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1懸 無 責任

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〈研 究 ノー ト〉

権 威 の 状 況

一R .ポ ラ ン の政 治 哲 学 五 一

白 石 正 樹

1懸 無 責 任

一・ 権 威 の 生 成

レーモ ンaポ ラ ンに よれ ば 、権 威 の状 況 は 、 次 の よ う に 自由 の可 能 な知 的 諸 存 在 の社 会 的関 係 を 前提 にす る もの で あ る。一 す なわ ち 、 ひ とは 己 の 主 人 た り う る し、 自身 を 自 ら統 治 しう る。 ひ と は 自分 の欲 望 、 情 念 を支 配 し、 自分 の 行 為 を意 欲 に一致 させ 、 そ の 諸原 因 を制 御す る こ と がで き る。 しか し、 そ のた め に 、 ひ と は 自分 自身 に対 して権 威 を もっ と い う こ とに は な らな い し、 そ の よ うに 言わ れ る こ と も な い。権 威 は他 者 と の関 係 、 似 て い る と とも に 区別 され る 二 人 あ るい は数 人 の 個 人 を結 び っ け る、本 質 的 に社 会 的 な関 係 を示 して い る。

彼 らは知 性 と意 志 の 能 力 が あ る とい う点 で似 てお り、各 自 自律 的 な反 省 と行 動 の能 力が あ る と い う点 で 区別 され る。権 威 は 互 い に影 響 を与 えた り働 きか け た り しう る諸 存 在 の間 に、 非 決 定 性(未 確 定 性)の 余 地 の持 続 す る こと を想 定 す る。 さ も な けれ ば、 そ れ は機 械 論 的 な決 定 の 体 系 に帰 して しま うで あ ろ う。 こ う して 、権 威 は、 いか ん と も しが た く知 性 と 自由 を授 け られ た諸 存 在 の間 で し

it

か 意味 を もた な い と言 って も過 言 で ない。

ひ とは事 物 、 動産 、 土 地 に対 して権 威 を もた な い。 ひ とは事 物 を 自 由に使 い 、 動 産 を所 有 し、 土 地 の 所 有 者 で あ る。 す なわ ち、 ひ とは それ らを使 用 した り濫

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用 した りす る能 力 、 場合 に よ って は権 利 を享 受 す る。 ひ とはた しか に人 間 を事 物 の よ う に扱 い う る。 ひ とは彼 らを所 有 した り利 用 した り しう る。 しか し、 そ う した こ とは権威 の形 式 を構 成 しない。戦 勝 者 は敗 北 者 を意 の ま まに しう る し、

彼 を生 き て い る事 物 で あ るか の よ うに扱 い う る。 戦 勝≡者 は敗 北 者 を鎖 につ ない だ り、 殺 した りす る 力 を も って い る。 しか し、戦 勝 者 は まだ後 者 に対 して権 威 を もた な い。 そ の反 対 に、 主 人 は そ の奴 隷 に対 して 、主 人 が彼 に相 対 的 な 自律

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とそ れ を 了解 的 に用 い る能 力 を認 め る と き以来 、権 威 を もっ 。

ポ ラ ン は 、 知 能 と意 志 を授 与 され た 諸 存 在 の あ らゆ る 集 合 的 実 存 は 、協 力 (collaboration)を 内 包 して い る と 言 う。 共 存 はす で に それ 自体 に よ って 協 力で あ り、 またす べ て の協 力 は 目的 論 的 な組 織 を な して い る。 そ の最 小 限 の 目 的 は少 な くと も、 この よ う に して構 成 され た全 体 の保 存 で あ る。 この協 力 の枠 組 み の 中 で 、 分 業 、任 務 の割 当 て 、共 同生 活 の 多少 とも拡 散 した 、 ま た は多 少 と も合 理 化 され た組 織 が 確 立 され る。 そ こか ら諸 々の差 異 が 現れ 、 諸 々の ヒエ ラル キ ー が 形 成 され る。 また 、そ こに は指 導 的機 能 がぜ ひ と も必要 で あ る。 あ らゆ る共 同 の実 存 、 あ らゆ る共 同 の仕 事 は、不 平等 と従 属 と を もた らす。 集 団 の メ ンバ ー が 分 化 され る程 度 に応 じて、 彼 らは支 配 的諸 権 力 へ のそ の 参加 に比 例 して権 威 を獲 得す る。 こう した権 威 の関 係 は 、 集 団 の 中で もっ れ て諸利 益 の 体 系 を二 重 にす る一 っ の体 系 を形 成 す る。 しか し、 い か な る関係 も一 方通 行 で は な い。 主 要 な方 向で行 使 され る権 威 の関 係 は 、相 互 的 関係 な しで は 働 か な い が 、 そ の相 互 的 関係 も また 、前 者 を制 約 す る従属 的 で潜 在 的 な権威 の関係 で あ る。 それ は一 つ の支 え を前者 に与 え るが 、 しか し多 分 いつ の 日か 前 者 に取 って 代 わ るで あ ろ う。 教 師 の 弟 子 に対 す る権 威 、 また 主 人 の奴 隷 に対 す る権 威 も、

この よ う な も の で あ る。 主 要 な権 威(L'autoritemajeUre)は 、 二 次 的 諸 権 威(autoritessecondes)の 重 さ の釣 り合 い に支 え られ 、後 者 は前 者 に抵 抗 し

なが ら、前 者 の存 在 を保 証す る。 ポ ラ ンに よれ ば 、絶対 的権 威 は 、 それ が 廃 止 され る と きを 除 い て 、す なわ ち、 それ が そ の本 来 絶 対 的 なカ ー 死 ぬ ことで あ るが 一 を行 使 す る と きを 除 いて存 在 しな い。 また 、原 初 的 と いわ れ る諸社 会 に適 用 され る 同質 性(homogeneite)の 観 念 は 、 そ う した 社 会 の極 め て構 造 的 な性 質 や 、 分 類好 きな適 性 を なお ざ りにす る と ころ の、 一 つ の欺 隔 で あ る。 そ して 、 ひ とが 「歴 史 の終 わ り」 と い う仮 定 的 な人 間社 会 に それ を 適用 す る と き

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権威の状況229

には 、 それ は も はや あ らゆ る共 存 や 協 力 と一 致 しな い、 間 違 って理 解 され た 平

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等 の 、 また 純 粋 な無 秩 序 の 、神 話 的 で 混 乱 した 象 徴 しか 形 成 しな い。

ポ ラ ンが 指 摘 す る よ う に、社 会 状 況 の最 も単 純 な も ので あ る他 者 の現 前 は 、 類 似 して い る と同時 に区 別 され 、類 似 して い る と同時 に異 な った 他 人 の 現 前 と して感 じ取 られ る。一 彼 は 知 能 と意 志 が 可能 で あ るか ら類 似 して お り、 そ れ らにつ い て なす 自由 な使 用 に よ って異 な り区 別 され る。 す で に この 基礎 的 な社 会 状 況 か ら、権 威 の傾 向 を も った 関係 が現 れ る。 権 威 は 、類 似 性 にお け る差 異 の多 少 と も明確 な 自覚 か ら帰結 す る。 なぜ な ら、 そ う した 状 況 か ら、相 互 的 で あ るが 、 しか し必 ず しも釣 り合 いの とれ な い影 響 関係 が 現 れ るか ら。 そ う した 差 異 は単 に受動 的 に確 認 され 、 忍従 され るので な く、望 まれ 、探 求 され 、 は ぐ

くまれ る。 それ は 、他 の人 々が権 威 の形 式 の も とに 自覚 す る 自由 の仕 業 を表 現 す る。 なぜ な ら、権 威 はそ う した 諸hの 影 響 の 「自覚 」 や 、 それ らの意 味 や 価 値 の 「承 認 」 か ら生 まれ るか ら。 人 間性 質 にお い て権 威 は 、 それ が 他 の人 々か ら独 立 してお り彼 らに対 して行 使 され るだ け に 、 ます ます よ くそ の独 創 性 に お い て考 え 出 され ると ころ の 、 自 由の 現前 に応 答 す る。 一 彼 らに よ って 、 そ の 他性(alterite)に お いて 、 また そ の価 値 に お い て一 層 よ く認 め られ るた め に。

