食物専攻女子学生の食生活実態調査(第7報)
皮下脂肪厚と摂取および消費エネルギーとの関連
渡邊令子・岡田玲子・今泉優子・山田雅子
Dietary Survey in Female College Students who are
Making a Speciality of Food Science (Part 7)
Relationship between the Skinfold Thickness and Energy
Reike Watanabe, Reiko Okada, Yuko Imaizumi and Masako Yamada
緒 言
エネルギー代謝α〜調節機能に個人差があるとはいえ,
一般的には,体脂肪の蓄積は消費エネルギー一・・ IC比べて 摂取エネルギーが過剰であること,すなわち「食べ過 ぎ」が原因である。著者等は前va 1)において,この体 脂肪量の多少に関する直接的な影響因子である食物摂 取状況と,体脂肪量の指標としての皮下脂肪厚(skinfold thickness,以下SFTと略す)との関連にっいて検討 を試みた。その結果,摂取エネルギーの3食(朝・昼
・夕)への配分よりも,むしろ摂取食品の量的バラン ス,特に魚介,肉および乳類などの動物性たん白質,脂 質供給源め多量摂取が体脂肪量の増加にっながること
を指摘した。
そこで,今回はエネルギー代謝のもう一方の側面と しての消費エネルギー量に視点をおき,学生の協力の もとに食物摂取状況調査と生活時間調査とを実施して,
1日当たり摂取および消費エネルギーの実態を把握し,
SFTとの関連にっいて,更に検討を加えた。
対象と方法 1.対 象
本学家政科食物専攻,栄養士養成課程に学ぶ2年生 で,健康な191−21歳(平均20.0歳)の女子34名である。
2.調査時期
食物摂取状況調査は,1986年3月から4月の間の平 日の連続3日間,生活時間調査は10月から11月の間の 平日の連続3日間に実施した。SFT,および身長,体 重の計測は10月に行った。
3.方 法
1)食物摂取状況調査:既報2,3)に準じた。
2)生活時間調査にもとつく消費エネルギー量:1986
年10月,』総務庁統計局が実施した社会生活墓本調 査表を参考に,対象学生の日常生活を考慮して,
行動の種類を11項目に分類した生活時間調査用紙 を作成した(図1)。 5分単位で記入された生活 活動記録をもとにRMRから消費ヱネルギー換算 表(kca1/体es 1 kg/分,20・}29歳)を用いて消
,費エネルギー量を算出した4)。なお,各々の行動の RMRの選択は沼尻等4)の数値を参照した(表1)。
但し,睡眠時の消費エネルギー量は,厚生省による 基礎代謝の10%減とはせず,Pass more s}やWHOE)
および沼尻4)の説に準じて,基礎代謝と同じと みなし,20〜29歳女子の基礎代謝」基準値23.2(kcal
/kg/日)7〕を採用した。調査期間3日闇の平均値 をもって,1日当たり消費エネルギー量とした。
3)皮下脂肪厚(SFT)の計測とSFT値によるクツレー ピング:測定部位,測定方法などはすべて前報n に準じて行ったが,計測は同一人が実施した。
結果および考察 1.皮下脂肪厚(SFT)と体位
対象34名のSFTの平均値は40.1±8、7rm(〔TS F 20.5
±5.1Tmi〕+〔SSF 19.6±5.2mat〕),最小2 L O㎜で最大62.5
rmであった。これを成人皮下脂肪判定基準値に照合し て,前回と同様にSFT値により4グループに分類した ところ,1グループ(SFT≦32,やせている)6名(17.6
%),皿グループ(32<SFT≦42,正常)15名(44.1 彫),皿グループ(42<SFT≦54,肥っている)11名
(32.4%)およびIVグループ(54<SFT,肥りすぎ)2 名(5.9%)であった。IVグル〒プの例数が5名以下と 少数のためt皿+IVグループとしてグループ別に身長 体重およびSFT値を表2に示した。全対象者の平均身
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類稲動行 眠事事︶漉習習事除濯物ツ楽誌楚仙 響博麟の睡身食通学 家 ス趣テ休そ 層 ●Laa45︑ a 乳a軌1011紬
第 二 日
注)1.
