• 検索結果がありません。

様々なセラピーについて

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "様々なセラピーについて"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

園芸療法ってなんだろう?

長谷川ゼミ セラピー班

(2)

目次 1. はじめに 2. 園芸療法とは 3. 園芸療法による効果 4. 実体験と現場の声 5. 園芸療法の歴史 6. 園芸療法の利点と特徴 7. 園芸療法に内在する課題 8. まとめ 1. はじめに 近年セラピー・療法と名のつくものが多種普及してきている。それは現代人が受けるス トレスに対する対処方法や癒しを求めた結果だと考えられる。その中でも、素人が簡単な 講習を受講するだけでもボランティアとして普及にたずさわることができる、きわめて身 近なセラピーとして園芸療法を取り上げ、その特徴について調べることにした。 2. 園芸療法とは 園芸療法は押し花やフラワーアレンジメントとは異なり、植物を育てる園芸活動が持つ 特性を利用して、高齢者や障害者、社会的に不利な立場の人たちの心や体のリハビリ、社 会復帰、生きる力の回復などに役立てる療法のことである。 花や野菜の栽培を通して、施設そのものを美しくするといった外見のよさに貢献したり、 職員の心を癒してくれるなどといった副次的効果の他、日々移ろう季節を感じ、収穫でき たり、園芸でレクレーション活動ができるなど様々な点で良い面がある。 園芸療法は近年急速に注目を集めているが、その理由の一つとして狭いスペースで行え るという特徴を挙げることができる。そのため社会福祉施設や病院、学校、地域における 様々な活動でのコミュニケーション・ツールとして利用されているほか、地方自治体など 行政からの関心も高まっている。園芸療法が取り入れられている具体的な施設としては、 老人ホーム、知的障害者施設、病院の小児科、屋上庭園などが挙げられる。 3. 園芸療法による効果1) アメリカ合衆国では、身体的リハビリテーションとして発達した園芸療法であるが、対象者 の精神的側面への効果も着目されている。園芸療法の対象は広く身体的・精神的問題を含 んだすべての人々であるが、療法である以上、健常人が園芸を楽しんで心の満足を得る趣 味の行動とは一線を画している。

(3)

現代医学の力が及ばない患者の心の問題を癒すために、植物の力を用いる試みがあり、それ が園芸療法と呼ばれているのである。園芸療法には以下の 4 つの効果があると言われている。 1) 精神面 精神面では、植物を眺め、触れることで精神が安定する。他にも生き物の成長にかかわること で将来の楽しみを得たり、植物の成長を通じ、喪失や死に対する自然の認識を得ることが出来 る。 2) 知能面 知能面では、収穫した植物を利用することで、新しいものを初めてつくり出す創造力や感性と悟 性という二つの異質な能力を媒介する想像力が養われ、栽培に必要な知識や技術に関心を持つ ことで、脳の衰えを防ぐ。また天候、季節、月日に対する関心を維持することで、記憶力の減退を 防ぐ等の効果が見られる。 3) 身体面 身体面では、園芸療法が適度な運動になることで機能を維持でき、予防的リハビリテーションが 果たせる。筋肉を活性化させ血行、新陳代謝の促進が果たせる。適度な運動が伴うため安眠をも たらすことができ、五感の刺激により運動機能が統合される。高齢者の場合には、要介護状態にな ることを防ぐ目的や、要介護度を進めない目的で、介護予防の効果の面もある。 4) 社会性 共同の園芸活動では、協調性、思いやり、譲り合いの精神を養うことができる。植物や栽培を通 して話題を提供し会話の機会をつくることができ、園芸店・植物園を訪れることで社会との接点を維 持することができる。 上記の四側面の効果の他に、特に高齢者においては、要介護状態になることを予防した り、要介護度を進行させないことに寄与するなど、介護予防の効果が注目されている。 4. 実体験と現場の声 我々は園芸療法の実体験をしたので、その内容と印象を紹介する。 8月24日に、日本園芸療法普及委員会主催の園芸療法の講座に参加し、講師の熊谷氏 による講義を受けた。 <講義内容> 園芸療法の基本として以下の点を教えていただいた。

(4)