そ の特 殊 性 にお け る 自由 の承 認 は、 そ の なか に そ の栄 光 、威 信 、権 威 に お け る 自由の承 認 を伴 って い る。 社 交 的 で あ る こ とは 、類 似 して い る と同時 に異 な っ て い る他 人 を本 質 的 に必 要 とす る。 人 間 の社 交 性 は 、類 似 性 に お い て と 同時 に ヒエ ラル キ ー にお い て表 現 され る。 っ ま り、諸 価 値 の差 異 は 、権 威 の割 当 て を 引起 す ので あ る。権 威 は 、集 団 の構造 か らと同時 に 、個 人 の主 張 され 承 認 され

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た特 殊 性 か ら生 まれ る。

言 い換 えれ ば、最 も基 礎 的 な社 交 性 の 関係 も、不 平 等の 関係 を含 ん で い る。

ル ソー は 、社 会 的絆 が依 存 の絆 を形 成 してい る こ と、 そ して あ らゆ る社 会 的存 在 は不 平 等 の規 準 を保 証 して い る こと を十 分 に感 じて い た 。共 存 す る こ と、 そ して なお ま た協 力す る こ とは 、類 似 性 の背 景 の上 に差 異 、 不平 等 を認 め る こ と で あ る。 ポ ラ ンに よれ ば 、権 威 は 、社 交 性 と一 体 と な り、 そ う した もの と して

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体 験 され 承 認 され 、 実 際 に 同意 され た 、 か か る不 平 等 以外 の何 物 で も ない 。 自己 の そ ばで の 、 別 の意 欲 の現 前 、 知 的 で 自律 的 で彼 自身 に属 す るそ の 実存 と不 可分 な意 欲 の現 前 は 、 そ の唯 一 の事 実 か ら影 響 の相 互 的 関係 、道 徳 的圧 力

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それ はす で に権 威 の関 係 を なす 一 を引 起 す に十 分で あ る。 一 つ の 意志 の 、 他 の 意 志 に対 す る こう した 影 響 は 、機 械 論 的 決 定 で も 、身 体 的 自然 の興 奮 で も

な い。 そ れ は意 味 に満 ちた 一 つ の 状 況 を構 成 す る。 それ は多 少 と も明 白 な理 解 力 の媒 介 に よ って行 使 され 、 また 忍 従 され る行 動 を表 現 す る。 権 威 の 関係 は 、 知 性 の 可 能 な 諸存 在 を諸 々の意 義 の複 合 の 中へ と結 合 す る。 そ こで は 各 人 は 、 彼 固有 の状 況 を他 人 の それ と の関 連 で 考 慮 に入 れ る。一 他 の人 々を 、彼 が他 者 の視 点 で あ ると見 なす ことか らと同様 、彼 固 有 の視 点 か ら考 察 しっ っ 、 また 、 彼 らの不 測 の 変化 を統 べ る推 定 され た意 図 にお い て と同様 、 彼 らが 現 にそ うで

あ る こ とに お い て考 察 しっ っ 。 権威 は、 受取 られ た状 況 と の関 連 で そ の意 味 を もつ のみ な らず 、 また よ り一 層 、 ひ とが 最 も有 り う る と考 え る状 況 と の関 連 で そ の意 味 を もっ 。権 威 が そ の諸 要 素 の一 つ と な る行 動 の よ う に、 権 威 は未 来 の

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た め に あ る 。

権 威 ・自 由 ・責 任

ポ ラ ンに よれ ば 、権 威 の状 況(unesituationd'autirite)を 構 成 す る諸h の意 義 の網 の 目(rreseaux)は 、 実 に多 様 な図 式 に依 存 しう る。例 えば 、 それ が 一 層 合 理 化 され た構 造 に か かわ るだけ に、 一 層 明 白な 目的 論 的 計 算 が 問題 に

な る場 合 が あ る。 また 、 多少 とも承 認 され 多 少 と も広 ま った 諸 価 値 に対す る、

共 同 の あ る いは 一方 的 な従 属 が 問題 に な る場合 が あ る。 また 、 暗 黙 的意 味 に 富 んだ 欲 望 や 情 念 の働 きの 、感情 的状 況 に参 加 す る ことが 問題 で あ る場 合 が あ る。

こ う した 諸 々 の意 義 の網 の 目は 、重 な り合 い、 もっ れ あ い、 反 対 しあ って 、 一 層 複 雑 な網 の 目に組 み 立 て られ る。

こ う して形 成 され た 諸 々の 意義 の複 合 の、 一 貫性 の程 度 は 問題 で は な い。 対 話 者 の 各hに と って、 支 配 的 な意 義 は 、た ん に体 験 され 働 き か け られ る のか 、 情 動 な い し情 念 の中 で 感 情 的 に確 か め られ るの か 、 それ とも 明示 的 に熟 慮 され 計 算 され る のか は問題 で ない。 自覚 の様 態 や 程 度 は 、 お そ ら く権 威 の構 造 や基 礎 を変 え る こ とに な る。 それ で もや は り次 の こ とに 変わ りは ない。 す なわ ち、

分 析 す れ ば権 威 は、理 解 され た 諸意 義 の一 致 に、 また 諸 意義 の総 体 の、 認 め ら れ 同意 され た(そ の 同意 の理 由が何 で あれ)理 解 に帰着 す る。 他 方 にお いて 、

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権威の状況231

体験 され た有効 な理 解 が 、実‑¥は 、外 見 的で 明 示的 で あ るが空 しい理解 と異 な っ てお り、 また ニー チ ェや フ ロ イ トの分 析 が しば しば それ を暴露 した よ う に 、 そ う した理 解 と矛 盾 しさえす る こ とは 問題 で は な い。 仲 間 た ちの理 解 の事 実 上 の 一致 が 、異 な った ち ぐは ぐです らあ る諸 意 義 にっ い て の 、彼 らの多 少 と も盲 目 的 な理 解 の収敏 の結 果 で あ る こ と さえ 問題 で は ない。 実 際 、例 え ば 、一 つ の契 約 が 明示 的 な法 律 の用 語 で 作 成 され て い る こ とが 分 る と き を 除 き、 「明 瞭 な状 況 」 は ほ と ん どな い。 権威 の 大部 分 の状 況 は、 混 乱 し多 価 的 で あ い ま い な諸 意 義 との 関連 で 整 理 され る。 仲 間 た ちの各 々は、 自分 の流 儀 で それ らを理 解 す る ので あ り、 また そ れ に続 く均 衡 は 、沈 黙 や 無 理 解 さえ そ の か な りの役 割 を果 た す と ころ の相 殺 の結 果 で あ る。

権 威 はそれ で も なお 、基 本的 に意味 の多 少 と も明 白 なまた は拡 散 した 「伝 達 」 の中 に、 またそ の 意味 の 多 少 とも適切 で あ るが 多 少 と も空 しい 「理解 」の 中 に 、 また 一 人 また は幾 人 か の支 配 的 な意 図 の近 くへ の 諸意 図 の 「収 敏 」 の 中 に 、 そ

して最 後 に 、彼 らの 中 の一 人 また は数 人 の支 配 的 意 図 の近 くへ の諸 意 図 の収 敏 か ら発 して 、複 数 の人 々 に よ る、 多 少 と も仕 上 げ られ た作 品 の 「実 現 」 の 中 に

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存 す る。

だ か ら権 威 は 、 そ の 手 段 を 記号(signe)の 中 に 、 また そ の 特 権 的 手 段 を 明 白 に表 現 され た 諸 意 義 の最 も大 き な密度 を帯 び た 記号 の 中 に、す なわ ちパ ロー ル(言 葉 、 と くに音 声 言 語)の 中 に見 出す 、 とポ ラ ンは指 摘 す る。 権 威 は 言語 活 動(langage)を 必 要 とす るので あ る。 す べ て の 言 語 活 動 は それ 自体 の うち に権 威 を も ってお り、そ の使 用 はた とえ効 果 的で な い と して も 、権威 を授 け る。

8}

権 威 は 語 に よ って表 現 す る。極 限的 に は 、神 的 な 「光 あ れ よ」(factlux)の う な幾 っか の語 の中 で 、 権 威 は 当然 、 この上 も ない行 動 、創 造 と一 体 化 す る。

権 威 の伝 達 手 段 で あ るパ ロー ル は 、 人 間 の人 間 に対 す る行 動 の特 有 の しる し 提 案 され 解 釈 され た 記 号 の媒 介 によ って 、知 的 自由 に対 して行 使 され 、 か つ そ の 反作 用 を被 る、知 的 自由 の行動 の 特有 の しる しで あ る。 パ ロー ル の あ ら ゆ る交換 は 、 お そ ら くよ り科 学 的 で 客観 的 な言 説 が 問題 で あ る場 合 に は それ だ け少 な いが 、実 践(pr8tique)一 す なわ ち、 そ の 言 説 が 諸 行 為 者 の個 人 的 現 前 と切 り離 せ ない 自 由の 領域 一 が 問題 で あ る場 合 に は そ れ だ け 多 く、 現 前 す る諸権 威 の対 決(uneconfrontationd'autaritesenpresence)を なす の で あ

