにおけるヤママユガ科ガ類の生息状況

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は じめに 調査結果

ヤママユガ料Saturniidaeに属するガ類はすべ 調査の結果,当キ ャンパスでは以下の 7種のヤ て大型で,幼虫は各種樹木の葉 を食べ る 。桶化

に際 しては繭 を作 り,ヤママユの ように上質の絹 糸が得 られ,飼養 されて いる種 もあ るコ,。 また,

)

. ママユガ科ガ類が記録された。

1.ヤママユ Anh re atea ay mamay maia mai ホルモ ン等の研究や近年は昆虫産業の面で も注 目

されているJJ.特 に, 日本の里 山に生息す る種 が 多 く,各種広葉樹の葉 を食べ,大型であることか ら里山の食物連鎖においては,生産者である広葉 樹 に対する摂食丑の問題,ヤママユ規を捕食する 鳥類・日や寄生蜂 な どの面 か ら重要な地位 にある と 考 えられる。

(Gu rn Me e 州 ) 図版1・1ei‑ n v e 【 】

ヤママユガ科の中で も特に大型の種で,成虫は 年1回8月〜9月に出現する。成虫の趨色は変異が 大 きく,黄色から暗褐色の ものまで記録されてい る。

幼虫の餌植物 としては,キ ャンバス内では,ク ヌギ,コナラ,アラカシ,マテバシィ,スダジイ 日本にはヤママユガ科のガは11種分布 してお り

.J,5)生活史 もかな り解 明されている。 しか し,食 物連鎖など種間関係に関する研究は少ない。今後, 里山管理や ビオ トープ (biotope;特定生物群集 の生息 ・生活圏6り の面,さ らに未利用資源の開 拓の面か らこうした大型ガ頬の生息状況の把握は 必要 と思われる。

0 が確認 され,特 にコナラに多い。 しか し,2 01 年 には植栽 されているヤマモモを摂食 している幼 虫がかな り確認 され,羽化 も見 られたので,自然 状態の餌植物 として利用されていることは確実で あ る。寺本2)も,ヤママモモを摂食す ることがあ ることを報告 しているが, 自然状態では確認 され ていない。

近畿大学奈 良キ ャンパ スの敷地は約 1.2km・'ぁ り,その大部分は里山林か ら成 り立 っている。植 生は コナ ラ ・クヌギ林 が倭 占的で7‑,ヤママユガ 料ガ頬の餌植物 がかな り自生 している。筆者 らは これまでに当キャンパ スの生態系や生物群集につ いて,い くつか報告 して きたが削〜t)2,今回はヤ ママユガ科ガ頬について これまでに調査 した結 果 を中心に報告する。

調査方法

幼虫は4月〜7月に観察 され 7月頃に繭 を作 っ て嫡化する。卵は餌植物であるコナラ等の小枝に 数個単位で産 まれ ることが多 く,比較的若い木に 多いようである。卵で越冬す るが,卵殻の中です でに幼虫に発生が進んでいる。

天敵 としては,幼虫か ら寄生蜂の1種が羽化 し てお り、また、繭(柄)に対 しては,ハ シボソガラ ス日による捕食がかな り目撃 されている。成虫に 対 しては,灯火に飛来 して壁等に静止 した個体を ハ シブ トガ ラス及 びハシポ ソガ ラスが よ く攻撃 し,腹部や胸部 を摂食 して,規が散乱 している状 態 が しば しば観察 されてい る。2

物,成虫の出現期,天敵頬な どをキャンパ スの里 では, こうしたカラス頬による成虫の被食個体数 山林内で任意調査 によって記錬 した。また,特 に は,灯 火の下に散乱 した麹の枚数 か ら推定 して,

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調査は2 年頃 よ り随時行 った。幼虫の餌植 003年秋の調査

5 2

少な くとも1 匹 と考 えられた。

査 した。 本種を含めヤママユガ科ガ頬には各麹に 1個ず

なお,今回ここに示 した写真はすべて筆者 らが つ眼状紋 を持 っている種が多 く,それによって鳥 当キャンパス内で撮影 した ものである。 頬 を驚か し,捕食 をまぬがれ る とされてい る)u'。

