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円板モデルによる丸のこの振動に関する基礎的研究

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Academic year: 2021

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円板モデルによる丸のこの振動に関する基礎的研究

著者 岩田 弘

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

巻 21

ページ 147‑149

発行年 2000‑03‑31

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1523

(2)

氏 名 ・

(本

)

学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与の日付 学位授与の要件 学 位 論 文 題 目

岩        弘 (香 川県

)

博      (工  

)

工博乙第   83   号 平成 10年 6月 22日

学位規則第 4条 第 2項 該当

円板モデルによる丸のこの振動に関する基礎的研究

論 文 審 査 委 員

(委

員長

)

教 授   石 井    仁 教 授 森 田 信 義 教 授   松 田    孝

教 授 教 授

山     十六夫 佐々木    彰

論 文 内 容 の 要 旨

丸のこが実用化 されて以来、刃先工具の改良と共に回転数の高速化が可能にな り、丸のこの台金に 関 しては、 「腰入れ」と 「スリット」が開発・導入 された。丸のこは薄い円板状の台金の外周に刃具をつ けた構造であるため、板面の面外方向の曲げ剛性はかな り低 く、振動 を生 じ易い。この様な低剛性構 造 を持つ丸のこを用いて高速切断を行 うためには、丸のこの動的安定性が最 も重要な役割を果たして お り、この向上が求め られる。

従来から丸のこの製造工程では腰入れ処理が行われている。適切な腰入れ処理 した丸のこでは、工 具寿命が飛躍的に伸びることが知 られている。 しか し、 もし腰入れ処理が全 く行われなかった り、ま た不十分であつた りすると、特 に高速回転時に丸のこが不安定にな り、切断加工が全 く出来な くな る。逆 に、腰入れ処理が過剰 に行われて も、やは り切断性能が低下することが知 られている。

このように高速切断時の性能に重要な役割を担 う腰入れ処理は、比較的古 くか ら行われていたにも かかわらず、未だに熟練 した技術者の経験 に頼つているのが実態である。

このほかスリットについても、その機能が十分に明確 にはなつていないため、経験的にスリットが 設けられているのが実状である。

そこで本論文において、丸のこ

(チ

ップソー )の 台金に関する上記の技術について振動学的に研究 し 解明 した。

まず、回転円板振動に与える腰入れ効果についての基礎的研究を行 つた。ここでは、チ ップソーの 親板全体に幅広 く分布 させる腰入れ処理の場合について、単純な円板モデルで解析 と実験 を行 った。

まず、腰入れ処理で生ずる残留応力分布 を計測 し、ガウス分布型等方性付加応力によつて生ずる応力

‑147‑

(3)

分布 と比較 し一致することを確認 した。さらに、この影響による固有振動数の変化 を計算 し、計測値 と比較 した。このとき、危険回転数以上の回転数領域においては、円板の伝達関数が増加 し不安定 と なる。 しか し、腰入れ処理により、節直径数 2以 上の振動モー ドの固有振動数は高 くな り、丸のこの 危険回転数が高速になる。これにより動的に安定な回転数領域が拡大 し、安定性 も向上することを明

らかにした。

次 に、加工時の発熱による熱応力を受ける丸のこにおいて、振動に与える腰入れ効果について検討 を加えた。非回転時は、円板周辺部 と中心部の温度差の増加に伴い、節直径犯 以上の振動モー ドの 固有振動数は減少 し、やがて円板は熱座屈する。この間、非回転時固有振動数の減少に伴い、回転時 の危険回転数は減少する。 しか し腰入れ処理により、節直径数 2以 上の振動モー ドの固有振動数、危 険回転数および熱座屈温度を高 くすることができる。熱応力により動的安定性は低下するが、腰入れ 処理により改善することができる。さらに熱座屈温度差以上の状態について、固有振動数の変化など

を明 らかにした。

更に、静的面外変位の計測による回転円板の腰入れ効果評価法の研究を行った。これは、腰入れ処 理効果を製造段階で予測する評価法について、実験 と解析 を行い、この根拠 を明らかにすることが目 的である。まず、外周上で面外方向に集中荷重を受ける円板について、面外変位が実験値 と一致する ことを確認 した。更に、腰入れ処理 と等価な等方性付加応力の最大応力値やその半径および幅による 面外変位の変化の傾向を求めた。その結果、特に最大応力値においては、危険回転数 と剛性のバラン スから最適な値が存在することや、本評価法が腰入れ効果の評価法 として妥当な方法であることなど を示 した。

