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‑メンタルヘルス研究協議会の発足 と経緯か ら‑
ASt ud yo fSupp o r t i ngSt r a t e g yf orCo l l a geSt ud e ntMe nt a lHe a lt h
Fr o m t heDi s c us s i o no ft heCo n f e r e nc ei nh i g he rEd uc a t io nSt ud e ntMe nt a lHe a lt h
弘前大学保健管理セ ンター 佐 々木
大
輔要 旨 :平成
8
年か ら高等教育 にお ける学生のメンタル‑ル スに関す る研究協議 を行 う 「メンタル‑ル ス 研 究協議会」が開催 されてい る。 平成11年お よび17
年 には同運営委員会か ら提言 が出 され,本協議会発 足 を契機 に学生支援体制 の整備 がな され るよ うになって きた。研 究協議内容 を敷術す るに,学生支援 , 特 にメンタル‑ル スに関 しては成長モデル に よる成長支援体制の構築が よ り一層求 め られ ている。学生 一教職員間の信頼 関係つ く りを基礎 に,教職員 ,特 に学生支援担 当者 の レベルア ップをはか る,各教職 員 の学内外 での学生支援 に関す る経験 を相互 に共有す る,科学的根拠 に基づ く対策 をたて る,な どであ る。学生 ・保護者 ・社会 の高等教育‑の要望や期待 と,各教育機 関 との間のアジェンダの帝雛 のない相 互理解 が重要 である。キー ワー ド :高等教育, メンタル‑ルス,大学,高等専門学校
1
は じめに「メンタル‑ル ス研 究協議会」 は,大学お よび高等専門学校等 における学生のメンタル‑ル スについ て研 究 ・協議す る場であ り,平成
8
年 に始 まった。1 0
余年 を経た昨今 になって,本 協議会 の設立趣 旨 ・目的 ・沿革等 が よく判 らない との声があがって きた。初年度 よ り報告書は毎年出てい るが,その全てに 目を通すのは困難 である と思われ ,平成1
9
年度 の本協議会資料 として沿革に関す る短文 を付 した。更 に 詳細 な沿革 を残す ことが発 足 当初 か ら関わって きた者 の義務 であると考 え,大学生のメンタル‑ルス支 援 に関す る若干 の考察 とともに,本稿 において報告す る。2
発足の経緯●平成
8
年6
月4日, 「
平成8
年度 国立大学学生部長次長 ・課長,国立高等専門学校学生課長会議」 が 開かれ た。 当時の文部省 学生課長 は 「平成8
年度高等教育関連予算額重要事項 の中で,『平成8
年度厚 生補導関係 (国立学校)予算 ・学生指導費』 として "メンタル‑ル ス普及啓発経費20,845千円''が新規 についた」 と説明 された。文部省 はその具体的な実施方法を 「国立大学保健管理施設協議会」 に諮 った ので,同協議会 の中の 「学生 のメンタル‑ル スに関す る特別委員会」の委員 に意見 を聞 く場が設定 され た。 同特別委員会 の委員は, 中島潤子 (委員長,茨城大),津 田丞司 (高知大), 筆者 の3名 であった。中島l)による と,
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月26
日の会議 にお ける文部省 の意 向は,本 協議会発 足の起爆剤 となったオ ウム事 件 問題 を含 ま ざるを得 ない として も,積年 の課題 に少 しで も対処す るこ とであ り, 「学生 の さま ざまな 心の悩みな どに応 え,豊かな人間性 を有す る人材 の育成 を図るため」学生のメンタル‑ルスを考 えて接 す る教職員層 の拡大が主 旨であると説明 され た, とある。そのためには心理相談担 当者 のスキルア ップ‑ 7 ‑
ではな く,教職員全体 のボ トムア ップを図 ることが必要 であ り,国立大お よび高専で全 国会議 を行 い, 報告書 を作成す ることとなった。