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2 年〜2 30年 には餌植物 を中心に生態面 を調

(3)

しか し,本種ではカラス頬に対 してはあま り効果 ヤナギ類 に宙が 2個付いているのか確認 されてお がないように思われる。 り,ヤナギ類 も摂食 しているもの と思われる。

繭は鮮やかな緑色を していて,冬季に も落葉 し 2.ヒメヤママユ

S au t r na i j o n a s l / J O S n a i I I

た樹木の小枝 に下垂 して, よ く目立ち,本種の発 Bulrte 【図版1 2‑ 1 生が容易に確認で きる。卵で越冬 し, しば しは雌 ヤママユに似 るが,小型で斑紋な ども異なる。 成虫が脱 出 した商にも産卵 している。

成虫は年 1回1月頃に出現 し,灯火に飛来す る。

やは り,各塊 に1個の眼状紋があ り,鳥の捕食を 逃れる効果があるとされている。 しか し,外灯の 下で散乱 した祖が しば しば観察 されてお り,カラ

ス類による捕食が推察されている。

幼虫は緑色で,短い黄緑色の毛を密生 している。

キ ャンパ ス内では,サ クラ(ソメイヨシノ),ガマ

0 宙の横に不規則な穴があいているもの も観察 さ

れてお り,寄生蜂の寄生が推察 されている。また, 電柱下に穴のあいている瀬が落ちているのかよ く 観察 されてお り,カラス煩による捕食が推察され る。 さらに,ジ ョロウグモの巣に掛 かって描食 さ れている成虫 も観察 されている。

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S I a mac I ' ap r y e r / I 5.

シンジ ュサ ン

ズ ミ, クロガネモチが餌植物 として記録 されてい

る。幼虫は4月〜7月に観察 されている。繭は樹木 (B te)ulr 【図版2‑ 13

下で落ち葉等を糸で荒 く綴 ってつ くられる。 本種成虫は,麹に眼状紋は もたないが,各切に は 1個の透明な部分を もっている. また,前趨端

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(Moore) 【図版2・ll あるとされている。

S au t r n i a po nc i a j a po nc i a

はヘ ビ類の頭部状の模様を してお り,防衛効果が 3.クスサン

6

成虫は5月〜 月 と8月頃の年 2回発生する。灯 本種の幼虫はかな り雑食性で,和名の由来であ

るクスの他 にクリ等のフナ科樹木,クル ミ,ヌル チ,イチ ョウ等種 々の樹木の葉 を摂食すると言わ れている14)O特 に, ク リや リンゴ等の害虫 として 知 られている)5'。 しか し,キ ャンパ ス内では未だ 幼虫は確認 されていない。成虫は 9月〜10月に外 灯に飛来 した個体が記録 されているが,個体数は 少ない。2003年の調査 において,外灯下 に散乱

した規が確認された。

害虫 として大発生す る場所は, クリな どの果樹 園及び イチ ョウの街路樹な どで, こうした場所は 農耕地や公園な どで,天敵の作用が弱いことが考 えられる。里山林 内における,本種の発生状況 と 天敵の作用 を調査する必要がある。

火に飛来する。幼虫は6月〜7月 と9月〜10月に出 現 し,棉(葡)で越冬する。商は灰色で,絹糸が細 密で固い。落葉樹に付着 した場合,冬季の繭の発 見は容易である。餌植物 としては,キ ャンパ ス内 では クロガネモチ,キ リ,カラスザンシ ョウが記 鐙 されている。 また,2003年 には クスノキ とゴ ソズイで繭が観察 されている。特 に街路樹 として 植栽 されているクロガネモチには毎年,かな りの 幼虫が発生 している。

