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岡田玲子・渡邊令子 Dietary Survey in Female College Students who are making a Speciality

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(1)

食物専攻女子学生の食生活実態調査(第3報)

19歳女子の体重当たり栄養素等摂取量についての一考察

岡田玲子・渡邊令子

Dietary Survey in Female College Students who are making a Speciality  of Food Science (Part 3) 

Study on Nutrient Intake per Body Weight of  19‑Year‑Old Female College Students

Reiko Okada and Reiko Watanabe

緒

言

栄養教育の実践面においては,対象者の栄養所要量を決定し,それを満たす食品構成を作り,それら

が,何をどれだけ食べればよいかの目安として用いられるのが常である。日本人の栄養所要量は,国 昆の体位や健康状態の変化,食糧事情や生活様式などの生活環境の変化に伴い,学問的進歩による新 しい知見を加えて,5年おきに改定されている。昭和54年改定の栄養所要量では,エネルギー所要量 は別にして,個人別最小必要量に安全率を加味して算定され,個人を対象に利用できるものとして性 別,年齢別に摂取することが望ましい量を体重kg当たりで示されている1)。これに基づいて,個人別 栄養所要量の箕定および食品構成の作成等について指導するに際して,著者らは,19歳女子の動物性 たん白質,脂質,糖質,鉄,ビタミンAおよび食塩等の所要量の設定に逡巡させられることがある。

それは,19歳という年齢が成長期の完了期であり,成人期との境界にあることによる。したがって,

その所要量算定に際しては,成長期の算定基準をいかに適用すべきか、また,僅かの月数を経て至る 成人期の所要量への移行をどのようにすべきか等が問題点として指摘されるが,詳細な解説は示され ていない。

 そこで,19歳女子の個人別栄養所要量算定ならびに食品構成や献立の作成に際して一つのよすがを 得たいと思い,生理条件,体位,健康状態および生活環境をほぼ等しくする・19歳の食物専攻女子学

生150名の摂取栄養実態調査成績より,体重k9当たりならびに摂取エネルギー1,000 kca1当たり栄養

素等摂取量を箕禺し,19歳女子および20歳女子の栄養所要量のそれに対比して考察を試みた。

(2)

一80一 県立新潟女子短期大学研究紀要 第20集 1983

調 査 方 法

 1. 調査対象,調査時期および期間

 調査対象は本学家政科食物専攻女子学生で,昭和53年から57年の各年次約35〜40名の調i査成績よ り,ユ9歳女子,150名を無作為抽出した。調査時期は各年次共3月から4月上旬の間であり,調査期 間は平Nの連続3日間である。

 2. 調査内容および方法

 食物摂取量は国民栄獲調査に準じ,個人別秤量方式によって調査した。栄養素等摂取量es ,昭和53

年,54年,55年次は三訂日本食品成分表,56年,57年次は三訂補日本食品成分表の数値を用いて算出

し,さらに,体重k9当たりならびに摂取エネルギー1, OOO kcal当たりの摂取量を求めた。得られた

成績の比較基準には,昭和54年改定の栄養所要量算定方式にもとつく,各調査対象の値を適用した。

結果および考察

 対象女子学生の平均体位は,身長は157.69土4.40cm,体重は52.38土5. 19k9であり,昭和54年改定 栄養所要量箕定のための昭和60年における,同年齢女子の身長の推計値157.7cm,体重の推計値52. 02

k臼にほぼ類似していた。

 居住状況は,自宅通学が36. 7%,自宅以外は自炊49.9%,下宿13,4%であった。

 対象女子学生の1日当たりの,体重kg i当たりおよび摂取エネルギー1,000 kca1当たりのエネルギー および各栄養素の摂取量は,表1に示すとおりである。すなわち,エネルギーは36. 96 kcal/kg,た

ん白質は1.34 9 /kg,動物性たん白質はo. 63 9 /kg,脂質は1・31 9 /kg、糖質は5・ 07 9 /kg,カルシウ

ムは11.13皿9/kg,鉄はo.25mg/kg,ビタミソAは43. 971u/kg(調理による損耗を考慮すると35・181u

/kg),ピタミソBiVs O. 539m9/1, OOO kca1(同O. 377m9/1,000kcal),ピタミソB2は0.597m9 /1, OOOkcal

(同o. 448mg X1, oo⑪kcal),ビタミソc o: 2, 05mg /kg(同ユ・ 03mg /1{9),食塩はo・ 198 9 /kg であった。こ