なお,本協議会‑ の参加 に,私学を全 く除 くのは問題 であるとの認識 は当初か らあったのであるが, その後,本協議会 が 日本 学生支援機構の主催 に移行す る平成
1 6
年度 までは,予算執行 上の問題等 か ら私 学の積極的参加 は無いままに経過 した。3 運営委員会での討議 1)平成
8 ‑1 1年度
平成 8年 8月29日,第 1回運営委員会 (山上会館 )が開かれた (以下, 9月
1 0
日付 メンタル‑ル ス 研究協議会 ・第1
回運営委員会のメモお よびその後 の報告 ・協議事項 :中島,に よる)0まず ,会 の名称 で あるが,"メンタル‑ ル ス研修会" "カ ウンセ リングマイ ン ド ・ワー クシ ョップ (CMW)''な どの案 もあったが,「メンタル‑ル ス研究協議会」 となった。実施要項 の主 旨は当初 「体 験学習 を主 とす る」 となっていた ものが 「協議 を主 とす る」 に変更 され, 「学生のメンタル‑ル スに 関す る参加者相互の研 究討論 を通 じて,支援活動の普及 と啓発 を図 るこ とを目的 とす る」 となった。
また,分科会形式で行 い,会場 を虎 ノ門パ ス トラル とす ることが決定 された。開催 日の迫 る中,同会 場 を
1 2
月1 2
,1 3
日に確保 で きた ことは幸運であった。平成9
年度 の開会の辞で中島は 「文部省 は,研 修会ではな く 『研究協議会』 であるとく り返 し言 われ ま した。 とい うことは,学生 に直接接 してお ら れ る教職員 の中枢 的な立場 にお られ るみ な さま と,討論のお世話 をす るスタッフ, これ は保健 管理センターや学生相談室でカ ウンセ リングに当たってい る専門家 とが,同等の立場 に立 って経験 と知恵 を 出 し合い,学生の心の健康 を 『大学の規模 で考 えること』だ と私 どもは理解 しま した」 と述べてい る 2'。 当時の文部省 の真意 がその よ うであったか否 かは定かでないが,会 の名称 か らいって研修 以上 の
ものを期待 していた こ とは確 かであろ う。
本 協議会 の運 営組織 と して,先の特別委員会委員
3
名 に新 たに8
名 の委員 を追加 した。 参加 対象 者 について検討 した結果,予算上の制約 を考慮 し,国立大学は各大学教官1
名,事務官1
名 (教官 は 学生委員 ・厚生補導委員 ・学生生活委員 な ど,学生 と直接接 した り相談 にのった りしてい る者 ,事務 官 は学生部 の課長 または課長補佐相 当の職 にある者),国立高専は各 高専か ら1
名 (国立大学 に準 じ る者 で,教官または事務官 の1
名) とした。分科会 開催 時の参加 メンバーは,教官 と事務官 を分 ける べ きであろ うとの意見か ら,平成8
年度 は両者 を分 けた分科会 とした。 しか し翌年 の平成9
年度 には 両者 を分 けず に実施 し,教官 ・事務官各 々の視点か らの意見を交 えた協議 は齢酷 を生む ものではな く, 経験の共有 とい う点 において もよい とい う結果が得 られ,以後 ,両者 を分 けての分科会 は行 われ な く な り,平成1 2
年 までほぼ同 じ形式で運営 された。平成
11
年1 0
月 には,発 足後3
年間の成果 を総括 し, 「メンタル‑ル スか らの高等教育‑ の中間提言〜21
世紀の人間形成 に向けて〜」
を,メンタル‑ル ス研究協議会運営委員会お よび国立大学等保健 管 理施設協議会 メンタル‑ル ス特別委員会 の編集 で作成 した3)02 )
平成1 2 ‑1 4
年度平成
1 2
年6
月1 4
日に,文部省 高等教育局 ・大学 における学生生活の充実 に関す る調査研 究会 か ら「大 学にお ける学生生活 の充実方策 について 一学生の立場 に立った大学づ く りを 目指 して‑」
(通称 ,庚 申 レポー ト4 ' )
