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日本産 属 (アザミウマ目) の分類学的再検討 環境資源学専攻

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,201927

日本産

Ctenothrips

属 (アザミウマ目) の分類学的再検討

環境資源学専攻 生物生態・体系学講座 昆虫体系学 野口 創一朗

1.はじめに

アザミウマ目は, セミやカメムシで見られるような吸汁型の口器をもつ昆虫である。食菌性や肉 食性の種も知られているが多くは植食性で, 重要な農業害虫も多く含まれる。Ctenothrips 属は, アザミウマ目穿孔亜目アザミウマ科に分類されるグループで, 他の属とは腹部表面に多角形模様 があることと第10腹節が管状になるという点で区別される。 全北区の標高1600 m以上の高山地 域にのみ分布しており, これまでに世界から15種が記載されている ( Tyagi et al. 2014, Xie et al. 2014, Thrips Wiki, 2019) 。生息域が高山地域ということから, 日本を含めて世界でも分類 学的研究があまり進んでいない状況にある (Shiga et al. 2014)。日本からはキヌガサソウより, Ctenothrips nonnae Haga & Okajima, 1989 1種のみが北アルプスから記録されている。

本属の各種は, 外観上非常に類似しているが, pronotumや第8腹節の形態に明瞭な違いが見られ

たため, 主にこの2つの形態に注目して分類をおこなった。

2.方法

農研機構農業環境変動研究センター及び福島大学に所蔵されている本属の標本を借用し,調査を おこなった。 借用した標本は, 北海道・福島・群馬・長野・徳島で採集されたものであった。標 本は, 生物顕微鏡 Zeiss Axiophotを用いて観察, スケッチ, 撮影をおこなった。計測は, Keyence VHX–5000を用いた。

3.結果と考察

今回, 本属の標本を精査した結果, 既知種のC. nonnae に加えて4種の未記載種が見出された。

日本産種は, 形態から3つのグループに分けられ, そのうち2グループに他種では見られてこなか

ったpronotumの中央上部に角方模様が見られるという特徴を有していることがわかった。

また, C. nonnaeと未記載種2種は, キヌガサソウ, クロユリ, エンレイソウそしてオモトから

得られており, ホストとして旧ユリ科植物を利用していると考えられる。

4.まとめ

日本産Ctenothrips 属は5種となり, C. nonnae は新たにホストとしてクロユリを利用している ことがわかった。

高山地域におけるファウナの解明は, 一部地域を除いてほとんどなされていないのが現状であ る。特にアザミウマ類は, 体サイズの小ささから風による受動的な分散により長距離を移動するこ とが知られている (Glick, 1939)。よって, このような特徴を持つ高山地域のアザミウマ相を明ら かにすることで, 高山域特異的に分布する生物種の遺伝的分化や遺伝的多様性を解明する一端と なり得るだろう。

参照

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