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日血外会誌 Table 1 25 巻 2016 年 Patients characteristics No ge/sex Cr (mg/dl) egfr (ml/min/1.73 m2) diameter (mm) Proximal neck length Common iliac artery a

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Academic year: 2021

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はじめに

 腹部大動脈ステントグラフト内挿術(EVAR)は低侵襲 な治療法である.EVAR にはヨード造影剤の使用が不可 欠であるが,腎機能障害を有する患者ではその使用に制 限がある.炭酸ガス造影は腎機能に影響しないため有用 とされているが,脈管の描出には限界がある.今回,腎 機能障害を認める腹部大動脈瘤(AAA)4 例に対して炭酸 ガス造影を併用して EVAR を行い,EVAR に対する炭酸 ガス造影の有用性や限界について検討した.

対  象

 2014 年 3 月∼2015 年 6 月までの AAA 20 例に対して EVAR を行った.このうち Cr 1.5 mg/dl 以上の炭酸ガス 造影併用下で EVAR を行った 4 例を対象とした.男性 3 例,女性 1 例,75∼87 歳(平均 80.0 歳)であった.術前 Cr 1.51∼1.86 mg/dl(平均 1.72 mg/dl),eGFR 25.4∼31.5 ml/ min/1.73 m(平均 28.5 ml/min/1.73 m2 2)であった.高血圧 4 例,閉塞性肺疾患 2 例,糖尿病 1 例,大動脈閉鎖不全 1 例,脳梗塞後遺症 1 例を合併していた.全例,AAA 症 例で最大短径は 48∼57 mm(平均 53.3 mm)であった.中 枢側ネック長は 13∼23 mm(ショートネック 2 例,13, 15 mm)であった.片側の総腸骨動脈瘤を 3 例で合併し, 最大短径は 33∼50 mm であった(Table 1).

方  法

 術前のサイジングは単純 CT で行い,エコーで瘤内の 壁在血栓などを確認した.総腸骨動脈瘤を合併した 3 例 に対しては,内腸骨動脈のコイル塞栓術を EVAR の 4∼ 9 日前に計画した.コイル塞栓術は局所麻酔,炭酸ガス 造影下で行った.炭酸ガス造影は炭酸ガスをカートリッ ジ式炭酸ガス圧縮ボンベより 20 ml シリンジに採取して 10 ml ずつ用手的に急速注入して行い,不良の場合は生 食で 2 倍希釈したヨード造影剤で造影を行った.EVAR は全身麻酔下で行い,移動式 DSA 装置(OEC-9900 Elete) を使用した.造影は炭酸ガスを 35 ml シリンジに採取し て,大動脈では 30 ml,腸骨動脈では 20 ml を用手的に 急速注入して行った.中枢側では左上腕動脈より挿入し た 4 Fr. ピグテールカテーテルより炭酸ガス造影を行い, 末梢側では大腿動脈から挿入したシースから逆行性に炭 酸ガス造影を行い,低位の腎動脈の位置や内外腸骨動脈

腎機能障害を合併した腹部大動脈瘤に対する

炭酸ガス造影併用下ステントグラフト内挿術の検討

伊從 敬二  三森 義崇  奥脇 英人  有泉 憲史  橋本 良一 要  旨:腎機能障害例に対する CO2造影下ステントグラフト内挿術(EVAR)の有用性や限界について検 討した.【方法】腹部大動脈瘤,Cr 1.51∼1.86 mg/dl の 4 例を対象とした.サイジングは単純 CT で行い, 片側総腸骨動脈瘤合併 3 例には EVAR 前にコイル塞栓を行った.EVAR は全身麻酔下で,CO2を大動脈で 30 ml,腸骨動脈で 20 ml,注入し造影して行った.描出不良の場合と最終造影は 2 倍希釈ヨード造影剤で 評価した.【結果】CO2造影での腎動脈の描出は,両側良好 2 例,片側良好 1 例,両側不良 1 例であった. 腸骨動脈の描出は全例で良好であった.CO2造影ではエンドリークを 4 例で認めなかったが,ヨード造影 剤で Type Ia が 1 例で確認された.CO2総使用量は 180∼235 ml,ヨード造影剤は 8∼33.5 ml で,術後 Cr の変動はわずかであった.【結論】CO2造影下の EVAR にはヨード造影剤が少量必要であるが腎機能に影響 しない範囲であり有効な方法と考えた.(日血外会誌 2016;25:168–172) 索引用語:炭酸ガス造影,腹部大動脈瘤,ステントグラフト,腎機能障害 山梨厚生病院心臓血管外科(Tel: 0553-23-6310) 〒 405-0033 山梨県山梨市落合 860 受付:2016 年 1 月 18 日 受理:2016 年 4 月 7 日 doi: 10.11401/jsvs.16-00012