がだ され た。筆者 も作成 に参加 したが,同 レポー トは大学の学生支援 のあ り方 に大 き なイ ンパ ク トを与 えた。例 えば 「なんで も相談窓 口」設置の必要性 を説 いたことで,国立の数大学 に‑ 8 ‑
学生支援専門員がおかれ るよ うになった。 その後 も現在 まで に,同様 の機能 を持つ窓 口 ・相談室や専 門員の設 置 ・配置校 が増加 した。
平成1
2
年7
月の運営委員会 において は,文部省 か ら本 協議会 を全 国 を7
ブ ロックに分 けて開催す る方針 と,学生支援専門員 の研修 を本協議会で行 う旨が提案 された。検討の結果,ブ ロック別 に開催 す るが4
年 に1
回は全国大会 とす ること,運営委員会 は,全体の運営方針 を決定す る本部運営委員会と各地 区実行委員会 の
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系統 とす ることとした。3 )
平成1 5
年度平成
1 5
年12
月1日第 2
回本部運営委員会では議事 に先立 ち,文部科学省 か ら,国立大学 ・高専の法 人化 に伴 う本協議会 に係 わ る今後の実施方法お よび予算要求等 について説 明があった。法人化前 は国 立大学 ・高専に対 して予算配分が可能で あったが,法人化後 は各校 の裁 量に委ね られ ることにな る と い う点が大 きな変更点 として示 された。 各地 区の進捗状況報告では,学生窓 口の実践的話題やハ ラス メン トの話題 に関心が高い ことや,学生支援専門員 の取 り扱 いが各校 で大 き く違 うこ とな どが話題 と なった。 また,報告書のCD
化が実施 され ることとなった。平成16
年・20
年度 は,予定通 り全国大会 を行 うこ とが確認 された。4 )
平成1 6
年以降平成
1 3
年〜平成1 5
年 まで は文部科学省 が主催者 であったが,平成1 6
年度か らは 日本学生支援機構 の 主催 となった。平成16
年度 の本協議会が文部科学省 に後援依頼 を正式 に提出 していなかった ことが手 続 き上の問題 となった。 法人化 に伴 う後援手続 きの必要性 を本協議会が認識 していなかった こと,ま た文部科学省 か らの碍導 もなかった ことな どの結果 と考 えている。以後,主催が 日本 学生支援機構お よび地 区当番大学,協力が国立大学法人保健管理施設協議会お よび文部科学省 となった。現在の間穎 点の一つ に,法人化前 は参加 のなかった私立大学等 の参加 を,予算お よび会場 な どの制限の中で どこ まで可能 にす るかがある。平成17年 には,メ ンタル‑ルス研 究協議会運営委員会 ,国立大学法人保健管理施設協議会 メンタ ル‑ル ス委員会編 の 「メンタル‑ル スか らの高等教育‑ の提言
( 2005)
一 大学法人化 時代 のキャンパ ス ・メンタル‑ルス」
を作成 した5)。今後 ,提言の内容 が評価 され実行 され ることを望む。5 )
テーマおよび講演な どか らみた変遷メンタル‑ルス研究協議会のテーマ は,平成
8
年 「学生 のメンタル‑ルスの現状 と課題 ・学生のメ ンタル‑ル スの支援体制 の在 り方」,平成9
年 「人が育つ キャンパ ス ライ フをめ ざして一 生 き方 を模 索す る機 能の充実‑ 」,平成1 0
年 「人が育っ キャンパスライ フの充実 に向けて」 の よ うに,発 足初期 は現状の把握 とシステム構築 に向けた ものが主であったが,最近 は,平成16
年 「国立大学 ・高専の法 人化 と学生支援」,平成17
年 「変革期 を迎 えた大学運営 とメンタル‑ル ス支援」平成19
年 「全入時代 とキャ ンパスライ フ」
と,更 に社会の変化 に即 した体制つ く りを 目指す と共 に,実際の学生対応 に関 す るケース検討な ど支援 の実際についての研 究協議 が 目立つ。全 国大会 の基調講演 タイ トル を見て も,平成
8
年 「これ か らの大学教 育〜学生 の志 と学問につ い て〜 (大阪大学長 ・金森順次郎)」,平成9