2.
3,
4,
5,
6.
入浴は, 「身のまわりの用事」に入れる。
テレビを見たり,ラジオを聞いたりしながらの食事1ま「食事」の項に入れる。
学内での講義室の移動等も,必ず記入のこと。
炊;Jr,掃除,洗濯および買物以外の家事の場合,作業内容からみて一番近いものに合める。
クラブ活動等は運助部なら「ス t1 一ツ」,文化部なら「趣味・娯楽」の項に入れる。
「モめ他」の項には,アルバイトiボラソティア活動等を記入。その内容についても記すこと。
図1.生活時間調査用紙
表1.各行動のエネルギー代謝率(RMR)
行動の種類 内
容 RMR
1.睡
2.身のまわりの用lr
食通a4
5.学
6.家
7、ス .te 8.趣 味 ・ 9.テレビ・新聞・雑誌 1a擁 礎
1工そ
眠 (董礎代謝と同じ)
身仕度,洗面,排便 o,5 入浴(入浴し身体洗う) 2. 3 ;Jr o.4
学(移動) 歩行ゆっくり45nt/分 L5
普通71篇/分2」
急ぎ足95肌/分 3.5 階段のぼる45肌/分 6,5 おりる50m/分 2.5 自転車 一 2.6 車運転 1.0 習講義一 〇.4
実験・実習 1. 6 演 習 0.6 事炊 事 ・ 16 掃 除 z2 洗 濯 L7 買 物 L6
・一+t.ツa 一
娯一楽華道,茶道他 O.5
読む,聞く,書く,他 0.2 座 位 o.2 立 位 O.3 の 雌翫
a内容に応じて,RMR値を選択した。 (沼尻)4)
長はユ59.3:ヒ4.7Cm,平均体重は52.2±4.9hgであった。
しかし,グループ別にみるとllグループの平均身長が 他グループに比し,有意に約3㎝低かった(P<O.Ol)。
平均体重は,1と皿グループ間の差が約2,5 kgである のに対して,皿1+IVグループとllグループとの差は約
6如であった。
1,生体の脂肪量を求める方法として,実用面から最も 望ましいとされるこのSFT計測による評価の妥当性 を,前回同様,体格指数の1っであるthe body ma3s index(以下, BMIと略す)との相関でみたところ,
図2に示したように回帰直線フ=O.137x+15.1,r=0.792 が得られた。前報1)の対象群のr値(O;919)に比べる
と,r一値は低値であった。
2.皮下脂肪厚(SFT)と消費エネルギー. , a)消費エネルギーとそのパターン
生活時間調査より得られた全対象者(34名)の 1日当たり消費エネルギー量の平均値は,1,969±
213 kcalとなり,最大2,390 kca1,最小1,622kc田 であった。11項目の各行動別消費エネルギーの割 合を示したものが表3である。「睡眠,身のまわ りの用事および食事」などを生理的時間として合 計すると34.4±318%,「通学 (移動),学習,家
食物専攻女子学生の食生活実態調査帽(第7報)
.ヌゆ
畢2°
・鼠。
●■●
・ ●■口
−40
SFT(rm)
n=34
)r==0.ユ37x+15.09 r=O.792
▲:.1グループ(やせている). .●1皿グループ(正 常)
■:皿グループ(肥っている) 一□:IVグループ(肥りすぎ)
図2.皮下脂肪厚(SFT)とthe body mass index(BM1)との相関
表玄 皮下脂肪厚(SFT )によるグループ別体倖 (1±SD)
全対象者 1 (6) 皿(15) 皿(11}+IV{2}
器(s、)。蜘、る正調繰
身長(c皿)
体nt(hg)
皮下脂IEi厚
(rm)b
SFTTSF SSF
159,3土4.7 159.9土4,9 157.4土4.6 160,8±4.2 52,2±4.9 48.0±3.8 50.4±3、6 5t≡L言±3.9
4g. i:≒8,7 ,28.2≠L.4,5, 37.1」:2.7、』,49.1土5.O.
