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北海道産スギタケ属の分類学的再検討 環境資源学専攻

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2016 年 2 月 4 日

北海道産スギタケ属の分類学的再検討

環境資源学専攻 森林資源科学講座 森林資源生物学 相澤 桃子

1.はじめに

スギタケ属(Pholiota spp.)は、ハラタケ目モエギタケ科の担子菌である。温帯を中心として世 界中に分布しており、現在までに150種ほどが報告されている。また、ナメコを代表とする独特な ぬめりを有する優秀な食用キノコとしてアジア諸国で親しまれている。北海道においては 15 種の スギタケ属菌の存在が知られているが、外国や本州産と形態的特徴が異なる同属菌が見つかってお り、種の識別及び食用可不可の判別に混乱が生じている。そこで本研究では、北海道内で採集した スギタケ属7種について形態観察とITSシーケンスを基にした分子系統解析を行い、北海道のスギ タケ属菌について分類学的に再検討することを目的とした。

2.方法

2013年から2015年に北海道内でスギタケ属菌の子実体の採集を行い、子実体組織からDNA 抽出し、5.8s rDNAITS領域の塩基配列解析を行った。得られた採集系統のシーケンスにNCBI

GenBankからデータシーケンスを加えて系統樹を作成した。系統樹はPAUP*4.0を用いて近隣結

合法で推定し、作成した系統樹は TreeView で表示した。外群には、同じモエギタケ科のモエギタ ケ(Stropharia aeruginosa)を用いた。また、ブートストラップ値は繰り返し数1000で計算した。

3.結果と考察

43系統のITS領域の塩基配列解析の結果、読み取れたITS領域は447~718bpの範囲内であった。

北海道産系統のみで作成した系統樹では、キナメツムタケ、チャナメツムタケ、ツチスギタケ、ナ メコが種毎にグループを作ったが、ヌメリスギタケとヌメリスギタケモドキは同一グループ内に混 在する結果となった。この結果から、ヌメリスギタケとヌメリスギタケモドキは非常に近縁である ため、交配試験などにより遺伝的関係性を再検討していく必要があると考えられた。

現在、ヌメリスギタケとヌメリスギタケモドキの形態的差異として、柄の粘性の有無が挙げられ ている。しかし、今回採取したヌメリスギタケは柄にも傘にも粘性が認められなかった。一方でヌ メリスギタケモドキはヌメリスギタケより子実体サイズが大きく、発生環境もヌメリスギタケは街 路樹のナナカマド幹上、ヌメリスギタケモドキは河畔林のヤナギ枯死木・倒木上と、形態的および 生態的形質において差異が認められた。

次に、ツチスギタケについて外国産系統を加えて作成した系統樹より、北海道産ツチスギタケは 欧米の系統 (P. terrestris) とは遠く、スギタケに近縁であることがわかった。北海道産ツチスギタケ は材上生のスギタケが地上生へと生態的に変異したものであり、形態的特徴や生態が似ている欧米 系統(P. terrestris)とは別種であることが示唆された。

参照

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