1. は じ め に 本研究は,大学生のスマートフォン(以降スマホ)・ PC等のメディア使用や,LINE・Facebook・Twitterのソ ーシャルメディア使用が,いかにインターネット・リ テラシー(以降ネット・リテラシー)と関係するのか, 両者に対する社会的スキルと性別の効果を究明するこ とを目的としたものである1). 1980年代後半以降生まれの世代は「デジタルネイテ ィブ」と呼ばれ(PRENSKY 2001),彼らは生まれてから 様々なデジタル機器に接しながら成長していく.この ような環境で育てられた世代が,ネットいじめや,イ ンターネット依存等の問題に直面するケースは少なく ない.とりわけ,近年スマホの広範な普及とともに, LINEやFacebook等のソーシャルメディア使用が,若い 世代を取り巻くメディア環境を一変させており,青少 年が不適切な事例に巻き込まれることが大きな社会的 問題になっている.いかにすれば,青少年のネット・ リテラシーを高め,問題回避のスキルを習得させるこ とができるかに関する検討が非常に重要である. 西川ほか(2013)は,ユーザのインターネットにか かわる能力であるネット・リテラシーとして,ネット 操作力,ネット・コミュニケーション力,ネット懐疑 志向の3尺度を開発し,ソーシャルメディアを継続し て利用する人(継続者)と,利用を中止する離脱者と の比較を行った.その結果,ソーシャルメディアとし てmixiを対象とした日本国内の調査では,離脱者は継 続者に比べてネット・コミュニケーション力が有意に 低いことが示された.また,Facebookを対象とした日 本・米国・韓国の比較調査においては,離脱者は継続 者に比べて3つのネット・リテラシーがすべて低かっ たことが明らかになっている.この結果より,ソーシ ャルメディアの継続者は離脱者よりネット・リテラシ ーが高いことが示されている.西川ら(2013)による ネット懐疑志向とは,インターネット等からの情報を 一方的に受容するのではなく,送り手と受け手の知識 日本教育工学会論文誌 40(3),165-174,2016
大学生のメディア/ソーシャルメディア使用とネット・リテラシー
との因果関係,及び社会的スキルと性別の効果
†叶 少瑜
*1・歳森 敦
*1・堀田龍也
*2 筑波大学図書館情報メディア系*1・東北大学大学院情報科学研究科*2 本研究は大学生のメディア/ソーシャルメディア使用とネット・リテラシーとの因果関係,及 び両者に対する社会的スキルと性別の効果を明らかにすることを目的とした.大学生を対象に2 時点のパネル調査を実施し,107名を対象に検討を行った.結果,(1)TwitterとFacebookを使用 することで,新しい知り合いを作ることができると認識し,見知らぬ他者とコミュニケーション をもつようにしている.(2)男性では,Facebook使用に関するネット・リテラシーを習得するこ とが,Facebookの使用,特に投稿頻度を増加させるだけでなく,社会的スキルを高める効果もあ ることが示唆された.(3)女性では,Facebookの投稿頻度を増加させることにより,それに関す るネット・リテラシーの向上に寄与する可能性が示唆された. キーワード:大学生,メディア/ソーシャルメディア使用,ネット・リテラシー,因果関係, 社会的スキル,性別 論 文 2016年2月9日受理† Shaoyu YE*1, Atsushi TOSHIMORI*1 and Tatsuya HORITA*2 : The Causal Relationships between College Students’ Media/Social Media Usage and Internet Literacy, Controlling for the Effects of Social Skills and Gender Differences on Them *1 Faculty of Library, Information and Media Science,
University of Tsukuba. Kasuga 1-2, Tsukuba-shi, Ibaraki- ken, 305-8550 Japan
*2 Graduate School of Information Sciences, Tohoku University. Aramaki aza Aoba 6-3-09, Aoba-ku, Sendai-shi, Miyagi-ken 980-8579 Japan
格差を埋めること,もしくは,送り手の文脈を理解す ることで,提示方法や提示された情報に対して懐疑的 な態度をもち,受け手自身の解釈に多様性や柔軟性を もつことを指す. 山岸(1998)によると,他者に対する信頼とは,人 間一般もしくは他者一般への信頼性を示す一般的信頼 と,親しい相手に対するパーソナルな信頼の両方を含 む.藤原・木村(2009)は,インターネットなど情報 ネットワークの利用は一般的信頼性との間に明確な関 係が存在することを見出している.それを踏まえ,本 條(2014)は日本国内で10~60代以上のソーシャルメ ディア利用経験者を対象に,Twitter, Facebook, LINE に対するネット・リテラシーと他者に対する信頼性に ついて検討を行った.分析した結果,①ネット・リテ ラシーに関しては,FacebookとTwitterの場合,離脱者 より継続者の方がネット・コミュニケーション力が有 意に高く,両者のネット操作力も継続者の方がやや高 かったことが分かった.②他者に対する信頼について, Facebook と LINE 両 方 の 使 用 者 の ネ ッ ト 操 作 力 が FacebookのみとLINEのみの使用者より高かったが,ネ ット懐疑性に関してはいずれも差が見られなかった. これらのことから,ネット・コミュニケーション力と ネット操作力について,FacebookとTwitterは類似して おり,LINEは異なる側面を持つ可能性があり,分けて 検討する必要性があると示唆された.