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る。

言語 の使 用 に よ って 、権 威 は決 定 の あ らゆ る 自然的 力か ら免 れ 分 か れ る。 同 時 に 、権 威 は それ が 向 け られ る人 々 を、 そ う した 自然 的 力か ら免 れ させ る傾 向 が あ る。 それ(権 威)が 織 り な し、 そ れ が 向け られ る人 々が そ の結 節 点 を なす 諸意 義 の網 の 目は 、 自然 的 決 定 の網 の 目に対 して超 越 的 で あ る。 そ の網 の 目は 、 永 遠 に や り直 され る反 復 と解 釈 で あ る。 そ れ は 言 説 の 世 界(runiversdu

discours)の 次 元 で 確 立 され る。 それ は理 解 され る場 合 に しか 、 また理 解 す る 人 々 に と って しか存 在 を もた ない。 こ う して、 他 人 に関 して 、 いっ も結 局 自分 以外 の も ので あ る事 柄 に関 して 、 ひ とが 自 ら理 解 し決 心 す るよ うに呼 出 され 招 かれ ると ころの知 的 状況 が、 物理 的 型 の決定 に対 して置 換 え られ るの が分 か る。

ポ ラ ンに よれ ば、権 威 の驚 くべ き働 きが そ こにあ る。 なぜ な らば 、 それ が 他 者 の 解 釈 的 決 定 に一 層 従属 す る場 合 に 、 また そ れ が他 者 に そ の しる しを解 釈 し 理解 す るた め の一 層 の行 動 の 自由 を委 ね る場 合 に、 それ は それ だ け一 層 効 果 的 で あ るか ら。 権 威 は 、 本性 に よ り各hそ れ 自身 に よ って 、 か っ それ 自身 に対 し て しか 従 属 しな い と こ ろの 、 諸 自由 に対 す る唯 一 の 可能 な行 動 で あ る。 そ れ は つ ね に拒 否 され る可 能 性 が あ るゆ え に 、 も しひ とが 高値 を っ け るの を受 入 れ る 場 合 に は 、結 局 、 一 っ の権 威 は っ ね に 自由 に認 め られ る。 あ らゆ る権 威 は潜 在 的 抵 抗 、 拒 否 の可 能 性 を含 ん で い る。 知 的 な諸 自由 に対す る働 き と して 、権 威 は 、 それ に意 味 を帰 しそれ に価 値 を認 め る人 々に よ って、 また そ う した人hの

た め に しか存 在 しな い。

権 威 は ま さ し く一一つ の 自 由の た め の一 つ の 自由 の存 在 様 式 、 自 由の 可能 な諸 存 在 が互 い に、か れ らが 心 に抱 く記 号 を通 して存 在 す る仕 方 で あ る、 とポ ラ ン は考 え る。 権 威 とは、 行使 され る 自由、 実存 の決 め られ た 特殊 な形 式 に達 す る 自 由で あ る。 それ は一 っ の 意 味 を取 りっ っ 、作 り上 げ られ 課 され る。 自由は 自 由 が 自 らに与 え る意 味 に よ っての み 、 また ひ とが それ に認 め る意 味 に よ って の み 存 在 す る とい う こ とを、 これ 以 上 よ く見 出す こ とは決 して な い。

権 威 は そ れ ゆ え 、そ れ が 理 解 され る次 の瞬 間 の た め に しか 、 っ ま り将 来 の た め に しか 存在 しない。 そ の介 入 は人 々 の間 の 関係 を 、彼 らの現在 の前 方 に、 つ ね に遂 行 す べ き将 来 の 中 に押 し返 す。 彼 らが 自由 で あ る程 度 に応 じて、 人 々は 一 緒 に現 在 の瞬 間 に住 む ので な く、 未来 に住 む。 彼 らは予 想 され るお か げ で の

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権威 の状況233

み 、 お 互 い の こと を考 え る。権 威 は 、 そ うあ るで あ ろ う こ とに か か わ る。 そ れ は、 そ うあ るで あ ろ う こ と を なす の に貢献 す るが 、 しか しそれ は各 瞬 間 に、状 況 の変 貌や なされ るで あ ろ う こ とに依 存 す る。 そ の こ と に よ って 、 それ は 不確 実 と不 安 定 の新 しい関係 を導 入 す る。 そ れ は あ りそ う な諸 意 見 にっ い て の 一 つ

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の 推 量 に す ぎ な い と も い え る 。

ポ ラ ン に よ れ ば 、 語 源 学 は 、 権 威(auct(漉 αs)が 作 者 の 資 質(laqualit6

Y2)

de1'auctar)で あ る こと を説 明 して い るよ うに思 わ れ る。 しか し、 そ の こ とは 作 られ た作 品 が 集 合 的 で あ り、 また 作 因 で あ る作 者 の各 々が 自 由に そ の製 作 に 協 力 す る と きか らよ うや く真 実 に な る。 さ らに 、 そ の ラ テ ン語 は 一 つ の共 同 で 遂 行 され る任 務 や 、 そ の 作 者(α%C≠07)す な わ ち そ の 「先 導 者 」 や 責 任 あ る

保 証 人 」 を考 え て い る。 そ れ は個 人 的 作 品 とそ の 作 者 か ら発 す る。 彼 は そ れ を作 った か ら、 そ の作 品 が 彼 の産 物 で あ るか ら、 そ の 主 人 で あ る し、 また こ う して彼 は そ の作 品 に所 有 権 を もっ 。 次 い で 、 それ は 集合 的 作 品へ 移 るの で あ る が 、作 品 の所 有 権 を そ の 本 当 の作 者(auctoY)に 、 す なわ ち作 品 の 原理 に従 事 し、 か っ そ の遂 行 の指 揮 権 と責任 を 帯 び た 者 に認 め る配 慮 を も って 、 で あ る。

共 同作 品 の他 の作 因 は、 た とえそ の外 見 的作 者 た る労 働 者 で あ って も、実 行 者 、 参 加 者 、 道 具 と 見 な され る。 一 方 に お い て 、 権 威 は 、0つ の 自 由 な権 力(un Iibrepouvoir)、 す なわ ち他 者 へ 働 きか け る権 力 を 伴 う と こ ろ の 「先 導 」 と

「産 出」 の権 力 を表 現 す る。 なぜ な ら、他 人 は作 品 に参 加 し二 次 的役 割 を果 た しっ っ も、必 然 的 に作 者 と の関係 で は不 平等 と従 属 の状 況 に身 を置 くか ら。協 力 す る こ とは 、不 平等 、 従 属 、権 威 に同 意す る こ とで あ る。 他 方 に お い て 、 作 者 は、 自己 との関 係 で 、 また他 の 人hと の 関係 で 、一一つ の 「義 務 」 を 自分 に認 め る。 それ は作 品 を よ い結 末 に導 き、 そ の保 証 人 に な る リス クを 引 き受 け 、 そ

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して 、 彼 の 指 導 方 針 の 下 で な され た こ と の 全 体 に 責 任 を 負 う.,,̲;で あ る。

と こ ろ で 、 権 威 は 正 統 的 権 力(unpouvoir16gitime)と し て 課 さ れ る こ と を 求 め る。 権 威 は 指 揮 し、 命 令 し、 必 要 な場 合 に は 強 制 に よ っ て 秩 序 を も た ら す 権 力 を 要 求 す る 。 ポ ラ ン に よ れ ば 、 権 威 は 、 そ れ が そ の 作 者 ・原 理 と な る作 品 や 秩 序 に 参 加 す る と こ ろ の 、 従 って ま た そ う した 作 品 や 秩 序 の 中 に そ の 諸 要 素 の 一 つ と して 含 ま れ て 見 出 さ れ る と こ ろ の す べ て の 個 人 、 あ る い は す べ て の 集 団 に 対 し て 、 正 統 な も の と し て 承 認 さ れ た 一 つ の 権 利(undroitreconnu