20,5土5,1 142±:2.6 19.ユ士2、5 25.5±2.8 19.6土5.2 14.O±2.9 18.0二≒1.9 23.6土5.1
a( )は実数
bTSFは上腕三頭筋部の皮下脂肪厚(triceps skinfold)でSSFは背部肩甲骨下端部の皮下脂肪 厚(subseapular skinfold)である。
S恥(・k三・f。1d・hi・k・…)はTSF÷SSFであ る。
事,スポーツ,趣味・娯楽およびその他」を活動 時間とすると,−51.7±7.8%であった。なかでも,1 調査期間中の3日閤に「スポーツ」によるエネル ギー消費のみられた対象は∫わずか3名にすぎな かったeまた,「その他」の内容については,アル バイトとした者が多数で,消費エネルギー量の個
、人差が大であったe全対象者の消費エネルギーパ ターンは図3に示すごとくで,1,Hおよび皿+
碑グループ間の相違は観察されなかった。
b)グループ別消費エネルギー
SFT値によるグル・一プ別に,各行動の消費エネ
ルギー量の割合を計算1して,その平均値にっいて 比較した(表3).−II Oループ「やせている」とさ れる対象では,「趣味・娯楽」に費やすエネルギー の比率が皿グルー1プより有意に大であっだ(P〈
0.05)1. …II
Lオ,「正常」な対象である皿クつレープでは「食 事」に費やすエネルギー比率が他グループより小 であっk(P<0.OO5)。また,皿ナIVグループ,
すなわち「肥っている,肥りすぎ」とされる対象
.群では,「身のまわりの用事」に費やすエネルギー 比率が他グループより小であった(P<O.05,P
<o.。。5).対鰭が学生であることカ・ら「通学(移 動)」の項目では,居住条件がからんでくるが,本 調査の場合;Ll皿グルrプより皿+rvグループ
の方が大であった(P<O.05)。
c)皮下脂肪厚(SFT)と消費エネルギーとの相関 全対象者または3グル「プ別にSFTと消費エネ
ルギー量との間の相関係数を計算し,有意な植を 示した行動の種類にっいてはその数値を表4 に那 した。全対象者では,「身のまわりの用事」のみに
1SFT値との負相関(−O.349)が認められたe 次に,グループ別では,llグループで「通学(移 動)」の項目で負相関(−O.585)が観察された。S FT値の小さい人ほど通学(移動)に費やされたエ ネルギー比率が大であるといえよう。また,皿+
IVグループの場合は全対象者の場合と同様, 「身
表3. 皮下脂肪厚(SFT)によるグル漏プ尉消費エネルギ」
グループ 全女幸≦桑者(34) 1 {6}
やせている
H {IS 皿{童1}+IV{2)
套 意差 正常肥っている,肥りすぎ
粛肖望讐エネル L(kca1/日) 1,9S9圭213(100) 1,825±171(10D) 1,8{∋7二と181〈100) 2. n8土184(童OD)
行動の趣類 睡
眠 身のまわりの用,jf
誌縫他雑
翻 の 甑 ひ テ体そ レ
︵鰯︶
食 事 通 学(移 動)
学 馳習 1st 堺
ス ポ ー ツ
趣味 ・鎮楽
.;9・8ti: 2・71:
9,3士2.81 5,6土重,5 12.4士5.4
24.(}:上6.3
9,0士6.7 G.6±2,5 5.㊤± 5;6 鼠8±5.6 4、5±4.7 玉,4±2.9
正9.6土L6 10;2土2,5
6;〇三と12 iO.6ti・ 3.6
24.7ニヒ8.3 8.5±5.8︹︸
?.1止42 9、1th 5.4 4.2±3. fi 2.4±3,9
三9.8土3.4 9,9±2,1 5、θ±0.8 三1.8土5,8 24.2±岳.9 s.9圭5.8 1.4土3、6 4.4:と5.0 1G.7士5、9 5.8土5,5 e.7±L9
20,0±2 1 8.3±3.3 6.o土2』
14・q赫3
23.5:ヒ5:7 9.3土?.8
4.8土6.5 9.五土5.3 3.2土3.5 1.7±3,1
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Iと]駐誉五とH王***
1とff*咋IIと且1**
1と皿*,亜と]匪*
ns + ns ざ n3 1とil*
ns n5 ns 寧一P〈o.esポ**−P<e.e11辮一P<甑備田巳庶n。t・ig・至fidarit