また,ネット懐 疑性に関していずれの間にも差がなかったことから, ユーザがTwitterやFacebookを使い慣れており,それを 経由した情報の信ぴょう性に対してあまり疑問を持た ないことが示唆された.しかし,これらの結果はLINE やFacebook, Twitterの使用状況といかに関係するかは 明らかになっていない.西川ら(2013)はFacebookの ログイン(閲覧)頻度を測定し,本條は過去・現在の 使用経験の有無のみを測定した.しかし,Facebookや Twitterの使用は,単に閲覧するだけでなく,他人の発 言に意見やコメントを述べることや,自ら投稿する部 分に注目すべきだろう.そこで,本研究では,閲覧頻 度とともに,フォローしたり,「いいね」を押したりす る頻度,自分自身の投稿頻度を使用状況として含める. また,ソーシャルメディアを使用するにはスマホやPC を用いて,インターネット(以降ネット)に接続する 必要があることから,本研究ではインターネットの使 用時間もメディアの状況として含むべきと考える. さらに,石川(2014,2015)は情報モラル教育にお いて,社会的スキルを育成する重要性を指摘している. それはデジタルネイティブ世代では,対面によるコミ ュニケーションよりオンラインによるコミュニケーシ ョンの方が好まれるだけでなく,社会的スキルの低い 人は情報を収集するとき,目の前にいる人に尋ねるよ りスマホなどを用いて検索する方を好むと言われるか らである.つまり,社会的スキルの低い人がネットや, TwitterやFacebookのようなソーシャルメディアを多用 し,その結果ソーシャルメディア経由の情報に対して クリティカルに読み取る能力やネット懐疑性が低下し てしまう可能性がある.また,もともと社会的スキル の低い人はネット・リテラシーも低い可能性があり, それに由来して,各種のメディアやソーシャルメディ アを多用してしまうことも考えられる.上述した,ネ ット・コミュニケーション力とネット操作力に関して TwitterとFacebookが類似しており,LINEは異なる特性 を持つ可能性があることを踏まえると,社会的スキル とメディア/ソーシャルメディアの使用,及びネッ ト・リテラシーとの関係はTwitterとFacebookでは類似 しており,LINEは異なると考えられる.そこで,本研 究では,若い世代の社会的スキルが各メディア/ソー シャルメディアの使用やネット・リテラシーといかに 関係するのかについて,Twitter,Facebook,LINEを取 り上げ,検討を行う.また,男性に比べて,女性の方 がスマホによるネット時間が長いことを踏まえると (総務省 2015),上述した諸関係は男女によって異な ることも考えられる.そこで,本研究では性別による 差異も含めて検討する. 今後,様々なメディア/ソーシャルメディアがさら に使用されると予想され,若年層を対象とする情報教 育も重要になると考える.この意味では,本研究で得 られる知見は,情報教育におけるソーシャルメディア と社会的スキルの関係を考慮した指導方法などを検討 する際に有益と考えられる. 2. 研究目的と研究方法 2.1. 研究目的 本研究は以下の4点を究明することを目的とする. (1)大学生はどのようにスマホ・一般ケータイ(以 降「ガラケー」)・PCを使用しているか.Facebook, Twitter, LINEなどの使用状況はどうなっているか. (2)スマホやPCなどの使用とともに,Facebook, Twitter, LINEといったソーシャルメディアの使用がい かにネット・リテラシーと関係するのか. (3)社会的スキルがメディア/ソーシャルメディア
使用,及びネット・リテラシーといかに関係するのか. (4)上述した(1)~(3)は性別による差異があ るのか. 2.2. 研究方法 上記の目的を達成するために,本研究では,大学生 の社会的スキル,各メディアの使用状況とともに, Twitter, Facebook, LINEの使用状況,及びそれらに関す るネット・リテラシー等について2時点で測定するパ ネル調査を行った.通常,1時点のデータでは,変数 間の因果関係を推定することはできないが,2時点の パネルデータを用いて因果関係の推定が可能となるか らである. 2.2.1. 調査対象者 2015年7月下旬~8月上旬を1時点目(T1),10月下 旬~11月中旬を2時点目(T2)とし,筑波大学に在籍す る大学生を対象に2波のパネル調査を実施した. 2.2.2. 調査項目 Part A:個人に関する情報 性別,年齢,学年,所 属,住居状況などについて尋ねた.加えて,大学生の 日常生活に関する社会的スキル尺度のうち,親和性・ 感受性・自尊心・前向きな思考に関する12項目につい て,5件法(5.非常に当てはまる;3.どちらでもな い,1.全く当てはまらない)を用いて測定した(島本・ 石井 2006)(表1). Part B:メディアの使用状況 ガラケー・スマホ・ PCの保有状況,それぞれによるインターネットの使用 時間,及びガラケー・スマホによる音声通話の使用頻 度について選択式で回答を求めた(表2). ソーシャルメディアの使用状況 河井(2014)に倣 い,TwitterとFacebookの使用頻度(閲覧,「いいね」・ フォローもしくはコメント,自らのつぶやき・投稿) に関する項目を作成し,択一式で回答を求めた(5. ほ 表1 社会的スキルの構成項目,および各項目のT1・T2の平均得点 項目内容 M(T1) M(T2) 1.困ったときに,友人らに気軽に相談することができる 3.61 3.65 2.親身になって友人らに相談に乗ってもらうことができる 3.69 3.64 3.どんな内容のことでも友人らと本気で話し合うことができる 3.49 3.36 4.困っている人を見ると援助をしてあげたくなる 3.72 3.64 5.他人の幸せを自分のことのように感じることができる 3.42 3.40 6.悲しくて泣いている人を見ると,自分も悲しい気持ちになる 3.44 3.35 7.自分のことが好きである 2.92 2.91 8.