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pour16gitime)で あ る。 作 品 に対 して 、権 威 は 作 者 の権 利 、 す なわ ち所 有 権 を 行 使 す る。 所 有 権 の最 良 の資 格 は 、 ひ とが所 有 す る と主 張 す る もの を生 み 出 した か 作 った こ と、 そ の作 者 で あ る こ とで は ない か。 ひ とは 一 体 何 に っ い て 、 自分 の作 品 にっ い て よ り も正 統 に所 有者 で あ りえ よ うか 。一 ひ とが それ に 自 分 の仕 事 、汗 、努 力 、 自由 を統 合 し混 合 した 限 りに お い て。 ひ とは 真 に、 自分 の 自由 の表 明 、 そ の効 果 的 で外 的 な遂 行 で あ る こ との所 有 者 で あ って 、他 の何 物 にっ い て もそ うで は な い。 そ の上 また逆 に、 自由 は、 そ う した効 果 的 な表 明 、 か くて し っか り手 中 に把 握 され う る こと、 また そ う した 作 品 の所 有 にお いて し か 存 在す る よ うに な らない。所 有 な く して ひ とは 自由 を享 受 しないで あ ろ う し、

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所 有 な く して は ひ とは 自分 自身 を奪 わ れ て 空虚 で あ ろ う。 それ は大 した ことで あ る。 なぜ な ら、作 者 の 自分 の作 品 に対 す るか か る所 有 権 は 、彼 の 自由 な実 存 の条 件 を なす か ら。 ま た 、 それ は ご くわ ず か な こ とで あ る。 なぜ な ら、 ひ とは 全 く自分 だ け で は 、 ご くわ ず か な事 柄 の作 者 、所 有 者 で あ る にす ぎず 、 また ひ

とは 、 自分 が 現 に所 有 す る もの よ りは るか にそ れ 以 上 の もの で あ るか ら。

また 、 ポ ラ ンは 、権 威 はっ ね に 冒 され た 危 険 、 な され た挑 戦 、提 案 され て始 ま った か 、 まだ 潜在 的 な闘争 で あ る、 と い う。 そ れ は対 決 、異 議 、競 争 な しで はす ま な い。 ひ とは 明 らか に 自分 が な した こ との 作 者 で あ る。 しか し、 ひ とは た だ 一 人 で 、 全 く無 か ら始 め て 、全 く他 人 な しで 、 何 をす るだ ろ うか 。 結 局 、 いか な る作 品 が 集合 的 な もの で ない だ ろ うか 。 集 合 的 作 品 のす べ て の作 因 の間 で 、 作 者 あ る い は作 者 た ちを指 定 す る こ とは恐 るべ き問題 を提 出す る、 とポ ラ ンは指 摘 す る。 コ ンサ ー トで ひ とは作 曲者 を求 め る し、 彼 を得 られ なけれ ば、

ひ と はオ ー ケ ス トラの 指揮 者 、独 奏 者 た ち、 また は そ の指揮 者 の勧 め に よ り皆 そ ろ って仕 込 まれ た演 奏 者 た ち に喝 采 す る。 伝 統 的 儀 式 の習わ し、 こ う した 場 合 に通 用 す る礼 儀 正 しさは 、 同 じ く らい単 純 な場 合 に さえ 、 可 能 な応 答 の複 数 性 、 合理 的議 論 の助 け を借 りて も縮小 しえ ない決 定 の 多様 性 を覆 い隠 して い る。

実 際 、基 準 自体 変 化 しう る し、 当然 に問題 に な り う る。 文 化 の一 作 品 が 問題 で あ る な らば 、 そ の 「発 明者 」 は 、 通 常議 論 の余 地 の ない仕 方 で 作 者 の役 割 を演 じる。 しか し、他 の ほ とん どあ らゆ る場 合 に 、 ひ とは先 導 者 、 責 任 あ る首長 、 自由 な行 為 を な した者 、 効 果 的 に指 揮 した者 、助 言 者 の 団体 、 特 に決 定 的 な役 割 を有 す る よ う な専 門家 、 沢 山 の実 行 者 た ち、 の 間で 躊 躇 す る。 例 え ば 戦場 で

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権威の状況235

は 、責 任 者 は どん な人 か 。戦 争 の首 長 た ち を指 名 した 国家 元 首 か 、名 目的指i揮 権 を もっ 者 か 、 決 定 を発 案す る者 か 、 それ を なす 者 か 、効 果 的 に指 揮 す る人 々

か 、行 動 の主 動 力で あ る人 々か 、戦 闘 者 の総体 か。 一 そ う した 観 点 や 意 見 が 、

エ5?

勝利 また は敗 北 が 問 題 で あ る こと に応 じて変 化 す るだ ろ う こ とを別 に して も。

諸 々の責 任 の基 準 は 、 ポ ラ ンに よれ ば、 しば しば不 確 実 で あ り、 異 論 の余 地 が あ る。 なぜ な ら、 それ は選好 され た 見地 に従 って、 名 目的 、象 徴 的 、法 学 的 、 拡 散 的 、集 合 的 、 そ の うえ恣 意 的 で あ り うるか ら。 実 際 、 マ キ ア ヴ ェ リが 述 べ

た よ うに 、運 ・不 運 とい った偶 然 、 出来 事 の偶 発 的 な 出会 い、 自然 的 情 況 の状 態 と連 鎖 、 また 盲 目的 に また は縮 小 しえ ない 愚 か さ に よ って な され え た す べ て の こ とに しか 依存 しない 、人 間行 動 のそ う した 半 分 に対 して、 責任 者 、 作 者 を

16)

指定 しな けれ ば な らない。 た ん に作 者 は 、 また 彼 が 決 して欲 しなか った こと の 作 者 で あ るのみ な らず 、 また 誰 も欲 しなか った こ との 作 者 で もあ る。 最 後 に 、 歴 史 的 人 間関 係 の 錯綜 した もっ れ の 中で 、 一 作 品 の 反響 は 信 じが た い 距 離 を お い て、 驚 くべ き間 隔 を お い て影 響 を もた ら し、 そ して奇妙 な変 更 の下 で 、 ず っ と前 か ら消 え て いた が 、 しか し再 び 今 日的 で有 効 的 と な った 作者 を 、 現 在 に保 っ ことが で き る。誰 で も時 間 の中 で 有 効 な、 と き には名 目的 で 、通 常 秘 め られ た 、か か る不 死 性 に参加 す る ことが で き る。 また 、 ひ とは っ ね にそ う した 作 者 の指 定 に お い て、 あ る い は幾 人 か が 非 難 す る こ とを 好 む 「私 的 な助 言者 」 「黒 幕 」 「悪 を そ そ の か す 者 」 を、 あ る い は教 育 者 を 、 また お そ ら く次 か ら次 へ と 歴 史 的 状 況 、 歴 史 的 生成 、過 去 の 全体 性 を 、忘 れ る危 険 を 冒 さ ないだ ろ うか 。 お 分 か りの よ うに、作 者 の決定 は、集 合性 にお け る諸 個 人 の役 割 を問題 にす る。

自由の哲 学 の場 合 にお い て さ え、 それ は結 局 、歴 史 哲 学 に依 存 す る こと を 、 ポ ラ ンは 認 め てい る。

そ れ に、 作者 の決 定 か ら彼 の 権威 の承 認 へ の移 行 は 、必 然 的 で な い。 しば し ば 歴 史 の み が 、っ い に は真 の 作 者 に対 して そ の あ らゆ る権 威 を認 め る こ とが で

き るで あ ろ う。 しか し、行 動 は 待 た ない し、行 動 は それ が 持 続 す る限 り、 ま た それ が合 理 的 に組 織 され れ ば され るほ ど、承 認 され た 権 威 を備 えた 首 長 、 責 任 者 を 必要 とす る。 また 、そ れ が 遂行 され るや い なや 、や は り責 任 が 回 顧 的 に割 当て られ う る作 者 を必 要 とす る。 それ ゆ え 、作 者 や 権 威 を、 また 実 際 人 々が な す こ とを 、 あ らゆ る手 段 に よ って 、 あ らゆ る異 議 申 し立 てや 不 確 実 性 に もか か

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わ らず 、 決 定 し、 解 決 し、 承 認 す る必 要 が あ る 。

正 当化 と理解

ポ ラ ンに よれ ば 、 権威 お よび権 威 の承 認 は 、事 実(desfaits)一 お そ ら く 基 本 的 な社 会 的 事 実 、す なわ ち社 交 性 の構 造 そ の も ので あ る。 しか し、権 威 の

