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論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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様式8の1の2 別紙2

論文審査の結果の要旨

専攻名 システム創成工学専攻 氏 名 山登 一輝

画像の電子透かしは,画像にわずかな変更を加えることで著作者名などの情報を埋め込む技 術であり,透かし埋め込み後の画像から原画像に戻せるか否かによって,可逆な方式と非可逆 な方式とに大別される.電子透かしが提案された当初は,原画像に戻せない非可逆な方式が数 多く提案されていたが,近年,電子透かしの応用分野が医用画像など画質劣化を許容できない 分野にも広がりを見せており,原画像に戻せる可逆電子透かしへの注目が高まっ ている.

可逆電子透かしの性能は,透かし埋め込み後の画像の画質と画像に埋め込み可能な情報量と で評価されることが多い.両者はトレードオフの関係にあり,どちらを重視するかは使用目的 によって異なるため,応用分野に応じて異なる透かし埋め込み手法が使用されており汎用性に 乏しいのが現状である.そこで本論文では,透かし埋め込み画像の画質と埋め込み情報量とを 単一の手法で容易かつスケーラブルに変更可能な可逆電子透かし手法の開発を目指している.

本研究では特に,代表的な可逆電子透かし方式である,ウェーブレット変換係数のヒストグ ラム変更による手法に着目した.従来のウェーブレット変換係数のヒストグラム変更を利用し た手法は,サブバンド間の相関性が考慮されていないため,透かし埋め込み画像の画質と埋め 込み情報量の面で改善の余地が残されていた.そこで本研究では,複数のサブバンドから作成 した多次元ヒストグラムを,バンド間相関を考慮しながら操作することで情報を埋め込む手法 を提案し,その性能評価を行った.多次元ヒストグラムに適した埋め込み規則を導入すること により埋め込み処理に大きな自由度を与えることが可能となった.

以下に本論文の構成と各章の内容について述べる.

第1章では,本研究の背景と,研究の位置付けおよび本論文の構成について述べている.

第2章では,電子透かしの概要について述べ,電子透かしに求められる要件や電子透かしの分 類,応用分野について概説している.さらに,本論文で扱うウェーブレット変換係数のヒスト グラム変更に基づく可逆電子透かしについて説明を行っている.

第3章では,ウェーブレット変換係数の多次元ヒストグラムを導入し,これを基にした透かし 埋め込み方式を提案している.特に,埋め込み可能な情報量の増加に重点を置き,1つの変換係 数あたりに埋め込む情報を多値化することで,埋め込み容量の増加を図る方式について検討を 行っている.

第4章では,透かし埋め込み画像の画質劣化の抑制に関する検討について述べている.まず,

画質劣化の原因を明らかにし,その解決策を考慮した透かし埋め込み規則を提案している.画 質劣化の主な原因は,透かし埋め込み処理による変換係数の改変であることから,改変の影響 と埋め込み容量の関係を考慮した新たな透かし埋め込み規則を導出した.また,使用するヒス

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トグラムビンを制限する手法を提案し,より効率的な埋め込みが可能となる ことを明らかにし た.

第5章では,本論文で提案した可逆電子透かしの応用として,可逆電子透かしを利用した画像 の改ざん検知について述べている.具体的には,画像のブロック毎に類似領域情報を埋め込む ことで改ざんを検知する手法を提案し,その性能評価を行っている.

第6章は本論文の結論であり,本研究で得られた結果をまとめている.

本論文については,2014年8月12日に審査委員全員及びこの分野の研究者の出席のもとに公聴 会が開催され,研究内容の発表及び質疑応答が行われた.公聴会終了後ただちに学位審査委員 会を開催し,本論文の内容について詳細に検討した.この結果,本研究成果は電子透かし分野 への学術的寄与が高く,また実用分野での貢献も期待できると判断された.さらに,本研究は 工学的に価値があり,研究内容の学術的水準と独創性においても極めて優れていると評価され た.

よって,本論文は博士(工学)の学位論文に値するものと認める.

参照

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