れを所要量に対比して,150名の変動係数と共に示したのが図1である。ビタミン類の調理による損耗 を考慮すると,適量摂取域(所要量の91・−1101e%)にあるのは,エネルギー(93.19%),脂質(109. 17

%),カルシウム(96. 53%),鉄(108. 70%),ビタミンA(101. 68%),B1(94.25%),およびC

(107.29弩),さらに食塩(le3. 13%)も仮に含めると,12項目中8項目を数えることができる。他 方,適量摂取域に達していないのは,糖質(84. 2%)とビタミソB2(81・ 45%)の2項目・また・適 量摂取域を超えているのは,たん白質(111・67%)と動物性たん白質(116・ 67%〉の2項目であった。

しかしながら,ピタミソB2に関しては,調理による損耗を考慮しない場合は所要量の108. 5%であ

り,調理による損耗を考慮する場合は安全率(25%)を加味しない飽和量の0・44mg/1, eeo kcalに等

しい数値である。

 また,対象150名の摂取上の個人差を変動係数でみると,エネルギーのそれが最も小さく,つい で,たん白質,ビタミンB2, B1,糖質および食塩のそれは小さい方に属する。これに対して・銑

(3)

表1 体重kg当たりおよび摂敢ヱネルギー1,0ge kcal当た琴栄養素等摂取量 対象女子学生の栄養素等摂取量 (参 考)

(n−150) 昭和54年改定日本人の栄養所要量

荒 S」D. C皿(%)

ユ9歳女子

20歳女子

工 ネルギー(Rcaレkg/日) 36.96

5.96 16.1

  1139.66

39』07,

た ん 自 質(g/kg/日)

L34 0.29 21.6

L202}

1.19

動物性たん白質(9/kg/日)

o.63 022 34.9

  3)⑪.54   君,0.47

脂 質(9/臨9/日)

1.31 o.40 30.5

L214, O.9759}

糖 質(9/kg/日)

5.07

1.4唾

28.4

  5}5.99 6,375,

カ ル シ ウ ム (mgノ匙g/日) 11.13 3.40 35.0

11.536}     重o}10〜11,62

鉄   (mg/匙9/日)

0.25 O.13

52』 023工帥   面)O,232

ビ

タ ミ ン A (IU/k菖/日) 43.97

i35」8)12}

19.65 44.7

  励34.60      11127.O〜34,87

ビタ

ミンB1(m暮/1.000kcal/日) I.377)12}⑪,539 O,150

27.8 ojo o.40

ビタ

ミンB2(mg/1,000koal/日) o,597

iO.448>12} OJ47

24.6 O.55 O.55

ビ タ  ミ ン C (mg/kg/日)

言,05iL。3) 3)

o.93 45.4

  510.96

  6)1.03

食 塩(mg/kg/日) O,198 0,057

28.8 o.192以下゜)

o.19似下6)

註:1)A=B(1十x)×コgq−一 23.8(kcal/kg/日)×52.02(kg)X(1十〇.5)×砦=2,063(keal)

   →2,063(kcal)÷52.02(kg)=39.66(kcal〆kg/日)

 2)成長期のたん白質所要皿の19歳女子の漸減値(gfkg/日)

  3)動物性たん白質比を45%として算出す。

  4>脂質エネルギー比を27.5%として算出す。

  5)A憎ater係数を用いてたん臼質、脂質のエネルギー量を求め総エネルギー量との差よi〕算出した概数   6)カルシウム(600mg)、鉄(12mg)s.ifタミンA(1,80elU)、ビタミンC(50mg)、食塩(IO琶以下)は、それぞ     れ体重の推計鰍19歳女子:52.e2kg、20歳女子:51.62kg>で除して算定す。

  7)A=B(1十x)X」撃・・…・23.4(kcal/kg/日)×5L62(kg)×(1十〇・5)×撃=2・013{keal)

    −h2,013(kcaD÷51.62〔kg)=39.GO(kc血1/kg/日)

  8)動物性たん白質比を40%として算出すa   9)脂質エネルギー比を22.5%として算出す。

  1。)10mg/kg:戒入の所要」砥、11.62rng/kg:60。(mg)÷51・62(kg}

  11)27』(1昧9):18(IU/kg}×(1+0.5)、34.87(IU/kg):1,8。。(IU)÷51・62(kg)

  12)( )は調理による損耗(「軋A20%、 V」B!30%、 V.B2250/e・、「・CsO%)を考慮した数誼。

(4)

一82一 県立新潟女子短期大学研究紀要 第20集 1983

{%1

湘

40

変

動 30

係数

 20

10

70

9●

8●      3●       ロ         4●1.