本 質的 もろ さ、 そ の帰 属 の不 安 定 、 不確 実 も また、 事 実 で あ る。 こ う して、 ポ ラ ンが 注 意 を促 す よ うに 、権 威 はそ れ が価 値(unevaleur)と して認 め られ 、 や が て権 利(undroit)と して登 録 され る場 合 に しか維 持 され ない。 現 実 態 と して の 自 由で あ るそれ は 、諸 自由 に よ って しか 、 また た ん に諸 自 由が それ を認 め る限 りで しか 、権 威 と して存 在 しない。 自分が 自律 的 で あ る こ とを欲 す る諸 意 志 の 間 の 永続 的 対決 や 衝 突 の結 果 で あ るそ れ は、 永 続 的挑 戦 を 開始 し、危 険 を冒 し、 っ ね に脅 か され る。 自由で あ るそれ は 、諸 自由 にの み 訴 えか け る。 意 義 で あ るそ れ は、 そ れ が理 解 され る場 合 にの み 、 また た ん にそ れ が解 釈 され る 視角 の中 で のみ 存 在 す る。 未 来 へ 向 か って の投 企(Projet)で あ るそ れ は、 た ん に有 りそ う な状 況 につ い ての 賭(pari)で あ る。 予測 で あ るそれ は 、 自由が

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問 題 で あ る ゆ え に 、 極 限 的 に は 、 本 質 的 に 予 見 しえ な い こ と に か か わ る。

そ う し た す べ て の 理 由 の た め に 、 あ ら ゆ る 権 威 は 本 質 的 に そ の 正 当 化 (justification)の 問 題 を生 じ る 。 こ れ こ そ 、 ポ ラ ンが 権 威 の 根 拠 な い し基 礎 の 問 題 と して 把 握 す る も の で あ り 、 そ れ を め ぐ っ て 社 会 的 、 哲 学 的 考 察 が 試 み られ る こ と に な る。 さ て 、 一 つ の 権 威 に と っ て 、 存 在 す る と は 、 そ れ が 根 拠 の あ る(fondee)こ と を 認 め さ せ る こ と で あ る 。 そ う し た 資 格 で の 基 礎 (fondement)は 、 因 果 関 係 的 決 定 を 回 復 し倍 加 しう る が 、 しか しそ れ を 超 越 す る た め に 、 で あ る。 そ の 基 礎 は 因 果 関 係 的 決 定 の よ う な事 実 の 秩 序 で な く、

価 値 の 秩 序(ordredesvaleurs)で あ り 、 よ り 特 殊 的 に は 、 権 利 の 秩 序 (ordredudroit)で あ る 。 なぜ な らば 、 諸 自 由 に よ っ て 、 ま た 諸 自 由 の た め に しか 基 礎 は な い か ら。 そ し て権 利 は 、 他 の 人 々 に と って 自 由 の 存 在 様 式 で あ る。 そ う した も の と して 認 め られ た 最 初 の 創 造 が 問 題 で あ る に しろ 、 ま た 評 価 や 、 事 実 の 状 態 に一 つ の 価 値 を 認 め る行 為 、 場 合 に よ って は そ れ を 一 つ の権 利 と して 認 め る こ とが 問 題 で あ る に しろ 、 基 礎 づ け う る の は 自由 の 行 為 しか な い 。

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権威の状況237

しか し、権 威 が問 題 で あ る と き、基 礎 の観 念 はた ん に一 つ の権 利 問題 を生 じ る ので は ない。 そ の観 念 は 、 服 従 させ る権 利 と同時 に、 効果 的 に服 従 を導 く能 力 を含 ん で い る。 権 威 は、 そ れ に対 応 す る服 従 す る義 務 が 同 様 に根 拠 の あ るの が 判 明す る とき 、根 拠 が あ る。 そ の結 果 、絶 対 的 権 威 は な い、 す なわ ち絶 対 的 に根 拠 の あ る権 威 、 それ に対 して絶 対 的 義 務 が 対 応 しう る権 威 は な い とい う こ と に な る。 実 際 、権 威 はっね に 他 人 に訴 えか け る し、 また ひ とは 決 して 自分 に よ らず してi義務 づ け られ ない。 彼 が実 地 に適 用 す る強制 手段 が 何 で あれ 、他 者 が 義 務 づ け るので は ない 。彼 は義 務 を負 う よ う に促 す の み で あ る。 ポ ラ ンに よ れ ば、 強制 は決 して 義務 を構 成 しな い。 自由 な存 在 だ け が 、 義務 を負 う能 力が

あ る。 他 人 の権 威 を 認 め る義 務 は 、従 うべ き(あ る いは べ きで な い)者 に しか 決 して依 存 しな い。 そ の 自由 の行 為 に よ って、権 威 の十 分 な根 拠 を認 め る(ま

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た は 認 め な い)こ と は 、 っ ね に 権滅 が 訴 え か け る 者 に属 して い る 。

い ず れ に せ よ 、 自 由 と知 性 の 可 能 な諸 存 在 、 記 号 に よ って 意 義 の た め に 行 動 し う る 諸 存 在 に 対 して 行 使 さ れ る 「権 威 」 の 観 念 に 、 理 解 可 能 な 「義 務 」 の 観 念 が 対 応 す る。 ポ ラ ンが 提 出 す る 権 威 の 基 礎 と い う観 念 は 、 そ の 基 礎 の 認Aと 理 解 を 含 ん で い る の で あ る。 権 威 は 、 そ れ が 理 解 され る何 ら か の 意 味 で 、 理 解

され る場 合 に しか 根 拠 が な い 。 そ れ ゆ え に 、 マ ッ ク ス ・ウ ェ ー バ ー が 大 変 適 切 に 記 述 した よ う な 、 理 解 の 四 つ の 基 本 的 主 題 か ら発 して 、 そ の 基 礎 を 分 析 す る こ と が 便 利 で あ る。 一 一す なわ ち感 情 性(affectivit6)、 伝 統(tradition)、 値 に 関 連 して の 合 理 性(larationalit6parrapportadesvaleurs)、 目的 に 関 連 し て の 合 理 性(1arationalit6parrapPortadesfins)、 と い う 四 つ の 水 準 で 。 言 い換 え れ ば 、 権 威 が 基 礎 づ け られ る た め に は 、 す な わ ち 把 握 さ れ 、 承 認 さ れ 、 実 際 に服 従 さ れ る た め に は 、 っ ま り そ れ が 効 果 的 にi義務 づ け る た め に は 、 同 時 に 人 間 的 理 解 が 発i揮 さ れ るす べ て の 水 準 で 、 そ れ が 語 の 強 い 意 味 に

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お い て 「理解 され る」 ことが で き な くで は な らな い。

まず 、 感 情性(affectivit6)の 用 語 で 表 現 され う る直 接 的 理 解 の水 準 で は 、 権 威 の現 象 は 、自然 的意 味 、人 間 存在 に認 め られ た 本性 に依存 す る意 味 を受 取 る。

か か る本性 は 、ポ ラ ンに よれ ば 、生 命 の保 存 の欲 望 、よ り善 き生 の欲 望 、ほ しが る欲 望 、 肉欲 の欲 望 の よ う な欲 望 の水 準 で 把 握 され る。 そ の とき 、本 性(自 nature)こ そが権 威 の 基礎 と見 な され る。 そ れ は 欲 望 そ の も の の水 準 で 、 ま た

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それ が 活 気 づ け る諸 情念 一 恐 れ 、希 望 、 同情 、 愛 情 、 名 誉 一 の水 準 で 、 自 らの う ち に体 験 され る。 一 つ の 本 質 的分 析 が 問 題 で あ る限 り、 ひ と はそ の 二 重 の解 釈 を伴 う 自然 状 態 で の 、人 間 の描 写 の主 題 を再 び 発 見す るで あ ろ う。 ボ ラ

21)

ン 自身 が 規 定 して きた そ の描 写 は 、 どち らか と い う と楽観 主 義 的 な もので あ る。

次 に、 理 解 の よ り洗 練 され た 水 準 で は 、権 威 はそ の性 質 との関 連 で 合 理 的 に 考 え られ 、 そ して いわ ば そ の基 礎 と混 同 して見 出 され る。 そ れ は、 それ が 自 ら の うち に そ の 内在 的 正 当 化(sajustificationintrins的ue)を もっ 限 り、 っ ま りそ れ が 尊 敬 、 義 務 、服 従 を導 く独 特 な徳(1avertusuigeneris)を 所 有す る 限 り、把 握 され 理 解 され る。権 威 の基 礎 は そ の とき 、それ が それ 自体 と して価 値(ualeuY)で あ るか 、 また は そ れ が 価 値 か ら発 す る こ と、 そ れ が 多少 と も直 接 的 に そ の表 現 で あ る こ とで あ る。