天敵 としてはヤ ドリバエ頬が桶か ら脱 出 してお り,ハシポソガラスに捕食 されている幼虫 も確認 されている。

6.オオ ミズ7オ

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4.ウスタビガ

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(BL川er) 【図版2‑21

Bulrte l図版3・11

麺は全体が鮮やかな水色を してお り,各祖 には ヤママユガ料の中では最 も遅 く羽化す る種 で,

成虫は11月に出現するo雄成虫の細には色彩の変 異が知 られてお り,黄色 と褐 色タイプがキ ャンパ ス内で も確認されている.各麹 には1個の眼状紋 がある。

キ ャンパス内では,幼虫は4月〜7月に出現 し, ケヤキ,エ ノキ,コナラ. クヌギ,アベマキ, ク

リ.ヤマサ クラ, ソメイヨシノが餌植物 として記 録 されている. また,2002年 にキ ャンパ ス内で

1個の小さな眼状紋がある。後麹の後端には長い 尾状突起があるの も特徴である。

成虫は4月〜 5月 と7月〜 8月の年2回発生す る.柄(葡)で越冬 し,商は餌植物 の株元の落ち葉 で作 られている。

幼虫の餌植物はハソノキ,オオバヤシャブシで, 特 にキャンパ スの食堂横の若いハ ソノキには,ほ ぼ毎年発生が認め られる。幼虫の出現期は5月〜

6月 と8月〜 9月の年2回である。

(4)

2

1 坂本啓子 ・桜谷保之

成虫は灯火に飛来す る。 しば しば散乱 した祖 を 観察 しているので,カラス等 による捕食が推察 さ れ る。 また,羽化直後の成虫がシジ ュウカラに捕 食 されているのが観察 された。幼虫か らは寄生蜂 の コマユパテの1種 が脱 出 し,秋頃ハソ ノキの下 に, コマユバチ頬の繭が散乱 しているのか観察 さ れている。 また,卵 か らも寄生蜂の 1種 が羽化 し ている。

生, クモ頬や野鳥 による捕食による密度調節効果 が働 いているため と推察 される。一方 ,ヤママユ は植栽 されたヤマモモ にかな り発生する場合があ り,広範朗の植栽 とい う一種の人為的撹乱が原因 とな って いる ように も思 われ るが,こう した個体 に対す るカラス頬の捕食圧 も観察 されてお り,逮 続的な大発生には至 っていないようである。

校舎の建設 に伴 う外灯の設置に よる成虫の誘引 もかな り認め られている。特 に,当キ ャンパ スの

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く細長い。繭では前種 との区別がつかない。

(B e)【 2

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オナガ ミズ7オ

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版3・

uttr 図 】

オオ ミズアオに酷似するが,成虫の前趨外線は 本種のほ うが, よ り弓な りにな り,また後麹の尾 状突起は長い傾 向にあ る。幼虫での区別は よ り明 瞭で,前種は癌超が黄色であるのに対 して本種は 燈黄色で,その基部は黒色に縁取 られている。た だ し,脱皮前後は この特徴に合致 しない個体 もあ り,区別は困難であ る。卵は前種 よ りもやや小 さ

やや早い傾 向にある。

生活史は殆 ど前種 と同様で,成虫は 4月〜 5月 と7月〜 8月の年2回出現す る。幼虫は5月〜 6 月 と8月〜 9月の年 2回出現す るが,前種 よ りも

幼虫の餌植物はハソ ノキで, しば しば前種 と混 生す る。前種 と異な り,キ ャンパ スでは,オオバ ヤシャブシでは確認 されていない。

天敵は前種同様 コマユパテの 1種が確認 されて いる。本種 も灯 火に飛来 し,カラス頬に よる捕食

7. バ イク置 き場 には40ワ ッ ト蛍光灯が35本 と水銀 灯が 5本設置 されてお り,各種昆虫が誘引 されて いる。 この うちヤママユ成虫の誘引が多 く観察 さ てお り, しか も,麹の散乱がかな り見 られる. こ れはカラス頬の捕食に よるものであることが確認 された.2003年 の夏 か ら秋 に行 った散乱 した規 の調 査 か ら,捕 食 されたヤママユ成 虫の個体数は 少 な くとも125匹 と推定 された。 これは相 当な個 体数であ り,カラス類 による捕食圧が高 いこ とを 示唆 している。灯火に よって捕食者 に 目立 ちやす い ところに多 くの個体が誘引 される とい う,人為 的な影響 に よるもので,里山付近での照明のあ り かたを検討す る必要があ る。 また,校舎の壁面 に オオ ミズアオ とオナガ ミズアオの産卵が観察 され ている。 これは灯 火の誘引に よ り不適 当な場所 に 産卵 された もので,析化幼虫は餌 を摂食で きずに 殆 ど死亡す るもの と思われる