第一に、マリーゴールド、パンジー、ローズマリーなどの育てやすい植物を対象に育て ること、第二に、対象者に対する接し方、第三に、レポートのつけ方、第四に、現在行わ れているボランティア活動の募集について、第五に、講座の開催予定、第六に、実習で使 うローズマリーの知識、効果等についてである。 <ローズマリーの挿し木実習> 作業中は周りの方達と会話が全くなかったが、ローズマリーの挿し木を作ることを通し て次第に会話がはずむようになり、周りからも笑顔や笑い声が聞こえるようになった。最 初は教室が少し重苦しい雰囲気だったが、ローズマリーの挿し木実習を通して次第に明る い雰囲気になり、気持ちも安らぐような感じがした。園芸療法では五感が刺激されて心身 が癒されたり、会話がはずむといった効果があり、今回の体験によってそれらを肌で感じ とれた。 <ローズマリーの効果> 講義で説明を受け、実際に挿し木したローズマリーの効果について以下に示す。 しそ科の植物で原産地は地中海沿岸、ラテン語で「海のしずく」という意味を持つ。 精神面では、疲労しているときや頭脳を明晰にして記憶力を良くし、ギリシャ・ローマ 時代の受験生はローズマリーの香りをかぎながら勉強したと言われている。 身体面では脳細胞に効果があり、頭痛や言語、聴覚、視覚の回復を助け、ローズマリー を煎じてお茶にすると肝臓、胆のう、消化器官にも効果を発揮するなどといった効果の説 明を受けた。 <ヒアリング調査> 全ての工程を終えた後に、講師の熊谷氏に面接調査を実施した。 質問の内容と回答は以下のとおりである。 質 問:主にどの年代の人が多くいますか? 講師回答:「主に50代の方を中心に活動している人が多い。でも50歳で講師資格取得 の全ての行程を終えたとしても、また別の世代に教鞭を取れるようになるに は60歳代後半になってしまうため、とてもじゃないが教鞭を取れるような 状態ではないではない。」 質 問:では、若い人は少ないみたいですが、やはり若い人材はほしいですか? 講師回答:「今、絶対的に若い人が少ないので、出来る限り若い世代が興味を持って欲し い。そうすれば教鞭を取れる人が今少ないので、とても助かる。」 5. 園芸療法の歴史 <アメリカの場合> 第2次世界大戦後、戦争の後遺症に苦しむ退役軍人に大きな効果を発揮したことから、 主に身体機能の回復を目的として行われてきた2)

(5)

1970年に園芸療法士の資格ができ、同年、園芸療法協会が設立した3) 現在アメリカでは身体障害者、古典的精神障害者のうつ病・気分障害ばかりでなく、日本 で言うところの登校拒否児童・自閉症・家庭内暴力をふるう子供達など、パーソナリティ ーに問題のある人も対象となり得ると考えている。麻薬中毒者・レイプされた女性・死刑 囚など社会的ハンディキャッパーも対象にしている。特に高齢者に関しては、子供が親と 離れて独立して生活を営むのが通常の生活様式であるため、高齢者の社会的孤独はわが国 以上のものがある。その影響もあり、老年性のうつ病による自殺が大きな社会問題となっ ているため、園芸療法を通して生きる喜びを発見させたいと言う願いも込められている。 <日本の場合> 我が国では、まだ10年ほどしか歴史のない新しい療法である、全国的に広がりを見せ つつあり、民間の園芸療法の資格まで出来てきた。 この資格は、園芸療法に関する様々な組織や団体が個々に与えている認定資格である。 我々が訪ねた協会での資格について一部を紹介する。 講師資格は、園芸療法リーダー1級 の取得によって得られる。 この1級には認定条件があり、全 10 回ある講座を受けて「園芸療法リーダー2級」(注 1)の資格取得が可能になり、さらに協会認定施設において15回以上の正規の実践活動 を行い、そのレポートの審査を経て、「園芸療法リーダー1級」の資格が与えられる。 その園芸療法リーダー1級の全10 回の講座内容を下記に示す。 1、2回の講座内容では、園芸の基礎から園芸療法の現場についてを教える。3~5回は、 より発展して季節や様々な対象者に合わせた園芸を教える。6~10 回までは、園芸療法の 効果と対象者の特性、医学的知識、心理的知識等といったより専門的な講座になっている。 6. 園芸療法の利点と特徴 他のセラピーにはなく、園芸療法に特徴的な利点がある。たとえば生き物ではないアロ マテラピー等は気軽にできるが、生き物のように日々変化が見られないので一定の楽しみ しか味わえない。同じ生き物のセラピーであるアニマルテラピーは、日々の変化を楽しめ るが、餌のコストや医療ケアなどの経済的負担が伴い、気軽にはできない。 その点園芸療法は、前述のように日々の変化を楽しめて、誰でも気軽にできるなどの複 数の利点を兼ね備えている。 7. 園芸療法に内在する課題 施設におけるリハビリテーション目的の園芸療法のノウハウは開発されているが、それ ばかりでなく、一般患者・小児病棟の患者・ホスピスの患者・在宅患者等も行える療法の 開発が期待されている。 園芸療法では心身の健康を維持増進する効果を得ることができるが、医学的、科学的な