次 に、権 威 が その よ う な もの と しての価 値 の 中 に よ りも、 そ の絶 え ざ る存 在 、 そ の永 続 性 の 中 に基 礎 づ け られ る とい う こ とす ら起 りう る。 そ の と き、慣 習 の 徳 、伝 統tradition)の 価 値 こそ が 、価 値 を権 威 にす るの で あ る。 そ の 意 味 は 、 感 情 的 また は神 秘 的 把 握 を免 れ ては い ない。 それ は計 算 に統 合 され う るが 、 し

か しそれ は計 算 を越 え、 また 情 念 を越 え た ま まで あ る。 そ れ は 、意 味 で あ る前 に価 値 で あ る。 それ は一 つ の価 値 を表 現 す るが 、 しか しっ ね に 不適 切 に 、つ ね に近 似 的 に で あ る。(そ の価 値 と は 、す なわ ち諸 自由 に対 す る一 自 由 の現 前 、 自 由 と して の そ の実 存 以 外 の他 の基 礎 を もた ない一 自由 の現 前 の こ とで あ る。) 価 値 と しての権 威 は、信 仰 の対 象 で ない と して も、 信 念 の対象 で あ る。 そ して、

それ は 習性 の 中 に 、伝 統 の 中 に凝 結 す る。

最 後 に 、理 解 が 明晰 た らん と して 目的 論 的(t616010gique)視 点 に従 って整 序 され る こ と を求 め る とき以 来i権 威 の意 味 が 、人 間存 在 の本 性 に対 して認 め られ た 諸 意 義 の 反復 や合 理 的 使 用 か ら生 じて くる。 権 威 はそ の と き、 諸個 人 や 集 団 の大 変 比 例 的 で あ る と見 なされ た 利 益 に基 づ く合 理 的 計 算 の 後 で 、割 当て られ 、承 認 され 、 服 従 され る。 そ れ は 理 性(raison)の 水 準 で 、 事 物 の存 在 理 由、 人 間存 在 の理 性 的意 味 、 あ るい は行 動 の 合理 性 が 問題 で あ る よ りも、 よ り 深 く、 よ り基 本 的で 、 したが って よ り創 設 的 た らん とす る仕 方 で把 握 され う る。

なぜ な らば 、 た ん に蓋 然 論(確 率)的 視 角 に お かれ た理 性 的 な も のの 考 察 は 、 ひ とが 理 性 的 な もの は本 質 的 に事 物 の存 在 理 由や 行 動 の効 果 的 理 由 と結 び っ い

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権威の状況

22}

て い る と信 じる場 合 に しか 、全 く理 性 的 で な いか らで あ る。

239

1)RaymondPolin,E'砺g那6etρoJ魏 ⑫6,EditionsSirey,1968,p.211.cf.

StevenLukes,"PowerandAuthority",inT.BottomoreandR.Nisbet

(eds)sA1ガs'《 〃yofSociologicalAnalysis,BasicBooks,1978.(伊 藤 公 雄 訳 『権 力 と 権 威 』 ア カ デ ミ ア 出 版 会 、1989年)。 ル ー ク ス は 権 力 の 概 念 に っ い て 一 連 の 問 題 が あ る こ と を 指 摘 し た の ち 、 次 の よ う に 書 い て い る 。 「同 様 の 問 題 が 、 権 威 に っ い て

も 生 じ る 。 同 時 に 、 権 威 に っ い て は 、 さ ら に 次 の よ う な 他 の 問 題 も 存 在 し て い る 。 つ ま り 、 権 威 と は 、 定 義 上 、 正 当 的 な る も の な の か 。 そ れ と も 、 定 義 上 、 合 意 的 な る も の な の か(ま た 、 こ の 二 つ の 問 題 は 、 同 一 の 問 題 な の か)。 権 威 と は 、 っ ね に 強 制 的 で あ る は ず の(あ ら ね ば な ら な い)も の な の か 。 信 条 に 対 し て 行 使 さ れ る の か 、 そ れ と も 、 行 動 に 対 し て 行 使 さ れ る の か 、 あ る い は 両 方 に 対 し て 行 使 さ れ る の か 。 権 威 と は 、 『規 範 的 』 に 使 用 さ れ る 概 念 な の か 、 そ れ と も 、 『経 験 的 』 に 用 い ら れ る 概 念 な の か 。 っ ま り 、 『準 ・実 践 的 』 な 概 念 な の かtそ れ と も 、 『中 立 的 』 な 概 念 な の か 。 そ れ は 、 法 的 、 規 範 的 な も の な の か 、 そ れ と も 、 実 体 的 な も の な の か 、 あ る い は ま た 、 そ の 両 方 な の か 。 因 果 的 な 関 係 を 意 味 す る も の な の か 、 そ れ と も 『内 的 』 な 関 係 を 意 味 し て い る の か 。 規 範 的 な 関 係 を 前 提 に し て い る の か 。 個 人 主 義 的 で 行 動 論 的 な 視 点 か ら 説 明 す べ き も の な の か 、 そ れ と も 、 影 響 力 と い う 視 点 か ら 説 明 す べ き な の か 。 権 威 と は 、 不 平 等 を 前 提 と し て い る の か 。 理 性 的 で あ り な が ら 、 し か も 権 威 へ 服 従 す る と い う よ う な こ と が あ り う る の か 。 権 威 は 、 自 由 と 自 律 を 否 定 す る の か 、 そ れ と も 、 時 と し て 、 権 威 こ そ が 自 由 と 自 律 の 必 要 条 件 な の で あ ろ う か 」(同 書 、9‑‑14頁)。 こ の 他 、 権 威 に っ い て 一 般 的 に 論 じ た も の と し て 、 次 の よ う な 文 献 が あ る 。‑Bertrand

deJouvene1,P61αSouverainete,Lenin,1955,PremierePartie.(5切 θ7窃g痂 ッ, tr.byJ.F.Huntington,TheUniversityofChicagoPress,1967,PartI).

YvesR.Si皿on,AG召 紹 ηJTheoryofAuthority,GreenwoodPress,1962.R.

S.Peters,"Authority",PeterWinch,"Authority ,inAnthonyQuinton

(ed.),1'oliticrxtPhilosophy,OxfordUniversityPress,1967.(森 本 哲 夫 訳 『政 治 哲 学 』 昭 和 堂 、1985年 、 第 五 章)。HannahArendt,"WhatisAuthority",in

β召'狸 伽PastandFuture,TheViki皿gPress,1968.(志 水 速 雄 訳 『歴 史 の 意 味 』 合 同 出 版 、1970年 、 第 三 章 。 引 田 ・齋 藤 訳 『過 去 と 未 来 の 間 』 み す ず 書 房 、1994年 、 第 三 章)。CarlJ.Friedrich,TraditionandAuthority,PhaidonPress,1972.(三

邊 博 之 訳 『伝 統 と 権 威 』 福 村 出 版 、1976年)。R.B.Friedmann,"Qnthe conceptofAuthorityznPoliticalPhilosophy",inR,.E.Flathman(ed.),

ConceptsZnSo伽JandPoliticalPhilosophy,Macmillan,1973.RichardSennett,

Authority,AlfredA.Knopf,1980.(今 防 人 訳 『権 威 へ の 反 逆 』 岩 波 書 店 、1987 年)。C.Delso1,L'α%∫ θ7磁,PUF,1994.GerardMende1,Une耽'o〃6ゴ6

1'autoriteLaDecouverte,2002.