自分の今までの人生に満足している 3.23 3.21 9.自分の言動に対して自信を持っている 2.86 2.67 10.嫌なことがあっても,いつまでもくよくよと考えない 2.88 2.69 11.困ったときでも「なんとかなるだろう」と楽観的に考えることができる 3.47 3.27 12.何かに失敗したときにすぐ自分はダメな人間だと思ってしまう*(*は逆転項目) 3.26 2.67 表2 各メディア/ソーシャルメディアのT1・T2の使用状況 種類 回 答 分 布 スマホなどのネット 時間(1日) ~1h: 15.9% vs 16.8%; 1~2h:21.5% vs 18.7%; 2~3h:21.5% vs 35.5%; 3~4h: 15.0% vs 13.1%; 4~5h: 15.9% vs 10.3%; 5~6h: 4.7% vs 1.9%; 6h~: 5.6% vs 3.7% 音声通話 しない:71.0% vs 75.7%; 2~3日に1回: 20.6% vs 16.8%; 1回/日: 5.6% vs 5.6%; 2回/日: 1.9% vs 0.9% 3~5回/日: 0.9% vs 0.9% PCネット時間 (1日) ~1h: 19.6% vs 16.8%; 1~2h: 20.6% vs 24.3%; 2~3h: 17.8% vs 20.6%; 3~4h:16.8% vs 14.0%; 4~5h: 6.5% vs 11.2%; 5~6h: 9.3% vs 4.7%; 6h~: 9.3% vs 8.4% LINE使用 使用率:95.3%(うち 主に個人:8.8% 主にグループ:91.2%) Twitter閲覧 しない: 9.3% vs 9.3%; 1回以下/月: 2.8% vs 2.6%; 月に数回:0.0% vs. 0.9%; 週に数回: 4.7% vs 3.7% ほぼ毎日: 83.2% vs 83.2% Twitterフォロー しない: 9.3% vs 20.6%; 1回以下/月: 12.1% vs 30.8%; 月に数回:6.5% vs. 32.7%; 週に数回: 22.4% vs 13.1%; ほぼ毎日: 18.7% vs 2.8% Twitterつぶやき しない: 9.3% vs 15.0%; 1回以下/月: 10.3% vs 4.7%; 月に数回:5.6% vs. 8.4%; 週に数回: 22.4% vs 28.0%; ほぼ毎日: 52.3% vs 43.9% Facebook閲覧 しない: 51.4% vs 47.7%; 1回以下/月: 10.3% vs 11.2%; 月に数回:8.4% vs 9.3%; 週に数回: 20.6% vs17.8%; ほぼ毎日: 9.3% vs 14.0% Facebookいいね・ コメント しない: 51.4% vs 61.7%; 1回以下/月: 19.6% vs 5.6%; 月に数回:4.7% vs 10.3%; 週に数回: 8.4% vs18.7%; ほぼ毎日: 0.9% vs 3.7% Facebook投稿 しない:51.4% vs 79.4%; 1回以下/月: 29.9% vs 15.0%; 月に数回:14.0% vs 3.7%; 週に数回: 3.7% vs 0.9%; ほぼ毎日: 0.9% vs 0.9%
ぼ毎日;4.週に数回;3.月に数回;2.月に一回以下; 1. 利用しない/ほとんどしない).なお,分析の際は, 河井に倣い,それぞれ月あたり日数計算とした.つま り,「ほぼ毎日」を30,「週に数回」を20,「月に数回」 を10,「月に一回以下」を0.5,「使用しない」を0,と それぞれ換算した(表2,3).LINEに関しては,使 用の有無や,個人間/グループ間のいずれに対する使 用かなどについて尋ねた(表2). ネット・リテラシー 本條(2014)が使用したネッ ト操作力に関する4項目(表4の項目1, 2と表5の 項目1, 2),ネット・コミュニケーション力に関する 3項目(表4の項目3~5),及びネット懐疑志向に関 する2項目(表5の項目3と項目7)の9項目を, Twitter, Facebookに適した表現に修正して測定した2). 加えて,従来の情報リテラシーとして,疑問を持った 情報に関する確認・判断能力に関するリテラシーを高 比良ら(2001)から抽出して,Twitter, Facebookに適 応するよう修正した(表5の項目4~6).一方,LINE はクローズドで,交流相手は比較的親しい関係にある ため(日向野 2015),本研究ではネット操作力に関す る2項目(表4の項目1, 2),ネット・コミュニケー ション力に関する3項目(表4の項目3~5)のみを 用いた.加えて,LINEを使用することにより,ユーザ の社会的ネットワーク(コミュニティ)が大きくなる かどうかも尋ねた(表4の項目6).これらの尺度に対 して,すべて5件法(5.非常に当てはまる;3.どち らでもない;1.全く当てはまらない)を用いて回答を 求めた. 2.2.3. 因果関係の分析方法 概念モデル 本研究では,目的2と目的3を検討す る為,図1に示すモデルを用いて分析を行った.ここ で,大学生の社会的スキルが,メディア/ソーシャル メディアの使用を増加させることによって(パスa), 間接的にネット・リテラシーを高めるのか(パスb), もしくは,直接的には効果をもつのか(パスc)につい て検討した.同時に,逆方向の関係も検討した(Ra, Rb, Rc). 分析モデル 図1の概念モデルを分析するために, 交差遅れ効果モデル(cross-lagged effect model)を用 いて共分散構造分析を行った.