(6)

効果の証明はなされていない部分があり、一般の評価は必ずしも高いとは言えない。 独自の効果判定の研究が必要で、運動能力からみた評価、臓器機能からみた評価、精神 医学的アプローチなど多方面からの検討が今後の課題となる。 また現在国内では、これらの確立した教育・研修システムおよび認定制度が存在しない ため、専門的な教育を受けた指導者が少ないことが普及の大きなネックになっている。 さらに指導者の数の問題だけではなく、作業にかかわるボランティア体制の不備や受け 継いでくれる若い世代が少ないことを見逃せない。園芸療法に適した品種の選抜、植物を 用いた多様なプログラムの開発、療法用の器具の開発、植物の流通、モデルガーデンの設 置なども強く求められているので、園芸業者や建設業者を巻き込んだ展開が期待される。 8. 園芸療法に関するまとめ 園芸療法には、医療・福祉施設利用者や在宅療養者の QOL(注2)の向上に大きな貢献をする 部分がある。 しかし効果が数字で見えにくいので、その点をどう判断するかという点が難しいところである。 たとえば盆栽や造園は昔から日本にある園芸活動とも言える。その盆栽や庭造りなど日本に 伝統的に存在する文化を活かし、園芸療法を展開することで、今後ますます園芸療法の可 能性を広げることができるのではないか。 <注釈> 注1) 協会認定講座(全10回、計20時間)修了者、または協会主催の通信講座基礎講座の 修了者。 資格授与:筆記試験で規定以上の成績を得た合格者には、「園芸療法リーダー2級」の資 格が与えられる。 注2) QOL(Quality of Life)という用語は様々な意味を内包しているが、この場合は個人 の意識的・心理的・主観的側面を重視した立場で、個人の安寧感・個人の生き甲斐・満足 感・幸福感などのことをさす。

(7)

引用

URL

1)園芸療法とは http://www.piso.or.jp/engei.html 2)園芸療法研究会西日本会 http://www6.ocn.ne.jp/~htw/ 3)日本園芸療法研究会 http://www.bekkoame.ne.jp/~takasuna/ M05A126 高橋 和郎 M05A138 渡部 真也 M05A169 江畑 一平 M05A195 高桑 理津子 Copyright (C) 2007 長谷川万希子研究室 All Right Reserved.

参照

関連したドキュメント

在宅医療の充実②(24年診療報酬改定)

(3)各医療機関においては、検査結果を踏まえて診療を行う際、ALP 又は LD の測定 結果が JSCC 法と

強化 若葉学園との体験交流:年間各自1~2 回実施 新規 並行通園児在籍園との連携:10園訪問実施 継続 保育園との体験交流:年4回実施.

[r]

平成 24

ハンセン病は、1980年代に治療薬MDT(Multidrug Therapy;

5月 こどもの発達について 臨床心理士 6月 ことばの発達について 言語聴覚士 6月 遊びや学習について 作業療法士 7月 体の使い方について 理学療法士

園 別 治療 病理解剖 年間検疫件数 種数 頭数 恩賜上野動物園 10,883 113 56 440 多摩動物公園 12,876 54 19 37 葛西臨海水族園 1,358 43 1 1 井の頭自然文化園