表4.皮下脂肪厚(SFT)と消費エネルギーとの根関
..in≒34), 「
漏 全欝.薫1∫呈{罫
. 七
Ml11}+lv{2}
肥っている 1肥りすぎ 消*3σ
費 千・
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レ
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o 睡身食一通学』家ス 一趣プ休そ
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銀 事 一事 )「1習 事・國ツ 楽 誌.韮・他 .生,話行動
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遂虻」・ge−ls,て無る九抵ど潴費工塞痢ギヲ比率がノjx であるとisう繧髪:となっだ .: ・ ・・
3.皮下脂肪厚《§F「)一 {と緻およζ鐸舞舞エネルギー ご・ξの闘連lI,…・ : ∵.二、1.一
豊物喪壌状溌調査から得られた34名の摂取エネルギL 童ξ表 事均』殖で1,939±310kc配ノ日、最大2;70藍¢a1
/彗.肇グル漏プ); 最小1,379 kむal/日(9クフトプ)
であったξ表毒瓦調査鋳難姪ずれがあるものの,卜1日 彗葦箏溝箋工藩ルギー一量勇孚琢{直垂ま1,96曾±2玉3 k#al 響、 寧糞鐙で蓮霧する繧善.−1ヱ亭イレギ党出纏鮭パラン
s 鼠 35﹃5ss 9 窃gn n n n︸n n n n 一n n n
一.5鎚:ボ:ギ︐5:nρnn︷nnn°n︑nnp
眠鷺事郷習事編凝養碗
睡身の食通壁・家ス趣テ・休モ
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O.76⑪,HグルLプ:字>0.514ド班+Wグループ:
7>Of 55窪) ¶t− r−「 一 一1『−L−T 一『『㎝ −b 1r−一−」
ス良く維持されでいることがわかった6当該対象者の エネルギー所要量を実灘体重まり算出し,その平均値 を求めたところ,2,023±192kca1/ヨとなった。また,
樵奨俸重ぱ ∴身長を基準{ζブO÷力桂変法S),箕輪の 標攣体重表9}および鋸治生命標準体重表i書}に基づく数 値を比較しf結果,身長の影響が少なく3者の中間値 を示す籔輪の標準体重表による数値を選択することに した.推奨体重から得ちれだエネルギー所要璽は,2,0S6
±1⑪駄ca玉とほぼ近似殖が得られた。
3グループ男彗に摂取および消費エネルギーを比較す ると、 M+IVグループは1グループに琵べ,摂販エネ ルギーで約200kca玉,二消費エネノレギ回で約300 koa1多 いが,各ig ,エネルギー出納のノ琴ラ7皇は維持されて いたP冥測倖重より算出したエネルギと瑛要還に対す
食物専攻女子学生の食生活実態調査(第7報)
L 表5,摂取および消費エネルギーのエネルギー所要量に対する比率・、
グループ 全対象者
(34)
1(6)
やせている 正
皿(15)
常
皿q1)+W(2)
肥っている,肥りすぎ A摂取エネルギ「(k・,a!/日)
消費エネルギ「(kcal/日)寧
エネルギー所要温 (ko且1/日)
CD 実測体重より算出 推奨体亜より算出一s A/C .(%)
B/q昌く%)
1、939±310 1.969±213 1i
2,023:L P92 2.066土108 96.4#二1{i2 97.5:ヒ6.1
1、840.:≒155 1,825土171
1、875土165 2,083±113
ge・4,t 7・4 97.3土2.5
1,876±323−
1,897±181
1,950土142 ・ 2昏028±匙09
99.6土19.0 97.4士7.8
21 06昌土329、
2.118±184
2,177圭152
−2,101± 97−
91.9±15.6 97,3土5.2
(n=34)一
● ■.﹄唱﹁°.°響゜・洲 ▲コ﹂
↑▲ ︸ 一 一
血U O5 一 − O る コ*摂取エネルギー︵曜〃︶
150
盛:禿一
ギ…一一「亭一・姻
霧
102。304。5。607080 .、1。2。3G 4°5°60
SFT㈱ ・−r11 r @SFT(rm>』
▲,●,■,口:記号は図2に準じる。 』¶ 【 .