また、丸のこの周辺に設けられている半径方向スリットが果たす効果について示 した。熱応力を受 け、周辺に半径方向スリットを有する円板の動的挙動 について、実験 と有限要素法による解析を行っ た。その結果、スリットが長 くなるほど熱応力による固有振動数への影響は小 さくなる。一定のス リット長 さの場合、スリット数が増すにつれて、危険回転数を決める振動モー ドの固有振動数は高 く なるが、スリット数 3本 以上ではほぼ一定 となる。また振動モー ドの節直径数の 2倍 が、スリット数ま たはその公倍数 と一致する場合、この振動モー ドは位相が異なる二つのモー ドに分かれる。スリット 長 さの増加 と共に、一方のモー ドの振動数は急激に減少する。このような検討から円板の周辺 と中心 の温度差 による危険回転数を最大にする最適なスリット長 さについて明 らかにした。

最後に、粘弾性樹脂 を挟んだサ ンドイッチ構造円板 について、振動解析 と実験 を行った。ここで新 たに導いた解析法によると、ロスファクタの影響を考慮 して固有振動数を導 くことができる。この結 果、ロスファクタを無視 した解析結果に比べて、ロスファクタの影響を考慮 した解析結果の固有振動 数は大 きくなる。特にロスファクタが大 きい場合、その差 も大 きくなる。ロスファクタは粘弾性層の せん断係数や厚 さなどからなる二つのパラメータによって決まり、最適な組み合わせによって、サン

ドイッチ円板のロスファクタを最大 にで きることを明らかにした。

なお、論文題 日の英文名は

Basic study of Circular Saw Vibration using Disk Model"で

ある。

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論 文 審 査 結 果 の 要 旨

最近の自動車産業をは じめ とする工場の生産ラインにおける金属部材などの切断工程には、高回転 数の丸のこが使用 されている。従来丸のこでは腰入れ処理 とスリットにより高回転数化への対応 と動 的安定性の向上を図つてきた。 ところが、この点の基礎研究はこれまでほとんど行われておらず、丸 のこ設計 は、未だに経験 に頼つてお り試行錯誤 しているのが実態である。

本研究は、実切断時の熱応力 も考慮 して、振動学の見地から危険回転数や安定性の評価により、腰 入れ処理 とスリットの果たす役割を解明 している。さらに、高安定性をもたらす可能性を有するサ ン

ドイッチ型の制振構造円板の振動及びその減衰特性にまで言及 している。

本論文は全 7章 か らなる。

第 1章 では、本研究の背景、従来の研究、本論文の構成について述べている。

2章 では、丸のこの新板全体 に幅広 く分布 させる腰入れ処理をガウス分布型等方性付加応用でモ デル化 し、残留応力分布や固有振動数において実験 とも一致することからその妥当性 を検証 してい る。更にその上で、危険回転数や伝達関数による安定性において、腰入れ処理が丸のこの動的安定性 向上 に効果をもたらしていることを示 している。

3章 では、丸のこによる切断加工時に生 じる温度分布に伴 う熱応力が もたらす動的安定性や危険 回転数の低下 を腰入れ処理 により回復 される効果 を有することについて述べている。

第4章 では、腰入れ処理の評価法 として実際に使われている静的面外変位計測による方法の妥当性 を解析的に明らかにしている。更にこの結果から、過剰な腰入れによる剛性低下の問題点を指摘 し、

腰入れ処理の上限の存在 について明 らかにしている。

第5章 では、丸のこの周辺 に設けられている半径方向スリットが加工時の熱応力による危険回転数 や固有振動数の低下を抑制する効果 を有することを示 している。

第6章 では、粘弾性樹脂 を挟んだサ ンドイッチ構造円板 について、新たな手法により振動減衰能を 考慮 した振動解析 を行っている。そ して丸のこにサ ンドイッチ構造を適用 し振動減衰能を最適化する ための基礎的解析技術 と設計 について論 じている。

第7章 では、一連の技術が一貫 して動的安定性の拡大に貢献 していることを説明 し、研究全体につ いて総括 している。

以上要するに、本研究の成果は、従来経験や勘に頼つていた丸のこの設計製造技術を、円板モデル を用いることにより工学的な視点から解明を行ってお り、今後のこの分野における技術進歩の手法を 示 した点で多大な価値 を有 してお り、博士 (工 学 )の 学位 を授与するにふ さわ しい と認定する。

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参照

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