このモデルは,パネル 表3 男女別のT1・T2のTwitterとFacebookの平均使用頻度(月あたり日数換算後) M(T1) M(T2) Twitter・Facebookの使用頻度 男性 女性 男性 女性 Twitter閲覧 23.01 26.53 23.64 27.51 Twitterフォロー 14.27 16.05 9.64 4.73 Twitterつぶやき 18.51 22.50 17.91 21.01 Facebook閲覧 8.56 7.22 8.99 8.56 Facebookいいね・コメント 3.87 4.34 5.98 5.87 Facebook投稿 .94 .39 .09 1.57 表4 LINE使用に関するリテラシーのT1・T2の平均得点(項目1~5はTwitter・Facebookと共通する) 項目内容 LINE M(T1) M (T2) Twitter/Facebook M(T1) M(T2) 1.○○などから必要な情報を探すことができる 3.26 3.27 3.41 3.36 2.○○経由の情報に対して,真意が判断できる 3.09 3.15 3.09 3.25 3.○○を通じて新しい知り合いを作ることができる 1.80 1.71 2.93 2.81 4.○○を通じて見知らない人とのコミュニケーションをもつようにしている 1.33 1.43 2.47 2.35 5.○○を用いて積極的にコミュニケーションを行うことができる 2.66 2.56 2.79 2.64 6.○○を使うことによって,個人のコミュニティが大きくなった 2.42 2.46 -- -- 表5 Twitter ・Facebook使用に関するネット・リテラシーのT1・T2の平均得点(LINEと共通しない) 項目内容 M(T1) ・M(T2) 1.自分はインターネットを使うことに精通している 3.29 3.20 2.自分はインターネットで情報を探すことに関して知識が深いと思う 3.29 3.30 3.概してインターネットの情報は,それに関連する危険性の本当の姿を表せていない 3.65 3.79 4.TwitterやFacebookなどで知ったことを,後で本などで確認することがある 2.99 3.01 5.TwitterやFacebookなどで噂を聞いた時には,それがどのくらい根拠があるかを確認している 3.43 3.50 6.TwitterやFacebookなどから対立する意見があるときはいつも両方の言い分を見比べてそれぞれの良し 悪しを判断するようにしている 3.34 3.39 7.TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアで伝えられる情報は,現実を表していない 2.85 2.99
データから2変数の因果関係を予測するために考案さ れ,1時点目の2変数の値が,1時点目から2時点目 における2変数の値の変化に影響を及ぼすか否かにつ いて検討するものである(e.g., MENARD 2002). 本研究では2波のパネルデータに,交差遅れ効果モ デルを2段階に行うことで3つの変数間の因果関係を 推定し,メディア/ソーシャルメディアの媒介効果を 予測した.具体的には,図1のパスaとパスRaについ て図2のモデルで分析し,パスbとパスc,及びパスRb とパスRcに関しては図3のモデルで分析した.理論上, 独立変数(社会的スキル)から媒介変数(メディア/ ソーシャルメディアの使用)への効果は,独立変数か ら従属変数(ネット・リテラシー)への効果より時間 的に先行性をもつため,従属変数からの影響を受けな いが,3変数を同時に推定するモデルを使うとその影 響が加味されてしまう.本来ならば,3波によるパネ ルデータを用いて検討するのが望まれるが,2波によ るパネルデータを用いた本研究では安藤ら(2004)に 倣い,パスaとパスRaを分離したモデルによる推定を し,データの制約に由来する問題を緩和する(図2). 一方,媒介変数の影響を受けるパスb(パスRb)と独 立変数から直接影響を受けるパスc(パスRc)とは3 変数モデルによる推定を行った(図3). 3. 結 果 3.1. 調査協力者に関する情報 本研究の分析対象となった協力者107人の平均年齢 は20歳(レンジ19~24歳)であり,1年生は32人(男 性12人,女性20人),2年生は41人(男性18人,女性23 人),3年生は21人(男性12人,女性9人),4年生は 13人(男性5人,女性8人)であった.また,所属は 知識情報・図書館が68.9%で最も多く,次に情報メディ ア創成は11.1%で,その他は20%(比較文化,日本語・ 日本文化,応用理工,医学,生物,心理等)であった. 各メディアの所持率について,ガラケー,iPhoneと Androidはそれぞれ4.6%, 45.8%と44.9%で,4.7%はガラケ ーとiPhoneもしくはガラケーとAndroidを所持してい る.また,96.3%は個人専用のPCを所持していること が分かった. 大学生の日常生活に関する社会的スキルの内的信頼 性はα=.82(T1), α=.85(T2)であり,高い信頼性を示し た.各項目のT1・T2における平均得点を表1に示して おり,12項目の合計得点の平均はそれぞれ39.98 (SD =6.74)と38.47 (SD =8.56)であった.また,T1, T2の社会 的スキルが男女によって異なるかどうか,独立したサ ンプルのt検定を行った結果,いずれも差が見られなか った. 3.2. メディア/ソーシャルメディアの使用状況と ネット・リテラシー 大学生の各メディア/ソーシャルメディアの使用状 況を表2に示す.この結果から,①スマホなどによる ネットの使用時間とPCによるネットの使用時間はほ ぼ同様であること,②7割以上は音声通話しないこと, ③Twitterの使用率はT1・T2とも同様であるのに対して, Facebookの方がやや増加する傾向があること,④95.3% はLINEを使用し(TwitterとFacebookよりも高い),し かもそれは主にコミュニティやグループに対するもの であること,等が明らかになった.これらの使用は性 別による差があるかどうかを確認するため,2.2.2.で述 べた月あたり日数計算した後の使用頻度を従属変数と して,独立したサンプルのt検定を行った.結果,T2 メディア/ソーシャ ルメディア使用 ネット・リテラシー a b 社会的スキル c Ra Rb Rc 図1 本研究の概念モデル 社会的スキル メディア/ソーシャ ルメディア使用 メディア/ソーシャ ルメディア使用 社会的スキル e e Ra a 1時点目調査 2時点目調査 図2 2変数の交差遅れ効果モデル 社会的スキル メディア/ソーシャ ルメディア使用 メディア/ソーシャ ルメディア使用 社会的スキル e e Ra Rc 1時点目調査 2時点目調査 ネット・リテラシー e ネット・リテラシー b c 図3 3変数の交差遅れ効果モデル