2)Polin,oP.cit.sPP.211‑‑212.厳 密 に 言 っ て 、 ひ と は 動 物 に 対 し て 権 威 を も っ

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と 主 張 す る こ と さ え で き な い 。 あ る い は む し ろ 、 問 題 に な っ て い る 権 威 は 、 動 物 が 調 教 や 祖 先 か ら の 飼 い 馴 ら し に よ っ て 「人 間 化 」 さ れ て い る程 度 に 応 じ て しか 、 動 物 に 対 し て 行 使 さ れ な い 。 動 物 は そ の と き 人 工 的 で 人 間 的 な 環 境 の 中 に 統 合 さ れ て い る 。 動 物 は 、 わ れ わ れ が 権 威 へ の 服 従 と 呼 ぶ と こ ろ の も の の 外 面 的 表 示 を 引 起 す よ う な 条 件 づ け に 従 っ て い る 。 こ れ これ の 動 物 種 が 、 残 留 す る 野 生 味 と と も に 理 解 能 力 を も ち

う る と い う こ と が 、 そ の 条 件 づ け の 残 り の 部 分 を な し て い る(OP、cit.,P,212)。

3)Polin,op.cit,,pp.212‑‑213.cf.Hege1,、P勉 ηo窺伽oJo8詑desGeistes,1807, FelixMeinerVerlag,1952.(樫 山 欽 四 郎 訳 『精 神 現 象 学 』、 世 界 の 大 思 想 「ヘ ー・ ゲ ル 」、 河 出 書 房 新 社 、1975年 、B自 己 意 識)。Sennett,oP.cit.,ch.4.(『 権 威 へ の 反 逆 』、 第4章 不 幸 の 意 識)。

4)Polin,oP.cit,,P.213.な お 、 「権 威 」 の 定 義 、 お よ び こ の 概 念 の 歴 史 的 形 成 や 社 会 的 類 型 に つ い て は 、 さ し あ た り 『政 治 学 事 典 』(平 凡 社 、1954年)の 項 目 ・尾 形 典 男 「権 威 」、 お よ び 『西 洋 思 想 大 事 典 』 第 二 巻(平 凡 社 、1990年)の 項 目 ・ク リー ガ ー 「権 威 」(川 崎 修 訳)を 参 照 。 ど ち ら も 項 目 と は い え 、 長 文 の 研 究 論 文 と い う べ き も の で あ る 。 前 者 に お い て 、 権 威 は 次 の よ う に 規 定 さ れ て い る 。 一 「社 会 的 に 事 実 上 の 優 越 的 権 力 を も っ て い る 一 定 の 制 度(身 分 な ど の 社 会 制 度 を ふ くむ)あ る い は 制 度 上 の 地 位 な い し 人 格 な ど に 、 優 越 的 価 値 性 が 形 式 的 に 固 定 さ れ る こ と に よ っ て 、 そ れ ら の い と な む 社 会 的 機 能 が 社 会 の 全 般 的 承 認 を 要 求 し う る 能 力 を も つ ば あ いrこ れ ら の も っ 能 力 を 権 威 と い う 。 権 威 は 、 事 実 上 の 強 制 機 能(権 力)そ の も の で も な く、

ま た 他 方 優 越 的 価 値(た と え ば 真 理)そ の も の で も な く 、 機 能 的 価 値 で あ る こ と に そ の 本 質 が あ る 。 した が っ て 事 実 的 強 制 機 能 で あ る 権 力 が 、 一 般 的 承 認 を う け る に た る 優 越 的 価 値 を 添 加 さ れ る こ と に よ っ て 、 妥 当 性 を も っ 権 力 と な った ば あ い 、 ま た 、 一 般 的 に 承 認 さ れ て い る 優 越 的 価 値(そ れ は 本 来 、 静 的 な観 念 領 域 に ぞ くす る の で あ る が)が 権 力 に に な わ れ て 効 力 を も っ 権 力 と な っ た ば あ い 、 そ こ に 権 威 が 成 立 す る 。」

ま た 、 後 者 の 冒 頭 で は 、 権 威 の 観 念 の 歴 史 が 次 の よ う に 説 明 さ れ て い る 。 一一 「権 威 の 観 念 に は 、 単 一 の 歴 史 的 定 義 は 存 在 し な い 。 元 来 、 権 威 と い う 言 葉 は 、 主 と し て 強 制 力 や 理 性 的 な 説 得 と は 区 別 さ れ た 根 拠 に 基 づ い て 、 自 発 的 な 服 従 や 同 意 を 喚 起 す る 能 力 の こ と を 意 味 した 。 現 在 で は 、 そ の 主 た る 意 味 は 、 強 制 力 に 公 式 の 権 利 を 付 与 し、

理 性 的 な 説 得 に 命 令 的 な 力 を 与 え る よ う な 根 拠 に 基 づ い て 、 そ れ が 自 発 的 で あ る か 否 か に か か わ り な く服 従 や 同 意 を 喚 起 す る 能 力 の こ と で あ る 。 さ ら に 、 権 威 の 力 に 対 し て 結 果 的 に 権 原 を 与 え る 実 質 的 な 源 泉 と 同 様 に 、 権 威 の 本 来 の 能 力 の 実 質 的 な 根 拠 も 、 時 と 状 況 に 応 じ て 著 し く 変 化 して き た 。 した が っ て 、 こ の 観 念 の 歴 史 は 、 あ る単 一 の

カ テ ゴ リー が 、 現 実 の 状 況 や イ デ オ ロ ギ ー 的 連 関 と い っ た 外 的 な 変 化 に 反 応 して き た 単 純 な 事 態 の 経 過 で は な い 。 … … 」。

5)Polin,op.cif.,p.213.cf.Rousseau,ヱ)iscourssurl'inegalite,Seconde

Partie,0翫 〃25completes,PXeiade,t.III,pp.164‑194.(本 田 喜 代 治 ・平 岡 昇 訳

『人 間 不 平 等 起 原 論 』 岩 波 書 店 、1957年 、 第 二 部)。

6)Polin,・tcit.,p,214.

?}Poiin,op.cit.,p.215.

8)Vulgata,Genesis,1,3,(中 沢 治 樹 訳 『旧 約 聖 書 』、 世 界 の 名 著 「聖 書 」、 中 央 公 論

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権威の状況

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社)。 「神 が 天 地 を 創 造 した 初 め に 一 地 は 荒 涼 混 沌 と して 闇 が 淵 を お お い 、 暴 風 が 水 面 を 吹 き 荒 れ て い た 一 『光 り あ れ 』 と 神 が 言 っ た 。 す る と 光 が あ っ た 。 神 は 光 を 見 て よ し と し、 光 と 闇 と を 分 け た 」(同 書 、59頁)。

9)Polin,oP,cit,,P・215.

10)Porn.,op.cit.,p.216.

11)Polin,op.cit、,pp.216‑217.

12)cf.1.eonardKrieger,"Autharzty",inI万 薦o㎜7ッofthe」KistoryoアIdeas,ed.

P.P.Wzener,CharlesScribner'sSons,…vol.1,pp.141‑162,(川 崎 修 訳 「権 威 」、 『西 洋 思 想 大 事 典 』 第 二 巻 、3‑23頁)。 ク リ ー ガ ー に よ れ ば 、 権 威 の 観 念 は 、 共 和 政 ロ ー マ 時 代 の 新 造 語 〈ア ウ ク ト リ タ ス 〉(auctoritas)に 起 源 を 有 す る も の で 、 ロ ー マ 人 の 間 で 私 生 活 と公 生 活 の 両 方 で 、 頻 繁 に 多 様 な 形 で 用 い られ た と い う 。 そ れ に は 主 に 、 次 の よ う な 三 つ の 異 な っ た 意 味 、 異 な っ た 用 例 が あ っ た 。 一 す な わ ち 、 そ れ は ま ず 第 一 に 、 取 引 に お け る 一 方 当 事 者 の 特 別 の 責 任 に よ っ て 、 通 常 の 法 的 サ ン ク シ ョ ン に 追 加 さ れ た 、 取 引 に 対 す る 特 別 の 裏 づ け や 保 証 の こ と で あ る 。 私 法 の 領 域 で は 「後 見 人 の 権 威(助 成)」 、 「主 人 の 権 威 」、 「パ トロ ン の 権 威 」 と い っ た 用 例 が あ る 。 そ の 公 的 な ア ナ ロ ジ ー が 「元 老 院 の 権 威 」(auctoritaspatrum,砺c'αr吻s senates)で あ っ て 、 こ れ は 長 老 の 評 議 会 と し て 、 民 会 の 決 定 が 法 と な る 前 に そ れ を 承 認 す る 、 元 老 院 の 機 能 を 意 味 して い る 。 次 に 、 そ の 第 二 の 意 味 は 、 代 理 人 や 助 言=者や 役 人 の 個 人 的 な 一 主 と し て 道 徳 的 な 一 資 質 を 、 こ れ ら の 模 範 的 な 人hへ の 信 頼 を 彼 ら の 公 式 の 行 為 へ と 拡 張 す る た め に 、 彼 ら の 決 定 や 判 断 や 規 則 に 帰 せ しめ る こ と で あ る 。 政 治 的 コ ン テ ク ス トで は 、 権 威 は 「名 誉 」(dignitas)、 「影 響 力 」(gratia)、 賞 賛 に 値 す る 行 為 、 ま た は 高 齢 吻 伽 癬 α5maiorum)に 属 す る も の と 考 え られ た 。 こ う し て キ ケ ロ は 、 「権 威 」 を 、 事 実 上 命 令 的 な 助 言 と い う 意 味 に お い て 、 元 老 院 の 政 治 的 卓 越 性 の 本 質 だ と 認 め た 。 ま た 、 そ れ 以 上 に 決 定 的 に 、 そ の 起 源 が 個 人 的 で 、 そ の 働 き が 法 律 外 的 な の が 「プ リ ン ケ プ ス の 権 威 」(aaictoritas加 鷹 吻 ε)と い う ロ ー マ の 観 念 で あ っ た 。 最 後 に 、 そ の 第 三 の 意 味 は 、 わ れ わ れ が 今 な お 主 と し て 「著 者 」