(2)

分岐の確認を行った.手技が煩雑にならないように手術 台は常に水平で行った.炭酸ガス造影が不良の場合は, 2 倍希釈したヨード造影剤で造影を行った.最終造影は 炭酸ガスとヨード造影剤の両方で行い評価した.ステン トグラフトの機種は ENDURANT 1 例,EXCLUDER C3 3 例であった.術後は単純 CT とエコーで評価を行った.

結  果

 内腸骨動脈のコイル塞栓術を行った 3 例のうち,2 例 は炭酸ガス造影で内腸骨動脈が描出されたが,1 例 (Patient No 2,総腸骨動脈瘤径 50 mm)は瘤内に炭酸ガス が集積し内腸骨動脈の描出が困難であった.3 例ともヨー ド造影剤で最終造影を行い内腸骨動脈の完全閉塞を確認 した.炭酸ガス / ヨード造影剤の総使用量は 25/14 ml, 60/11 ml,80/6.5 ml であった.EVAR を行った 4 例のう ち,炭酸ガス造影で両側腎動脈が描出されたは 2 例 (Fig. 1A),片側のみが描出されたのは 1 例であった (Fig. 2).残りの 1 例は両側腎動脈が描出されなかった のが,メインボディーをデプロイした後は両側描出され るようになった(Fig. 3).炭酸ガス造影による腸骨動脈 の描出は 4 例全てで良好であった(Fig. 1B)(Table 2). 最終の炭酸ガス造影で,4 例全てエンドリークのないこと が確認されたが,ヨード造影剤では 1 例に Type Ia エンド リークが確認された.この 1 例は大動脈カフの追加によ りエンドリークが消失した(Patient No.2).EVAR における 4 例の炭酸ガス総使用量は 180∼235 ml(平均 219 ml), ヨード造影剤総使用量は 8∼33.5 ml(平均 24.1 ml)で あった(Table 2).術後 5∼8 日目のエコーで Type II のエ ンドリークを 2 例で認めた.4 例に炭酸ガス造影に関連 した合併症を認めなかった.術後 1 カ月以内に Cr 値が 上昇したのは 2 例で,その上昇は 0.08,0.19 mg/dl とわ ずかで一過性であった.

Fig. 1 Carbon dioxide angiography in patient 1.

Bilateral renal arteries (A) and iliac arter-ies (B) are visualized clearly.

RA: renal artery, CIA: common iliac artery, EIA: external iliac artery, IIA: internal iliac artery

Fig. 2 Completion angiography in patient 2.

Car-bon dioxide angiography did not show the left renal artery during the EVAR (A). Iodinated contrast medium angiography showed bilateral renal arteries (B). RA: renal artery, EVAR: endovascular aortic aneurysm repair

Table 1 Patients characteristics

No Age/Sex (mg/dl)Cr (ml/min/1.73 meGFR 2) AAA diameter(mm) neck lengthProximal Common iliac artery anuerysmRt. or Lt. diameter (mm)

1 82/male 1.84 28.4 48 13 –

2 87/female 1.51 25.4 51 20 Rt. 50

3 77/male 1.69 31.5 57 23 Lt. 35

4 75/male 1.86 28.5 57 15 Rt. 33

Cr: creatinine, eGFR: estimated glomerular filtration rate, AAA: abdominal aortic aneurysm, Rt: right, Lt: left

A B

(3)

Fig. 3 Carbon dioxide angiography in patient 3.

Bilateral renal arteries were not visualized initially (A), but were visualized after main body deployment (B).

RA: renal artery, AAA: abdominal aortic aneurysm

Table 2 Result of carbon dioxide angiography, total volume of CO2 and iodinated contrast agent for EVAR Visualization of ateries by carbon dioxide angiograpy Total volume for EVAR No Rt. renal artery Lt. renal artery Iliac arteries CO2

(ml) Iodinated contrast agent(ml)

1 ○ ○ ○ 180 8

2 ○ × ○ 225 29.5

3* ×* ×* ○ 235 33.5

4 ○ ○ ○ 235 25.5

*Patient No 3: Bilateral renal arteries were not visualized initially, but were visualized after main body deployment.