のTwitterフォロー頻度とT2のFacebook投稿頻度に有 意差が見られた。前者はt (105) =3.31, p<.01,後者は t(105)=2.23, p<.05であった.なお,男女のT1・T2の TwitterとFacebookの使用頻度は表3に示す。この結果 から,T2では,①男女とも月に数回から10回弱Twitter 上でフォローをしたが,頻度は女性より男性の方が多 かった;②女性は月に数回Facebook上で投稿をしたが, 男性は月に一回以下の頻度で行ったことが分かった。 次に,LINE使用に関するネット・リテラシー(以降 LINEリテラシー)とTwitter・Facebook使用に関するネ ットリテラシー(以降TFネット・リテラシー)を表4 と表5に示す.なお,表4はLINEリテラシーに関する 項目であるが,項目1~5はTFリテラシーと共通であ るため,ここで合わせて掲載する(「○○」とはLINE リテラシーの場合は「LINE」,TFリテラシーの場合は 「TwitterやFacebook」を指す).まず,共通する5項目 に差があるかどうかを確認するため,対応ありのt検 定を行った.その結果,T1・T2ともに項目3と4のみ, 有意差が見られた.いずれもTFリテラシーの方が得点 が高かった.T1の場合,項目3に関して,t(106)=8.01, p<.001であり,項目4に関して,t (106)=8.57, p<.001 であった.T2の場合,項目3に関して,t(106)=7.58, p<.001であり,項目4に関して,t (106)=6.96, p<.001 であった.この結果から,大学生らは,LINEに比べて, TwitterとFacebookを利用することで新しい知り合いを 作ることができると認識した.また,TwitterとFacebook を利用して見知らぬ人とコミュニケーションを持とう としている.そして,これらの認識は時間の経過とと もに変化しにくいことが示唆された.なお,TFリテラ シー全体とLINEリテラシー全体に関してはT1, T2とも, 性別による差異は見られなかった. 3.3. 因果関係の分析結果 本研究では,①大学生のメディア/ソーシャルメデ ィアの使用がいかにネット・リテラシーと関係するか, ②両者に対して社会的スキルがどのような効果を及ぼ すか,③性別による差異があるのかを究明するため, 図1に示す概念モデルに基づいて,性別による多母集 団同時分析を行った.以下の分析結果を述べるが,表 6のパスa,Raは図2のモデルによる結果,表7のパ スb, c, Rb, Rcは図3のモデルによる結果である.また, ここの「メディア使用」とはスマホやPCによるネット の使用時間,「ソーシャルメディア使用」とはTwitter とFacebookの使用頻度(月あたり日数換算結果)等を 指す. モデルの適合度を検討するには,Goodness of Fit Index (GFI),Comparative Fit Index (CFI), Root Mean Square error of Approximation (RMSEA)の3種類を用い た.慣例的に,GFIとCIFの値が.90以上,RMSEAの値 が.05以下の場合,モデルは得られたデータに非常によ
く適合していると判断される(豊田,1998).本研究で
採用したモデルの適合度は,いずれもGFI=.97~1.00, CFI=.95~1.00, RMSEA =.00 ~.08 (RMSEAが0.08以下 の場合は許容できる範囲とされている)であり,適合度 は十分に高いと言える.なお,表6,7は有意差及び有 意傾向が見られた結果のみ掲載する(数字は標準化係 数である). 3.3.1. 社会的スキルとメディア/ソーシャルメデ ィアとの因果関係(パスa, Ra) 図2のモデルを,PCネット時間,スマホなどによる ネット時間,Twitterの閲覧・フォロー・つぶやき頻度, Facebookの閲覧・いいね・投稿頻度,LINE使用の9通 りの変数に対して男女による多母集団同時分析を行っ た.その結果,表6に示したように,男性のFacebook 閲覧頻度が社会的スキルを高める傾向があるのに対し て,女性はFacebookの投稿頻度が社会的スキルを高め る傾向があった.一方,社会的スキルが女子学生の Facebook上の投稿頻度を減少させる傾向が見られた. 3.3.2.メディア/ソーシャルメディア使用とネッ ト・リテラシー,社会的スキルとネット・リ テラシーとの因果関係(パスb, c, Rb, Rc) 図3のモデルを,メディア/ソーシャルメディア使 用とネット・リテラシーとの因果関係,及び社会的ス キルとネット・リテラシーとの因果関係について,図 2と同様に,18通りの組み合わせについて分析した. メディア/ソーシャルメディア使用の媒介効果(パ スb, Rb) 表7に示したように,男女ともFacebook 上 の投稿頻度とLINE使用がネット・リテラシーに影響す ることが示された.男性はFacebook上の投稿頻度がか えってネット・リテラシーを低下させた.それに対し て,女性はFacebook上の投稿頻度が彼女らのネット・ リテラシーを高めた.しかし,LINE使用の場合は Facebookの投稿頻度の場合と逆に,男性のLINE使用は LINEリテラシーの向上にポジティブな効果があり,女 性のLINE使用はかえってLINEリテラシーを低下させ た.一方,逆の因果関係を見ると,男性のTFネット・ リテラシーが彼らのFacebook上の投稿頻度を増加させ る効果があった.同様に,女性のTFネット・リテラシ ーが彼女らのTwitter上のフォロー数を増加させた.