(author)や 「正 式 に 認 め る 」(authorize)と い っ た 語 と 結 び っ け て い る 創 造 や 開 始 と い う性 質 で あ る 。 あ る 者 が 出 所(auctrn‑)と し て 名 ざ さ れ る と い う こ と は 、 当 該 の 情 報 、 意 見 や 行 動 へ の 彼 自 身 の 持 続 的 な 責 任 を 含 意 す る か 、 も し く は 、 そ の も と も と の 権 利 が 移 転 され た 情 報 や 意 見 や 行 動 の 正 当 な起 源 を 含 意 す る か 、 の い ず れ か で あ る 。 プ リ ン ケ プ ス の 公 式 の 称 号 の 規 定 に は 、 「国 家 の 最 良 の 状 態 の 創 始 者 」(auctrn'o餌 競 status)と い う 、 権 威 の 創 始 的 な 意 味 が 含 ま れ て い た 。

13)Polin,op.cit.,p.217.

14)cf.JohnLocke,7‑砂 σ07'reatiseSofGovernment,ed.P。Laslett,Cambridge

UniversityPress,1970,BookII,ch,V.(鵜 飼 信 成 訳 『市 民 政 府 論 』 岩 波 書 店 、 1968年 、31‑55頁)。

15)Polin,op.cit.,pp.218‑219,

16)Machiavelli,Ilprince,ed.B.Richardson,ManchesterUniversityPress,

1979,ch.25.(河 島 英 明 訳 『君 主 論 』 岩 波 書 店 、1998年 、183‑189頁)。

17)Polin,Op.cit.,pp.219‑220.

(16)

18)Polin,oP,cit,,P.220.

19)Polin,op.cit,,P・220‑221.と も か く 義 務(obligation)の 語 に 、 カ ン ト的 伝 統 が わ れ わ れ を し て そ れ に 慣 ら して き た 唯 一 の 意 義 の み を 与 え な い よ う に し な け れ ば な ら な い と 、 ポ ラ ン は 言 う 。 た しか に 、 自 由 意 志 の み が 、 そ れ が そ れ 自 身 に 与 え た 規 則 に 従 っ て 行 動 す べ く 義 務 づ け る こ と が で き る 、 と い う こ と を 評 価 し な け れ ば な ら な い 。 し か し 、 本 質 的 に 他 律 的 な(heteronome)権 威 に 服 従 す る 義 務 が 問 題 で あ る の で 、 ま た 、 義 務 の 語 を そ の 語 源 か ら発 し て 、 ひ と が カ ン ト以 前 に 理 解 し て い た よ う な 意 味 で 理 解 し な け れ ば な ら な い 。 権 威 は 自 由 の 可 能 な 存 在 に 対 し て の み な らず 、 情 念 の 可 能 な 自 然 的 存 在 に 対 して も 向 け られ る の で 、 そ れ は 自 然 的 絆 に よ っ て 愛 着 さ せ 、 結 び 付 け 、 ま た 物 理 的 手 段 に よ っ て 強 制 し う る 。 権 威 に 服 従 す る 義 務 は 、 そ れ が 引 起 す 欲 望 や 情 念 か ら生 ま れ た 自 然 的 傾 向 や 自然 的 義 務 と 切 り 離 せ な い 。 ま た 、 権 威 は 知 性 と 理 性 の 可 能 な 諸 存 在 に 向 け ら れ る の で 、 そ れ は 合 理 的 計 算 の 仮 説 的 必 然 性 に よ っ

て し ば り う る 。 そ し て 、 分 別 の あ る 傾 向 性 や 、 諸 技 術 と 理 性 の 有 効 性 へ の 信 念 に 基 づ く分 別 の あ る 義 務 を 作 動 さ せ う る(OP.cit.,P,221)。

20)Polin,op.cit.,pp.221‑222,cf.MaxWeberiWirtschuftandGesellschuft,

Kiepenheuer&Witsch,1964,ErterTeil,Kap.1,§2,S.17.(阿 閉 吉 男 ・内 藤 莞 爾 訳 『社 会 学 の 基 礎 概 念 』 角 川 書 店 、1953年 、38‑39頁)。 「あ ら ゆ る 行 為 と 同 様 に 、 社 会 的 行 為 も ま た 、r外 界 の 対 象 と 他 人 と の 態 度 を 期 待 す る こ と に よ っ て 、 ま

たかか る期待 を合 理的 に、結果 と して求 め られかっ考慮 された 自分の 目的へ の 『条件 』

ま た は 『手 段 』 と し て 利 用 す る 点 で 、 目 的 合 理 的(zweckrationa1)で あ り 、‑2,

或 る一定 の態度 そ の ものの絶対 的 に固有 の価値 一一倫 理的 、芸術 的 、宗教的 、 あ るい はそ の他 、 どう指 摘 され よう とも 一 を意 識的 に信ず る ことによ って 、 また結 果 とは

無 関 係 に 、 価 値 合 理 的(wertrational)で あ り 、‑3.実 際 の 感 動 と 感 情 状 態 と に

よ っ て 、 感 動 的(affektue11)、 と く に 情 諸 的(emotional)で あ り 、‑4.馴 染 ん

r 

だ 慣 用 に よ っ て 、 伝 統 的(traditiona1)で あ る 」。

21)Polin,oP.cit.,P.222.ポ ラ ン に よ れ ば 、 自 然 状 態 の 悲 観 主i義的 解 釈 が 生 じ る の は 、 次 の よ う に こ の 直 接 的 理 解 の 水 準 に 、 暴 力(violence)の 使 用 を 関 係 づ け な け れ ば な ら な い 場 合 で あ る 。 暴 力 は 、 各 人 が 自 分 の 生 命 と そ の 生 き 方 を 保 存 す る た め に 所 有 す る 欲 望 を 純 粋 に 否 定 的 仕 方 で 利 用 しっ つ 、 権 威 に 対 し て 、 恐 れ(crainte)の 形 を と っ て 体 験 さ れ 把 握 さ れ た 一 つ の 独 特 な(sui9膨7鋤 基 礎 を 与 え る の で な く 、

あ ら ゆ る 基 礎 に 先 立 ち 、 ま た 基 礎 の あ ら ゆ る 問 題 性 に す ら先 立 っ 実 存 の 一 条 件 を 与 え る の で あ る 。 しか し な が ら 、 恐 れ は す で に 合 理 的 計 算 に と っ て 好 都 合 な 情 念 で あ る 。 そ し て 、 専 ら暴 力 に 支 え られ っ っ 行 使 さ れ 始 め る権 威 は 、 反 省 さ れ た 分 別 の あ る 諸 行 為 の 母 と し て の 、 恐 れ の 計 算 さ れ 熟 慮 さ れ た 使 用 を 準 備 す る(ibid.)。

22)Polin,op.cit.,p,223.多 分 、 ポ ラ ンが 明 ら か に して き た 自然 、 価 値 、 伝 統 、

理 性 と い う 権 威 に 固 有 な 四 つ の 型 の 基 礎 は 、 純 粋 型 で は な い 。 そ れ ら は 、 ウ ェ ー バ ー

的 な 理 解 の 型 と の 関 連 で 、 諸 意 義 の 分 離 や 結 合 を 導 く こ と に な る 。 しか し 、 と りわ け

権 威 の 諸 状 況 の 分 析 を 容 易 に す る の に 適 した 基 本 的 主 題 を 明 らか に し、 分 類 す る こ と

が 問 題 で あ る 。 こ う し て 、 そ の 本 質 的 特 徴 を よ り明 確 に 決 定 しつ つ 、 ひ と は そ う した

諸 関 係 を 一 層 よ く 現 れ る よ う に す る で あ ろ う(ibid.)。

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