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フタホシコオロギにおける時間割引 環境資源学専攻

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2016 年 2 月 10 日

フタホシコオロギにおける時間割引

環境資源学専攻 動物生態体系学講座 動物生態学研究室 小名木航太

1.はじめに

時間割引とは,もらえる報酬が先の話になるほど,その主観的価値が下がっていく現象である。

この現象は無脊椎動物では未だに確認されていないため,昆虫における時間割引の存在を実 証しようというのが本研究である。

2.方法

時間割引の実験を行う上では「報酬」とその「遅延」という要素を扱わなくてはならない。

従来の動物実験では「報酬」と「遅延」をコンピューターで制御し,対象動物に選択肢のスイ ッチを押させるという手順を踏んでいた。しかし,昆虫の学習においてはスイッチを押させる という点で従来の実験系を使うことができない上に,長期記憶が可能な「遅延」の秒数に限界 があった。よって,長時間の遅延を可能にしつつ,学習実験を行えるよう新たな実験系

『contextual learning』を立ち上げた。この実験系を用い,対象動物であるフタホシコオロ ギに2種類の選択肢 A(すぐもらえる少ない報酬),B(遅れを伴う多い報酬)をそれぞれに 対応した context である匂い刺激とともに与えることで,選択肢と匂いを関連させて学習さ せた。そして選んだ選択肢の割合から時間割引の有無について検証した。

3.結果と考察

実験1~4では新たな実験系『contextual learning』の有用性を確認した。その上で時間割 引の存在を検討する実験5を行い,結果として遅延時間の増加につれて選好の変化,つまり主 観的価値の減少が見られた。よってフタホシコオロギにおける時間割引の存在を確認できた。

4.まとめ

実験5において,遅延時間の増加につれて主観的価値が減少し,選好の変化が見られた。これ により,昆虫における時間割引の存在が示唆される。ただ今回用いた検定からは,いくつかあ る遅延時間の区間の中で少なくとも一つの区間で遅延による主観的価値の減少が見られるこ とは言えるが,全体を通して遅延時間とともに主観的価値が減少することは示されなかった。

よって,今回用いた 20 秒よりさらに長い遅延時間でのデータを集めるなど改良の余地はある

と考えられる。

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