EVAR: endovascular aortic aneurysm repair, Rt: right, Lt: left, CO2: carbonate dioxide, ○ : good visualiza-tion, ×: not visualized

考  察

 EVAR は AAA 症例に対する低侵襲治療として普及し てきた.ハイリスクで開腹手術が困難な症例に適応とさ れ,とくに高齢者に対してはよい適応とされている.今 回提示した 4 例のうち 2 例は 75 歳,77 歳と比較的若 かったが,脳梗塞後遺症や閉塞性肺疾患などを理由に EVAR の適応とした.  EVAR には通常はヨード造影剤の使用が不可欠である ため,腎機能障害を認める症例ではその使用が制限され EVAR の適応が狭められる.また,EVAR を行った場合は 術後の腎機能障害の悪化が危惧される.炭酸ガス造影は これを打開する方法として有用性が報告されている1∼7)  炭酸ガスは 1950 年代から陰性造影剤として使用され たが,造影効果が不十分なため普及しなかった8, 9).1971 年にはフロリダ大学の Hawkins らによって炭酸ガスに よる動脈造影の経験が報告され,その後,DSA 装置の 開発と普及とともに,その画質は改善し見直されてきて いる10, 11).近年,炭酸ガス造影は,ヨード造影剤アレル ギーや腎機能障害例に対して,安全で有効な画像診断法 とされ,閉塞性動脈硬化症に対するステント留置術を初 めとする血管内治療に対しても使用されてきた12∼14)  炭酸ガスの血液への溶解性は高く,投与後,速やかに 血液に溶けて肺から排出される.炭酸ガス造影による腎 機能障害の増悪やアレルギー反応はなく安全な方法とさ れているが,腸管梗塞,横紋筋融解など少数ではあるが 重大な合併症が報告されている11, 15).これは炭酸ガスが 内腔に充満し末梢に流出しない,いわゆる Vapor lock や 炭酸ガス採取時の空気の混入などによると考えられる. また,肋間動脈や腰動脈から炭酸ガスが脊髄に進入すれ ば神経障害が発生する可能性があり16),炭酸ガスの使用 は横隔膜以下とすべきとされている.炭酸ガスの使用量 は理論的には制限はないが,一回の手技での安全な使用 量は 200 ml 以内とされ最小限とすべきである5, 12, 13)  炭酸ガスはヨード造影剤に比較して,見にくく腸管ガ スによる影響を受けやすい.また,仰臥位では炭酸ガス は血管の腹側を流れるため,背側の枝が造影されないこ とや,瘤内に停滞することもある.腎動脈は背側に位置 することもあり描出が不十分な場合は手術台をローテー ションすることで改善するとされているが2, 3, 5),EVAR においは C アームの照射角も重要なことが多いため,わ れわれは手技を単純にするため手術台は常に水平で行っ ている.腎動脈の描出が不良な場合は,必ず 2 倍希釈し た造影剤で腎動脈の起始部を確認した後に中枢側の deploy を行っている.また,今回の症例 3 では,中枢側 deploy 前に炭酸ガス造影では両側腎動脈の描出が不良で あったが,deploy 後は両側腎動脈が良好に描出されるよ A B

(4)

うになり,それ以後の手技は炭酸ガス造影下で行うこと ができヨード造影剤の使用量を抑えることができた.こ れは腎動脈下にステントグラフトが置かれることで,腎 動脈下の血管抵抗が上がり炭酸ガスが腎動脈に流れやす くなったためと考えられる.外腸骨動脈のシースからの 吹き上げ造影では,いずれの症例でも確実に内外腸骨動 脈の位置や形状が良好に観察できた.

 EVAR においては Type I や III エンドリークを残さず 手技を終了することが重要である.今回,炭酸ガス造影 ではエンドリークが確認されず,ヨード造影剤で Type Ia エンドリークが確認された症例を経験した.炭酸ガス造 影ではエンドリークの有無の評価は十分とはいえず,エ ンドリークの最終評価はヨード造影剤で行うべきであ る.また,Type I エンドリークが確認されると追加処置 後に造影が繰り返し行われヨード造影剤の使用量が増え ることが多い.エンドリーク等の問題は手技の後半で確 認されることを考慮すると,腎機能障害例の EVAR の 前半ではできるだけ炭酸ガス造影で行い,ヨード造影剤 の使用量を抑えておきたい.今回の対象症例のヨード造 影剤の使用量は平均 24.1 ml(8∼33.5 ml)で,同時期の炭 酸ガスを併用しない症例(16 例)の平均 81.0 ml(52.5∼ 139 ml)と比較すると明らかに少なく,炭酸ガス造影を 併用することでヨード造影剤の使用量を抑えることがで きたといえる.  造影剤腎症は造影剤の使用に起因する腎機能障害であ る.腎障害患者におけるヨード造影剤使用に関するガイ ドライン 2012 では,造影剤腎症は造影剤投与後の 72 時 間以内に血清 Cr 値が 0.5 mg/dl 以上または 25%以上の 上昇を認めた場合と定義されている17).Kim らは造影 CT 検査を受けた患者の造影剤腎症の発生は,eGFR 45∼ 59 ml/min/1.73 m2で 0%,eGFR 30∼44 ml/min/1.73 m2