11

O

狛P⁝⁝⁝⁝⁝⁝㎏袴⁝      60       臼O  2■1 . 引  . 引 1 1 ・ l l 巳  ﹁亀 ● 睡 ︐ 1  ● ● ■  lll ■ 1 騨 1 ● ■  ■ ll l 暉 l l 唱 ■

     1●

5●oO工

11

o

  且0      1⑰0      120      14{}      1〔io      180      200      22{〕     〔%)

  一一一一一←栄養所要量に対する摂取率

   ユ、エネルギー,2.たん白盟,3.動物性たん臼質,4.脂 質,5.糖 質,乱カルシウム,7.鉄,

   8,ビタミンA,9.ビタミンB,,10,ビタミンB2,11.ビダミンCtユ2.食塩,

   Oは調理による蛆耗を考慮した値

図1 体重kg当たりおよび摂取土ネルギー1,000 kcal当たり栄養素等摂取量の所要量に   対する摂取率ならびに変動係数

表2主なる栄養比率

(参考)昭和54年改定栄養所要量

対象女子学生 .

19歳女子の場合 20歳女子の場合

工ネ (%) (%) (%)

ル

たん臼質エネルギー比

14.32 12.10 12.IO

ギ

1の栄養

脂   質エネルギー比 31.50 i2ト30)27.46 i20〜25)22』O

素別構

糖  質エネルギー比

54.18

 60.44

i62.9〜57,9)

 65.33

i67.9−62.9)

成

動物性たん臼質比 47.0 45.0 40.0

(5)

ビタミンCおよびAのそれはやや大きい方であるといえよう。

 なお,所要量に比して,たん白質と脂質が多く,糖質が少ないが,これを表2に示すエネルギP・一比

でみると,脂質エネルギー比は成長期の上限値を超え,糖質エネルギー比は下限値に達しない状況で

あった。

 次に,上記の平均値の背景をなす対象150名の体重kg当たりおよび摂取エネルギー−1,0eo kca1当た

り栄養素等摂取量のヒストグラムを,それぞれ図2〜図13に示したe正規分布型に近い分布を示すの は,エネルギーたん白質およびピタミソB1であウ,その他は概して数値の低い方に偏した分布と なっている。

ヨo

 20人数

 ユロ

(%)

 0

  2】.0       2呂,4       35.S       {墨3・2       50・5     24.?       32・1       3D.5       46・9       54.3

      エネルギ・一摂取皿 くkcal/kg)

図2 体重当たりエネルギー摂取量のヒストヴラム

{n=150)

30

 20 人

−o

j

数% ︵

 O.41      0.Bl      1、21      1.{il

   O、61    1.01    !.41    ユ、Sl    2・21

      たん臼質摂取量 (9/kg)

図3 体重当たりたん白質摂取量のヒストゲラム

人

数

〔%)

30 (n皿150)

20

10︶

0 D.20

@  0.32

o.44     o.56

X物性たん臼質摂軸虻

o.69

o』O

o.P2

o9

   1.i6

P.o症   】25 Ikg)

図4 体重当たリ動物性たん白質摂取量のヒストヴ   ラム

30

人20

数

 10(%)

 o

  O.{…0       1126       ユ,92       2,5臼       3.2ヨ     O.93       1,59       2.2{i       2、92       3、5{}

       脂質摂取量  (9/kg)

図5 体重当たりの脂質摂取澱のヒストゲラム

レ

(n司50)

(6)

一84一 県立新潟女子短期大学研究紀要 第20集 1983

﹂ノ

女

妄

40・

30

 :o・

(%)

10・

2,llO      1.14      5、呂8       7.52      9,35

  3.27    5、Ol   6,75    S.49   ユO.21

     払1償摂取量  (9/kg)

図6 体重当たリ糖質摂取量のヒストゲラム

30

人20

数  10{%)

0

 3.57        呂.25      12,93      17.61      22.29     き.91     .59    ]r,.L,7    l9,95    2t: ,63