*実測体亜より算出したエネルギー所要量に対する比率一 ・ ・1 』 図4.皮下脂肪厚(SFT)と摂取および消費エネルギーとの関連
る摂取エネルギー比率(A/C)は,1,皿グループと
もに,98.4 , .・ 99.6%とほぼ所要量に一致したのに対し,
皿+IVグループのみが919%となり,「肥っている,肥 りすぎ」を意識してか多少,摂取量を制限している傾 向がうかがえた。消費エネルギー雪については,同様に 比率(1∋ノC)を計算.したところ,1,皿および皿+W の3グループとも,97.3,97.4および97。3%と近似値 を示した。tt− .∵
次に,図4aに示すごとく, SFTと摂取ゴネルギーと の閤には何ら相関は見出されなかった。またlSFT と消費エネルギ〒との間では,r. = −e.07Sで相関は見 られなか,たものの,図4bのごとく, SFT値が小,
すなわち「やせている」対象からSFT値が大なる「肥 りすぎ」の対象まで,個体のエネルギー所要量にそれ ぞれ対応したエネルギーを消費していることが明らか となった。
4.まとめの考察
生体外より摂取したエネルギー量と,放出および体
構成のエネルギー量とは,言うまでもなく平衡関係に あるごとが望ましい。エネルギーの放出は,労働一運 動等で全エネルギーの25彩を占あ,大部分は熱に変換 されるといわれている。 ・ . 当該対象者の食物摂取状況調査から得られた摂取エ
ネルギー量(1,939」:310koaユ/日)は前回の対象群1》のそれ
、(1,914±298kcal/日)とほぼ一致し,他の主要栄養素の 所要量に対する充足率,および食糧構成に対する食品 群別摂取比率を比較したところ顕著な差はみられなか った。そこで,今回は摂取エネルギー量の裏づけとし ての食物摂取状況の詳述は省いた。
1日の消費エネルギ丁量を知るために対象各人の02 需要量を測定することは実際的には不可能に近い。.そ れゆえ,本研究においては一般的に利用されている生 活時間調査法によったが,消費エネルギー量をいかに 適確に数量化するかはT食物摂取状況調査と同ee;iも しくはそれ以上に困難な作業である。種々な因子が考 慮されなければならないが,連続3日間という拘束時
間を考えて,図1に示すような調査用紙を作成した。
このような背景をもっ数値であるが,全対象者34名の 1日当たり消費エネルギー−mはSFT値の大小にかかわ
らず,各個体に対応したもの(on 4 b)であり,実測 体重より算出したエネルギー所要鼠に対する比率は,
橿取エネルギーのそれに比し,個入差が著しく小さか った(CV,6.2%)。エネルギー代謝,特に滋礎代謝に は種々な影響因子があげられているが,食物摂取量の 多少やモの質も一要因である。鍵常者の場合は,基礎 代謝は各個体に対応して生体の健康を維持する方向に 変化するme従って,上記の結果は基礎代謝鰍ではな く消質エネルギー凪であるが,摂取量の多少もある一 定の範囲内であれば生体の自律機能によりエネルギー 消費が増進したり抑制されたりして,その個体に対応 したエネルギー消費がなされていることを意味する数 値といえるのでなかろうか。また,もう一つの要因とし七,
RMRと体重当たりkcalとの相関は,女子20〜29歳で r =O.941と高い4)が,消費エネルギー量の算出が体重 を基準としているため,体重の大の対象ほど消費エネ ルギー量が高値となることはまぬがれない。
対象34名とは別に,特例であるが身長1 58.Ocm,実測 体重80・2kg(推奨体重52、61eg,+52.5%)の女子学生の SFT値は82.5m(TSF 27.5nm+SSF 55.Om)であった。