さ らに,灯火に飛来 した昆虫頬か 自動車等 にひ

が推察 されている。

考 察

当キ ャンパ スでは 7種のヤママユガ料のガ頬が 記録 され, これは 日本産 ヤママユガ科 11種 の約 60%に当たる。ヤママユガ料の幼虫はすべて樹木 の葉 を食べ, クスサ ンの イチ ョウな どを除 き,広 葉樹 を摂食す る。 しか も,多 くの種がフナ科や カ /り キ料,二 レ科な ど,里山に普通 に 自生 または 薪炭 用 として植 栽 されて い る樹 木 を利用 して い る。 しか し, これ らの種は里山ではあ ま り大 発生 した例はないように思われる。 クスサンは ク リ等 の果樹 園で しば しば大発 生 が報 告 されてい るが 川,当地 ではむ しろ個体数 が少ない種であ る。 こ れは,里山におけ る生物 多様性 1叫こよるもの と推 察 され る。 すなわち,寄生蜂やヤ ドリバエ類の寄

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き殺 されるロー ド ・キル( d k が生 じて.個 体数 が減少す るこ とも指摘 されているⅠdJ。 こうし た面か らも,野生動物 に対 して も照明には十分配 慮する必要がある。

これまでのキ ャンパ ス内での調査でヤママユガ 科 においては,図1に示す ような食物連鎖 が確認 された。ヤママユガ料幼虫が摂食す るこうした里 山の広葉樹は他に も各種昆虫が利用 してお り,そ こでは 多様 な種間関係 が起 こってい る。例 えは, 当キ ャンパ スでのハ ンノキでは,他に植食性昆虫

として, ミ ドリシジ ミ9),ハ ソ ノキハム シ,キ イ ロ7 シフ トパテな どが確認 されてお り,葉 には ウ ドン コ病菌が発生 し,キ イロテソ トウが これを 摂食す るこ とも観察 されている。 さ らに.ハ ソ ノキの板 には根粒菌が寄生 していて空中窒素 を固 定 し,ハソ ノキが これを利用 しているといわれる。

従 って,オナガ ミズアオ等では こうした根粒菌か らの食物連鎖 ない しはエネルギーの流れを考 える

(5)

必費 があ る。特 に,ヤママユ ガ科ガ頬 は大型 で, バ イオマ スも大 き く,生態系 におけ るエネルギー の耽れにおいて昆虫 としては大 きな部分 を占めて いる と思われる。

今後,ヤママユガ科ガ頬 をバ イマ スの面 か ら研 究する必要があ り,さらに食物連鎖の面では,盟 山の広築樹 とい う餌幣源 をめ く・る種間関係ない し は生物 多様性に関 しての解析が必要 と思われる。

カ ラ ス 等 の 野鳥

ヤ マ マガガ ユ科頬

コナラ ・ハソ ノ牛等の広葉樹

図1.近倣大学奈良キ ャンパスで観察 された ヤママユガI f[:ガ頬を中心 とした食物連錘

謝 辞

本報 告 にあた り,調 査や研究 面 で 日頃 ご配慮 を丁臥 、て い る本学 段学 部 の杉 本澱教 授 な らび に 香取郁夫誹師に深謝 します. また,貿重な幣料 と ご肋 言 をJBいた 、束 近 江地域振 興局(敦賀 県)の 寺本憲之博士に厚 く御礼申 し上げます。これまで, 調査等 にご協 力頂 いた本草段学部昆虫学研究室の 草生,大学院生にも感謝 します。

引用文献

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L

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ス社,東京 , (1997)

(6)

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裕保,

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参照

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