2.9%,eGFR<30 ml/min/1.73 m2で 12.1%であったと報告 している18).Cigarroa らは,最大造影剤投与量 =5(ml/ kg)× 体重(kg)/血清 Cr 値(ml/dl)(最大 300 ml)の式を提 唱した.彼らは血清 Cr 値 1.0 mg/dl 以上の上昇を造影剤 腎症としているが,その発生率は最大投与量を超えると 21%で,超えない場合の発生率 2%と比較すると有意に 高かったと報告している19).例えば体重 50 kg の患者の 最大投与量は,Cr 1.0 mg/dl で 250 ml,Cr 2.0 mg/dl で 125 ml ということになるが,一般に腎機能が正常であっ ても造影剤の投与量は 100 ml を大幅に超えないように 使用されている.また,造影剤の使用量の増加は造影剤 腎症の発生のリスクであるとされており,とくに腎機能 低下例では造影剤の投与量は必要最小限にすることが推 奨されている17, 20, 21)  通常 EVAR 術後の評価および経過観察は造影 CT で行 われるが,腎機能障害例では,単純 CT で瘤径の変化と ステントグラフトの位置を確認し,エコーで瘤内の血流 を観察してエンドリークの有無を評価することになる.

結  語

 炭酸ガス造影の限界は,腎動脈が造影されないことが あることやエンドリークの評価が不十分であることなど であった.そのため炭酸ガス造影下で EVAR を安全に 行うには少量のヨード造影剤の使用が必要であるが,腎 機能障害例でも腎機能に影響しない範囲であり有効な方 法と考えた.

利益相反

 著者および共著者に利益相反はない. 文  献

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Evaluation of Carbon Dioxide Angiography

for Endovascular Aortic Aneurysm Repair

in Patients with Renal Insufficiency

Keiji Iyori, Yoshitaka Mitsumori, Hideto Okuwaki, Kenji Ariizumi, and Ryoichi Hashimoto

Department of Cardiovascular Surgery, Yamanashi Kosei Hospital

Key words: carbon dioxide angiography, abdominal aortic anuerysm, stent graft, renal insufficiency

Objective: This report investigates the efficacy and limitations of carbon dioxide (CO2) angiography for endovascular

aortic aneurysm repair (EVAR) in a group of patients with renal insufficiency. Methods: Four patients with abdominal aortic aneurysm (AAA) and concomitant renal dysfunction were selected. Their ages range was 75–87 years and preoperative serum creatinine values were 1.51–1.86 mg/dl. Sizing for EVAR was done using plain computed tomography. Three patients with common iliac artery aneurysm underwent preliminary coil embolization of the internal iliac artery. EVAR was done under general anesthesia using CO2 angiography; the volume of CO2 injected was 30 ml in

aorta and 20 ml in the iliac artery. Angiography with diluted iodinated media was used in the case of poor visualization of the arteries and at the completion of the procedure in all patients. Results: CO2 angiography was able to show both

renal arteries (RAs) in two patients and a unilateral RA in one patient, but did not show the RAs in one patient. The iliac arteries were well visualized in all patients. Though CO2 angiography did not detect any endoleaks in any patients,

iodinated contrast angiography detected a type Ia endoleak in one patient. For EVAR, the total volume of CO2 was

180–235 ml and the total volume of iodinated media was 8.0–33.5 ml. There were no complications related to CO2

administration and the postoperative serum creatinine values were unchanged in all patients. Conclusion: EVAR under CO2 angiographic control is technically feasible and safe. It still requires the utilization of a small amount of iodinated

media that does not appear to worsen renal function.

Table 1  Patients characteristics
Table 2  Result of carbon dioxide angiography, total volume of CO 2  and iodinated contrast agent for EVAR Visualization of ateries by carbon dioxide angiograpy Total volume for EVAR No Rt

参照

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