本調査時の1日当たり摂取エネルギ・−hiは1,208 kca1 であり,日常1,200kcal程度に制限して,本学家政科 食物専攻,栄養士養成課程に学んでいる。「工日当たり 消費エネルギー量は,体重が大なので3,210kcalにも なる。代謝,内分泌異常に基づく結果であろうが,こ のような肥満者にとっては体脂肪の減少がいかに大変 な事であるかを実証している一例である。 、、
本研究におけるSFT値21.O 一一 62.5㎜までの34名の対 象はいずれも健常者であるゆえに,各人忙応じたエネ ルギー出納のバランスが維持されている実態が明白と なった。今後更に,生体の活動状況に,より接近した 総エネルギー消費量を測定する方法,すなわち心拍数 記録装置を用いるHR−VO2方式12)等をとり入れて検 討を重ねてゆきたい。1 閣 』 L .一一
要 約 ・、 . 健康な食物専攻女子学生(19〜21歳),34名を対象
に摂取および消費エネルギーの実態を把握し,皮下脂 肪厚(SFT)との関連について, SFT値により3グルー プに分けて検討して以下の結果を得たe
工)全対象者の体位は,平均身長159.3±4.7 cm,平
均体重5a2±4.9hgでSFTの平均値は40.1±8」㎜
であった。
2)1日当たり摂取エネルギーの平均値は1,939±310 kca1となり,その食物摂取状況については前回の 対象群Dと顕著な差は見出されなかうた.
3)1日当たり消費エネルギー一蝿の平均値は1,96Lg ±213kcalで,ユ1項目に分類した行動別に各々の 消費エネルギー比率を出して3グループ閣で比較 したが,そのパターンはほぼ同じてあった。
4)SFT値と1日当たり消費エネル$;一量の相関に っいては,全対象者で,「身のまわりの用事」の項 目にのみ,負相関(P<0.G5)一一が認められた。
5)全対象者の1日当たり消費エネルギー量は,S FT値の大小にかかわらず,各個体に対応したもの であり,実測体重より算出したエネルギー所要量 に対する比率は,摂取エネルギーのそれに比し,
個人差が著しく小であった。i
終りに臨み,エネルギー代謝に関して,種々御教示 を賜わりました国立栄養研究所,橋本勲先生1ζ厚く御 礼申し上げます。また,皮下脂肪厚の計測,食物摂取 状況調査および生活時間調査資料の協力を頂きました 本学家政科食物専攻第23回生の皆様に深謝致します。
文 献
D渡邊令子・他:県立薪潟女子短大紀要,23,89,
(1986) ・. 1−
2)岡田玲子・他:県立新潟女子短大紀要J19,83,
(1982). r・
3)渡邊令子・他:県立新潟女子短大紀要,22,103,
(1985).
4)沼尻幸吉;活動のエネルギー代謝,労働科学研究 所,東京,(1981). 一 一
5)Passmore, R. and Durnin, J. V. G. A.:
Ph.ysiol. Rev., 801 (ユ955).
6)Energy and protein requirements, FAO/
WHO,107(1973).
7)厚生省保健医療局健康増進栄養課:第三次改訂日 本人の栄養所要量,第一出版、東京(198の.:
8)1桂英輔・他:老年者の栄養、5,13(1960).
9)箕輪真一・他:日本医事新:報,1988,24(工962).
10)塚本宏・他:厚生の指標,33(2),3(1986).
11)・白井伊三郎t他:労働科学,2了,311(1951).
12)細谷憲政編:新・栄養学読本,P.26,日本評論社,
東京(1983).