      カルシウム摂取量 (mg/kg}

図7 体重当たりカルシウム摂取量のヒストグラム

↑       ↑

(n幕150)

30

人20

レ

数%

o

e,IOO      O.206     0,312      e.418      0、524    ロ 153    o,259    o.3G5    o.47エ    o.577        鉄摂取1lk   (mg/kg}

図8 体重当たリ鉄摂取量のヒストゲラム

ln置ユ50}

幽      ﹂

一

30

{n一ユ50)

20

人

数

10

(%)

o

14.εO

3a呂4

6ヨ.o呂

87.32   11L55

    26.72      50.95      75.20      91}.44     123.68

      ビタミンA摂取11t (IU/kg)

図9 体重当たリビタミンA摂取量のヒストゲラム

ヨo

 20人

数  ユo

(%)

 o

  O,2・:     O.40     0、5S     O.72     0,8S     O」:}2       0幽48       0.64       0r呂⑪       O・9〔}

     ビタミンB1摂取量 (mg/1、OOOkcal)

図10 エネルギー1,000kcal当たリビタミンB、

  摂取量のヒストゲラム

{n目15①

(7)

人 20

数工o

(%)

⑪

 O.29       0.4ヨ       0.57       0.71       0.呂5    0.36       0.5〔〕       0,6.S       O,7S       O.92

    ビタミンB3摂取量 (mg/1,000kcal)

図11エネルギー一 1, OOO kca正当たリビタミンB,

 摂取量のヒストゲラム

〔−15け)

人

20

tft le

(%)

 o  o.ヨo      L38      2.46      3.5 茎      4.62    0.811     1.92      3.00     4,08     5→16

      ビタミンc摂聖量 (mg / kg)

図12体重当たリビタミンC摂取量のヒストグラ

  ム

(n−1…O}

30

人

 20・

数

(%)

 1⑰

O.10      0,IS      O,26      0.34      G.42   0.14      0.22      0.30      0.3B      o.46

      食塩摂取量 (9ハg>

図13体重当たり食塩摂取量のヒストグラム

 以上のごとく,対象女子学生工50名のエネルギー・および各栄養素の摂取量の平均値は・所要量土20

%以内にすべて包含され,それらの摂取上の個人差を示す変動係数は16・1〜52・0%でややばらつきの

大きい栄養素もあるが,所要量にほぼ集約される状況にあり,また,対象は健康で学業にいそしんで

いたことなどを考え合わせて,これらの体重kg当たりおよび摂i取エネルギー1, OOO kcal当たりの数値

は,本学家政科食物専攻女子学生の実態的数値として参考に供してもさしたる支障はないものと思わ れる。但し,栄養学の示すところによるならば脂質の数値は上限値を超え,糖質の数値は下限値に至

っていないことに留意しなければならない。

 ちなみに,対象女子学生の栄養素等摂取量の体重kg当たりの数値を,20歳女子の所要量に対比する

ならば,動物性たん白質(134. 04%o)および脂質(134・ 36%)の摂取率が高く,成人期の所要量への

移行の際にとくに.留意しなけれぽならないものと思われる。

(8)

一86一 県立新潟女子短期大学研究紀要 第20集 1983

要

約

 19歳女子の個人別栄養所要量卸定ならびに食品構成の作成の際の一つのよすがを得るために,食物

専攻女子学生ユ50名の摂取栄養調査成績より,体重kg当たりおよび摂取エネルギー1, OOO kcal当たり の栄聾素等摂i取量を算出した。その結果は次のように要約される。

 1) 対象女子学生の体重kg当たりおよび摂取エネルギー1, OOO kcal当たり摂取量は,19歳女子の所:

要量の±20%の範囲にあり,概して所要量に集約される数値であった。

 2)脂質エネルギー比は31.50%で成長期のそれの上限値を超え,糖質・mネルギー比は5418%で

同じく下限値に達していなかった。

 3)対象15G名の変動係数は16.1・−52, O%で,エネルギー摂取上の個人差が最小で,鉄摂取上の個 人差が最大であった。

 本研究にあたり,ご指導を賜わりました本学の塚原叡教授,山田雅子助教授,ならびに調査成績の 作成に協力していただきました本学家政科食物専攻の第15回生から第19回生の皆さんに,深く感謝い たします。

文 献

1)厚生省公衆衛生局栄養課編:昭狗54年改定日本人の栄養所要量,第一出版(東京),1979.

(1983年1月17目受i理)

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