ネット・リテラシーに対する社会的スキルの直接効 果(パスc, Rc) 表7に示したように,女性の場合, パスcとパスRcの両方とも効果が見られなかった.一 方,男性の場合,パスcより,パスRcの方が効果が強 かった.つまり,社会的スキルがTFネット・リテラシ ーを向上させるより,TFネット・リテラシーの習得が 社会的スキルの向上に寄与する効果が大きいことが示 された. 以上の結果を踏まえ,社会的スキル,ソーシャルメ ディアの使用,及びネット・リテラシーといった3変 数の間に,因果関係が見られたモデルを男女別にまと めた(図4, 図5). 4. 考 察 本研究には性別の効果を除くと3つの目的があった. 以下はそれぞれについて,性別の効果を交えながら, 本研究の知見と考察を述べる. 4.1. 大学生のメディア/ソーシャルメディアの使用 本研究の第1の目的は大学生らがどのようにスマ ホ・ガラケー・PC,及びFacebook, Twitter, LINEなど を使用しているかを明らかにすることであった.調査 結果からは,大学生のスマホ所持率はこれまでの調査 結果とほぼ同様で,音声通話よりテキストによるコミ ュニケーションを好むことも同様であった.また,ス マホによるネット時間とPCのネット時間について,い ずれも6割ほどが2時間以上使用していた.これは総 務省(2015)の調査結果よりも長かった.これに関し て,1つの理由はスマホの所持率とPCの所持率が同様 であり,外出先などの情報検索や暇つぶしとしてのゲ ームの時はスマホ,自宅や大学で宿題やレポート作成 などのためにPCというように使い分けているのでは ないかと考えられる.今後,デバイスごとの使用目的 を検討する必要があろう. また,LINE,Facebook,Twitterの使用率について, 総務省(2015)が10~60代を対象に行った結果では, 20代の使用率はそれぞれ90.5%, 61.1%と53.8%であった. 一方,マイナビ(2015)が2015年3月に卒業する大学 生 を対象 に行っ た調査 結果で は, LINE ・Twitter ・ Facebookの使用率は84.4%,64.9%,59.0%であった.つ 表6 社会的スキルとメディア/ソーシャルメディア使用との因果関係(パスa, Ra) 男 性 女 性 メディア/ソーシャルメディア使用
パスa パスRa パスa パスRa
Facebook閲覧 .16† Facebook投稿 -.17† .24† 注:†p<.10. 表7 メディア/ソーシャルメディア使用との因果関係(パスb, c, Rb, Rc) 男 性 女 性 メディア/ソーシャルメディア使用 パスb パスRb パスc パスRc パスb パスRb パスc パスRc Twitter/Facebookの場合 PCネット .16† .21* Twitterフォロー .23* .41** Facebook投稿 -.24** .30** .15† .19* .23** LINEの場合 スマホネット 18† LINE使用 .20* .15† -.23** 注:†p<.10; *p<.05; **p<.01. Facebookの投稿頻度 ネット・リテラシー 社会的スキル -.24** .15† .30** .19* 注:†p<.10; *p<.05; **p<.01 図4 男性の3変数因果関係 Facebookの投稿頻度 ネット・リテラシー 社会的スキル .23** -.17 † .24 † 注:†p<.10; **p<.01 図5 女性の3変数因果関係
まり,①LINEは20代全体からみても大学生に限定して も , Twitter と Facebook よ り 使 用 率 が 高 い こ と , ②Facebookの使用率は大学生の間には減少するが, Twitterの使用率が増加することが看取できる.本研究 の結果からも同様の傾向が示されている. 本研究では,性別によって,各メディア/ソーシャ ルメディアの使用に相違があるか否かについても分析 した.結果に示されたように,T2のTwitterにおけるフ ォロー頻度とT2のFacebookにおける投稿頻度に男女 差が見られた.これは性別とソーシャルメディアにお ける匿名性の相互作用が存在する可能性を示すとも考 えられるが,T1では有意差が見られなかったことを踏 まえると,今回の調査結果からは断定できない.今後 詳細な検討が必要と考える. 4.2. 大学生のメディア/ソーシャルメディアの使 用とネット・リテラシーとの因果関係(パス b, Rb) 本研究の第2の目的は各メディアの使用とともに, Facebook,Twitter,LINE等のソーシャルメディアの使 用がいかにネット・リテラシーと関係するのか,性別 によって差があるのかを究明することであった. 表7 に示したように,男女とも,ソーシャルメディアの使 用とネット・リテラシーとの間に,双方向の因果関係 が見られた.女性はFacebookにおける投稿頻度がTFネ ット・リテラシーを高める効果があったが,男性の場 合はネガティブな影響が見られた.Facebookの構成メ ンバーは既知の他者が多く,そのような人々に対する 投稿行為は一種の自己開示と見なせる.人間は他者に 対する自己開示を行うことで,信頼関係を築き,スト レスの解消や孤独感の低減には有効である(大坊 2005).しかし,女性に比べて,男性は対面だけでなく, オンラインにおいても自己開示が少ない(JOINDON 2001).本調査ではT1のFacebookにおける投稿頻度自 体に男女差が見られなかったことを踏まえると,男性 の投稿は自己開示ではなく,単なる情報共有や事務連 絡的要素が強いのかもしれない.今後,投稿頻度のみ ならず,投稿内容なども含め,より詳細な検討が必要 であろう. 逆の因果関係を見ると,男性の場合,ネット・リテ ラシーの向上が投稿頻度を増加させる効果が見られた が,女性には同様の結果は見られなかった.この理由 としては,男性のTFネット・リテラシーが向上するこ とは,ネット操作力や,ネット・コミュニケーション 力,ネット懐疑志向が向上することであり,それゆえ, 単なる情報共有や事務連絡にとどまらない自己開示と 言えるような投稿をするのに役立つと考えられる.