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ホルモン不応性前立腺癌に対する分子標的候補遺伝子の同定と機能解析

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Academic year: 2021

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ホルモン不応性前立腺癌に対する分子標的候補遺伝子の同定と機能解析 田村賢司1) 1)高知大学医学部泌尿器科学教室 【研究の背景と目的】 ホルモン不応性前立腺癌(HRPC)を克服することは、前立腺癌を死 因にしないための最も重要な課題の一つである。現段階では HRPC に対する有効な治療法 はなく、治療成績を向上させるためには新規治療法につながる分子標的候補遺伝子の同 定が急務と考える。

【方法】 Laser Microbeam Microdissection ならびに cDNA マイクロアレイを用いて、HRPC の正確な遺伝子発現プロファイルを作製した (Molecular Features of Hormone-Refractory Prostate Cancer Cells by Genome-Wide Gene-Expression Profiles. Cancer Res. Jun 1;67(11):5117-5125, 2007)。候補遺伝子の解析対象基準としては、HRPC 症例のうち 50%以 上の症例で、正常前立腺と比較して 5 倍以上の発現上昇を認めた遺伝子で、なおかつ正 常組織での発現が低いものとし、各種データベース、RT-PCR、Northern blot 等を駆使し候 補遺伝子を同定した。 【結果】 HRPCで発現上昇を認めるいくつかの候補遺伝子を同定した。今回はそのうちの 一つであるstanniocalcin 2 (STC2)遺伝子について報告する。STCは魚類特有の内分泌器 官スタニウス小体から分泌され、この器官の摘出手術により高カルシウム血症になることから、 抗高Ca血症のホルモンとして知られている。1992年にクローニングされ構造が明らかになっ た。STCは魚類特異的なホルモンとして考えられていたが、 1998年に哺乳類において2つ のホモログが発見され,STC1、STC2と命名された。哺乳類におけるSTCの生理的役割はほ とんどわかっていない。 STC2に特異的なモノクローナル抗体を作製し、HRPCでSTC2が高発現していることを免 疫組織染色法により確認した。さらにgleason score 8-10のhigh grade HSPC(ホルモン感受 性前立腺癌)でも高発現していることを確認し、STC2が前立腺癌進展に関与する可能性が 示唆された。また前立腺癌細胞株において、siRNAによりSTC2の発現を抑制すると著明な 細胞増殖の抑制が観察され、逆にSTC2安定発現細胞株では細胞増殖の促進が観察され た。以上の結果より、STC2が前立腺癌細胞の増殖や生存に深く関与していることが推察さ れた。

【まとめ】 我々はLaser Microbeam Microdissection法とcDNAマイクロアレイによって得られ た正確なHRPCの遺伝子発現プロファイルに基づいて、HRPCで発現上昇を認めるSTC2遺 伝子を同定した。STC2は新たな前立腺癌の標的治療薬の候補分子になり得るとともに、前 立腺癌の新規バイオマーカーになる可能性が示唆された。

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