年 「今 日の学生 と大学〜学生 は大学に何 を求 めてい るのか〜 (名 古屋大学副学長 ・森正夫」 か ら,平成
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年 「人間力 の理念 と実践 (国立情報学研究所所長 ・末 松安晴)」 とな り,同年 シ ンポジ ウムのテーマ も 「法人化 時代にお ける学生支援」 であったっ 各地 区 において も講演お よび シンポジ ウムは盛 んに催 され,最近は ロールプ レイ を取 り入れた実践的研修 も 行 われ るよ うになってい る。‑ 9 ‑
4
断案並 び に結語本 協議 会 が これ まで にな し得 た業績 をま とめ る と,第
1に 「
教職 員 の メ ンタル‑ ル ス に対 す る関心 の 向上」第2に各校 の学生支援 体制 の整備 」 が ある。 特 に,高専 において は本協議会発 足 の平成 8年 当 時 ,学生相談室 のあ る ところは数校 に過 ぎなか ったが,現在 は全校 に設 置 され てい る。 平成1 4
年 に開校 した国立沖縄 工業高等専 門学校 にお ける学生支援 の理念 では, メ ンタル‑ル スの重要性 が強調 され た も の となってい る6)0平成
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年度 のテ ーマ は 「全入 時代 とキ ャ ンパ ス ライ フ」 で あ る。 全入 時代 の現 象 と して入 学 定員割 れ が あ り,で きる限 りの定員確保 の結果 , よ り手厚 い支援 ,特 にメ ンタル‑ル ス面 での支援 を要す る学 生 の割合 が急 速 に増加 してい る高専 ・大学等 が ある。 高等教 育 にお ける学生支援 は戦後 アメ リカ か ら導 入 したS PS( S t u d e n tp e r s o n n e ls e Ⅳi c e s )
に基づいて実施 され て きたが,取 り組 み の実態 は主 にハ ー ド 面 が 中心の与 え る支援 で あった。庚 申 レポー トにお いて 「学生 の人 間的成長支援 が重要 で あ り,学生 中 心 の大学運営 がな され る こ と」 を提 唱 し,多 くの高等教 育機 関か ら受 け入れ られ た。S PS
は学生支援 の 基本 的枠組み と して現在 も重要 で あ ることに変 わ りはないが,社会構造や学生生態 はそ の時 々で変化す る ことを踏 ま え,学生支援 ,特 にメ ンタル‑ル スに関 して は成長 モデル に よる成長支援 体制 の構 築 が よ り一層 求 め られ てい る7)。 そ のた め には,教職 員 ,特 に学 生支援担 当者 の レベル ア ップ,経験 の相 互共 有 ,科学的根拠 に基づ く対策 ,学生一 教職員信 頼 関係 の構築 とともに,学生 ,保護者 ,社会 の高等教育 機 関へ の要望や期待 と,教育機 関 との間のア ジ ェンダの承離 のない相互理解 が重要 で あ るこ とを強調 し たい。参考 文献
1 ) 中島
潤子 :メンタル‑ルス研究協議会からの報告‑ どのように考えて運営されたか‑.大学 と学生,40 0: 5 6 ‑ 5 9 ,1 9 98
2) 中島
潤子 :開会の辞.平成9 年度
メンタル‑ルス研究協議会報告書.pl ,1 9 9 8
3)
メンタル‑ルス研究協議会運営委員会,国立大学等保健管理施設協議会メンタル‑ルス特別委員全編 :メンタ ル‑ルスか らの高等教育‑の中間提言〜21世紀の人間形成に向けて〜.国立大学等保健管理施設協議会発行,1 99 9
4)
文部省高等教育局 :大学における学生生活の充実方策について‑学生の立場に立った大学づくりを目指 して一, 大学における学生生活の充実に関する調査研究会,20 0 0
5)
メンタル‑ルス研究協議会運営委員会,国立大学法人保健管理施設協議会メンタル‑ルス委員全編 :メンタル‑ルスか らの高等教育‑の提言(