女 性に同様の結果が見られなかったのは,前述したよう に,女性はより自己開示に関する投稿をしているため, TFネット・リテラシーの向上を介する必要がないこと に由来すると考えられる.これらのことより,同じ Facebookの使用でも,男女によって,ネット・リテラ シーとの関係が異なることが示唆された. 次に,LINE使用からLINEリテラシーへの関係を見る と,男性ではポジティブな影響が見られたのに,女性 ではネガティブな影響が見られた.おそらく,男性に 比べて,女性はよりIMを多用して他者と親密な対人関 係を形成することと関連するのかもしれない(MESCH et al., 2012).LINEを多用する女性にとっては使用頻度 が高くなっても,見知らぬ人とコミュニケーションを し,個人のコミュニティが大きくなったり,懐疑志向 を高めたりすることが難しいことが示唆された. 4.3. 社会的スキルとメディア/ソーシャルメディ ア使用との因果関係,社会的スキルとネッ ト・リテラシーとの因果関係(パスa, c, Ra, Rc) 本研究の第3の目的は大学生の社会的スキルとメデ ィア/ソーシャルメディアとの因果関係,及び社会的 スキルとネット・リテラシーとの因果関係を究明する ことであった.分析した結果,大学生のソーシャルメ ディア使用はほとんど社会的スキルによらないことが 示された.表6に示したように,Facebookのみ,男性 の閲覧頻度,女性の投稿頻度は社会的スキルの向上に ややポジティブな効果があったが,女性の社会的スキ ル自体がFacebookでの投稿数を減少させる傾向が見ら れた.女性は投稿することで,男性は閲覧することで, 社会的スキルが高まるのは,前述したように,女性は 男性より他者に自己開示を行うことに由来すると考え られる.社会的スキルの高い人はそもそも親和性や感 受性が高く,前向きな思考もできるため,投稿による 自己開示をする必要がなかったのかもしれない.なお, 社会的スキルとLINEやTwitter使用,PCネット時間やス マホなどによるネット時間との間に,有意な関係が見 られなかったのは,これらのメディア/ソーシャルメ ディアの使用が日常のコミュニケーションに使われる ため,社会的スキルを必要としない可能性が示された. また,表2に示したように,Facebookの使用率は50% 前後であるのに対して,LINEは95.3%, Twitterは90.7% の使用率であることから,大学生にとってこれらのソ
ーシャルメディアの必要性が異なることが示唆された. それと関連して,社会的スキルの効果も異なることが 示唆された. 本研究では,社会的スキルとネット・リテラシーの 関係についても検討した.表7に示したように,女性 の場合はいずれも有意な関係が見られなかったが,男 性では双方向の因果関係が見られた.パス係数の大き さからみると,社会的スキルがネット・リテラシーに 及ぼす影響より,ネット・リテラシーが社会的スキル に及ぼす影響の方が強かった.つまり,ネット操作力, ネット・コミュニケーション力,ネット懐疑性が向上 することによって,他者に対する親和感情や感受性, 前向きな思考の形成に対する促進効果があることが示 唆された.この知見は,対面とオンラインが対立的な ものではなく,相互に連動し,補完的な存在になって いる今の時代では,より重要な意味を持つと考えられ る.しかし,社会的スキルやネット・リテラシー全体 の水準では男女による差がないにもかかわらず,女性 に上記の効果が見られなかったのはなぜかについて, 引き続き検討する必要があると考える. 5. まとめと今後の課題 本研究で得られた知見を以下にまとめる. (1)大学生はスマホとPCを併用し,Facebookより LINEとTwitterを多用している. (2)大学生はTwitter・Facebookを使用することで, 新しい知り合いを作ることができると認識している. また,Twitter・Facebookを使用し,見知らぬ者とコミ ュニケーションをもつようにしている. (3)男性は,FacebookやTwitterに関するネット・リ テラシーを習得することで, Facebookの使用,特に投 稿頻度を増加させるだけでなく,社会的スキルを高め る効果もあることが示唆された. (4)女性は,Facebookの投稿頻度が増加することで, FacebookやTwitterに関するネット・リテラシーが向上 することが示唆された. 以上の知見より,今後の情報教育において,性別に よる効果を含め,ソーシャルメディアの使用,ネット・ リテラシー,及び社会的スキルとの相乗効果が異なる ということを考慮しての教育が必要であることが示唆 された. なお,本研究の知見の一般性に注意する必要がある. 本研究の調査対象は一大学に留まり,サンプル数もそ れほど多くない.また,大学生のLINE,Facebookと Twitterのそれぞれの構成メンバー,使用目的等につい ては検討していない.今後は他地域も視野に入れ,よ り多くのサンプルを対象に,より長い期間に渡ってパ ネルデータを収集して検討していきたい. 註 1)本研究ではPCやスマホのようなデバイスを「メデ ィア」,FacebookやTwitter,LINEのように,デバイ スと関係なく,使用できるソーシャル・ネットワー キング・サービスを「ソーシャルメディア」と区別 して表記する. 2)本條(2014)が使用した「ネット懐疑性」に関す る3項目のうち,「ほとんどのネット情報で示され ることは,現実的ではない」という項目は本研究に 示した表5の項目7と重複すると考え除外した. 付 記 本研究は電子情報通信学会ヒューマンコミュニケー ションズ基礎研究会(HCS)2016の発表をもとに,再 分析・修正を行ったものです.本研究は,JSPS科研費 (課題番号15H02923,研究代表者:堀田龍也)の助成 を受けて行ったものです.調査実施の際に,ご協力・ ご回答いただいた皆様に心より感謝申し上げます. 参 考 文 献 安藤玲子,坂元章ほか(2004)インターネット使用が 人生満足感と社会的効力感に及ぼす影響:情報系 専門学校男子学生に対するパネル調査.パーソナ リティ研究,13(1):21-33 大坊郁夫(2005)社会的場面における人間の非言語的 な行動と親和性の向上.バイオメカニズム学会誌, 29(3):118-123 藤原正弘,木村忠正(2009)インターネット利用行動 と一般的信頼・不確実性回避との関係.日本社会 情報学会学会誌,20(2):43-55 本條晴一郎(2014)国際比較のための心理尺度を用い たソーシャルメディア利用の研究―信頼,文化的 自己観,および高コンテクスト/低コンテクスト コミュニケーション―. モバイル社会研究所ワー キングペーパー:11 石川真(2014)社会的スキルの違いがネットワーク上 の他者との関わり方に及ぼす影響. 上越教育大学 研究紀要,33:11-19 石川真(2015)ネット上のコミュニティへの関与の違
いが他者とのつながり方に及ぼす影響.上越教育 大学研究紀要,34:25-32
JOINDON, A.N. (2001) Self-disclosure in Computer- mediated Communication: The Role of Self- awareness and Visual Anonymity. European Journal of Social Psychology,31:177-192
河井大介(2014)ソーシャルメディア・パラドクス― ソーシャルメディア利用は友人関係を抑制し精神
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MENARD, S. (2002) Longitudinal Research (Second Edition). Sage Publications, Inc.:62-70,
MESCH, G., TALMUD, I., and QUAN-HAASE, A. (2012) Instant Messaging Social Networks: Individual, Relational, and Cultural Characteristics, Journal of Social and Personal Relationships,29(6):736-759 西川英彦,岸谷和宏,水越庸介,金雲鎬(2013)ネッ
ト・リテラシー:ソーシャルメディア利用の規定
因.白桃書房,東京
PRENSKY,M. (2001)Digital Natives, Digital Immigrants. On the Horizon,9(5):1-6 島本好平,石井源信(2006)大学生における日常生活 スキル尺度の開発.教育心理学研究,54:211-221 総務省情報通信政策研究所(2015)平成26年情報通信 メディアの利用時間と情報行動に関する報告書 (参照日 2016.01.26) http://www.soumu.go.jp/main_content/000357570.p df 高比良美詠子,坂元章ほか(2001)情報活用の実践力 尺度の作成と信頼性および妥当性の検討.日本教 育工学会雑誌,24(4):247-256 トラベルボイス(2015)大学生のスマホ所有率は93%, LINE増加,FacebooK減少―マイナビ調査(参照日 2016.01.31) http://www.travelvoice.jp/20140215-16625 日向野智子(2015)“クローズドコミュニケーション,” 現代社会と応用心理学5クローズアップメディア, 浮谷秀一,大坊郁夫(編),福村出版株式会社,東 京,pp.40-49 山岸俊男(1998)信頼の構造:こころと社会の進化ゲ ーム.東京大学出版会,東京 Summary
This study aims to investigate the causal relationships between college students’ media/social media usage and their Internet literacy, controlling for the effects of social skills and gender differences on them. We conducted a panel survey targeting Japanese college students and analyzed based on 107 students’ responses. The following results were clarified. (a) The college students perceived that they can make new friends through the usage of Twitter and Facebook, and they did communicate with those whom they never knew before by using Twitter and Facebook. (b) For male students, improving their Internet literacy about Facebook use help them increase their frequency of making posts on Facebook, and also help improve their social skills. (c) For female students, increasing their frequency of making posts on Facebook help contribute to their Internet literacy.
KEYWORDS: COLLEGE STUDENTS, MEIDA/ SOCIAL MEDIA USAGE, INTERNET LITERACY, CAUSAL RELATIONSHIPS, SOCIAL SKILLS, GENDER DIFFERENCES